説明

画像形成装置

【課題】インクヘッドと用紙とのこすれを防止する。
【解決手段】給紙装置から給紙された用紙を印字領域へと間欠に送り出すレジストローラ及びレジスト加圧ローラと、印字領域に用紙を平坦に保つためのプラテンと、該プラテンの下方に配置されプラテン上の用紙を吸引するチャンバー及び吸引ファンと、プラテン上の用紙にインクを吐出して画像を形成するインクヘッドと、インクヘッド6を搭載し、用紙の搬送方向に直行する方向に移動するキャリッジと、を備えマルチパス印字を実行する画像形成装置において、用紙を検出する用紙センサーと、インクヘッド6の位置を用紙の搬送方向の上流及び下流に移動させるヘッド移動モータと、前記用紙位置検出手段が検出した用紙位置に基づいて前記ヘッド移動手段を駆動制御するヘッド移動制御手段とを備え、印字条件によりインクヘッド6の位置を用紙搬送方向の下流側又は上流側に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に係り、特に給紙装置から給紙された用紙を印字領域へと間欠に送り出す搬送手段と、印字領域に用紙を平坦に保つためのプラテンと、該プラテンの下方に配置され前記プラテン上の用紙を吸引する吸引機構と、前記プラテン上の用紙にインクを吐出して画像を形成するインクヘッドと、前記インクヘッドを搭載し用紙の搬送方向に直行する方向に移動するキャリッジと、を備えマルチパス印字を実行する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタ等の画像形成装置では同一の記録領域に対して複数回のインクヘッドの相対的走査で、分割した記録データを順次記録するマルチパス印字が採用されている。図12及び図13は従来のマルチパス印字の状態を示す模式図である。なお、本明細書ではインクヘッドが主走査方向に走査を行って印字することをパスといい、1度の走査で印字をすることを1パス印字と、n度走査してn回同じ場所に印字を行って画像を完成させる場合にはnパス印字という。また、1パスで印字される印字幅のことをバンドという。また、マルチパス印字の動作説明に使用する図において、用紙上の丸数字はその時点で何回画像を重ねているかを表しており、例えば、丸印に2と記載している場合は2回重ねて印字をしている範囲を示している。
【0003】
図12に示す例は、インクヘッド21で用紙22に印字を行うに際して、マルチパス数を4に設定し、このパス数4に対応してインクヘッド21の印字範囲をバンド21−1〜21−4に分割し、インクヘッド21の上流端のバンド21−1から印字を開始して、当該バンドでの印字(1パス)を行った後、1バンド分の幅の用紙送りを実行し、次の印字(2パス)を行い、これを順次繰り返すものである。これにより、各バンドで画像を複数回重ねて印字して、用紙の同一領を異なるノズルで複数回印字するようにしてノズル個々のばらつきによるスジやムラを低減する。
【0004】
また、図13に示す例は、プラテン上に用紙が載っている面積を広くし、用紙の吸引状態を良好にするため、印字開始時における用紙22の印字領域の先端位置を予めインクヘッドの下流側位置に配置して、初期印字時の用紙送り量を1バンド分の幅(本例では4mm)よりも小さくして(本例では1mm)印字を行い、用紙印字領域の先端位置がインクヘッド印字幅の下流端まで搬送された後、用紙の送り量を通常の1バンド分の幅(4mm)として用紙22を送るようにしたものである。この方法では、印字開始時の用紙先端位置が初期の用紙送り量とマルチパス数によって決まるため、最小送り量を小さくすれば、用紙の先端位置を下流まで搬送できる。このため、プラテン上に配置される吸引口のうち用紙が配置されずに開放状態となる吸引孔の数が少なくなり、用紙の吸引力が大きくなる。しかし、実際には制御や部品精度、用紙送り精度、搬送時間などの制約から最小送り量の下限量は決まってしまい、印字開始時に用紙がプラテンを覆う面積をその加減量以上に増やすことができなくなってしまう。
【0005】
また、特許文献1には、用紙を搬送する搬送手段と、プラテンへの用紙吸引を行う用紙吸引手段と、画像データを記憶する記憶手段と、記憶された画像データに基づいて、用紙の搬送方向とほぼ直交する方向に走査しながら用紙上に印字を行うインクヘッドと、パス数分に分割されたノズル領域単位にノズルマスクを行うノズルマスク手段と、前記ノズル領域単位に印字データに対して異なるマスクパターンのうちの選択されたマスクパターンでデータマスクを行うデータマスク手段と、を備え、印字開始時に用紙の先端部の少なくとも1バンドについてパス毎の用紙搬送を伴わない初期マルチパス印字処理を行った後、用紙搬送を伴う通常マルチパス印字処理を行う制御を行うことにより、用紙の先端位置を印字幅の下流端にまで用紙先端を搬送して用紙の搬送を行わずに初期のマルチパス印字を実施する画像形成装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、罫線を継ぎ目なしに記録することができ、装置を大型化することなく高速で記録できるようにするため、記録ヘッドのノズルからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置において、罫線など図形描画命令に対して記録制御を行う図形記録制御手段と、前記図形描画命令以外の描画命令に対してはビットマップ展開による記録制御を行うビットマップ記録制御手段と、を有し、前記それぞれの記録制御手段による描画命令を単独で記録制御するとともに、前記描画命令によりインクを吐出する記録ヘッドと、被記録媒体保持手段によって記録ヘッドのインク吐出面と対向する位置に保持された被記録媒体とを、交差する2方向に相対移動させるものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、マルチパス印字を実施しても使用するノズルを変更することがなく、ノズルのばらつきに起因するスジやムラをなくすというマルチパス印字の利点を発揮できない他、停止した用紙の同じ場所に同一ノズルからインクが吐出されるため高印字率の画像を印字する場合、用紙が膨潤しコックリングによる浮きが発生しやすいという問題がある。また、特許文献2に記載のものは、マルチパス印字を実行するものではないため、ノズルのばらつきに起因するスジやムラをなくすことができないという問題がある。
【0008】
インクジェットプリンタとして、印字部の用紙平面度を高精度に保つために吸引機構を用いて用紙を高精度なプラテン面に吸着、転写させるインクジェットプリンタものがあり、このようなインクジェットプリンタでは、用紙を吸着させるためのプラテン面の幅をインクヘッドの印字幅に合わせるようにしている。このため、マルチパス印字時にはインクヘッドの印字幅の下流端よりさらに上流側で用紙先端を固定する必要があり、通常印字時よりも用紙に作用する吸引力が小さくなり、先端部分の用紙に浮きが生じやすくなり、インクヘッドやキャリッジと用紙との接触が十分になされない場合がある。
【0009】
また、従来のマルチパス印字を行う画像形成装置では、印字開始時の用紙先端位置は初期の送り量とマルチパス数によって定まるため、初期の送り量を小さくすれば、印字開始時の用紙の先端位置を下流に設定でき、開放される吸引孔の数が少なくなり、用紙に付与される吸引力が増大することとなる。実際には制御や部品精度、用紙送り精度、搬送時間などの制約から初期送り量の最小値は決まってしまうが、決まった初期送り量と設定されたマルチパス数で、印字開始時の用紙先端位置が決まってしまうため、用紙がプラテンを覆う面積をそれ以上増やすことができなくなってしまい、最小送り量の制約によってプラテン上に最大限用紙が覆われている状態においても用紙浮きが生じてしまうという問題がある。
【0010】
さらに、カラーヘッドが黒ヘッドよりも小さいものとして設定され、黒ヘッドの上流側にオフセットして配置されているインクジェットプリンタではこの問題が顕著になり、このような構成のプリンタでカラー印字を実施するときには、用紙の先端位置がカラーヘッドの下流端に搬送されるため黒ヘッドのみの印字領域のプラテン上には用紙が配置されていないため、吸引孔が開放され、用紙に付与される吸引力が小さくなってしまい、カラーマルチパス印字を実施した場合は、上記方法を実施しても、用紙の浮き防止のために必要な吸引力が付与できないこととなる。
【0011】
そこで本発明は、マルチパス印字の効果を失わずにインクヘッドと用紙とのこすれを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0012】
請求項1の発明は、給紙装置から給紙された用紙を印字領域へと間欠に送り出す搬送手段と、印字領域に用紙を保つためのプラテンと、該プラテンの下方に配置され前記プラテン上の用紙を吸引する吸引機構と、前記プラテン上の用紙にインクを吐出して画像を形成するインクヘッドと、前記インクヘッドを搭載し用紙の搬送方向に直行する方向に移動するキャリッジと、を備えマルチパス印字を実行する画像形成装置において、前記用紙の位置情報を検出する用紙情報検出手段と、前記インクヘッドの位置を用紙の搬送方向の上流側及び下流側に移動可能ヘッド移動手段と、前記用紙検出手段からの情報を含む用紙の情報及び設定された印刷条件に基づいて前記ヘッド移動手段を駆動制御するヘッド移動制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記ヘッド移動制御手段は、印字開始時において、用紙先端を検知する前に前記インクヘッドを下流側に移動させておき、用紙先端検知後に印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、前記ヘッド移動制御手段は、入力された画像から算出された画像印字開始時の用紙先端位置が所定の位置よりも上流側の場合、前記インクヘッドを下流側に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形装置において、前記ヘッド移動制御手段は、マルチパス印字時でN回重ねて印字を行うに際して、前記インクヘッドの幅をLとしたとき、前記インクヘッドを下流側に移動して印字を開始して、印字開始時にはインクヘッドを(L−L/N)だけ下流側に移動させ、1パス印字するたびにインクヘッドを(L/N)ずつ上流側に移動し、この処理を(N−1)回繰り返し、前記インクヘッドがホームポジションに戻った後は用紙を(L/N)ずつ搬送して印字を行うよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形装置において、前記インクヘッドは黒印字を行う黒ヘッドと黒以外のカラー印字を行うカラーヘッドとを備え、前記黒ヘッドの印字幅寸法が前記カラーヘッドの印字幅寸法より大きいものであり、前記カラーヘッドを使用してカラー印字を実施するとき、前記ヘッド移動制御手段は、前記カラーヘッドのみを下流側に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ヘッド移動制御手段は、前記用紙の幅寸法が所定の幅以下の場合には前記インクヘッドを下流に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ヘッド移動制御手段は、前記インクヘッドを下流に移動させて印字を開始するかどうかを、入力された用紙種類データに基づいて判断することを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ヘッド移動制御手段は、前記用紙の後端の印字を行うとき、前記インクヘッドを上流側に移動させるよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る画像形成装置によれば、用紙の位置を検出する用紙位置検出手段と、インクヘッドの位置を用紙搬送方向に移動させるヘッド移動手段と、前記用紙位置検出手段が検出した用紙位置に基づいてヘッド移動手段を駆動制御するヘッド移動制御手段とを備えるようにしたので、印字開始時の用紙先端の位置を通常のマルチパス印字よりも下流側又は下流側に配置して印字を行うことができ、マルチパス印字の効果を発揮しつつインクヘッドと用紙とのこすれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】インクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す模式図である。
【図3】インクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す模式図である。
【図4】画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図5A】実施例に係る画像形成装置の動作を示すブロック図である。
【図5B】実施例に係る画像形成装置の動作を示すブロック図である。
【図6】画像形成装置のマルチパス印字動作を示す説明図である。
【図7】第2の実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図8A】第2の実施例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図8B】第2の実施例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施例に係る画像形成装置におけるインクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す模式図である。
【図10】第3の実施例に係る画像形成装置のインクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す模式図である。
【図11】第4の実施例に係る画像形成装置のインクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す画像形成装置の模式図である。
【図12】従来の画像形成装置のマルチパス印字の状態を示す模式図である。
【図13】従来の画像形成装置のマルチパス印字の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る画像形成装置は、給紙装置から給紙された用紙を印字領域へと間欠に送り出す搬送手段と、印字領域に用紙を保つためのプラテンと、該プラテンの下方に配置され前記プラテン上の用紙を吸引する吸引機構と、前記プラテン上の用紙にインクを吐出して画像を形成するインクヘッドと、前記インクヘッドを搭載し用紙の搬送方向に直行する方向に移動するキャリッジと、を備えマルチパス印字を実行する画像形成装置において、前記用紙の位置情報を検出する用紙情報検出手段と、前記ヘッドの位置を用紙の搬送方向の上流側及び下流側に移動可能ヘッド移動手段と、前記用紙検出手段からの情報を含む用紙の情報及び設定された印刷条件に基づいて前記ヘッド移動手段を駆動制御するヘッド移動制御手段と、を備えるものである。本例に係る画像形成装置によれば、ヘッド移動制御手段の制御の制御によりヘッド移動手段でインクヘッドを移動させ、印字開始時の用紙先端の位置を通常のマルチパス印字よりも下流側にすることができるので、用紙とインクヘッドとのこすれを防止できるほか、その後にインクヘッドを上流側に移動してキャリッジのヨーイングを防ぐことができ、使用するノズルを変更することによるマルチパス印字の効果も発揮する。
【0023】
また、本発明に係る画像形成装置の前記ヘッド移動制御手段は、印字開始時において、用紙先端を検知する前に前記インクヘッドを下流側に移動させておき、用紙先端検知後に印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御するものとできる。本例によれば、用紙の先端検知の際、インクヘッドを下流側に移動させるので、用紙の先端検知を行うときインクヘッドと用紙が離れ、インクヘッドが用紙にこすれることがない。
【0024】
また、本発明に係る画像形成装置の前記ヘッド移動制御手段は、入力された画像から算出された画像印字開始時の用紙先端位置が所定の位置よりも上流側の場合、前記インクヘッドを下流側に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御するものとできる。本例によれば、用紙が十分にプラテン上に乗っている場合は吸引力を十分付与することができるので通常の印字を行う際インクヘッドの移動を必要最小限とすることができる。
【0025】
また、本発明に係る画像形成装置の前記ヘッド移動制御手段は、マルチパス印字時でN回重ねて印字を行うに際して、前記インクヘッドの幅をLとしたとき、前記インクヘッドを下流側に移動して印字を開始して、印字開始時にはインクヘッドを(L−L/N)だけ下流側に移動させ、1パス印字するたびにインクヘッドを(L/N)ずつ上流側に移動し、この処理を(N−1)回繰り返し、前記インクヘッドがホームポジションに戻った後は用紙を(L/N)ずつ搬送して印字を行うよう前記ヘッド移動手段を制御するものとできる。本例によれば、用紙サイズに合わせた吸引力にて吸引しながら用紙を送ることでキャリッジと用紙が接触することなく高精度に用紙先端を検知することができ、これにより先端部の画像のマスク領域を減らすことができる。
【0026】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記インクヘッドは黒印字を行う黒ヘッドと黒以外のカラー印字を行うカラーヘッドとを備え、前記黒ヘッドの印字幅寸法が前記カラーヘッドの印字幅寸法より大きいものであり、前記カラーヘッドを使用してカラー印字を実施するとき、前記ヘッド移動制御手段は、前記カラーヘッドのみを下流側に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御するものとできる。本例によれば、カラーヘッドが上流側にオフセットしている場合でも下流側に移動させることでマルチパス印字開始時の用紙先端位置をなるべく下流側にすることで、プラテンへの吸着力を十分にすることができ用紙浮きを防止することができる。
【0027】
また、本発明に係る画像形成装置の前記ヘッド移動制御手段は、前記用紙の幅寸法が所定の幅以下の場合には前記インクヘッドを下流に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御するものとできる。本例によれば、小サイズ時の場合に用紙の吸引力が低くなり浮きが発生しやすいため、プラテンの搬送方向に用紙が十分載っている状態で印字を開始することでインクヘッドとのこすれの可能性が低くなる。
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置の前記ヘッド移動制御手段は、前記インクヘッドを下流に移動させて印字を開始するかどうかを、入力された用紙種類データに基づいて判断するものとできる。本例によれば、用紙のコシが強く浮きが発生しやすい厚紙に印字を行う場合、プラテンの搬送方向に用紙が十分載っている状態で印字を開始することができ、インクヘッドと用紙のこすれを防止できる。
【0029】
また、本発明に係る画像形成装置の前記ヘッド移動制御手段は、前記用紙の後端の印字を行うとき、前記インクヘッドを上流側に移動させるよう前記ヘッド移動手段を制御するものとできる。本例によれば、通常の印字はプラテンに用紙が十分に載っている状態にて印字を行うためにレジストローラとインクヘッドは離してレイアウトしている方が用紙に与える吸着力が大きくなり用紙浮きが生じにくい。しかし後端余白を最小化するためにはレジストローラとインクヘッドが近づいているのが望ましいため後端の印字を行う際にはインクヘッドを上流側のレジストローラに近づけて印字を行うことで浮きを防止して後端余白を最小化することができる。
【実施例】
【0030】
以下実施例に係る画像形成装置について説明する。図1は実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図、図2はインクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す模式図、図3はインクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す模式図である。
【0031】
実施例に係る画像形成装置10はインクジェットプリンタであり、図示しない給紙装置から搬送されてきた用紙を副走査方向に搬送する搬送手段であるレジストローラ1と、前記レジストローラ1に当接して用紙を搬送する搬送手段であるレジスト加圧ローラ2と、吸引機構である吸引ファン5及びこの吸引ファン5で負圧に保持されるチャンバー3と、前記チャンバー3に連通する複数の吸引口が開設され用紙を吸引するプラテン4と、前記プラテン4の上部にプラテン4に対向して配置され、インクを用紙に吐出するインクヘッド6と、前記インクヘッド6が保持されるキャリッジ7と、前記キャリッジ7を紙幅方向即ち主走査方向に往復動できるよう案内するガイドロッド8と、ガイドロッド8を支持する主走査ステー9とを備えている。なお、キャリッジ7には図示していない用紙先端や用紙の幅を検知するための光学式センサーが搭載されている。また、吸引ファン5は様々な用紙サイズ・種類に対応するためにPWM制御されており、PWM信号のDuty値を変化させることでプラテン4上に用紙を密着させる吸引力を変化させている。
【0032】
このような画像形成装置10において、図示していない給紙装置から用紙がレジストローラ1に搬送されると、用紙は、レジストローラ1とレジスト加圧ローラ2の間に搬送され、プラテン4上に搬送される。プラテン4上に搬送された用紙は前記チャンバー3により吸引されてプラテン4に密着し平面度が維持され、主走査方向に搬送されるインクヘッド6からインクが吐出されつつ、キャリッジ7によりガイドロッド8に沿って用紙の幅方向に往復し、インクをプラテン4上の用紙に向かって吐出することで用紙に画像を形成されつつレジストローラ1で副走査方向に搬送され印字が実行される。
【0033】
この画像形成装置10では、図3に示すように、インクヘッド6を搭載したキャリッジ7及びキャリッジ7を保持するガイドロッド8、主走査ステー9はヘッド移動手段であるヘッド移動モータ12より駆動され、用紙搬送方向の下流側、上流側に自在に移動できるようにしている。このヘッド移動モータ12は、この移動量はエンコーダ14(図5参照、図3には示していない)でモニターされておりヘッド移動制御手段13(図5参照)で高精度に制御されている。本実施例では最も上流側にインクヘッド6が配置された状態が通常の印字に使用するヘッド位置になっており、この位置のことをホームポジションと称する。
【0034】
次に画像形成装置10の制御について説明する。図4は画像形成装置の制御系を示すブロック図である。前記ヘッド移動モータ12は、ヘッド移動制御手段13で駆動制御されており、前記ヘッド移動制御手段13には前記エンコーダ14及び用紙の位置を検出する用紙センサー11が接続されている。ヘッド移動制御手段13は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータで所定のソフトウエアを実行することにより所定の制御をなす。
【0035】
次に実施例に係る画像形成装置10の動作について説明する。図5A及び図5Bは実施例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。ユーザーから印字開始の指示があると(ステップSA1)、ヘッド移動モータ12を駆動させることでインクヘッド6及び、キャリッジ7、ガイドロッド8、主走査ステー9を下流側に移動させ(ステップSA2)、キャリッジ7をプラテン4上に移動させる。次いで吸引ファン5を作動して用紙サイズ、種類に合わせた条件で吸引動作を開始し(ステップSA3)、さらに用紙を搬送してキャリッジ上の用紙センサー11で用紙先端を検知して(ステップSA4)、用紙を印字開始位置に搬送する(ステップSA5)。そして、ユーザーから入力された、用紙種類、印字品質に基づいて印字方法を決定する(ステップSA6)。
【0036】
決定した印字方法が通常の1パス印字であった場合(ステップSA7)でない場合にはヘッド移動モータ12を駆動してインクヘッド6を前記ホームポジションに戻し(ステップSA8)、1パス印刷を実行する(ステップSA9)。
【0037】
マルチパス印字の場合には、ユーザーから入力された印字画像から決定された先端余白の量が所定の量を超えているか否かを判断し(ステップSA10)、所定の量以上の先端余白が確保されている場合には上記同様に、用紙を印字開始位置へと搬送し、インクヘッド6をホームポジションに戻して(ステップSA11)、マルチパス印字を実施する(ステップSA12)。この際の所定の量とは、ホームポジションにインクヘッド6が配置されているとき、通常のマルチパス印字は、図12に示すように、マルチパス印字を開始する位置がインクヘッド6の下流端に近いため、その位置でも十分に用紙の浮きが生じない用紙先端位置になる先端余白量である。
【0038】
インクヘッド6の印字幅が16mm、マルチパス数が4回の場合(図12に示した例)、プラテン4の搬送方向の幅は印字幅に対応してほぼ16mmとすると、印字開始位置はヘッドの上流端から4mmの位置となる。その際に浮きが生じないためにはプラテン4のほぼ下流端まで送っている必要があるため、所定の先端余白は12mmとなる。この数値は機械特有のものであるため、実際にはプラテン4の搬送方向の幅がインクヘッド6の印字幅よりも大きい場合もあり、用紙浮きの生じないような値を設定する必要がある。
【0039】
そして、先端余白が所定の量よりも小さい場合(ステップSA10のno)には、インクヘッド6を移動させながらマルチパス印字を実施する(ステップSA13)。その後、インクヘッド6を上流に移動させながらマルチパス印字を実施し(ステップSA13)、インクヘッド6がホームポジションに戻ったら(ステップSA15)、通常のマルチパス印字を実行する。
【0040】
一方余白が十分な場合(ステップSA10のyes)には、インクヘッド6をホームポジション戻(ステップSA16)、用紙を搬送しながら通常のマルチパス印字を実行する(ステップSA17)
【0041】
本例では、マルチパス印字時でN回重ねて印字を行うに際して、前記インクヘッドの幅をLとしたとき、前記インクヘッドを下流側に移動して印字を開始して、印字開始時にはインクヘッドを(L−L/N)だけ下流側に移動させ、1パス印字するたびにインクヘッドを(L/N)ずつ上流側に移動し、この処理を(N−1)回繰り返し、前記インクヘッドがホームポジションに戻った後は用紙を(L/N)ずつ搬送して印字を行う
【0042】
これをインクヘッド6の印字幅が16mm、マルチパス数が4回の場合の具体例について説明する。図6は画像形成装置のマルチパス印字動作を示す説明図である。以下の図において、網掛け部は使用するノズルの範囲を示しており、用紙上の丸数字はその時点で何回画像を重ねているかを表している。画像の印字開始位置を、インクヘッド6がホームポジションにいる場合の印字幅下流端になるように用紙を移動させる。また、ヘッド移動モータ12を駆動させてインクヘッド6の印字幅の下流端が画像開始位置の4mm上流側になるようにインクヘッド6を移動させて、印字幅の下流側4mmのノズルを使用して印字を開始する。1パス目の印字が終了したらインクヘッド6を4mm上流側に移動させて、印字幅下流側8mmのノズルを使用して2パス目の印字を行い、さらに4mm上流に移動して同様に印字幅下流側12mmのノズルを使用して3パス目の印字を行う。さらに4mm上流側に移動させることでインクヘッド6はホームポジションの位置に戻ることになり、印字幅全域のノズルを使用して4パス目の印字を行う。
【0043】
4パス印字にて画像が完成するマルチパス印字であるので画像開始位置から4mmの範囲の画像は完成している。これ以降は通常のマルチパス印字と同様に用紙を4mm搬送させて印字を行い、1パス毎に4mm幅の画像を完成させていく。このような方法を実施することでプラテン4上に用紙が十分載っていない状態でインクヘッド6の下に用紙が搬送されることを回避することができ、吸引力不足による用紙の浮きに起因したインクヘッド6と用紙のこすれを防止することができる。また、マルチパス印字の特徴である、印字する全ての領域において使用するノズルを変更して重ねて印字することになり、スジやムラなどを抑えた高品位な画像を得ることができる。
【0044】
次に第2の実施例に係る画像形成装置について説明する。本例に係る画像形成装置30は、前記第1の実施例の画像形成装置と同様に、レジストローラ1、レジスト加圧ローラ2、チャンバー3、プラテン4、吸引ファン5、インクヘッド6、キャリッジ7、ガイドロッド8、主走査ステー9を備える。また、本例では、対応用紙は最大914mmのものに対応できるようにレジストローラ1やプラテン4などの長さを設定している。
【0045】
図7は第2の実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す模式図である。画像形成装置30において、キャリッジ7内にはインクヘッド6が配置されている。本例においてインクヘッド6は、黒ヘッド6−1及びカラーヘッドであるシアンヘッド6−2、マゼンタヘッド6−3、イエローヘッド6−4を備えており、前記黒ヘッド6−1はカラーヘッドよりも長い用紙搬送方向の寸法を備え、前記シアンヘッド6−2、マゼンタヘッド6−3、イエローヘッド6−4は、搬送方向上流側に用紙搬送方向に沿って一体として移動できるように構成されている。また、キャリッジ7には、前記シアンヘッド6−2、マゼンタヘッド6−3、イエローヘッド6−4を一体として移動させるヘッド移動手段であるヘッド移動モータ12が配置されており、前記シアンヘッド6−2、マゼンタヘッド6−3、イエローヘッド6−4はヘッド移動モータ12で黒ヘッド6−1の上流端位置から下流端位置まで移動できるようになっている。ヘッド移動モータ12は、第1の実施例に係る画像形成装置10と同様に、ヘッドの位置を検出するエンコーダ14、用紙センサー11の出力に基づいてヘッド移動制御手段13によって精密に駆動制御されている(図4参照)。また、キャリッジ7には、用紙の先端及び幅検知に使用する用紙センサー11がインクヘッド6と幅方向に重ならないように配置されている。
【0046】
次に第2の実施例に係る画像形成装置30の動作について説明する。図8A及び図8Bは第2の実施例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャートである。印字指示があると(ステップSB1)、キャリッジ7を用紙先端検知位置に移動させ、用紙を搬送して用紙センサー11で用紙を検知したら用紙の搬送を停止する(ステップSB2)。次いで吸引ファン5を作動して用紙サイズ、種類に合わせた条件で吸引動作を開始し(ステップSB3)、さらに用紙を搬送してキャリッジ上の用紙センサー11で用紙先端を検知して(ステップSB4)、用紙を印字開始位置に搬送する(ステップSB5)。そして、ユーザーから入力された、用紙種類、印字品質に基づいて印字方法を決定する(ステップSB6)。
【0047】
用紙の種類、印字モードに応じて、モノクロ印字や1パス印字が選択された場合(ステップSB7)、用紙を印字開始位置に搬送し、キャリッジ7を主走査方向に移動させて印字を行う(ステップSB8)。
【0048】
ステップSB9でカラーのマルチパス印字が選択された場合には、ユーザーから入力された用紙種類と、イニシャル動作にて検知していた用紙幅からカラーヘッドを下流側に移動させるかを判断する(ステップSB9)。ここでは、例えば普通紙などの用紙浮きの生じにくい用紙では用紙幅が420mm以上の場合にはインクヘッドを移動させずに印字を開始し、インクジェット用コート紙などのコシが強く浮きが生じやすい用紙では、610mm以上の場合にはインクヘッドを移動させずに印字を開始する(ステップSB16)。
【0049】
次いで、ユーザーから入力された画像から、用紙先端から印字を開始する位置までの余白を計算する。上記の条件に当てはまらず、インクヘッドを移動させずに印字を開始する用紙種類及びサイズ以外が選択された場合には、実施例1と同様にその余白が所定量以上であるかでインクヘッドを移動させるかの判断を行う(ステップSB10)。例えば420mm幅のインクジェット用コート紙への印字を選択された場合に、入力された画像から得られる余白が所定量以下であった場合には、インクヘッドを下流側に移動させてから用紙を印字開始位置へと移動して印字処理を実行する(ステップSB11〜ステップSB15)。
【0050】
上述の印字処理について説明する。図9は第2の実施例に係る画像形成装置におけるインクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す模式図である。この例では、黒ヘッド6−1の幅は25mm、シアンヘッド6−2、マゼンタヘッド6−3、イエローヘッド6−4の幅は16mmで4回重ねて印字を行う4パス印字を行う。本例では、インクヘッドの最小移動量を制御や部品精度から1mmとし、画像開始位置が黒ヘッド6−1の下流端から3mmになるように用紙を搬送し、ヘッド移動モータ12を駆動させての下流端が黒ヘッドの下流端と揃うように9mm下流側へと移動させてから、キャリッジ7を主走査方向に走査して印字を開始する。
【0051】
1パス目の印字を終了したら、カラーヘッド6−2〜6−4を1mm下流側に移動させて、2パス目の印字を開始する。同様に3パス目、4パス目もカラーヘッド6−2〜4を下流に1mm移動させて印字を行う。この時点で用紙上の画像開始位置から4mm部分の画像は完成しており、用紙がプラテン4上全てを覆っていないため、用紙を下流に4mm搬送して5パス目の印字を実施する。カラーヘッド6−2〜4がホームポジションには戻っていないのでヘッドを上流に4mm移動させて6パス目の印字を行う。
【0052】
さらにカラーヘッド6−2〜6−4を2mm下流に移動させ、さらに印字位置を合わせるために用紙を下流に2mm搬送して7パス目の印字を行う。これ以降は用紙のみを4mm下流に搬送して印字を行い、カラーヘッド6−2〜4の移動は行わずに印字を実施して画像を完成させる。このように印字を実施することで、浮きが生じやすい条件にて用紙先端をできるだけ下流側に搬送した状態にて印字を開始することでプラテン4を通じて用紙に与えられる吸着力を高めることが可能になり、用紙浮きによるヘッド6とのこすれやジャム、異常画像を防ぐことができる。
【0053】
次に第3の実施例に係る画像形成装置について説明する。図10は第3の実施例に係る画像形成装置のインクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す模式図である。第3の実施例に係る画像形成装置は、第2の実施例に係る画像形成装置と同様の構成を備える。そして、図10に示すように、黒ヘッド6−1の幅は25mm、の幅は16mmで4回重ねて印字を行う4パス印字を行う。また、インクヘッドの最小移動量は1mm、用紙の最小送り量も1mmであり、画像開始位置も黒ヘッド6−1の下流端から3mmの位置、カラーヘッド6−2〜4の下流端が黒ヘッド6−1の下流端に揃っている条件とする。この例では、1パス目の印字後に、用紙を最小送り量の1mm搬送させて、2パス目の印字を行う。同様に3パス目、4パス目も用紙を1mmずつ搬送させて印字を行う。さらに印字を続けながらカラーヘッド6−2〜4をホームポジションへと戻すために、上流側へ4mm移動させてから5パス目の印字を行い、同様に6パス目の印字もカラーヘッド6−2〜4を上流側にさらに4mm移動させてから印字を行う。この時点でホームポジションまで1mmであるので、カラーヘッド6−2〜4を1mm上流側に移動して、さらに用紙を3mm下流に搬送することで画像位置を合わせて7パス目の印字を行う。8パス目以降の印字はカラーヘッド6−2〜4は移動させずに、用紙を下流側に4mmずつ搬送して印字を行う。
【0054】
次に第4の実施例に係る画像形成装置について説明する。図11は第4の実施例に係る画像形成装置のインクヘッドの動きと用紙の搬送状態とを示す画像形成装置の模式図である。この画像形成装置40は、第1の実施例に係る画像形成装置10と同様に、レジストローラ1、レジスト加圧ローラ2を備え、用紙をプラテン4上へと搬送する。プラテン4の下にはチャンバー3、吸引ファン5が配置され、プラテン4の上にはキャリッジ7が主走査ステー9、及びガイドロッド8に沿って移動可能に配置されている。キャリッジ7内にはプラテン4上に固定された用紙にインクを吐出するためのインクヘッド6が搭載されている。本例では、主走査ステー9が図示されていないモータによって用紙の搬送方向に移動可能となっている。
【0055】
レジストローラ1から搬送された用紙がプラテン上で印字される際にはインクヘッド6は下流側の位置にて印字を開始する。このとき、プラテン4上に用紙の載置される面積が大きいためインクヘッドが下流側に配置されていることで用紙浮きによるインクヘッドと用紙のこすれを防ぐことができる。そして、本例に係る画像形成装置40では、用紙後端の印字を行う際には図11に2点鎖線で示す位置へと主走査ステー9、インクヘッド6などを移動させる。これはレジストローラ1及びレジスト加圧ローラ2にて形成されるニップから後端が抜けてしまうと用紙の搬送を行うことができないため、これを防止するである。この問題を解決するにはプラテン下流側に搬送ローラと拍車を追加する必要があるが、コストアップ要因となり、印字後の画像に拍車跡がつき異常画像となる可能性があり、ジャムの危険性も高まる。そのため本実施例ではインクヘッド6を上流側へと移動させることでレジストローラ1とレジスト加圧ローラのニップとの距離を縮めることになり、用紙後端における画像が形成されない後端余白を最小化することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 レジストローラ(搬送手段)
2 レジスト加圧ローラ(搬送手段)
3 チャンバー(吸引機構)
4 プラテン
5 吸引ファン(吸引機構)
6 インクヘッド
7 キャリッジ
8 ガイドロッド
9 主走査ステー
10 画像形成装置
11 用紙センサー(用紙検出手段)
12 ヘッド移動モータ(ヘッド移動手段)
13 ヘッド移動制御手段
14 エンコーダ
30 画像形成装置
40 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特許第3987759号公報
【特許文献2】特開2001−121689公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙装置から給紙された用紙を印字領域へと間欠に送り出す搬送手段と、印字領域に用紙を保つためのプラテンと、該プラテンの下方に配置され前記プラテン上の用紙を吸引する吸引機構と、前記プラテン上の用紙にインクを吐出して画像を形成するインクヘッドと、前記インクヘッドを搭載し用紙の搬送方向に直行する方向に移動するキャリッジと、を備えマルチパス印字を実行する画像形成装置において、
前記用紙の位置情報を検出する用紙情報検出手段と、
前記インクヘッドの位置を用紙の搬送方向の上流側及び下流側に移動可能ヘッド移動手段と、
前記用紙検出手段からの情報を含む用紙の情報及び設定された印刷条件に基づいて前記インクヘッド移動手段を駆動制御するヘッド移動制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置
【請求項2】
前記ヘッド移動制御手段は、印字開始時において、用紙先端を検知する前に前記インクヘッドを下流側に移動させておき、用紙先端検知後に印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ヘッド移動制御手段は、入力された画像から算出された画像印字開始時の用紙先端位置が所定の位置よりも上流側の場合、前記インクヘッドを下流側に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ヘッド移動制御手段は、マルチパス印字時でN回重ねて印字を行うに際して、前記インクヘッドの幅をLとしたとき、印字開始時には前記インクヘッドを(L−L/N)だけ下流側に移動させ、1パス印字するたびにインクヘッドを(L/N)ずつ上流側に移動し、この処理を(N−1)回繰り返し、前記インクヘッドがホームポジションに戻った後は用紙を(L/N)ずつ搬送して印字を行うよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形装置。
【請求項5】
前記インクヘッドは黒印字を行う黒ヘッドと黒以外のカラー印字を行うカラーヘッドとを備え、前記黒ヘッドの印字幅寸法が前記カラーヘッドの印字幅寸法より大きいものであり、前記カラーヘッドを使用してカラー印字を実施するとき、前記ヘッド移動制御手段は、前記カラーヘッドのみを下流側に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像形装置。
【請求項6】
前記ヘッド移動制御手段は、前記用紙の幅寸法が所定の幅以下の場合には前記インクヘッドを下流に移動させて印字を開始するよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ヘッド移動制御手段は、前記インクヘッドを下流に移動させて印字を開始するかどうかを、入力された用紙種類データに基づいて判断することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ヘッド移動制御手段は、前記用紙の後端の印字を行うとき、前記インクヘッドを上流側に移動させるよう前記ヘッド移動手段を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−152765(P2011−152765A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17305(P2010−17305)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】