説明

画像形成装置

【課題】装置の大型化および用紙搬送不良の発生を防止しつつ、定着処理後の用紙を効果的に冷却することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、用紙搬送路16、定着装置22、搬送ローラ26、上側用紙ガイド60、下側用紙ガイド62、および冷却ファン40を備える。搬送ローラ26は、用紙搬送路における加熱処理部の下流に配置されており、加熱処理部を通過した用紙を排紙トレイの方に搬送するように構成される。上側用紙ガイド60は、搬送ローラ26の配置位置に対応する位置に、冷却ファン40からの冷却風を通過させるように構成された通風部604が設けられる。下側用紙ガイド62は、上側用紙ガイド60の通風部604に対向する位置に、冷却ファン40からの冷却風を通過させるように構成された通風部624が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成処理がされた用紙を順次的に排紙トレイに排出するように構成された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置において、排紙トレイ上に積載した用紙の隣り合った面がトナーによって接着されてしまう現象が発生することがあった。このような現象は、例えば、スティッキング現象と呼ばれるものであり、定着処理後の用紙を十分に冷却することなく排紙トレイに排出するときに、高温で溶融状態のトナーの存在が原因で発生するものと考えられている。特に、両面印刷や高速印刷を実行する場合や、低融点トナーを使用して印刷を行う場合に、このスティッキング現象が発生し易いと言われている。
【0003】
このようなスティッキング現象の発生を抑制する手段の1つとして、定着装置から排紙トレイまでの搬送路長が長くなるように装置を設計することが挙げられる。ところが、このような設計を行った場合には、装置の大型化を招来するという問題がある。
【0004】
そこで、従来技術の中には、定着装置を通過した用紙に対して、冷却ファンを用いて風を当てることによって、用紙を冷却するように試みる技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−106668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に係る技術では、ローラによって十分に支持されていない状態の用紙に向って風を当てる構成を採用しているため、冷却ファンからの風によって用紙搬送不良(用紙の捲かれ、用紙の折れ、ジャム等)が発生する虞がある。
【0007】
また、用紙搬送路に導入された風の逃げ場がないため、用紙搬送路に導入された風が用紙ガイドに当たって用紙搬送路を逆流することがある。このため、連続的に冷却ファンから風を発生させていると、用紙搬送路を逆流する風によって次に搬送される用紙の用紙搬送不良(用紙の捲かれ、用紙の折れ、ジャム等)が発生することがある。
【0008】
一方で、用紙が通過している時のみに冷却ファンを動作させるように冷却ファンのオンオフ切換を行うと、用紙搬送不良の発生を抑制することが可能になる反面で、冷却ファンの動作の制御が複雑化して煩わしいという問題がある。
【0009】
この発明の目的は、装置の大型化および用紙搬送不良の発生を防止しつつ、定着処理後の用紙を効果的に冷却することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る画像形成装置は、画像形成処理がされた用紙を順次的に排紙トレイに排出するように構成される。この画像形成装置は、用紙搬送路、加熱処理部、一対の搬送ローラ、内側用紙ガイド、および冷却装置を備える。
【0011】
用紙搬送路は、給紙トレイから排紙トレイの間に形成される。加熱処理部は、用紙搬送路に沿って搬送される用紙に対して加熱処理を行うように構成される。加熱処理部の例としては、未定着のトナー像を熱と圧力によって用紙に定着させるための定着装置や、用紙を乾燥させるために加熱する乾燥装置が挙げられる。
【0012】
一対の搬送ローラは、用紙搬送路における加熱処理部の下流に配置されており、加熱処理部を通過した用紙を排紙トレイの方に搬送するように構成される。外側用紙ガイドおよび内側用紙ガイドは、用紙搬送路における加熱処理部の下流部分を画定するように構成される。外側用紙ガイドは、画像形成装置の内部において外側に位置する用紙ガイド(例えば、上側用紙ガイド)である。内側用紙ガイドは、画像形成装置の内部において内側に位置する用紙ガイド(例えば、下側ガイド)である。
【0013】
冷却装置は、外側用紙ガイドおよび内側用紙ガイドの間を搬送される用紙を冷却風によって冷却するように構成される。冷却装置の例としては、冷却ファンが挙げられる。
【0014】
さらに、外側用紙ガイドは、搬送ローラの配置位置に対応する位置に、冷却装置からの冷却風を通過させるように構成された通風部が設けられる。また、内側用紙ガイドは、外側用紙ガイドの通風部に対向する位置に、冷却装置からの冷却風を通過させるように構成された通風部が設けられる。
【0015】
この構成においては、加熱処理部を通過した用紙が排紙トレイに到達するまでの間に、冷却装置からの冷却風によって冷やされる。また、用紙が搬送ローラに挟まれて安定している時に、用紙に冷却風を当てるように構成されるため、冷却風の吹付けによって用紙の搬送に支障来たすことが起こりにくい。また、外側用紙ガイドおよび内側用紙ガイドにそれぞれ通風部を設けているため、用紙搬送路内に導入された冷却風が用紙搬送路を逆流して用紙の搬送に支障を来たすことが抑制される。
【0016】
通常、用紙が搬送ローラによって搬送されていないときにも冷却装置を動作させている場合には、用紙搬送路に案内された冷却風が用紙搬送路を逆流し、その結果、次に用紙が搬送されてきたときに用紙の搬送不良(用紙の捲かれ、用紙の折れ、ジャム等)が発生することがあるが、上記構成を採用することによってこのような問題が解消される。
【発明の効果】
【0017】
装置の大型化および用紙搬送不良の発生を防止しつつ、定着処理後の用紙を効果的に冷却することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略を示す図である。
【図2】用紙搬送路における定着装置の下流側の構成例を示す図である。
【図3】用紙搬送路における搬送ローラの近傍の構成例を示す図である。
【図4】用紙搬送路における搬送ローラの近傍の他の構成例を示す図である。
【図5】用紙搬送路における定着装置の下流側の他の構成例を示す図である。
【図6】用紙搬送路における定着装置の下流側の他の構成例を示す図である。
【図7】用紙搬送路における定着装置の下流側の他の構成例を示す図である。
【図8】用紙搬送路における定着装置の下流側の他の構成例を示す図である。
【図9】用紙搬送路における定着装置の下流側の他の構成例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る画像形成装置の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を用いて、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略を説明する。同図に示すように、画像形成装置10は、画像形成される用紙を収容する給紙トレイ12が下部に配設される。一方で、画像形成されて装置外部に排出された用紙を収容する排紙トレイ14が上部に配設される。給紙トレイ12から排紙トレイ14までの間には上下方向に延びる用紙搬送路16が形成される。給紙トレイ12は、収容されている用紙を一枚ずつ用紙搬送路16に送り出すためのピックアップローラ122を備えている。
【0020】
用紙搬送路16の近傍には感光体ドラム18が配設される。感光体ドラム18は、用紙搬送路16を搬送される用紙に転写すべき像を担持するための像担持体である。感光体ドラム18の周囲には、帯電装置182、光走査ユニット184、現像ユニット185、転写装置186、クリーニングユニット187、および除電ランプ188が配設される。帯電装置182は、感光体ドラム18の表面を均一に帯電させる。光走査ユニット184は、均一に帯電された感光体ドラム18上に光像を走査して静電潜像を書き込む。なお、光走査ユニット184の上方には、画像形成処理を制御する回路基板および外部機器からの画像データを受け入れるインタフェース基板を含む制御部50が配置されている。一方、光走査ユニット184の下方には、画像形成装置10における上述の各部に電力を供給する電源装置52が配置されている。
【0021】
現像ユニット185は、感光体ドラム18の表面に形成された静電潜像に対して現像剤供給容器内の現像剤を供給して現像剤像を形成する。転写装置186は、感光体ドラム18表面に形成された現像剤像を用紙搬送路16上の用紙に転写する。ここでは、転写ベルトを有する転写装置186の例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、転写ローラを有する転写装置を用いることも可能である。
【0022】
クリーニングユニット187は、感光体ドラム18上に新たな像を形成するために感光体ドラム18の表面に残留した現像剤を除去する。除電ランプ188は、感光体ドラム18表面の電荷を除去する。
【0023】
用紙搬送路16における感光体ドラム18の上流側にはレジストローラ20が配設される。レジストローラ20は、感光体ドラム18と転写装置186との間に形成される画像形成位置(転写位置)に用紙を案内するタイミングを調整する。
【0024】
用紙搬送路16における感光体ドラム18の下流側には定着装置22が配設される。定着装置22は、用紙搬送路16を挟んだ両側に配置される定着ローラ222および加圧ローラ224を備えている。定着装置22は、定着ローラ222と加圧ローラ224からの熱と圧力により用紙搬送路16を搬送される用紙の画像形成面に転写された未定着の現像剤像を用紙に定着させる。
【0025】
定着ローラ222の用紙搬送方向の下流側には、定着後ローラ24、フラッパ30、搬送ローラ26、および排紙ローラ28が配設されている。定着後ローラ24は、定着装置22を通過した用紙をさらに用紙搬送路16の下流側に搬送する。フラッパ30は、定着後ローラ24によって搬送される用紙が当たることにより持ち上がるように構成されるとともに、搬送ローラ26によって逆方向に搬送される用紙を図示しない後処理装置またはスイッチバック搬送路等に案内するように構成される。
【0026】
画像形成装置10の筐体102における上面には、開口部104が形成されている。筐体102における開口部104の近傍には、開口部104を介して排紙前の用紙に対して冷却風を送る冷却ファン40が設けられる。
【0027】
続いて、図2を用いて、用紙搬送路16における定着装置22の下流側の構成を説明する。同図に示すように、用紙搬送路16における定着装置22の下流側の部分は、上側用紙ガイド60および下側用紙ガイド62によって画定される。
【0028】
上側用紙ガイド60における開口部104に対応する位置には、冷却ファン40からの風を用紙搬送路16に導入するための通風部604が設けられている。一方、冷却ファン40には、上側用紙ガイド60の通風部604の近傍まで延びるように構成された吹付けダクト42が設けられている。さらに、下側用紙ガイド62における通風部604に対向する位置には、冷却ファン40からの風を用紙搬送路16の下方に逃がすための通風部624が設けられている。通風部604および通風部624は、例えば、上側用紙ガイド60および下側用紙ガイド62にそれぞれメッシュ状の箇所を設けたり、小さな孔を多数設けたり、または複数のスリットを設けたりすることによって構成すると良いが、これらの構成に限定されるものではない。
【0029】
続いて、図3を用いて、用紙搬送路16における搬送ローラ26の近傍の構成を説明する。同図に示すように、搬送ローラ26は、上側に配置される駆動ローラ262および下側に配置される従動ローラ264によって構成される。
【0030】
上側用紙ガイド60の通風部604および下側用紙ガイド62の通風部624は、冷却ファン40の吹付けダクト42からの空気が当たる幅中に配置される。また、ここでは、冷却ファン40の吹付けダクト42からの空気が当たる幅中に駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインが配置されている。ここで、ニップラインとは、駆動ローラ262および従動ローラ264のニップ部を軸方向に延長して描かれる仮想的な線を意味する。
【0031】
画像形成装置10では、図3に示すような構成を採用することによって、冷却ファン40からの冷却風によって、定着装置22を通過した用紙が排紙トレイ14に到達するまでの間に冷却される。このため、排紙トレイ14に排出される時には、用紙上のトナーが冷やされて固着するため、スティッキング現象等の発生を防止することが可能になる。さらに、用紙が駆動ローラ262および従動ローラ264によって安定的に挟持されているときに冷却風が吹付けられるため、冷却風を吹きつけたことによって用紙に搬送不良が発生するといった不具合が起こりにくい。
【0032】
また、用紙が通過しない場合にも連続して冷却ファン14から用紙搬送路16に風を送り出している場合であっても、用紙搬送路16に進入した風が通風部624を介して下方に抜けていくため、用紙搬送路16中を冷却風が逆流して次の用紙の搬送に悪影響を与えることがない。
【0033】
さらに、下側用紙ガイド62には、複数のリブ622が設けられているため、例え少量の風が用紙搬送路16中を逆流する場合があってもリブ622の間の凹部を風が流れることになるため、次に搬送されてくる用紙の搬送に悪影響が及びにくい。
【0034】
上述のような構成を採用することにより、冷却ファン40のオンオフ切換制御が不要となり、冷却ファン40を連続的に動作させておいても何ら問題が生じない。このため、用紙の搬送タイミングに合わせて冷却ファン40を動作させるような制御が不要となる。
【0035】
なお、冷却ファン40は、用紙搬送路16を挟んで定着装置と反対側に配置されることが好ましい。その理由は、冷却ファン40から発生した冷却風が定着装置22まで到達しにくくなり、定着装置22が冷却風によって不必要に冷却されることが防止されるからである。
【0036】
続いて、図4を用いて、用紙搬送路16における搬送ローラ26の近傍の構成のバリエーションを説明する。図3で示した構成では、冷却ファン40の吹付けダクト42からの空気が当たる幅中に駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインが配置されていたが、ここでは、冷却ファン40の吹付けダクト42からの空気がやや下流側にずれた位置を通過するように構成されている。
【0037】
つまり、冷却ファン40の吹付けダクト42からの空気が当たる幅中よりも用紙搬送路16の上流側に駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインが配置されている。このような構成を採用することにより、駆動ローラ262および従動ローラ264に用紙が挟持される前に、冷却風により用紙が捲かれる等で用紙の搬送不良(用紙の捲かれ、用紙の折れ、ジャム等)が生じることをより確実に防止することが可能になっている。
【0038】
続いて、図5を用いて、下側用紙ガイド62の通風部624を通過した冷却風を利用して、用紙搬送路16における駆動ローラ262および従動ローラ264よりも上流の箇所を予備的に冷却する構成を説明する。
【0039】
図5に示す構成においては、下側用紙ガイド62の通風部624を通過した冷却風を、定着後ローラ24まで案内するように構成された第1の案内ダクト64が設けられている。よって、用紙が駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインを通過していない間においては、冷却ファン40からの冷却風は、第1の案内ダクト64を通過して定着後ローラ24まで案内される。このため、冷却ファン40からの冷却風は、用紙が駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインを通過している時には搬送される用紙を冷却する役割を果たすとともに、用紙が駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインを通過していない時には予備的に定着後ローラ24を冷却する役割を果たす。このため、定着装置22を通過した用紙が定着後ローラ24に接触したときに降温し易くなる。さらに、定着後ローラ24の耐熱性がさほど高くなくて良くなるとともに、定着後ローラ24に用紙のトナーが付着しにくくなる。
【0040】
また、定着後ローラ24のニップラインにおいても用紙に対して冷却風が吹付けられるため、定着装置22を通過した用紙をより効果的に冷却することが可能になり、その結果、用紙上のトナーがより早く固着し易くなる。
【0041】
続いて、図6(A)および図6(B)を用いて、下側用紙ガイド62の通風部624を通過した冷却風を利用して、用紙搬送路16における駆動ローラ262および従動ローラ264よりも上流の箇所を予備的に冷却する構成の他の例を説明する。
【0042】
図6(A)および図6(B)に示す構成においては、下側用紙ガイド62の通風部624を通過した冷却風を、下側用紙ガイド62における通風部624の上流に設けられた第1の冷却部626まで案内するように構成された第2の案内ダクト66が設けられている。冷却風を案内する箇所としては、フラッパ30の先端付近に風を導入することが好ましい。
【0043】
第1の冷却部626は、用紙搬送方向に直交する幅方向(紙面に垂直な方向)に複数形成されたスリットと、このスリットを覆うように配置されたリブ状部材とによって構成される。これらのスリットおよびリブ状部材は、例えば、「食いきり」構造を有する成型金型によって形成することが可能である。第1の冷却部626のリブ状部材は、冷却風によって冷やされるため、下側用紙ガイド62の昇温が抑制されるとともに、リブ状部材に接触する用紙が放熱し易くなる。また、用紙と接触するリブ状部材が低温に保たれることにより、トナーがリブ状部材に付着しにくくなる。
【0044】
下側用紙ガイド62の通風部624を通過する冷却風の流量に比較すると、第1の冷却部626のスリットを通過する冷却風の流量は低下しているため、冷却風による用紙搬送不良が発生しにくい。さらに、第1の冷却部626では、スリットを通過する冷却風をリブ状部材が分断するために、用紙搬送路16中に冷却風が強く流れ込むことがない。しかも、スリットを通過した冷却風は、フラッパ30およびその周囲に隙間を通って装置外に抜けることが可能であるため、第1の冷却部626を通過した風が用紙搬送路16を逆流することがない。
【0045】
また、下側用紙ガイド62において、上述した第1の冷却部626に換えて、図7に示すような第2の冷却部628を設けるようにしても良い。第2の冷却部628では、幅方向(紙面に垂直な方向)に複数形成されたスリットと、各スリットの両側にそれぞれ形成されたリブとによって構成される。ここでも、冷却風を案内する箇所としては、フラッパ30の先端付近が好ましい。
【0046】
さらに、図8(A)および図8(B)を用いて、定着装置22を通過した用紙を冷却するための機構の他の構成例を説明する。図8(A)および図8(B)に示す構成では、制御部50からの制御信号に基づいてスライド移動するように構成されたバルブ部材70が設けられている。
【0047】
バルブ部材70は、冷却ファン40および上側用紙ガイド60の間においてスライド可能に支持されていると共に、制御部50からの制御信号によって動作するソレノイドによって力を加えられるように構成されている。なお、バルブ部材70を移動させる力を加える機構は、ソレノイドを利用する機構に限定されるものではなく、リニアモータを利用する機構や、カム機構等を採用することも可能である。
【0048】
また、バルブ部材70の近傍であって、上側用紙ガイド60の上方には、冷却ファン40で発生した冷却風を、上側用紙ガイド60に形成された通風部605まで案内するように構成された第2の案内ダクト68が設けられる。
【0049】
以上の構成において、用紙が駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインを通過する時は、冷却ファン40から駆動ローラ262および従動ローラ264の方へ下向きに通風できるようにバルブ部材70を左に移動させる(図8(A)参照。)。一方で、用紙が駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインを通過しない時や待機時には、下側用紙ガイド62および上側用紙ガイド60における上流側の部位を冷却するために、バルブ部材70を右側に移動させ、冷却風を第2の案内ダクト68を介して用紙搬送路16における上流に案内する。
【0050】
ここで、冷却風で冷やす箇所は、図6(A)、図6(B)、図7(A)、および図7(B)のものと同様、フラッパ30の先端付近に風を導入することが好ましい。
【0051】
続いて、図9を用いて、定着装置22を通過した用紙を冷却するための機構の他の構成例を説明する。図9に示す構成では、冷却ファン40で発生した冷却風によって、定着装置22における定着ローラ222および加圧ローラ224が冷やされることをより確実に防止するための工夫が為されている。
【0052】
具体的には、下側用紙ガイド62の下方には、通風穴624を通過した冷却風を上方向にUターンさせるようにU字状に構成された第3の案内ダクト72が設けられる。このとき、下側用紙ガイド62には、第3の案内ダクト72に連通する通風部625が設けられる。また、上側用紙ガイド60における通風部625に対向する位置にも、通風部605が設けられている。
【0053】
以上の構成においては、駆動ローラ262および従動ローラ264のニップラインに向う用紙を、下から上方向に向う冷却風によって、上側用紙ガイド60に押し当てることが可能となる。その結果、用紙の下面に形成された画像と、下側用紙ガイド62との接触を必要最小限に抑えることが可能となり、トナーが下側用紙ガイド62に付着しにくくなる。
【0054】
上述の実施形態では、冷却ファン40で発生した冷却風を様々な箇所に案内する例を説明したが、上述の例以外にも、例えば図10に示すように、排紙フレームの内側や排紙トレイ14および定着装置22上部のフレーム間に冷却風が抜けるようにしても良い。
【0055】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10−画像形成装置
16−用紙搬送路
24−定着後ローラ
28−排紙ローラ
40−冷却ファン
42−吹付けダクト
60−上側用紙ガイド
62−下側用紙ガイド
262−駆動ローラ
264−従動ローラ
604−通風部
624−通風部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成処理がされた用紙を順次的に排紙トレイに排出するように構成された画像形成装置であって、
給紙トレイから排紙トレイの間に形成された用紙搬送路と、
前記用紙搬送路に沿って搬送される用紙に対して加熱処理を行うように構成された加熱処理部と、
前記用紙搬送路における前記加熱処理部の下流に配置されており、前記加熱処理部を通過した用紙を前記排紙トレイの方に搬送するように構成された一対の搬送ローラと、
前記用紙搬送路における前記加熱処理部の下流部分を画定するように構成された外側用紙ガイドおよび内側用紙ガイドと、
前記外側用紙ガイドおよび前記内側用紙ガイドの間を搬送される用紙を冷却風によって冷却するように構成された冷却装置と、
を備えており、
前記外側用紙ガイドは、前記搬送ローラの配置位置に対応する位置に、前記冷却装置からの冷却風を通過させるように構成された通風部が設けられており、かつ、
前記内側用紙ガイドは、前記外側用紙ガイドの前記通風部に対向する位置に、前記冷却装置からの冷却風を通過させるように構成された通風部が設けられた
画像形成装置。
【請求項2】
前記冷却装置からの冷却風の流路中に、前記一対の搬送ローラのニップ部を前記一対の搬送ローラの軸方向に延長したニップラインが位置する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記冷却装置からの冷却風の流路よりも前記用紙搬送路の上流側に、前記一対の搬送ローラのニップ部を前記一対の搬送ローラの軸方向に延長したニップラインが位置する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記内側用紙ガイドは、用紙と接触する面における前記通風部の上流側に、用紙搬送方向に沿って伸びる複数のリブを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記内側用紙ガイドの前記通風部を通過した冷却風を、前記用紙搬送路における上流側に案内するように構成された第1の案内ダクトをさらに備えた請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の案内ダクトは、前記用紙搬送路における前記搬送ローラの上流に配置された定着後ローラまで、冷却風を案内するように構成された請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の案内ダクトは、前記内側用紙ガイドにおける前記搬送ローラの上流に配置された通風部まで、冷却風を案内するように構成された請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記冷却装置から発生した冷却風を、前記用紙搬送路における上流側に案内するように構成された第2の案内ダクトと、
前記前記冷却装置から発生した冷却風を、前記外側用紙ガイドの前記通風部または前記第2の案内ダクトのいずれかに選択的に案内可能な流路切換機構と、
をさらに備えた請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記冷却装置が前記用紙搬送路を挟んで前記定着装置の反対側に配置された請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−152987(P2011−152987A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15413(P2010−15413)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【特許番号】特許第4741024号(P4741024)
【特許公報発行日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】