説明

画像形成装置

【課題】単純な構成でしかもクリーニングブレードとの干渉なしに端部漏れを防止し、機内汚染を防ぎ装置本体の長寿命を図ることのできるクリーニング装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】弾性クリーニングブレード116の端面34の一部に凹部及び/又は凸部をなす凹凸形状部35を形成し、かつ端部シール41の、弾性クリーニングブレード116の端面34に沿った領域47にも、弾性クリーニングブレード116の凹凸形状部の凹部又は凸部と所定の間隙gを持って嵌り合う凸部又は凹部を有する凹凸形状部48を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に、回収トナー漏れを防止するためのクリーニングブレード及び端部シール部材を有するクリーニング装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置におけるクリーニング装置としては、像担持体を清掃するクリーニング部材としてクリーニングブレードを有するものが知られている。
【0003】
例えば電子写真方式の画像形成装置においては、帯電プロセス、露光プロセス、現像プロセスの各画像形成プロセスを経て像担持体、例えば、ドラム状の電子写真感光体(以下、「感光ドラム」という。)上にトナー像を形成する。このトナー像は、転写プロセスによって感光ドラム上から記録材(例えば紙)或いは中間転写体(ベルト等)に転写される。この転写プロセスにおいて、感光ドラム上のトナー像を構成するトナーは、そのすべてが転写されるわけではなく、少量のトナーが感光ドラム表面に残る。このようにして感光ドラム表面に残ったトナー(以下、「「残留トナー」という。)は、上述のクリーニングブレードによって除去される。
【0004】
この残留トナーにおいては、クリーニングブレードで回収する際、クリーニングブレード上を横走りし、端部側へ逃げていくことが従来から知られている。そのため、端部側に漏れ防止部材を構成して横走りを防ぎ、機内への汚染を防止するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特に、これまでの端部シール形状はL字型が一般的であると共に、そのL字形状のシール部材の貼り付け精度が要求される。また、このL字形状のシール部材は弾性部材であるため掴み難く、また貼りにくい。そのため貼り付けは、人手で貼るには熟練を要し、機械で貼る場合も機械自体も高価なものとなる。例えうまく貼ったとしても、材質や圧などである程度は対応できるが、近年トナーの小径化及び、長寿命化に伴い、わずかな隙間にトナーが入り込み、それが徐々に広がりをみせ、端部漏れ起因の機内汚染の原因となる。そのためその汚染起因で様々な画像不良及び搬送問題が起きているのが現状である。
【0006】
そこで、防止部材(端部シール)の側面にブラシなどをつけて漏れ防止能力をあげる提案がなされているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−137382号公報
【特許文献2】特開2006−251485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、端部シールにブラシをつけたりすると結局クリーニングブレードに干渉し、クリーニング性に問題を起こす危険性がある。
【0009】
特に長寿命を意識した感光ドラムを用いた場合には、顕著にその端部シール特性が表れ、その端部漏れが機械本体の寿命に影響を及ぼす可能性がある。
【0010】
更に、クリーニングブレードと端部シールの貼り付け距離を0mmにするには、何度も貼り直しをしなければならず、組立工程において時間がかかってしまう。
【0011】
そこで、本発明の目的は、単純な構成でしかもクリーニングブレードとの干渉なしに端部漏れを防止し、機内汚染を防ぎ装置本体の長寿命を図ることのできるクリーニング装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、端部シールの貼り付けが容易であり、かつ十分なマージンがあり、組立が容易なクリーニング装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体に当接して、前記像担持体上の現像剤を除去する弾性クリーニングブレードと、
前記弾性クリーニングブレードで除去した現像剤が前記像担持体と当接した当接部の端面から漏れないように防止する端部シールと、
を有するクリーニング装置を備えた画像形成装置において、
前記弾性クリーニングブレードの前記端面の一部に凹部又は凸部を形成して凹凸形状部を形成し、かつ前記端部シールの、前記弾性クリーニングブレードの前記端面に沿った領域にも、前記弾性クリーニングブレードの凹凸形状部の凹部又は凸部と所定の間隙を持って嵌り合う凸部又は凹部を有する凹凸形状部を形成したことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、クリーニングブレードで除去した現像剤を端部から漏れないように防止する端部シールをもつ画像形成装置において、クリーニング性に問題を起こすことなしに長期において端部漏れを防止することができる。また、端部シールの張付けが容易で、十分なマージンを有し、組立が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成断面図である。
【図2】本発明に従って構成されるクリーニング装置の概略構成断面図である。
【図3】クリーニングブレードの構成を説明するための図であり、図3(a)は断面図で、図3(b)は斜視図である。
【図4】端部シールの構成を説明するための図であり、図4(a)は断面図で、図4(b)は斜視図である。
【図5】クリーニング装置における端部漏れを説明するための概略説明図である。
【図6】クリーニングブレードと端部シールの位置関係を示す平面図であり、端部シール側が凸部になっている場合の一例を示す。
【図7】クリーニングブレードと端部シールの位置関係を示す平面図であり、端部シール側が凸部になっている場合の他の例を示す。
【図8】クリーニングブレードと端部シールの位置関係を示す平面図であり、端部シール側が凸部になっている場合の更に他の例を示す。
【図9】クリーニングブレードと端部シールの位置関係を示す平面図であり、クリーニングブレード側が凸部になっている場合の一例を示す。
【図10】クリーニングブレードと端部シールの位置関係を示す平面図であり、クリーニングブレード側が凸部になっている場合の他の例を示す。
【図11】像担持体の概略構成断面図である。
【図12】フィシャースコープH100V(H.Fishere社製)の出力チャートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0017】
実施例1
(画像形成装置の全体構成)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施例を示す全体構成断面図である。本実施例にて、画像形成装置1は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体としてドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム101を用いた接触帯電方式・転写方式の電子写真画像形成装置である。また、排紙方法は、本体内排紙タイプを示すが、これに限定されるものではない。また、本発明の画像形成装置は、リーダー部Rと、プリンター部Prとを備えているが、本発明の特徴部はリーダー部Rには関係していない。従って、以下の説明では、リーダー部Rの詳細説明は行わず、プリンター部Prについて詳細説明を行う。
【0018】
プリンター部Prにて、感光ドラム101は、ドラム軸線を中心に回転自在に支持されて配設されており、駆動機構(不図示)により矢印102の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。
【0019】
回転する感光ドラム101の表面は、帯電手段により所定の極性・電位に一様に帯電される。本実施例においてこの帯電手段は、帯電部材として帯電ローラ103用いた接触帯電装置(ローラ帯電装置)である。帯電ローラ103は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラである。そして、ローラ軸体の両端部をそれぞれ軸受け部材を介して回転自在に支持させ、ローラ軸線を感光ドラム101のドラム軸線に対してほぼ並行に配列して感光ドラム101に対して所定の押圧力で接触させて配設されている。本実施例において、この帯電ローラ103は感光ドラム101の回転に従動して回転する。帯電ローラ103を清掃する清掃部材としての回転ブラシ(クリーニングブラシ)104は、帯電ローラ表面に付着した異物を掻き取って、帯電ローラ表面が局部的或いは全面的に異物汚れするのを防止する。
【0020】
そして、帯電ローラ103のローラ軸体に対して、帯電バイアス印加電源部S1から所定の直流電圧(DC帯電方式)、或いは所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した電圧(AC+DC帯電方式)が帯電バイアスとして印加される。これにより、回転する感光ドラム101の表面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される。本実施例では、感光ドラム101の表面がマイナスの所定電位に帯電される。
【0021】
そして、その感光ドラム101の帯電面に対して像露光手段105により像露光がなされる。これにより、感光ドラム表面の露光明部が電位減衰して、感光ドラム表面に像露光パターンに対応した静電潜像が形成される。像露光手段105は、原稿画像を結像投影露光するアナログ露光装置でもよいし、レーザスキャナやLEDアレイ等のデジタル露光装置であってもよい。本実施例では、波長λ=780nmのレーザ走査露光Lを行うレーザスキャナを像露光手段105として用いている。
【0022】
上記のようにして感光ドラム表面に形成された静電潜像は、現像手段によりトナー像として現像される。本実施例において、この現像手段は、現像剤として一成分磁性ネガ極性トナーを用いたジャンピング反転現像装置106を用いている。現像装置106は、回転駆動される現像スリーブ107と、現像スリーブ107に現像剤(トナー)を供給するためのホッパー部108を有している。また、現像装置106は、現像スリーブ107と感光ドラム101との間に装置長手方向に渡り0.3mmの一定間隔を保つように配置されている。現像スリーブ107には現像バイアス印加電源部S2から所定のAC成分とDC成分を重畳した電圧が印加される。これにより、感光ドラム表面の静電潜像が現像装置106によりジャンピング反転される。現像装置106については、後で再度説明する。
【0023】
感光ドラム101の表面に形成されたトナー像は、引き続き感光ドラム101の回転により、感光ドラム101と転写ローラ109との当接ニップ部である転写部Tに至り、この転写部Tに給送された記録材Pに転写される。転写ローラ109は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラである。そして、ローラ軸体の両端部をそれぞれ軸受け部材を介して回転自在に支持させ、ローラ軸線を感光ドラム101のドラム軸線に対してほぼ並行に配列して感光ドラム101に対して所定の押圧力で接触させて配設されている。本実施例において、この転写ローラ109は感光ドラム101の回転に従動して回転する。記録材Pは給紙機構部110から所定の制御タイニングで給送され、レジストレーションローラ111により感光ドラム101に対する画像形成と同期取りされて適正なタイミングをもって転写部Tに導入され、感光ドラム101と転写ローラ109により挟持搬送される。転写ローラ109には、記録材Pが転写部Tを通過している間、転写バイアス印加電源部S3からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の直流電圧が印加される。本実施例ではプラス極性の所定電位の直流電圧が印加される。これにより、転写部Tにおいて記録材Pの裏面側(感光ドラム対向面側とは反対面側)にプラスの電荷が付与されて感光ドラム表面のトナー像が順次に記録材Pの表面に静電的に転写される。
【0024】
トナー像の転写を受けた記録材Pは、転写部Tを出ると感光ドラムの表面から分離され、定着装置112に導入される。本実施例の定着装置112はヒートローラ113と加圧ローラ114との圧接回転ローラ対を有する熱定着装置であり、定着装置112に導入された記録材Pは、ローラ対113、114の圧接ニップ部である定着部Nに進入して挟持搬送される。これにより、記録材P上の未定着のトナー像が記録材面に固着画像として熱と圧力により定着され、その後、記録材は画像形成物として装置本体外部に排出される。
【0025】
一方、記録材分離後の感光ドラム101の表面は、クリーニング装置115により転写残トナー・紙粉等の残留物の除去を受けて清掃され、繰り返して画像形成に供される。本実施例において、このクリーニング装置115は、クリーニング部材として注型タイプを用いたブレードクリーニング装置115である。注型タイプとは、型にゴム材などを流し込み成形するクリーニングブレードのタイプである。このクリーニングブレードについては、後で詳細に説明する。このクリーニングブレード116により感光ドラム101の表面が摺擦されることで感光ドラム表面から残留物が掻き取られる。掻き取られた残留物は回収トナー収容部117に収容される。
【0026】
(クリーニング装置)
図2を参照して、クリーニング装置115の詳細について説明する。
【0027】
クリーニング装置115は、クリーニング装置枠体(容器本体)117、クリーニングブレード(クリーニング部材)116、回収トナー搬送スクリュー21、飛散防止シート(飛散防止部材)22で構成されている。また、感光ドラム101は、矢印102の方向に回転し、このうち、クリーニングブレード116は、板状の弾性体によって形成されて枠体117に板金31を介して固定されている。クリーニングブレード116は、クリーニングブレード116の長手方向のエッジ部が感光ドラム101の軸線方向に整列して押圧され当接部116Aを形成している。当接部116Aにより、感光ドラム101上の残留トナー63が除去される。
【0028】
クリーニング装置115は、感光ドラム101の上方に位置し、クリーニングブレード116により除去された回収トナー23(即ち、残留トナー63)が感光ドラム101の上部で滞留するよう構成した点に特徴を有している。また飛散防止部材22は、クリーニングブレード116より、感光ドラム回転方向にて上流側に位置し、回収トナーの逆流を防ぐように構成され、感光ドラム101と接触されている。
【0029】
(クリーニングブレード)
次に、本発明に従って構成されるクリーニングブレード116の一実施例を断面図(図3(a))と、斜視図(図3(b))を用いて説明する。
【0030】
L字状の板金31の上部に短冊状のゴムブレード116が貼り付け付けられている。このゴムブレード116の材質としては、一般的なものとして、例えばポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、二トリルゴム、クロロプレンゴム等のエラストマー等適度の弾性と硬度を有する材料であればいずれでもよい。特に、摩擦により感光ドラム101を傷付けず、耐摩耗性の大きなポリウレタンが好ましい。更に、永久歪が小さいことを考えて、2液性熱硬化型ポリウレタン材料を用いることもある。硬化剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ハイドロキノンジエチロールエーテル、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の一般的なウレタン硬化剤を用いることができる。
【0031】
この短冊状のゴム製クリーニングブレード116の厚みT0は、通常1.5mm〜4mm、好ましくは、1.5mm〜3mmが良い。1.5mmより薄くなると、クリーニング性能を発揮するだけの圧がでなくなる。また、4mmを超えて厚くなると、圧が高くなり過ぎるのと同時に、ゴム材としてのしなやかさがなくなり、対象物に対する追従性がなくなる。また、弾性クリーニングブレードの自由長L0については3〜15mm、好ましくは5〜12mmが良い。3mmより短くなると、ゴムとしてのしなやかさがなくなり、対象物に対する追従性がなくなる。また、15mmより長くなると、クリーニング性能を発揮するだけの圧が出にくくなる。
【0032】
本発明におけるクリーニングブレード116の特徴としては、ブレード端面(斜影部分)34の一部に凹凸形状部35が形成されることである。図3に示す例では、凹凸形状部35は、一つの凹部36にて構成されているが、連続して複数の凹部を波形形状に形成しても良い。また、他の例では、凹凸形状部35は、詳しくは後述するが、凸部にて形成することも可能である。
【0033】
凹凸形状部35の凹部又は凸部の大きさは、端部シール41の形状にもよるので、後で詳細に説明する。
【0034】
(端部シール)
次に、本発明に従って構成される端部シール41の一例を断面図(図4(a))と、斜視図(図4(b))を用いて説明する。以下に、端部シール41の材質及び構成について説明するが、これに限定されるものではない。
【0035】
図4に示すように、端部シール41は、基層(支持層)42と、基層42の表面の接着層43と、更に、接着層43の表面の固定層44と、基層42の裏面の貼付層45と、から構成されている。
【0036】
更に詳細には、固定層44上には、パイル糸46を起毛させて形成されるブラシ状シール部材46が設けられる。その固定層44は、主に基布(不図示)といわれる糸をベースにしたものと、パイル糸46を樹脂で固定するものと、で形成されている。
【0037】
基層42は、フォーム材より形成され、端部シール41に弾力性を付与し、シール部材であるパイル糸46を感光ドラム101に隙間なく十分に接触させるために設けられている。これは、後述するようにパイル糸46が耐久摩耗や永久変形などで隙間をつくらないようにある程度の弾力性が必要なためである。基層、即ち、支持層42を形成するフォーム材としては、弾力性及び耐熱性を有するとともに、変形(へたり)に対する耐久性が高く、接着剤で接着可能な材料より形成されたものを用いることが好ましい。
【0038】
特に、同フォーム材には、JIS K 6400の硬さ試験A法に準拠する25%圧縮荷重値が、0.4〜4MPaであるものを使用することが好ましく、0.6〜2.5MPaであるものを使用することがより好ましい。フォーム材の圧縮荷重値が過剰に低い場合、感光ドラム101にパイル糸46を十分に摺接させることができなくなる。また、圧縮荷重値が過剰に高い場合、感光ドラム101とパイル糸46との間で発生する摺接抵抗が大きくなり、感光ドラム101の表面が削れ易く、寿命に大きな問題となる。このようなフォーム材としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の発泡樹脂、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、クロロプレンゴム等の合成ゴム、あるいは天然ゴム、オレフィン系、スチレン系等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。本実施例の支持層42には、フォーム材として難燃性のポリウレタン発泡体(イノアック社製の商品名:ポロン)が使用されている。
【0039】
接着層43は、硬化後にも柔軟性を有する接着剤で形成することが好ましい。さらに接着層43は、耐熱性を有するとともに、曲げた状態でも使用することができるように、曲面状に変形可能な材料で形成することが好ましい。このような性質を有する接着剤として、ゴム系、アクリル系等の感圧接着剤が用いられる。そして、接着層43は、基層42の表面に感圧接着剤を塗布して、又は伸びのある芯材の両面に感圧接着剤を塗布してなる両面接着テープを貼付して形成される。
【0040】
貼付層45は、硬化後に柔軟性を有するとともに、使用済みの端部シール41を容器本体117から剥がし再利用できるように、粘着剤で形成することが好ましい。また、貼付層45は、接着層43と同様に耐熱性を有し、曲面状に変形可能な材料で形成することが好ましい。そして、貼付層45は、支持層42の裏面にゴム系、アクリル系等の感圧粘着剤を塗布して、又は芯材の両面に感圧粘着剤を塗布してなる両面粘着テープを貼付して形成される。本実施例にて、貼付層45は、アクリル系の粘着剤を使用した両面粘着テープ(日東電工社製の商品名♯500NC)により形成されている。
【0041】
固定層44を形成する基布となる糸は、タテ糸及びヨコ糸を織り上げて得られる織布より形成されている。この基布に対して前記パイル糸46がパイル織りで織り込まれることにより、固定層44を構成するベロア材が形成されている。そして、パイル糸46は、その基端部がタテ糸及びヨコ糸に締め付けられて基布上に立設されるとともに、上端部で各繊維同士の間隔が広がることにより基布上に起毛されている。
【0042】
固定層44の基布を形成するタテ糸及びヨコ糸、並びにパイル糸46は、耐久性、柔軟性が高く、適度な耐熱性を有する繊維からなる糸で形成されており、このような糸としてフィラメント糸、紡績糸等が挙げられる。特にパイル糸46に使用する糸は、耐摩耗性に優れ、動摩擦係数が低いことも重視される。このような繊維には、超高分子ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、アラミド樹脂、ポリエステル、ナイロン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂等よりなる合成繊維、レーヨン等よりなる半合成繊維、綿等よりなる天然繊維等が挙げられる。なかでも、フッ素樹脂よりなる合成繊維は、摩擦係数が低く、パイル糸46の材質として最も好ましい。このフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が用いられる。
【0043】
これらの糸の太さとしては0.1〜3000デニールが良い。0.1より細くなると上記希望の圧がでない。また、3000デニールより太くなると、圧がですぎて感光ドラム101の寿命に影響を及ぼす。また糸の密度としては、80kF/inch2以上500kF/inch2以下が良い。kFのFはフィラメントである。80kF/inch2より少ない密度だと、その隙間から回収トナー漏れを起こす。また、500kF/inch2より多い密度だと、糸が塊みたいになり感光ドラム101に傷をつけてしまう可能性がある。
【0044】
パイル糸46の長さHとしては、0.1mm以上10mm以下が良い。0.1mmより短くなると、感光ドラム101に対して追従性が損なわれる。また10mmより長くなると毛倒れが発生しやすく、それによってそこの部分から漏れが発生する。
【0045】
また、基布にパイル糸46を更に固定するための樹脂については、スチレンーブタジエン共重合ゴム(SBR)、エチレンー酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の合成樹脂製エマルションよりなるコーティング剤により塗工あるいは、含侵させて形成される。これによってほつれなどの防止効果がうまれる。
【0046】
また、端部シール41として必要な形状については、後で詳細に説明する。
【0047】
図5には、従来構成における端部トナー漏れを模式的に図示している。クリーニングブレード116が当接部116Aにて感光ドラム101の表面から残トナー63(図2)を掻き取るとき、回収トナー23はブレード116の側端部へ矢印61のように横走りを起こす。クリーニングブレード116と端部シール41の隙間gがゼロであれば、漏れない構成ではあるが、実際問題として、端部シール41のパイル糸46の毛倒れや耐久摩耗により、わずかな隙間gが生じる。その隙間gから漏れトナー62が発生し、やがてどんどん大きくなって機内汚染、或いは、機内汚染から転写ローラ109や現像スリーブ107に拡がり融着などの問題を発生し、最終的には画像不良に至る場合がある。
【0048】
次に、端部シール材41の製造方法について簡単に説明する。
【0049】
端部シール41は、シート状をなす固定層44、基層42及び貼付層45を互いに貼り合わせて形成されたシート材から複数の端部シール41を、例えば、L字形状に切り抜くことにより形成されている。この端部シール41の起毛で斜毛加工などが施されても良い。
【0050】
(クリーニングブレード端部形状及び端部シール形状)
ここで、本発明に重要なクリーニングブレード116の端部形状と端部シール41の関係について述べる。
【0051】
基本的に、端部シール41の凸部49(図6、図7、図8)、或いは、クリーニングブレード116の凸部36a(図9、図10)は、クリーニングブレード116と端部シール41の隙間gよりは大きくならなければならない。図6〜図10は、その一例として、クリーニングブレード116と端部シール41の関係を模式的に示したものである。
【0052】
本発明では、クリーニングブレード116の端面34の一部に凹部又は凸部をなす凹凸形状部35を形成する。一方、L字状とされる端部シール41の、クリーニングブレード116の端面34に沿った領域47にも、クリーニングブレード116の凹凸形状部35の凹部又は凸部と所定の間隙gを持って嵌り合う凸部又は凹部を有する凹凸形状部48が形成される。
【0053】
(A)図6に、クリーニングブレード端部形状及び端部シール形状の一例を示す。本例によれば、図6に示すように、クリーニングブレード116の端面34に凹部36が形成された凹凸形状部35を備え、端部シール41に凸部49が形成された凹凸形状部48が設けられている。
【0054】
クリーニングブレード116の端面形状は、図6に示すように、端面の一部が図示する形状、即ち、凹部36を有する形状とされればよく、この凹部36が一点鎖線にて示すように、連続的に複数形成されて波形形状としても問題はない。一方、端部シール41には、クリーニングブレード116の凹部36に間隙gを持って嵌り合う凸部49が形成される。
【0055】
本例にて、クリーニングブレード116の凹部36は、三角形状とされ、従って、端部シール41の凸部49もまた三角形状とされる。
【0056】
クリーニングブレード116の凹部36の形状について説明する。凹部36の最大開口部の横幅w1は、1〜8mmがよく1mmより小さくなると切り込みみたいになり、端部シール41がクリーニングブレード116に沿うことができない。また、8mmより長くなると長すぎてせっかくの凹凸形状の意味をなさなくなり漏れが発生し易くなる。
【0057】
また、凹部36の最大高さ、即ち、深さw2は1〜4mmがよく、1mmより小さくなると、これも切り込みみたいになり、端部シール41がクリーニングブレード116に沿うことができない。また、4mmより長くなると深さが大きくなり過ぎて、頂部エッジの部分で回収トナー漏れが発生し易くなる。
【0058】
更に、クリーニングブレード116と端部シール41の対向した凹凸形状部35、48の間の隙間gとしては0.01〜2mmがよい。0.01mmより狭くなると、クリーニングブレード116の端面34が端部シール41に干渉した状態になる。また、2mmより大きくなると、漏れる可能性がある。
【0059】
一方、端部シール41の凸部49は、上記クリーニングブレード116の凹部36と同様の形状とされ、凸部49の最大横幅W3及び最大高さw4は、それぞれ、クリーニングブレード116の凹部の最大横幅w1及び最大深さw2と同じとされる。また、上述したように、端部シール41の凸部49の高さw4は、間隙gより大とされる。
【0060】
(B)図7に、クリーニングブレード116の端面形状(即ち、凹部36)の他の例を示す。本例にても、これも上記例(A)と同様に、クリーニングブレード116と端部シール41の形状、或いは、貼り位置関係に大きな特徴がある。
【0061】
クリーニングブレード116の端面形状は、図7に示すように、端面34の一部が図示する形状、即ち、矩形状の凹部36を有する形状とされる。この凹部36も先の例(A)と同じように連続的に複数形成されて波形形状としても良い。一方、端部シール41には、クリーニングブレード116の凹部36に間隙gを持って嵌り合う矩形状の凸部49が形成される。
【0062】
クリーニングブレード116の凹部36の形状について説明する。凹部36の横幅w5は1〜8mmがよく、1mmより小さくなると切り込みみたいになり、端部シール41がクリーニングブレード116に沿うことができない。また、8mmより長くなると長すぎてせっかくの凹凸形状の意味をなさなくなり漏れが発生し易くなる。
【0063】
また、凹部36の深さw6は1〜4mmがよく1mmより小さくなると、これも切り込みみたいになり、端部シール41がクリーニングブレード116に沿うことができない。また、4mmより長くなると深さが大きくなりすぎて、最も深くなった領域にて回収トナー漏れが発生し易くなる。
【0064】
更に、クリーニングブレード116と端部シール41の対向した凹凸形状部35、48の間の隙間gとしては0.01〜2mmがよい。0.01mmより狭くなると、クリーニングブレード116の端面34が端部シール41に干渉した状態になる。また、2mmより大きくなると、漏れる可能性がある。
【0065】
一方、端部シール41の凸部49は、上述のように、クリーニングブレード116の凹部36と同様の矩形状とされ、凸部49の横幅W7は、クリーニングブレード116の凹部の横幅w5より隙間2g分小さくされ、高さw8は深さw6と同じとされる。また、上述したように、端部シール41の凸部49の高さw8は、間隙gより大とされる。
【0066】
(C)図8に、クリーニングブレード116の端面形状(即ち、凹部36)の他の例を示す。本例にても、上記例(A)と同様に、クリーニングブレード116と端部シール41の形状、或いは、貼り位置関係に大きな特徴がある。
【0067】
クリーニングブレード116の端面形状は、図8に示すように、端面の一部が図示する形状、即ち、湾曲形状の凹部36を有する形状とされる。この凹部36も先の例(A)と同じように連続的に複数形成されて波形形状としても良い。一方、端部シール41には、クリーニングブレード116の凹部36に間隙gを持って嵌り合う湾曲形状の凸部49が形成される。
【0068】
クリーニングブレード116の凹部36の形状について説明する。凹部36の横幅w9は1〜8mmがよく、1mmより小さくなると、所期の形状が作成できなくなり、所期の効果を達成し得ない可能性がある。また、8mmより長くなると長すぎてせっかくの凹凸形状の意味をなさなくなり、漏れが発生し易くなる。
【0069】
また、凹部36の縦幅w10は1〜4mmがよく、1mmより小さくなると、これも切り込みみたいになり、端部シール41がクリーニングブレード116に沿うことができない。また、4mmより長くなると凹部が大きくなり過ぎて、湾曲形状頂部領域で回収トナー漏れが発生し易くなる。
【0070】
更に、クリーニングブレード116と端部シール41の対向した凹凸形状部35、48の隙間gとしては0.01〜2mmがよい。0.01mmより狭くなると、クリーニングブレード116の端面34が端部シール41に干渉した状態になる。また、2mmより大きくなると、漏れる可能性がある。
【0071】
一方、端部シール41の凸部49は、上述のように、クリーニングブレード116の凹部36と同様の湾曲形状とされ、凸部49の横幅W11は、クリーニングブレード116の凹部の横幅w9より隙間2g分程度小さくされ、高さw12は深さw10と同じとされる。また、上述したように、端部シール41の凸部49の高さw12は、間隙gより大とされる。
【0072】
(D)図9には、クリーニングブレード116の端面34に凸部36aを有した凹凸形状35が形成され、端部シール41の対向した領域47に凹部49aを有した凹凸形状48が形成された例を示す。本例にても、これも上記例と同様に、クリーニングブレード116と端部シール41の形状、或いは、貼り位置関係に大きな特徴がある。
【0073】
クリーニングブレード116の端面形状は、図9に示すように、端面34の一部が図示する形状、即ち、凸部36aを有する形状とされればよく、この凸部36aが、上記例(A)で示したように、連続的に複数形成されて波形形状としても問題はない。一方、端部シール41には、クリーニングブレード116の凸部36aに間隙gを持って嵌り合う凹部49aが形成される。
【0074】
本例にて、クリーニングブレード116の凸部36aは、三角形状とされ、従って、端部シール41の凹部49aもまた三角形状とされる。
【0075】
クリーニングブレード116の凹部36の形状について説明すると、上記例と同様に、凸部36aの横幅w13は1〜8mmがよく、1mmより小さくなると、所期の効果がなくなる可能性がある。また、8mmより長くなると、長すぎてせっかくの凹凸形状の意味をなさなくなり漏れが発生し易くなる。また、凸部36aの高さw14は1〜4mmがよく1mmより小さくなると、切り込みみたいになり、端部シール41がクリーニングブレード116に沿うことができない。また、4mmより長くなると凸部が大き過ぎてその頂部エッジの部分で回収トナー漏れが発生し易くなる。
【0076】
更に、クリーニングブレード116と端部シール41の対向した凹凸形状部35、38
の隙間gとしては0.01〜2mmがよい。0.01mmより狭くなると、クリーニングブレード116の端面34が端部シール41に干渉した状態になる。また、2mmより大きくなると、漏れる可能性が出てくる。
【0077】
一方、端部シール41の凹部49aは、上記クリーニングブレード116の凸部36aと同様の形状とされ、凹部49aの横幅W15及び深さw16は、それぞれ、クリーニングブレード116の凸部の横幅w13及び高さw14と同じとされる。また、上述したように、クリーニングブレード116の凸部36aの高さw14は、間隙gより大とされる。
【0078】
(E)図10に、クリーニングブレード116の端面形状(即ち、凸部36a)の他の例を示す。本例にても、これも上記例(A)と同様に、クリーニングブレード116と端部シール41の形状、或いは、貼り位置関係に大きな特徴がある。
【0079】
クリーニングブレード116の端面形状は、図10に示すように、端面34の一部が図示する形状、即ち、湾曲形状の凸部36aを有する形状とされる。この凸部36aも先の例(A)と同じように連続的に複数形成されて波形形状としても良い。一方、端部シール41には、クリーニングブレード116の凸部36aに間隙gを持って嵌り合う湾曲形状の凹部49aが形成される。
【0080】
クリーニングブレード116の凸部36aの形状について説明する。凸部36aの横幅w17は1〜8mmがよく、1mmより小さくなると、所期の効果がなくなる可能性がある。また、8mmより長くなると長すぎてせっかくの凹凸形状の意味をなさなくなり漏れが発生し易くなる。
【0081】
また、凸部36aの高さw18は1〜4mmがよく、1mmより小さくなると、これも切り込みみたいになり、端部シール41がクリーニングブレード116に沿うことができない。また、4mmより長くなると凸部36aが大きくなり過ぎて、その頂部エッジの部分で回収トナー漏れが発生し易くなる。
【0082】
更に、クリーニングブレード116と端部シール41の対向した凹凸形状部35、48の隙間gとしては0.01〜2mmがよい。0.01mmより狭くなると、クリーニングブレード116の端面34が端部シール41に干渉した状態になる。また、2mmより大きくなると、漏れる可能性が出てくる。
【0083】
一方、端部シール41の凹部49aは、上記クリーニングブレード116の凸部36aと同様の形状とされ、凹部49aの横幅W19及び深さw20は、それぞれ、クリーニングブレード116の凸部の横幅w17及び高さw18と同じとされる。また、上述したように、クリーニングブレード116の凸部36aの高さw18は、間隙gより大とされる。
【0084】
上記説明にて理解されるように、本発明によれば、基本的に、クリーニングブレード116及び端部シール41のどちらかが凸部であり、それに沿ったクリーニングブレード116及び端部シール41各々が対称の形で凹部になっていればよい。
【0085】
(感光ドラム)
次いで、像担持体としての感光ドラム101の一般的なことについて説明する。ただ、本実施例にて、感光ドラムについては、長寿命を意識したものであるが、これに限るものではなく、また、以下に説明する表面保護層はなくても良い。
【0086】
先ず、図11を参照して、感光ドラム101、即ち、感光体の長寿命を意識した表面保護層56の特徴の一例について簡単に説明する。感光体の表面保護層56のHU(ユニバーサル硬さ値)及び弾性変形率は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読し連続的硬さを求められる微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定した。圧子は対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用した。荷重の条件は最終荷重6mNまで段階的に(各点0.1sの保持時間で273点)測定した。
【0087】
出力チャートの概略を図12に示す。縦軸は荷重(mN)で横軸は押し込み深さh(μm)であり、段階的に荷重を増加させ6mNまで荷重をかけ、その後同様に段階的に荷重を減少させた結果である。
【0088】
HUは、6mNで押し込んだ時の同荷重下での押し込み深さから下記式(1)によって規定される。
【0089】
【数1】

【0090】
弾性変形率は、圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギーの変化より求めたものであり、下記式(2)からその値は求まる。全仕事量Wt(nW)は図10中のA−B−D−Aで囲まれる面積で表され、弾性変形の仕事量We(nW)はC−B−D−Cで囲まれる面積で表される。
弾性変形率=We/Wt×100(%) ・・・(2)
【0091】
有機電子写真感光体に求められる性能として機械的劣化に対する耐久性の向上が挙げられる。一般的に膜の硬度は外部応力に対する変形量が小さいほど高く、電子写真感光体も当然の如く鉛筆硬度やビッカース硬度が高いものが機械的劣化に対する耐久性が向上すると考えられている。しかしながら、これらの測定により得られる硬度が高いものが必ずしも耐久性の向上を望めたわけではなかった。
【0092】
本発明者らは、鋭意検討の末、HUと弾性変形率の値が、ある範囲の場合に表面保護層56の機械的劣化が起り難くなることを見出した。すなわち、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行う。そして、最大荷重6mNで押し込んだ時のHUが150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ、弾性変形率が40%以上65%以下である電子写真感光体を用いることによって飛躍的に向上した。また、更なる特性の向上にはHU値が160N/mm2以上200N/mm2以下であることがより好ましい。
【0093】
HUと弾性変形率を切り離してとらえることはできないが、例えば、HUが220N/mm2を超えるものであるとき、弾性変形率が40%未満であると、クリーニングブレードや帯電ローラに挟まれた紙粉やトナーが感光体の弾性力が不足している。そのために、結果として局部的に大きな圧力がかかり深い傷が発生してしまう。また、弾性変形率が65%より大きいと、弾性変形率は高くても弾性変形量は小さくなってしまうが故に、結果として局部的に大きな圧力がかかり深い傷が発生してしまう。よって、HUが高いものが必ずしも感光体として最適ではないと考えられる。
【0094】
また、HUが150N/mm2未満で、弾性変形率が65%を超えるものの場合、たとえ弾性変形率が高くても塑性変形量も大きくなってしまう。そのために、クリーニングブレードや帯電ローラに挟まれた紙粉やトナーが擦られることで削れたり細かい傷が発生したりしてしまう。
【0095】
本実施例において用いられる感光ドラム1で、長寿命を考えると、少なくとも表面保護層56が重合または架橋して硬化された化合物を含有した電子写真感光体からなる。なお、この硬化手段としては、熱、可視光や紫外線などの光、更に放射線を用いることができる。
【0096】
したがって、本実施例において、感光体の表面保護層56を形成する方法としては、表面保護層用として用いられる、重合または架橋により硬化可能な化合物を、融解または含有している塗布溶液を用いる。そして、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティングなどにより塗布した後、この塗布された化合物を硬化手段により硬化する方法が採用される。
【0097】
これらのうち、感光体を効率よく大量生産する方法としては、浸漬コーティング法がもっとも好ましく、本実施例においても浸漬塗布法を採用することが可能である。この表面保護層56については、長寿命を意識したものであってこの限りではない。
【0098】
ここで、感光ドラム1の概略構成を図11を用いて説明する。(a)は単層型の感光ドラム1の概略構成、(b)は積層型の感光ドラム1の概略構成である。
【0099】
(a)の単層型は、外径が例えば30mmの導電性基体(支持体、ドラム基体)51に、電荷発生物質と電荷輸送物質の双方を同一の層(感光層)53に含有する層構成である。
導電性支持体51の表面上には、バリアー機能と接着機能とを有する下引き層52を設けることもできる。
(b)の積層型は、電荷発生物質を含有する電荷発生層54と電荷輸送物質を含有合する電荷輸送層55を、順次または逆順に積層した構成である。電荷発生層54+電荷輸送層55が感光層である。
【0100】
さらに、感光層53又は電荷発生層54+電荷輸送層55上に表面保護層56を形成することも可能である。
【0101】
また、電子輸送層の膜厚を最適化させるために、膜厚の幅を持たせる意味で、表面保護層56を用いることが良い。少なくとも感光体の表面層が、熱や可視光、紫外線などの光、さらに放射線により重合または架橋し硬化させることができる化合物を含有していればよい。
【0102】
そして、感光体としての特性、特に残留電位などの電気的特性及び耐久性の観点から、(b)の積層型の感光ドラムが好ましい。すなわち、電荷発生層54及び電荷輸送層55を順次積層した機能分離型の感光体構成、または、この機能分離型の感光体構成で積層された感光層上に、さらに表面保護層56を形成した構成とするのが好ましい。
【0103】
表面保護層56における、重合または架橋における化合物の硬化方法としては、感光体特性の劣化が少なく、残留電位の上昇が発生せず、十分な硬度を示すことができることから、好適には、放射線が用いられる。
【0104】
(現像装置)
感光ドラム101に形成された静電潜像の現像方法としては、感光ドラム101に対して非接触状態で現像する方法(1成分非接触現像)、感光ドラム101に対して接触状態で現像する方法(1成分接触現像)がある。また、トナー粒子に対して磁性キャリアを混合したものを現像剤として用い、この現像剤を磁気力により搬送し、感光ドラムに対して接触状態で現像する方法(2成分接触現像)がある。また、上記2成分現像剤を感光ドラム1に対して非接触状態で現像する方法(2成分非接触現像法)がある。何れも好適に用いることが出来る。
【0105】
本実施例において、静電潜像の現像のために使用されるトナーとしては、色成分剤、結着樹脂、脂肪族炭化水素−炭素数9以上の芳香族炭化水素共重合石油樹脂、ワックス、磁性剤等で形成された粒径7μmのものが使用されている。
【0106】
以下に、具体例を挙げて本発明を説明する。
【0107】
[具体例1]
下記に示す配合を基に、下記材料で一体成形を行い、クリーニングブレード116を作製した。
ポリカプロラクトン(PCL)(商品名:プラクセル、ダイセル化学社製) 50重量部
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI) 40重量部
1,4−ブタンジオール 4.5重量部
トリメチロールプロパン(TMP) 2.7重量部
【0108】
上記ポリオール(PCL)を70℃で3時間、攪拌加熱し、脱水した後、これをガラス製反応容器に仕込み、引き続いて、MDIを反応容器に加え、窒素ガス雰囲気下に70℃で1〜2時間攪拌して、プレポリマーを調製した。
【0109】
別に、硬化剤(1,4−ブタンジオールとトリメチロールプロパンと上記ポリオール)をそれぞれ100℃で1時間、攪拌加熱し、脱水した後、ガラス製反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、混合液が無色透明になるまで、100℃で攪拌混合した。
【0110】
次いで、擬プレポリマーと硬化剤とをそれぞれ60℃、40℃に示す温度に加熱し、重量比10:9示す割合にてミキシング・ヘツドに供給し、混合攪拌しながら、予め145℃に加熱した型内に注入した。型内の所定位置には予め板金31を設置させておき、ブレードは直接板金に対して接着し、一体成形した。本例では、板金厚み2mmのクリーニングブレード116の成形を行った。
【0111】
次いで、成形物を型から取出し、110℃で24時間加熱して二次硬化を行った。
【0112】
得られたクリーニングブレード116の物性としては、それらの詳細設計条件としては、クリーニング性能を出すクリーニングブレード116の厚みT0は2mm、自由長L0は8mmであり、ブレード材料自体の硬度が71°(JIS A)で、ヤング率6.1Mpaであった。この時のクリーニングブレード116の端部については、図6の形状を基に、クリーニングブレード116の端面34(側面形状)を横幅(w1)2mm、深さ(w2)1mmの三角形状に作製した。
【0113】
次に、端部シール41の具体的な作製方法としては、図4に示すように下記シート材を貼り合わせて作製した。
基層・・・・難燃性ポリウレタン発泡体(イノアック社製:商品名ポロンU−32、厚さ1.5mm)
接着層・・・・アクリル系感圧接着剤(住友スリーエム社製:商品名F−9469PC、厚さ0.125mm)
パイル材・・・・PTFE(東レ社製:商品名2400デニール、180kF、毛長5mm)
貼付け層・・・・アクリル系接着剤の両面粘着テープ(日東電工社製:商品名#500NC)
【0114】
ただ、このときのパイル材としては、上記実施例記載の基布に、パイル織りしてベロア加工して起毛させ、裏側をスチレンーブタジエン共重合ゴムで固定してシート材にしたものを示します。
【0115】
これらのシート材を、図4に示すように、貼り合わせ、型抜きで図6のようなL字形状の型を形成する。その際の特徴としては、クリーニングブレード116の端部と合う面は横幅(w3)2mm、高さ(w4)1mmの端部シール41を形成した。その端部シール41をクリーニングブレード116側面34に貼りあわせてクリーニング容器を形成した。そのときの、クリーニングブレード116と端部シール41の隙間gは0.5mmとなった。
【0116】
また、このときの感光ドラム101としては、以下のようにして作製した。直径30mmのアルミニウムシリンダー(スラスト長360mm)を硬度試験用と実機テスト用とを用意する。導電層用の塗料を以下の手順で調整した。10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部(重量部、以下同様)、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部を直径1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して調整した。この塗料をシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布し、140℃で30分乾燥して、膜厚20μmの導電層を形成した。
【0117】
次に、N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗料を調整した。この塗料を前記の導電層上に浸漬コーティング法によって塗布し、100℃で20分間乾燥して、0.6μmの中間層を形成した。
【0118】
次に、CuKαのX線回折におけるブラック角2θ±0.2度が9.0度、14.2度、23.9度及び27.1度に強いピ−クを有するオキシチタニウムフタロシアニンを3部、ポリビニルブチラ−ル(商品名エスレックBM2、積水化学(株)製)3部及びシクロヘキサノン35部を直径1mmガラスビ−ズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、その後に酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記の中間層の上に浸漬塗布方法で塗布して50℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0119】
電荷発生層を形成した後、下記構造式(1)のスチリル化合物を10部
【0120】
【化1】

【0121】
および下記構造式(2)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂10部を
【0122】
【化2】

【0123】
モノクロロベンゼン50部及びジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調整した。この塗布液を前記の電荷発生層上に浸漬コーティングし、120℃で一時間乾燥することによって膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0124】
【化3】

【0125】
次いで、上記構造式(3)の正孔輸送性化合物60部をモノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン50部の混合溶媒中に溶解し保護層用塗料を調整した。この保護層用塗料には、フッ素原子含有樹脂粒子として4フッ化エチレン樹脂を保護層の全重量に対して30重量%を含有させた。
【0126】
この塗布液を前記の電荷輸送層上にコーティングしたあと、酸素濃度10ppmの雰囲気下で加速電圧150KV、照射線量50KGyの条件で電子線を照射した。その後、引き続いて、同雰囲気下で感光体の温度が100℃になる条件で10分加熱処理をおこない、膜厚5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
【0127】
硬度試験用の感光体を25℃湿度50%の環境下に24時間放置した後、前述した微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて、HU及び弾性変形率を求めると、HU(ユニバーサル硬さ値)が190N/mm2、We(弾性変形率)が46%であった。
【0128】
試験用感光ドラムをiR3045(キヤノン株式会社製)に入れ、通常環境下(20℃/50%)でトナー載り量0.025g/A4サイズの画像を1枚間欠で通紙画像試験(100K枚)を行い、表層の膜厚を渦電流式膜厚計(Fisher社製)で測定した。その際、画像可能領域の削れ量は0.1μm/10K回転となった。また、このときのクリーニングブレード端部漏れの発生はなく、長寿命を意識した画像形成装置ができた。
【0129】
[具体例2]
クリーニングブレード116の端面34の凹凸形状35及び端部シール41の凹凸形状48を図7に示す構成とした。横幅(w7)2mm、高さ(w8)及び深さ(w6)1.5mm、のような構成をとり、貼り付け位置、即ち、間隙(g)を1mmとした。それ以外は、具体例1と同様にした。
【0130】
具体例1と同様な通紙画像試験(100K枚)を行ったが、具体例1と同様に、クリーニングブレード端部漏れの発生はなく、長寿命を意識した画像形成装置ができた。
【0131】
[具体例3]
クリーニングブレード116の端面34の凹凸形状35及び端部シール41の凹凸形状48を図8に示す構成とした。横幅(w9)3mm、高さ(w12)及び深さ(w10)1.5mm、横幅(w11)3mm、のような構成をとり、貼り付け位置、即ち、間隙(g)を1.5mmとした。それ以外は、具体例1と同様にした。
【0132】
具体例1と同様な通紙画像試験(100K枚)を行ったが、具体例1と同様に、クリーニングブレード端部漏れの発生はなく、長寿命を意識した画像形成装置ができた。
【0133】
[具体例4]
クリーニングブレード116の端面34の凹凸形状35及び端部シール41の凹凸形状48を図9に示す構成とした。横幅(w13)及び(w15)2mm、高さ(w14)及び深さ(w16)1.5mm、のような構成をとり、貼り付け位置、即ち、間隙(g)を1mmとした。それ以外は、具体例1と同様にした。
【0134】
具体例1と同様な通紙画像試験(100K枚)を行ったが、具体例1と同様に、クリーニングブレード端部漏れの発生はなく、長寿命を意識した画像形成装置ができた。
【0135】
[具体例5]
クリーニングブレード116の端面34の凹凸形状35及び端部シール41の凹凸形状48を図10に示す構成とした。横幅(W17)及び(w19)4mm、高さ(w18)及び深さ(w20)2mm、のような構成をとり、貼り付け位置、即ち、間隙(g)を1.5mmとした。それ以外は、具体例1と同様にした。
【0136】
具体例1と同様な通紙画像試験(100K枚)を行ったが、具体例1と同様に、クリーニングブレード端部漏れの発生はなく、長寿命を意識した画像形成装置ができた。
【0137】
[比較例1]
クリーニングブレード116の端面34の凹凸形状35及び端部シール41の凹凸形状48を真っ直ぐな直線的に変更した。また、クリーニングブレードと端部シールの貼り付けを行ったが、間隙(g)は0.5mmとなった。
【0138】
具体例1と同様な通紙画像試験(100K枚)を行ったが、10K枚も持たずに端部漏れが発生した。
【0139】
[比較例2]
クリーニングブレード116の端面34の凹凸形状35及び端部シール41の凹凸形状48を真っ直ぐな直線的に変更した。その際、何回も貼り直したりして、時間を通常の20倍(約20分)かけて間隙(g)を0mmとした。
【0140】
具体例1と同様な通紙画像試験(100K枚)を行ったが、50K枚ぐらいまでは端部漏れは発生しなかったが、途中、パイル材の毛倒れとクリーニングブレードの干渉が発生し、50Kすぎぐらいから薄っすら抜け出し、60Kではスジがはっきり分かるぐらい抜けが発生した。
【0141】
[比較例3]
具体例1において、感光ドラム101に表面保護層56を形成しなかった以外は、具体例1と同様の膜厚30μmの感光層を得た。この感光ドラム101を実施例1と同様の通紙、画像試験を行った。この感光体の削れ量は2.5μm/10K枚となった。その際、画像領域の電荷輸送層がどんどん削られ、65K超えたあたりで端部傷が目立つようになった。とても高耐久が可能になったとは言えなくなった。
【符号の説明】
【0142】
35、48 凹凸形状
41 端部シール
101 感光ドラム(像担持体)
115 クリーニング装置
116 クリーニングブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に当接して、前記像担持体上の現像剤を除去する弾性クリーニングブレードと、
前記弾性クリーニングブレードで除去した現像剤が前記像担持体と当接した当接部の端面から漏れないように防止する端部シールと、
を有するクリーニング装置を備えた画像形成装置において、
前記弾性クリーニングブレードの前記端面の一部に凹部又は凸部を形成して凹凸形状部を形成し、かつ前記端部シールの、前記弾性クリーニングブレードの前記端面に沿った領域にも、前記弾性クリーニングブレードの凹凸形状部の凹部又は凸部と所定の間隙を持って嵌り合う凸部又は凹部を有する凹凸形状部を形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記凹凸形状部の前記凸部の大きさは、前記弾性クリーニングブレードと前記端部シールとの間隙より大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記凹凸形状部の前記凸部の最大高さは、1〜4mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記凹部の最大開口部の横幅は、1〜8mmになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記凹凸形状部は、凹部及び凸部が連続して形成されて、波形形状をなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記弾性クリーニングブレードは、ゴム製の短冊状とされることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記端部シールは、前記像担持体と接触するブラシ状シール部材を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ブラシ状シール部材は、基布にパイル糸を起毛させ、樹脂で固定して形成されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像担持体が25℃湿度50%の環境下でビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて硬度試験を行い、最大荷重6mNで押し込んだ時のHU(ユニバーサル硬さ値)が150N/mm2以上220N/mm2以下であり、かつ弾性変形率が40%以上65%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−164283(P2011−164283A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25680(P2010−25680)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】