説明

画像形成装置

【課題】転写不良の発生を抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】複写機は、中間転写ベルト64上に形成されたトナー像を記録シートに転写するための転写ローラ71と、トナー像が転写された記録シートを除電するための除電部材72と、除電部材72を流れる第1の電流に基づいて、転写ローラ71を流れる第2の電流を制御するHV電源75とを備えている。HV電源75は、第1の電流と第2の電流との差が一定となるように第2の電流を制御することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より特定的には、電子写真方式の複写機、プリンタ、またはファクシミリ装置などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、一般に、像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像を転写材(用紙)に転写して圧着することにより、転写材に画像を形成する。特に画像形成装置における接触転写手段は、転写ローラから像担持体へ転写電流を流して像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写する。また、接触転写手段の近傍には除電部材が設けられており、除電部材は転写後の転写材の除電および搬送経路からの転写材の分離を行う。
【0003】
ここで、特開2002−365923号公報(特許文献1)には、用紙の吸湿状態、動作環境にかかわらず用紙の分離不良を防止し得る画像形成装置が開示されている。特許文献1の画像形成装置は、転写ローラから用紙を通じて除電針に流れる電流を測定し、その電流値に応じて、除電バイアス制御手段から除電針に印加する電圧を制御する。
【特許文献1】特開2002−365923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電子写真分野(特に画像形成装置)において、転写材の抵抗が想定範囲内のレベルである場合には所望の転写性能が得られる(画像性能が保証される)が、抵抗が想定範囲を超えて低い転写材(たとえば高湿環境の調湿紙)の場合には、かすれなどの転写不良が発生し易かった。すなわち、高湿環境の調湿紙などに画像形成する場合には、転写ローラから像担持体へ流れる転写電流の一部が転写ローラに近接している除電部材から漏れて、転写材を通じて搬送経路へ電流が流れやすくなる。その結果転写電流不足となり、転写不良が発生し易かった。
【0005】
従って、本発明の目的は、転写不良の発生を抑制可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に従う画像形成装置は、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段と、トナー像が転写された転写材を除電するための除電部材と、除電部材を流れる第1の電流に基づいて、転写手段を流れる第2の電流を制御する電流制御部とを備えている。
【0007】
上記画像形成装置において好ましくは、電流制御部は、第1の電流と第2の電流との差が一定となるように第2の電流を制御する。
【0008】
上記画像形成装置において好ましくは、除電部材は除電するための複数の電極を含んでおり、複数の電極の各々は互いに並列に並んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置によれば、転写不良の発生を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態におけるタンデム型カラーデジタル複写機の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1における中間転写ユニット、2次転写部、および定着部などの構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態の複写機における2次転写部付近の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態の複写機における2次転写部付近の他の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態の複写機における、HH(高温高湿)環境の調湿紙にトナー像を転写した場合の電流Itおよび電流Ieの各々の時間変化の一例を模式的に示す図である。
【図6】除電部材の構成の一例を模式的に示す図である。
【図7】比較例の複写機における2次転写部付近の構造を模式的に示す図である。
【図8】比較例の複写機における、HH環境の調湿紙にトナー像を転写した場合の電流Itおよび電流Ieの各々の時間変化の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0012】
[複写機全体の構成]
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態におけるタンデム型カラーデジタル複写機(以下「複写機」と記す)の構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1における中間転写ユニット、2次転写部、および定着部などの構成を模式的に示す断面図である。
【0014】
図1および図2を参照して、本実施の形態における画像形成装置としての複写機は、原稿画像を読み取るイメージリーダ部10と、読み取った画像を記録シートS上にプリントして再現するプリンタ部20と、各部を制御することにより画像形成装置の動作を制御する制御部30とを備えている。イメージリーダ部10とプリンタ部20と制御部30とは、互いに電気的に接続されている。
【0015】
イメージリーダ部10は、原稿の画像に沿ってスキャナを移動させることにより、原稿ガラス板(不図示)に載置された原稿の画像を読み取る部分である。原稿画像は、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色に色分解されて、不図示のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサにより電気信号に変換される。これにより原稿のR、G、Bの画像データが得られる。イメージリーダ部10はさらに、プリンタ部20のジャム(JAM)や寿命などの情報を表示するためのパネル部13を含んでいる。
【0016】
制御部30は、画像形成装置の基本機能を実現するためのプログラム、データなどを記憶するための画像メモリ33を含んでいる。イメージリーダ部10で得られた各色成分の画像データは、制御部30において各種のデータ処理を受け、さらにシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換される。以下、シアン、マゼンク、イエロー、ブラックの各再現色をC、M、Y、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのC、M、Y、Kを添字として付加する。イメージリーダ部10によって変換された画像データは、制御部30内の画像メモリ33に再現色ごとに格納される。そして画像データは、制御部30によって位置ずれ補正のための必要な補正がされた後、記録シートS(転写材)の供給と同期して1走査ラインごとに読み出され、レーザーダイオード(LD)46Y〜46Kの駆動信号となる。
【0017】
プリンタ部20は、電子写真方式により画像を形成する部分であって、画像プロセス部40と、給紙部50と、中間転写ユニット60と、2次転写部70と、定着部80とを含んでいる。
【0018】
画像プロセス部40は、中間転写ベルト64上にトナー像を作像するための部分であり、Y、M、C、Kの各色の作像部40Y〜40Kによって構成されている。作像部40Y〜40Kの各々は、中間転写ベルト64に対向して、中間転写ベルトクリーナー66側(以降「上流側」と記す)から記録シートS搬送側(以降「下流側」という)に沿って所定間隔でこの順序で配置されている。作像部40Y〜40Kの各々は、画像プロセス部と露光走査部47Y〜47Kとから構成されている。露光走査部47Y〜47Kの各々は、制御部30から出力された駆動信号を受けて光を発するレーザーダイオード(LD)46Y〜46Kを有している。画像プロセス部は、感光体ドラム41Y〜41Kと、感光体ドラム41Y〜41Kの各々を中心としてその周囲に配された帯電チャージャ42Y〜42Kと、現像器43Y〜43Kと、クリーナ44Y〜44Kと、感光体ドラム41Y〜41K上のトナー像を中間転写ベルト64に転写する転写ローラ45Y〜45Kとを含んでいる。
【0019】
給紙部50は、転写材としての記録シートSを2次転写部70へ供給するための部分であり、図1中下方向から上方向へ延びる記録シートSの搬送路の最上流側(図1中下側)に配置されている。給紙部50は、記録シートSを収納しておくための給紙カセット51と、記録シートSを給紙カセット51から繰り出すための給紙ローラ52と、2次転写部70へ繰り出すタイミングをとるためのレジストローラ53とを含んでいる。レジストローラ53の上流側直前には、記録シートSの先端を検出するためのシート検出センサSE1が設けられている。
【0020】
中間転写ユニット60は、中間転写ベルト64を回転駆動するための駆動ローラ61と、中間転写ベルト64の回転に従って回転する従動ローラ62と、中間転写ベルト64を張架するための、従動ローラ62に設けられたテンションばね63と、駆動ローラ61および従動ローラ62に掛け渡された中間転写ベルト64とを含んでいる。中間転写ユニット60はさらに、中間転写ベルト64上の残留トナーを除去するための中間転写ベルトクリーナー66、スクリュー67、ジョイント68、および廃トナーボックス69を含んでいる。
【0021】
2次転写部70(接触転写手段)は、中間転写ベルト64上に形成されたトナー像を記録シートSに2次転写するための部分であり、中間転写ベルト64と対向して配置された2次転写ローラ71と、トナー像が転写された記録シートSを除電するための除電部材72とを含んでいる。除電部材72は、記録シートSの搬送路における2次転写ローラ71よりも下流側に配置されている。なお、2次転写ローラ71としては、たとえばEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)にカーボンを分散させたタイプの電子導電性のものや、環境依存性の大きいイオン導電性のNBR(ニトリルゴム)などが用いられてもよい。また、2次転写ローラ71におけるイオン導電性を有する転写ローラとして、NBRの他に、ウレタンゴム、ヒドリンゴムなどが用いられてもよい。また、除電部材72には電圧を印加可能であってもよい。
【0022】
定着部80は、記録シートS上に転写されたトナー像を定着させるための部分である。定着部80は、記録シートSの搬送路における2次転写部70よりも下流側に配置されている。
【0023】
[複写機における画像のプリント方法]
【0024】
図1および図2を参照して、記録シートSが給紙ローラ52によって給紙カセット51から給紙され、記録シートSの先端がレジストローラ53に到達すると、シート検出センサSE1により記録シートSが検出される。制御部30は、シート検出センサSE1からの検出信号を受信すると、タイミングを取りながら、レジストローラ53の駆動部(図示無し)に先端レジストローラ信号を発してレジストローラ53による給紙を開始させ、記録シートSを2次転写部70の方(図1中上方)へ送る。
【0025】
露光走査部47Y〜47KにおけるLD46Y〜46Kの各々は、制御部30からの駆動信号を受けて光をそれぞれ出射し、これらの光の各々は、感光体ドラム41Y〜41Kの表面をそれぞれ露光走査する。感光体ドラム41Y〜41Kの各々は、露光走査される前にクリーナ44Y〜44Kの各々によって表面の残存トナーが除去され、さらにイレーサランプ(図示無し)に照射されて除電される。そして感光体ドラム41Y〜41Kの各々は、帯電チャージャ42Y〜42Kからの電荷の供給により一様に帯電した状態で、LD46Y〜46Kの各々の光によって露光される。その結果、感光体ドラム41Y〜41Kの表面には静電潜像が形成される。感光体ドラム41Y〜41Kの表面の各静電潜像は、各色の現像器43Y〜43Kにより現像され、これにより感光体ドラム41Y〜41Kの各々の表面にY、M、C、Kのトナー像が形成される。感光体ドラム41Y〜41K上のトナー像は、電圧が印加された転写ローラ45Y〜45Kの各々に引き寄せられ、中間転写ベルト64上に順次転写される。この際、中間転写ベルト64上への各色の転写動作は、各色のトナー像が搬送されてくる中間転写ベルトの同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写ベルト64の上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
【0026】
中間転写ベルト64上に形成された画像は2次転写部70まで搬送され、そこで2次転写ローラ71によって記録シートSに2次転写が行われる。各色のトナー像が転写された記録シートSは、転写直後に裏面側(図1中右側)から除電部材(除電針)72によって過剰な電荷が除去(除電)される。次に記録シートSは、搬送ガイド83および定着突入ガイド82によって図1中上部へ案内され、定着部80によって高熱で加圧される。これにより記録シートS表面のトナー粒子がシート表面に溶融付着して定着する。定着された記録シートSはその後、排紙トレイ(図示無し)上に排出される。
【0027】
なお、2次転写後に中間転写ベルト64上に残った残留トナーは中間転写ベルトクリーナー66によって回収され、回収された残留トナーはスクリュー67にて装置手前側に搬送され、ジョイント68を介して廃トナーボックス69に収納される。
【0028】
[2次転写部における転写電流の制御方法]
【0029】
図3は、本発明の一実施の形態の複写機における2次転写部付近の構成を模式的に示す図である。
【0030】
図3を参照して、本実施の形態の複写機における2次転写部70は、図1および図2に示す構成に加えて、HV(高圧)電源75を含んでいる。HV電源75は転写ローラ71および除電部材72の各々と電気的に接続されている。転写ローラ71にはHV電源75によって所定の電圧が印加されている。この状態で中間転写ベルト64と転写ローラ71との間を図3中下から上に向かう矢印で示す方向に記録シートSが通過すると、中間転写ベルト64上のトナー像が記録シートSに転写され、転写ローラ71と中間転写ベルト64との間に転写電流Icが流れる。
【0031】
転写ローラ71と中間転写ベルト64との間に転写電流Icが流れる際には、記録シートSを通じて転写ローラ71と除電部材72との間にも漏れ電流Ieが流れる。その結果、転写ローラ71には転写電流Icと漏れ電流Ieとの和である電流Itが流れる。除電部材72を流れる漏れ電流IeはHV電源75に入力される。HV電源75は漏れ電流Ieに基づいて電流Itを制御する。具体的には、HV電源75は、基準となる電流(ここでは転写電流Icに相当する電流)に除電部材72から入力された漏れ電流Ieを加算することで、それを電流Itとする。すなわち、HV電源75は、It=Ic+Ieの関係が成立するように、電流Itの出力を行う。これにより、転写電流Icが一定になるように制御が行われる。
【0032】
また、2次転写部における転写電流の制御方法は、図3の構成による制御方法の他、たとえば以下の構成による制御方法であってもよい。図4は、本発明の一実施の形態の複写機における2次転写部付近の他の構成を模式的に示す図である。
【0033】
図4を参照して、本実施の形態の複写機における2次転写部70は、図1および図2に示す構成に加えて、電流計測部73と、電流計測部74と、HV電源75とを含んでいる。電流計測部73は転写ローラ71に電気的に接続されており、電流計測部74は除電部材72に電気的に接続されており、HV電源75は電流計測部73および74の各々と電気的に接続されている。この構成においては、電流Itは電流計測部73によって測定され、漏れ電流Ieは電流計測部74によって測定される。そして、電流計測部73で計測される電流Itの値がモニタリングされながら、電流計測部74で計測された漏れ電流Ieの値に基づいてHV電源75によって電流Itが制御される。電流Itはたとえば転写電流Ic(=It−Ie)が一定になるように制御される。
【0034】
図5は、本発明の一実施の形態の複写機における、HH環境の調湿紙にトナー像を転写した場合の電流Itおよび電流Ieの各々の時間変化の一例を模式的に示す図である。なお、図5中横軸は時間経過を示しており、縦軸は電流を示している。また図5中横方向の左右両端に矢が付された矢印は、A3サイズの転写材が2次転写部を通過している時間帯を示している。
【0035】
図5においては、実質の転写電流Ic(=It−Ie)が10μAの定電流となるように電流Itが制御されている。転写電流Icが定電流制御されるため、HH環境の調湿紙において漏れ電流Ieが増加しても、転写電流不足による転写材上の画像の転写かすれが生じにくくなり、転写不良を抑制可能である。
【0036】
なお、電流Ieに基づく電流Itの制御は、HV電源に電気的に接続された電気回路や、HV電源に内蔵されたコンピュータまたはHV電源に電気的に接続されたコンピュータにインストールされたソフトウェアなどによって行われてもよい。特にソフトウェアによって電流Itの制御が行われる場合、転写材に形成される画像のB/W(ブラック/ホワイト)比などに基づいて制御が行われてもよい。またさらにセンサにより検知された複写機内部および/または外部の温度、湿度などの環境や、用紙の種類などに基づいて電流Itを制御してもよい。
【0037】
[除電部材の構成]
【0038】
図6は、除電部材の構成の一例を模式的に示す図である。
【0039】
図6を参照して、除電部材72は用紙の分離・除電性を確保するためのものであり、記録シートSを除電するための複数の電極72aを含んでいる。電極72aの各々は等間隔に配置されており、互いに並列に並んでいる。電極72aの各々は、本体部72bから記録シートSの方向(図6中上方向)に延在している。なお除電部材としては、図6に示す鋸歯状の電極が除電針として一列に並んだ構成の他、ブラシ型やプレート型の形状のものが用いられてもよい。
【0040】
[本実施の形態の効果]
【0041】
以下、本実施の形態の効果について、比較例における転写電流の制御方法と対比して説明する。
【0042】
図7は、比較例の複写機における2次転写部付近の構造を模式的に示す図である。
【0043】
図7を参照して、比較例における2次転写部70の構成は、HV電源75から転写ローラ71に印加される電圧が一定であり、それにより転写ローラ71に流れる電流Itが定電流制御される点において、図3に示す本実施の形態の2次転写部の構成と異なっている。
【0044】
図8は、比較例の複写機における、HH環境の調湿紙にトナー像を転写した場合の電流Itおよび電流Ieの各々の時間変化の一例を模式的に示す図である。なお、図8中横軸は時間経過を示しており、縦軸は電流を示している。また図8中横方向の左右両端に矢が付された矢印は、A3サイズの転写材が2次転写部を通過している時間帯を示している。
【0045】
普通紙用の転写電流として転写ローラに印加する電流Itは10μAで定電流制御されている。この定電流制御の下で調湿紙に画像形成される場合、NN(通常)環境やLL(低温低湿)環境では調湿紙(記録シートS)の抵抗低下は少ないため、漏れ電流Ieは少なく、転写電流Icは電流Itとほぼ同じである。このため、転写電流不足による影響は非常に小さい。しかし、HH環境では調湿紙の抵抗が大きく低下し、10以下という低い表面抵抗ρs(1ogΩ)となる。このため、漏れ電流Ieが増加する。図8では電流Ieは約3μAまで増加し、実質的な転写電流Ic(像担持体への流れ込み電流)(=It−Ie)の値が約7μAにまで減少している。その結果、転写電流不足による転写材上の画像のかすれが発生する。なお、一般に、用紙の分離性や除電を目的に転写後に除電部材を設置し用紙の電荷を逃がしているが、用紙の電荷を逃すための電流は通常の環境では僅かな量である。具体的には、この電流はシステム速度に関係し100mm/secの場合は0.5〜1μA程度となる。
【0046】
一方、本実施の形態の画像形成装置は、像担持体上に形成されたトナー像を接触転写手段で転写材に転写し、用紙の分離/除電性を確保するための除電部材として鋸歯状の電極が一列に並んだ除電針が設置されている画像形成装置であって、転写ローラに流れる電流Itと、転写材から除電部材に流れる漏れ電流Ieとの差(It―Ie)が一定になるように定電流制御することを特徴としている。これにより、プリント時の除電部材に流れる漏れ電流Ieが検出され、電流Ieの電流値が転写ローラを流れる電流Itの電流値にフィードバックされる。その結果、高湿環境で調湿された転写材などの低抵抗用紙において除電部材から転写電流が漏洩しても、トナーを転写するための実質的な転写電流を確保し、転写電流を一定に制御することができる。また用紙の分離/除電性能を確保しつつ、高湿環境で調湿された転写材などの低抵抗用紙においても画像かすれなどの転写不良の発生を抑制可能である。また本実施の形態の制御方法は、高湿環境下で除電部材に転写電流が漏洩し転写ローラに流れる電流を制御している装置において、転写電流不足による画像かすれを抑制することができる制御方法であり、除電バイアスに電圧を印加する必要がない安価な制御方法である。
【0047】
また、本実施の形態によると、特許文献1のように除電部材にバイアスを印加する必要がないため、HVトランスなどの高価な構成を省略することができ、装置構成の簡略化およびコストの低減を図ることができる。また、転写材上の画像のかすれを防ぐために、除電部材に流れた電流値を元に除電バイアスの印加電圧を制御して必要以上に除電部材から転写電流が漏れないようにする制御方法は、高湿環境の調湿紙という非常にレアなケースのみに対応するための方法である。それにもかかわらず除電バイアスに電圧を印加するための高圧トランスが必要となり、コストアップに繋がっていた。本実施の形態においてはこのようなコストアップを抑制することができる。
【0048】
さらに、図6に示す構成の除電部材72を採用することにより、記録シートSの除電が容易となる。
【0049】
なお、上述した複写機においては像担持体が中間転写ベルトである場合について示したが、像担持体として感光体や中間転写体などが用いられてもよい。また、画像形成装置の各構成要素は、装置に応じて適時変更することができる。また、本実施の形態では電流計測部73によって電流Itが測定され、電流計測部74によって電流Ieが測定される場合について示したが、本発明においては、除電部材を流れる第1の電流に基づいて、転写手段を流れる第2の電流が制御されればよい。
【0050】
さらに、本発明の画像形成装置は、上述の複写機に限られるものではなく、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはこれらの複合機などであってもかまわない。
【0051】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
10 イメージリーダ部
13 パネル部
20 プリンタ部
30 制御部
33 画像メモリ
40 画像プロセス部
40Y〜40K 作像部
41Y〜41K 感光体ドラム
42Y〜42K 帯電チャージャ
43Y〜43K 現像器
44Y〜44K クリーナ
45Y〜45K 転写ローラ
46Y〜46K レーザーダイオード
47C〜47K 露光走査部
50 給紙部
51 給紙カセット
52 給紙ローラ
53 レジストローラ
60 中間転写ユニット
61 駆動ローラ
62 従動ローラ
63 テンションばね
64 中間転写ベルト
66 中間転写ベルトクリーナー
67 スクリュー
68 ジョイント
69 廃トナーボックス
70 2次転写部
71 転写ローラ
72 除電部材
72a 電極
72b 本体部
73,74 電流計測部
75 HV電源
80 定着部
82 定着突入ガイド
83 搬送ガイド
S 記録シート
SE1 シート検出センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写するための転写手段と、
前記トナー像が転写された前記転写材を除電するための除電部材と、
前記除電部材を流れる第1の電流に基づいて、前記転写手段を流れる第2の電流を制御する電流制御部とを備えた、画像形成装置。
【請求項2】
前記電流制御部は、前記第1の電流と前記第2の電流との差が一定となるように前記第2の電流を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記除電部材は除電するための複数の電極を含んでおり、前記複数の電極の各々は互いに並列に並んでいる、請求項1または2に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−164476(P2011−164476A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29161(P2010−29161)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】