説明

画像形成装置

【課題】シートの貼り付きを防止すると共に、シートの積載性を保持することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像が定着されたシートを排紙トレイ65に案内する排紙搬送パス82から下方に分岐した引込みパス83、スイッチバックパス84、反転排紙パス90により、トナー像が定着されたシートを一旦引き込んだ後、表裏及び前後方向を反転させて排紙トレイ65に案内する。また、ファン86により、排紙ローラ77の下方に設けられた吹出口1Fから、排紙ローラ77により排出されるシートと排紙トレイ65に既に排出されたシートとの間に空気を吹き出す。そして、ファン86の送風動作を制御する制御部は、引込みパス83、スイッチバックパス84、反転排紙パス90を通過させてシートを排出する場合には、ファン86を選択的に作動させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特にシートを冷却するファンの駆動制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を利用して画像形成を行う複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、トナー像をシートに転写した後、シートを定着装置に搬送してトナー像を定着させることによりシート上に画像を形成するようにしている。さらに、このような画像形成装置には、画像が形成されたシートを、反転部により反転させた後、再搬送部により再度、画像形成部に搬送し、シートの表裏両面に画像形成を行う両面画像形成モードを備えているものがある。
【0003】
ところで、このような従来の画像形成装置において、定着後に排紙トレイ上にシートを排出するが、この際、シートが十分に冷却されていない場合がある。この場合には、排紙トレイ上に排出されたシート同士が融解したトナーにより貼り付く現象(以下、ブロッキング現象という)が発生することがある。この対策として、例えばシートの積載方向に沿ってシートを冷却用空気と接触させる冷却部を設け、排紙トレイ上に排出されるシートの温度を下げるようにしたものがある(特許文献1参照)。また、排紙トレイ上方にファンを配設すると共に、積載シートに対する空冷の要否を判別し、必要に応じてファンの作動・停止を行うようにしたものもある(特許文献2参照)。なお、このように構成すると、積載シートの枚数が少ない場合や、シートの紙間が広い場合など、排紙トレイ上でブロッキング現象が発生しない条件では、ファンを停止させることができ、騒音や電力消費を最小限に抑制することができる。
【0004】
図6は、排紙トレイに積載されたシートをファンにより冷却するようにした従来の画像形成装置のファンによる空気の流れを説明する図である。この画像形成装置では、通常、定着装置300を通過して片面(第1面)に画像が形成されたシートを排紙トレイ310に排出する。そして、このように排紙トレイ310にシートを排出する際、図6の(a)に示すようにファン402により、排出シートS1と既に排出されているシートSaの間に矢印で示す冷却用空気を流すようにしている。なお、このように排出シートS1と既排出シートSaの間に冷却用空気を流すことにより、シートの貼り付きであるブロッキング現象の発生を防ぐことができる。
【0005】
また、シートの表裏両面に画像を形成する両面画像形成モードの場合は、第1面に画像が形成され、定着装置300を通過したシートを引込みパス301に導くようにしている。そして、引込みパス301に導かれたシートSを反転ローラ302,303の正転により反転パス305に導いた後、反転ローラ303の逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして、送り込まれた方向と反対向きに送り出す。なお、このように前後方向が反転した状態で送り出されたシートは、不図示のガイド部材によりガイドされながら両面搬送パス306へと送られ、この後、再度、画像形成部に搬送され、裏面にトナー像が転写される。そして、定着装置300を通過することにより裏面に画像が形成されたシートS1を排紙トレイ310に排出する。そして、このように排紙トレイ310に排出されたシートS1と既排出シートSaの間に冷却用空気を流すことにより、ブロッキング現象の発生を防ぐことができる。
【0006】
ところで、この画像形成装置は、排紙されたシートのページ順を揃えるため、定着装置300を通過したシートを、表裏及び前後方向を反転させて排紙トレイ310に排出する反転排出モードを備えている。そして、このような反転排出モードの場合は、シートを引込みパス301に導いた後、反転ローラ302,303の逆転及びガイド部材の切換えにより反転排紙パス307へと搬送し、排紙トレイ310に排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−219399号公報
【特許文献2】特開2007−079310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような従来の画像形成装置において、図6に示すように引込みパス301が下方に分岐している。このため、反転排紙の場合、定着装置300を通過した直後のシートが湾曲した引込みパス301を通過するようになり、この際、シートに引込みパス301の下向きの湾曲に起因するカールが発生する。そして、このようにカールが発生したシートを反転排紙した場合、シートは表裏が反転して、排紙トレイ310において、排紙方向先端部及び後端部が上方に湾曲するカール状態である上カール状態となる。なお、シートが反転排紙パス307を通過して排紙トレイ310に排出される際、シートは定着装置300を通過した直後に引込みパス301の湾曲の影響を受けた状態で冷却が進んでおり、反転排紙パス307の湾曲には影響されにくい状態になっている。この状態でファン402により、排出シートと既排出シートの間に冷却用空気を流すと、図6の(b)に示すように、矢印に示す冷却用空気が排紙トレイ310上に排出された上カール状態のシートS1の下面に入り込む。これにより、シートS1は浮遊して後続のシートS2と衝突し、この結果、排紙トレイ310上での積載性を損なわれる。
【0009】
また、引込みパスが上方に分岐している構成においては、引込みパスの上向きの湾曲に起因するカールが発生する。このようにカールが発生したシートを反転排紙した場合、シートは表裏が反転して、排紙トレイ310において、排紙方向先端部及び後端部が下方に湾曲するカール状態である下カール状態となる。この状態でファン402により、排出シートと既排出シートの間に冷却用空気を流すと、排出された下カール状態のシートS1の排紙方向先端部で冷却用空気を受けることになり、通常の排紙位置よりも排紙方向下流に運ばれる。これにより、シートS1の排紙方向先端部は排紙トレイ310から垂れ下がってしまい、排紙トレイ310の積載面の傾斜により適正な積載位置まで戻ることができなくなるおそれがある。なお、シートの積載性を保持するため、シートの上カール、下カールを補正するデカール手段を設けるようにすると、装置の大型化やコストアップを招く。
【0010】
そこで本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シートの貼り付きを防止すると共に、シートの積載性を保持することのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、シートにトナー像を定着させる定着部と、トナー像が定着されたシートをシート積載部に排出する排出部材と、トナー像が定着されたシートを前記シート積載部に案内する排出通路と、前記排出通路から分岐し、トナー像が定着されたシートを一旦引き込んだ後、表裏及びシート搬送方向先端と後端を反転させて前記シート積載部に案内する引込みパスと、を備えた画像形成装置において、前記排出部材の下方に設けられ、前記排出部材により排出されるシートと前記シート積載部に既に排出されたシートとの間に空気を吹き出す吹出口と、前記吹出口から吹き出す空気を前記吹出口に向けて送風する送風手段と、前記送風手段の送風動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、トナー像が定着されたシートを、前記引込みパスを通過させることなく前記排出通路から排出する際には前記送風手段を作動させ、トナー像が定着されたシートを、前記引込みパスを通過させて排出する際には前記送風手段を作動させないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少なくとも引込みパスを通過させることなくシートを排出する場合には、送風手段を作動させるようにすることにより、シートの貼り付きを防止すると共に、シートの積載性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記カラーレーザプリンタの制御ブロック図。
【図3】上記カラーレーザプリンタのファンの動作制御を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の制御ブロック図。
【図5】上記画像形成装置のファンの動作制御を示すフローチャート。
【図6】従来の画像形成装置のファンによる空気の流れを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図である。図1において、1はカラーレーザプリンタ、1Aはカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。このプリンタ本体1AにはシートSに画像を形成する画像形成部1Bと、中間転写部1Cと、定着装置5と、画像形成部1BにシートSを給送するシート給送装置1Dが設けられている。なお、このカラーレーザプリンタ1は、シートの裏面に画像を形成することができるようになっており、このため表面(第1面)に画像が形成されたシートSを反転させて再度、画像形成部1Bに搬送する再搬送部1Eが設けられている。
【0015】
画像形成部1Bは、略水平方向に配置され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスステーション2(2Y,2M,2C,2K)を備えている。このプロセスステーション2は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像を担持すると共に不図示のステッピングモータにより駆動される像担持体である感光体ドラム11(11Y,11M,12C,11K)を備えている。また、感光体ドラム表面を一様に帯電する帯電装置12(12Y,12M,12C,12K)を備えている。さらに、画像情報に基づいてレーザビームを照射して一定速度で回転する感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置13(13Y,13M,13C,13K)を備えている。また、感光体ドラム上に形成された静電潜像にイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像装置14(14Y,14M,14C,14K)を備えている。そして、これら帯電装置12、露光装置13、現像装置14等は感光体ドラム11の周囲に回転方向に沿ってそれぞれ配されている。
【0016】
シート給送装置1Dは、プリンタ本体下部に設けられ、シートSを収納するシート収納部である給紙カセット61〜64と、給紙カセット61〜64に積載収納されたシートSを送り出すピックアップローラ71〜74とを備えている。そして、画像形成動作が開始されると、ピックアップローラ71〜74によりシートSは給紙カセット61〜64から一枚ずつ分離給送され、この後、搬送縦パス81を通過し、レジストローラ76に搬送される。ここで、このレジストローラ76は、シートSが突き当られてループを作成することにより、シートSの先端を倣わせ斜行を修正する機能を有している。また、シートSへの画像形成のタイミング、即ち、後述する中間転写ベルト上に担持されたトナー像に合わせて、所定のタイミングにてシートSを二次転写部へ搬送する機能を有している。なお、シートSが搬送される際、レジストローラ76は停止しており、このような停止状態のレジストローラ76にシートSを突き当てることにより、シートに撓みが形成される。そして、この後、シートSの剛性により、シート先端がレジストローラ76のニップに揃うようになることにより、シートSの斜行が補正される。また、この後、シートSの斜行が補正されると、レジストローラ76は後述するように中間転写ベルト31に形成されたトナー像とシートSの先端とが一致するタイミングで駆動される。
【0017】
中間転写部1Cは、感光体ドラム11の外周速度と同期して矢印に示す各プロセスステーション2の配列方向に沿って回転駆動される中間転写ベルト31を備えている。ここで、この中間転写ベルト31は、駆動ローラ33、中間転写ベルト31を挟んで二次転写領域を形成する従動ローラ32及び不図示のばねの付勢力によって中間転写ベルト31に適度な張力を与えるテンションローラ34に張架されている。この中間転写ベルト31は、内側には4個の、それぞれ感光体ドラム11と共に中間転写ベルト31を挟持し、一次転写部を構成する一次転写ローラ35(35Y,35M,35C,35K)が配されている。なお、これら一次転写ローラ35は不図示の転写バイアス用電源に接続されている。そして、この一次転写ローラ35から中間転写ベルト31に転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト31に多重転写され、中間転写ベルト31上にフルカラー画像が形成される。
【0018】
また、従動ローラ32に対向するように二次転写ローラ41が配置されており、この二次転写ローラ41は中間転写ベルト31の最下方の表面に当接すると共に、レジストローラ76により搬送されたシートSを中間転写ベルト31と共に挟持搬送する。そして、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31のニップ部をシートSが通過する際、この二次転写ローラ41にバイアスを印加することにより、シートSに中間転写ベルト上のトナー画像が二次転写される。定着部を構成する定着装置5は中間転写ベルト31を介してシート上に形成されたトナー画像をシートSに定着させるものであり、トナー像を保持したシートSは、この定着装置5を通過する際に熱及び圧力が加えられることによりトナー像が定着される。
【0019】
次に、このように構成されたカラーレーザプリンタ1の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず中間転写ベルト31の回転方向において一番上流にあるプロセスステーション2Yにおいて、感光体ドラム11Yに対し、露光装置13Yによりレーザ照射を行い、感光体ドラム上にイエローの潜像を形成する。この後、現像装置14Yにより、この潜像をイエローのトナーにより現像してイエローのトナー像を形成する。次に、このようにして感光体ドラム11Y上に形成されたイエローのトナー像が、高電圧が印加された一次転写ローラ35Yにより、一次転写領域において中間転写ベルト31に一次転写される。
【0020】
次に、トナー像は中間転写ベルト31と共に、プロセスステーション2Yよりもトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像が形成される次のプロセスステーション2Mの感光体ドラム11Mと一次転写ローラ35Mとにより構成される一次転写領域に搬送される。そして、中間転写ベルト上のイエロートナー像上に画像先端を合わせて次のマゼンタトナー像が転写される。以下、同様の工程が繰り返され、この結果、4色のトナー像が中間転写ベルト31上において一次転写され、中間転写ベルト上にフルカラー画像が形成される。なお、感光体ドラム上に僅かに残った転写残トナーは感光体クリーナ15(15Y,15M,15C,15K)により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0021】
また、このトナー画像形成動作に並行して、例えば給紙カセット61〜64に収容されたシートSは、ピックアップローラ71〜74により一枚ずつ分離給送された後、レジストローラ76まで搬送される。この時、レジストローラ76は停止しており、停止状態のレジストローラ76にシートSを突き当てることにより、シートSの斜行が補正される。また、斜行が補正された後、シートSは、シート先端と中間転写ベルト31に形成されたトナー像とが一致するタイミングで回転を開始するレジストローラ76により、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31とのニップ部に搬送される。そして、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31により挟持搬送されると共に、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31のニップ部を通過する際、二次転写ローラ41に印加されるバイアスにより、シートSに中間転写ベルト上のトナー画像が二次転写される。
【0022】
次に、トナー像が二次転写されたシートSは、定着前搬送装置42により定着装置5へと搬送される。そして、定着装置5は、対向するローラ、もしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナー像を溶融固着させる。ここで、本カラーレーザプリンタ1は、画像が形成されたシートを画像形成面を上にして排紙トレイ上に排出するフェイスアップモードと、画像形成面を下にして排出するフェイスダウンモードと、シートの表裏両面に画像形成を行う自動両面モードを有している。そして、フェイスアップモードの場合には定着画像を有するシートSを排紙搬送パス82に、自動両面モード及びフェイスダウンモードの場合には定着画像を有するシートSを引込みパス83に搬送されるべく不図示の切換部材による経路選択が行われる。
【0023】
ここで、排出モードの一つであるフェイスアップモードの場合には、定着画像を有するシートSは排出通路である排紙搬送パス82を経て、排出部材である排紙ローラ77により、シート積載部である排紙トレイ65に排出される。また、他の排出モードである自動両面モードの場合、シートSは排紙搬送パス82から下方に分岐した引込みパス83を経て第1反転ローラ対78及び第2反転ローラ対79によりスイッチバックパス84へと引き込まれる。この後、第2反転ローラ対79を正転から逆転させるスイッチバック動作を行うことで先後端を入れ替えてシートが両面搬送パス85へと搬送される。さらにこの後、シートSはピックアップローラ71〜74により搬送されてくる後続ジョブのシートSとのタイミングを合わせて搬送縦パス81に合流し、同様にレジストローラ76を経て二次転写部へと送られる。なお、この後の裏面(第2面)に対する画像形成プロセスに関しては、既述した表面(第1面)の場合と同様である。また、シートSを反転排紙させる反転排出モードであるフェイスダウンモードの場合には、定着装置5を通過したシートSを、表裏及び前後方向を反転させて排紙トレイ65に排出するようにしている。このため、フェイスダウンモードが選択された場合には、定着装置5を通過したシートSは、湾曲した引込みパス83から第1反転ローラ対78及び第2反転ローラ対79の正転によりスイッチバックパス84へと引き込まれる。そして、引き込まれたシートSは、第1反転ローラ対78及び第2反転ローラ対79の逆転により、送り込まれた際の後端を先頭にして送り込まれた方向と反対向きに搬送されて反転排紙パス90へと送られ、排紙ローラ77により排紙トレイ65に排出される。なお、本実施の形態において、トナー像が定着されたシートを一旦引き込んだ後、表裏及びシート搬送方向先端と後端を反転させて排紙トレイ65に案内する引込みパスは、引込みパス83、スイッチバックパス84及び反転排紙パス90により構成される。
【0024】
ところで、図1において、88は排紙ローラ77のシート搬送方向上流側に設けられた排紙センサである。そして、この排紙センサ88は、フェイスアップモード、フェイスダウンモード及び自動両面モードのいずれのモードにおいても、排紙トレイ65に排出される前のシートを検知することができる位置に設けられている。なお、本実施の形態において、この排紙センサ88は、シートSが通過すると、不図示の検知片が移動して不図示のフォトインタラプタを遮蔽することにより、シートSの先端を検知するものである。また、図1において、86は排紙トレイ65の下方に設けられ、プリンタ本体外の空気を吸引する送風手段としてのファンである。そして、ファン86により、吸引された空気は、プリンタ本体内に設置されたダクト87に送風され、排紙ローラ77の下方に形成された吹出口1Fから排紙トレイ65上のシートSに向けて吹き出される。このように吹出口1Fから吹き出された空気は、排出シートと既排出シートSaの間に吹き出され、これによりブロッキング現象の発生を防ぐことができる。
【0025】
図2は、カラーレーザプリンタ1の制御ブロック図であり、プリンタ本体1Aの所定位置に設けられたCPU(制御部)89には、例えばプリンタ本体1Aの上面に配置された操作部100と、排紙センサ88と、ファン86が接続されている。また、このCPU89には、操作部100、あるいは不図示の外部PCから、フェイスアップモード信号、フェイスダウンモード信号及び自動両面モード信号が入力されるようになっている。そして、CPU89は、入力されたモードに応じてファン86を選択的に駆動することにより、送風動作を制御するようにしている。ここで、フェイスダウンモードの場合、シートはスイッチバックパス84及び反転排紙パス90を通過することから、フェイスアップモード及び自動両面モードと比べ、定着装置5から排紙トレイ65までの搬送距離が長くなり、この結果、自然冷却効果が高くなる。このため、ファン86による冷却を行わなくとも、ブロッキング現象が発生しない。このことから、本実施の形態においては、CPU89は、入力されたモードがフェイスダウンモードの場合には、ファン86を作動させず、停止状態とするようにしている。このようにフェイスダウンモードの場合は、ファン86を作動させないようにすることにより、定着装置5の直後の下方に湾曲した引込みパス83の影響でシートが上カールしていてもシートが浮遊することはないので、シートの積載性が損なわれることはない。
【0026】
次に、本実施の形態におけるファンの動作制御について図3に示すフローチャートを用いて説明する。まず、シートSの片面に画像形成され、このシートをフェイスアップで排出する場合について説明する。この場合、画像形成ジョブが開始されると、CPU89は、まず操作部100や不図示の外部PCにより予め指定されたモードがフェイスダウンモードかを認識する(S1)。ここで、フェイスアップモードが指定されると、すなわち指定モードがフェイスダウンモードでない場合には(S1のN)、この後、シートSが搬送され、排紙センサ88がシートSの先端を検知すると(S5)、ファン86を作動させる(S6)。これにより、吹出口1Fから空気が排出シートと既排出シートSaの間に吹き出され、これによりブロッキング現象の発生を防ぐことができる。次に、ジョブが終了したかを判断し(S4)、ジョブが終了するまでは(S4のN)、2枚目以降も、フェイスアップモードであれば、ファン86は作動し続ける。そして、ジョブが終了すると(S4のY)、ファン86を停止させる(S7)。
【0027】
次に、シートSの両面に画像形成される自動両面モードの場合を説明する。自動両面モードの場合、すなわち指定モードがフェイスダウンモードでない場合には(S1のN)、既述したようにシートSの2面目に画像形成され、排紙センサ88がシートSの先端を検知すると(S5)、ファン86を作動させる(S6)。2枚目以降も、自動両面モードであればファン86は作動し続け、ジョブが終了すると(S4のY)、ファンを停止させる(S7)。一方、指定モードがフェイスダウンモードの場合(S1のY)、排紙センサ88が搬送されるシートSの先端を検知しても(S2)、ファン86は作動させず、停止状態とする(S3)。次に、ジョブが終了したかを判断し(S4)、ジョブが終了するまでは(S4のN)、2枚目以降も、フェイスダウンモードであれば、ファン86を停止させる(S3)。
【0028】
ところで、本実施の形態においては、1つのジョブの中でフェイスアップモード、フェイスダウンモード及び自動両面モードが混在する場合がある。例えば、1枚目がフェイスアップモード、2枚目がフェイスダウンモード、3枚目が自動両面モードの場合がある。この場合、すなわち1枚目がフェイスダウンモードでない場合(S1のN)、排紙センサ88が1枚目のシートSの先端を検知すると(S5)、ファン86を作動させる(S6)。2枚目はフェイスダウンモードであるので(S1のY)、この場合は、排紙センサ88が2枚目のシートSの先端を検知すると(S2)、ファン86を停止させる(S3)。3枚目は自動両面モードであるので、この場合、すなわち3枚目がフェイスダウンモードでない場合(S1のN)、排紙センサ88が3枚目のシートSの先端を検知すると(S5)、ファン86を作動させる(S6)。4枚目以降もモードによってファン86を作動及び停止を行い、ジョブ終了時にファン86を停止させる(S7)。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態においては、排出モードであるフェイスアップモード及び自動両面モードではファン86を作動させ、反転排出モードであるフェイスダウンモードではファン86を停止させるように制御している。そして、このように制御することにより、全てのモードでブロッキング現象を防止しつつ、シートの積載性を保持することができる。なお、定着装置5の直後の引込みパス83が上方に湾曲した構成においても本発明は有効である。定着装置5の直後の上方に湾曲した引込みパスの影響でシートが下カールしていてもファンが停止しているのでシートが飛びすぎることはなく、シートの積載性が損なわれることはない。
【0030】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、本実施の形態に係る画像形成装置の制御ブロック図である。なお、図4において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。本実施の形態においては、既に片面(第1面)が画像形成されているシートの裏面(第2面)に画像形成する裏面モードである手動両面モードを備えている。なお、この手動両面モードを行う場合は、ユーザーは、画像形成装置のシート収納庫に、シートを既に画像形成されている面を上面にしてセットする。続いて、操作部100により手動両面モードを設定する。ここで、手動両面モードの場合、片面には既に画像形成されている。このため、ページ順を揃えるフェイスダウンモードでシートを排出すると、新たに形成された画像のトナー量が多い場合、新たに裏面に形成された画像と、既に積載されているシートの片面に形成されている画像とが貼りつきやすくなる。つまり、フェイスダウンモードであっても、手動両面モードにおいて形成される画像のトナー量が多い場合には、既に積載されているシートの画像形成されている面と、手動両面モードにおいて画像が形成された面との間でブロッキング現象が発生しやすい。そこで、本実施の形態においては、手動両面モードにおいて形成される画像のトナー量が多い場合には、ファンを作動させるようにしている。
【0031】
ところで、本実施の形態においては、画像形成された画像のトナー量を、画像データ中のトナーが付着するドットの数をビデオカウンタ101によりカウントし、このカウント値であるビデオカウント値に基づいて判断する。なお、このビデオカウント値は、例えば画像データをトナーで現像されるデータ1の部分と現像されないデータ0の部分とで表わした場合の1の部分の合計である。そして、1枚目のビデオカウント値Aが、予め設定した値a1未満の場合には、ブロッキング現象が発生しないため、排紙センサ88がシートSの先端を検知しても、ファン86を作動させない。逆に、1枚目のビデオカウント値Aが、予め設定した値a1以上の場合にはブロッキング現象が発生しやすいことから、排紙センサ88がシートSの先端を検知すると、ファンを作動させる。なお、トナー量が多い場合、シートの画像形成面側がトナーによる収縮する傾向にある。そして、この収縮方向は、引込みパスを通過する際、シートに発生するカールとは反対方向であるため、シートはカールを生じ難い。また、トナー量が多い場合、シートSの重量も重くなる。このため、ファンを作動させても排出されたシートSが浮遊しない。したがって、ファンを作動させても、積載性が低下することなく、ブロッキング現象を防ぐことができる。
【0032】
次に、このような本実施の形態におけるファンの動作制御について図5に示すフローチャートを用いて説明する。まず、片面に画像形成されたシートの裏面に画像を形成した後、新たに画像形成される面が排紙トレイ65上において上面となるフェイスアップモードでシートを排出する場合について説明する。この場合、CPU89は、画像形成ジョブが開始されると、操作部や不図示の外部PCにより予め指定されたモードがフェイスダウンモードかを認識する(S11)。ここで、フェイスアップモードが指定された場合、すなわち指定モードがフェイスダウンモードでない場合(S11のN)、この後、シートSが搬送され、排紙センサ88がシートSの先端を検知すると(S17)、ファン86を作動させる(S18)。次に、ジョブが終了したかを判断し(S16)、ジョブが終了するまでは(S16のN)、2枚目以降も、フェイスアップモードであれば、ファン86は作動し続ける。そして、ジョブが終了すると(S16のY)、ファン86を停止させる(S19)。
【0033】
次に、新たに画像形成される面が排紙トレイ65上において下面となるフェイスダウンモードでシートを排出する場合について説明する。この場合、すなわちフェイスダウンモードの場合(S11のY)、手動両面モードか否かを判別する(S12)。ここで、手動両面モードの場合(S12のY)、トナー量検知部であるビデオカウンタ101により、新たに画像形成される面に対して画像形成するトナー量を検知する。そして、ビデオカウンタ101からの検知情報である1枚目のビデオカウント値Aが、予め設定した値a1未満の場合(S13のY)、排紙センサ88がシートSの先端を検知しても(S14)、ファン86は作動しない(S15)。逆に、1枚目のビデオカウント値Aが予め設定した値a1以上の場合(S13のN)、排紙センサ88がシートSの先端を検知すると(S17)、ファン86を選択的に作動させる(S18)。2枚目以降もフェイスダウンモードで(S11のY)、かつ手動両面モードの場合(S12のY)、画像形成する画像のビデオカウント値Aの値により、CPU89がファン86の作動及び停止を制御する。ジョブ終了時にはファン86を停止させる(S19)。なお、手動両面モードでない場合は(S12のN)、既述した第1の実施の形態と同様、排紙センサ88がシートSの先端を検知すると(S14)、ファン86を停止させる(S15)。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態においては、フェイスダウンモードの場合でも、手動両面モードが選択され、新たに裏面に形成された画像のトナー量が所定量を超えている場合にはファン86を、作動させるようにしている。これにより、ブロッキング現象(シートの貼り付き)を防止すると共に、シートの積載性を保持することができる。なお、本実施の形態においては、手動両面モードが選択された際の制御について説明したが、表裏面に連続的に画像形成する自動両面モードにおいても本発明は有効である。自動両面モードが選択され、ページ順を揃えるために反転排紙する際に、新たに裏面に形成された画像のトナー量が所定量を超えている場合、本発明を適用することでブロッキング現象(シートの貼り付き)を防止できる。
【符号の説明】
【0035】
1…カラーレーザプリンタ、1A…カラーレーザプリンタ本体、1B…画像形成部、1F…吹出口、5…定着装置、65…排紙トレイ、77…排紙ローラ、82…排紙搬送パス、83…引込みパス、84…スイッチバックパス、86…ファン、88…排紙センサ、89…CPU(制御部)、90…反転排紙パス、100…操作部、101…ビデオカウンタ、S…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートにトナー像を定着させる定着部と、トナー像が定着されたシートをシート積載部に排出する排出部材と、トナー像が定着されたシートを前記シート積載部に案内する排出通路と、前記排出通路から分岐し、トナー像が定着されたシートを一旦引き込んだ後、表裏及びシート搬送方向先端と後端を反転させて前記シート積載部に案内する引込みパスと、を備えた画像形成装置において、
前記排出部材の下方に設けられ、前記排出部材により排出されるシートと前記シート積載部に既に排出されたシートとの間に空気を吹き出す吹出口と、
前記吹出口から吹き出す空気を前記吹出口に向けて送風する送風手段と、
前記送風手段の送風動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、トナー像が定着されたシートを、前記引込みパスを通過させることなく前記排出通路から排出する際には前記送風手段を作動させ、トナー像が定着されたシートを、前記引込みパスを通過させて排出する際には前記送風手段を作動させないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、既に片面に画像形成されているシートの裏面に画像が形成されたシートを、前記引込みパスを通過させて、前記裏面を前記シート積載部に向けて排出する際、前記裏面に形成された画像のトナー量が所定量を超えている場合には前記送風手段を作動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記裏面に形成された画像のトナー量を、トナーにより現像される画像データをカウントすることにより求めるトナー量検知部を備え、
前記制御部は、前記トナー量検知部の検知情報に基づき、前記送風手段を作動するように制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−17980(P2011−17980A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163760(P2009−163760)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】