説明

画像形成装置

【課題】装置サイズの大型化や部品点数、コスト、乾燥に要する電力の増大を抑制しつつ、記録媒体を確実に乾燥することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部は、収容部31の最大収容枚数を単位とし、その単位で用紙の両面への画像形成動作が行われるようにする。また、各単位における画像形成動作については、制御部は、各用紙の一方の記録面に対する画像形成動作の終了後に他方の記録面に対する画像形成動作が行われるようにし、それに合わせて、切替爪81によるガイド先の切替動作を制御する。すなわち、切替爪制御部は、一方の記録面にのみ画像が形成された収容部31内の用紙のうち他方の記録面への画像形成動作のために収容部31から最初に用紙を繰り出す際に切替爪81による用紙のガイド先を再搬送部80に設定し、収容部31から最後に用紙を繰り出すと、切替爪81による用紙のガイド先を排出トレイ65に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを用紙に向けて吐出することにより該用紙に画像を形成するインクジェット式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、複写機、プリンタ等の画像形成装置は、記録を行う方式により、インクジェット式、ワイヤドット式、サーマル式等に分類することができる。これらの記録方式は、さらに、記録ヘッドが記録媒体上を走査しながら記録を行うシリアル型と、装置本体に固定された記録ヘッドにより記録を行うラインヘッド型に分類することができる。
【0003】
例えばラインヘッド型のインクジェット画像形成装置では、装置本体内に備えられた搬送ベルト等の搬送手段によって用紙等の記録媒体を高速で搬送しながら、記録媒体の幅以上の記録領域を有するラインヘッドの各インク吐出ノズルによりインクを吐出することによって記録媒体に画像を形成するものであり、記録ヘッドが記録媒体の幅方向に往復動作するシリアル型インクジェットヘッドを採用したインクジェット画像形成装置に比べて高速印字が可能になるという利点がある。
【0004】
ところで、このようなインクジェット画像形成装置においては、例えば下記特許文献1のように、画像形成部によりインクが吐出された記録媒体を乾燥する手段が提案されている。下記特許文献1には、記録媒体の両面に画像を形成する構成において、画像形成部によって画像が記録された記録媒体を順送りで搬送方向上流側へ送り戻す搬送手段と、送り戻し方向下流側に設けられ、搬送手段で送り戻された記録媒体の非記録面を吸着保持し、記録媒体を画像形成部へ反転して送り込む保持部を複数備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−213480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1は、複数の保持部で記録媒体を保持することにより乾燥時間を確保している。しかしながら、両面印刷を行う際の記録媒体の反転によって乾燥時間を確保する構成であるため、片面印刷時には、充分な乾燥時間を確保することができない場合が生じる虞がある。このような乾燥不足が生じると、排出ローラがインクで汚染されるという不具合が発生する。
【0007】
また、高速タイプのプリンタ、例えば60秒間に200ページを印刷するプリンタでは、1頁に要する印刷時間は0.3秒である。ここで、通常、記録媒体が充分に乾燥するのに要する時間は、0.3秒では足らず、5秒以上を要する場合が多い。この点を考慮すると、前記特許文献1においては、少なくとも5/約0.3=約17個もの保持部を直列に備える必要があり、装置の大型化、部品点数及びコストの増大する虞がある。さらに、記録速度が大きくなるほど保持部の数量を増やす必要があり、更なる装置サイズの大型化や部品点数及びコストの増大を招来することとなる。
【0008】
一方、乾燥能力を向上させるために、記録媒体に対する加熱量や送風量を増大させることも一手段として考えられる。しかしながら、この場合、装置の消費電力が増大することとなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、装置サイズの大型化や部品点数、コスト、乾燥に要する電力の増大を抑制しつつ、記録媒体を確実に乾燥することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、搬送されるシート状の記録媒体にインクを用いた画像形成動作を行う画像形成部と、前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を一時的に積層状態で収容するための収容部を備え、該収容部に収容された記録媒体を乾燥させる乾燥部と、前記収容部に積層状態で収容された記録媒体を最下方の記録媒体から1枚ずつ順次繰り出す繰出部と、一方の記録面に画像が形成され前記繰出部により前記収容部から繰り出された記録媒体を、他方の記録面が前記画像形成部に対向するように前記画像形成部へ搬送するための再搬送部と、前記繰出部により繰り出された記録媒体が印刷済みの記録媒体として排出される排出部と、前記繰出部により繰り出された記録媒体のガイド先を前記再搬送部と前記排出部との間で切り替える切替部と、前記記録媒体の両面に画像形成する場合に、前記収容部の最大収容枚数以下の予め定められた複数枚を単位とし、その単位で連続して一方の記録面に画像が形成された前記記録媒体の他方の記録面への画像形成動作を行うべく前記切替部による記録媒体のガイド先を前記再搬送部に切り替えて前記繰出部により繰り出された記録媒体を前記再搬送部へガイドさせ、前記他方の記録面に連続して画像が形成された前記各記録媒体を前記排出部に排出するべく前記切替部による記録媒体のガイド先を前記排出部に切り替えて前記繰出部により繰り出された記録媒体を前記排出部へガイドさせる制御部とを備える画像形成装置である。
【0011】
この発明によれば、複数の記録媒体を、互いにインクの付着を回避しつつ記録媒体が乾燥するまで収容部で保持することができる。また、乾燥処理後の記録媒体から順次繰り出されるのと入れ替わりに、一方の記録面にのみ画像が形成された記録媒体を収容部に搬入することができる。これにより、装置サイズの大型化や部品点数、コスト、乾燥に要する電力の増大を抑制しつつ、記録媒体を確実に乾燥することができる。
【0012】
また、記録媒体の両面に画像形成する場合に、収容部の最大収容枚数以下の予め定められた複数枚を単位とし、その単位で連続して一方の記録面に画像が形成された記録媒体の他方の記録面への画像形成動作を行うべく切替部による記録媒体のガイド先を再搬送部に切り替えて繰出部により繰り出された記録媒体を再搬送部へガイドさせ、他方の記録面に連続して画像が形成された各記録媒体を排出部に排出するべく切替部による記録媒体のガイド先を排出部に切り替えて繰出部により繰り出された記録媒体を排出部へガイドさせるようにしたので、1枚単位で記録媒体の両面への画像形成を行う(1枚の記録媒体の両面への画像形成が終わってから次の記録媒体の両面への画像形成動作を行う)場合に比して、前記切替部による切替動作の回数をできるだけ低減することができる。その結果、前記切替部における故障や劣化の発生を抑制することができる。
【0013】
また、切替部の切替スピードの限界によって印刷物の生産能力が制限されるのを回避することができ、印刷の高速化を図ることができる。すなわち、前記切替部による切替動作を頻繁に(例えば搬送される記録媒体1枚ごとに)行う必要がある場合には、前記切替部の切替スピードを考慮して、例えば搬送する記録媒体間(前記繰出部により順次繰り出す記録媒体間)の間隔を設定する必要が生じる。
【0014】
これに対し、本発明によれば、前記予め定められた複数枚の単位で前記切替部による切替動作を行えばよく、前記切替部による切替回数が少なくなるから、前記切替部の切替スピードを考慮して前記記録媒体間の間隔を設定する必要性が殆ど無くなり、印刷の高速化を図ることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記一方の記録面にのみ画像が形成された前記収容部内の記録媒体のうち、前記他方の記録面への画像形成動作のために最初に前記収容部から繰り出される記録媒体が前記切替部を通過する前に、前記切替部による記録媒体のガイド先を前記排出部から前記再搬送部に切り替え、前記一方の記録面にのみ画像が形成された前記収容部内の記録媒体うち、前記他方の記録面への画像形成動作のために最後に前記収容部から繰り出される記録媒体が前記切替部を通過した後に、前記切替部による記録媒体の前記ガイド先を前記再搬送部から前記排出部に切り替えるものである。
【0016】
画像形成装置にあっては、片面印刷と両面印刷とでは片面印刷の方が実施頻度が高い。そこで、本発明のように、前記一方の記録面にのみ画像が形成された前記収容部内の記録媒体うち、前記他方の記録面への画像形成動作のために最後に前記収容部から繰り出される記録媒体が前記切替部を通過した後に、前記切替部による記録媒体の前記ガイド先を前記再搬送部から前記排出部に切り替えるようにすることで、前記切替部による記録媒体の前記ガイド先を前記再搬送部から前記排出部に切り替えない状態で片面印刷が指示された場合に、画像形成後の記録媒体が誤って前記再搬送部に搬送されるのを防止することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記予め定められた複数枚を、前記収容部の最大収容枚数としたものである。
【0018】
この発明によれば、前記収容部の最大収容枚数単位で、前記記録媒体の両面への画像形成動作を行うようにしたので、収容部の収容能力を超えない範囲で、前記切替部による切替動作の回数を最も低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置サイズの大型化や部品点数、コスト、乾燥に要する電力の増大を抑制しつつ、記録媒体を確実に乾燥することができる。また、前記切替部における故障や劣化の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例であるインクジェット式プリンタの構造を示す正面断面図である。
【図2】プリンタに搭載される搬送ユニット及び乾燥装置を示す斜視図である。
【図3】搬送ユニット及び乾燥装置の構造を示す正面断面図である。
【図4】プリンタに搭載される乾燥装置の斜視図である。
【図5】図4に示す乾燥装置の上カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】図5に示すA−A’断面斜視図である。
【図7】乾燥装置に搭載される用紙排出部を示す図であり、図7(a)は、斜視図であり、図7(b)は、図7(a)において排出用搬送ベルトを取り外した状態を示す斜視図である。
【図8】乾燥装置に搭載される用紙排出部の正面断面図である。
【図9】用紙が乾燥されるときの乾燥装置周辺の状態を示す正面断面図である。
【図10】本実施形態のインクジェット画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図11】制御部の処理を示すフローチャートである。
【図12】切替爪の姿勢変化の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いつつ本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の一実施形態であるインクジェット式プリンタの構造を示す正面断面図、図2は、本実施形態のプリンタに搭載される搬送ユニット及び乾燥装置を示す斜視図であり、図3は、搬送ユニット及び乾燥装置の構造を示す正面断面図である。
【0022】
図1に示すように、プリンタ1は、給紙カセット3、給紙ローラ4、用紙搬送路5、レジストローラ6、画像形成部7及び搬送ユニット10を有する。給紙カセット3は、プリンタ1の本体2の右側下方に配置されている。給紙カセット3の内部には、用紙(シート状の記録媒体の一例)Pが積層状態で収容されている。給紙ローラ4は、給紙カセット3の上方適所に配置されており、この給紙ローラ4により、用紙Pは図1において給紙カセット3の右上方に向けて1枚ずつ繰り出される。
【0023】
用紙搬送路5は、給紙カセット3から画像形成部7までの搬送路を構成するものであり、給紙ローラ4によって前記給紙カセット3から繰り出された用紙は、用紙搬送路5上を搬送される。レジストローラ6は、この用紙搬送路5上の適所に設置されており、給紙カセット3から送り出された用紙Pがレジストローラ6に到達すると、該レジストローラ6により一旦停止させられる。レジストローラ6は、用紙Pの斜め送りを矯正して再度用紙Pを送り出す。画像形成部7は、当該画像形成部7とレジストローラ6との間の用紙搬送路5上に設置された図略のレジストセンサによる用紙Pの先端の検知タイミングに基づいてインク吐出動作を開始する。
【0024】
搬送ユニット10は、印字用駆動ローラ12と、印字用従動ローラ13と、印字用テンションローラ14と、これらのローラ12〜14に巻き掛けられた無端状の印字用搬送ベルト11とを備えている。印字用搬送ベルト11は、印字用駆動ローラ12が図1において反時計周りに回転することにより、図1において反時計回りに走行する。印字用従動ローラ13の上方には補助従動ローラ15が配置され、印字用従動ローラ13と補助従動ローラ15とで用紙をニップする。印字用従動ローラ13と補助従動ローラ15とによって送り出された用紙Pは、この印字用搬送ベルト11の上面に載置され、図1において右側から左側へと搬送される。
【0025】
搬送ユニット10の内部であって、画像形成部7に対向する箇所には、上方から下方に向かって空気を吸引する図略の吸引ファンが設けられている。また、印字用搬送ベルト11には、多数の空気吸引用の孔(図示せず)が設けられている。これにより、搬送ユニット10は、用紙Pを印字用搬送ベルト11の上面に吸引しながら搬送する。
【0026】
画像形成部7は、各色に対応した3個の記録ヘッド8を4色分、合計12個備えている(図示せず)。記録ヘッド8は、各々用紙搬送方向と直交する方向に向かって延び、図1に示すように、印字用搬送ベルト11上の用紙の走行方向に沿って、走行方向上流側から下流側に向けて並べて配置されている。4色に対応した記録ヘッド8とは、ここでは、上流側から順に、ブラック用の記録ヘッド8K、シアン用の記録ヘッド8C、マゼンタ用の記録ヘッド8M及びイエロー用の記録ヘッド8Yである。
【0027】
各色の記録ヘッド8に対応して、搬送ユニット10の下方には、ここでは図示しないインクタンクが備えられており、各色のインクは、このインクタンクから供給チューブ(図示せず)によって、記録ヘッド8に補給される。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「K」「C」「M」「Y」の識別記号は省略するものとする。
【0028】
なお、記録ヘッド8のインクの吐出方式としては、例えば、図示しないピエゾ素子を用いてインクを押し出すピエゾ方式や、発熱体によって気泡を発生させ、圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式など、各種方式を適用することができる。
【0029】
プリンタ1は、パーソナルコンピュータなどの外部機器から画像データを受信する。画像形成部7の各記録ヘッド8は、この画像データに対応して、走行する印字用搬送ベルト11の表面に載置された用紙Pに向かって記録ヘッド8からインクを吐出する。そして、印字用搬送ベルト11の走行とともに、所定のタイミングで各記録ヘッド8から各色のインクが順次吐出されることにより、印字用搬送ベルト11の表面上の用紙Pにはブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクが重ね合わされたカラーインク画像が形成される。
【0030】
搬送ユニット10の用紙搬送方向下流側(図の左側)には、乾燥装置30が配置されている。画像形成部7を通過した用紙Pは乾燥装置30に搬送されて該乾燥装置30により乾燥される。乾燥装置30の詳細については後述する。乾燥装置30による乾燥後の用紙Pは、排出トレイ65及び画像形成部7の何れか一方に搬送される。
【0031】
すなわち、図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、乾燥装置30から排出された用紙を排出トレイ65に排出するための排出搬送路61と、乾燥装置30から排出された用紙を再び画像形成部7に向けて搬送するための再搬送部80と、乾燥装置30から排出された用紙を前記排出搬送路61(前記排出トレイ65側)にガイドするか、再搬送部80(前記画像形成部7側)にガイドするかを切り替えるための切替爪81とを有する。
【0032】
切替爪81は、搬送ユニット10の各ローラ12〜14の中心軸と平行な方向に延びる軸を中心軸として所定角度の範囲で回動可能に構成された長尺板状の部材であり、乾燥装置30から排出された用紙を前記排出トレイ65に排出すべきときには、図12の点線で示すように右側に傾倒することで、前記再搬送部80への該用紙の進入を規制しつつ該用紙を排出搬送路61にガイドする。
【0033】
一方、乾燥装置30から排出された用紙を前記画像形成部7に搬送すべきときには、図12の実線で示すように左側に傾倒することで、前記排出搬送路61への該用紙の進入を規制しつつ該用紙を再搬送部80にガイドする。
【0034】
本実施形態に係るプリンタ1は、各用紙の一方の記録面にのみ画像形成動作を行う片面印刷モードと、各用紙の両面に画像形成動作を行う両面印刷モードとを有している。前記片面印刷モードの場合には、前記一方の記録面に画像が形成されると、該用紙は、乾燥装置30に搬入され、そこで所定の乾燥処理が施された後、乾燥装置30から排出搬送路61を介して排出トレイ65に排出される。その際、乾燥装置30から繰り出された用紙が、排出搬送路61を通って前記排出トレイ65に排出されるように、前記切替爪81は、図12の点線で示すように右側に傾倒することで、前記再搬送部80への該用紙の進入を規制しつつ該用紙を排出搬送路61にガイドする。
【0035】
一方、前記両面印刷モードの場合、前記一方の記録面(表面)に画像が形成されると、該用紙は、乾燥装置30に搬入され、そこで所定の乾燥処理が施された後、乾燥装置30から再搬送部80を介し、他方の記録面(裏面)が画像形成部7に対向するように用紙が画像形成部7に搬送される。その際、用紙が再搬送部80を通って前記画像形成部7に再び搬送されるように、前記切替爪81は、図12に示すように左側に所定角度だけ傾倒することで、前記排出搬送路61への該用紙の進入を規制しつつ該用紙を再搬送部80にガイドする。
【0036】
そして、他方の記録面(裏面)にも画像が形成されると、該用紙は、乾燥装置30に搬入され、そこで所定の乾燥処理が施された後、乾燥装置30から排出搬送路61を介して排出トレイ65に排出される。その際、乾燥装置30から繰り出された用紙が、排出搬送路61を通って前記排出トレイ65に排出されるように、前記切替爪81は、図12の点線で示すように右側に傾倒することで、前記再搬送部80への該用紙の進入を規制しつつ該用紙を排出搬送路61にガイドする。
【0037】
図2、図3に示すように、乾燥装置30には、収容部31と、収容部31に配設された給紙部33と、分離用送風部35と、乾燥用送風部37a,37b,37c,37d,37e,37fと、送風ファン41(図5参照)と、排気部45と、用紙排出部50とを備えている。
【0038】
図4は、乾燥装置30の斜視図であり、図5は、図4に示す乾燥装置30の上部のカバーを取り外した状態を示す斜視図であり、図6は、図5に示す構成のA−A’線断面斜視図である。なお、図1〜図3に示す部材と共通する部材には同一の符号を付して説明を省略する。また、図5において、実線の矢印は、収容部31に送り込まれる空気流を示し、破線の矢印は、収容部31から排出される空気流を示している。
【0039】
図4に示すように、収容部31は、略直方体の箱状部材から成り、インクが吐出された用紙Pが、収容部31の底面側から上方に順次配置され、用紙Pを一時的に収容する。収容部31は、給紙部33、後述する分離用送風部35及び乾燥用送風部37a〜37fとの連結部以外は密閉されている。また、図5及び図6に示すように、収容部31には、用紙Pの搬送方向の移動を規制するためのカーソル38が設けられている。
【0040】
カーソル38は、用紙Pのサイズに応じて、搬入される用紙Pの搬入方向における移動を規制できるように設置位置が変更可能となっている。すなわち、収容部31の底面には、用紙Pのサイズに応じた位置に複数の位置決め穴39が形成されており、カーソル38は、用紙サイズに応じた位置の位置決め穴39に嵌め込まれる。例えば、カーソル38は、図5に示すように、A3縦用紙(図2参照)の移動を規制するための位置決め穴39(図には表れていない)に嵌め込まれたり、A4縦用紙の移動を規制するための位置決め穴39に嵌め込まれたりする。
【0041】
図3に示すように、給紙部33は、搬送ユニット10から搬送された用紙Pを収容部31へ案内するものであり、収容部31の用紙搬入側(図6の右側)端部から搬送ユニット10に向かって突設されている。
【0042】
図5に示すように、分離用送風部35は、給紙部33の下方において収容部31の幅方向における通紙領域全域に送風するためのダクトを有する。ダクトには、送風ファン41からの気流が供給される。図6に示すように、ダクトの収容部31側の面には、多数の小孔が形成されており、送風ファン41からダクトに供給された空気流が分散して収容部31内に送られるようになっている。これにより、各用紙Pの分離及び乾燥効率の向上を図ることができる。
【0043】
また、送風ファン41の送風方向上流側には、配管44(破線部分)によって送風ファン41と接続された温風発生装置43が配置されている。温風発生装置43で発生した例えば約100℃の温風が送風ファン41によって空気流とされ、該空気流は、分離用送風部35から収容部33へと送り込まれるようになっている(実線矢印)。
【0044】
また、図9の矢印Xで示すように、分離用送風部35から送り込まれた空気流は、収容部31の底面と略平行(略水平)に送り込まれる。この空気流は、収容部31に積層状態で収容される収容用紙P’(図9参照)間を通過して、用紙Pに作用する重力に抗して収容用紙P’間に隙間が形成されるような風量に設定されている。
【0045】
このように、収容用紙P’の間には空気流の通過による隙間が形成されるため、次に搬送される収容用紙P’の裏面に、先に搬入された用紙Pの表面が接触したときに、先に搬入された用紙Pの表面の乾き切っていないインクが、次に搬送される収容用紙P’の裏面に付着するのを防止することができるとともに、このようなインクの付着による印刷物の品質低下等の不具合が発生するのを防止することができる。さらに、分離用送風部35からの空気流がインクと接触することにより、インクが吐出された用紙Pを乾燥させることができる。
【0046】
乾燥用送風部37a〜37fは、送風ファン41と分離用送風部35との間に配置された配管42(破線部分)から分岐した図略の配管に接続されており、図5の実線矢印で示すように、送風ファン41で発生した空気流を、分離用送風部35とは異なる方向から収容部31に送るものである。
【0047】
乾燥用送風部37aは、図9の矢印Yで示すように、給紙部33の上方に設けられ、給紙部33における搬送方向に沿って上流側から収容用紙P’に空気流を送り込むものであり、乾燥用送風部37bは、図9の矢印Zで示すように、収容部33の上面に設けられ、収容用紙P’の上方から空気流を送り込むものである。
【0048】
図5,図6に示すように、乾燥用送風部37c,37dは、収容部31の幅方向における一方の側壁に、用紙搬送方向に並べて設置されている。また、乾燥用送風部37e、37fは、他方の側壁に用紙搬送方向に並べて、乾燥用送風部37c、37dと対向する態様で設置されている。これらの送風部37c,37d,37e、37fによって、収容用紙P’に対し幅方向外側から空気流を送風する。
【0049】
また、乾燥用送風部37a〜37fの収容部31側の面には、多数の小孔が形成されており、空気流が分散して収容部31内に送られるようになっている。これにより、各用紙Pの分離及び乾燥効率の向上を図ることができる。
【0050】
なお、乾燥用送風部37c〜37fを、収容部31の幅方向に移動可能に構成し、搬入される用紙Pに応じて、用紙Pの幅方向の移動を規制するためのカーソルとして用いるようにしてもよい。
【0051】
図5に示すように、排気部45は、分離用送風部35及び乾燥用送風部37a〜37fから収容部31に送り込まれた空気流を排出し(破線矢印)、収容部31内部の空気を入れ替えて乾燥効率を向上させるためのものであり、収容部31の搬入方向における下流側の端部に設置されている。
【0052】
また、排気部45は、配管46(破線で示す)により温風発生部43に接続されており、排出した空気流を分離用送風部35及び乾燥用送風部37a〜37fに循環させ、再利用するように構成されている。このように、暖めた空気流を有効利用することで、省エネルギー化を図ることができる。
【0053】
図5,図6に示すように、用紙排出部50は、分離用送風部35の下方に配置されており、収容部31に積層された収容用紙P’のうち、最も下に位置する用紙から順に1枚ずつ収容部31から繰り出して排出する。図7(a)は、用紙排出部50の斜視図であり、図7(b)は、図7(a)において排出用搬送ベルト51を取り外した状態を示す斜視図であり、図8は、正面断面図である。図1に示す部材と共通するものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
用紙排出部50は、排出用駆動ローラ52、排出用搬送ローラ53、排出用従動ローラ54及び排出用テンションローラ55に架け渡された排出用搬送ベルト51を備えている。排出用駆動ローラ52の回転軸52aには駆動用ギア59が連結されており、駆動用ギア59が図略のモータと連結されている。排出用搬送ベルト51は、そのモータの駆動により、例えば図8における時計回りに走行する。
【0055】
また、排出用搬送ローラ53を挟んで排出用駆動ローラ52と排出用従動ローラ54との間には、排出用搬送ベルト51と略密閉空間を形成する吸引ボックス57が設けられている。吸引ボックス57は、図略の排出用空気吸引ファンと接続されており、該排出用空気吸引ファンにより、吸引ボックス57内の空気が吸引される。
【0056】
排出用搬送ベルト51には、図7に示すように、多数の空気吸引用の孔51aが形成されており、前記排出用空気吸引ファンの作動により、用紙Pを排出用搬送ベルト51上面の吸引領域S(図8の破線部分)に吸着させつつ搬送する。排出用搬送ローラ53には、周方向に複数の環状溝53aが設けられており、排出用搬送ローラ53による張架部分においても用紙Pを排出用搬送ベルト51の上面に十分に吸着することができる。
【0057】
これにより、収容部31に積層された収容用紙P’を下から1枚ずつ確実に繰り出すことができる。用紙排出部50により排出された用紙Pは、前述したように、印刷モード(片面印刷モード/両面印刷モード)等に応じて、排出搬送路61に設けられた排出ローラ63により排出トレイ65に排出されるか、若しくは、再搬送部80に搬送される。
【0058】
次に、乾燥装置30による乾燥動作について説明する。図9は、用紙Pが乾燥されるときの乾燥装置30周辺の状態を示す正面断面図である。図1〜図8に示す部材と共通するものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図9に示すように、搬送ユニット10により一定間隔で並んで搬送される用紙は、給紙部33を通って収容部31に順次搬入され下から積層されていく。このとき、分離用送風部35により搬送方向における上流側から空気流が略水平に送り込まれることにより、収容用紙P’間を空気流が通過し、収容用紙P’同士が接触しない。収容部31内の収容用紙P’は、この非接触状態を保ちながら、分離用送風部35及び乾燥用送風部37a〜37fから送り込まれる空気流と所定時間接触することにより乾燥される(収容用紙P’上のインクに含まれる水分が蒸発される)。収容用紙P’は、所定時間の乾燥後、用紙排出部50により最下方から1枚ずつ順次排出される。
【0060】
図10は、プリンタ1の構成を示すブロック図である。図1〜図9に示す部材等と共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
プリンタ1は、図1〜図9に示す前記各部の他に、入力操作部60と、前記切替爪81を駆動する駆動部82と、制御部20とを有する。入力操作部60は、詳細には説明しないが、印刷動作等の停止、入力操作の取り消しを行うためのストップ/クリアボタン、各種設定を初期状態又は標準動作状態にするリセットボタンを含むものである。
【0062】
制御部20は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、タイマ回路と、これらの周辺回路等とを備えて構成されている。制御部20には、前述の給紙ローラ4、画像形成部7、搬送ユニット10、乾燥装置30、用紙排出部50、入力操作部60及び前記駆動部82等が接続されている。
【0063】
また、制御部20は、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、判断部201と、ローラ制御部202と、切替爪制御部203として機能する。これら判断部201、ローラ制御部202及び切替爪制御部203として機能する制御部20の処理を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0064】
なお、図11に示す処理を実行する前においては、切替爪81の姿勢は、用紙を排出トレイ65にガイドする姿勢に設定されているものとする。これは、当該プリンタ1に対し片面印刷モードで画像形成指示が入力されることの方が多い点を考慮したものである。
【0065】
図11に示すように、例えばパーソナルコンピュータなどの外部機器において、当該プリンタ1に対し両面印刷モードでの画像形成指示が入力されると(ステップ♯1でYES)、切替爪制御部203は、切替爪81の姿勢を、再搬送部80に用紙をガイドする姿勢に切り替えた後(ステップ♯2)、制御部10は、給紙ローラ4、画像形成部7、搬送ユニット10、乾燥装置30及び用紙排出部50に一連の画像形成動作(印刷動作)を実施させる(ステップ♯3)。
【0066】
判断部201は、枚数カウント部201aを有し、1枚の用紙の表面に画像形成動作が行われる度に、前記枚数カウント部201aのカウント値をカウントアップしていく(ステップ♯4)。判断部201は、枚数カウント部201aのカウント値が、収容部31が最大限収容可能な枚数(最大収容枚数)に達するまで(ステップ♯5でNO)、ステップ♯3,♯4の処理を繰り返し実行し、枚数カウント部201aのカウント値が前記最大収容枚数に達すると(ステップ♯5でYES)、前記枚数カウント部201aのカウント値をリセットし、収容部31に収容されている用紙(1番始めに収容部31に収容された用紙)が乾燥装置30により予め定められた乾燥時間以上乾燥されたか否かを判断する(ステップ♯6)。なお、ここでは、説明の簡単化のため、1番始めに収容部31に収容された用紙の乾燥が完了するタイミングは、前記最大収容枚数の用紙の中で1番最後に収容部31に収容される用紙の収容タイミングよりも後になるものとする。
【0067】
判断部201は、収容部31に収容されている用紙が未だ乾燥装置30により予め定められた乾燥時間以上乾燥されていないと判断した場合には(ステップ♯6でNO)、該用紙が乾燥装置30により予め定められた乾燥時間以上乾燥されるまで待機し、前記用紙が乾燥装置30により予め定められた乾燥時間以上乾燥されたと判断すると(ステップ♯6でYES)、ローラ制御部202は、収容部31に積層状態で収容されている用紙を下から1枚ずつ繰り出す動作を用紙排出部50に行わせ、該用紙を画像形成部7に向けて再度搬送する動作を再搬送部80に行わせる(ステップ♯7)。そして、制御部20は、裏面に対する画像形成動作を画像形成部7に実施させる(ステップ♯8)。
【0068】
そして、判断部201は、1枚の用紙の裏面に画像形成動作が行われる度に、前記枚数カウント部201aのカウント値をカウントアップしていく(ステップ♯9)。判断部201は、枚数カウント部201aのカウント値が前記最大収容枚数に達するまで(ステップ♯10でNO)、ステップ♯7〜♯9の処理を繰り返し実行し、枚数カウント部201aのカウント値が前記最大収容枚数に達すると(ステップ♯10でYES)、前記枚数カウント部201aのカウント値をリセットし、収容部31に収容されている用紙が乾燥装置30により予め定められた乾燥時間以上乾燥されたか否かを判断する(ステップ♯11)。なお、ここでも、説明の簡単化のため、1番始めに収容部31に収容された用紙の乾燥が完了するタイミングは、最大収容枚数の用紙の中で1番最後に収容部31に収容される用紙の収容タイミングよりも後になるものとする。
【0069】
判断部201は、収容部31に収容されている用紙が未だ乾燥装置30により予め定められた乾燥時間以上乾燥されていないと判断した場合には(ステップ♯11でNO)、該用紙が乾燥装置30により予め定められた乾燥時間以上乾燥されるまで待機し、前記用紙が乾燥装置30により予め定められた乾燥時間以上乾燥されたと判断すると(ステップ♯11でYES)、切替爪制御部203は、前記切替爪81の姿勢を、排出トレイ65側に用紙をガイドする姿勢に切り替え(ステップ♯12)、ローラ制御部202は、収容部31に積層状態で収容されている用紙を下から1枚ずつ繰り出す動作を用紙排出部50に行わせ、該用紙を前記排出トレイ65に排出させる(ステップ♯13)。
【0070】
判断部201は、前記排出トレイ65への用紙の排出動作が1枚ずつ完了する度に、前記枚数カウント部201aのカウント値をカウントアップしていく(ステップ♯14)。判断部201は、枚数カウント部201aのカウント値が前記最大収容枚数に達するまで(ステップ♯15でNO)、ステップ♯13,♯14の処理を繰り返し実行し、枚数カウント部201aのカウント値が前記最大収容枚数に達すると(ステップ♯15でYES)、制御部20は、未形成の画像が残存しているか否かを判断する(ステップ♯16)。
【0071】
制御部20は、未形成の画像が残存していると判断した場合には(ステップ♯16でYES)、ステップ♯2の処理に戻る一方、未形成の画像が残存していないと判断した場合には(ステップ♯16でNO)、今回の画像形成指示に対する一連の処理を終了する。
【0072】
以上のように、複数の記録媒体を、互いにインクの付着を回避しつつ記録媒体が乾燥するまで収容部31で保持することができる。また、乾燥処理後の記録媒体から順次繰り出されるのと入れ替わりに、一方の記録面にのみ画像が形成された記録媒体を収容部31に搬入することができる。したがって、複数枚の用紙を並列的にそれぞれ保持する保持部を備えた従来の技術に比して、装置サイズの大型化や部品点数、コスト、乾燥に要する電力の増大を抑制しつつ、記録媒体を確実に乾燥することができる。
【0073】
また、両面印刷モードにおいて、収容部31に収容できる最大限の収容枚数を単位とし、その単位で、前記用紙の両面への画像形成動作を行うとともに、各用紙の一方の記録面に対する画像形成動作の終了後に他方の記録面に対する画像形成動作を行うようにしたので、1枚単位で記録媒体の両面への画像形成を行う構成に比して、前記切替爪81によるガイド先の切替回数を大幅に低減することができ、前記切替爪81における故障や劣化の発生を抑制することができる。
【0074】
すなわち、両面への画像形成動作を用紙単位で行う構成の場合、一方の記録面に画像が形成された用紙を他方の記録面に画像を形成するべく収容部31から繰り出すときに、切替爪81の姿勢を、再搬送部80に用紙をガイドする姿勢に切り替え、両方の記録面に画像が形成された用紙を前記排出トレイ65に排出するべく収容部31から繰り出すときに、切替爪81の姿勢を、排出トレイ65に用紙をガイドする姿勢に切り替えるという動作を、用紙ごとに行う必要があり、切替爪81の切替回数が非常に多くなる。
【0075】
これに対し、本実施形態では、前記最大収容枚数単位で前記用紙の両面への画像形成動作を行うとともに、各用紙の一方の記録面に対する画像形成動作の終了後に他方の記録面に対する画像形成動作を行うようにしたので、1枚単位で記録媒体の両面への画像形成を行う構成に比して、前記切替爪81によるガイド先の切替回数を大幅に低減することができ、前記切替爪81における故障や劣化の発生を抑制することができる。
【0076】
また、両面への画像形成動作を用紙単位で行う構成の場合に、印刷物の生産性を考慮すると、通常、先の用紙の両面への画像形成が完了する前に次の用紙の画像形成部7への搬送や画像形成動作を開始する。
【0077】
このとき、プリンタ1内では、一方の記録面に画像が形成された用紙とどちらの記録面にも画像が形成されていない用紙とが混在して搬送されることとなり、収容部31には、両面に画像形成動作が行われた用紙と未だ片面しか画像形成動作が行われていない用紙とが混在して積層されることとなる。
【0078】
この場合、どちらの用紙であるかによって収容部31からの搬送先が異なるから、どちらの用紙であるかに応じて切替爪81の姿勢を切り替える必要があり、切替爪81の姿勢の切替回数が多くなる。特に、両面への画像形成動作が終わった用紙と片面しか画像形成動作が終わっていない用紙とが交互に混在したり、搬送される用紙間の間隔が短かったりする場合は、切替爪81やそれを駆動する駆動部82にかかる負荷が大きくなる。これにより、前記分離爪81や駆動部82の故障や劣化が発生しやすくなる。
【0079】
また、前記切替爪81を駆動する前記駆動部82としてソレノイドを用いたものを採用した場合には、両面への画像形成動作が終わった用紙と片面しか画像形成動作が終わっていない用紙とが交互に混在する態様や、搬送される用紙間の間隔が短い態様に対し、切替爪81の姿勢の切替動作が間に合わず、それらの態様に対応することができないという事態が生じる場合も考えられる。
【0080】
これに対し、本実施形態では、前記最大収容枚数単位で切替爪81の切替えを行えばよく、切替爪81の姿勢の切替回数を非常に少なくすることができるため、切替爪81やそれを駆動する駆動部82にかかる負荷を非常に小さくすることができ、前記切替爪81や前記駆動部82における故障や劣化が発生するのを極力防止することができる。
【0081】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて、次のような変形形態も採用可能である。
【0082】
(1)前記切替爪81の姿勢の切替タイミングは、前記第1の実施形態の切替タイミングに限られるものではない。要は、前記排出トレイ65にガイドする姿勢から再搬送部80にガイドする姿勢への切り替えは、前記一方の記録面に画像が形成された段階の用紙のうち、前記他方の記録面への画像形成動作のために前記収容部31から最初に繰り出される用紙が、前記切替爪81を通過する前に行えばよく、また、再搬送部80にガイドする姿勢から前記排出トレイ65にガイドする姿勢への切り替えは、前記一方の記録面にのみ画像が形成された用紙が全て、前記他方の記録面への画像形成動作のために前記収容部31から繰り出されて前記切替爪81を通過した後に行うようにすればよい。
【0083】
(2)前記実施形態では、収容部31の最大収容枚数を単位とし、その単位で両面印刷を行うようにしたが、両面印刷を行う枚数の単位を、収容部31の前記最大収容枚数以下の複数枚に設定しても、切替爪81の姿勢を切り替え動作が頻繁に行われるのを可及的に防止することができるという効果は得られる。また、印刷枚数(1回の画像形成指示に基づいて印刷すべき枚数)が前記最大収容枚数より少ない場合には、図11に示すフローチャートのステップ♯5,♯11における「最大収容枚数」をその印刷枚数に置き換えて、図11に示すフローチャートの処理を行うようにすればよい。
【符号の説明】
【0084】
1 プリンタ
10 搬送ユニット
20 制御部
201 判断部
201a 枚数カウント部
202 ローラ制御部
203 切替爪制御部
30 乾燥装置
31 収容部
33 給紙部
35 分離用送風部
37a,37b,37c,37d,37e,37f 乾燥用送風部
38 カーソル
39 位置決め穴
41 送風ファン
45 排気部
50 用紙排出部
57 吸引ボックス
61 排出搬送路
63 排出ローラ
65 排出トレイ
80 再搬送部
81 切替爪
82 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシート状の記録媒体にインクを用いた画像形成動作を行う画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された記録媒体を一時的に積層状態で収容するための収容部を備え、該収容部に収容された記録媒体を乾燥させる乾燥部と、
前記収容部に積層状態で収容された記録媒体を最下方の記録媒体から1枚ずつ順次繰り出す繰出部と、
一方の記録面に画像が形成され前記繰出部により前記収容部から繰り出された記録媒体を、他方の記録面が前記画像形成部に対向するように前記画像形成部へ搬送するための再搬送部と、
前記繰出部により繰り出された記録媒体が印刷済みの記録媒体として排出される排出部と、
前記繰出部により繰り出された記録媒体のガイド先を前記再搬送部と前記排出部との間で切り替える切替部と、
前記記録媒体の両面に画像形成する場合に、前記収容部の最大収容枚数以下の予め定められた複数枚を単位とし、その単位で連続して一方の記録面に画像が形成された前記記録媒体の他方の記録面への画像形成動作を行うべく前記切替部による記録媒体のガイド先を前記再搬送部に切り替えて前記繰出部により繰り出された記録媒体を前記再搬送部へガイドさせ、前記他方の記録面に連続して画像が形成された前記各記録媒体を前記排出部に排出するべく前記切替部による記録媒体のガイド先を前記排出部に切り替えて前記繰出部により繰り出された記録媒体を前記排出部へガイドさせる制御部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記一方の記録面にのみ画像が形成された前記収容部内の記録媒体のうち、前記他方の記録面への画像形成動作のために最初に前記収容部から繰り出される記録媒体が前記切替部を通過する前に、前記切替部による記録媒体のガイド先を前記排出部から前記再搬送部に切り替え、前記一方の記録面にのみ画像が形成された前記収容部内の記録媒体うち、前記他方の記録面への画像形成動作のために最後に前記収容部から繰り出される記録媒体が前記切替部を通過した後に、前記切替部による記録媒体の前記ガイド先を前記再搬送部から前記排出部に切り替える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記予め定められた複数枚は、前記収容部の最大収容枚数である請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−20791(P2011−20791A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167046(P2009−167046)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】