説明

画像形成装置

【課題】画像形成手段と操作表示手段とを各々異なるCPUで制御してWebブラウザ機能を実現する際に、操作表示制御手段を介してHTTPに従って通信を行う情報処理装置が、画像形成制御手段を介した通信を可能にしたり、それぞれを介した通信を同一セッションとして処理可能にしたりする画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置60は、エンジン部とオペレーションパネルとを異なるCPUにより制御し、Webブラウザにより、外部サーバ100からHTTPに従ってWebページを受信してこれをオペレーションパネルに表示させ、当該パネルを介して画像の形成を要求する操作入力を受け付けると、ブラウザ制御アプリにより、エンジン部で画像を形成した結果をHTTPに従って外部サーバ100に送信する。Webブラウザは、認証情報及びCookieを記憶しており、画像の形成の要求時にこれをHTTPに従ってブラウザ制御アプリに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、機能の拡張性や性能の向上のために、ユーザの操作が入力されたり情報を表示したりする操作表示部と、画像を形成するためのスキャナやプロッタなどのエンジン部とを異なるCPU(Central Processing Unit)で制御しなければならない場合がある(例えば特許文献1参照)。操作表示部の機能としてWebブラウザなどのUI(User Interface)機能を搭載した場合、操作表示部及びエンジン部を1つのCPUで制御するとなると、エンジン部で行う画像データのハンドリングなどでCPUやRAM(Random Access Memory)へのアクセスなどが競合してしまい、操作性が落ちる場合があるからである。
【0003】
このようなWebブラウザを操作表示部の機能として搭載した場合、画像形成装置において、Webブラウザからの操作(ツールバーや拡張Java(登録商標)scriptの実行など)をトリガーとして、エンジン部に対してスキャンや印刷の実行などの指示を提供する機能は実現可能である。さらに、エンジン部が実行したスキャンや印刷の結果を画像形成装置がHTTP(HyperText Transfer Protocol)などのプロトコルに従って外部サーバへ転送することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、操作表示部におけるWebブラウザにより画像形成装置と外部サーバとがやり取りする認証情報やCookieなどの情報は、Webブラウザが内部的に保持するため、操作表示部とエンジン部とを異なるCPUで制御する場合、エンジン部のCPUがこれらの情報を参照することは困難であった。このため、エンジン部が実行したスキャンや印刷の結果を画像形成装置がHTTPに従って転送しようとしても、これらの情報を用いて外部サーバにアクセスすることは困難であった。このため、エンジン部から外部サーバへのHTTPに従ったアクセスでは、操作表示部のWebブラウザから認証情報を入力済み(認証済み)である外部サーバが提供するWebサイトに対して、エンジン部のCPUからアクセスすることは困難であった。更に、画像形成装置は、操作入力部のWebブラウザが保持するCookieを外部サーバに送信できず、操作表示部とエンジン部とのHTTP通信を同一セッションとして外部サーバが処理できない恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成手段と操作表示手段とを各々異なるCPUで制御してWebブラウザ機能を実現する際に、操作表示制御手段を介してHTTPに従って通信を行う情報処理装置が、画像形成制御手段を介して通信を行うことを可能にしたり、操作表示制御手段を介した通信及び画像形成制御手段を介した通信を同一セッションとして処理可能にしたりする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置であって、画像を形成する画像形成手段を第1のCPU(Central Processing Unit)により制御する画像形成制御手段と、ユーザからの操作が入力される及び情報を表示する操作表示手段を第2のCPUにより制御する操作表示制御手段とを備え、前記操作表示制御手段は、ネットワークを介して情報処理装置からHTTP(HyperText Transfer Protocol)に従ってWebページを受信してこれを前記操作表示手段に表示させ、前記操作表示手段を介して、画像の形成を要求する操作の入力を受け付け、当該入力に応じて、前記画像形成制御手段に対して画像の形成を要求するWebブラウザと、前記Webブラウザが前記情報処理装置との通信の際に用いる認証情報及びCookieを記憶する第1記憶手段とを有し、前記画像形成制御手段は、前記Webブラウザからの要求に応じて、前記画像形成手段に対して画像の形成を要求し、前記画像形成手段が画像を形成した結果である画像形成結果を受け取る処理手段と、前記処理手段が受け取った前記画像形成結果と、前記第1記憶手段に記憶された前記認証情報及びCookieのうち少なくとも1つとを、HTTPに従って前記ネットワークを介して前記情報処理装置に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成手段と操作表示手段とを各々異なるCPUで制御してWebブラウザ機能を実現する際に、操作表示制御手段を介してHTTPに従って通信を行う情報処理装置が、画像形成制御手段を介して通信を行うことが可能になったり、操作表示制御手段を介した通信及び画像形成制御手段を介した通信を同一セッションとして処理可能になったりする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、一実施の形態にかかる画像形成装置を含む画像形成システムの構成を例示する図である。
【図2】図2は、画像形成装置60のハードウェア構成を例示する図である。
【図3】図3は、画像形成装置60の備える操作表示制御部62及びエンジン制御部63の機能的構成を例示する図である。
【図4】図4は、画像形成システムの行う画像形成処理としてスキャンを実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4のステップS4で送られる要求メッセージを例示する図である。
【図6】図6は、図4のステップS9で送られる応答メッセージを例示する図である。
【図7】図7は、図4のステップS10で送信される結果通知メッセージを例示する図である。
【図8】図8は、図4のステップS11で送られる応答メッセージを例示する図である。
【図9】図9は、操作表示制御部62とエンジン制御部63とでSSL証明書を同期させる処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、図9のステップS27で送られる要求メッセージを例示する図である。
【図11】図11は、図9のステップS31で送られる通知メッセージを例示する図である。
【図12】図12は、SSL証明書を削除する場合に図9のステップS27で送られる要求メッセージを例示する図である。
【図13】図13は、SSL証明書を削除する場合に図9のステップS31で送られる通知メッセージを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の一実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置を含む画像形成システムの構成を例示する図である。画像形成システムは、画像形成装置60と、外部サーバ100と、クライアントPC(Personal Computer)200とを備え、これらはネットワークNTを介して接続される。ネットワークNTは、例えば、LAN(Local Area Network)、イントラネット、イーサネット(登録商標)又はインターネットなどである。外部サーバ100は、Webサイトを提供するサーバであり、画像形成装置60とHTTPに従って通信を行って、Webサイトを構成するWebページを画像形成装置60に送信する。クライアントPC200は、外部サーバ100が発行したSSL証明書を示す証明書情報を記憶しており、ユーザからの操作の入力(操作入力)に応じて、画像形成装置60におけるSSL証明書の更新を行う。
【0011】
図2は、画像形成装置60のハードウェア構成を例示する図である。画像形成装置60は、コントローラ部61と、操作表示制御部62と、エンジン制御部63とを備える。コントローラ部61は、CPUと、NBと、SBと、NICと、USBと、IEEE1394と、セントロニクスと、ローカルメモリと、システムメモリと、HDDとを有する。CPUは、SBを介して接続されるROM(不図示)やHDDに記憶された各種プログラムを読み出してこれを起動し、画像形成装置60全体を制御すると共に、各種機能を実現させる。システムメモリは、画像形成装置60の描画用メモリなどとして用いるメモリである。ローカルメモリは、コピー用画像バッファ,符号バッファとして用いるメモリである。NBはブリッジである。SBは、PCIバスとROMや周辺デバイス等とを接続するためのブリッジである。ASICは、処理用のハードウェア要素を有する処理用途向けのICである。HDDは、CPUが実行する各種プログラムや各種データを記憶するストレージである。NICは、外部サーバ100やクライアントPC200などの外部装置と画像形成装置60とのネットワークNTを介した通信を制御するインターフェースである。USBデバイス,IEEE1394デバイスおよびセントロニクスは、夫々の規格に準じたインターフェースである。
【0012】
操作表示制御部62は、CPU62Aと、メモリ62Bと、RAM62Cと、オペレーションパネル62Dとを有する。操作表示制御部62は、ユーザからの操作入力の受け付けと、情報の表示とを制御するものであり、操作表示制御手段の一例である。オペレーションパネル62Dは、ユーザからの操作が入力される操作部と、情報の表示を行う液晶パネルなどの表示部とが一体的に形成されたものである。メモリ62Bは、不揮発性のメモリであり、CPU62Aが実行する各種プログラムやパラメータなどの各種データを記憶する。RAM62Cは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する。CPU62Aは、メモリ62Bに記憶された各種プログラムを実行することにより、オペレーションパネル62Dを制御する。
【0013】
エンジン制御部63は、CPU63Aと、メモリ63Bと、RAM63Cと、エンジン部63Dとを有する。エンジン制御部63は、エンジン部63Dにおける画像の形成を制御するものであり、画像形成制御手段の一例である。エンジン部63Dは、例えば、白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニット等である。メモリ63Bは、不揮発性のメモリであり、CPU63Aが実行する各種プログラムやパラメータなどの各種データを記憶する。RAM63Cは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する。CPU63Aは、メモリ63Bに記憶された各種プログラムを実行することにより、エンジン部63Dを制御する。
【0014】
ここで、画像形成装置60の備える操作表示制御部62及びエンジン制御部63によって実現される本実施の形態に特有の機能について図3を用いて説明する。操作表示制御部62は、Webブラウザ70と、SSL証明書管理アプリ71と、SSL証明書記憶部72と、Webサーバ73とを有する。Webブラウザ70と、SSL証明書管理アプリ71と、Webサーバ73との各機能は、メモリ62Bに記憶されたプログラムをCPU62Aが実行することにより実現される。SSL証明書記憶部72は、メモリ62Bの有する記憶領域であり、外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を記憶する。
【0015】
Webブラウザ70は、Webページを受信して表示させる機能を有し、コントローラ部61のNICを介して外部サーバ100とHTTPに従った通信によりWebページを受信してこれをオペレーションパネル62Dに表示させる。また、Webブラウザ70は、外部サーバ100と通信を行なう際の認証を行うために用いる認証情報及びCookieを記憶する。認証情報及びCookieは例えばメモリ62BやRAM62Cに記憶される。Webブラウザ70は、オペレーションパネル62Dにおけるユーザの操作入力に応じて、後述のエンジン制御部63の有するWebサーバ80に対してスキャンや印刷などの画像形成処理の実行を要求する。このとき、Webブラウザ70は、記憶している認証情報及びCookieをHTTPプロトコルに従ってWebサーバ80に送信する。
【0016】
Webサーバ73は、後述のエンジン制御部63の有するSSL証明書管理アプリ82から、外部サーバ100のSSL証明書の更新を要求されると、外部サーバ100のSSL証明書の更新をSSL証明書管理アプリ71に要求する。Webサーバ73は、第2受付手段の一例である。SSL証明書管理アプリ71は、外部サーバ100のSSL証明書の更新をWebサーバ73から要求されると、当該要求に応じて、SSL証明書記憶部72に記憶された、外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を書き換えることにより、当該SSL証明書を更新する。SSL証明書管理アプリ71は、第2更新手段の一例である。
【0017】
エンジン制御部63は、Webサーバ80と、ブラウザ制御アプリ81と、SSL証明書管理アプリ82と、SSL証明書記憶部83とを有する。Webサーバ80と、ブラウザ制御アプリ81と、SSL証明書管理アプリ82との各機能は、メモリ63Bに記憶されたプログラムをCPU63Aが実行することにより実現される。SSL証明書記憶部83は、メモリ63Bの有する記憶領域であり、外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を記憶する。
【0018】
Webサーバ80は、画像形成処理の実行が操作表示制御部62のWebブラウザ70から要求されると、ブラウザ制御アプリ81に対して画像形成処理の実行を要求する。このとき、Webサーバ80は、Webブラウザ70から送信された認証情報及びCookieをブラウザ制御アプリ81に渡す。また、Webサーバ80は、SSL証明書を更新する設定画面を示す設定画面情報を記憶しており、SSL証明書を更新する設定画面をクライアントPC200から要求されると、当該設定画面情報をクライアントPC200に送信する。設定画面情報は例えばメモリ63Bに記憶される。そして、クライアントPC200において当該設定画面情報によって示される当該設定画面を介して外部サーバ100のSSL証明書の更新を要求する操作入力が行なわれて、当該操作入力に応じて、外部サーバ100のSSL証明書の更新がクライアントPC200から要求されると、Webサーバ80は、当該要求に応じて、外部サーバ100のSSL証明書の更新をSSL証明書管理アプリ82に要求する。Webサーバ80は、処理手段の全部又は一部の一例及び第1受付手段の一例である。
【0019】
ブラウザ制御アプリ81は、画像形成処理の実行がWebサーバ80から要求されると、画像形成処理の実行をエンジン部63Dに要求し、当該要求に応じてエンジン部63Dが画像形成処理を実行した結果である実行結果をエンジン部63Dから受け取ると、当該実行結果を外部サーバ100に送信する。このとき、ブラウザ制御アプリ81は、Webサーバ80から渡された認証情報及びCookieを外部サーバ100に送信する。ブラウザ制御アプリ81は、処理手段の全部又は一部の一例及び送信手段の一例である。
【0020】
SSL証明書管理アプリ82は、外部サーバ100のSSL証明書の更新をWebサーバ80から要求されると、SSL証明書記憶部83に記憶された外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を更新する。また、SSL証明書管理アプリ82は、外部サーバ100のSSL証明書の更新を操作表示制御部62のWebサーバ73に要求する。SSL証明書管理アプリ82は、第1更新手段の一例である。
【0021】
外部サーバ100は、以上のような構成の画像形成装置60とHTTPに従った通信を行い、ネットワークNTを介して、Webページを画像形成装置60に送信したり、画像形成装置60が画像形成処理を行った結果を受信したりする。また、外部サーバ100は、画像形成装置60とHTTPSに従った通信を行なう際には、SSL証明書を発行し、これを用いて通信を行う。
【0022】
また、クライアントPC200は、Webブラウザを介して、画像形成装置60において外部サーバ100のSSL証明書の更新を要求するための設定画面を画像形成装置60に要求し、当該設定画面を示す設定画面情報を画像形成装置60のエンジン制御部63の有するWebサーバ80から受信すると、当該設定画面情報によって示される設定画面を表示させる。そして、クライアントPC200は、当該設定画面において、画像形成装置60における外部サーバ100のSSL証明書の更新の実行を要求する操作入力が行なわれると、画像形成装置60のWebサーバ80に対して、自身が記憶している外部サーバ100のSSL証明書の更新を要求する。
【0023】
次に、本実施の形態にかかる画像形成システムの行う画像形成処理の手順について用いて説明する。ここでは、画像形成処理としてスキャンを実行する例について図4を用いて説明する。尚、画像形成装置60の有する操作表示制御部62のWebブラウザ70は、外部サーバ100との間の認証に用いる認証情報及びCookieを予め記憶しているものとする。Webブラウザ70は、Webページの送信を要求する要求メッセージをHTTPに従って外部サーバ100に対してコントローラ部61のNICを介して送信する(ステップS1)。尚、外部サーバ100が複数存在する場合には、Webブラウザ70は、Webページを要求する対象の外部サーバ100のURLの指定等により、要求メッセージを送信する対象の外部サーバ100を指定して選択する。そして、Webブラウザ70は、外部サーバ100から送信されたWebページを受信すると(ステップS2)、当該Webページをオペレーションパネル62Dに表示させる。そして、このオペレーションパネル62Dにおいてユーザが例えばスキャンの実行を指示する操作入力を行なうと、Webブラウザ70は、当該操作入力を受け付け、スキャンの実行を指示する拡張Java(登録商標)scriptを実行する(ステップS3)。Webブラウザ70は、エンジン制御部63のWebサーバ80に対してスキャンの実行を要求する要求メッセージをHTTPに従って送信する(ステップS4)。このとき、Webブラウザ70は、要求メッセージに、自身が記憶している認証情報及びCookieを含ませる。
【0024】
図5は、ステップS4で送られる要求メッセージを例示する図である。同図の要求メッセージにおいては、POSTメソッドが用いられて、リクエストボディにHTTPクエリによって要求の内容が示されている。同図では、M1に、スキャンの実行が要求されていることが示されている。また、同図の要求メッセージのM2には、スキャンの実行の結果得られた画像(スキャン画像という)の送信先(ここでは外部サーバ100である)のURLが示されており、M3には、認証情報が示されており、M4には、Cookieが示されており、M5には、プロキシの認証情報が示されている。このような認証情報及びCookieを含む要求メッセージがWebサーバ80に送信される。
【0025】
Webサーバ80は、当該要求メッセージを受信すると、ブラウザ制御アプリ81に対してスキャンの実行を要求する要求メッセージを送る(ステップS5)。ブラウザ制御アプリ81は、当該要求メッセージを受け取ると、エンジン部63Dに対してスキャンの実行を要求する要求メッセージを送る(ステップS6)。エンジン部63Dは、当該要求メッセージを受け取ると、スキャンを実行して、スキャンの実行の結果得られたスキャンした画像(スキャン画像)を含む結果通知メッセージをブラウザ制御アプリ81に送る(ステップS7)。ブラウザ制御アプリ81は、当該結果通知メッセージを受け取ると、スキャンの実行が完了した旨を示す応答メッセージをWebサーバ80に送る(ステップS8)。Webサーバ80は、当該応答メッセージを受け取ると、スキャンの実行が完了した旨を示す応答メッセージを、操作表示制御部62のWebブラウザ70に送る(ステップS9)。図6は、ステップS9で送られる応答メッセージを例示する図である。同図の応答メッセージにおいては、レスポンスボディにXML形式でスキャンの実行結果のステータスコードが示されている(M6参照)。
【0026】
図4の説明に戻る。Webブラウザ70は、当該応答メッセージを受け取ると、スキャンの実行が完了した旨をオペレーションパネル62Dに表示させる。また、ブラウザ制御アプリ81は、エンジン部63Dから受け取った結果通知メッセージに含まれるスキャン画像を含む結果通知メッセージをHTTPに従って、Webサーバ80を介して外部サーバ100に送信する(ステップS10)。このとき、ブラウザ制御アプリ81は、HTTPに従って送信する結果通知メッセージのヘッダ(HTTPヘッダ)に、Webサーバ80から受け取った要求メッセージに含まれる認証情報及びCookieを含ませる。
【0027】
図7は、ステップS10で送信される結果通知メッセージを例示する図である。同図の結果通知メッセージにおいては、POSTメソッドが用いられて、マルチパートでスキャンの実行の結果得られたスキャン画像のデータが含まれていることが示されている(M13参照)。また、同図の結果通知メッセージのM10には、認証情報が示されており、M11には、Cookieが示されており、M12には、プロキシの認証情報が示されている。M10は、図5のM3に相当し、M11は、図5のM4に相当し、M12は、図5のM5に相当する。このようなスキャン画像、認証情報及びCookieを含む結果通知メッセージが外部サーバ100に送信される。
【0028】
図4の説明に戻る。外部サーバ100は、当該結果通知メッセージを受信すると、ステップS1〜S2で画像形成装置60とHTTPに従って行った通信と、ステップS10で画像形成装置60とHTTPに従って行った通信とが同一のセッションであると判断することができ、これらの通信を同一のセッションとして処理することができる。そして、外部サーバ100は、当該結果通知メッセージの受信が成功した旨を示す応答メッセージを、HTTPに従って、画像形成装置60に送信する(ステップS11)。図8は、ステップS11で送られる応答メッセージを例示する図である。同図の応答メッセージにおいては、結果通知メッセージの受信結果がHTTPのステータスコードにより示されている(M14参照)。
【0029】
尚、上述では、画像形成装置60は、外部サーバ100とHTTPに従った通信を行う例について説明したが、HTTPに代えてHTTPSに従った通信を行うようにしても良い。この場合、ステップS1〜S2では、操作表示制御部62のWebブラウザ70は、SSL証明書記憶部72に記憶された外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を用いて外部サーバ100とHTTPSに従った通信を行う。また、ステップS10〜S11では、エンジン制御部63のブラウザ制御アプリ81は、SSL証明書記憶部83に記憶された外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を用いて外部サーバ100とHTTPSに従った通信を行う。
【0030】
次に、操作表示制御部62のSSL証明書記憶部72に記憶される証明書情報と、エンジン制御部63のSSL証明書記憶部83に記憶される証明書情報とを同期させる処理の手順について図9を用いて説明する。クライアントPC200は、Webブラウザを介したユーザの操作入力に応じて、画像形成装置60において外部サーバ100のSSL証明書の更新を要求するための設定画面を要求する要求メッセージを画像形成装置60に送信する(ステップS20)。当該要求メッセージを画像形成装置60のエンジン制御部63のWebサーバ80がコントローラ部61のNICを介して受信すると、当該要求メッセージをSSL証明書管理アプリ82に送る(ステップS21)。当該要求メッセージをSSL証明書管理アプリ82は受け取ると、当該設定画面を示す設定画面情報をWebサーバ80に送る(ステップS22)。当該設定画面情報をWebサーバ80は受け取ると、当該設定画面情報をクライアントPC200にコントローラ部61のNICを介して送信する(ステップS23)。当該設定画面情報をクライアントPC200のWebブラウザは受信すると、当該設定画面情報によって示される設定画面を表示させる。そして、当該設定画面において、画像形成装置60における外部サーバ100のSSL証明書の更新の実行を要求する操作入力が行なわれると、Webブラウザは、自身が記憶している外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を含み当該SSL証明書への更新を要求する要求メッセージを画像形成装置60に送信する(ステップS24)。画像形成装置60のエンジン制御部63のWebサーバ80は、コントローラ部61のNICを介して当該要求メッセージを受信すると、当該要求メッセージをSSL証明書管理アプリ82に送る(ステップS25)。
【0031】
当該要求メッセージをSSL証明書管理アプリ82は受け取ると、SSL証明書記憶部83に記憶された外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を、当該要求メッセージに含まれる証明書情報に書き換えることにより、外部サーバ100のSSL証明書をSSL証明書記憶部83において更新する(ステップS26)。また、SSL証明書管理アプリ82は、更新対象の証明書情報を含み当該SSL証明書への更新を要求する要求メッセージを操作表示制御部62のWebサーバ73に送る(ステップS27)。図10は、ステップS27で送られる要求メッセージを例示する図である。同図の要求メッセージでは、POSTメソッドが用いられて、マルチパートでSSL証明書を示す証明書情報が含まれており、当該SSL証明書に付与されたIDがHTTPクエリにより示されている。
【0032】
当該要求メッセージをWebサーバ73は受信すると、当該要求メッセージをSSL証明書管理アプリ71に送る(ステップS28)。当該要求メッセージをSSL証明書管理アプリ71は受け取ると、SSL証明書記憶部72に記憶された外部サーバ100のSSL証明書を示す証明書情報を、当該要求メッセージに含まれる証明書情報に書き換えることにより、外部サーバ100のSSL証明書をSSL証明書記憶部72において更新する(ステップS29)。そして、SSL証明書管理アプリ71は、SSL証明書の更新が完了した旨を示す通知メッセージをWebサーバ73に送る(ステップS30)。当該通知メッセージをWebサーバ73は受け取ると、当該通知メッセージをエンジン制御部63のSSL証明書管理アプリ82に送る(ステップS31)。
【0033】
図11は、ステップS31で送られる通知メッセージを例示する図である。同図の通知メッセージでは、SSL証明書の更新結果がHTTPのステータスコードにより示されている。
【0034】
当該通知メッセージをSSL証明書管理アプリ82は受け取ると、当該通知メッセージをWebサーバ80に送る(ステップS32)。当該通知メッセージをWebサーバ80は受け取ると、当該通知メッセージをクライアントPC200に送信する(ステップS33)。当該通知メッセージをクライアントPC200のWebブラウザは受信すると、画像形成装置60におけるSSL証明書の更新が完了した旨を表示させる。以上により、外部サーバ100のSSL証明書について、画像形成装置60は、エンジン制御部63及び操作表示制御部62で同期して同一のSSL証明書を保持することができる。
【0035】
尚、上述の例では、SSL証明書の更新について説明したが、SSL証明書を新たに追加する場合や、記憶されているSSL証明書を削除する場合についても同様にして、画像形成装置60は、エンジン制御部63及び操作表示制御部62で同期させる。図12は、SSL証明書を削除する場合にステップS27で送られる要求メッセージを例示する図である。同図の要求メッセージは、SSL証明書の削除を要求するメッセージであり、当該要求メッセージでは、GETメソッドが用いられて、削除する対象のSSL証明書がクエリで指定されていることが示されている。この要求メッセージに従って、SSL証明書管理アプリ71は、SSL証明書記憶部72に記憶されているSSL証明書を示す証明書情報を削除して、当該SSL証明書の削除が完了した旨を示す通知メッセージをWebサーバ73を介してエンジン制御部63に送る。図13は、SSL証明書を削除する場合にステップS31で送られる通知メッセージを例示する図である。同図の通知メッセージでは、SSL証明書の削除結果がHTTPのステータスコードにより示されている。このようにして、SSL証明書管理アプリ82は、証明書情報をSSL証明書記憶部83から削除し、SSL証明書管理アプリ71は、SSL証明書管理アプリ82からの要求により、証明書情報をSSL証明書記憶部72から削除する。尚、SSL証明書を新たに追加する場合には、ステップS25で、新たなSSL証明書の追加を要求する要求メッセージがSSL証明書管理アプリ82に送られ、SSL証明書管理アプリ82は、新たなSSL証明書を示す証明書情報をSSL証明書記憶部83に記憶させ、SSL証明書管理アプリ82からの要求により、SSL証明書管理アプリ71は、新たなSSL証明書を示す証明書情報をSSL証明書記憶部72に記憶させる。
【0036】
このような構成によれば、画像形成装置60は、外部サーバ100と図4に示される通信を行う際に、HTTPに代えて、SSL証明書を必要とするHTTPSに従った通信を行う場合であっても、ステップS1〜S2における操作表示制御部62を介した通信及びステップS10〜S11におけるエンジン制御部63を介した通信のいずれも支障なく行うことが可能になる。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、操作表示制御部62を制御するCPU及びエンジン制御部63を制御するCPUが異なる画像形成装置60において、操作表示制御部62からエンジン制御部63に認証情報を送信することにより、操作表示制御部62を介してHTTPに従って行った通信に続いて、エンジン制御部63を介してHTTPに従って行った通信を外部サーバ100と行うことが可能になる。また、操作表示制御部62からエンジン制御部63にCookieを送信することにより、操作表示制御部62を介して行う通信及びエンジン制御部63を介して行う通信を同一のセッションとして外部サーバ100に対して処理させることが可能になる。即ち、操作表示制御部62でWebブラウザによって実行される処理とエンジン制御部63のエンジン部63Dで実行される画像形成処理とは別々のプログラムによって実現されるものであるが、これらが1つのプログラムによって実現されるものとして外部サーバ100に認識させることができる。
【0038】
また、外部サーバ100のSSL証明書を操作表示制御部62とエンジン制御部63とで同期させることにより、画像形成装置60は、操作表示制御部62を介して行う通信及びエンジン制御部63を介して行う通信のいずれにおいても、外部サーバ100とHTTPSに従った通信を行うことが可能になり、通信の安全性を高めることが可能になる。このため、外部サーバ100との間の通信性能や通信効率を向上させることができる。
【0039】
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0040】
上述した実施の形態において、画像形成装置60で実行される各種プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また当該各種プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0041】
上述した実施の形態において、画像形成装置60は、上述の例に限らず、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも1つの機能を有するものであっても良い。また、図3では、画像形成装置60は、画像形成処理として、スキャンを実行する処理の例について説明したが、これに限らず、印刷を実行する処理やファクシミリ通信により画像を形成する処理であっても良い。
【0042】
上述した実施の形態において、画像形成装置60の操作表示制御部62のWebブラウザ70は、画像処理の実行を要求する際、認証情報及びCookieをエンジン制御部63のWebサーバ80に送信するようにしたが、認証情報及びCookieのうち一方を送信するようにしても良い。
【符号の説明】
【0043】
60 画像形成装置
61 コントローラ部
62 操作表示制御部
62A CPU
62B メモリ
62C RAM
62D オペレーションパネル
63 エンジン制御部
63A CPU
63B メモリ
63C RAM
63D エンジン部
70 Webブラウザ
71 SSL証明書管理アプリ
72 SSL証明書記憶部
73 Webサーバ
80 Webサーバ
81 ブラウザ制御アプリ
82 SSL証明書管理アプリ
83 SSL証明書記憶部
100 外部サーバ
200 クライアントPC
NT ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2004ー343394号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成手段を第1のCPU(Central Processing Unit)により制御する画像形成制御手段と、
ユーザからの操作が入力される及び情報を表示する操作表示手段を第2のCPUにより制御する操作表示制御手段とを備え、
前記操作表示制御手段は、
ネットワークを介して情報処理装置からHTTP(HyperText Transfer Protocol)に従ってWebページを受信してこれを前記操作表示手段に表示させ、前記操作表示手段を介して、画像の形成を要求する操作の入力を受け付け、当該入力に応じて、前記画像形成制御手段に対して画像の形成を要求するWebブラウザと、
前記Webブラウザが前記情報処理装置との通信の際に用いる認証情報及びCookieを記憶する第1記憶手段とを有し、
前記画像形成制御手段は、
前記Webブラウザからの要求に応じて、前記画像形成手段に対して画像の形成を要求し、前記画像形成手段が画像を形成した結果である画像形成結果を受け取る処理手段と、
前記処理手段が受け取った前記画像形成結果と、前記第1記憶手段に記憶された前記認証情報及びCookieのうち少なくとも1つとを、HTTPに従って前記ネットワークを介して前記情報処理装置に送信する送信手段とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記Webブラウザは、前記画像形成制御手段に対して画像の形成を要求する際に、前記第1記憶手段に記憶された前記認証情報及びCookieのうち少なくとも1つを前記画像形成制御手段に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記Webブラウザは、前記画像形成制御手段に対して画像の形成を要求する際に、前記第1記憶手段に記憶された前記認証情報及びCookieのうち少なくとも1つを、HTTPに従って前記画像形成制御手段に送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成制御手段は、
前記情報処理装置が発行したSSL証明書を示す証明書情報を記憶する第2記憶手段と、
新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の更新の要求を受け付ける第1受付手段と、
新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の更新の要求を前記第1受付手段が受け付けた場合、前記第2記憶手段に記憶された前記証明書情報を、新たな前記証明書情報に更新する第1更新手段とを更に有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1更新手段は、新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の更新の要求を前記第1受付手段が受け付けた場合、更に、新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の更新を前記操作表示制御手段に対して要求し、
前記操作表示制御手段は、
前記証明書情報を記憶する第2記憶手段と、
新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の更新の要求を受け付ける第2受付手段と、
新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の更新の要求を前記第2受付手段が受け付けた場合、前記第2記憶手段に記憶された前記証明書情報を、新たな前記証明書情報に更新する第2更新手段とを更に有する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1受付手段は、前記SSL証明書の削除の要求を受け付け、
前記第1更新手段は、前記SSL証明書の削除の要求を前記第1受付手段が受け付けた場合、前記第2記憶手段に記憶された前記証明書情報を削除する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1更新手段は、前記SSL証明書の削除の要求を前記第1受付手段が受け付けた場合、更に、前記操作表示制御手段に対して前記SSL証明書の削除を要求し、
前記第2受付手段は、前記SSL証明書の削除の要求を受け付け、
前記第2更新手段は、前記SSL証明書の削除の要求を前記第2受付手段が受け付けた場合、前記第2記憶手段に記憶された前記証明書情報を削除する
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1受付手段は、新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の追加の要求を受け付け、
前記第1更新手段は、新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の追加の要求を前記第1受付手段が受け付けた場合、新たな前記証明書情報を前記第2記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1更新手段は、新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の追加の要求を前記第1受付手段が受け付けた場合、更に、新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の追加を前記操作表示制御手段に対して要求し、
前記第2受付手段は、新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の追加の要求を受け付け、
前記第2更新手段は、新たな前記証明書情報を含み前記SSL証明書の追加を前記第2受付手段が受け付けた場合、新たな前記証明書情報を前記第2記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−212947(P2011−212947A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82480(P2010−82480)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】