説明

画像形成装置

【課題】像担持体の表面に研磨ムラを生じさせにくい研磨装置を備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】表面に静電潜像が形成される像担持体10bと、該像担持体10bに液体現像剤を供給する液体現像装置9bと、を備える画像形成装置1であって、像担持体10bとの間にニップ部NDを形成するように該像担持体10bに当接して配置され該像担持体10bの表面を磨く研磨装置30bを更に備え、研磨装置30bは、発泡樹脂体により構成され表面に多孔質骨格302aが形成された弾性ローラ302と、該弾性ローラ302の表面に付着されるモース硬度が3〜6の研磨剤粒子303と、を備え、発泡樹脂体の引張強度は、0.3〜1.8MPaの範囲内にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機やプリンタ等の画像形成装置は、トナー画像を担持可能な像担持体と、この像担持体にトナーを含む現像剤を供給可能な現像装置と、を備えている。この画像形成装置では、像担持体の表面に形成された静電潜像を、現像装置から供給される現像剤により現像することで像担持体の表面にトナー画像を担持させている。
ところで、以上の画像形成装置により連続的に現像が行われた場合には、像担持体の表面にトナーを構成する樹脂等の一部が付着して残存してしまう。そして、像担持体の表面にトナーを構成する樹脂等の一部が付着して残存してしまうことにより、画像形成装置により形成される画像特性が低下してしまうという問題があった。
【0003】
そこで、像担持体に当接すると共にこの像担持体の表面を磨く研磨装置を配置することにより画像特性の低下を防ぐ画像形成装置が提案されている。
例えば、本出願人は、先に、芯材と、この芯材の表面に形成されるモース硬度3〜6の研磨剤粒子を含む研磨層とを具備する弾性ローラからなる研磨装置を備える画像形成装置を提案している(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1で提案された画像形成装置によれば、モース硬度3〜6の研磨剤粒子により、像担持体の表面を傷つけることなく像担持体の表面を適度に磨けるので、長期間にわたって好適な画像特性を得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−229687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案された画像形成装置では、長期間にわたって好適な画像特性を得られるものの、像担持体の表面に研磨ムラが生じてしまう場合があった。
【0007】
従って、本発明は、像担持体の表面に研磨ムラを生じさせにくい研磨装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、表面に静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、該像担持体に液体現像剤を供給する液体現像装置と、を備える画像形成装置であって、前記像担持体との間にニップ部を形成するように該像担持体に当接して配置され該像担持体の表面を磨く研磨装置を更に備え、前記研磨装置は、発泡樹脂体により構成され表面に多孔質骨格が形成された弾性ローラと、該弾性ローラの表面に付着されるモース硬度が3〜6の研磨剤粒子と、を備え、前記発泡樹脂体の引張強度は、0.3〜1.8MPaの範囲内にある画像形成装置に関する。
【0009】
また、前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体であることが好ましい。
【0010】
また、画像形成装置は、前記発泡樹脂体の密度が100〜500kg/mの範囲内にあることが好ましい。特に、150〜350kg/mの範囲内にあることが更に好ましい。
【0011】
また、前記弾性ローラの表面における前記多孔質骨格のセル数は、25〜100個/25mmであることが好ましい。特に、前記多孔質骨格のセル数は40〜65個/25mmの範囲内であることが更に好ましい。
【0012】
また、前記ニップ部における前記弾性ローラの回転方向に沿う方向における長さは、1.3〜5mmであることが好ましい。
【0013】
また、前記ニップ部よりも回転方向の上流側における前記像担持体の表面における液体現像剤の厚さは、0.001〜5μmであることが好ましい。
【0014】
また、前記研磨材粒子は、メラミン樹脂粉末、フッ素樹脂粉末、及びガラスビーズからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、該像担持体に現像剤を供給する現像装置と、を備える画像形成装置であって、前記像担持体との間にニップ部を形成するように該像担持体に当接して配置され該像担持体の表面を磨く研磨装置を更に備え、前記研磨装置は、発泡樹脂体により構成され表面に多孔質骨格が形成された弾性ローラと、該弾性ローラの表面に配置されモース硬度が3〜6の研磨材粒子と、を備え、前記発泡樹脂体の引張強度は、0.3〜1.8MPaの範囲内にある画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、像担持体の表面に研磨ムラを生じさせにくい研磨装置を備える画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置としてのカラープリンタ1の各構成要素を説明するための全体図である。
【図2】図1に示すカラープリンタ1における液体現像剤循環装置LYの構成を模式的に示す図である。
【図3】図1に示すカラープリンタ1における液体現像装置9b、感光体ドラム10b及び研磨装置30bの構成を模式的に示す正面図である。
【図4】アモルファスシリコン感光体ドラム10bの構成を説明するための部分断面図である。
【図5】研磨装置30bの断面図である。
【図6】研磨装置30bの表面状態を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の画像形成装置の好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の画像形成装置は、図1に示すように、表面に静電潜像が形成される像担持体としての感光体ドラム10a、10b、10c、10dと、感光体ドラム10a、10b、10c、10dに液体現像剤を供給する液体現像装置9a、9b、9c、9dと、感光体ドラム10a、10b、10c、10dに当接して配置され感光体ドラム10a、10b、10c、10dの表面を磨く研磨装置30a、30b、30c、30dと、を備える湿式画像形成装置としてのカラープリンタ1である。
【0019】
先ず、図1を参照しながら、カラープリンタ1の全体構成について説明する。図1は、カラープリンタ1の各構成要素を説明するための全体図である。
図1に示すように、カラープリンタ1は、画像形成部2と、用紙収納部3と、二次転写部4と、定着部5と、用紙搬送部6と、排紙部7と、を備える。
【0020】
画像形成部2は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式のものである。この画像形成部2は、中間転写ベルト21と、クリーニング部22と、複数の画像形成ユニットFB、FY、FC、FMとを備える。画像形成部2は、外部機器(例えば、PC(Personal computer)等)から入力された画像データに基づいて、トナー画像を形成する。画像形成部2の詳細については後述する。
【0021】
用紙収納部3は、被転写材の一例である用紙Tを収容する。用紙収納部3は、カラープリンタ1における垂直方向下部に配置される。用紙収納部3は、用紙Tを収納する給紙カセット31と、用紙Tを後述する用紙搬送部6に供給する給紙ローラ32と、複数の用紙Tが重なった状態で用紙搬送部6に供給されることを抑制する分離ローラ対33とを有する。
【0022】
二次転写部4は、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙T上(表面)に転写する。二次転写部4は、画像形成部2を構成する中間転写ベルト21を駆動する駆動ローラ41と、二次転写ローラ42とを有する。二次転写ローラ42は、中間転写ベルト21を間に挟んで駆動ローラ41に向けて押圧されて配置される。二次転写部4は、中間転写ベルト21上(表面)に形成されたトナー画像を用紙Tに転写する。二次転写部4は、一次転写ローラ20a、20b、20c、20dと共に、トナー画像を用紙Tに転写する転写装置を構成する。
【0023】
定着部5は、用紙Tに転写されたトナー画像を用紙T上(表面)に定着させる。定着部5は、加熱ローラ51と、加圧ローラ52とを有する。加圧ローラ52は、加熱ローラ51に対向すると共に、加熱ローラ51を押圧するように配置される。定着部5は、二次転写部4により転写されたトナー画像を用紙Tに定着させる部分(装置)である。定着部5は、二次転写部4よりも用紙Tの搬送方向において下流側に配置される。
【0024】
用紙搬送部6は、用紙Tを用紙収納部3から排紙部7まで搬送する。用紙搬送部6は、(複数の)搬送ローラ対74と、レジストローラ対75とを備える。用紙搬送部6は、用紙収納部3から供給された用紙Tを二次転写部4及び定着部5を介して排紙部7に搬送する部分である。なお、図1においては、一対の搬送ローラ対74のみが図示され、他の搬送ローラ対は表示が省略されている。
【0025】
排紙部7は、用紙搬送部6により搬送された用紙Tを排紙(排出)する。排紙部7は、(複数の)排出ローラ対71と、カラープリンタ1における上面に設けられた排出トレイ72とを有する。排紙部7は、二次転写部4によりトナー画像が転写され、定着部5によりトナー画像が一方又は両方の面に定着された用紙Tが排出される部分である。なお、図1においては、一対の排出ローラ対71のみが図示され、他の排出ローラ対は表示が省略されている。
【0026】
次に、画像形成部2の詳細について説明する。上述したように、画像形成部2は、中間転写ベルト21と、クリーニング部22と、複数の画像形成ユニットFB、FY、FC、FMとを備える。
【0027】
中間転写ベルト21は、導電性を有する無端状のベルト部材である。
中間転写ベルト21は、カラープリンタ1において使用可能な最も大きな用紙の幅より幅広である。ここで、「幅」とは、用紙搬送方向に垂直な方向の長さをいう。
中間転写ベルト21は、それぞれ所定位置に配置される駆動ローラ41と従動ローラ23とテンションローラ24とに張架されて配置される(架けわたされて配置される)。
中間転写ベルト21は、図1の矢印で示すように、時計回り(図1において)に循環駆動される。具体的には、中間転写ベルト21は、駆動モータ(不図示)から伝達された回転駆動力により回転された駆動ローラ41により、矢印方向(環方向)に回転駆動される。また、回転駆動された中間転写ベルト21により、従動ローラ23及びテンションローラ24それぞれは、従動回転される。なお、中間転写ベルト21は、テンションローラ24により弛まないように適切な張力を付与された状態で回転駆動される。
以下、中間転写ベルト21の外側を向く面を表面とし、他方の面を裏面とする。
【0028】
クリーニング部22は、クリーニングローラ22aと、クリーニングブレード22bとを有する。クリーニング部22は、中間転写ベルト21のクリーニングを行う。
【0029】
画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、それぞれ、中間転写ベルト21の近傍に配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、水平方向に並んで配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、水平方向においてクリーニング部22と二次転写部4との間に並んで配置される。画像形成ユニットFB、FY、FC、FMは、図1において、左からFB、FY、FC、FMの順序で並んで配置される。
画像形成ユニットFB、FY、FM、FCは、それぞれ、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各色に対応したユニットである。
尚、画像形成ユニットFB、FY、FC、FMの配置順序は、上述の限りではないが、各色の混色による画像(用紙T上に転写された画像)への影響を配慮すると、上述の配置順序が好ましい。
【0030】
また、画像形成ユニットFB、FY、FC、FMそれぞれに対応して、トナータンクTB、TY、TC、TMを含んで構成される液体現像剤循環装置LB、LY、LC、LMや、メインキャリアタンクMTが設けられる。これらは、各色の液体現像剤における供給及び回収に利用される。
【0031】
画像形成ユニットFB、FY、FC、FMそれぞれは、液体現像装置9a、9b、9c、9dと、像担持体としての感光体ドラム10a、10b、10c、10dと、帯電装置11a、11b、11c、11dと、露光装置12a、12b、12c、12dと、一次転写ローラ20a、20b、20c、20dと、クリーニング装置26a、26b、26c、26dと、除電装置13a、13b、13c、13dと、研磨装置30a、30b、30c、30dと、を備える。
【0032】
感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれは、円柱形状を有し、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナー画像を担持可能に構成される。
感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれは、図1において反時計回りに回転可能に配置される。感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれには、液体現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれにより液体現像剤が供給される。
【0033】
帯電装置11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面を所定の極性及び電位に一様に帯電させる装置である。
【0034】
露光装置12a、12b、12c、12dそれぞれは、図示しない光源部(例えば、LED(Light―Emitting Diode)等)を有する。露光装置12a、12b、12c、12dそれぞれは、外部機器(例えば、PC等)から入力される画像データに基づいて、所定の極性及び電位に一様に帯電された感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に光を照射する。これにより、露光部分の電荷が除去されて、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面には、静電潜像が形成される。
【0035】
液体現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に形成された静電潜像に対向するように配置され、トナー及びキャリア液を含む液体現像剤GB、GY、GC、GMを保持する。また、液体現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれに液体現像剤GB、GY、GC、GMを供給する。これにより、液体現像装置9a、9b、9c、9dそれぞれは、静電潜像に各色のトナーを付着させ、静電潜像をトナー画像として現像させる。
液体現像装置9a、9b、9c、9d及び感光体ドラム10a、10b、10c、10dについては、後に詳細に説明する。
【0036】
一次転写ローラ20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21の裏面側に感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれに対応して配置される。一次転写ローラ20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれと対向して配置される。
【0037】
一次転写ローラ20a、20b、20c、20dそれぞれには、図示しない電源によりトナー画像を構成するトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧が印加される。つまり、一次転写ローラ20a、20b、20c、20dそれぞれは、中間転写ベルト21と接触している位置において中間転写ベルト21に対してトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するため、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引きつけられる。
【0038】
クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれは、クリーニングブレード27a、27b、27c、27dと、搬送スクリュー28a、28b、28c、28dと、を備える。クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれは、中間転写ベルト21に転写されずに感光体ドラム10a、10b、10c、10dに残留した液体現像剤を除去するための装置である。
【0039】
クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に残留した液体現像剤を掻き取るための部材である。クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、先端が感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に当接(摺接)して配置される。クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転に伴って感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に残留した液体現像剤を掻き取る。
【0040】
搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれの内部に配置される。搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれによって掻き取られ、クリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれの内部に収容された液体現像剤を第1回収容器81a、81b(図2参照)、81c、81dそれぞれに搬送する。また、搬送スクリュー28a、28b、28c、28dそれぞれは、後述する研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれによって中間転写ベルト21から除去されてクリーニング装置26a、26b、26c、26dそれぞれの内部に収容されたトナーを構成する樹脂等を含む液体現像剤も第1回収容器81a、81b(図2参照)、81c、81dそれぞれに搬送する。
【0041】
研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転軸と平行な回転軸それぞれを中心として回転可能に配置される略円柱状の部材である。この研磨装置30a、30b、30c、30dは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に付着したトナーを構成する樹脂等の粒径の比較的小さな異物を除去する。
【0042】
研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれにおける表面に対向して配置される。研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれと中間転写ベルト21とが接触する位置よりも、感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれの回転方向下流側であってクリーニングブレード27a、27b、27c、27dの上流側において感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれに対向して配置される。
研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれは、所定方向からみて感光体ドラム10b、10c、10dそれぞれと同方向に回転する。研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれによって除去された異物は、クリーニング装置26b、26c、26dの内部に収容される。
【0043】
除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、除電用の光源(不図示)を有する。除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、光源からの光によって感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面を除電処理する。除電装置13a、13b、13c、13dそれぞれは、クリーニングブレード27a、27b、27c、27dそれぞれによって感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面から液体現像剤が除去された部分に対して除電処理をする。
【0044】
次いで、図2及び図3により、液体現像装置9a、9b、9c、9d及び液体現像剤循環装置LB、LY、LC、LMの詳細について説明する。
図2は、液体現像剤循環装置LYの構成を説明する模式図である。図3は、液体現像装置9bの構成を説明する断面図である。
まず、液体現像装置9a、9b、9c、9dについて説明する。尚、ここでは、液体現像装置9bについて詳細に説明し、同様の構成である他の液体現像装置9a、9c、9dについては説明を省略する。
【0045】
図2及び図3に示すように、液体現像装置9bは、感光体ドラム10bに液体現像剤を供給するための装置である。液体現像装置9bは、現像ローラ91bと、現像剤供給ローラ92bと、支持ローラ93bと、現像剤供給装置94bと、現像容器95bと、現像ローラクリーニング装置96bと、帯電装置97bと、を備える。
【0046】
現像ローラ91bは、感光体ドラム10bに対向して配置される円筒状の部材である。現像ローラ91bは、外面側に配置され表面を構成する弾性部を有する。現像ローラ91bは、図3において、回転軸C1を中心に矢印方向(時計回り)に回転可能に配置される。
現像ローラ91bは、感光体ドラム10bに対して所定の圧力で当接するよう配置される。これにより、感光体ドラム10bと現像ローラ91bとの当接部分には、ニップ部NCが形成される。
現像ローラ91bにおける表面には、液体現像剤により構成される現像剤膜が形成される。
【0047】
現像剤供給ローラ92bは、現像ローラ91bに当接して対向配置される。
現像剤供給ローラ92bは、現像ローラ91bにおける垂直方向下側に配置される。また、現像剤供給ローラ92bは、回転軸C2が現像ローラ91bの回転軸C1に対して水平方向にずれるように配置される。また、現像剤供給ローラ92bは、現像ローラ91bと支持ローラ93bとの間に配置される。
【0048】
現像剤供給ローラ92bは、液体現像剤を現像ローラ91bに供給するローラ部材である。
現像剤供給ローラ92bは、いわゆるアニロックスローラと呼ばれる部材としての役割を有しており、表面に螺旋溝が形成されている。螺旋溝には液体現像剤が流れ込み、現像剤供給ローラ92bは、表面に液体現像剤を保持可能に構成される。ここで、現像剤供給ローラ92b上(表面)に保持された液体現像剤は、現像剤供給ローラ92bの回転に伴って軸方向における一端側(図3において紙面手前側)から他端側(図3において紙面奥側)に搬送される。
【0049】
現像剤供給ローラ92bの近傍には、先端が現像剤供給ローラ92bの表面に当接するように供給ローラブレード部材921bが配置される。供給ローラブレード部材921bは、現像剤供給ローラ92b上の液体現像剤における層の厚さを規制する。
【0050】
現像剤供給ローラ92bは、図3において、現像ローラ91bに当接して回転軸C1と平行な回転軸C2を中心に矢印方向(時計回り)に回転配置される。
つまり、現像ローラ91bと現像剤供給ローラ92bとが当接するニップ部NAでは、現像ローラ91bの表面は、現像剤供給ローラ92bの表面と逆方向に移動する。これにより、現像剤供給ローラ92bの表面に保持された液体現像剤が現像ローラ91bの表面に受け渡される。ここで、供給ローラブレード部材921bにより現像剤供給ローラ92bの液体現像剤における層厚が所定値に規制されるので、現像ローラ91bの表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定範囲の厚さに保たれる。
【0051】
支持ローラ93bは、現像剤供給ローラ92bに当接して対向配置される。支持ローラ93bは、現像剤供給ローラ92bにおける垂直方向下側に配置される。また、支持ローラ93bは、回転軸C3が現像剤供給ローラ92bの回転軸C2に対して水平方向にずれるように配置される。
【0052】
支持ローラ93bは、現像剤供給ローラ92bと当接するニップ部NBの近傍で液体現像剤を支持可能である。支持ローラ93bは、回転軸C3が現像剤供給ローラ92bの回転軸C2に対して水平方向にずれるように配置されることで、ニップ部NB近傍に液体現像剤が貯留しやすくさせる。
【0053】
支持ローラ93bは、図3において矢印方向(反時計回り)に回転される。
支持ローラ93bは、現像剤供給ローラ92bに当接して回転軸C1と平行な回転軸C3を中心に回転可能に配置される。つまり、現像剤供給ローラ92bと支持ローラ93bとが当接するニップ部NBでは、現像剤供給ローラ92bの表面は、支持ローラ93bの表面と同方向に移動する。これにより、ニップ部NBに貯留された液体現像剤は、現像剤供給ローラ92bに供給されやすくなる。
【0054】
現像剤供給装置94bは、濃度調整された液体現像剤を現像剤供給ローラ92bと支持ローラ93bとのニップ部NBの近傍に供給するための装置である。
現像剤供給装置94bは、液体現像剤を送液するポンプP4bと、複数の現像剤供給ノズル941bと、分配部942bと、を備える。
【0055】
ポンプP4bは、流路R7bを介して分配部942bに向けて液体現像剤を送液する。ポンプP4bは、現像剤供給ノズル941bにより液体現像装置9b内に供給される液体現像剤の量(送液量、供給量)を調整可能である。
【0056】
分配部942bは、複数の現像剤供給ノズル941bに接続されると共に、ポンプP4によって流路R7bを介して送液された液体現像剤を複数の現像剤供給ノズル941bそれぞれに分配する。
【0057】
現像剤供給ノズル941bの基端側は、液体現像剤循環装置LYのリザーブタンク87bに流路R7b及び分配部942bを介して接続され、リザーブタンク87bから液体現像剤の供給を受ける(図2参照)。
複数の現像剤供給ノズル941は、現像剤供給ローラ92bの回転軸C3の軸方向に等間隔に配置される。
複数の現像剤供給ノズル941bそれぞれの先端側は、支持ローラ93bのうち現像剤供給ローラ92bと支持ローラ93bとのニップ部NB近傍に位置し、このニップ部NB近傍に向けて液体現像剤を供給可能である。
【0058】
現像容器95bは、支持ローラ93bと、現像剤供給ローラ92bと、現像剤供給装置94b(一部)と、現像ローラ91bと、現像ローラクリーニング装置96bと、帯電装置97bと、供給ローラブレード部材921bとを支持しており、内部に液体現像剤を収容可能な容器である。また、現像容器95bには、支持ローラ93bの外周面に沿うように窪んだ凹部951bが形成される。現像容器95bの凹部951bの底部のうち軸方向下流側の端部には、液体現像剤を排出可能な排出部952b(図2参照)が形成される。排出部952bは、後述する流路R2bによって液体現像剤循環装置LYの第2回収容器83bに接続される。
【0059】
現像剤供給ローラ92bと支持ローラ93bとのニップ部NB近傍(被供給領域)に供給された液体現像剤の余剰分は、支持ローラ93bから垂直方向における下方へ落下し、現像容器95bの底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、流路R2bを通して液体現像剤循環装置LYの第2回収容器83bに回収される。
【0060】
現像ローラクリーニング装置96bは、現像剤回収ローラ963bと、回収ローラ掻き取りブレード964bと、掻き取りブレード961bと、現像剤回収部962bと、排出部材965bとを備える。現像ローラクリーニング装置96bは、現像容器95bに支持されて配置される。現像ローラクリーニング装置96bは、感光体ドラム10bに供給されずに現像ローラ91bの表面に残留した液体現像剤をクリーニングする装置である。
【0061】
現像剤回収ローラ963bは、現像ローラ91bに当接して対向配置される。現像剤回収ローラ963bは、現像ローラ91bに残存した液体現像剤を回収する部材である。
回収ローラ掻き取りブレード964bは、現像剤回収ローラ963bに付着した液体現像剤を掻き取る部材であって、先端が現像剤回収ローラ963bに接触して配置される。
【0062】
掻き取りブレード961bは、現像剤回収ローラ963bに対して現像ローラ91bにおける回転方向下流側の所定位置に対向配置される板状の部材である。掻き取りブレード961bは、先端が現像ローラ91bに接触するように配置される。掻き取りブレード961bは、現像ローラ91b上(表面)の液体現像剤を掻き取るための部材である。掻き取りブレード961bは、現像剤回収ローラ963bで回収されなかった液体現像剤を掻き取るための部材である。
【0063】
現像剤回収部962bは、掻き取りブレード961bにより掻き取られた液体現像剤を回収する内部空間を有する。現像剤回収部962bにおける内部空間は、流路R1b(図2参照)及び流路R2bにより第2回収容器83bと接続される。
【0064】
排出部材965bは、現像剤回収部962bに回収された液体現像剤を第2回収容器83bに接続された流路R1b側に搬送するスクリュー状の部材である(図2参照)。
【0065】
帯電装置97bは、現像ローラ91bの近傍に配置される。帯電装置97bは、現像ローラ91bに対向して配置される。帯電装置97bは、現像ローラ91bの回転方向において、現像ローラ91bと感光体ドラム10bとのニップ部NCよりも上流側であって、現像ローラ91bと現像剤供給ローラ92bとのニップ部NA分より下流側の部分に対向して配置される。帯電装置97bは、現像ローラ91bの回転方向において、ニップ部NAとニップ部NCとの間に現像ローラ91bと対向して配置される。
【0066】
帯電装置97bは、現像ローラ91b上(表面)に形成された現像剤膜を構成する液体現像剤に電荷を付与(電圧を印可)する。帯電装置97bは、例えば、コロナ放電により、現像剤膜を構成する液体現像剤に電荷を付与する。
帯電装置97bは、液体現像装置9bにおける現像効率を向上させる。
【0067】
続けて、液体現像剤循環装置LYについて説明する。ここで、液体現像剤循環装置LYについて詳細に説明し、同様の構成である他の液体現像剤循環装置LB、LM、LCについては説明を省略する。
【0068】
図2に示すように、液体現像剤循環装置LYは、第1回収容器81bと、分離抽出装置82と、第2回収容器83bと、調整容器84bと、トナータンクTYと、キャリアタンクCYと、リザーブタンク87bとを備える。液体現像剤循環装置LYは、画像形成に使用されなかった液体現像剤を再び利用するための装置である。
【0069】
第1回収容器81bは、感光体ドラム10b上(表面)に残留した液体現像剤を回収するための容器である。
【0070】
分離抽出装置82は、第1回収容器81bの液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離するための装置である。分離抽出装置82は、流路R8bを介して第1回収容器81bと接続される。流路R8bには、ポンプP6bが設けられる。第1回収容器81b内の液体現像剤は、ポンプP6b及び流路R8bにより分離抽出装置82に送られる。
【0071】
また、分離抽出装置82は、流路R9bを介してキャリアタンクCYと接続される。流路R9bには、ポンプP7bが設けられる。分離抽出装置82において分離・抽出されたキャリア液は、ポンプP7b及び流路R9bによりキャリアタンクCYに送られる。
【0072】
第2回収容器83bは、液体現像装置9bにおいて画像形成に使用されずに残留した液体現像剤を回収する容器である。第2回収容器83bは、流路R1b及び流路R2bを介して、液体現像装置9bの現像ローラクリーニング装置96b及び現像容器95bの排出部952bと接続される。
【0073】
流路R1bは、現像ローラクリーニング装置96bと流路R2bとをつなぐように形成される。流路R1bは、流路R2bと合流する。流路R1bは、現像ローラクリーニング装置96bで回収された液体現像剤を流路R2bとの合流部に向けて送る。
流路R2bは、現像容器95bの排出部952bと第2回収容器83bとをつなぐように形成される。流路R2bには、流路R1bが合流する。流路R2bは、現像容器95bの底部に貯留された液体現像剤を第2回収容器83bに送ると共に、現像ローラクリーニング装置96bにより回収された液体現像剤であって合流部を介して流路R2bに送られた液体現像剤を第2回収容器83bに送る。
【0074】
調整容器84bは、液体現像剤のトナー濃度を所定値に調整するための容器である。調整容器84bは、流路R3bを介して第2回収容器83bと接続される。流路R3bには、ポンプP1bが設けられる。第2回収容器83b内の液体現像剤は、ポンプP1b及び流路R3bにより調整容器84bに送られる。
【0075】
トナータンクTYは、液体現像装置9bで用いられる液体現像剤よりトナー濃度が高い液体現像剤を収容する。このトナー濃度の高い液体現像剤は、調整容器84b内のトナー濃度を上げるために用いられる。トナータンクTYは、流路R5bを介して調整容器84bと接続される。流路R5bには、ポンプP5bが設けられる。トナータンクTYに収容されるトナー濃度が高い液体現像剤は、ポンプP5b及び流路R5bにより調整容器84bへ送られる。
【0076】
キャリアタンクCYは、キャリア液を収容する。キャリア液は、調整容器84b内のトナー濃度を下げるために用いられる。また、キャリアタンクCYは、流路R4bを介して調整容器84bと接続される。流路R4bには、ポンプP2bが設けられる。キャリア液は、ポンプP2b及び流路R4bにより調整容器84bへ送られる。なお、キャリアタンクCYと同様のキャリアタンクが他の液体現像剤循環装置LM、LC、LB(図1参照)にも、それぞれ設けられている。これらのキャリアタンクは、各色共通のメインキャリアタンクMT(図1参照)からキャリア液の供給を受ける。
【0077】
リザーブタンク87bは、液体現像装置9bに補給される液体現像剤を収容する。
リザーブタンク87bは、流路R6bを介して調整容器84bと接続される。流路R6bには、ポンプP3bが設けられる。調整容器84bに収容される液体現像剤は、ポンプP3b及び流路R6bによりリザーブタンク87bへ送られる。
【0078】
また、リザーブタンク87bは、流路R10bを介してトナータンクTYと接続される。流路R10bには、ポンプP8bが設けられる。トナータンクTYに収容されるトナー濃度が高い液体現像剤は、ポンプP8b及び流路R10bによりリザーブタンク87bへ送られる。流路R10bからトナー濃度が高い液体現像剤が供給されることで、リザーブタンク87bに収容される液体現像剤のトナー濃度を短時間で高くすることができる。
【0079】
また、リザーブタンク87bは、流路R11bを介してキャリアタンクCYと接続される。流路R11bには、ポンプP9bが設けられる。キャリアタンクCYに収容されるキャリア液は、ポンプP9b及び流路R11bによりリザーブタンク87bへ送られる。流路R11bからキャリア液が供給されることで、リザーブタンク87bに収容される液体現像剤のトナー濃度を短時間で低くすることができる。
【0080】
また、リザーブタンク87bは、流路R7bを介して現像剤供給ノズル941bと接続される。流路R7bには、ポンプP4bが設けられる。リザーブタンク87bに収容された液体現像剤は、ポンプP4b及び流路R7bにより現像剤供給ノズル941bに送られる。そして、現像剤供給ノズル941bに送られた液体現像剤は、ニップ部NBに向けて供給される。
【0081】
次いで、本実施形態における感光体ドラム10a、10b、10c、10d及び研磨装置30a、30b、30c、30dの詳細について、図3及び図4を参照しながら説明する。図4は、感光体ドラム10bの構成を説明するための部分断面図である。
【0082】
まず、感光体ドラム10bについて説明する。感光体ドラム10bは、アモルファスシリコン感光体ドラムである。尚、ここでは、液体現像装置9bに対応する感光体ドラム10bについて詳細に説明し、同様の構成である他の感光体ドラム10a、10c、10dについては説明を省略する。
図3及び図4に示すように、感光体ドラム10bは、コアとしての導電性基板101と、導電性基板101の外面に位置するキャリア注入阻止層102と、キャリア注入阻止層102の外面に位置する光導電層103と、光導電層103の外面に位置する表面層104と、を備える。
【0083】
導電性基板101を構成する材料としては、アルミニウム(Al)、SUS(ステンレススチール)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、錫(Sn)、金(Au)、銀(Ag)等の金属材料やそれらの合金材料等が挙げられる。
また、導電性基板101として、樹脂やガラス、セラミックス等の絶縁性材料の表面を、上述した金属やITO(酸化インジウムスズ)、SnO等の透明導電性材料で導電処理した構成であってもよい。
上述したうちでも、導電性基板101として、アルミニウム合金材料を用いると、低コストで感光体の軽量化が可能であるだけでなく、アモルファスシリコン(以下、a−Siともいう)系光導電層あるいはキャリア注入阻止層との密着性が高く、それにより感光体の信頼性も向上するといった点で好適である。
【0084】
キャリア注入阻止層102は、アモルファスシリコン系材料(a−Si系材料)を母材にして、それに、H(水素原子)やF(フッ素原子)を含有させ、更に周期律表第III族、第IV族、第V族のうち少なくとも1種の元素を含有させて構成することが好ましい。
また、C、N、O等の元素を、キャリア注入阻止層102の構成材料として、更に含有させることも好ましい。
【0085】
アモルファスシリコン系材料からなる光導電層103としては、アモルファス状態を略してa−と表示した場合、例えば、a−SiC、a−SiCN、a−SiNO、a−SiCO、a−SiN、a−Si、a−C、a−CN、a−SiO等から構成していることが好ましい。
また、HやF等の元素を、アモルファスシリコン系材料の一部として、更に含有させることも好ましい。
【0086】
表面層104は、アモルファス状態の珪素(Si)及び/又は炭素(C)の原子から構成すると共に、酸素(O)又は窒素(N)のうち少なくとも1種の原子と、水素(H)又はフッ素(F)のうち少なくとも1種の原子とを含有することが好ましい。
例えば、Si原子とC原子との比率をSi1−xで表示した場合には、xを0.4≦x≦1.0の範囲にすると、モース硬度が8〜11の範囲になることが確認されている。
尚、表面層104の膜厚を0.1〜10μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.3〜5μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0087】
次いで、研磨装置30a、30b、30c、30dについて説明する。
研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転軸と平行な回転軸それぞれを中心として回転可能に配置される略円柱状の部材である。研磨装置30b、30c、30dは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dの表面を磨いて、感光体ドラム10a、10b、10c、10dの表面に付着した異物を除去する。
【0088】
研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれとの間にニップ部NDを形成するように感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの表面に当接(圧接)して配置される。
ニップ部NDの幅L1、即ち、研磨装置30a、30b、30c、30dの回転方向に沿う方向の長さは、1.3〜5mmmの範囲内の値とすることが好ましい。ニップ部NDの幅L1を1.3mm未満の値にした場合には、研磨装置30a、30b、30c、30dによる感光体ドラム10a、10b、10c、10dの研磨効果が十分に発揮されないおそれがある。また、ニップ部NDの幅L1が5mmを超える値となった場合には、研磨効果が過度に発現したり、研磨装置30a、30b、30c、30dの劣化が速くなったりするおそれがある。
【0089】
研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれは、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれと中間転写ベルト21とが接触する位置よりも、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれの回転方向下流側において、感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれに対向して配置される。
研磨装置30a、30b、30c、30dそれぞれは、所定方向からみて感光体ドラム10a、10b、10c、10dそれぞれと同方向に回転する。
【0090】
本実施形態における研磨装置30a、30b、30c、30dについて、図5及び図6を参照しながら更に詳しく説明する。尚、ここでは、感光体ドラム10bに当接して配置され、かつ、感光体ドラム10bの表面を磨く研磨装置30bについて詳細に説明し、同様の構成である他の研磨装置30a、30c、30dについては説明を省略する。
図5は、研磨装置30bの断面図である。図6は、研磨装置30bの表面状態を模式的に示す平面図である。
【0091】
図5に示すように、研磨装置30bは、芯材301と、芯材301の外面に位置する弾性ローラ302と、弾性ローラ302の表面に付着される研磨剤粒子303と、を備える。
芯材301は、硬質材料、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属材料から構成され、アモルファスシリコン感光体ドラム10bの回転軸と平行な回転軸を形成する。
【0092】
弾性ローラ302は、発泡樹脂体の基材により構成される。発泡樹脂体としては、例えば、ウレタン樹脂発泡体(ウレタンフォーム)、スチレン樹脂発泡体、オレフィン樹脂発泡体、シリコーン樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体等が挙げられる。
これらのうち、特に、弾性ローラ302としてウレタン樹脂発泡体を用いる場合は、ポリオール化合物及びイソシアネート化合物から発泡剤を使用することなく弾性ローラ302を作製できると共に、作製された弾性ローラ302の耐久性に優れる。
【0093】
弾性ローラ302を構成する発泡樹脂体は、引張強度が0.3〜1.8MPaの範囲内、好ましくは0.6〜1.2MPaの範囲内である。
発泡樹脂体の引張強度を上述した範囲内とすることにより、弾性ローラ302は、強度不足を招くことなく十分に柔らかな弾性層に形成することが可能となり、耐久性の向上と研磨ムラの発生を低減することができる。
【0094】
また、発泡樹脂体の密度は、100〜500kg/mの範囲内にあることが好ましく、150〜350kg/mの範囲内にあることが更に好ましい。
発泡樹脂体の密度を上述した範囲内とすることにより、より好適な強度及び柔軟性を備える弾性ローラ302を形成することが可能となり、耐久性の向上と研磨ムラの発生をより低減することができる。
【0095】
弾性ローラ302の表面には、図6に示すように、発泡樹脂体における多数の発泡により、多孔質骨格302aが形成されている。多孔質骨格302aのセル数は、25〜100個/25mm(セル径に換算すると、1〜0.25mm)の範囲内であることが好ましく、40〜65個/25mm(セル径に換算すると、0.625〜0.385mm)の範囲内であることが更に好ましい。
弾性ローラ302の表面の多孔質骨格302aのセル数を、上述した範囲内とすることにより、後述する研磨剤粒子303を弾性ローラ302の表面に接着するために用いる接着剤(不図示)によって多孔質部分(セル)が埋められてしまうことがなく、弾性ローラ302の表面に適度な多孔質部分を残して柔らかな弾性層を維持しつつ、研磨剤粒子303を多孔質骨格302aに付着することが可能となる。
【0096】
研磨剤粒子303は、弾性ローラ302の表面に分散して付着される。研磨剤粒子303は、例えば、接着剤に分散された状態で弾性ローラ302の表面、即ち、多孔質骨格302aの外面に塗布される。これにより、研磨剤粒子303は、多孔質骨格302aを維持した状態で弾性ローラ302の表面に付着される。
【0097】
ここで、接着剤に分散される研磨剤粒子303は、モース硬度が3〜6の範囲、好ましくは、4〜6である。
研磨剤粒子303のモース硬度が3未満であると、感光体ドラム10bの表面研磨が不十分で、長期間にわたって、画像特性の劣化を防止することが困難である。一方、研磨剤粒子303のモース硬度が6を超えると、感光体ドラム10bの表面の研磨が過度になって、逆に画像特性が劣化する可能性があると共に、感光体ドラム10bの表面層104が削られて耐電圧性が低下し、黒点が発生する等感光体ドラム10bの耐久性が悪化する。
尚、研磨剤粒子303のモース硬度は、モース硬度計を用いて測定した硬度値である。
【0098】
研磨剤粒子303の種類としては、モース硬度が上述した範囲内であれば、特に制限されるものでないが、例えば、メラミン樹脂粉末(モース硬度:3〜4)、フッ素樹脂粉末(モース硬度:3〜4)、及びガラスビーズ(モース硬度:6〜7)からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
上述のような種類の研磨剤粒子303を用いることにより、比較的少量の粒子によっても、感光体ドラム10bの表面を効果的に研磨することができる。
また、上述のような研磨剤粒子303であれば、平均粒径や比重等の調整も容易に行えるだけでなく、コスト面においても安価であって、経済的である。
【0099】
また、研磨剤粒子303の外形は、球形状でもよいが、多角形状であることがより好ましい。外形が多角形状の研磨剤粒子303の場合は、比較的少量の研磨剤粒子303を用いることによっても、感光体ドラム10bの表面を効果的に研磨することができる。
特に、研磨剤粒子303としてメラミン樹脂粉末を用いる場合は、粒子外形を多角形とすることが容易であり、かつ、比重も通常2g/cm以下であるため、接着剤に良好に分散させることが可能である。
また、研磨剤粒子303としてガラスビーズを用いる場合は、粒子の耐久性に優れているだけでなく、比重も通常3g/cm以下であるため、接着剤に良好に分散させることが可能である。
【0100】
本実施形態によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態においては、表面に静電潜像が形成される感光体ドラム10bと、感光体ドラムに液体現像剤を供給する液体現像装置9bと、を備えるカラープリンタ1であって、感光体ドラム10bとの間にニップ部NDを形成するように感光体ドラム10bに当接して配置され感光体ドラム10bの表面を磨く研磨装置30bを更に備え、研磨装置30bは、発泡樹脂体により構成され表面に多孔質骨格302aが形成された弾性ローラ302と、弾性ローラ302の表面に付着される研磨剤粒子303と、を備える。そして、発泡樹脂体の引張強度を、0.3〜1.8MPaの範囲内、好ましくは、0.6〜1.2MPaの範囲内に設定した。
【0101】
そのため、研磨装置30bにおける弾性ローラ302を十分に柔らかな弾性層に形成することが可能となる。また、多孔質骨格302aにより弾性ローラ302の表面に液体現像剤を好適に保持できるので、感光体ドラム10bから除去した異物による目詰まりが生じにくい。更に、弾性ローラ302の表面の多孔質骨格302aにモース硬度が3〜6の研磨剤粒子303が付着されているので、研磨時において研磨剤粒子303が異物等に接触した際、研磨剤粒子303が弾性ローラ302の内部側に変位しやすく(逃げやすく)、感光体ドラム10bの表面を過度に研磨することがない。従って、感光体ドラム10bの耐久性の向上、研磨剤粒子303の摩損の低減及び研磨ムラの発生を低減することができる。
【0102】
また、本実施形態においては、表面に多孔質骨格302aが形成された弾性ローラ302の表面に、接着剤に分散させた研磨剤粒子303を塗布することで研磨剤粒子303を付着させた。これにより、弾性ローラ302の表面に好適に研磨剤粒子303を付着させられる。
【0103】
また、本実施形態においては、研磨対象となる感光体ドラム10bがアモルファスシリコン感光体ドラムである。アモルファスシリコン感光体ドラムにおいて、表面を適度に研磨することによって、非水溶性溶剤の塗膜の剥離、更には、アモルファスシリコン感光体ドラム自体の表面の損傷を防ぐことができる。これによって、画像特性の劣化を抑制することができる。
【0104】
また、発泡樹脂体の密度を、100〜500kg/mの範囲内、好ましくは150〜350kg/mの範囲内に設定した。発泡樹脂体の密度を、上述した範囲内とすることにより、弾性ローラ302は、強度不足を招くことなく十分に柔らかな弾性層に形成することが可能となり、耐久性の向上及び研磨ムラの発生を低減することができる。
【0105】
また、本実施形態に示したように、弾性ローラ302の表面における多孔質骨格302aのセル数を、25〜100個/25mm、より好ましくは40〜65個/25mmの範囲内に設定した。弾性ローラ302の表面の多孔質骨格302aのセル数を、上述した範囲内とすることにより、研磨剤粒子303を弾性ローラ302の表面に接着するために用いる接着剤(不図示)によって多孔質部分(セル)が埋まめられてしまうことがなく、弾性ローラ302の表面に適度な多孔質部分を残して柔らかな弾性層を維持しつつ、研磨剤粒子303を多孔質骨格302aに付着させることができる。
【0106】
また、本実施形態に示したように、ニップ部NDの弾性ローラ302の回転方向に沿う方向における長さ(幅)を、1.3〜5mmとした。ニップ部NDの幅を、上述した範囲とすることにより、研磨ムラの発生を低減できると共に、研磨効果が過度に発現したり、研磨装置の劣化が速くなったりすることを抑制することができる。
【0107】
また、本実施形態において、ニップ部NDよりも上流側における感光体ドラム10bの表面における液体現像剤の厚さは、0.001〜5μmの範囲内であることがこのましい。
上述したように、一次転写ローラ20bにトナーが転写されて液体現像剤中のキャリア成分が増した状態の感光体ドラム10bの表面に、厚さが0.001〜5μmの液体現像剤の薄膜が保持されていることにより、研磨剤粒子303は、好適な濡れ状態にある感光体ドラム10bの表面を研磨することになる。そのため、弾性ローラ302の表面の多孔質部分に異物等が入り込んで目詰まりすることを抑制し、弾性ローラ302を柔らかな弾性層の状態に保つことができる。従って、長期間にわたる使用においても、適度かつ効果的な研磨効果を発揮させて感光体ドラム10bの耐久性の向上、研磨ムラの発生を低減し、更に高品位な画像特性を維持することができる。
【実施例】
【0108】
次に、以下の実施例1〜5及び比較例1〜6により、本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
基材としてイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−150)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてメラミン樹脂粉末(モース硬度:4、外形:多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が43個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格にメラミン樹脂粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。得られた実施例1の研磨ローラは、弾性ローラを構成するウレタンフォームの密度が155kg/m、引張強度が0.64MPaであった。
【0109】
[実施例2]
基材としてイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−300)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてメラミン樹脂粉末(モース硬度:4、外形:多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が61個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格にメラミン樹脂粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。得られた実施例2の研磨ローラは、弾性ローラを構成するウレタンフォームの密度が312kg/m、引張強度が1.11MPaであった。
【0110】
[実施例3]
基材としてイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−500)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてメラミン樹脂粉末(モース硬度:4、外形:多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が85個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格にメラミン樹脂粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。得られた実施例3の研磨ローラは、弾性ローラを構成するウレタンフォームの密度が491kg/m、引張強度が1.71MPaであった。
【0111】
[実施例4]
基材としてイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−300)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてガラスビーズ(モース硬度:6、外形:球形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が65個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格にガラスビーズが付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。得られた実施例4の研磨ローラは、弾性ローラを構成するウレタンフォームの密度が312kg/m、引張強度が1.11MPaであった。
【0112】
[実施例5]
基材としてイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−300)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてフッ素樹脂粉末(モース硬度:3、外形:多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が61個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格にフッ素樹脂粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。得られた実施例5の研磨ローラは、弾性ローラを構成するウレタンフォームの密度が312kg/m、引張強度が1.11MPaであった。
【0113】
[比較例1]
基材としてイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−700)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてメラミン樹脂粉末(モース硬度:4、外形:多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が125個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格にフッ素樹脂粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。得られた比較例1の研磨ローラは、弾性ローラを構成するウレタンフォームの密度が690kg/m、引張強度が2.67MPaであった。
【0114】
[比較例2]
基材としてイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−300)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてポリエステル樹脂粉末(モース硬度:2、外形:多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が61個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格にフッ素樹脂粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。得られた比較例2の研磨ローラは、弾性ローラを構成するウレタンフォームの密度が312kg/m、引張強度が1.11MPaであった。
【0115】
[比較例3]
基材として比較例2と同様なイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−300)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子として酸化チタン粉末(モース硬度7、多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が61個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格に酸化チタン粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。
【0116】
[比較例4]
基材として比較例2と同様なイノアック社製ウレタンフォーム(商品名 セルダンパーBF−300)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてアルミナ粉末(モース硬度12、多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、弾性ローラの表面に、セル数が61個/25mmの多孔質骨格が形成され、この多孔質骨格にアルミナ粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。
【0117】
[比較例5]
基材としてウレタン弾性ゴム(硬度45)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてメラミン樹脂粉末(モース硬度4、多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、多孔質骨格を有しない弾性ローラのソリッド表面にメラミン樹脂粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。
【0118】
[比較例6]
基材としてウレタン弾性ゴム(硬度60)を用いて、直径14mmの弾性ローラを成形し、この弾性ローラの表面に、研磨剤粒子としてメラミン樹脂粉末(モース硬度4、多角形状)を分散したウレタン系接着剤を塗布した。これにより、多孔質骨格を有しない弾性ローラのソリッド表面にメラミン樹脂粉末が付着された研磨ローラ(研磨装置)を作成した。
【0119】
[耐フィルミング性の評価]
実施例1〜5及び比較例1〜6で作成した研磨ローラを、京セラミタ製の湿式画像形成装置に搭載し、以下の条件で、耐フィルミング性を評価した。
【0120】
まず、現像容器、支持ローラ、現像剤供給ローラ、現像ローラ、直径40mmのアモルファスシリコン感光体ドラム、及び直径14mmの研磨ローラを備えた湿式画像形成装置(京セラミタ製実験機)を組み立てる。次いで、この組み立てた湿式画像形成装置において、線速0.1m/sec.の感光体ドラムに対して、±5%の周速で逆回転方向、1kgfの加重で研磨ローラを当接させた。
【0121】
尚、各研磨ローラを感光体ドラムに当接させた時のニップ幅(図3中のL1)は、実施例1が2.2mm、実施例2、実施例4、実施例5及び比較例2〜4が1.7mm、実施例3が1.3mm、比較例1が1.2mm、比較例5が1.1mm、比較例6が0.7mmであった。
また、各実施例及び比較例において、研磨ローラと感光体ドラムとにより形成されるニップ部よりも回転方向の上流側における感光体ドラムの表面の液体現像剤の厚さは、0.2μmであった。
また、比較例7として、感光体ドラムの表面の液体現像剤を拭き取った状態で各実施例及び比較例の研磨ローラにより感光体ドラムの表面を研磨したが、いずれの研磨ローラを用いた場合においても、研磨ローラに目詰まりが発生して使用できなかった。
【0122】
一方、プロセス条件として、現像バイアス300V、感光体ドラムの表面電位450Vに設定して、A4の白色用紙に対して、所定画像パターンを50,000枚連続印刷した後、その印刷状態を目視で観察して、研磨ムラ、画像特性、及び感光体ドラムの研磨耐久性を評価した。
【0123】
実施例1〜5の供試体に対する実験結果は、表1に示す通りであり、比較例1〜7の供試体に対する実験結果は、表2に示す通りである。
表1及び表2における評価の基準は、次の通りである。
[研磨ムラの評価]
◎:研磨ムラの発生が観察されない。
○:研磨ムラの発生が少々観察される。
×:研磨ムラの発生が顕著に観察される。
[画像特性の評価]
◎:画像特性が非常に良好である。
○:画像特性が良好である。
×:画像特性が劣化している。
[感光体ドラムの研磨耐久性の評価]
◎:黒点等の発生が観察されない。
×:黒点等の発生が多く観察される。
【0124】
【表1】

【0125】
【表2】

【0126】
表1及び表2から、以下の考察が得られた。
【0127】
(1)モース硬度4のメラミン樹脂粉末といった同じ研磨剤粒子を用いる場合において、弾性ローラの基材として、硬度45のウレタン弾性ゴムを用いた比較例5及び硬度60のウレタン弾性ゴムを用いた比較例6に比べて、弾性ローラの基材として、ウレタンフォームを用いた実施例1〜3の研磨ローラでは、研磨ムラの発生が著しく低減されていることが確認された。
これは、実施例1〜3の研磨ローラにおける弾性ローラが十分に柔らかな弾性層に形成され、弾性ローラの表面に付着された研磨剤粒子が感光体ドラムの表面の微小な凹凸変化に対して応答性よく追従するためであると推察される。
【0128】
(2)弾性ローラの基材として、実施例1〜3と同じウレタンフォームを用い、かつ、研磨剤粒子としても、実施例1〜3と同じモース硬度4のメラミン樹脂粉末を用いる場合において、引張強度が大きいウレタンフォームを用いた比較例1の研磨ローラでは、研磨ムラの発生が顕著であるだけでなく、画像特性の劣化が確認された。
【0129】
(3)弾性ローラの基材として、実施例2、4及び実施例5と同じ密度、引張強度、セル数のウレタンフォームを用いる場合において、研磨剤粒子として、モース硬度2のポリエステル樹脂粉末を用いた比較例2の研磨ローラ及びモース硬度12のアルミナ粉末を用いた比較例4の研磨ローラでは、画像特性の劣化が確認された。
これは、比較例2の研磨ローラでは、研磨剤粒子の損耗、劣化が速くて感光体ドラムの表面に対する研磨効果が短時間のうちに低下するためであり、また、比較例4の研磨ローラでは、感光体ドラムの表面を過度に研磨して感光体ドラムの表面を損傷するためであると推察される。
【0130】
(4)弾性ローラの基材として、実施例2、4及び実施例5と同じ密度、引張強度、セル数のウレタンフォームを用いる場合において、研磨剤粒子として、モース硬度7の酸化チタン粉末を用いた比較例3の研磨ローラ及びモース硬度12のアルミナ粉末を用いた比較例4の研磨ローラでは、感光体ドラムの耐久性の低下が確認された。
これは、比較例3及び比較例4の研磨ローラでは、感光体ドラムの表面がモース硬度の大きい研磨剤粒子によって削られて、感光体ドラムの耐電圧性が低下し、その結果、感光体ドラムの感光層が絶縁破壊されて帯電電荷を保持できなくなり、黒点が発生するためであると推察される。
【0131】
以上に説明した実施例及び比較例から、感光体ドラムに当接して感光体ドラムの表面を磨く研磨装置において、感光体ドラムの表面に研磨ムラを生じさせにくい研磨装置とするには、次のような要件を備えていることが必要であることが確認された。
(1)基材がウレタンフォーム等の発泡樹脂体により構成され表面に多孔質骨格が形成された弾性ローラであること、
(2)弾性ローラの表面に付着される研磨剤粒子が、モース硬度3〜6の範囲にあること、
(3)発泡樹脂体として、引張強度が0.3〜1.8MPaの範囲内にあること。
【0132】
また、本発明の研磨装置としては、上記(1)〜(3)の要件に加えて、以下のような要件を備えることが好ましいことが確認された。
(4)発泡樹脂体として、密度が100〜500kg/mの範囲内にあること、
(5)多孔質骨格のセル数は、25〜100個/25mmであること、
(6)ニップ部の幅が、1.3〜5mmであること、
(7)ニップ部よりも上流側における感光体ドラムの表面における液体現像剤の厚さが、0.001〜5μmであること、
(8)研磨剤粒子が、メラミン樹脂粉末、フッ素樹脂粉末、及びガラスビーズからなる群から選択される一つであること。
【0133】
そして、上述した(1)〜(8)の要件を備えた研磨装置を有する本発明の画像形成装置によれば、長期間にわたって好適な画像特性が得られるだけでなく、感光体ドラムの表面に研磨ムラを生じさせにくく、更に、感光体ドラムの耐久性の向上も図り得るに至った。
【0134】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態においては、湿式画像形成装置(カラープリンタ)が備えているアモルファスシリコン感光体ドラムの表面を磨く研磨装置について説明したが、OPC感光体ドラムの表面を磨く研磨装置に適用することも可能である。この場合は、OPC感光体ドラムの表面をコーティング補強しておくことが望ましい。
【0135】
また、本実施形態においては、本発明を、湿式画像形成装置に適用したが、これに限らない。即ち、本発明を、乾式画像形成装置に適用してもよい。
【0136】
また、本実施形態においては、画像形成装置としてカラープリンタ1について説明したが、これに限定されず、モノクロのプリンタ、コピー機、カラーコピー機、ファクシミリ又はこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0137】
1……カラープリンタ(画像形成装置)、9a、9b、9c、9d……液体現像装置、10a、10b、10c、10d……感光体ドラム(像担持体)、30a、30b、30c、30d……研磨装置、302……弾性ローラ、302a……多孔質骨格、303……研磨剤粒子、ND……ニップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、該像担持体に液体現像剤を供給する液体現像装置と、を備える画像形成装置であって、
前記像担持体との間にニップ部を形成するように該像担持体に当接して配置され該像担持体の表面を磨く研磨装置を更に備え、
前記研磨装置は、発泡樹脂体により構成され表面に多孔質骨格が形成された弾性ローラと、該弾性ローラの表面に付着されるモース硬度が3〜6の研磨剤粒子と、を備え、
前記発泡樹脂体の引張強度は、0.3〜1.8MPaの範囲内にある画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体は、アモルファスシリコン感光体である請求項1に記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記発泡樹脂体の密度が100〜500kg/mの範囲内にある請求項1に記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記弾性ローラの表面における前記多孔質骨格のセル数は、25〜100個/25mmである請求項1に記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記ニップ部における前記弾性ローラの回転方向に沿う方向における長さは、1.3〜5mmである請求項1に記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記ニップ部よりも回転方向の上流側における前記像担持体の表面における液体現像剤の厚さは、0.001〜5μmである請求項1に記載の湿式画像形成装置。
【請求項7】
前記研磨剤粒子は、メラミン樹脂粉末、フッ素樹脂粉末、及びガラスビーズからなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の湿式画像形成装置。
【請求項8】
表面に静電潜像が形成される回転可能な像担持体と、該像担持体に現像剤を供給する現像装置と、を備える画像形成装置であって、
前記像担持体との間にニップ部を形成するように該像担持体に当接して配置され該像担持体の表面を磨く研磨装置を更に備え、
前記研磨装置は、発泡樹脂体により構成され表面に多孔質骨格が形成された弾性ローラと、該弾性ローラの表面に配置されモース硬度が3〜6の研磨剤粒子と、を備え、
前記発泡樹脂体の引張強度は、0.3〜1.8MPaの範囲内にある画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−248212(P2011−248212A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122874(P2010−122874)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】