説明

画像形成装置

【課題】キャリッジの移動領域を確保しつつ、画像形成装置の設置面積を小さくして省スペース化を図ることができ、限られたオフィス空間を有効に利用することができるとともに、運搬等を容易に行うことができるインクジェット方式の画像形成装置を提供すること。
【解決手段】主走査方向に往復移動可能なキャリッジの記録ヘッドから記録紙上にインクを吐出して画像を形成するプリンタ装置1において、装置本体2と、装置本体2の両側面部2L、2Rから外方に突出形成されるとともに、キャリッジの移動領域を形成する外装カバー3、4と、を備え、外装カバー3、4が装置本体2の設置面Sに対して高さHを有するよう側面部2L、2Rの上方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、記録媒体上にインクを吐出することにより画像の形成を行う例えば複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置および複合機等からなるインクジェット方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置および複合機等の画像形成装置としては、電子写真方式やインクジェット方式などの画像記録方式を採用したものが広く知られている。
【0003】
ところで、このような画像形成装置にあっては、小型化あるいは設置面積の縮小化による省スペース化が望まれており、例えば電子写真方式の画像形成装置にあっては、設置面積の縮小化を図ったものが提案されている。
【0004】
この種の電子写真方式の画像形成装置としては、給紙部、画像形成部および排紙部などが内部に設けられたプリンタ本体と、このプリンタ本体の上部に配置され、原稿台にセットされた原稿の画像、あるいは読取位置に搬送される原稿の画像を読み取るスキャナユニットと、このスキャナユニットの原稿台上に配置され、スキャナユニットの読取位置に自動で原稿を搬送する自動原稿搬送装置、いわゆるADF装置と、を備え、スキャナユニットの平面サイズに比べてプリンタ本体の設置面積が小さく構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載のような電子写真式の画像形成装置は、普通紙を被記録媒体とでき、高速であり、また高画質であるなどの利点を有する反面、感光体に形成された潜像を可視化する現像装置等が複雑化するため、インクジェット方式の画像形成装置に比べて比較的大型である。
【0006】
これに対して、インクジェット方式の画像形成装置は、比較的安価であり、電子写真式の画像形成装置に比べて小型のものが多い。このため、インクジェット方式の画像形成装置は、主に家庭内や比較的小規模なオフィス内において、複写機、プリンタ、ファクシミリおよび複合機等として使用されることが多い。
【0007】
この種のインクジェット方式の画像形成装置としては、装置本体と、装置本体に装着され、記録紙を装填するための給紙トレイと、装置本体に着脱自在に装着され、画像が記録(形成)された記録紙をストックするための排紙トレイと、装置本体の前面から前方側に突き出すよう装置本体に設けられ、インクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部とを備え、記録紙上にインク滴を吐出することにより画像を形成するインクジェット方式のプリンタ装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
このようなインクジェット方式のプリンタ装置は、装置本体の左右の側板間に横架されたガイドロッドおよびステーと、このガイドロッドおよびステーにより主走査方向に摺動可能に保持され、インク滴を吐出する記録ヘッドが内部に搭載されたキャリッジと、このキャリッジを主走査方向に移動走査する移動機構とからなるヘッドキャリッジ部を装置本体内部に有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献2に記載のようなインクジェット方式のプリンタ装置にあっては、プリンタ装置の幅、特に装置本体の底面の幅がヘッドキャリッジ部の主走査方向の幅に設定されており、プリンタ装置の設置面積の縮小化について考慮されていない。すなわち、上述のプリンタ装置にあっては、キャリッジの移動領域がそのまま装置本体の底面の幅となっており、省スペース化が図られていないという課題があった。
【0010】
特に、このようなプリンタ装置として使用されるインクジェット方式の画像形成装置にあっては、スペースの限られた机上に設置される場合が多く、パーソナルコンピュータの脇に省スペースで設置したいとの要求も強い。
このように、インクジェット方式の画像形成装置にあっては、電子写真式の画像形成装置に比べて、設置面積を小さくして省スペース化を図る必要性が高い。
【0011】
また、上述の特許文献2に記載の従来のプリンタ装置においては、装置本体の両側板が装置本体の上面から装置本体の底面まで平面状に構成されている。このため、装置本体の底面が机上などの設置面に設置されているプリンタ装置を運搬等する場合、そのままの状態ではユーザはプリンタ装置の底面に指を挿入し難いため、例えばプリンタ装置の片側を持ち上げるなどしてプリンタ装置の底面に指を挿入し、底面と両側板との結合部を把持してプリンタ装置の運搬等を行う必要がある。このように、上述の従来のプリンタ装置にあっては、机上などの設置面に設置された状態で容易に運搬等を行うことができないという課題があった。
【0012】
本発明は、上述のような従来の課題に鑑みてなされたものであり、キャリッジの移動領域を確保しつつ、画像形成装置の設置面積を小さくして省スペース化を図ることができ、限られたオフィス空間を有効に利用することができるとともに、運搬等を容易に行うことができるインクジェット方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、上記目的を達成するため、記録媒体を搬送方向に搬送させて、前記搬送方向と直交する方向に往復移動可能なキャリッジに搭載した複数の記録ヘッドのノズルから前記記録媒体上にインクを吐出することにより画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置であって、装置本体と、前記装置本体の外方に向けて突出するとともに、前記キャリッジの移動領域を形成する一対の外装カバーと、を備え、前記一対の外装カバーが、前記装置本体の設置面に対して所定の間隔を有するよう前記装置本体の上方に配置されている構成を有する。
【0014】
この構成により、本発明は、一対の外装カバーが、装置本体の外方に向けて突出するとともにキャリッジの移動領域を形成し、かつ装置本体の設置面に対して所定の間隔を有するよう装置本体の上方に配置されているので、キャリッジの移動領域を確保しつつ、装置本体の設置面積を小さくすることができる。このため、限られたオフィス空間を有効に利用することができる。
【0015】
また、装置本体の外方に向けて突出形成された一対の外装カバーが、把持部として機能することにより、ユーザ等が画像形成装置の運搬等を容易に行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記一対の外装カバー内部であって前記キャリッジの移動領域の一方の端部に配置され、前記記録ヘッドの機能を回復する維持回復機構と、前記一対の外装カバー内部であって前記キャリッジの移動領域の他方の端部に配置され、前記記録ヘッドから空吐出された廃インクを受ける空吐出受け部材と、をさらに備えた構成を有する。
【0017】
この構成により、本発明は、維持回復機構および空吐出受け部材が、それぞれ一対の外装カバーの内部であってキャリッジの移動領域の両端部に配置されているので、キャリッジの移動領域とともに維持回復機構および空吐出受け部材の配置箇所を確保しつつ、装置本体の設置面積を小さくすることができる。このため、限られたオフィス空間を有効に利用することができる。
【0018】
また、本発明に係る画像形成装置において、前記外装カバーは、前記装置本体の設置面に対向する設置対向面を有し、前記設置対向面に把持部が設けられている構成を有する。
【0019】
この構成により、本発明は、外装カバーの設置対向面に把持部が設けられているので、この把持部を用いることによりユーザ等が画像形成装置の運搬等をより容易に行うことができる。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置は、少なくとも前記装置本体の上面部が、前記装置本体の設置面に対して平行に形成されている構成を有する。
【0021】
この構成により、本発明は、少なくとも装置本体の上面部が、装置本体の設置面に対して平行に形成されているので、装置本体の上面部を例えばデスクあるいはテーブルとして利用することが可能となる。このため、画像形成装置の上面に活用スペースを確保することができ、限られたオフィス空間を有効に利用することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成装置は、プリンタ装置からなるものである。
【0023】
この構成により、本発明は、一対の外装カバーが、装置本体の外方に向けて突出するとともにキャリッジの移動領域を形成し、かつ装置本体の設置面に対して所定の間隔を有するよう装置本体の上方に配置されているので、キャリッジの移動領域を確保しつつ、装置本体の設置面積を小さくすることができる。このため、限られたオフィス空間を有効に利用することができる。
【0024】
また、装置本体の一対の側面部から装置本体の外方に向けて突出形成された一対の外装カバーが把持部として機能することにより、ユーザ等がプリンタ装置の運搬等を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、キャリッジの移動領域を確保しつつ、画像形成装置の設置面積を小さくして省スペース化を図ることができ、限られたオフィス空間を有効に利用することができるとともに、運搬等を容易に行うことができるインクジェット方式の画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の機構部を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置のヘッドキャリッジ部の概略構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置のヘッドキャリッジ部の概略構成を示す上面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の外形を示す正面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の把持部を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置の他の形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図7は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置をインクジェット方式のプリンタ装置に適用した例を示している。なお、インクジェット方式のプリンタ装置として構成する他に、ファクシミリ装置、印刷機、または複合機から構成してもよい。
【0028】
まず、構成を説明する。
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ装置1は、装置本体2と、装置本体2の左右の側面部2L、2Rにそれぞれ設けられた2つの外装カバー3、4とから構成されている。なお、プリンタ装置1の外形は、後述するように装置本体2に対して、外装カバー3、4がそれぞれ突出した外形を有している。
【0029】
図2に示すように、装置本体2は、給紙カセット6と、排紙トレイ7と、カートリッジ装填部8と、操作・表示部9とを含んで構成されている。
給紙カセット6は、記録媒体としての記録紙を装填するもので、装置本体2の前面部2Fから装置本体2の内部に装着されるようになっている。この給紙カセット6には、例えば最大A4サイズの記録紙を装填可能である。
【0030】
排紙トレイ7は、画像が記録(形成)された記録紙がストックされるもので、装置本体2の前面部2Fから装置本体2に対して出入可能なようになっている。すなわち、排紙トレイ7は、画像が記録(形成)された記録紙をストックする場合には、装置本体2の内部から引き出されて使用され、記録紙をストックする必要のない、例えばプリンタ装置1の運転が停止されている場合には、装置本体2の内部に収容されるようになっている。
【0031】
このような排紙トレイ7は、例えば、ユーザ等により排紙トレイ7の前面側が装置本体2の内部に向けて押下されることにより、引き出されるいわゆるプッシュオープン型として構成されるのが好ましい。
【0032】
カートリッジ装填部8は、装置本体2の前面部2Fの上方に配置されており、それぞれ色の異なるインク、例えばブラック(BK)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを収容したインクカートリッジ10k、10c、10m、10y(以下、単にインクカートリッジ10という)が装置本体2の内部に向かって挿入されることにより装填可能になっている。
【0033】
操作・表示部9は、装置本体2の前面部2Fの上方において、上述のカートリッジ装填部8と並んで配置されている。また、操作・表示部9には、各色のインクカートリッジ10の残量がニアーエンドおよびエンドになったことを表示する各色の残量表示部や、電源ボタン、用紙送り・印刷再開ボタンおよびキャンセルボタンなどの各種操作部が配置されている。
【0034】
また、装置本体2の前面部2Fの上方には、開閉可能なカバー部材12が設けられており、このカバー部材12は、インクカートリッジ10の交換時や操作・表示部9の各種ボタン操作時などには、開状態とすることができ、これらの作業やボタン操作が必要でないときなどには、閉状態としてカートリッジ装填部8および操作・表示部9を覆うようになっている。また、カバー部材12には、閉状態とされた場合にあってもインクカートリッジ10の各色の残量表示部が確認することができるよう各色の残量表示部に対応する表示窓部12aが形成されている。
【0035】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るプリンタ装置1の機構部について説明する。
図3に示すように、プリンタ装置1は、給紙部21と、搬送部22と、ヘッドキャリッジ部23と、排紙部24と、両面搬送部25とを含んで構成されている。なお、前述の給紙部21、搬送部22、排紙部24および両面搬送部25は、いずれも装置本体2の内部に収容されている。また、前述のヘッドキャリッジ部23は、装置本体2の内部を跨いで外装カバー3、4の両側面部間に設けられている。
【0036】
給紙部21は、給紙カセット6(図2参照)の用紙積載部6a上に積載された記録紙を給紙ローラ27およびこの給紙ローラ27と対向する位置に設けられた図示しない分離パッドによって、1枚ずつ分離して搬送部22に給紙するようになっている。
【0037】
搬送部22は、搬送ローラ30と、テンションローラ31と、搬送ローラ30とテンションローラ31とに巻き掛けられた無端状の搬送ベルト32と、図示しないガイド部材やカウンタローラなどを含んで構成され、給紙部21から給紙された記録紙をガイド部材やカウンタローラを介して搬送ベルト32に搬送するようになっている。また、搬送部22は、図示しない帯電ローラ等によって表面が帯電させられた搬送ベルト32が搬送された記録紙を静電吸着するとともに、記録紙の搬送方向に周回するようになっている。なお、搬送ベルト32は、駆動モータ33(図5参照)によって搬送ローラ30が回転駆動されることにより、記録紙の搬送方向に周回するようになっている。
【0038】
ヘッドキャリッジ部23は、キャリッジ35を備えており、このキャリッジ35には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(BK)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドからなる後述する記録ヘッドが設けられている。
【0039】
ヘッドキャリッジ部23は、記録ヘッドが搬送部22によって搬送された記録紙上にインクを吐出することにより、記録紙に画像を形成するようになっている。
なお、ヘッドキャリッジ部23の詳細については、後述する。
【0040】
排紙部24は、排紙ローラ37と、排紙コロ38と、排紙トレイ7と、図示しない分離爪などを含んで構成されており、ヘッドキャリッジ部23により画像が形成された記録紙を分離爪によって搬送ベルト32から分離して、排紙ローラ37および排紙コロ38によって排紙トレイ7上に排紙するようになっている。
【0041】
両面搬送部25は、搬送ベルト32の逆方向回転で戻される記録紙を取り込んで反転させて再度、搬送部22の搬送ベルト32に搬送するようになっている。これにより、表面に画像が形成された記録紙は、裏面に画像が形成されることにより両面に画像が形成される。
【0042】
次に、図4、図5を参照して、ヘッドキャリッジ部23の詳細について説明する。
図4に示すように、ヘッドキャリッジ部23は、キャリッジ35に加えて、ガイドロッド40と、スライドレール41と、キャリッジ駆動装置42とを含んで構成されている。
【0043】
キャリッジ35は、複数のインク吐出口、いわゆるノズルが原稿の搬送方向(矢印Bで示す方向)と同方向の副走査方向に配列されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(BK)の各色の記録ヘッド45k、45c、45m、45y(以下、単に記録ヘッド45という)が、インク滴の吐出方向が下方となるよう装着されている(図5参照)。記録ヘッド45を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱交換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用することができる。
【0044】
また、キャリッジ35には、記録ヘッド45にインクを供給するための図示しない各色のサブタンクが搭載されている。また、キャリッジ35には、複数のノズルを制御する制御信号を供給するためのフレキシブルケーブルが接続されている。
【0045】
さらに、キャリッジ35のサブタンクには、例えば軟質樹脂からなる各色に対応するインク供給用チューブ47が接続されており、カートリッジ装填部8(図2参照)に装填された各色のインクカートリッジ10からインク供給用チューブ47を介して各色のインクが補充供給されるようになっている。
【0046】
ガイドロッド40およびスライドレール41は、両端部がそれぞれ外装カバー3、4の側面部の内側面に固定され、キャリッジ35を主走査方向(図中、矢印Aで示す方向)に摺動可能に支持している。このため、キャリッジ35は、主走査方向への往復移動がガイドロッド40およびスライドレール41によってガイドされる。
【0047】
キャリッジ駆動装置42は、主走査モータ48と、主走査モータ48の駆動軸に取り付けられた駆動プーリ49と、従動プーリ50と、駆動プーリ49と従動プーリ50とに巻き掛けられたタイミングベルト51とを含んで構成されている。このように構成されたキャリッジ駆動装置42は、タイミングベルト51が主走査モータ48の回転駆動によって周回駆動することにより、キャリッジ35を主走査方向に移動走査するようになっている。
【0048】
このように構成されたヘッドキャリッジ部23は、図5に示すように、搬送ベルト32によって搬送された記録紙が所定位置に到達すると、キャリッジ35が主走査方向に移動しながら記録ヘッド45からインクを記録紙上に吐出して、記録紙上に画像を形成する。また、キャリッジ35の一方向の印刷が終了すると、記録紙が搬送ベルト32によって所定位置まで搬送され、記録紙が所定位置まで到達すると、キャリッジ35が主走査方向に移動しながら記録ヘッド45からインクを記録紙上に吐出して、記録紙上に画像を形成する。ヘッドキャリッジ部23は、以上の動作を繰り返し行うことにより、記録紙の所定の領域内に画像を形成する。
【0049】
また、図5に示すように、キャリッジ35の移動領域の一方の端部、すなわちキャリッジ35の移動走査方向の一方側の非印字領域には、維持回復機構53が配置されており、記録ヘッド45の複数のノズルの状態および機能は、この維持回復機構53により維持および回復されるようになっている。
【0050】
維持回復機構53には、複数のキャップ部材55と、ワイパーブレード56と、空吐出受け57とが設けられており、複数のキャップ部材55は、記録ヘッド45の各ノズル面をキャピングするようになっている。また、ワイパーブレード56は、記録ヘッド45の各ノズル面をワイピングするようになっている。さらに、空吐出受け57は、増粘したインクを吐出するために記録に寄与しないインク滴を吐出させるようになっている。
【0051】
一方、キャリッジ35の移動領域の他方の端部、すなわちキャリッジ35の移動走査方向の他方側の非印字領域には、インク回収ユニット60が配置されている。このインク回収ユニット60は、空吐出受けで構成され、記録ヘッド45の複数のノズル列方向に沿って複数の開口部60aが形成されている。インク回収ユニット60は、記録中などに増粘したインクを吐出するために記録に寄与しないインク滴(廃インク)を吐出させる空吐出が行われるときのインク滴を受けるようになっている。なお、本実施の形態においては、上述のインク回収ユニット60が本発明における空吐出受け部材を構成している。
【0052】
次に、図6および図7を参照して、本実施の形態に係るプリンタ装置1の外形について説明する。
図6に示すように、プリンタ装置1は、装置本体2の左右の側面部2L、2R間の幅が幅Wに設定されており、幅Wに設定された装置本体2の底面2aを介して設置面Sに対して設置されるようになっている。ここで、装置本体2の幅Wは、最大A4サイズの記録紙が装填可能な給紙カセット6の引き出し面6aにおける主走査方向の幅と同等の幅に設定されている。
【0053】
また、プリンタ装置1は、幅Wからなる装置本体2の両側面部2L、2Rから外装カバー3、4が、それぞれ幅Wだけ装置本体2の外方に向けて突出した形状となっている。ここで、幅Wだけ装置本体2の外方に向けて突出した外装カバー3、4の内部には、上述のインク回収ユニット60および維持回復機構53がそれぞれ配置されるとともに、キャリッジ35の移動領域の一方の端部および他方の端部がそれぞれ配置されている。したがって、キャリッジ35の移動領域は、外装カバー3、4によって確保されている。
【0054】
さらに、外装カバー3、4は、それぞれ設置面Sに対して、高さHだけ上方に配置されるようプリンタ装置1の装置本体2の両側面部2L、2Rに設けられている。すなわち、外装カバー3、4は、それぞれ設置面Sに対向する底面3aおよび底面4aと上述の設置面Sとの間隔が高さHとなるよう装置本体2の両側面部2L、2Rに設けられている。
【0055】
このように構成されたプリンタ装置1は、装置本体2の上面と外装カバー3、4の上面とで構成されたプリンタ装置1の上面部2bの幅Wに対して、装置本体2の底面2aの幅Wが外装カバー3、4のそれぞれの幅W分だけ小さく設定されている。したがって、プリンタ装置1は、幅Wに設定された上面部2bに比べて、設置面Sに対する設置面積を小さくすることができる。
【0056】
また、図7に示すように、外装カバー3、4の底面3a、4aには、底面3a、4aから外装カバー内方に向けて凹部状の把持部3b、4bがそれぞれ形成されている。なお、図7においては、外装カバー3の底面3aに形成された把持部3bのみが図示されているが、装置本体2を挟んで反対側に位置する外装カバー4の底面4aにも把持部3bと同様の構成の把持部4bが形成されている。
【0057】
把持部3b、4bは、プリンタ装置1の運搬時等にユーザが指で掴む把持部としての機能を有する。また、把持部3b、4bとしては、凹部状に形成するもの以外に、例えば取っ手を取り付けるように構成してもよい。
なお、本実施の形態においては、前述の底面3a、4aがそれぞれ装置本体2の設置面Sに対向する設置対向面を構成している。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、一対の外装カバー3、4が、装置本体2の両側面部2L、2Rから装置本体2の外方に向けて突出形成されるとともにキャリッジ35の移動領域を形成し、かつ装置本体2の設置面Sに対して高さHだけ両側面部2L、2Rの上方に配置されているので、キャリッジ35の移動領域を確保しつつ、プリンタ装置1の設置面積を小さくすることができる。このため、限られたオフィス空間を有効に利用することができる。
【0059】
また、装置本体2の両側面部2L、2Rから装置本体2の外方に向けて突出形成された外装カバー3、4が把持部として機能することにより、ユーザ等がプリンタ装置1の運搬等を容易に行うことができる。
【0060】
また、維持回復機構53およびインク回収ユニット60が、それぞれ一対の外装カバー3、4の内部であってキャリッジ35の移動領域の両端部に配置されているので、キャリッジ35の移動領域とともに維持回復機構53およびインク回収ユニット60の配置箇所を確保しつつ、装置本体2の設置面積を小さくすることができる。
【0061】
さらに、外装カバー3、4の底面3a、4aに把持部3b、4bが設けられているので、この把持部3b、4bを用いることによりユーザ等がプリンタ装置1の運搬等をより容易に行うことができる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、図8に示すように、プリンタ装置1の上面部2bに、装置本体2の設置面Sに対して平行な平面部2cを形成するようにしてもよい。このように、プリンタ装置1の上面部2bに平面部2cを形成することにより、この平面部2cを例えばデスクあるいはテーブルとして利用することが可能となる。このため、プリンタ装置1の上面に活用スぺースを確保することができ、限られたオフィス空間を有効に利用することができる。本実施の形態においては、上述の平面部2cが本発明おける装置本体の上面部を構成している。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、キャリッジの移動領域を確保しつつ、画像形成装置の設置面積を小さくして省スペース化を図ることができ、限られたオフィス空間を有効に利用することができるとともに、運搬等を容易に行うことができるという効果を有し、例えばインクジェット方式の複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置等からなる画像形成装置等として有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 プリンタ装置(画像形成装置)
2 装置本体
2c 平面部(上面部)
2L、2R 側面部
3、4 外装カバー
3a、4a 底面(設置対向面)
3b、4b 把持部
22 搬送部(搬送手段)
35 キャリッジ
45 記録ヘッド
53 維持回復機構
60 インク回収ユニット(空吐出受け部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特許第3758637号公報
【特許文献2】特開2007−130861号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送方向に搬送させて、前記搬送方向と直交する方向に往復移動可能なキャリッジに搭載した複数の記録ヘッドのノズルから前記記録媒体上にインクを吐出することにより画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置であって、
装置本体と、
前記装置本体の外方に向けて突出するとともに、前記キャリッジの移動領域を形成する一対の外装カバーと、を備え、
前記一対の外装カバーが、前記装置本体の設置面に対して所定の間隔を有するよう前記装置本体の上方に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記一対の外装カバー内部であって前記キャリッジの移動領域の一方の端部に配置され、前記記録ヘッドの機能を回復する維持回復機構と、
前記一対の外装カバー内部であって前記キャリッジの移動領域の他方の端部に配置され、前記記録ヘッドから空吐出された廃インクを受ける空吐出受け部材と、をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記外装カバーは、前記装置本体の設置面に対向する設置対向面を有し、
前記設置対向面に把持部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも前記装置本体の上面部は、前記装置本体の設置面に対して平行に形成されていることを特徴する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4に記載の画像形成装置がプリンタ装置からなることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−5729(P2011−5729A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150968(P2009−150968)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】