説明

画像形成装置

【課題】 厚みの薄い用紙(薄紙)および厚みの厚い用紙(厚紙)を好適に搬送することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 画像形成装置100には,用紙の搬送経路における定着装置10より下流の位置に,第1搬送経路150と第2搬送経路160とが設けられている。第1搬送経路150は,トナー像定着後の厚紙を搬送するための経路である。第2搬送経路160は,トナー像定着後の薄紙を搬送するための経路である。第2搬送経路160は,第1搬送経路150よりも定着ローラ20の側に設けられている。第1搬送経路150の入り口には分離爪が設けられていない。第2搬送経路160の入り口には分離爪161が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成装置に関する。さらに詳細には,用紙の厚みによらず用紙を好適に搬送することのできる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置では一般に,表面を一様に帯電させた感光体ドラムに形成した静電潜像にトナーを付与してトナー像とする。そして,そのトナー像を用紙に転写し,定着装置によりそのトナー像を用紙に定着する。定着装置には,定着ローラを用いるローラ方式のものや定着ベルトを用いるベルト方式のものがある。
【0003】
上記のいずれの方式であっても,定着ローラ等の加熱回転体と加圧ローラ等の加圧回転体とで形成されるニップ部により,トナー像を用紙に定着させるものが主流である。しかし,トナー像を加熱すると,トナーが加熱回転体に吸着しやすい。そのため,定着直後の用紙は加熱回転体に貼り付いたままになりやすい。したがって,定着直後の用紙を搬送するために,用紙を加熱回転体から分離することが必要となる場合がある。
【0004】
例えば,特許文献1には,分離爪を用いて定着ローラから用紙を分離する画像形成装置が開示されている。また,特許文献1では,厚紙(特許文献1では106〜300g/m)と薄紙(特許文献1では50〜105g/m)とで,定着ローラと加圧ローラとにより形成されるニップ幅を異なるものとしている。そのために,特許文献1では加圧ローラを2つ設けている(特許文献1の図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−199395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,用紙として厚紙を用いた場合,図1に示すように,分離爪910を用いないで定着ローラ920から厚紙を分離することができることがある。厚みの厚い厚紙(本明細書では90g/m以上)では,腰が強いからである。そして,トナー像定着後の厚紙は,搬送経路950を通過する。一方,用紙として薄紙を用いた場合,分離爪910を用いないと定着ローラ920から薄紙を分離することは困難である。厚みの薄い薄紙(本明細書では90g/m未満)では,腰が弱いからである。
【0007】
したがって,薄紙にトナー像を定着させる場合には,図1に示すように,分離爪910は,薄紙を定着ローラ920から分離させるとともに,その薄紙を搬送経路960に導く。しかし,図1に示すように,分離爪910により定着ローラ920から引き剥がされた薄紙の進行方向は,急激に変化する。そのため,この進行方向を急激に変えられた薄紙は,紙詰まりの原因となりうる。加えて,薄紙は厚紙よりも紙詰まりを生じやすい。薄紙の腰は厚紙の腰より弱いからである。
【0008】
本発明は,前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,厚みの薄い用紙(薄紙)および厚みの厚い用紙(厚紙)を好適に搬送することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,像担持体にトナー像を形成する画像形成部と,トナー像を像担持体からシートに転写する転写部と,転写されたトナー像をシートに定着する定着部とを有するものである。また,定着部は,シートを加熱する加熱回転体と加熱回転体とニップを形成する加圧回転体とを有する。そして,定着部の下流の位置に,第1搬送経路と第2搬送経路とが設けられており,第2搬送経路は,第1搬送経路よりも加熱回転体の側に設けられており,第2搬送経路の入り口には,加熱回転体からシートを分離する第1の分離部材が設けられている。かかる画像形成装置は,トナー像を定着した後の厚紙を第1搬送経路に搬送するとともに,トナー像を定着した後の薄紙を第2搬送経路に搬送することのできるものである。薄紙は,第2搬送経路の入り口で第1の分離部材により加熱回転体から剥がされる。加熱回転体から剥がされた薄紙は,その進行方向を急激に変更されるおそれがない。したがって,紙詰まりが生じにくい。
【0010】
上記に記載の画像形成装置において,第1搬送経路の入り口と第2搬送経路の入り口との間の位置に,第1のガイド部材を有し,第1のガイド部材は,第1搬送経路を開放するとともに第2搬送経路を閉鎖する第1の状態と,第1搬送経路を閉鎖するとともに第2搬送経路を開放する第2の状態とをとるものであるとよい。厚紙が第2搬送経路に搬送されることおよび薄紙が第1搬送経路に搬送されることを防止することができるからである。そのため,紙詰まりがより生じにくい。
【0011】
上記に記載の画像形成装置において,第1のガイド部材は,第1の状態をとっているときに,第1の分離部材がシートを分離する位置より上流の位置で加熱回転体からシートを分離する第2の分離部材であるとよい。仮に厚紙が加熱回転体に貼りついたままの状態であっても,加熱回転体から厚紙を剥がすことができるからである。そのため,紙詰まりがより生じにくい。
【0012】
上記に記載の画像形成装置において,排紙ローラを有し,第1搬送経路と第2搬送経路とが排紙ローラの上流の位置で合流しているとよい。1つの排紙ローラで厚紙および薄紙を排紙することができるからである。
【0013】
上記に記載の画像形成装置において,第2搬送経路より下流の位置に配置されている第3搬送経路および第4搬送経路と,第1面目を定着されたシートを転写部に搬送するための両面印刷用搬送経路と,第1搬送経路および第3搬送経路より下流の位置に配置されているとともに両面印刷用搬送経路へシートを搬送する折り返しローラと,第4搬送経路より下流の位置に配置されている排紙ローラと,第3搬送経路の入り口と第4搬送経路の入り口との間の位置に配置されている第2のガイド部材とを有し,第1搬送経路と第3搬送経路とが折り返しローラの上流の位置で合流しており,第2のガイド部材は,第3搬送経路を開放するとともに第4搬送経路を閉鎖する第1の状態と,第3搬送経路を閉鎖するとともに第4搬送経路を開放する第2の状態とをとるものであるとなおよい。両面印刷を行う場合にも,トナー像定着後の厚紙およびトナー像定着後の薄紙を振り分けて搬送することができるからである。そのため,紙詰まりが生じにくい。
【0014】
上記に記載の画像形成装置において,厚紙のシートにトナー像を定着する場合に,第1のガイド部材を第1の状態とするとともに,薄紙のシートにトナー像を定着する場合に,第1のガイド部材を第2の状態とする制御部を有するとよい。制御部により,トナー像定着後の厚紙およびトナー像定着後の薄紙を好適に振り分けて搬送することができるからである。
【0015】
上記に記載の画像形成装置において,厚紙のシートにトナー像を定着する場合に,第1のガイド部材を第1の状態とし,薄紙のシートにトナー像を定着する場合に,第1のガイド部材を第2の状態とするとともに,両面印刷時における第1面目にトナー像を定着した薄紙を第2搬送経路に搬送する場合に,第2のガイド部材を第1の状態とし,両面印刷時における第2面目にトナー像を定着した薄紙を第2搬送経路に搬送する場合に,第2のガイド部材を第2の状態とする制御部を有するとよい。両面印刷を行う画像形成装置においても,制御部により,トナー像定着後の厚紙およびトナー像定着後の薄紙を好適に振り分けて搬送することができるからである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,厚みの薄い用紙(薄紙)および厚みの厚い用紙(厚紙)を好適に搬送することのできる画像形成装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来における画像形成装置の定着装置より下流の位置の搬送経路を示す概略構成図である。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の構成を説明するための概略構成図(その1)である。
【図3】実施形態に係る画像形成装置の定着装置を説明するための断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る画像形成装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る画像形成装置における第1搬送経路および第2搬送経路を説明するための概念図である。
【図6】第2の実施形態に係る画像形成装置における第1搬送経路および第2搬送経路を説明するための概念図(その1)である。
【図7】第2の実施形態に係る画像形成装置における第1搬送経路および第2搬送経路を説明するための概念図(その2)である。
【図8】第2の実施形態に係る画像形成装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図9】第3の実施形態に係る画像形成装置における第1搬送経路および第2搬送経路を説明するための概念図(その1)である。
【図10】第3の実施形態に係る画像形成装置における第1搬送経路および第2搬送経路を説明するための概念図(その2)である。
【図11】第3の実施形態に係る画像形成装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図12】実施形態に係る画像形成装置の構成を説明するための概略構成図(その2)である。
【図13】第4の実施形態に係る画像形成装置における第1搬送経路および第2搬送経路を説明するための概念図(その1)である。
【図14】第4の実施形態に係る画像形成装置における第1搬送経路および第2搬送経路を説明するための概念図(その2)である。
【図15】第4の実施形態に係る画像形成装置における第1搬送経路および第2搬送経路を説明するための概念図(その3)である。
【図16】第4の実施形態に係る画像形成装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図17】第4の実施形態に係る画像形成装置における薄紙の両面印刷をする場合の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態は,画像形成装置について,本発明を具体化したものである。
【0019】
実施形態に係る画像形成装置は,厚紙と薄紙とで定着後の搬送経路を変えるものである。本明細書において,厚紙とは単位面積あたりの重さが90g/m以上の用紙のことをいう。薄紙とは単位面積あたりの重さが90g/m未満の用紙のことをいう。
【0020】
(第1の実施形態)
1.画像形成装置
本形態の画像形成装置100は,図2に概略構成を示すように,中間転写ベルト101を有する,いわゆるタンデム方式のカラープリンタである。中間転写ベルト101は,無端状ベルト部材であり,その図中両端部がローラ102,103によって支持され,図中矢印Aの向きに回転するようになっている。中間転写ベルト101の図中下部に沿って,イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色の画像形成部1Y,1M,1C,1Kが配置されている。
【0021】
各色の画像形成部1Y,1M,1C,1Kはいずれも同様の構成である。それぞれ,像担持体である感光体ドラム106とその周囲に配置された帯電装置107,露光装置108,現像装置109,クリーナ装置110を有している。また,中間転写ベルト101を挟んで感光体ドラム106に対向する位置に,1次転写ローラ111が配置されている。図2中では画像形成部1Yによって代表して示している。
【0022】
図2中で下方に示すのは,用紙Pを収容する給紙カセット112である。給紙カセット112の上部には,用紙Pを送り出す給紙ローラ113が設けられている。用紙Pは,給紙カセット112から搬送経路114に沿って上方へ送られる。搬送経路114を挟んで,ローラ103と対面する位置に,2次転写ローラ115が配置されている。これら,中間転写ベルト101,1次転写ローラ111,2次転写ローラ115は,用紙Pにトナー像を転写するための転写部である。さらにその下流側(図中上方)には,定着装置10が配置されている。定着装置10は,定着ローラ20,加圧ローラ30のローラ対を有する定着部である。
【0023】
定着装置10より搬送経路114のさらに下流側には,第1搬送経路150と第2搬送経路160とが配置されている。そして,これらの搬送経路はやがて合流する。その合流地点のさらに下流側の位置には,ローラ対116が配置されている。ローラ対116より搬送経路114のさらに下流には,排紙トレイ117が設けられている。ローラ対116は,用紙Pを排紙トレイ117に排紙するための排紙ローラである。このように,本形態の画像形成装置100は,片面印刷式の画像形成装置である。
【0024】
また,画像形成装置100は,制御部180を有している。制御部180は,画像形成部1Y,1M,1C,1Kに画像形成の指示を送る他,画像形成装置100に関する各部の制御を行うものでもある。
【0025】
次に,本形態の画像形成装置100の基本的な動作を簡単に説明する。この画像形成装置100は,画像形成の指示を受けると,その画像信号から各色の画像データを生成する。生成された各色の画像データは,対応する画像形成部1Y,1M,1C,1Kにそれぞれ送出される。各色の画像形成部1Y,1M,1C,1Kは,画像データに基づいて,それぞれの感光体ドラム106を帯電・露光して静電潜像を形成する。さらに,形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0026】
形成されたトナー像は,順次,1次転写ローラ111によって中間転写ベルト101に転写され,重ね合わせられる。中間転写ベルト101に重ね合わせられたトナー像は,2次転写ローラ115によって用紙Pに転写される。トナー像を担持した用紙Pは,さらに搬送されて定着装置10に至り,定着装置10によって加熱されるとともに加圧される。これによりトナー像が用紙Pに定着される。トナー像が定着された用紙Pは,ローラ対116によって排紙トレイ117に排出される。以上が,画像形成装置100の基本的な動作である。
【0027】
2.定着装置
本形態の定着装置10の構造について説明する。定着装置10は,図3に示すように,定着ローラ20と,加圧ローラ30とを有している。
【0028】
定着ローラ20は,用紙P(シート)を加熱するための加熱回転体である。定着ローラ20は,芯金21と,弾性層22と,離型層23と,ヒータ24とを有している。その直径は40mm程度である。芯金21は,定着ローラ20の恒常的な変形を抑制して定着ローラ20の耐久性を維持するための部材である。その材質として,アルミニウムや鉄が挙げられる。もちろん,アルミニウムや鉄以外の金属を用いてもよい。弾性層22は,加圧ローラ30に加圧されることにより,わずかに変形してニップ部を形成するための加熱部材側弾性層である。また,弾性層22は,離型層23を支持する役割も担うものである。その材質として,例えばシリコーンゴム等が挙げられる。離型層23は,定着後の用紙Pが定着ローラ20の表面に貼り付いたままにならないようにするための層である。ヒータ24は,定着ローラ20を加熱するための熱源である。
【0029】
加圧ローラ30は,定着ローラ20とニップを形成する加圧回転体である。加圧ローラ30は,芯金31と,弾性層32と,離型層33とを有している。その直径は,35mm程度であり,定着ローラ30の直径と大きく変わらない。芯金31は,加圧ローラ30の恒常的な変形を抑制して加圧ローラ30の耐久性を維持するための部材である。その材質として,アルミニウムや鉄が挙げられる。もちろん,アルミニウムや鉄以外の金属を用いてもよい。弾性層32は,定着ローラ20に押圧されて,わずかに変形してニップ部を形成するための加圧部材側弾性層である。弾性層32は,離型層33を支持する役割も担うものである。その材質として,例えばシリコーンゴムやシリコーンスポンジ等が挙げられる。離型層33は,定着後の用紙Pが加圧ローラ30の表面に貼り付いたままにならないようにするための層である。
【0030】
3.制御系
本形態の画像形成装置100の制御系を示すブロック図を図4に示す。ここで,制御部180は,給紙ローラ113に用紙Pの搬送を指示する。また,制御部180は,各色の画像形成部1(1Y,1M,1C,1K)に画像形成の指示を送る。それとともに,1次転写ローラ111,中間転写ベルト101,2次転写ローラ115にトナー像の転写について指示を送る。また,定着ローラ20の加熱の指示を送るとともに,定着ローラ20および加圧ローラ30の回転を指示する。また,ローラ対116に用紙の排紙を指示する。
【0031】
4.用紙の搬送経路(および分離爪)
本形態における定着装置10の周辺を拡大した概略構成図を図5に示す。図5に示すように,用紙の搬送経路における定着装置10の下流の位置には,前述のとおり第1搬送経路150と,第2搬送経路160とが設けられている。
【0032】
第1搬送経路150は,分離爪の設けられていない搬送経路である。第1搬送経路150は,定着された用紙P(主に厚紙)を搬送するための搬送経路である。第1搬送経路150の入り口における用紙の搬送方向(図5中の矢印F)は,用紙が定着装置10のニップ部に突入する方向(図5中の矢印E)とほぼ同じ方向である。
【0033】
第2搬送経路160は,分離爪161の設けられている搬送経路である。分離爪161は,第2搬送経路160の入り口に設けられている。分離爪161は,定着ローラ20に吸着している用紙Pを定着ローラ20から分離するための第1の分離部材である。第2搬送経路160は,分離爪161により定着ローラ20から剥がされた用紙P(主に薄紙)を搬送するための搬送経路である。第2搬送経路160の入り口における用紙の搬送方向(図5中の矢印G)は,用紙が定着装置10のニップ部に突入する方向(図5中の矢印E)より定着ローラ20の側に向かう方向である。
【0034】
第2搬送経路160は,第1搬送経路150よりも定着ローラ20の側に設けられている。第1搬送経路150への用紙の突入方向(図5中の矢印F)と第2搬送経路160への用紙の突入方向(図5中の矢印G)とのなす角は,30〜45°程度である。第1搬送経路150と第2搬送経路160とは,これらの出口,すなわちローラ対116より上流の位置で合流している。したがって,用紙Pは,第1搬送経路150と第2搬送経路160とのいずれに搬送されたとしても,ローラ対116の箇所に搬送される。
【0035】
4−1.厚紙の場合
ここで,画像形成される用紙が厚紙である場合について説明する。厚紙は直進しやすい。腰が強いからである。そのため,厚紙はトナー像の定着後に定着ローラ20に貼り付いたままになりにくい。したがって,分離爪161により定着ローラ20から厚紙を剥がす必要がない。そのため,厚紙は第1搬送経路150に突入する。そしてその後,厚紙は,ローラ対116により排紙トレイ117に排紙される。
【0036】
4−2.薄紙の場合
ここで,画像形成される用紙が薄紙である場合について説明する。薄紙は腰が弱い。すなわち直進性が弱い。このため,薄紙はトナー像の定着後に定着ローラ20に貼り付いたままになりやすい。したがって,分離爪161により定着ローラ20から薄紙を剥がす必要がある。そのため,薄紙は分離爪161により定着ローラ20から剥がされた後に,第2搬送経路160に突入する。そしてその後,厚紙は,ローラ対116により排紙トレイ117に排紙される。
【0037】
このように,画像形成装置100は,用紙Pの搬送経路における定着装置10より下流の位置に,分離爪の設けられていない第1搬送経路150と,分離爪161の設けられている第2搬送経路160とを有するものである。そのため,定着後の厚紙は第1搬送経路150に搬送される。一方,定着後の薄紙は第2搬送経路160に搬送される。
【0038】
なお,ニップ幅を広めにとっておけば,厚紙であれ薄紙であれ,好適に定着を行うことができる(特許文献1の段落[0012]参照)。また,厚紙のうちごく一部のものは,定着ローラ20に貼り付いたままとなることがある。その場合の厚紙は,分離爪161により定着ローラ20から剥がされるとともに,第2搬送経路160に搬送される。また,薄紙のうちごく一部のものは,定着ローラ20に貼り付いたままとならないことがある。その場合の薄紙は,第1搬送経路150に搬送される。
【0039】
5.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る画像形成装置100は,用紙Pの搬送経路における定着装置10より下流の位置に,分離爪の設けられていない第1搬送経路150と,分離爪161の設けられている第2搬送経路160とを有するものである。そのため,定着後の厚紙は第1搬送経路150に搬送される。一方,定着後の薄紙は第2搬送経路160に搬送される。これにより,厚紙と薄紙とを好適に搬送することのできる画像形成装置100が実現されている。
【0040】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置は,片面印刷のものであっても,両面印刷のものであってもよい。また,カラー印刷のものに限らない。そして,画像形成装置は,プリンタやコピー機であってもよい。また,公衆回線から印刷ジョブを受信して画像形成する機能を備えた画像形成装置やその他の画像を形成する装置に適用することができる。また,トナーの種類によらず適用できる。
【0041】
また,本形態では,厚紙とは90g/m以上の用紙のことであり,薄紙とは90g/m未満の用紙のことであるとした。本形態では,用紙が定着ローラに貼り付きやすいか否かにより,異なる搬送経路に用紙を搬送するものである。
【0042】
また,本形態では,定着装置として内部にヒータを有する定着ローラを用いた。しかし,その代わりに,ヒータを有さない定着ローラと外部加熱ローラとを用いてもよい。または,定着ローラの代わりに,定着ベルトを用いることとしてもよい。その場合には,定着ベルトは加熱回転体である。
【0043】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本形態の画像形成装置の構成は,第1の実施形態の画像形成装置とほぼ同様である。本形態の画像形成装置と第1の実施形態の画像形成装置との相違点は,図6および図7に示す切替ガイド210と,用紙厚センサ220(図12参照)とを有する点である。用紙厚センサ220は,用紙の搬送経路における給紙ローラ113の下流の位置に配置されている(図12参照)。その他の構成は,第1の実施形態のものと同様である。したがって,第1の実施形態と異なる点のみについて説明する。
【0044】
本形態の画像形成装置200は,用紙厚センサ220を有している(図12参照)。用紙厚センサ220は,2次転写ローラ115と中間転写ベルト101との間に進入する用紙Pの厚みを測定するための用紙厚測定部である。
【0045】
1.切替ガイド
本形態の画像形成装置200は,図6および図7に示すように切替ガイド210を有している。切替ガイド210は,第1搬送経路150と第2搬送経路160との間に位置する第1のガイド部材である。切替ガイド210は,2つの状態をとることができる。
【0046】
2つの状態のうちの一方は,図6に示すように,第1搬送経路150を開放している状態とするとともに,第2搬送経路160を閉鎖している状態とする第1の状態である。他方は,図7に示すように,第1搬送経路150を閉鎖している状態とするとともに,第2搬送経路160を開放している状態とする第2の状態である。
【0047】
このように,切替ガイド210は,第1搬送経路150と第2搬送経路160とのいずれか一方の搬送経路を開放するとともに,他方の搬送経路を閉鎖するためのものである。本形態における画像形成装置200の制御部280は,後述するように,各部の制御の他にこれらの第1の状態と第2の状態との切り替えをも行うものである。
【0048】
1−1.厚紙の場合
ここで,給紙カセット112から搬送される用紙Pが厚紙である場合について図6により説明する。この場合,用紙厚センサ220による測定に基づいて,制御部280は給紙カセット112から搬送される用紙Pを厚紙であると判断する。そして,制御部280は,切替ガイド210を第1の状態(図6)とする。すなわち,第1搬送経路150を開放している状態とするとともに,第2搬送経路160を閉鎖している状態とするのである。
【0049】
そして,トナー像定着後の厚紙は,第1搬送経路150に搬送される。仮に厚紙が第2搬送経路160に突入しようとしても,切替ガイド210が第2搬送経路160を閉鎖している。そのため,トナー像定着後の厚紙が第2搬送経路160に搬送されることはない。
【0050】
1−2.薄紙の場合
続いて,給紙カセット112から搬送される用紙Pが薄紙である場合について図7により説明する。この場合,用紙厚センサ220による測定に基づいて,制御部280は給紙カセット112から搬送される用紙Pを薄紙であると判断する。そして,制御部280は,切替ガイド210を第2の状態(図7)とする。すなわち,第1搬送経路150を閉鎖している状態とするとともに,第2搬送経路160を開放している状態とするのである。
【0051】
そして,トナー像定着後の薄紙は,分離爪161により定着ローラ20から分離されて第2搬送経路160に搬送される。薄紙が直進して第1搬送経路150に突入しようとしたとしても,切替ガイド210が第1搬送経路150を閉鎖している。そのため,トナー像定着後の薄紙が第1搬送経路150に搬送されることはない。
【0052】
2.制御系
本形態の制御系について図8のブロック図により説明する。図8に示す本形態の制御系は,図4に示したものの他,用紙厚センサ220と,切替ガイド210とを有している。制御部280は,図4の制御部180の行う処理の他に,以下の処理を行うものである。
【0053】
制御部280は,用紙厚センサ220からの信号を読み取る。また,給紙される用紙Pが厚紙であるか薄紙であるかを判断する。その判断には,用紙厚判定閾値を予め定めておいて用いればよい。用紙Pの厚みが用紙厚判定閾値以上であれば,制御部280は用紙Pを厚紙であると判断する。用紙Pの厚みが用紙厚判定閾値より小さければ,制御部280は用紙Pを薄紙であると判断する。ここで用紙厚判定閾値として例えば,単位面積あたりの重さ90g/mを用いることができる。
【0054】
制御部280は,切替ガイド210を第1の状態と第2の状態との間で切り替える。制御部280は,厚紙にトナー像を定着する場合に,切替ガイド210を第1の状態とする。一方,薄紙にトナー像を定着する場合に,切替ガイド210を第2の状態とするのである。
【0055】
3.第1の実施形態との比較
本形態の画像形成装置200では,第1の実施形態の画像形成装置100に,さらに切替ガイド210が設けられている。そのため,厚紙を第1搬送経路150に,薄紙を第2搬送経路160に,より確実に搬送することができる。
【0056】
第1の実施形態の画像形成装置100では,厚紙が第2搬送経路160に搬送されることや薄紙が第1搬送経路150に搬送されることが稀にありうる。そのため,複数枚の用紙を連続して印刷する連続印刷を行う場合,N枚目の用紙の後端とN+1枚目の用紙の先端とが重なるおそれがある。第1搬送経路150の長さと第2搬送経路160の長さとが異なっているためである。
【0057】
その用紙の重なりを回避するために,紙間(N枚目の用紙を搬送する時刻とN+1枚目の用紙を搬送する時刻との時間間隔)を長めに設定する必要がある。しかし,本形態の画像形成装置200では,紙間を長めに設定する必要がない。つまり,本形態の画像形成装置200では,第1の実施形態の画像形成装置100よりも連続印刷を行う場合に印刷に要する時間が短い。
【0058】
4.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る画像形成装置200は,用紙Pの搬送経路における定着装置10より下流の位置に,分離爪の設けられていない第1搬送経路150と,分離爪161の設けられている第2搬送経路160とを有するものである。また,用紙Pを第1搬送経路150と第2搬送経路160とのいずれか一方に搬送するための切替ガイド210を有するものである。そのため,定着後の厚紙は第1搬送経路150に搬送される。一方,定着後の薄紙は第2搬送経路160に搬送される。これにより,厚紙と薄紙とを好適に搬送することのできる画像形成装置200が実現されている。
【0059】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置は,片面印刷のものであっても,両面印刷のものであってもよい。また,カラー印刷のものに限らない。そして,画像形成装置は,プリンタやコピー機であってもよい。また,公衆回線から印刷ジョブを受信して画像形成する機能を備えた画像形成装置やその他の画像を形成する装置に適用することができる。また,トナーの種類によらず適用できる。
【0060】
また,本形態では,厚紙とは90g/m以上の用紙のことであり,薄紙とは90g/m未満の用紙のことであるとした。本形態では,用紙が定着ローラに貼り付きやすいか否かにより,厚紙か薄紙かを区別するものである。したがって,用紙厚判断閾値(90g/m)を適宜変更することとしてもよい。また,第1の実施形態で説明した全ての変形例を用いることができる。
【0061】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。本形態の画像形成装置の構成は,第2の実施形態の画像形成装置200とほぼ同様である。異なる点は,図9および図10に示すように,切替ガイド210(図6や図7参照)が分離爪310である点である。したがって,この相違点である分離爪310を中心に説明する。
【0062】
1.分離爪
本形態の画像形成装置300は,図9および図10に示すように,分離爪161の他に分離爪310を有している。分離爪310は,定着ローラ20に吸着している用紙Pを定着ローラから剥離するための第2の分離部材である。分離爪310は,分離爪161より用紙Pの搬送方向の上流の位置に配置されている。分離爪310は,トナー像定着後の用紙Pの搬送方向の切り替えを行う第1の用紙搬送方向切替部でもある。分離爪310は,第2の実施形態の画像形成装置200における切替ガイド210(図6および図7参照)と同様に,2つの状態をとることができる。すなわち,分離爪310は可動である。この点で分離爪310は,画像形成装置の本体に固定されている分離爪161とは異なっている。
【0063】
2つの状態のうちの一方は,図9に示すように,第1搬送経路150を開放している状態とするとともに,第2搬送経路160を閉鎖している状態とする第1の状態である。他方は,図10に示すように,第1搬送経路150を閉鎖している状態とするとともに,第2搬送経路160を開放している状態とする第2の状態である。
【0064】
このように,分離爪310は,第1搬送経路150と第2搬送経路160とのいずれか一方の搬送経路を開放するとともに,他方の搬送経路を閉鎖するためのものである。さらに,本形態の分離爪310は,切替ガイド210とは異なり,仮に厚紙が定着ローラ20に貼り付いたままになったとしてもそれを定着ローラ20から剥がすことができるようになっている。本形態の制御部380は,後述するように,各部の制御の他にこれらの第1の状態と第2の状態との切り替えをも行うものである。
【0065】
1−1.厚紙の場合
ここで,給紙カセット112から搬送される用紙Pが厚紙である場合について図9により説明する。この場合,用紙厚センサ220による測定に基づいて,制御部380は給紙カセット112から搬送される用紙Pを厚紙であると判断する。そして,制御部380は,分離爪310を第1の状態(図9)とする。すなわち,第1搬送経路150を開放している状態とするとともに,第2搬送経路160を閉鎖している状態とするのである。
【0066】
そして,トナー像定着後の厚紙は,第1搬送経路150に搬送される。仮に厚紙が第2搬送経路160に突入しようとしても,分離爪310が第2搬送経路160を閉鎖している。そして,定着後の厚紙が定着ローラ20に貼り付いているような場合であっても,厚紙は分離爪310により定着ローラ20から剥がされる。この分離爪310が定着ローラ20から厚紙を分離する位置は,分離爪161が定着ローラ20から厚紙を分離する位置よりも上流の位置である。そして,図9に示すように,分離爪310の側面に沿う搬送経路352に搬送される。そのため,トナー像定着後の厚紙が第2搬送経路160に搬送されることはない。
【0067】
1−2.薄紙の場合
続いて,給紙カセット112から搬送される用紙Pが薄紙である場合について図10により説明する。この場合,用紙厚センサ220による測定に基づいて,制御部380は給紙カセット112から搬送される用紙Pを薄紙であると判断する。そして,制御部380は,分離爪310を第2の状態(図10)とする。すなわち,第1搬送経路150を閉鎖している状態とするとともに,第2搬送経路160を開放している状態とするのである。
【0068】
そして,トナー像定着後の薄紙は,分離爪161により定着ローラ20から分離されて第2搬送経路160に搬送される。薄紙が第1搬送経路150に突入しようとしても,図10に示すように,薄紙は分離爪310の側面に沿う搬送経路362に搬送される。そのため,トナー像定着後の薄紙が第1搬送経路150に搬送されることはない。
【0069】
2.制御系
本形態の制御系について図11のブロック図により説明する。図11に示す本形態の制御系は,図4に示したものの他,用紙厚センサ220と,分離爪310とを有している。制御部380は,制御部180の行う処理の他に,以下の処理を行うものである。
【0070】
制御部380は,用紙厚センサ220からの信号を読み取る。そして,給紙される用紙Pが厚紙であるか薄紙であるかを判断する。その判断に,第2の実施形態と同様に用紙厚判定閾値を用いる。そして,制御部380は,分離爪310を第1の状態と第2の状態との間で切り替える。
【0071】
3.第2の実施形態との比較
本形態では,仮に厚紙が定着ローラ20に貼り付いたままになった場合であっても,分離爪310により厚紙を定着ローラ20から剥がすことができる。すなわち,本形態の画像形成装置300は,用紙に応じた搬送経路の振り分けをより好適に行うことができる。したがって,用紙の紙詰まりは,より生じにくい。
【0072】
4.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る画像形成装置300は,用紙Pの搬送経路における定着装置10より下流の位置に,分離爪の設けられていない第1搬送経路150と,分離爪161の設けられている第2搬送経路160とを有するものである。また,用紙Pを第1搬送経路150と第2搬送経路160とのいずれか一方に搬送するための分離爪310を有するものである。そのため,定着後の厚紙は第1搬送経路150に搬送される。一方,定着後の薄紙は第2搬送経路160に搬送される。これにより,厚紙と薄紙とを好適に搬送することのできる画像形成装置300が実現されている。
【0073】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置は,片面印刷のものであっても,両面印刷のものであってもよい。また,カラー印刷のものに限らない。そして,画像形成装置は,プリンタやコピー機であってもよい。また,公衆回線から印刷ジョブを受信して画像形成する機能を備えた画像形成装置やその他の画像を形成する装置に適用することができる。また,トナーの種類によらず適用できる。
【0074】
また,本形態では,厚紙とは90g/m以上の用紙のことであり,薄紙とは90g/m未満の用紙のことであるとした。本形態では,用紙が定着ローラに貼り付きやすいか否かにより,厚紙か薄紙かを区別するものである。したがって,用紙厚判断閾値(90g/m)を適宜変更することとしてもよい。また,第1の実施形態で説明した全ての変形例を用いることができる。
【0075】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。本形態の画像形成装置400は,図12に示すように,両面印刷可能なものである。図12に示す本形態の画像形成装置400では,図2に示した画像形成装置100と定着装置10の周辺が異なっている。したがって,定着装置10の周辺を中心に説明する。
【0076】
1.画像形成装置
画像形成装置400では,定着装置10より搬送経路114のさらに下流側に,第1搬送経路150と第2搬送経路160とが配置されている。また,第2搬送経路160より下流の位置には,第3搬送経路450と第4搬送経路460とが配置されている。第4搬送経路460より下流の位置には,ローラ対116が配置されている。そして,第1搬送経路150と第3搬送経路450とは,これらの出口で合流している。そして,この合流地点より下流の位置には,ローラ対118が配置されている。これらの搬送経路については,後に詳しく述べる。
【0077】
ローラ対116より搬送経路114のさらに下流には,排紙トレイ117が設けられている。ローラ対116は,用紙Pを排紙トレイ117に排紙するための排紙ローラである。ローラ対118は,搬送経路114を搬送されてきた用紙Pの搬送方向を反転するとともに,用紙Pを搬送経路470に搬送することのできる折り返しローラである。また,用紙Pを排紙トレイ117に排紙するための排紙ローラでもある。
【0078】
搬送経路470は,両面印刷の場合の第1面目に画像形成された用紙Pを再び2次転写ローラ115の箇所に搬送するための両面印刷用搬送経路である。つまり,第1面目に画像形成された用紙Pの第2面目に画像を形成するために用いられる経路である。このように,本形態の画像形成装置400は,両面印刷可能なものである。
【0079】
両面印刷を行う場合には,トナー像が定着された用紙Pは,ローラ対118により搬送経路470に搬送される。そして再び,2次転写ローラ115の箇所に搬送される。このとき,既にトナー像が定着された面と反対側の面にトナー像が転写される。その後,トナー像が定着されて排紙トレイ117に排出される。
【0080】
2.搬送経路
本形態の画像形成装置400の定着装置10の周辺を抜き出した概略構成図を図13〜図15に示す。図13〜図15に示すように,用紙の搬送経路における定着装置10の下流の位置には,第1搬送経路150と第2搬送経路160とが設けられている。そして,用紙Pの搬送経路を第1搬送経路150と第2搬送経路160との間で切り替える分離爪310が設けられている。また,第2搬送経路160の入り口には,分離爪161が設けられている。
【0081】
そして,第2搬送経路160の出口には,切替ガイド410が設けられている。切替ガイド410は,用紙Pの搬送経路を切り替えるための第2のガイド部材である。また,切替ガイド410の配置されている位置は,第3搬送経路450の入り口と第4搬送経路460の入り口との間の位置である。そして切替ガイド410は,第2搬送経路160を搬送された用紙Pを第3搬送経路450もしくは第4搬送経路460のいずれに搬送するかを切り替える。
【0082】
切替ガイド410は,第1の状態と第2の状態とをとるものである。切替ガイド410における第1の状態は,第3搬送経路450を開放しているとともに第4搬送経路460を閉鎖している状態(図13,図14)である。第2の状態は,第3搬送経路450を閉鎖しているとともに第4搬送経路460を開放している状態(図15)である。
【0083】
第3搬送経路450は,第2搬送経路160の出口からローラ対118の箇所までにわたって位置する搬送経路である。第4搬送経路460は,第2搬送経路160の出口からローラ対116の箇所までにわたって位置する搬送経路である。
【0084】
3.制御系
本形態の制御系について図16のブロック図により説明する。図16に示す本形態の制御系は,図4に示したものの他,用紙厚センサ220と,分離爪310と,切替ガイド410とを有している。制御部480は,制御部180の行う処理の他に,以下の処理を行うものである。
【0085】
制御部480は,ユーザからの入力指示により,両面印刷であるか否かを判断する。また,制御部480は,用紙厚センサ220からの信号を読み取る。そして,給紙される用紙Pが厚紙であるか薄紙であるかを判断する。その判断に,第2の実施形態と同様に用紙厚判定閾値を用いる。そして,制御部480は,分離爪310を第1の状態と第2の状態との間で切り替える。そして,制御部480は,切替ガイド410を第1の状態と第2の状態との間で切り替える。
【0086】
4.用紙の搬送
ここで,トナー像定着後の用紙Pが実際にどのように搬送されるかについて図13および図14により説明する。
【0087】
4−1.厚紙の片面印刷
厚紙を片面印刷する場合について説明する。この場合,用紙厚センサ220による測定に基づいて,制御部480は,用紙Pを厚紙であると判断する。制御部480は,分離爪310の向きを第1の状態(図13)とする。第1の状態は,第1搬送経路150を開放している状態とするとともに,第2搬送経路160を閉鎖している状態である。そのため,片面を印刷された厚紙は,ローラ対118の箇所まで搬送される。ローラ対118は,図13中の矢印Hの向きに回転している。そして,トナー像を片面に印刷された厚紙をそのまま排紙する。この場合,切替ガイド410は第1の状態(図13,図14)と第2の状態(図15)とのいずれの状態であってもよい。
【0088】
4−2.厚紙の両面印刷
厚紙を両面印刷する場合について図13により説明する。厚紙を両面印刷する場合,1面目のトナー像を定着された厚紙がローラ対118の箇所まで搬送されることは,片面印刷の場合と同様である。両面印刷する場合には,ローラ対118は,所定の回転数を図13中の矢印Hの向きに回転した後に,逆向き(図13中の矢印Iの向き)に回転する。これにより,1面目を印刷された厚紙は,用紙搬送経路470に搬送される。
【0089】
そして再び2次転写ローラ115の箇所に搬送されるときには,厚紙は,未だ画像形成されていない2面目に新たなトナー像が転写される向きに搬送される。このとき,分離爪310は第1の状態(図13)のままである。そして,両面にトナー像が定着された厚紙は,第1搬送経路150に搬送される。ここで,ローラ対118は,図13の矢印Hの向きに回転している。そのため,両面印刷された厚紙は,そのまま排紙トレイ117に排紙される。この場合,切替ガイド410は第1の状態(図13)と第2の状態(図15)とのいずれの状態であってもよい。
【0090】
4−3.薄紙の片面印刷
薄紙を片面印刷する場合について図14により説明する。この場合,用紙厚センサ220による測定に基づいて,制御部480は,用紙Pを薄紙であると判断する。制御部480は,分離爪310の向きを第2の状態(図14)とする。第2の状態は,第1搬送経路150を閉鎖している状態とするとともに,第2搬送経路160を開放している状態である。そのため,トナー像定着後の薄紙は,第2搬送経路160へと搬送される。その後,薄紙は,第3搬送経路450に搬送されて,ローラ対118により排紙される。この場合,切替ガイド410は第1の状態(図14)である。
【0091】
このとき,薄紙を第3搬送経路450に搬送する代わりに,第4搬送経路460に搬送してローラ対116により排紙することとしてもよい。この場合,切替ガイド410は第2の状態(図15)である。
【0092】
4−4.薄紙の両面印刷
薄紙を両面印刷する場合について説明する。用紙Pが厚紙であるか薄紙であるか否かの判断は,制御部480により上記と同様に行われる。制御部480は,分離爪310の向きを第2の状態(図14)とする。第2の状態は,第1搬送経路150を閉鎖している状態とするとともに,第2搬送経路160を開放している状態である。そのため,トナー像定着後の薄紙は,第2搬送経路160へと搬送される。
【0093】
このとき切替ガイド410は,第3搬送経路450を開放するとともに,第4搬送経路460を閉鎖している第1の状態をとっている。そのため,薄紙は,第3搬送経路450を搬送されて,ローラ対118の箇所まで搬送される。両面印刷する場合には,ローラ対118は,所定の回転数を図14中の矢印Hの向きに回転した後に,逆向き(図14中の矢印Iの向き)に回転する。これにより,両面印刷時の第1面目を印刷された薄紙は,用紙搬送経路470に搬送される。
【0094】
そして再び2次転写ローラ115の箇所に搬送されるときには,薄紙は,未だ画像形成されていない面に新たなトナー像が転写される向きに搬送される。そして,両面にトナー像が定着された薄紙は,第2搬送経路160に搬送される。そして両面印刷された薄紙は,第3搬送経路450に搬送される。そして薄紙は,ローラ対118によりそのまま排紙される。この場合,切替ガイド410は第1の状態(図14)である。
【0095】
5.変形例
5−1.薄紙の両面印刷
本形態では,薄紙の両面印刷を行う場合に,2面目を印刷した薄紙を第3搬送経路450に搬送して,ローラ対118の箇所から薄紙を排紙することとした。しかし,第2面目を印刷された薄紙を第4搬送経路460に搬送して,ローラ対116により薄紙を排紙することとするとよい。薄紙を連続的に両面印刷する場合には,ジョブの時間を短縮することができるからである。
【0096】
なぜならば,ローラ対118では,第1面目を印刷された薄紙を折り返すための時間を要するからである。そこで,第2面目を印刷された薄紙をローラ対116の箇所に搬送することで,ローラ対118における第1面目を印刷された薄紙を折り返す工程を待つことなく,第2面目を印刷された薄紙を排紙トレイ117に排紙することができるからである。これにより,ジョブの処理時間は短縮される。
【0097】
この薄紙の両面印刷を行う場合の処理を図17のフローチャートにより説明する。まず,用紙が第1搬送経路150に向かう向きに分離爪310を切り替える(S101)。つまり,分離爪310を第1の状態とする。次に,切替ガイド410を用紙が第3搬送経路450に向かう向きに切り替える(S102)。つまり,切替ガイド410を第1の状態とする。
【0098】
次に,用紙が厚紙であるか薄紙であるかを判断する(S103)。用紙が厚紙であれば(S103:Yes),S110に進む。用紙が厚紙でなければ(S103:No),S104に進む。S104では,用紙が第2搬送経路160に向かう向きに分離爪310を切り替える。つまり,分離爪310を第2の状態とする。
【0099】
S105では,ユーザにより両面印刷が指示されているか否かを判断する。両面印刷が指示されていなければ(S105:No),S110に進む。両面印刷が指示されていれば(S105:Yes),S106に進む。
【0100】
S106では,印刷される面が1面目であるか否かを判断する。印刷される面が1面目であれば(S106:Yes),S109に進む。印刷される面が1面目でなければ(S106:No),S107に進む。S107では,切替ガイド410を用紙が第4搬送経路460に向かう向きに切り替える。つまり,切替ガイド410を第2の状態とする。
【0101】
S108では,ローラ対116により用紙を排紙する。S109では,ローラ対118により用紙の進行方向を反転させて,用紙を搬送経路470に搬送する。S110では,ローラ対118により用紙を排紙する。
【0102】
このように制御部480は,分離爪310を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるとともに,切替ガイド410を第1の状態と第2の状態との間で切り替える。すなわち,厚紙にトナー像を定着する場合に,分離爪310を第1の状態とする。そして,薄紙に両面印刷を行う際には,第1面目にトナー像を定着した薄紙を第2搬送経路160に搬送する場合に,切替ガイド410を第1の状態とするとともに,第2面目にトナー像を定着した薄紙を第2搬送経路160に搬送する場合に,切替ガイド410を第2の状態とするのである。
【0103】
6.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る画像形成装置400は,用紙Pの搬送経路における定着装置10より下流の位置に,分離爪の設けられていない第1搬送経路150と,分離爪161の設けられている第2搬送経路160とを有するものである。また,用紙Pを第1搬送経路150と第2搬送経路160とのいずれか一方に搬送するための分離爪310を有するものである。そして,第2搬送経路160の下流の位置には,第3搬送経路450と第4搬送経路460とが設けられている。これにより,厚紙と薄紙とを好適に搬送することのできる画像形成装置400が実現されている。
【0104】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,画像形成装置は,片面印刷のものであっても,両面印刷のものであってもよい。また,カラー印刷のものに限らない。そして,画像形成装置は,プリンタやコピー機であってもよい。また,公衆回線から印刷ジョブを受信して画像形成する機能を備えた画像形成装置やその他の画像を形成する装置に適用することができる。また,トナーの種類によらず適用できる。
【0105】
また,本形態では,厚紙とは90g/m以上の用紙のことであり,薄紙とは90g/m未満の用紙のことであるとした。本形態では,用紙が定着ローラに貼り付きやすいか否かにより,厚紙か薄紙かを区別するものである。したがって,用紙厚判断閾値(90g/m)を適宜変更することとしてもよい。また,第1の実施形態で説明した全ての変形例を用いることができる。
【符号の説明】
【0106】
1…画像形成部
10…定着装置
20…定着ローラ
21…芯金
22…弾性層
23…離型層
24…ヒータ
30…加圧ローラ
31…芯金
32…弾性層
33…離型層
100,200,300,400…画像形成装置
116,118…ローラ対
150…第1搬送経路
160…第2搬送経路
161…分離爪
180,280,380,480…制御部
210,410…切替ガイド
220…用紙厚センサ
310…分離爪
450…第3搬送経路
460…第4搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体にトナー像を形成する画像形成部と,
トナー像を前記像担持体からシートに転写する転写部と,
転写されたトナー像をシートに定着する定着部とを有する画像形成装置であって,
前記定着部は,シートを加熱する加熱回転体と前記加熱回転体とニップを形成する加圧回転体とを有し,
前記定着部の下流の位置に,
第1搬送経路と第2搬送経路とが設けられており,
前記第2搬送経路は,前記第1搬送経路よりも前記加熱回転体の側に設けられており,
前記第2搬送経路の入り口には,前記加熱回転体からシートを分離する第1の分離部材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって,
前記第1搬送経路の入り口と前記第2搬送経路の入り口との間の位置に,第1のガイド部材を有し,
前記第1のガイド部材は,
前記第1搬送経路を開放するとともに前記第2搬送経路を閉鎖する第1の状態と,
前記第1搬送経路を閉鎖するとともに前記第2搬送経路を開放する第2の状態とをとるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって,
前記第1のガイド部材は,
前記第1の状態をとっているときに,
前記第1の分離部材がシートを分離する位置より上流の位置で前記加熱回転体からシートを分離する第2の分離部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の画像形成装置であって,
排紙ローラを有し,
前記第1搬送経路と前記第2搬送経路とが前記排紙ローラの上流の位置で合流していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の画像形成装置であって,
前記第2搬送経路より下流の位置に配置されている第3搬送経路および第4搬送経路と,
第1面目を定着されたシートを前記転写部に搬送するための両面印刷用搬送経路と,
前記第1搬送経路および前記第3搬送経路より下流の位置に配置されているとともに前記両面印刷用搬送経路へシートを搬送する折り返しローラと,
前記第4搬送経路より下流の位置に配置されている排紙ローラと,
前記第3搬送経路の入り口と前記第4搬送経路の入り口との間の位置に配置されている第2のガイド部材とを有し,
前記第1搬送経路と前記第3搬送経路とが前記折り返しローラの上流の位置で合流しており,
前記第2のガイド部材は,
前記第3搬送経路を開放するとともに前記第4搬送経路を閉鎖する第1の状態と,
前記第3搬送経路を閉鎖するとともに前記第4搬送経路を開放する第2の状態とをとるものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2または請求項3に記載の画像形成装置であって,
厚紙のシートにトナー像を定着する場合に,
前記第1のガイド部材を前記第1の状態とするとともに,
薄紙のシートにトナー像を定着する場合に,
前記第1のガイド部材を前記第2の状態とする制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像形成装置であって,
厚紙のシートにトナー像を定着する場合に,
前記第1のガイド部材を前記第1の状態とし,
薄紙のシートにトナー像を定着する場合に,
前記第1のガイド部材を前記第2の状態とするとともに,
両面印刷時における第1面目にトナー像を定着した薄紙を前記第2搬送経路に搬送する場合に,
前記第2のガイド部材を前記第1の状態とし,
両面印刷時における第2面目にトナー像を定着した薄紙を前記第2搬送経路に搬送する場合に,
前記第2のガイド部材を前記第2の状態とする制御部を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−108257(P2012−108257A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256041(P2010−256041)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】