説明

画像形成装置

【課題】簡単な構成によって記録紙のサイズ不一致が生じた場合でも,紙詰まりを生じさせることなく,ユーザの負担を増やすことなく,しかも中間転写ベルトや感光体上に不要な残留トナーが残ることによる装置内の汚染が生じることがない画像形成装置を提供すること。
【解決手段】実際に搬送される記録紙の長さと,設定された記録紙の長さとを比較し,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより短いと判断された場合に,前記画像形成部による感光体への画像形成動作を,該画像形成部による副走査方向の画像形成長さが,前記記録紙長さ検出手段による記録紙長さに至る前に停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ユーザが設定した紙サイズと実際に給紙された紙のサイズとが相違する場合に,合理的な処理を行ってユーザに不要な紙詰まり処理などを行わせることがなく,またトナーの飛散による装置内の汚染を完全に防止することの出来る画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は,図1に示すようなカラー複合機X1であっても,図4に示すようなモノクロプリンタX2であっても等しく適用される。
まず,図1に示す従来の一般的画像形成装置の一例としての複合機X1の断面図および図2に示す制御ブロック図を用いて,本発明の実施形態に係る複合機X1の全体構成について説明し,その後にモノクロプリンタX2について説明する。
複合機X1は,ブラック(BK),マゼンダ(M),イエロー(Y),シアン(C),の4色のトナーを用いるタンデム方式の画像形成装置である。
複合機X1は,概要として,後記する感光体上にトナー像を形成し,記録紙に画像形成を行う画像形成部α1,その記録紙を前記画像形成部α1に供給する給紙部α2,及び画像形成の行われた記録紙の排出がされる排紙部α3を有する。
パーソナルコンピュータ等の外部装置から不図示の通信部により受信された画像情報(印刷ジョブ)は,後述する印刷エンジン部2によりブラック(BK),マゼンダ(M),イエロー(Y),シアン(C),の4色各々に対する画素ごとの濃淡値情報である画素階調に変換される。
【0003】
前記画像形成部α1は,上記4色各々の像を担持する4つの感光体(ブラック用1BK,マゼンダ用1M,イエロー用1Y,シアン用1C),その感光体各々の表面を一様に帯電させる帯電装置,その帯電装置により予め帯電済みの前記感光体各々の表面を図外の画像処理部により決定される前記画素階調に対応する露光量の光を画素ごとに照射する(露光する)ことにより前記感光体1に静電潜像を書き込む図外の露光源,その静電潜像にトナーを供給することによりトナー像として現像する現像装置(5BK,5M,5Y,5C),前記感光体各々の表面に形成されたトナー像が順次転写され,そのトナー像を記録紙に転写する中間転写ベルト7,記録紙を搬送する搬送ローラ8,記録紙上に転写されたトナー像を加熱定着させる定着装置9,トナー像を記録紙に転写後の前記感光体表面の除電を行う図外の除電装置(付図示)等を備えて概略構成される。
【0004】
前記感光体(ブラック用1BK,マゼンダ用1M,イエロー用1Y,シアン用1C)は,例えば,高硬度で性状が安定しているため耐久性に優れるa−Si感光体等である。
前記帯電装置は,前記感光体1の表面をその軸方向に沿って一様に帯電させるものであるが,前記感光体に帯電ムラがある場合,前記帯電装置による帯電後(露光前)の電位(初期電位)には分布が生じる。
前記露光源は,前記感光体(1BK,1M,1Y,1C)の軸方向(主走査方向)に1画素ごとに複数のLEDが配列されたLEDアレイにより構成されたものの例を示している。この他,前記露光源は,レーザ光を前記感光体1の軸方向に走査するレーザスキャン装置等によって構成されたものであってもよい。
前記現像装置(5BK,5M,5Y,5C)は,前記感光体にトナーを供給する現像ローラを備え,その現像ローラに印加された電位(現像バイアス電位)と前記感光体1表面の電位との電位ギャップに応じて,前記現像ローラ上のトナーが前記感光体の面上に引き寄せられ,前記静電潜像がトナー像として顕像化される。
前記給紙部α2は,給紙カセット20,給紙ローラ26,フィードローラ27,フィードセンサS1等を有して概略構成される。フィードセンサS1は,給紙カセット20からの出口に設けられる。前記給紙カセット20に予め収容された記録紙は,前記給紙ローラ26が回転駆動することによりフィードローラ27に送られ,フィードローラ27によって上流側の上記フィードセンサS1を経てレジストローラ28に送られる。
記録紙は,レジストローラ28の手前に設けられたレジストセンサS2で検知された後、レジストローラ28に送られ一旦停止する。その後,中間転写ベルト7への画像形成動作の準備が整うと,画像書き込みのタイミングを取り、中間転写ベルト7の駆動に同期してレジストローラ28が回転し,記録紙は,前記画像形成部α1に送り出される。
前記給紙部α2から送り出された記録紙は,前記搬送ローラ8により搬送されつつ,前記中間転写ベルト7からトナー像が転写される。そして,トナー像が転写された記録紙は,前記定着装置9に搬送され,例えば加熱ローラ等により記録紙に加熱定着された後,前記排紙部α3に搬送されて排出される。
【0005】
前記した複合機X1の制御系の構成は,図2に示すように,大別して,制御部1,印刷エンジン部2,操作表示部3,スキャナ部4などに分類される。また,複合機X1は外部端末(以下,PC)5と接続,通信している。
複合機X1は,操作表示部3からの操作入力,或いはPC5からの入力情報に従って,制御部1が印刷エンジン部2を制御することにより,スキャナ部4により読み取られた画像情報,若しくはPC5より送信された画像情報に対応する画像を用紙に印刷することができる。
【0006】
制御部1は,図2に示されるように,CPU11及びROM12,一時記憶手段の一例としてのRAM13,ハードディスク14等の周辺装置等を備える。
制御部1は,CPU11がRAM13に格納される参照データに基づいて,ROM12やHD14に予め記憶された制御プログラムを実行すると共にASIC15と連動することにより,画像形成動作を含めた,本発明の実施形態にかかる複合機X1の統括的な制御を行うものである。
なお,図2ではHD14は1つとしているが,複数のハードディスクで,入力された情報と,オペレーションシステムやアプリケーションといったプログラムを別々に記憶するように構成してもよい。
【0007】
印刷エンジン部2には,前記感光体(ブラック用1BK,マゼンダ用1M,イエロー用1Y,シアン用1C),帯電装置,露光装置,現像装置(5BK,5M,5Y,5C),前記中間転写ベルト7およびその駆動装置を含む転写装置,定着装置9,前記給紙ローラ26,フィードローラ27,レジストローラ28等の駆動源を含む給紙・搬送装置等の,画像を形成するための各機器を備え,これら各機器は制御部1と通信している。
印刷エンジン部2は,これら各機器が操作表示部3で操作入力される画像形成要求,或いは通信部5aによって通信可能のPC5から送信される画像形成要求に従ってCPU11により制御されることにより,スキャナ部4で読み取られた画像情報或いは,PC5から送信された画像情報を用紙に印刷する。即ち,プリンタ機能を備えている。
【0008】
次にモノクロプリンタX2について説明する。モノクロプリンタX2もプリンタ機能については複合機X1と同様であるので,前記した複合機X1と異なる部分に注目して説明する。なお,基本的な機能については複合機と同様であるので,制御装置の構成については図2を参照して説明する。
モノクロプリンタX2は,単一色,通常はブラック(BK)のみのトナーを用いる。
モノクロプリンタX2についても複合機X1と同様,概要として,トナー像を形成し,記録紙に画像形成を行う画像形成部α1,その記録紙を前記画像形成部α1に供給する給紙部α2,及び画像形成の行われた記録紙の排出がなされる排紙部α3を有する。
パーソナルコンピュータ等の外部装置から不図示の通信部により受信された画像情報(印刷ジョブ)は,印刷エンジン部2により画素ごとの濃淡値情報である画素階調に変換される。
【0009】
前記画像形成部α1は,単一の感光体1,その感光体1の表面を一様に帯電させる帯電装置,その帯電装置により予め帯電済みの前記感光体の表面を図外の画像処理部により決定される前記画素階調に対応する露光量の光を画素ごとに照射する(露光する)ことにより前記感光体1に静電潜像を書き込む図外の露光源,その静電潜像にトナーを供給することによりトナー像として現像する現像装置,記録紙上に転写されたトナー像を加熱定着させる定着装置9,トナー像を記録紙に転写後の前記感光体表面の除電を行う図外の除電装置(付図示)等を備えて概略構成される。
【0010】
前記給紙部α2は,給紙カセット20,給紙ローラ26,フィードローラ27を備えて構成されている。フィードローラ27の給紙方向下流側には,フィードセンサS1,レジストローラ28,レジストセンサS2等が順に設けられている。
前記給紙カセット20に予め収容された記録紙は,前記給紙ローラ26が回転駆動することによりフィードローラ27に送られ,フィードローラ27によってフィードセンサS1を通過した後,後流側のレジストローラ28に送られる。記録紙は,レジストローラ28の手前に設けられたレジストセンサS2で検知された後、レジストローラ28に送られ一旦停止する。その後,感光体1への画像形成動作の準備が整うと,画像書き込みのタイミングを取り、感光体1の駆動に同期してレジストローラ28が回転し,記録紙は,前記画像形成部α1に送り出される。
レジストローラ28によって送り出された記録紙には,感光体1に担持されたトナー像が転写される。そして,トナー像が転写された記録紙は,前記定着装置9に搬送され,例えば加熱ローラ等により記録紙に加熱定着された後,前記排紙トレーなどの排紙部α3に搬送されて排出される。
【0011】
前記したモノクロプリンタX2の制御系の構成は,図2に示すものと同様であるので,ここでは説明を省略する。
【0012】
上記のような複合機X1やモノクロプリンタX2にあっては,機種が高級機の場合,プリンタとして機能する場合には,前記パーソナルコンピュータPCからの画像情報の入力に当り,画像情報の一部として,使用する記録紙のサイズが入力される。また,複写機として機能する場合には,用紙サイズが指定されたカセットから読み込まれるので,画像形成される画像のサイズと,記録紙のサイズが不一致となることはないが,複合機X1やモノクロプリンタX2が簡易型であるために記録紙のサイズを自動的に検出する機能がなく,ユーザがサイズ指定用のダイヤルを操作してサイズを入力したり,手差しトレー21(図1参照)から給紙されるために記録紙サイズが種々変化するような場合には,ユーザの操作入力ミスや,手差しトレーの操作ミスなどによって,複合機X1の制御部CPU11が認識する記録紙のサイズと,複合機X1に実際に供給される記録紙のサイズが食い違う場合があり得る。
【0013】
このような場合,例えば,印刷しようとする画像のサイズが実際に供給された記録紙のサイズより大きい場合には,そのまま感光体1への画像形成が行われてしまうと,記録紙に転写されないトナーの一部が感光体1上に残ることになる。この場合には,残留したトナーが複合機X1やモノクロプリタX2の内部に飛散して,装置内を汚染するという問題につながる。
また,逆に印刷しようとする画像のサイズが実際に供給された記録紙のサイズより小さい場合には,記録紙の一部にしか画像が形成されない,ミスプリントとなる。
【0014】
このような食い違いによる問題を解消する方法として,例えば特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。
上記特許文献1に記載の画像形成装置は,検知された紙サイズと指定紙サイズの一致/不一致のみを基準とせず,ユーザによって,紙サイズ不一致時に画像形成動作を継続するか停止するかの設定を行わせることで,ユーザの使い易い画像形成装置を提供することを目的としたものであり,そのために,給紙された記録紙のサイズを検知し,この検知紙サイズと指定された指定紙サイズとを比較し,両紙サイズの不一致を紙サイズエラーとして検出する。この紙サイズ不一致を無視するか否かはユーザが予め設定しておく。前記紙サイズエラーの検知時に,紙サイズ不一致を無視する設定がなされているときには,画像形成動作を続行し,紙サイズ不一致を無視する設定がなされていないときには,画像形成動作を中止する。紙サイズ不一致を無視して画像形成動作を続行したときは,検知紙サイズの搬送方向長さと前記指定紙サイズの紙搬送方向長さの長い方に合わせて画像形成のスループットを設定するという処理を行うものである。
【0015】
そしてこの特許文献1では,記録紙のサイズを検知する方法として,記録紙のサイズを測るセンサとして記録紙を画像形成部に送り込むタイミングを計るための前記レジストローラ28の手前に設けられたレジストセンサS2を用いている。
しかし,上記のようなレジストセンサS2は,記録紙を転写部に送り込むレジストローラ28の直前に設けられているので,レジストセンサS2で記録紙のサイズが検知された時点では,すでに画像形成の大部分が実行された後であり,その時点で画像形成動作を停止しても中間転写ベルトや感光体への余分なトナーの転写を止めることが出来ない。従って,特許文献1による方法では,用紙サイズの設定ミスによるトナーの飛散を防止することができない。
【0016】
また,特許文献1では,紙サイズ不一致を無視するか否かはユーザが予め設定しておくものであるが,実際には前記のように紙サイズについてユーザが設定したサイズと実際に供給された記録紙のサイズのいずれが大きいかによって,影響が全く異なるので,無視するかどうかを予め設定しておくと実際には装置内のトナーによる汚染を防止することが出来ない場合が生じることになる。
またこのような不都合をなくすために,記録紙のサイズ不一致が検出された場合には,常に記録紙の送りを停止させて,強制的に紙詰まりを生じさせる装置も,実際には存在する。しかしこの場合には,記録紙のサイズの不一致が生じるたびに,ユーザは紙詰まりの処理をしなければならず,ユーザの負担が大きいものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2003−95482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】

従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって,簡単な構成によって記録紙のサイズ不一致が生じた場合でも,紙詰まりを生じさせることなく,従ってユーザの負担を増やすことなく,しかも中間転写ベルトなどの感光体上に不要な残留トナーが残ることによる装置内の汚染が生じることがなく,さらに,記録紙の不一致の形態に応じて適切な処理を行うことが出来る画像形成装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明にかかる画像形成装置は,
画像情報に基づいて感光体上に画像を形成する画像形成部と,
前記画像形成部に供給される記録紙の供給タイミングを生成するレジストローラと,
記録紙を前記画像形成部に供給する給紙部と,
上記給紙部から供給される記録紙の搬送方向長さを検出するために,上記レジストローラ上流側で上記給紙部の近傍に設けられたフィードセンサと,
前記給紙部に供給される記録紙のサイズを入力する記録紙サイズ入力手段と,
を少なくとも備えてなる画像形成装置であって,
前記フィードセンサのオン状態とオフ状態とからフィードセンサを通過する記録紙の搬送方向長さを検出する記録紙長さ検出手段と,
前記記録紙長さ検出手段によって検出された記録紙の長さと,前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さとを比較する記録紙長さ比較手段と,
前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより短いと判断された場合に,前記画像形成部による感光体への画像形成動作を,該画像形成部による副走査方向の画像形成長さが,前記記録紙長さ検出手段による記録紙長さに至る前に停止させる画像形成動作停止手段を備えてなる画像形成装置として構成されている。
このように,本発明にかかる画像形成装置では,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより短い場合においても,該画像形成部による副走査方向の画像形成長さが,前記記録紙長さ検出手段による記録紙長さを越えることがないために,画像転写されない余分なトナーが感光体に残ることがないので,余分なトナーが装置内に飛散すると言った問題が生じないし,また,余分なトナーの消費が押さえられることで,経済性の高い画像形成装置を提供することが出来る。
また,本発明においては,さらに,前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより長いと判断された場合には,前記画像形成部による感光体への画像形成動作を,少なくともそのページの最後まで継続させるように制御することが出来る。この場合には,余分なトナーの飛散と言ったことは生じないので,そのページの最後まで印刷を続行させても,問題は生じない。ただし,この場合には,ユーザが望んだ用紙に所望の画像が形成された訳ではないので,ミスプリントであることには変わりがない。
そこで,上記のように用紙サイズと画像サイズが異なることが判断された場合には,前記操作表示部に,画像形成動作を継続するか否かの問い合わせを表示することが望ましい。問い合わせは,例えば,コメントなどの文章や記号などを表示することで行われる。事前に継続するかどうかの設定をしておくことも考えられるが,それではユーザの意向が無視される場合が生じうるからである。
また,印刷される画像の大きさが多少変更されても,印刷を継続したい場合も多い。そのような場合に,いちいち設定を変更する煩わしさを避けるために,画像の大きさを調整して,印刷を継続出来るようにすることが望ましい。即ち,前記問い合わせに対応して,継続する旨の指示が入力された場合であって,前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより短い場合には,前記画像情報によって表示される画像のサイズを前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さに対応したサイズに縮小すると共に,1ページ目あるいは2ページ目から画像形成部に画像形成を再開させる構成,あるいは,前記問い合わせに対応して,継続する旨の指示が入力された場合であって,前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより長い場合には,前記画像情報によって表示される画像のサイズを前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さに対応したサイズに拡大すると共に,1ページ目あるいは2ページ目から画像形成部に画像形成を再開させる構成が望ましい。
本発明は,画像形成装置一般に適用可能であり,特に,前記画像形成装置が複写機,ファクシミリ,あるいはそれらの複合機について適用可能性が確認される。
【発明の効果】
【0020】
本発明は前記のように構成されているので,記録紙のサイズ不一致が検出された場合にも,常に記録紙の送りを停止させて,強制的に紙詰まりを生じさせることによるユーザの負担を生じさせることがなく,また,中間転写ベルトなどの感光体上に不要な残留トナーが残ることによる装置内の汚染が生じることがなく,さらに,記録紙の不一致の形態に応じて適切な処理を行うことが出来る画像形成装置が提供されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る複合機X1の概略を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機X1やモノクロプリンタX2の制御系統全体を示すブロック図。
【図3】本発明に係る画像形成装置の画像形成動作手順を示すフローチャート。
【図4】本発明に係るモノクロプリンタX2の概略を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下添付図面を参照しながら,本発明の一実施形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0023】
本発明は前記のように複合機X1,モノクロプリンタX2などの画像形成装置に適用可能であるが。ここではモノクロプリンタX2を実施形態として説明する。
このモノクロプリンタX2について従来のモノクロプリンタX2とハードウエアとして異なる点は,図2に示すように給紙ローラ26から出た記録紙を検知するフィードセンサS1からの信号に基づいて,実際に画像形成に供された記録紙のサイズを検出し,その結果に応じて実際の画像形成処理の態様を変更するようにした点である。
また,ソフトウエアとしては,以下に図3を用いて説明するCPU11の手順のように,従来と全く異なる。
【0024】
以下,図3に示されたCPU11の処理手順について説明し,本発明の理解に供する。
ここにS1,S2…は処理手順の識別記号(ステップ番号)である。
このモノクロプリンタX2においては,印字作業に先立って,従来のプリンタと同様,供給される記録紙のサイズがユーザによって設定される(S1)。このような設定は,サイズを設定するダイヤルの操作や,手差しトレーからの記録紙の取り込み時におけるサイズの自動検出機能によって行われる。勿論これにかぎるものではなく,前記操作表示部3から手入力で入力されてもよい。
上記のように,給紙部に供給される記録紙のサイズを入力(設定)するのが,本発明における記録紙サイズ入力手段の一例である。
ただし,ここにおける記録紙の設定あるいは検出は,後述するように実際の記録紙のサイズと相違する可能性を備えたものである。
【0025】
上記のように記録紙のサイズが設定あるいは検出されると,CPU11は,このサイズの記録紙が搬送ローラによって送られる時間(所定1箇所を通過する時間)を,搬送速度と設定あるいは検出された記録紙の搬送方向の長さとから演算する(S2)。この計算結果は,追って使用される。
次に,CPU11は,給紙ローラ26を回転駆動して,給紙トレー20内の記録紙から1枚をフィードセンサS1に向けて送り出しを開始する(S3)。給紙された記録紙は,その先端がやがてフィードセンサS1に検出される(S4)。フィードセンサS1からの検出信号を受けるとCPU11は,タイマTを駆動して計時を開始する(S5)。
【0026】
CPU11は,上記タイマ駆動開始から予め定められた所定時間が経過する(S6においてYES)と,CPU11は,印刷エンジン2に指示を出し,前記したASIC15により露光装置を駆動して感光体1に露光し,PCから送られた画像情報に基づく静電潜像の形成を開始する(S8)。
上記画像形成開始のタイミングは,この例ではフィードセンサS1からの信号を契機としているが,これはレジストローラ28の直前に設けられたレジストセンサS2が記録紙の到着を検出してからでは遅すぎて,すでに1枚の原稿についての画像形成が終わってしまっている可能性があるからである。従って,フィードセンサS1は,これによる記録紙の搬送方向長さの検出が終了した時点で,後記するように画像形成処理を中断しても,余分なトナーが感光体に乗り移らないような場所に設けられていればよい。
【0027】
前記S6においては,フィードセンサS1がOFFになったかどうか,即ち,記録紙がフィードセンサS1を通過したかどうかを判断する(S9)。通過していない場合には処理をS5に戻し,通過するまで待つ。
S9において,フィードセンサS1がOFFになったと判断された場合(S9においてYES)には,上記タイマTの計時時間,即ち記録紙の通過時間から実際に通過した記録紙の搬送方向の実サイズを演算する(S10)。このように,フィードセンサS1のオン状態からオフ状態への変化タイミングからフィードセンサS1を通過する記録紙の搬送方向長さを検出するのが,本発明における記録紙長さ検出手段の一例である。
【0028】
次にCPU11は,上記S10で演算された記録紙の実際のサイズが,S1で設定あるいは入力された想定上のサイズと同じかどうか,即ち設定通りであるか否かを判断する(S11)。ここで設定通りであれば,画像の大きさと記録紙のサイズがユーザの意向通りで問題がないので,印刷をそのページの印刷が終了するまで継続する(S12)。
【0029】
設定通りでないと判断された場合(S11においてNO)には,設定サイズが実測サイズより大きいかどうかを判断する(S13)。このようにフィードセンサS1によって検出された記録紙の長さと,前記記録紙サイズ入力手段によって入力(設定)された記録紙の長さとを比較するのが,本発明における記録紙長さ比較手段の一例である。
ここで実サイズの方が設定サイズより大きい(S13でNO)場合には,上記最初の1枚についての画像形成を最後まで完了(S14)し,前記操作表示部3に,印刷を継続するか否かの問い合わせのメッセージを表示する(S14)。この表示には,継続するか否かを入力するボタンを併せて表示しておく。
この表示に対応して継続する旨を表示するボタンが押された場合(S15でYES)には,実サイズに合わせて画像のサイズを拡大する処理が行われ,上記拡大された画像に基づいて,最初の1枚から,あるいは2枚目から最後の1枚までの画像形成を継続し,排紙する(S16)。
また,S15において印刷を継続しない旨のボタンが押された場合には,上記のように1枚目の印刷だけで印刷処理を終了する(S17)。
【0030】
また,前記S13において,設定サイズが実サイズより大きいと判断された場合(S13においてYES)には,設定サイズから記録紙搬送方向(副走査方向)の画像の長さを演算する(S18)と共に,前記S8においてASICに指示した画像形成部による感光体への画像形成動作を,該画像形成部による副走査方向の画像形成長さが,前記フィードセンサS1による記録紙長さに至る前に停止させる(S19)。
このような検出された記録紙長さ(実サイズ)が前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さ(設定サイズ)より短いと判断された場合に,前記画像形成部による感光体への画像形成動作を,該画像形成部による副走査方向の画像形成長さが,前記記録紙長さ検出手段による記録紙長さに至る前に停止させる上記機能を達成する手段が,本発明における画像形成動作停止手段の一例である。
【0031】
そして,前記操作表示部3に,印刷を継続するか否かの問い合わせを表示する(S20)。問い合わせは,コメントなどの文章や記号を表示することによって行うことが出来るが,これに限定されるものではない。この表示には,継続するか否かを入力するボタンを併せて表示しておく。
この表示に対応して継続する旨を表示するボタンが押された場合(S21でYES)には,実サイズに合わせて画像のサイズを縮小する処理が行われ,上記縮小された画像に基づいて,最初の1枚から,あるいは2枚目から最後の1枚までの画像形成を継続し,排紙する(S22)。また,S21において印刷を継続しない旨のボタンが押された場合(S21においてNO)には,上記のように1枚目の印刷だけで印刷処理を終了する(S17)。
このように記録紙の実サイズを検出し,設定サイズと比較することで,両サイズがことなる場合には,実際の記録紙のサイズに合わせて記憶されている画像のサイズを拡大あるいは縮小することで,サイズは異なるがユーザの所望するきれいな印刷物を,機械を止めることなく,あるいは再設定する手間を必要とすることなく作成することが出来るので,ユーザの負担は著しく軽減されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は以上述べた実施形態によって理解されるものと思われるが,その適用範囲は,全ての画像形成装置を含み,とりわけ,複写機,ファクシミリ,あるいはそれらの複合機については特に,有利に適用される。
【符号の説明】
【0033】
X1 複合機(画像形成装置の一例)
1 制御部
2 印刷エンジン部
3 操作表示部
11 CPU(制御手段の一例)
12 ROM
13 RAM
14 ハードディスク
15 ASIC
S1 フィードセンサ
S2 レジストセンサ
T タイマ
S1,S2… ステップ(処理手順)の識別子



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に基づいて感光体上に画像を形成する画像形成部と,
前記画像形成部に供給される記録紙の供給タイミングを生成するレジストローラと,
記録紙を前記画像形成部に供給する給紙部と,
上記給紙部から供給される記録紙の搬送方向長さを検出するために,上記レジストローラよりも上流側で上記給紙部の近傍に設けられたフィードセンサと,
前記給紙部に供給される記録紙のサイズを入力する記録紙サイズ入力手段と,
を少なくとも備えてなる画像形成装置であって,
前記フィードセンサのオン状態とオフ状態とからフィードセンサを通過する記録紙の搬送方向長さを検出する記録紙長さ検出手段と,
前記記録紙長さ検出手段によって検出された記録紙の長さと,前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さとを比較する記録紙長さ比較手段と,
前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより短いと判断された場合に,前記画像形成部による感光体への画像形成動作を,該画像形成部による副走査方向の画像形成長さが,前記記録紙長さ検出手段による記録紙長さに至る前に停止させる画像形成動作停止手段を備えてなる画像形成装置。
【請求項2】
前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより長いと判断された場合には,前記画像形成部による感光体への画像形成動作を,少なくともそのページの最後まで継続させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
操作表示部をさらに備え,
前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さと異なることが判断された場合に,前記操作表示部に,画像形成動作を継続するか否かの問い合わせを表示する請求項1あるいは2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記問い合わせに対応して,継続する旨の指示が入力された場合であって,前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより短い場合には,前記画像情報によって表示される画像のサイズを前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さに対応したサイズに縮小すると共に,1ページ目あるいは2ページ目から画像形成部に画像形成を再開させる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記問い合わせに対応して,継続する旨の指示が入力された場合であって,前記記録紙長さ比較手段による比較の結果,前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さが前記記録紙サイズ入力手段によって入力された記録紙の長さより長い場合には,前記画像情報によって表示される画像のサイズを前記記録紙長さ検出手段により検出された記録紙長さに対応したサイズに拡大すると共に,1ページ目あるいは2ページ目から画像形成部に画像形成を再開させる請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置が複写機,ファクシミリ,あるいはそれらの複合機である請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−118098(P2012−118098A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264885(P2010−264885)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】