説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置のクリーニング部材での放電の発生を抑制する技術を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、被クリーニング体27と、被クリーニング体上の、少なくとも画像形成部による画像形成の際に生成される付着物Tをクリーニングするクリーニング部材(51,53)と、被クリーニング体27を介してクリーニング部材に対向配置されるバックアップ部材55とを備える。画像形成装置は、また、被クリーニング体27をクリーニングする際に、バックアップ部材55に付着物Tと同極性のクリーニング電圧BCLNを印加する印加部63と、クリーニング電圧BCLNのバックアップ部材55への印加によるクリーニング部材における電気量を検出する検出部66と、検出された電気量を所定値に制御する制御部65を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、詳しくは画像形成装置において不要な付着物を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において不要な付着物を除去する技術として、例えば、特許文献1には、ベルトに付着した不要なトナー(付着物)を除去する技術が開示されている。この技術では、ベルトをクリーニングするために、ベルトと接触するクリーニングローラと、クリーニングローラに付着した現像剤等を回収するクリーニングシャフトとが設けられる。そして、これらクリーニングローラとクリーニングシャフトとで電気的にベルトクリーニングを行うために、クリーニングシャフトに負の高電圧、例えば、−1600V〜−2000Vを印加して、その負電圧が、例えば、−1200V〜−1600Vに降圧されて、クリーニングローラに印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−039452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献の技術では、好適にベルトをクリーニングできるものの、クリーニングローラおよびクリーニングシャフトによって構成され、ベルトの外周側に配置されるクリーニング部材に高電圧が印加される。そのため、例えば、クリーニング部材を保持する画像形成装置のフレーム(通常、グランド電位)と、クリーニングシャフトへの給電部材との間で放電が発生する虞があった。このような放電が発生すると、クリーニング効率を低下させることとなる。
【0005】
本発明は、クリーニング部材での放電の発生を抑制する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される画像形成装置は、被記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、被クリーニング体と、前記被クリーニング体上の、少なくとも前記画像形成部による画像形成の際に生成される付着物をクリーニングするクリーニング部材と、前記被クリーニング体を介して前記クリーニング部材に対向配置されるバックアップ部材と、前記被クリーニング体をクリーニングする際に、前記バックアップ部材に前記付着物と同極性のクリーニング電圧を印加する印加部と、前記クリーニング電圧の前記バックアップ部材への印加による前記クリーニング部材における電気量を検出する検出部と、検出された前記電気量を所定値に制御する制御部とを備える。
【0007】
また、前記検出部は、前記バックアップ部材から前記クリーニング部材に流れるクリーニング電流を前記電気量として検出する電流検出部を有し、前記制御部は、前記クリーニング電流の検出電流値に基づき、前記クリーニング電流が一定となるように前記印加部を定電流制御する構成としてもよい。
【0008】
また、前記電流検出部は、前記クリーニング部材とグランドとの間に設けられる構成としてもよい。
【0009】
また、前記画像形成装置は、感光体と、前記感光体を帯電させる帯電器とをさらに備え、前記印加部は、前記帯電器に前記付着物と同極性の帯電電圧を印加する帯電電圧印加部であり、前記クリーニング電圧は前記帯電電圧を用いて生成される構成としてもよい。
【0010】
また、前記画像形成装置は、前記バックアップ部材と前記クリーニング部材との間を流れるクリーニング電流の電流経路に可変抵抗をさらに備え、前記制御部は、前記可変抵抗を制御することにより、前記クリーニング電流を調整する構成としてもよい。
【0011】
また、前記画像形成装置は、前記帯電電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、前記制御部は、前記帯電電圧の検出電圧値に基づき前記帯電電圧印加部による前記帯電電圧の生成を制御し、前記帯電電圧の増加に応じて前記可変抵抗を増加させるように、また、前記帯電電圧の減少に応じて前記可変抵抗を減少させるように前記可変抵抗を制御することによって、前記クリーニング電流を調整する構成としてもよい。
【0012】
また、前記検出部は、前記クリーニング電流を前記電気量として検出する電流検出部を有し、前記制御部は、検出された前記クリーニング電流に基づき前記可変抵抗を制御することにより、前記クリーニング電流を所定値にフィードバック制御する構成としてもよい。
【0013】
また、前記画像形成装置は、前記帯電電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、前記検出部は、前記クリーニング電流を前記電気量として検出する電流検出部を有し、前記制御部は、検出された前記帯電電圧および前記クリーニング電流に基づき前記バックアップ部材と前記クリーニング部材との間の抵抗を算出し、前記抵抗の増加に応じて前記可変抵抗を減少させるように、また、前記抵抗の減少に応じて前記可変抵抗を増加させるように前記可変抵抗を制御することによって、前記クリーニング電流を調整する構成としてもよい。
【0014】
また、前記クリーニング部材は、前記被クリーニング体を介して前記バックアップ部材に対向配置され、前記被クリーニング体上の付着物をクリーニングする第1クリーニング部材と、前記第1クリーニング部材上の前記付着物をクリーニングする第2クリーニング部材とを含む構成としてもよい。
【0015】
また、前記画像形成装置は、前記第1クリーニング部材と前記第2クリーニング部材との間に所定の電位差を確保する定電位部をさらに備える構成としてもよい。
【0016】
また、前記画像形成装置は、前記被クリーニング体上の付着物をクリーニングする第1クリーニング部材と、第1クリーニング部材上の前記付着物をクリーニングする第2クリーニング部材と、前記バックアップ部材に前記付着物と同極性の電圧を印加する印加部と、前記第1クリーニング部材と前記第2クリーニング部材との間に所定の電位差を確保する定電位部と、前記印加部から前記バックアップ部材へ電力が供給される電力供給ラインと前記定電位部との間に接続される抵抗とを備え、前記検出部は、前記電気量として前記バックアップ部材の電圧を検出する電圧検出部を有し、前記制御部は、検出電圧値が一定となるように前記印加部を定電圧制御する構成としてもよい。
【0017】
また、前記被クリーニング体は、画像形成の際に前記被記録媒体を搬送するベルトであり、前記付着物は、少なくとも、前記画像形成の際に使用される現像剤を含む構成としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被クリーニング体がクリーニングされる際に、バックアップ部材側から付着物と同極性のクリーニング電圧が印加される。そのため、クリーニング部材に印加されるクリーニング電圧を低減させることができ、それによって、クリーニング部材での放電の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略断面図
【図2】クリーニング機構の概略構成図
【図3】実施形態1のクリーニング機構への印加電圧を生成する部分の構成図
【図4】実施形態1のクリーニング処理を示すフローチャート
【図5】実施形態2のクリーニング機構への印加電圧を生成する部分の構成図
【図6】実施形態2のクリーニング処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1〜図4を参照しつつ説明する。
【0021】
1.プリンタの全体構成
図1は、本実施形態のプリンタ1(本発明の「画像形成装置」の一例)の内部構成を表す概略断面図である。以下の説明では、各構成要素について、色毎に区別する場合は各部の符号にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の添え字を付し、区別しない場合は添え字を省略する。
【0022】
プリンタ1は、給紙部3と、画像形成部5と、搬送機構7と、定着部9と、高圧制御装置11を備え、例えば外部から入力される画像データに応じた1または複数色(本実施形態ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)のトナーTからなるトナー像(現像剤像)を、シート材(被記録媒体:用紙、OHPシートなど)15に形成する。更に、プリンタ1は、ベルトクリーニング機構(クリーニング部材の一例)13を備える。
【0023】
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられ、シート材15を収容するトレイ17およびピックアップローラ19を含む。トレイ17に収容されたシート材15は、ピックアップローラ19により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ21,レジストレーションローラ23を介して搬送機構7に送られる。
【0024】
搬送機構7は、シート材15を搬送するためのものである。搬送機構7において、ベルト(被クリーニング体の一例)27が、駆動ローラ29と従動ローラ31との間に架け渡されている。駆動ローラ29が回動すると、ベルト27は、感光体39と対向する側の表面が、図1中の右方向から左方向へ移動する。これにより、レジストレーションローラ23から送られてきたシート材15が、画像形成部5下へと搬送される。また、搬送機構7は、4つの転写ローラ33を含む。ここで、ベルト27の構造は、樹脂材料(熱可塑性エラストマー)からなる無端状の単層構造であり、ベルト27の電気抵抗値は、ほぼ10MΩ〜1GΩの範囲である。
【0025】
画像形成部5は、4個の現像ユニット37Y,37M,37C,37Bを有する。各現像ユニット37は、感光体39、帯電器41、露光装置43およびユニットケース45を含む。
【0026】
感光体39は、例えば、アルミニウム製の基材上に、正帯電性の感光層が形成されたものである。帯電器41は、感光体39の表面を正極性(例えば+700V)に帯電させる。
【0027】
露光装置43は、感光体39の回転軸方向に沿って一列状に並んだ複数の発光素子(例えばLED)を有し、これらの複数の発光素子を、外部より入力される画像データの1色分に応じて発光制御することにより、感光体39の表面に静電潜像を形成する。
【0028】
ユニットケース45は、各色のトナー(本実施形態では、例えば正帯電性のトナー)Tを収納するとともに、現像ローラ47を有する。現像ローラ47が、トナーTを「+」(正極性)に帯電させ、均一な薄層として感光体39上へ供給することにより上記静電潜像を現像してトナー象を形成する。ここで、トナーTの成分は、非磁性一成分である。
【0029】
各転写ローラ33は、各感光体39との間でベルト27を挟む位置に配置されている。各転写ローラ33は、図示しない負電圧の電源により、感光体39との間にトナーTの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されて、感光体39上に形成されたトナー像をシート材15に転写する。その後、シート材15は、搬送機構7により定着部9へと搬送され、この定着部9にてトナー像が熱定着され、プリンタ1の上面に排出される。
【0030】
2.クリーニング機構の構成
図2は、クリーニング機構13の概略的な構成図である。クリーニング機構13は、搬送機構7の下方に設けられ、ベルト27上の付着物を除去する。ここで、付着物は、画像形成部5による画像形成の際に生成されるものであり、例えば、ベルト27に残存したトナーTやシート材の破片(紙粉)などであり、少なくともトナーTを含む。以下、付着物としてトナーTを例に挙げて説明する。
【0031】
クリーニング機構13は、クリーニングローラ(第1クリーニング部材の一例)51、回収ローラ(第2クリーニング部材の一例)53、バックアップローラ(バックアップ部材の一例)55、クリーニングブレード57、および貯留ボックス59を含む。クリーニング機構13は所定のフレーム14によって保持されている。
【0032】
クリーニングローラ51の構造は、ベルト27の幅方向に延びた金属製の軸部材51Aの周囲に単層のシリコーンからなる発泡材が設けられた構造となっている。発泡材の電気抵抗値は、ほぼ100kΩ〜1GΩの範囲である。
【0033】
バックアップローラ55は、金属製であって、クリーニングローラ51との間でベルト27を挟んで対向するように配置されていると共に、ベルトクリーニング電圧(クリーニング電圧の一例)BCLNが印加される。ベルトクリーニング電圧BCLNは、正極性であり、正極性に帯電したトナー(付着物の一例)Tの極性と同極性である。なお、これに限られず、負極性に帯電したトナーが使用される場合には、ベルトクリーニング電圧BCLNは負極性であってもよい。要は、バックアップローラ55に印加されるクリーニング電圧BCLNの極性は、付着物の極性と同一とされる。
【0034】
クリーニングローラ51は、ベルト27に接触しながら、その接触部分においてベルト27とは反対方向に移動するように回転駆動される。そして、バックアップローラ55に、例えば1600Vのベルトクリーニング電圧BCLNが印加されると、ベルト27に付着したトナーTを電気的反発力によってクリーニングローラ51に付着させ、ベルト27表面をクリーニングすることができる。なお、ここで、クリーニングローラ51と接するベルト27表面の電圧は、およそ1kVとなる。
【0035】
また、回収ローラ(クリーニングシャフト)53は、金属製(例えば、鉄材にNiメッキが施された構成、あるいはステンレス材からなる構成等)であって、クリーニングローラ51に接触している。クリーニングローラ51と接する部分の回収ローラ53の電圧は、およそ0Vとなる。そのため、クリーニングローラ51に付着したトナーTは回収ローラ53に電気的に移動し、当該トナーTを回収することができる。
【0036】
クリーニングブレード57は、例えばゴム製であって、回収ローラ53に当接しており、回収ローラ53に付着しているトナーTを掻き取る。掻き取られたトナーTは貯留ボックス59に貯留される。
【0037】
3.高圧制御装置の構成
高圧制御装置11は、帯電器41、転写ローラ33、現像ローラ47、帯電器41、クリーニング機構13など、プリンタ1に備えられた各電気的負荷への印加電圧を生成する。
【0038】
図3は、高圧制御装置11のうち、クリーニング機構13への印加電圧を生成する構成部分が図示されている。高圧制御装置11は、印加回路(印加部の一例)63、例えばCPUによって構成されるPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御回路(制御部の一例)65、クリーニング電流検出抵抗(検出部、電流検出部の一例)66を含む。なお、PWM制御回路(以下「CPU」と記す)65は、特定用途向け集積回路(ASIC)として構成されたものでもよいし、個別の回路で構成されてもよい。
【0039】
印加回路63は、バックアップローラ55に印加するベルトクリーニング電圧BCLNを生成する電源回路であり、トランスドライブ回路71および昇圧・平滑整流回路72を含む。
【0040】
トランスドライブ回路71は、CPU65のPWM出力ポートからのPWM信号S1を受けて、受けたPWM信号S1に基づき、昇圧・平滑整流回路72の1次側巻線77aに発振電流を流すよう構成されている。
【0041】
昇圧・平滑整流回路72は、トランス77、ダイオード79、平滑コンデンサ81などを含む。トランス77は、1次側巻線77a、2次側巻線77bを含み、2次側巻線77bの一端は、ダイオード79を介してバックアップローラ55に電気的に接続される。また、平滑コンデンサ81および放電抵抗83がそれぞれ2次側巻線77bに並列に接続されている。このような構成により、1次側巻線77aの発振電圧が、昇圧・平滑整流回路72にて昇圧および整流され、バックアップローラ55にベルトクリーニング電圧(以下、単に「クリーニング電圧」という)BCLNとして印加される。
【0042】
また、クリーニング電流検出抵抗(以下単に「電流検出抵抗」という)66は、クリーニング部材とグランドとの間に設けられる。電流検出抵抗66は、クリーニング電圧BCLNの印加によってバックアップローラ55からクリーニングローラ51および回収ローラ53を介してグランドに流れるクリーニング電流(電気量)Icを検出する。この場合、電流検出抵抗66は、バックアップローラ55に印加したクリーニング電圧BCLNにより、ベルト27以外への漏れ電流を除いて、ベルト27およびクリーニング部材(51,53)を介してグランドに流れた電流、すなわち、クリーニングに寄与した電流のみをクリーニング電流Icとして検出できる。
【0043】
CPU65は、電流検出抵抗66によるクリーニング電流Icの検出信号Sicに基づき、クリーニング電流Icが所定の一定値となるように印加回路63を定電流制御する。すなわち、クリーニング電流Icが所定値となるように、PWM信号S1を生成し、PWM信号S1によって印加回路63の出力電圧BCLNを制御する。
【0044】
高圧制御装置11はさらに、クリーニングローラ51と回収ローラ53との間に所定の電位差を確保するツェナーダイオード(定電位部の一例)67を含む。ツェナーダイオード67のアノードは回収ローラ53および電流検出抵抗66に接続され、ツェナーダイオード67のカソードはクリーニングローラ51の軸部材51Aに接続される。ツェナーダイオード67は、軸部材51Aと回収ローラ53との電位差を、所定のツェナー電圧Vz、例えば400Vに維持する。
【0045】
そのため、クリーニングローラ51と回収ローラ53との間の電位差を確保することができる。その結果、本実施形態のように、ベルト27上のトナーTを、二段階で除去する場合に、クリーニングローラ51から回収ローラ53へ付着物の移動を好適に行える。また、クリーニングローラ51と回収ローラ53との間が過電圧となることも保護される。
【0046】
4.ベルトクリーニング処理
次に、図4を参照して、実施形態1におけるベルトクリーニング処理を説明する。詳しくは、ベルトクリーニングの際の、クリーニング電流Icを所定範囲に制御する、クリーニング電流Icの定電流制御について説明する。図4は、実施形態1におけるベルトクリーニング処理を示すフローチャートである。ベルトクリーニング処理は、所定のプログラムにしたがって、CPU65によって実行される。
【0047】
例えば、プリンタ1に電源が投入されると、CPU65は、印加回路63を起動させてクリーニング電圧BCLNを生成させ、クリーニング電圧BCLNをバックアップローラ55に印加する(ステップS110)。次いで、CPU65は、電流検出抵抗66の検出信号Sicからクリーニング電流Icを取得する(ステップS120)。詳しくは、検出信号(電圧値)Sicを電流検出抵抗66の抵抗値によって除算することによってクリーニング電流Icを取得する。
【0048】
次いで、クリーニング電圧BCLNの印加停止命令があったかどうか、すなわち、クリーニング動作の停止命令があったかどうかを判定する(ステップS130)。停止命令は、例えば、クリーニング動作開始からの時間が所定時間経過することによって行われる。停止命令があったと判定された場合は(ステップS130:YES)、印加回路63によるクリーニング電圧BCLNの生成を停止させる(ステップS140)。
【0049】
一方、停止命令がなかったと判定された場合(ステップS130:NO)、クリーニング電流Icが目標範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS150)。目標範囲内にあると判定された場合(ステップS150:YES)、ステップS120の処理に戻り、目標範囲内にないと判定された場合(ステップS150:NO)、クリーニング電流Icが目標範囲より大きいかどうかを判定する(ステップS160)。
【0050】
クリーニング電流Icが目標範囲より大きくないと判定された場合、すなわち、クリーニング電流Icが目標範囲の最低値未満であると判定された場合(ステップS160:NO)、PWM信号S1のデューティ比を所定量増加させる(ステップS170)。一方、クリーニング電流Icが目標範囲より大きい判定された場合、すなわち、クリーニング電流Icが目標範囲の最大値より大きいと判定された場合(ステップS160:YES)、PWM信号S1のデューティ比を所定量減少させる(ステップS180)。
【0051】
このように、実施形態1では、PWM信号S1のデューティ比を制御することによって、クリーニング電流Icが所定範囲に定電流制御される。そのため、所定範囲を適宜設定することによって、トナーTのクリーニング機構13への移行量を制御しやすくなる。その結果、クリーニング機構13のクリーニング性能を維持しやすくなる。
【0052】
5.実施形態1の効果
ベルト27がクリーニングされる際に、バックアップローラ55からトナーTと同極性のクリーニング電圧BCLNが印加される。そのため、クリーニングローラ51および回収ローラ53に印加されるクリーニング電圧BCLNを低減させることができ、それによって、クリーニング部材での放電、例えば、クリーニング機構13からフレーム14への放電の発生を好適に抑制することができる。
【0053】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図5および図6を参照しつつ説明する。なお、以下では、実施形態1との相違点のみを説明し、実施形態1と同一構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0054】
6.実施形態2の構成
図5に示されるように、大きくは、実施形態2においては、クリーニング電圧BCLNが帯電電圧CHGを用いて生成される点が、実施形態1と異なる。ここでは、帯電電圧CHGを分圧抵抗69によって分圧することによってクリーニング電圧BCLNが生成される。
【0055】
すなわち、実施形態2においては、実施形態1の印加回路63は、帯電器41にトナーTと同極性である正同極の帯電電圧CHGを印加する帯電電圧印加回路63Aに相当する。
【0056】
帯電電圧印加回路63Aのトランス77は、帯電電圧CHGに応じた電圧を生成する一次補助巻き線77cを有する。また、帯電電圧印加回路63Aは、一次補助巻き線77cの生成電圧に基づいて、帯電電圧CHGを検出する出力電圧検出回路(電圧検出部の一例)73を含む。CPU65は、出力電圧検出回路73による帯電電圧の検出電圧値(出力検出信号)Soに基づき帯電電圧印加回路63Aによる帯電電圧CHGの生成を制御する。具体的には、出力検出信号Soに基づきPWM信号S1のデューティ比を変更して、帯電電圧CHGの生成を制御する。
【0057】
また、実施形態2の高圧制御装置11Aは、バックアップローラ55とクリーニング部材51、53との間を流れるクリーニング電流Icの電流経路に可変抵抗68をさらに含む。具体的には、可変抵抗68は、フォトカプラPC1とトランジスタQ1とによって構成され、回収ローラ53と電流検出抵抗66との間に接続される。なお、可変抵抗68の構成はこれに限られない。例えば、デジタル可変抵抗(デジタルポテンショメータ)であってもよい。
【0058】
ここでは、フォトカプラPC1によってトランジスタQ1のベース電流が可変されることによってコレクタ−エミッタ間の抵抗が可変される。その際、CPU65は、可変抵抗68の抵抗値を、PWM信号S2によってフォトカプラPC1を制御することにより可変抵抗68の抵抗値を可変し、クリーニング電流Icを調整する。このように、可変抵抗68を設けたことにより、帯電電圧印加回路63Aからの帯電電圧CHGをクリーニングに適したクリーニング電圧BCLNまたはクリーニング電流Icに好適に調整できる。
【0059】
具体的には、CPU65は、帯電電圧CHGの増加に応じて可変抵抗68を増加させるように、また、帯電電圧CHGの減少に応じて可変抵抗68を減少させるように可変抵抗68を制御することによって、クリーニング電流Icを調整する。具体的には、CPU65は、AD入力ポート1に入力される電流検出信号Sicに基づきPWM信号S2のデューティ比を変更して、可変抵抗68の抵抗値を変更する。
【0060】
すなわち、CPU65は、検出されたクリーニング電流Icに基づき可変抵抗68を制御することにより、クリーニング電流Icを所定値にフィードバック制御する。
【0061】
7.実施形態2におけるベルトクリーニング処理
次に、図6を参照して、実施形態2におけるベルトクリーニング処理を説明する。図6は、実施形態2におけるベルトクリーニング処理を示すフローチャートである。ベルトクリーニング処理は、実施形態1と同様に所定のプログラムにしたがって、CPU65によって実行される。なお、実施形態1と同様の処理は図4と同一のステップ番号を符し、その説明を省略する。
【0062】
例えば、プリンタ1に電源が投入されると、CPU65は、帯電電圧印加回路63Aを起動させて帯電電圧CHGを生成させ、分圧抵抗69によって分圧されて生成されたクリーニング電圧BCLNをバックアップローラ55に印加する(ステップS210)。その際、例えば、PWM信号S2のデューティ比を最小に設定し、可変抵抗68の抵抗値を最大に設定する(ステップS220)。
【0063】
次いで、帯電電圧CHGの停止命令があったと判定された場合は(ステップS230:YES)、帯電電圧印加回路63Aによる帯電電圧CHGおよびクリーニング電圧BCLNの生成を停止させる(ステップS240)。
【0064】
一方、停止命令がなかったと判定された場合(ステップS230:NO)において、クリーニング電流Icが目標範囲より大きくないと判定された場合、すなわち、クリーニング電流Icが目標範囲の最低値未満であると判定された場合(ステップS160:NO)、PWM信号S2のデューティ比を所定量増加させる(ステップS250)。一方、クリーニング電流Icが目標範囲より大きい判定された場合、すなわち、クリーニング電流Icが目標範囲の最大値より大きいと判定された場合(ステップS160:YES)、PWM信号S2のデューティ比を所定量減少させる(ステップS260)。
【0065】
このように、実施形態2では、帯電電圧CHGが定電圧制御される場合であっても、PWM信号S2のデューティ比を制御することによって、クリーニング電流Icが所定範囲に定電流制御される。そのため、所定範囲を適宜設定することによって、トナーTのクリーニング機構13への移行量を制御しやすくなる。その結果、クリーニング機構13のクリーニング性能を維持しやすくなる。
【0066】
8.実施形態2の効果
クリーニング電圧BCLNが、帯電電圧印加回路63Aによって生成される帯電電圧CHGから生成される。そのため、クリーニング機構(クリーニング部材)13にクリーニング電圧BCLNを印加するために専用の印加回路を別途設ける必要が無くなる。すなわち、ベルト27をクリーニングするための構成を簡略化することができ、ひいてはプリンタ1の構成を簡略化することができる。
【0067】
その際、帯電電圧CHGが定電圧制御される場合であっても、可変抵抗68を制御することによりクリーニング電流Icが所定の電流範囲に定電流制御される。そのため、クリーニング機構13の所定のクリーニング性能を維持できる。
【0068】
なお、CPU65は、検出された帯電電圧CHGおよびクリーニング電流Icに基づきバックアップローラ55とクリーニング部材との間の抵抗Rbs、すなわち、バックアップローラ55から回収ローラ53までの抵抗Rbsを算出する。そして、抵抗Rbsの増加に応じて可変抵抗68を減少させるように、また、抵抗の減少に応じて可変抵抗68を増加させるように可変抵抗68を制御することによって、クリーニング電流Icを調整するようにしてもよい。
【0069】
その際、例えば、可変抵抗68の値をほぼゼロΩにして、抵抗Rbsを算出する。電流検出抵抗66の抵抗値をR66とし、分圧抵抗69の抵抗値をR69とすると、抵抗Rbsは、下式、
Rbs=CHG/Ic−R66−R69
によって算出される。この場合、環境等によって、抵抗値Rbsが変化する場合であっても、クリーニング電流Icのバラつきを好適に抑制できる。
【0070】
また、帯電電圧印加回路63Aによる帯電電圧CHGの生成によって、感光体39の帯電動作とベルトクリーニング動作とを同時に行うようにしてもよいし、それぞれ異なるタイミングで行える構成を設けて、それぞれ異なるタイミングで行うようにしてもよい。
【0071】
また、電圧検出回路(電圧検出部)73は必ずしも必要ではない。すなわち、帯電電圧CHGを検出し、帯電電圧CHGの変化に応じて可変抵抗68を変化させる上記制御は省略されてもよい。要は、少なくとも、クリーニング電圧BCLNが帯電電圧CHGを用いて生成されればよい。
【0072】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0073】
(1)上記各実施形態では、クリーニング部材がクリーニングローラ(第1クリーニング部材)51と回収ローラ(第2クリーニング部材)53とによって構成され、ベルト(被クリーニング体)上のトナー(付着物)を二段階で除去する例を示したが、これに限られない。クリーニング部材が単一の部材で構成される場合であってもよい。
【0074】
(2)上記各実施形態において、印加部(63,63A)からバックアップローラ55へ電力が供給される電力供給ラインとツェナーダイオード67(定電位部)との間に接続される抵抗R(図1参照)と、バックアップローラ55の電圧(電気量に相当)を検出する電圧検出部(例えば、クリーニング電圧BCLNを分圧する分圧抵抗)とを設ける。そして、CPU65は、電圧検出部の検出電圧値(分圧値)が一定となるように印加部を定電圧制御するようにしてもよい。この場合、定電圧制御において、クリーニングローラ51(詳しくは、ローラ軸51A)と回収ローラ53との間の電位差をツェナーダイオード67によって確実に確保することができ、回収ローラ53のクリーニング性能を維持できる。
【0075】
(3)上記各実施形態においては、被クリーニング体をベルト27とする例を示したがこれに限られず、本発明は、被クリーニング体を感光体39とする場合にも適用できる。その場合、バックアップ部材は、感光体の中心軸となる。
【符号の説明】
【0076】
1…プリンタ
27…ベルト
51…クリーニングローラ
53…回収ローラ
55…バックアップローラ
63…印加回路
63A…帯電電圧印加回路
65…CPU
66…クリーニング電流検出抵抗
67…ツェナーダイオード
68…可変抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、
被クリーニング体と、
前記被クリーニング体上の、少なくとも前記画像形成部による画像形成の際に生成される付着物をクリーニングするクリーニング部材と、
前記被クリーニング体を介して前記クリーニング部材に対向配置されるバックアップ部材と、
前記被クリーニング体をクリーニングする際に、前記バックアップ部材に前記付着物と同極性のクリーニング電圧を印加する印加部と、
前記クリーニング電圧の前記バックアップ部材への印加による前記クリーニング部材における電気量を検出する検出部と、
検出された前記電気量を所定値に制御する制御部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記検出部は、前記バックアップ部材から前記クリーニング部材に流れるクリーニング電流を前記電気量として検出する電流検出部を有し、
前記制御部は、前記クリーニング電流の検出電流値に基づき、前記クリーニング電流が一定となるように前記印加部を定電流制御する、画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記電流検出部は、前記クリーニング部材とグランドとの間に設けられる、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
感光体と、
前記感光体を帯電させる帯電器とをさらに備え、
前記印加部は、前記帯電器に前記付着物と同極性の帯電電圧を印加する帯電電圧印加部であり、
前記クリーニング電圧は前記帯電電圧を用いて生成される、画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記バックアップ部材と前記クリーニング部材との間を流れるクリーニング電流の電流経路に可変抵抗をさらに備え、
前記制御部は、前記可変抵抗を制御することにより、前記クリーニング電流を調整する、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記帯電電圧を検出する電圧検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記帯電電圧の検出電圧値に基づき前記帯電電圧印加部による前記帯電電圧の生成を制御し、前記帯電電圧の増加に応じて前記可変抵抗を増加させるように、また、前記帯電電圧の減少に応じて前記可変抵抗を減少させるように前記可変抵抗を制御することによって、前記クリーニング電流を調整する、画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記検出部は、前記クリーニング電流を前記電気量として検出する電流検出部を有し、
前記制御部は、検出された前記クリーニング電流に基づき前記可変抵抗を制御することにより、前記クリーニング電流を所定値にフィードバック制御する、画像形成装置。
【請求項8】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記帯電電圧を検出する電圧検出部をさらに備え
前記検出部は、前記クリーニング電流を前記電気量として検出する電流検出部を有し、
前記制御部は、検出された前記帯電電圧および前記クリーニング電流に基づき前記バックアップ部材と前記クリーニング部材との間の抵抗を算出し、前記抵抗の増加に応じて前記可変抵抗を減少させるように、また、前記抵抗の減少に応じて前記可変抵抗を増加させるように前記可変抵抗を制御することによって、前記クリーニング電流を調整する、画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記クリーニング部材は、
前記被クリーニング体を介して前記バックアップ部材に対向配置され、前記被クリーニング体上の付着物をクリーニングする第1クリーニング部材と、
前記第1クリーニング部材上の前記付着物をクリーニングする第2クリーニング部材とを含む、画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において
前記第1クリーニング部材と前記第2クリーニング部材との間に所定の電位差を確保する定電位部をさらに備える、画像形成装置。
【請求項11】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記被クリーニング体上の付着物をクリーニングする第1クリーニング部材と、
第1クリーニング部材上の前記付着物をクリーニングする第2クリーニング部材と、
前記バックアップ部材に前記付着物と同極性の電圧を印加する印加部と、
前記第1クリーニング部材と前記第2クリーニング部材との間に所定の電位差を確保する定電位部と、
前記印加部から前記バックアップ部材へ電力が供給される電力供給ラインと前記定電位部との間に接続される抵抗とを備え、
前記検出部は、前記電気量として前記バックアップ部材の電圧を検出する電圧検出部を有し、
前記制御部は、検出電圧値が一定となるように前記印加部を定電圧制御する、画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記被クリーニング体は、画像形成の際に前記被記録媒体を搬送するベルトであり、
前記付着物は、少なくとも、前記画像形成の際に使用される現像剤を含む、画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−118254(P2012−118254A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267323(P2010−267323)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】