説明

画像形成装置

【課題】ヘッドタンクからヘッドへの供給経路中に設けたフィルタ部材の上流側面や下流側面への気泡の付着残留を低減する。
【解決手段】ヘッドタンク29は、タンクケース210内にメインタンクから供給されるインクを収容するフィルタ上流室としての液体収容部211が設けられ、液体収容部211の下部にインクの異物を除去するフィルタ部材212が垂直方向に配設され、フィルタ部材の下流側室から記録ヘッド24の供給路205に連通する供給路215が設けられ、ヘッドタンク29の下流側室からの供給路215及び記録ヘッド24の供給路205は斜め上方向に向かって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
ところで、液体吐出方式の画像形成装置において、液体吐出ヘッド内に異物や気泡が混入すると、滴噴射曲がりや滴吐出不良が発生することになるため、例えば、記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンク(サブタンク)からフィルタ部材を介して記録ヘッドにインクを供給することが行われている。
【0005】
例えば、記録ヘッドの加圧液室内に存在する気泡や増粘したインク等を除去するために複数の流路とフィルタ及び還流路を設けるもの(特許文献1)、インク供給チューブを介してインクカートリッジのインクを、フィルタを収容したヘッドタンクユニットに供給し、ヘッドタンクユニットから記録ヘッドにインクを供給して印刷を行ない、ヘッドタンクユニットを、フィルタを水平状態と垂直状態にセットできるように回動可能に設けたもの(特許文献2)などがある。
【0006】
また、従来の画像形成装置として、記録ヘッドのノズル面を垂直方向に配設して、水平方向に液滴を吐出する構成としたものが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006‐68904号公報
【特許文献2】特開平11−105300号公報
【特許文献3】特許第3589238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したように記録ヘッドのノズル面を垂直に配設して水平方向に液滴を吐出させる水平打ち方式の画像形成装置にあっては、ヘッドタンクの垂直方向中央部から記録ヘッドにフィルタ部材を介し液体を供給する構成としているため、ヘッドタンク内に流入した気泡がフィルタ部材に付着すると、液体がフィルタ部材を通過できなくなり、初期充填不良が発生し、あるいは、記録ヘッド側への液体供給が間に合わなくなって吐出不良を生じることになる。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、フィルタ部材への気泡の付着残留を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記ヘッドタンクの前記液体を収容すると前記記録ヘッドとの間に設けられたフィルタ部材と、を備え、
前記記録ヘッドはノズル面が垂直方向に向けて配設されて、水平方向に液滴を吐出し、
前記ヘッドタンクの前記液体収容部の下部に、前記フィルタ部材が垂直方向に配設され、
前記フィルタ部材の下流側から前記記録ヘッドに前記液体を供給する流路は上方に向かって傾斜して設けられている
構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る画像形成装置によれば、記録ヘッドはノズル面が垂直方向に向けて配設されて、水平方向に液滴を吐出し、ヘッドタンクの液体収容部の下部に、フィルタ部材が垂直方向に配設され、フィルタ部材の下流側から記録ヘッドに液体を供給する流路は上方に向かって傾斜して設けられている構成としたので、フィルタ部材に付着する気泡が浮力で上昇してフィルタ部材に残留することが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図2】図1を矢示A方向から見た説明図である。
【図3】記録ヘッドの説明図である。
【図4】同装置のインク供給排出系の模式的説明図である。
【図5】同じくヘッドユニットのフィルタ上流側の模式的側面説明図である。
【図6】同じくヘッドユニットのフィルタ上流側の模式的側面説明図である。
【図7】同じくヘッドタンクの正断面説明図である。
【図8】初期充填動作の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の側面説明図、図2は図1を矢示A方向から見た説明図である。
【0014】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側に被記録媒体である用紙10を積載可能な給紙トレイ(給紙カセットを含み、給紙部の意味で使用する。)4を備え、この給紙トレイ4から給紙される用紙10を取り込み、搬送機構5によって用紙10を垂直方向(鉛直方向に沿う方向)に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって水平方向に液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6を通じて画像が形成された用紙10を更に上方向に搬送して、装置本体の上方側に設けられた排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0015】
また、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、排紙部6から反転部8内に用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を逆方向(下方向)に搬送しながら反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構5に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0016】
ここで、画像形成部2は、左右の側板101L、101R間に横架した主ガイド部材21及び従ガイド部材22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、主走査モータ25によって、駆動プーリ26と従動プーリ27間に渡したタイミングベルト28を介して主走査方向に移動走査する。
【0017】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは上記のとおり「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を水平方向に向けて装着している。つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向に配置され、水平方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッド24を備える水平打ち方式を採用している。
【0018】
記録ヘッド24は、図3に示すように、それぞれ複数の液滴を吐出するノズル201が列設された2つのノズル列Na、Nbを有し、記録ヘッド24aの一方のノズル列Naはイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列Nbはマゼンタ(Y)の液滴を、記録ヘッド24bの一方のノズル列Naはブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0019】
なお、記録ヘッド24を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ23には、インクと反応することでインクの定着性を高める定着液を吐出する液体吐出ヘッドなども搭載できる。
【0020】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24の各ノズル列Na、Nbに対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)30から供給チューブ31を介してインクが供給される。
【0021】
また、キャリッジ23の主走査方向に沿って両側板101L、101R間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール121を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール121のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ122を設け、これらのエンコーダスケール121とエンコーダセンサ122によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)123を構成している。
【0022】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズル124bの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。この維持回復機構9には、記録ヘッド24の各ノズル面202(図3参照)をキャピングするための吸引キャップ92A及び保湿キャップ92B(区別しないときは「キャップ92」という。)と、ノズル面202をワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)93が保持され、また増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け94などを備えている。吸引キャップ92Aには吸引手段としての吸引ポンプ96が接続され、吸引ポンプ96は廃液タンク97に通じている。
【0023】
給紙トレイ4の用紙10は、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙され、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込まれ、搬送ベルト51に吸着されて搬送される。
【0024】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持するプラテン部材55となどを有している。
【0025】
搬送ベルト51は、副走査モータ151によってタイミングベルト152及びタイミングプーリ153を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、ベルト搬送方向(副走査方向、用紙搬送方向)に周回移動する。この搬送ベルト51のうち、画像形成部2に対向して用紙10を吸着する搬送ローラ52から従動ローラ53までの領域を正搬送部分51aとし、従動ローラ53から搬送ローラ52までの領域を逆搬送部分51bという。
【0026】
また、搬送ローラ52の軸52aにはコードホイール154を取り付け、このコードホイール154に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ155を設けて、これらのコードホイール154とエンコーダセンサ155によって搬送ベルト51の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)156を構成している。
【0027】
排紙部6は、排紙ガイド部材61と、排紙搬送ローラ62及び拍車63と、排紙ローラ64及び拍車65とが配置され、画像が形成された用紙10を排紙ローラ64及び拍車65間から排紙トレイ7上にフェイスダウンで排紙する。
【0028】
また、反転部8は、排紙トレイ7に一部を排出した用紙10をスイッチバック方式で反転して搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込むため、排紙経路と反転経路を切り替える切替爪81と、反転ガイド部材82と、反転ローラ83及び反転コロである拍車84と、従動ローラ53に対向する従動補助ローラ85と、搬送ベルト51の逆送部分51bと、搬送ベルト51の逆送部分51bから分離された用紙10を、帯電ローラ54を迂回させて、搬送ベルト51と押えコロ48との間に案内する迂回ガイド部材86などを備えている。
【0029】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ4から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が垂直方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0030】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ92aによるキャッピングを行ってノズル124bからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0031】
また、両面印刷を行う場合には、第1面印刷は上述したとおりの動作を行い、用紙10の後端が反転部分岐(切替爪81)を通過すると、排紙ローラ64が反転駆動されて用紙10がスイッチバックされ、反転ガイド部材82側に案内され、反転ローラ83と拍車84の間で搬送され、搬送ベルト51の逆搬送部分51bと搬送補助ローラ85との間へと用紙10が送り込まれる。
【0032】
これにより、用紙10は搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって搬送され、搬送ローラ52側で搬送ベルト51から分離されて、迂回ガイド部材86で案内され(迂回パスを経由し)、再度搬送ベルト51の正搬送部分51aと押圧コロ48との間に送り込まれて搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0033】
ここで、帯電ローラ54は、反転時の迂回パスの内側(迂回ガイド部材86の内側)に配置されているため、用紙10は常に新規に帯電された状態の搬送ベルト51上に吸着されることになる。
【0034】
次に、この画像形成装置のインク供給排出系について図4の模式的説明図を参照して説明する。
メインタンク(インクカートリッジ)11は、記録ヘッド24から吐出されるインクが収容され、装置本体に対して着脱自在に装着される。メインタンク11とヘッドタンク29との間は供給チューブ(供給経路)12を介して接続され、供給経路12には可逆型ポンプからなる供給ポンプ13が設けられている。供給ポンプ13は、例えば正転時にはメインタンク11からヘッドタンク29に向けてインクが供給され、逆転時にはヘッドタンク29からメインタンク11に向けてインクが戻される。
【0035】
記録ヘッド24とヘッドタンク29とはヘッドユニット100として一体化されている。記録ヘッド24にはヘッドタンク29から共通液室214にインクが供給され、共通液室214から個別液室213にインクが供給され、個別液室213内のインクが加圧されてノズル201から液滴が吐出される。上述した供給ポンプ13を逆転してヘッドタンク29側からメインタンク11側にインクを戻すことによって、ヘッドタンク29に負圧が形成される。
【0036】
一方、記録ヘッド24のノズル面124をキャッピングする吸引キャップ92aは、記録ヘッド24に合わせて垂直方向に配置され、図示しないキャップ移動機構によって記録ヘッド24に対して進退される。
【0037】
吸引キャップ92aは、高さ方向で底面192aに排出口(吸引口)190が設けられ、この吸引口190には廃液タンク97に通じる排出経路191が接続され、排出経路191に吸引ポンプ96が設けられている。また、吸引キャップ92aの高さ方向で上部には大気開放口192が設けられ、大気開放口192にはキャッピング時に形成されるキャップ内空間194を大気に通じる大気開放経路193が接続され、大気開放経路193を開閉する大気開放弁98が設けられている。また、吸引キャップ92a内には、液体を吸収する吸収部材99が配設されている。
【0038】
次に、本発明の実施形態における記録ヘッド及びヘッドタンクを一体にしたヘッドユニットについて図5ないし図7を参照して説明する。なお、図5はフィルタ部材の上流側の側面説明図、図6はフィルタ部材の下流側の側面説明図、図7はヘッドタンクの正断面説明図である。なお、ここでは、1つの色のインクに係わる部分で説明する。
ヘッドユニット100は、前述したように、液滴を吐出する記録ヘッド24と、ヘッド24に供給するインクを収容する液体収容タンクとしてのヘッドタンク29とを一体にしたものである。
【0039】
記録ヘッド24は、前述したように液滴を吐出する複数のノズル201と、各ノズル201が連通する個別液室203と、各液室203にインクを供給する共通液室204とを有し、共通液室204にはヘッドタンク29からの供給路205が設けられている。
【0040】
ヘッドタンク29は、タンクケース210内にメインタンク11から供給されるインクを収容するフィルタ上流室としての液体収容部211が設けられ、液体収容部211の下部にインクの異物を除去するフィルタ部材212が垂直方向に配設され、フィルタ部材212の下流側室213の上部から記録ヘッド24の供給路205に連通する供給路215が設けられている。
【0041】
ここで、ヘッドタンク29の下流側室213からの供給路215及び記録ヘッド24の供給路205で構成される供給経路は、全体として、上方に向かって傾斜して(斜め上方向に向かって)形成されている。
【0042】
このように構成したので、ヘッドタンク29の液体収容部212に流入し、あるいは、発生した気泡は、浮力によって上昇し、フィルタ部材212の上流側面への気泡の付着が低減する。また、フィルタ部材214を通過した気泡は、供給路215及び供給路205が斜め上方向に向かって形成されていることから、同様に浮力によって上昇して記録ヘッド29の共通液室204側に移動し、フィルタ部材212の下流側面への気泡の付着が低減する。なお、記録ヘッド24側に移動した気泡は気泡排出動作(維持回復動作など)でノズル201から排出される。
【0043】
このように、記録ヘッドはノズル面が垂直方向に向けて配設されて、水平方向に液滴を吐出し、ヘッドタンクの液体収容部の下部にフィルタ部材が垂直方向に配設され、フィルタ部材の下流側から記録ヘッドに液体を供給する流路は上方に向かって傾斜して設けられている構成とすることで、フィルタ部材に付着する気泡が浮力で上昇してフィルタ部材に残留することが低減し、吐出不良や供給不足が低減して、安定した滴吐出を行なうことができる。
【0044】
次に、このヘッドユニット100に対するインクの初期充填動作について図8のフロー図を参照して説明する。
まず、ヘッドタンク29の図示しない大気開放弁を開いてメインタンク11からヘッドタンク29にインクの充填を開始し、ヘッドタンク29の図示しない液面検知手段によってニアー満タンが検知されるとインク充填を停止する。
【0045】
その後、吸引キャップ92Aで記録ヘッド24のノズル面201をキャッピングし、吸引ポンプ96を駆動して、所定の吸引圧で、所定の吸引時間、吸引を行なう。これにより、ヘッドタンク29から記録ヘッド24にインクが吸引供給されて記録ヘッド24内に充填される。
【0046】
そして、所定の吸引回数が完了した後、ヘッドタンク29の大気開放弁を閉じて、吸引キャップ92Aを記録ヘッド24のノズル面から離間し(デキャップして)、ノズル面202をワイピングし、空吐出動作を行なって、初期充填を終了する。
【0047】
なお、上記実施形態では、上記実施形態ではシリアル型画像形成装置で説明しているが、ライン型画像形成装置にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構
6 排紙部
7 排紙トレイ
8 反転部
9 維持回復機構
10 用紙(被記録媒体)
11 メインタンク
12 供給経路
13 供給ポンプ
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
29 ヘッドタンク
51 搬送ベルト
92a 吸引キャップ
93 ワイパ部材
96 吸引ポンプ
204 共通液室
205 供給路
211 液体収容部
212 フィルタ部材
215 供給路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するヘッドタンクと、
前記ヘッドタンクの前記液体を収容する液体収容部と前記記録ヘッドとの間に設けられたフィルタ部材と、を備え、
前記記録ヘッドはノズル面が垂直方向に向けて配設されて、水平方向に液滴を吐出し、
前記ヘッドタンクは前記液体収容部の下部に、前記フィルタ部材が垂直方向に配設され、
前記フィルタ部材の下流側から前記記録ヘッドに前記液体を供給する流路は上方に向かって傾斜して設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−121147(P2012−121147A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271187(P2010−271187)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】