説明

画像形成装置

【課題】 ドラム膜厚をむやみに厚くすることなく、感光ドラムの寿命の懸念点を克服し、画像形成動作中における聴感的な駆動音を極力低減させるクリーニングシーケンス制御を提案する。
【解決手段】 転写を含む一連の画像形成処理の終了後に、感光ドラムが停止した状態から画像形成時の順方向に微小回転させて再度停止させる微小回転シーケンスを複数回事項し、その後に、逆方向に感光ドラムを回転させて停止させるよ後回転シーケンスを行う画像形成装置において、後回転シーケンスの実行・抑制実行を、カートリッジ(感光ドラム)の稼働履歴に応じて切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写方式の電子写真プロセスによって画像形成を行う複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。特に、像担持体のクリーニング制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスや静電記録プロセスなどを採用した転写方式の画像形成装置では、用紙へと転写されずに像担持体の表面に残っている現像剤をクリーニングする必要がある。像担持体とクリーニングブレードとを当接させたまま放置すると、これらの当接領域に微粉トナーや外添剤などが凝集し、スジや画像ブレによる濃度変動等の画像不良が発生する。一般に、像担持体の周面のうち微粉トナー等が凝集した部分の摩擦係数μは相対的に低下する。よって、摩擦係数μが低下した部分をクリーニングブレードが通過する際に、像担持体の回転角速度が一時的に速くなってしまう。これがスジや画像ブレ等の画像不良の一因となる。
【0003】
特許文献1によれば、画像形成が終了すると像担持体を停止させ、その後、クリーニングブレードを当接させた状態で像担持体を微小回転させることで微粉トナーを除去し、凝集を低減するクリーニングシーケンスが提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の発明は、像担持体が停止した後に、その周面を所定距離移動させることで、微粉トナーや外添剤などの凝集に起因したスジや画像ブレ等の画像不良を低減できる点で優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−62280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のクリーニングシーケンスを行った場合でも、外添剤の種類や像担持体の構造によっては、画像形成動作中に像担持体とクリーニングブレードの当接部から発せられる音(以後、駆動音と称す)を低減したいという新たな課題が残存していた。尚、駆動音が発生する構成においても、画像形成中のクリーニングブレードによる残現像剤の掻きとり除去性能は、従来と同様であり問題はない。
【0007】
図10は、クリーニングブレードと像担持体の当接領域Wの拡大図である。クリーニングブレード109、像担持体面105、像担持体膜厚106、クリーニングブレードと像担持体の当接領域W 像担持体から除去された微粉トナーや外添剤gを示す。以下に、従来のクリーニングシーケンスによるクリーニングブレードと像担持体の当接領域Wの変化を説明する。
【0008】
画像形成終了後、像担持体とクリーニングブレードの間に微粉トナーや外添剤gが溜まる(図10[A])。クリーニングシーケンスが開始し、正転駆動を行うと第1回目(N=1)正転時にクリーニングブレードの当接領域Wの下を所定量以上の外添剤がすり抜ける。(図10[B])。同様の正転駆動を第n回目(N=n)まで繰り返す(図10[C])。ここまでのクリーニングシーケンス動作により上述のスジや画像ブレ等の画像不良が低減できる。
【0009】
そして所定の正転駆動回数が終了後、像担持体を後転させる(図10[D])。後回転させることで図10[C]までの正転駆動ですり抜けた微粉トナーや外添剤gの山を潰して均す事が可能となる。これにより、前述した画像形成動作中に像担持体とクリーニングブレードの当接部から発せられる駆動音を低減させる事が可能となる。
【0010】
しかしながら、上述の後回転駆動制御は、駆動音を低減する効果を得ることができる一方で、感光ドラムの寿命を縮めてしまうという懸念点を生じさせていた。感光ドラムのドラム膜厚が薄くなると一定水準画質以上の正常な画像形成が出来なくなる場合がある。例えば、ドラム膜厚が使用可能な限界値を下回ると、擦れなどの画像弊害が発生し得る。即ち感光ドラムの膜厚が感光ドラム寿命にかかわってくる。ここで、以下においては、少なくともドラムとトナーを格納した容器とを含むカートリッジをプロセスカートリッジと称す。
【0011】
このプロセスカートリッジについて、標準的な使用方法では、ドラム寿命到達以前に、トナーが無くなりプロセスカートリッジを交換する必要が出てくる。しかし、1回の印字枚数が少なく後転回数が多い場合や、画像形成に使用されるトナー量が少ない印字条件によっては以下の問題が生じ得る。即ち、プロセスカートリッジに画像形成が可能なトナー残量が有るにもかかわらず、ドラム寿命に到達し、プロセスカートリッジをトナー残量が有る状態のまま交換しなければならないという事態が発生し得る。
【0012】
一方、この問題に対して、トナー残量を使い切るまで寿命が長くなるように、十分マージンを持ったドラム膜厚に厚みを増す構成に変更する対策が考えられる。しかし、ドラム膜厚を厚くすることによる材料増加や製造時間延長による製造コスト上昇および、ドラム膜厚を厚くする事で発生する解像度低下などの短所とのトレードオフとなってしまう。従って、ドラムの膜厚をむやみに厚くするわけにはいかない。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ドラム膜厚をむやみに厚くすることなく、感光ドラムの寿命の懸念点を克服し、画像形成動作中における聴感的な駆動音を極力低減させるクリーニングシーケンス制御を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における画像形成装置は、装置本体に着脱可能な少なくとも感光ドラムを有するカートリッジと、前記感光ドラムを駆動する駆動手段と、画像形成時に回転駆動された感光ドラムに現像剤像を形成する現像手段と、前記感光ドラムに形成された前記現像剤像を被転写体に転写する転写手段と、前記感光ドラムに前記感光ドラムの回転方向に対向して当接するよう配置され当接され、前記転写後の感光ドラム上に残留する現像剤をクリーニングするクリーニングブレードと、を有する画像形成装置であって、転写を含む一連の画像形成処理の終了後に、前記感光ドラムが停止した状態から前記感光ドラムを画像形成時の順方向に微小回転させて再度停止させる微小回転シーケンスを複数回行い、その後に前記順方向とは逆方向に前記感光ドラムを回転させて停止させる後回転シーケンスを前記駆動手段に行わせる駆動制御手段と、前記感光ドラムの稼働履歴に係る情報を取得する取得手段と、前記取得された稼働履歴に係る情報が、前記感光ドラムの消耗進行度が規定値を超えていることを示すか否かを判断する判断手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記判断手段により前記感光ドラムの消耗進行度が規定値を超えていると判断した場合に、前記駆動手段に前記後回転シーケンスを抑制させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像形成動作中にカートリッジ及び感光ドラムの寿命を考慮しつつ、クリーニングシーケンスにおける後転駆動の実行または不実行を判断する事で、騒音の低減を極力行うようにしつつ、一定水準以上品質の印刷が不能になることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の概略断面図
【図2】DCブラシレスモータの駆動回路を示した図
【図3】像担持体駆動シーケンスの一例を示した図
【図4】クリーニングシーケンスを含む画像形成処理を示したフローチャート
【図5】ドラム膜厚とカートリッジ印字枚数の関係を示した図
【図6】別のクリーニングシーケンスを含む画像形成処理を示したフローチャート
【図7】カートリッジ印字枚数と後転回数およびとトナー残量の関係を示した図
【図8】トナー残量検知センサ構成を説明した図
【図9】別のクリーニングシーケンスを含む画像形成処理を示したフローチャート
【図10】像担持体とクリーニングブレードの当接部を拡大した図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0018】
[画像形成装置の概略断面図]
図1は、画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略断面図である。画像形成装置は、例えば、印刷装置、プリンタ、複写機、複合機、ファクシミリのいずれであってもよい。尚、以下の説明においては、カラー画像形成装置を用いて説明を行うが、それに限定されるものではない。例えば、単色の画像形成装置にも適用することが出来る。また、以下においては、インライン方式のカラー画像形成装置を例に説明を行うが、例えばロータリー方式のカラー画像形成装置でも良い。以下、インライン方式のカラー画像形成装置を例に詳述する。
【0019】
レーザプリンタ100は、記録紙Pにカラー(多色)の画像を形成するために複数の画像形成ステーションを備えている。本実施例では4色(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK)の現像剤(トナー)を使用するため4つの画像形成ステーションが存在する。
【0020】
給紙カセットに収納された記録紙Pは、ピックアップローラ101によって搬送路へと繰り出され、各種の搬送ローラによって搬送路内を搬送される。画像形成ステーションは、スキャナーユニット102Y、M、C、Kと、プロセスカートリッジ103Y、M、C、Kと、転写ローラ104Y、M、C、Kによって構成されている。各プロセスカートリッジは画像形成装置本体に着脱可能に構成されている。4つのプロセスカートリッジ103Y、M、C、Kの夫々には、電子写真プロセスの実行に必要となるドラム105、帯電ローラ106、現像ローラ107、トナー格納容器108及びクリーニングブレード109などの画像形成用プロセス手段を具備している。スキャナーユニット102Y、M、C、Kは、ビデオコントローラ110から送出される各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光する。これにより、像担持体であるドラム105に静電潜像が形成される。ドラム105の表面に担持されている静電潜像には、現像ローラ107によってトナーが付着され現像剤像に現像される。そして現像された現像剤像は転写ローラ104により感光ドラムから記録紙P(被転写体)へ転写される。定着装置111は、記録紙P上に転写されたトナー像を熱定着するユニットである。113はレーザプリンタ100を制御する制御基板である。114はCPUであり、RAM115を主メモリ、ワークエリアとして利用し、不揮発性記憶部116に格納される各種制御プログラムに従い、レーザプリンタ100を制御する。
【0021】
一般的な転写方式電子写真プロセスの画像形成装置において、像担持体である感光ドラム105を繰り返し使用するため、感光ドラム上に形成した現像剤像を記録紙Pに転写した後、感光ドラム上に残留した残現像剤を清掃する必要がある。残現像剤を清掃するためのクリーニング装置としては種々のものが知られている。中でも、ブレードクリーニング装置が広く用いられている。ブレードクリーニング装置は、クリーニング部材として可撓性(ゴム弾性)を有するクリーニングブレード109を感光ドラム105に所定の圧接状態で当接させて感光ドラム面を拭掃することで、感光ドラム上から残現像剤を掻きとって除去するものである。また、クリーニングブレード109は、クリーニング効率向上の為に、画像形成時の感光ドラムの回転方向に対向する形で配置されている。感光ドラムの回転方向に対向する形で配置されているとは、感光ドラムの回転方向に対して逆の方向に力を作用させるようにクリーニグブレード109を配置させることを意味する。
【0022】
図2は、感光ドラム105及び現像ローラ107を回転駆動するDCブラシレスモータの駆動回路を示した図である。DCブラシレスモータ40Y、40M、40C、40Kは、それぞれイエローY、マゼンタM、シアンC及びブラックKの各色の画像形成ステーションに対応している。DCブラシレスモータ40Y、40M、40C、40Kは、複数の像担持体のうちそれぞれ対応する像担持体を駆動するための駆動手段の一例である。DCブラシレスモータ40Y、40M、40C、40Kは、それぞれ同一構成であるため、ここではDCブラシレスモータ40Yについて説明する。
【0023】
CPU114は、DCブラシレスモータ40Yに駆動信号を送出し、DCブラシレスモータ40Yのモータ駆動回路42は受信した駆動信号に従って対応するプロセスカートリッジ103Yを駆動するためのDCブラシレスモータ40Yを制御する。DCブラシレスモータ40Yは、モータ駆動回路42、3個のホール素子49及びアンプ51を備えている。モータ駆動回路42は、モータ駆動制御回路43を備えている。さらに、モータ駆動制御回路43は、CPU114からの制御信号にしたがってDCブラシレスモータの始動、停止および速度制御を行う。DCブラシレスモータ40Yは、U、V、Wの3相をスター結線したコイル47とロータ50を備えている。3個のホール素子49は、ロータ50の磁極を検知し、ロータの位置を示す検知信号をアンプ51に出力する。アンプ51は、検知信号を増幅して、モータ駆動制御回路43へ出力する。モータ駆動制御回路43は、検知信号に従って6個のFET(電界効果トランジスタ)を制御することで、DCブラシレスモータ40Yを回転させる。CPU114からの後転駆動信号(不図示)を受信すると、DCブラシレスモータ40Yは駆動方向を後転方向にて回転制御を行う。
【0024】
図1の説明に戻る。カートリッジ103には、各カートリッジの動作履歴(通算印字枚数や通算後転回数等)の感光ドラムの寿命を予測する為の情報を記憶する記憶手段として、不揮発性メモリからなるタグメモリ60Y・60M・60C・60Kが備えられている。またこの感光ドラム寿命は感光ドラムの膜厚と密接に関係しており、感光ドラム寿命情報のことを感光ドラム膜厚情報と捉えることができる。また、レーザプリンタ100には、このタグメモリ60Y・60M・60C・60K(以下タグメモリ60と称す)に記録されたカートリッジの各種情報を読み取るためのタグメモリ読込み装置61Y・61M・61C・61Kが備えられている。タグメモリ構成は、接触構成、または非接触構成のどちらを採用しても構わない。カートリッジの各種情報は、画像形成装置を印字動作させることでCPU114からの情報により、各種情報をタグメモリ60に記録していく。上記の構成により、レーザプリンタ100は、装着されているカートリッジの様々な各種情報を、随時タグメモリ60から読み出すことができる。
【0025】
各種情報はカートリッジのイエローY、マゼンタM、シアンC及びブラックKの各色で有しており、それぞれで独立した情報としてタグメモリ60に記録されている。
【0026】
尚、図1に例示した画像形成装置は感光ドラム上に現像された現像剤像を直接記録しに転写するもの形態のものを説明したが、これに限定されることはない。例えば、感光ドラム上に現像された現像剤像を一旦中間転写ベルト(被転写体)に一次転写し、それを記録紙に二次転写するような形態の画像形成装置における感光ドラムに対しても適用できることは言うまでもない。
【0027】
[クリーニングシーケンス図]
次に、微小回転シーケンス及び後回転駆動シーケンスからなるクリーニングシーケンスの制御動作に関して説明する。本グシーケンスは、被転写体への現像剤(トナー)の転写後の感光ドラム上に残存した残現像剤をクリーニングブレード109により除去するシーケンスである。
【0028】
図3は、各ステーションに適用されるクリーニングシーケンスの一例を示した図である。また縦軸は感光ドラムの駆動回転方向、横軸は時間軸を示している。図中第1乃至第4のステーションは、順にY、M、C、Kに対応する。
【0029】
画像形成時の感光ドラム駆動方向を正転(正回転或いは順方向回転)と規定し、画像形成時と逆方向への感光ドラム駆動を後転(後回転)と規定する。図3では、この正転と後転のセットを複数回行っている。CPU114とモータ駆動回路42は、クリーニングシーケンスの間にN回(Nは2以上の自然数)に分けて間欠的に複数の感光ドラムを微小回転駆動するよう複数の駆動手段を制御する。今回の説明では、感光ドラムの駆動継続時間(以下、駆動時間と称す)は正転駆動T0、後転駆動T1の一定値として説明を行うものとする。正転駆動T0は感光ドラムを微小駆動(微小回転)させるための駆動時間であり、100msec(1mm程度の移動)を、T1には例えば1000msecを割り当てることが出来る。尚、T0について、図10で説明した外添剤のすり抜け効果が微小駆動の場合に効果が大きいことを出願人は確認しており、従って、画像形成装置の使用に合わせて、微小駆動させるための時間をこのT0に設定すれば良い。また、隣り合った2つの駆動時間の間には待機時間Xが存在する。待機時間Xは各駆動回数の間で、任意の値にて設定可能であるとし、それぞれの各駆動回の間で異なる値に設定可能であるものとする。
【0030】
図3によれば、第1番目から第4番目のステーションにおいて、感光ドラムは一例として6回(駆動回数N=1、2、3、4、5、6)に分けて駆動されている。もちろん6回に限定されるわけではない。具体的な駆動方法としては、図示される如く、感光ドラムが停止した状態から画像形成時の順方向に微小回転させその後に再度停止させる処理を繰り返し実行する。
【0031】
各ステーションは、YMCKの何れか1つである。駆動回数N=1〜5の夫々において、各ステーションにおいて選択される駆動時間T0は同値である。本実施例は、第1番目から第3番目のステーションまでは、各感光ドラムは正転駆動を駆動回数N=1〜5まで5回ずつ駆動し、N=6で後転を行う。第4番目のステーションのみ 各感光ドラムは正転駆動を駆動回数N=1〜5まで5回ずつ駆動し、後転駆動を行わない駆動制御例を示す。
【0032】
ここで、図3では、第4ステーション(K)について、後回転が実行されていない。これは、トナーの量が通常の量の2倍等で収納された大容量カートリッジが画像形成装置本体に装着された場合に対応する。尚、大容量カートリッジについて、ドラム等の他のプロセス手段は、通常トナー量が収納されたカートリッジと同様のものが用いられている。即ち、CPU114は、タグメモリ60から、装着されたカートリッジの種別を示す情報をリードする。尚、カートリッジの種別をCPU114が判断するにあたっては、タグメモリ60からの情報に限定されることはなく、例えば、トナー残量を検知し判断したり、或いはカートリッジにその種別を示す部位をメカ的に設け、その検知によって判断しても良い。そして、読み込まれた情報が、大容量カートリッジを示していれば、後回転を実行しないように、図2の駆動回路を制御する。そして、こうすることで、以下の効果を得ることが出来る。
【0033】
感光ドラムの膜厚魔王には、画像形成動作による感光ドラムの正回転と後回転の双方が関係してくる。ここで大容量カートリッジの場合、画像形成動作による性回転数が通常のものと比べ多くなる。このとき感光ドラムの膜厚の条件が通常と大容量カートリッジで同じであれば、大容量カートリッジの膜厚摩耗をより抑制する必要がある。従って、図3では、感光ドラムの膜厚摩耗抑止の為に第4ステーションについて、後回転を実行しないようにしている。他方、通常のトナー容量のカートリッジであれば、第1乃至第3ステーション同様に後回転を実行する。
【0034】
尚、図3の霊では、第4ステーションの後回転について実行しない形態を説明したが、それに限定されることはない。例えばジョブ単位で、後回転の実行と非実行を繰り返したり、或いは後回転量(T1の値)を小さくするようにしても良い。要は、大容量カートリッジが装置本体に装着された際に、ブラックの感光ドラムにおける後回転量を通常の場合に比べて少なくとも抑制するよう制御を行う。
【0035】
[クリーニング処理のフローチャート]
図4は、クリーニングシーケンスを含む画像形成処理を示したフローチャートである。本フローチャートは、ある第nステーションの動作を示しており、本実施例では4つのステーションが存在するものとして説明を行うため、4つの同様なフローチャートが同時間軸上で存在し、動作するものとして説明する。尚、図中のSはステップや工程を意味する。
【0036】
S1で、CPU114は、画像形成の指示を受け付けると、画像形成動作を開始する。
【0037】
S2で、CPU114は、画像形成動作が終了したか否かを判定する。画像形成動作の終了後に、S3に進む。画像形成動作とは、一連の画像形成の為の各種動力源の駆動の開始や、画像形成の為のイニシャライズ処理等を含む。また特に現像剤の転写を行うときの動作の総称としても良い。
【0038】
S3で、CPU114は、DCブラシレスモータ40Y〜40Kを停止させるための制御信号をモータ駆動制御回路43に送信する。モータ駆動制御回路43は、当該制御信号を受信すると、通電を停止する。これにより、DCブラシレスモータ40Y〜40Kが停止する。
【0039】
S4で、CPU114は、駆動回数をカウントするための変数Nに初期値として1を代入し、モータ回転方向を正転に設定する。
【0040】
S5で、CPU114は、各ステーションにおけるDCブラシレスモータ40Y〜40Kの正転駆動時間、待機時間を設定する。例えば、第1番目のステーションから第4番目のステーションに正転駆動時間T0、待機時間はX1を設定する。
【0041】
S6で、CPU114は、DCブラシレスモータ40Y〜40Kを起動し、対応する感光ドラム105を駆動させる。
【0042】
S7で、CPU114は、DCブラシレスモータ40Y〜40Kのそれぞれについて、駆動開始タイミングから駆動時間T0が経過したか否かを判定する。CPU114は、カウンタなどを用いて、駆動開始タイミングからの経過時間を監視する。DCブラシレスモータ40Y〜40Kのうち、駆動開始タイミングから駆動時間が経過したDCブラシレスモータはS8に進む。
【0043】
S8で、CPU114は、DCブラシレスモータ40Y〜40Kのうち、駆動開始タイミングから駆動時間が経過したDCブラシレスモータを停止させる。
【0044】
S9で、CPU114は、DCブラシレスモータ40Y〜40Kのそれぞれに設定された待機時間が経過したか否かを判定する。DCブラシレスモータ40Y〜40Kのうち、待機時間が経過したDCブラシレスモータはS10に進む。
【0045】
S10で、CPU114は、正転駆動回数を計測するための変数Nが5以上であるか否かを判定する。変数Nが5未満の場合はS11に進み、S11で、CPU114は、変数Nを1つインクリメントする。その後、S5ないしS10を繰り返す。
【0046】
S12で、CPU114は、使用するカートリッジ103に装着されたタグメモリ60と通信を行い、カートリッジの通算印字枚数、通算後転回数等の感光ドラムの寿命(或いは膜厚)を類推する為の感光ドラム膜厚情報を読み出せるかを否かを確認する。
【0047】
S12で、CPU114が、カートリッジ103の記録情報が正確に読み出せない場合、或いはタグメモリが無いと判断した場合は、タグメモリからの情報によるフィードバックがされないので、後転駆動無しの制御が採用される。これは、感光ドラムの膜厚が把握できない場合には、本来であれば後回転を実行してはいけない状況で後回転を実行することで、感光ドラムの膜厚が非常に薄くなり、一定水準の画像形成を継続できない事態に陥る可能性がある。このような事態を、CPU114によるS15の判断処理で回避できる。そして、PCU114はS12でNOと判断した場合にクリーニングシーケンスを終了する。
【0048】
一方、S12で、CPU114が、カートリッジ103の記録情報が正確に読み出せると判断した場合、S13へ進む。
【0049】
S13で、CPU114は、タグメモリ60に記録されたカートリッジ103のカートリッジの感光ドラムの稼働履歴に係る情報をタグメモリ読込み装置61を通じて読み込む(取得する)。尚、タグメモリからでなくとも、例えば感光ドラムの稼働履歴に係る情報を装置本体の不揮発性メモリに記憶させ、該メモリに記憶された稼働履歴に係る情報を読み込むようにしても良い。この感光ドラムの稼働履歴に係る情報は、例えば通算印字枚数であったり、感光ドラムの順方向の回転数であったり、感光ドラムの通算稼働時間であったり、上述した後回転数であったりする。また、感光ドラムの残り寿命そのものでも良い。何れにしろ、感光ドラムの稼働履歴に係る情報は感光ドラム(カートリッジ)の稼働量を直接或いは間接的に示すものであり、また感光ドラムの膜厚の摩耗に関連している。
【0050】
S14で、CPU114が、S13でタグメモリ60から読み込んだ稼働履歴に係る情報から感光ドラム膜厚を求めると共に、求められた感光ドラム膜厚を示す値が閾値以下か否かを判断する。例えば、タグメモリ60から、カートリッジの通算印字枚数をタグメモリ読み込み装置61が読みだした場合、CPU114は、通算印字枚数から感光ドラムの膜厚の消耗進行度を予測する。この場合では、具体的には、通算印字枚数に感光ドラム膜厚を対応付けたテーブルを本体に記憶し、CPUはテーブルにより感光ドラム毎の現在のドラム膜厚を求める。また、通算印字枚数から感光ドラム膜厚を予測する手法は多数周知となっており、様々な手法をここに適用できる。
【0051】
S15で、取得された稼働履歴に係る情報が、感光ドラムの消耗進行度が規定値を超えていることを示すか否かをCPU114は判断する。より具体的には、CPU114は,予測されたドラム膜厚と膜厚しきい値の数値の大小を判断する。即ち、図3のN=6で説明した後回転の駆動シーケンス(後回転シーケンス)を実行するか否かを判断する。ドラム膜厚が膜厚しきい値よりも大きな値、すなわちドラム膜厚にまだ余裕があると判断した場合はS17に進む。尚、例えば平均して印字率が50%である等、通常(例えば平均印字率5%)とは得意な画像形成装置使用を行わない限り、CPU114は、S15でNOと判断することはない。即ち、通常の画像形成装置使用においては、感光ドラムの膜厚の寿命が到来する前に、トナー残量の無しの到来が先になる。
【0052】
S16で、CPU114は、モータ回転方向を後転に設定する。
【0053】
S17で、CPU114は、各ステーションにおけるDCブラシレスモータ40Y〜40Kの後転駆動時間を設定する。例えば、第1番目のステーションから第4番目のステーションに後転駆動時間T1を設定する。
【0054】
S18で、CPU114は、DCブラシレスモータ40Y〜40Kを起動し、対応する感光ドラム105を駆動させる。
【0055】
S19で、CPU114は、DCブラシレスモータ40Y〜40Kのそれぞれについて、駆動開始タイミングから駆動時間T1が経過したか否かを判定する。CPU114は、カウンタなどを用いて、駆動開始タイミングからの経過時間を監視する。DCブラシレスモータ40Y〜40Kのうち、駆動開始タイミングから駆動時間が経過したDCブラシレスモータはS20に進む。
【0056】
S20で、CPU114は、DCブラシレスモータ40Y〜40Kのうち、駆動開始タイミングから駆動時間T1が経過したDCブラシレスモータを停止させる。
【0057】
S20のステップが終了しだい、クリーニングシーケンスが終了する。
上述のS13〜S15の制御は、図4のクリーニングシーケンスが実行される毎に判断されるため、随時、後転制御を変更することが可能となる。したがって、カートリッジ使用可能期間を延ばす効果および、感光ドラムとクリーニングブレードの当接領域部から発する駆動音の低減効果の両立が個々の画像形成装置の使用状況によって最適制御される。
【0058】
S15で、ドラム膜厚が膜厚しきい値以下の値、すなわちドラム膜厚と等しい値または薄い場合は、図7の線αの後転無しシーケンスが選択され、ドラム膜厚の摩耗抑制のために後転駆動を行わずにクリーニングシーケンスを終了する。
【0059】
また、後転有り・無しのシーケンス変更の変曲点Aを複数設けるようにしても良い。これについて、具体的に説明を行う。図7の線βでは、後転有り・後転無し制御の切り替え変曲点がA〜A4まで存在している。まず、タグメモリからの情報によるフィードバックによって、A点では後転無しの線αシーケンス制御が採用されている。そして、A1では後転有りの線γシーケンス制御が採用される。A2では線αシーケンス、A3では線γシーケンス、A4では線αシーケンスが採用され、トナー残量が無くなるカートリッジ寿命Xk枚まで限界膜厚しきい値(線C)以上の膜厚を保つ制御が実行される。即ち、可能な限り、後回転を多く実行することができる。
【0060】
<実施例1の効果>
以上のように、画像形成動作中にカートリッジ及び感光ドラムの寿命を考慮しつつ、クリーニングシーケンスにおける後転駆動の実行または不実行を判断する事で、騒音の低減を極力行うようにしつつ、一定水準以上品質の印刷が不能になることを回避できる。
【実施例2】
【0061】
図6は、別のクリーニングシーケンスを含む画像形成処理を示したフローチャートである。尚、図6のフローチャートにおいて、先に説明した図4のフローチャートと同様の処理を示すステップについては、同じステップ番号を付してある。以下、差異を中心に説明する。また、画像形成動作後に動作させるクリーニングシーケンスの一例は、実施例1の図3と同様であるため省略する。
【0062】
まずS1〜S12までの処理は先に説明した図4と同様の処理なので詳しい説明を省略する。S113で、CPU114は、タグメモリ60に記録されたカートリッジ103の稼働履歴に係る情報をタグメモリ読込み装置61を通じて読み込む(取得する)。尚、ここでの稼働履歴とは、例えば、カートリッジの通算印字枚数、通算後転回数である。また通算印字枚数は、感光ドラムの稼働量を示すものであれば、感光ドラム回転数や、感光ドラム通算稼働時間等に置き換えても良い。また、通算後回転数については、例えば画像形成後の停止回数など、間接的にそれを示す稼働履歴でも良い。また感光ドラムの残り寿命そのものでも良い。
【0063】
本例では、標準的な使用を想定した設計として、平均2枚印字するごとにクリーニングシーケンスの後転1回を行う制御が標準的な制御であるとして説明を行う。つまり、計算式『印字枚数/後転回数』の値が2の時を想定した設計がなされているとして説明する。2枚に限定されることはなく、画像形成装置に装着される感光ドラムの特性に合わせた印字枚数に適宜設定すれば良い。
【0064】
図7(a)に横軸にカートリッジの通算印字枚数、縦軸に感光ドラム膜厚の関係を表したグラフ図を示す。使用開始初期の感光ドラム膜厚は30μmである。膜厚摩耗による膜厚限界値は10μmであり、膜厚限界値の印字枚数を10k枚とする。
【0065】
図7(a)のグラフの傾きと比較し、傾きの絶対値が大きい値に推移した場合、即ち印字枚数/後転回数の計算値が2未満であると、標準的な使用方法よりも1回の印刷JOBで纏めて出力する印字枚数が少なく、後転回数が標準的な使用よりも多いと判断する。その場合は、標準的な使用よりも感光ドラム膜厚が薄い状態であると判断する
グラフの傾きの絶対値が小さい値に推移した場合、すなわち印字枚数/後転回数の計算値が2以上の場合は、標準的な使用方法よりも1回の印刷JOBでまとめて出力する印字枚数が多く、後転回数が標準的な使用よりも少ないと判断する。その場合は、標準的な使用よりも感光ドラム膜厚が厚い状態であると判断する。
【0066】
S114で、CPU114が、S113でタグメモリ60から読み込んだ印字枚数と後転回数の比率(実比率)『印字枚数/後転回数』を算出する。この比率は後回転の実行頻度を示す。
【0067】
そして、S115で、感光ドラムの消耗進行度(実行頻度)が規定値を超えているか否かをCPU114は判断する。より具体的に、CPU114は、S114での計算結果が2以上であるか否か、即ち2枚印字する毎に1回以上の後回転処理が実行されているか否かを判断する。
【0068】
CPU114によるS115の判断結果が2未満であれば、標準的な使用方法よりも1回の印刷JOBでまとめて出力する印字枚数が少なく、後転回数が標準的な使用よりも多いと判断する。従って、感光ドラム膜厚の摩耗抑制のために後転駆動を行わずにクリーニングシーケンスが終了する。
【0069】
一方、CPU114によるS115の判断結果が2以上であれば、標準的な使用方法よりも1回の印刷JOBでまとめて出力する印字枚数が多く、後転回数が標準的な使用よりも少ないと判断する。そして、後転駆動を行うクリーニングシーケンスの実行を決定し、S16に進む。尚、S16以降の処理は、先に説明した図4と同様なのでここでの詳しい説明を省略する。
【0070】
上述のS113〜S115の制御は、図6のクリーニングシーケンスが実行される毎に判断されるため、随時 後転制御を変更することが可能となる。したがって、カートリッジ使用可能期間を延ばす効果および、感光ドラムとクリーニングブレードの当接領域部から発する駆動音の低減効果の両立が個々の画像形成装置の使用状況によって最適制御される。
【0071】
尚、上の説明では、S113乃至S115の処理を常にリアルタイムで行うよう説明してきたが、それに限定されることはない。例えば、印字枚数や感光ドラム回転数が一定値以上を超えてから初めて処理を開始するようにしても良い。
【0072】
<実施例2の効果>
以上のように、実施例2においては、実施例1の効果に加え以下の効果を奏する。S15の判断処理により、過度のドラム膜厚の摩耗(削れ)が発生した場合に、即時に後回転を実行しないようにし、他方、ドラム膜厚に余裕が出てくると後回転処理を実行するようにしている。これにより、感光ドラムの膜厚寿命を精一杯活用して後回転処理を行え、騒音の低減を極力行うことが出来る。
【実施例3】
【0073】
実施例3では、実施例2を更に発展させた形態について説明を行う。具体的には、印刷率を加味することで、より的確にユーザの画像形成装置使用状況に応じた後回転の制限を施そうというものである。
【0074】
[トナー残量センサ]
図1の制御基板113に、カートリッジ内部のトナー残量を逐次測定するために、トナー残量検知回路が搭載されている。トナー残量検知回路は、一般的に光学センサを用いて構成されている。図8(a)は、トナー残量検知回路図である。発光素子であるLED120のアノードを電流制限抵抗となる固定抵抗器130を介してDC3.3Vの電源電圧に接続し、LEDのカソードをGNDに接地している。一方、131は固定抵抗器であり、エミッタ接地したフォトトランジスタ121のコレクタに接続されている。フォトトランジスタ121のコレクタ電圧を制御基板113のCPU114のA/Dポートに入力している。LED120が発光し、透明部材であるライトガイド140を透過した光がフォトトランジスタ121で受光すると、光電流であるコレクタ電流が流れて、フォトトランジスタ121のコレクタ電圧が低下する。
【0075】
図8(b)にトナー残量検知の構成図を示す。カートリッジ外装ケース180の断面図を示しており、LED120が発光した光がライトガイド140を通してカートリッジ透明凸部142に照射され構成となっている。また、トナー150が透明凸部142に無い場合は反対側のライトガイド141に光が照射されてフォトトランジスタ121で受光する構成となっている。攪拌駆動軸170を中心として攪拌マイラ160が円運動を行い、トナー150の攪拌を行う。トナー残量に応じて、カートリッジ透明凸部142にトナーが滞留する時間が変化する。トナー残量が多い場合は遮光時間が長くなり、トナー残量が少ない場合は遮光時間が短くなる。図8(c)に残量検知時間とトナー残量の関係を示す。残量検知時間は遮光している時間を示しており、例えば長い残量検知時間200msではトナー残量は130gと多い量であると検知し、短い残量検知時間30msではトナー残量は20gと少ない量であると検知する構成となっている。上記構成を用いてトナー残量検知を行っており、トナー残量の検知結果は、随時タグメモリ60に記録する構成になっている。記録された検知結果はタグメモリ読込み装置61を通じて読み込むことが可能である。
【0076】
以下、図9を用いて実施例3の制御方法を示したクリーニングシーケンスを含む画像形成処理を示したフローチャートを説明する。但し、実施例1、2と同内容であるため省略し、変更部分のステップのみ説明を行う。ここでは、実施例2の図6のフローチャートとの差異(S113乃至S115)を中心に説明を行い、同様のステップについては詳しい説明を省略する。尚、画像形成動作後に動作させるクリーニングシーケンスの一例は、実施例1の図3と同様であるため省略する。
【0077】
本例では、標準的な使用を想定した制御として、印字率5%時に感光ドラム寿命とトナー終了を満たす設計を前提として説明を行う。図7(b)は、印字率5%時の通算印字枚数に応じた標準的なトナー残量を表すグラフであり、タグメモリに演算式として記憶されているものとする。横軸は通算印字枚数、縦軸はトナー残量であり、トナー終了によるカートリッジ寿命の印字枚数を10k枚、初期トナー量を150gとする。
【0078】
印字率5%以上の印刷を多く行い、検知したトナー残量が標準的なトナー残量よりも少なかった場合、図7(b)に示すグラフの傾きの絶対値が大きい値に推移する。この場合は、標準的な使用時よりもトナー残量が少ないと判断する。
【0079】
印字率5%未満の印刷を多く行い、検知したトナー残量が標準的なトナー残量よりも多かった場合、図7(b)に示すグラフの傾きの絶対値が小さい値に推移する。この場合は、標準的な使用時よりもトナー残量が多いと判断する。
【0080】
以下、図6との差異について説明を行う。
【0081】
S213で、タグメモリから感光ドラム(カートリッジ)の稼働履歴とトナー残量の情報を読み込む(取得する)。トナー残量の情報は、CPU114が、後述の印字率を算出する為の情報であり、例えば印字率の情報を直接タグメモリに記録するようにして、それを読み取っても良い。また、トナー残量の情報は、センサで直接検出したトナー残量の情報でも良いし、例えば累積印字ドット数などに置き換えても良い。
【0082】
S214で、CPU114は、S13でタグメモリ60から読み込んだ通算印字枚数と後回転数とから、その比率である実比率rを算出する。また、S13でタグメモリ60から読み込んだ通算印字枚数の情報及びトナー残量の情報から実際の印字率を算出する。CPU114は,トナー残量の情報から使用したトナー量を算出できる。従って、CPU114は、その使用トナー量を通算印字枚数で除算すれば一枚当たりの使用トナー量が求め、それを印字比率に換算する。そして、CPU114は、算出された印字比率に応じた比率Rを更に算出する。
【0083】
この比率Rについてもう少し詳しく説明すると、印字率が通常の2倍であれば、印刷可能枚数が(1/2)となり、仮に1ジョブ当たりの印刷枚数が同じとすれば、後回転数の回数も(1/2)となる。つまり、印字率が大きければ、小さい場合に比べ、許容できる実比率が値が小さくなる(言い換えればより枚数の少ない関係ジョブを許容する)。ステップS214では、CPU114が、その比率Rを算出する。
【0084】
CPU114は、S215で、実比率rと比率Rの大小を比較し、感光ドラムの消耗進行度が規定値を超えているか否かを判断する。
【0085】
S215で、実比率r>比率Rである場合、後回転数が許容する回数よりも少ない回数しか実行されていないことを示し、処理をS16へ以降させる。この場合、後転駆動を継続する事で膜厚摩耗が発生するものの、感光ドラム寿命より先にトナーが終了に達するので、感光ドラムの膜厚を気にすることなく後回転を実行できる。これにより、可能な限り画像形成動作中に像担持体とクリーニングブレードの当接部から発せられる駆動音を低減させることが出来る。S16に進む。以下、実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
尚、上の説明では、S113乃至S115の処理を常にリアルタイムで行うよう説明してきたが、それに限定されることはない。例えば、印字枚数や感光ドラム回転数が一定値以上を超えてから初めて処理を開始するようにしても良い。
【0087】
<実施例3の効果>
以上のように、画像形成動作中にカートリッジ及び感光ドラムの寿命を考慮しつつ、クリーニングシーケンスにおける後転駆動の実行または不実行を判断する事で、騒音の低減を極力達成しつつ、一定水準以上品質の印刷が不能になることを回避できる。
【符号の説明】
【0088】
40 DCブラシレスモータ
42 モータ駆動回路
43 モータ駆動制御回路
47 コイル
49 ホール素子
50 ロータ
51 アンプ
52 FET
53 FET
60 タグメモリ
61 タグメモリ読取装置
100 レーザプリンタ
103 プロセスカートリッジ
105 感光ドラム
106 感光ドラム膜厚
107 現像ローラ
109 クリーニングブレード
110 ビデオコントローラ
113 制御基板
114 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に着脱可能な少なくとも感光ドラムを有するカートリッジと、
前記感光ドラムを駆動する駆動手段と、
画像形成時に回転駆動された感光ドラムに現像剤像を形成する現像手段と、
前記感光ドラムに形成された前記現像剤像を被転写体に転写する転写手段と、
前記感光ドラムに前記感光ドラムの回転方向に対向して当接するよう配置され当接され、前記転写後の感光ドラム上に残留する現像剤をクリーニングするクリーニングブレードと、を有する画像形成装置であって、
転写を含む一連の画像形成処理の終了後に、前記感光ドラムが停止した状態から前記感光ドラムを画像形成時の順方向に微小回転させて再度停止させる微小回転シーケンスを複数回行い、その後に前記順方向とは逆方向に前記感光ドラムを回転させて停止させる後回転シーケンスを前記駆動手段に行わせる駆動制御手段と、
前記感光ドラムの稼働履歴に係る情報を取得する取得手段と、
前記取得された稼働履歴に係る情報が、前記感光ドラムの消耗進行度が規定値を超えていることを示すか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記駆動制御手段は、前記判断手段により前記感光ドラムの消耗進行度が規定値を超えていると判断した場合に、前記駆動手段に前記後回転シーケンスを抑制させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判断手段は、前記後回転シーケンスの実行頻度が閾値よりも大きい場合に、前記感光ドラムの消耗進行度が規定値を超えていると判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記カートリッジの稼働量が閾値以上の場合に、前記感光ドラムの消耗進行度が規定値を超えていると判断することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
装置本体に装着されているカートリッジがトナー量が通常よりも多い大容量カートリッジの場合に、前記駆動制御手段は、前記駆動シーケンスの実行を少なくとも抑制することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数のカートリッジと、
複数のカートリッジのうブラックのカートリッジについて前記大容量カートリッジが装着されたか否かを判断する判断手段と、を備え、
前記駆動制御手段は、前記複数のカートリッジのうち、前記大容量カートリッジと判断されたカートリッジについて、前記微小回転シーケンスを実行した後に前記後回転シーケンスを行わず、前記大容量カートリッジと判断されないカートリッジについて、前記微小回転シーケンス及び前記後回転シーケンスを実行することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記カートリッジに設けられた情報を記憶する不揮発性メモリから、前記稼働履歴に係る情報を取得することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−123334(P2012−123334A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276174(P2010−276174)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】