説明

画像形成装置

【課題】環境やドラム膜厚の変化に左右されずに、高品質な画像を形成することが可能な技術を提供すること。
【解決手段】感光ドラム201と、感光ドラム201を帯電させる帯電ローラ202にDC電圧を印加する帯電バイアス印加回路206と、帯電バイアス印加回路206により、正極性と負極性のDC電圧を帯電ローラ202に印加することにより、感光ドラム201の正極性と負極性の夫々の放電開始電圧を判断し、判断した夫々の放電開始電圧に基づき感光ドラム201の表面電位を算出するエンジン制御部502とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材を介し像担持体を帯電させる帯電バイアス印加回路を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としてプリンタを例にとって以下に説明する。従来プリンタは、図10(a)のような構成を有している。回転多面鏡103はスキャナモータ104によって回転する。レーザビーム205はレーザ光源207から発射され、像担持体である感光ドラム201上を走査する。帯電ローラ202は感光ドラム201上を一様に帯電する。現像ローラ(現像スリーブともいう)203は感光ドラム201上に形成された静電潜像をトナーにて現像する。転写ローラ204は現像スリーブ203にて現像されたトナー像を供給された用紙に転写する。定着ローラ109は用紙に転写されたトナー像を熱にて融着する。カセット給紙ローラ110はカセットから用紙を給紙して搬送路に送り出す。搬送ローラ114、115はカセットから給紙された用紙を感光ドラム201と転写ローラ204で形成される転写位置に搬送する。
【0003】
このような機構部を制御するための制御系の回路構成ブロック図を図10(b)に示す。図10(b)において、プリンタコントローラ501は不図示のホストコンピュータ等の外部機器から送られる画像コードデータをプリンタの印字に必要なビットデータに展開すると共に、プリンタ内部情報を読み取りそれを表示する。エンジン制御部502はプリンタの各部をプリンタコントローラ501の指示にしたがって制御すると共に、プリンタコントローラ501へプリンタの内部情報を報知する。帯電バイアス印加回路206は帯電、現像、転写等の各工程のうち、帯電工程における帯電バイアスの出力制御をエンジン制御部502の指示にしたがって行う。レーザ駆動回路505はレーザ光源207の点灯をエンジン制御部502の指示により制御する。
【0004】
図11に、像担持体である感光ドラム201を一様に帯電する帯電部材である帯電ローラ202に帯電バイアスを印加するための帯電バイアス印加回路部601の概略構成を示す。この帯電バイアス印加回路部601は、上記帯電バイアス印加回路206の一例である。電圧設定回路部602はPWM信号に応じて設定値が変えられる。このPWM信号は出力する帯電バイアスの目標値に応じて入力される。603はトランス駆動回路部、604は高圧トランス部である。605はフィードバック回路部で、帯電体/帯電部材(負荷)に印加される電圧値を抵抗R81で検出して電圧設定回路部602に伝送する。そして、検出した値が入力されるPWM信号(目標値)になるように制御され、帯電体/帯電部材(負荷)に一定の電圧が印加されるように制御が行われる。このような構成で制御を行うことで、帯電体/帯電部材(負荷)に一定の電圧を印加することが可能となる。このような帯電バイアス印加の技術を用いた高圧電源装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−3932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、帯電部材(帯電ローラ202)と帯電体(感光ドラム201)の間で放電が開始する電圧は、環境温度、ドラム膜厚等で変化する。そのため、所定の電圧を印加するだけでは感光ドラム201の電位がばらついてしまっていた(図12(a))。図12(a)は、感光ドラム201への印加電圧(V)と感光ドラム201のドラム電位(V)の関係を表したグラフである。図中、環境H/H、環境N/N、環境L/Lは、それぞれ環境状態が高温多湿、常温常湿、低温低湿であることを表している。図から、印加電圧(Vout)を一定とした場合には、ドラム膜厚の違い、環境の違いによって感光ドラム201の電位にバラツキが生じることがわかる。また、感光ドラム201の感度も環境、ドラム膜厚で異なることから、定められた一定のレーザ光量を照射した場合、レーザ照射後の感光ドラムにおける静電潜像の電位もばらついてしまっていた(図12(b))。図12(b)は、レーザ照射光量とレーザ照射後の感光ドラムの電位(VL)の関係を表した図である。図から、レーザ照射光量を一定とした場合(例えば、図12(b)の縦の一点鎖線)には、ドラム膜厚によってレーザ照射後の感光ドラム201の電位(VL)がばらつくことがわかる(例えば、図12(b)ドラム膜厚が厚いとき−128V、薄いとき−197V)。
【0007】
また、感光ドラム201の特性として、レーザ照射を行うことによりドラムメモリが生じてしまう。このドラムメモリとは、本来、感光ドラム201の表面を除電した後にはドラム電位が0Vでなければならないのにマイナス電位になってしまい、レーザ照射後のドラム電位がばらついてしまう現象をいう。このバラツキを低減するため以下の対策を講じている。すなわち、感光ドラム201を含むプロセスカートリッジにメモリを設けて、メモリに感光ドラム201の感度や使用量に応じたバイアス値などを記憶させる。そして、それらの情報に基づいて、感度や使用量に対応した帯電バイアス、現像バイアス、レーザ光量を補正することにより電位のバラツキを低減している。しかし、カートリッジメモリの情報に基づく制御は予測制御である。そのため、プリント速度がさらに高速化したり、カートリッジのトナー量が大容量化するに伴い、カートリッジのメモリの情報に基づいて予測制御する方式では、図13に示すようなVd−Vdc、Vdc−VL間のバラツキを補正することに限界がある。図13において、Vdは帯電ローラによる帯電後のドラム電位、Vdcは現像バイアス、VLはレーザ照射後のドラム電位をあらわす。
【0008】
本発明は、このような状況のもとでなされたものであり、環境の変化やドラム膜厚の変化に左右されず、高品質な画像を形成することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため以下の構成を有する。
【0010】
像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電部材にDC電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段により、正極性と負極性のDC電圧を前記帯電部材に印加することにより、前記像担持体の正極性と負極性の夫々の放電開始電圧を判断し、判断した夫々の放電開始電圧に基づき前記像担持体の表面電位を算出する算出手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、環境の変化やドラム膜厚の変化に左右されずに高品質な画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の画像形成装置の画像形成部の概略図
【図2】実施例1の(a)ドラム特性を示すグラフ、(b),(c)ドラム特性結果を示すグラフ
【図3】実施例1の帯電バイアス印加回路部の図
【図4】実施例1の帯電バイアス印加時のV−I特性の概略図
【図5】実施例1のレーザ駆動回路の構成図
【図6】実施例1の帯電バイアス制御のフローチャート
【図7】実施例1の帯電バイアス制御の結果生ずる感光ドラムの電位を示す図
【図8】実施例2の帯電バイアス制御のフローチャート
【図9】実施例2の帯電バイアス制御の結果生ずる感光ドラムの電位を示す図
【図10】実施例及び従来の画像形成装置の(a)構成図、(b)制御系の回路構成ブロック図
【図11】従来例の画像形成装置の帯電バイアス印加回路部を示す図
【図12】従来例の感光ドラムにおける(a)印加電圧とドラム電位の関係図、(b)レーザ照射光量とドラム電位の関係図
【図13】従来例の感光ドラムのレーザ照射後のドラム電位を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照し、本発明を実施する為の形態を実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0014】
[画像形成装置の構成]
図1に本実施例における画像形成装置の画像形成部の概略図を示す。201は感光ドラム、202は感光ドラム201を一様に帯電する帯電ローラ、203は静電潜像を現像するための現像スリーブ(現像部材)、204は転写ローラ、206は電圧印加回路である帯電バイアス印加回路、207はレーザ光源である。そして、帯電バイアス印加回路206により交流電圧(以下、ACバイアスという)を印加することによって感光ドラム201上の残存電位を除電した上で一連の制御が開始される。なお、既に図10(b)で示した制御系は本実施例の画像形成装置も同様に有するものとする。
【0015】
感光ドラム201の放電特性として、環境、ドラム膜厚の違いにより放電に必要な電位差は異なる。ただし、その感光ドラム201の置かれた状況において、図2(a)に示すように、感光ドラム201上の表面電位(ゼロドラム電位)に対して、放電が開始するのに必要な電位差は正電位と負電位で対称の関係(以下、正負対象性という)にある特性がある。この特性はギャップ間(平面−平面)の放電特性と同じである。実際に測定した感光ドラム201の特性の結果を図2(b)、図2(c)に示す。図2(b)は環境違いの特性、図2(c)はドラム膜厚違いの特性を示す。2つのデータから正負対称性があることがわかる。本実施例の画像形成装置はこの特性に着目し、感光ドラム201上の表面電位、感光ドラム201が放電するのに必要な電位差を検知し、その検知結果をもとに高電圧(帯電バイアス、現像バイアス)、レーザ照射光量を設定することを特徴とする。
【0016】
[帯電バイアス印加回路の構成]
図3の上部に本実施例における負バイアスの帯電バイアス印加回路301の概略構成を示す。なお、帯電バイアス印加回路301と後に述べる帯電バイアス印加回路401はともに上記の帯電バイアス印加回路206を構成する。電圧設定回路部302はPWM信号に応じて、出力するバイアス値を変更可能である。303はトランス駆動回路部、304は高圧トランス部である。フィードバック回路部306は抵抗R61を介して出力電圧をモニタし、PWM信号の設定の応じた出力電圧値になるように設けられた回路である。電流検知回路部305は、帯電体/帯電部材に流れる電流I62とフィードバック回路部306から流れる電流I61を加算した電流I63を抵抗R63で検出して、J301からアナログ値としてエンジン制御部502(図10(b)参照)に伝送する。
【0017】
像担持体である感光ドラム201と帯電部材である帯電ローラ202間で放電が開始するまでは、感光ドラム201と帯電ローラ202間は絶縁されている。そのため、放電が開始されるまでは、抵抗R63に流れる電流はフィードバック回路部306から流れてくる電流I61のみである。電流I61は、PWM信号で設定されるVpwmとVref、R64、R65で決められ次の関係がある。
I61=(Vref−Vpwm)/R64−Vpwm/R65
【0018】
また、その電流I61が抵抗R61を流れることで、出力電圧Voutは次のように設定される。
Vout=I61×R61+Vpwm≒I61×R61
【0019】
図4に印加電圧に対する電流値(μA)の推移の概略図を示す。直線(1)に示すように、放電が開始されるまではPWM信号に応じた電流I61しか抵抗R63には流れない。しかし、感光ドラム201と帯電ローラ202間で放電が開始されると、感光ドラム201に流れる電流I62とフィードバック回路から流れる電流I61が加算された電流I63が流れる。つまり、図4の曲線(2)に示すように放電が開始した近傍で分岐点をもった曲線となる。これにより、感光ドラム201に流れる放電電流は、曲線(2)から直線(1)を引いたΔ値で算出することができる。そしてこのΔ値が所定の電流値になった点を放電が開始した印加電圧と判断するものとする。
【0020】
図3の下部に本実施例における正バイアスの帯電バイアス印加回路401の概略構成を示す。電圧設定回路部402はPWM信号に応じて、バイアス値が変更可能である。403はトランス駆動回路部、404は高圧トランス部である。フィードバック回路部406は抵抗R71を介して出力電圧をモニタし、PWM信号の設定に応じた出力電圧値になるように設けられた回路である。電流検知回路部405は、帯電体/帯電部材に流れる電流I72とフィードバック回路部406に流れる電流I71を加算した電流I73を抵抗R73で検出して、J401からアナログ値としてエンジン制御部502に伝送する。放電が開始した電圧を算出する方法は、負バイアスの帯電バイアス印加回路301と同じであるため説明を省略する。
【0021】
リレー回路部511は、上記した正/負バイアス回路の切り替えを行う。このような正バイアス用、負バイアス用と2回路を設け、感光ドラム201の電位に対して、正極性と負極性のバイアスを印加し、両極の放電開始電圧(正バイアスの検知電圧:V1と負バイアスの検知電圧:V2)を検知する。そして、電圧値V1と電圧値V2の差分の1/2を感光ドラム201が放電を開始する上で必要な電圧差ΔV、V1とV2の中心値を感光ドラム201上のゼロドラム電位(Vdram)と設定する。次に、その設定値に応じて帯電体としての感光ドラム201に印加するバイアス、現像スリーブ203に印加するバイアスを設定する制御を行なう。このように制御することで、ドラム膜厚、環境等の変動が生じても所定の感光ドラム201上の電位−現像バイアス(Vd−Vdc)の関係が得られる。
【0022】
また、図5に本実施例におけるレーザ駆動回路505の概略構成を示す。レーザドライバ354は、レーザ光源207の露光量をPDセンサ356でモニタしながら、発光量が一定になるよう制御を行なっている。制御回路部351からレーザドライバ354へ光量可変信号(PWM信号)353が入力され、光量可変信号(PWM信号)353に応じて光量が可変される構成となっている。この構成では、感光ドラム201に照射する光量を可変にできることから、レーザ照射後のドラム電位(VL)を検出した後、その値が所定の値と異なる場合には、レーザ光量を変化させてVL値を補正することができる。このような補正を行なうことで、所定のレーザ照射後の感光ドラム201上の電位−現像バイアス(VL−Vdc)の関係が得られる。
【0023】
[帯電バイアス制御]
次に、図6のフローチャート、図7の電位図を用いて本実施例の制御について説明する。まず、エンジン制御部502は、電源オン、もしくはプリントコマンドを受信した後、感光ドラム201を所定時間回転させながら、印刷のための準備動作を実行する(前多回転または前回転とも呼ばれる)(ステップ(以下Sとする)301)。そして、帯電バイアス印加回路206はACバイアスを感光ドラム201に印加して残存電位を除電する(S302)。その後、帯電バイアス印加回路401は所定の正バイアス値(PWM(1))を印加する(S303)。そして、エンジン制御部502は感光ドラム201へ流れる電流I72とフィードバック回路部406へ流れる電流I71を合計した電流I73を電流検知回路部405により検知することでJ401のアナログ値から検知する(S304)。その検知値より、エンジン制御部502は放電電流を算出し(S305)、その算出値とΔ値と比較し、Δ値の公差内となっているか否かの判断を行う(S306)。具体的には、算出値がΔの下限値とΔの上限値の範囲内にあるか否かを判断する。判断結果がΔの上限値より大きいと判断した場合には、エンジン制御部502は放電開始電圧はより低い設定にあると判断し、帯電バイアス印加回路401に対しバイアス値(PWM(1))をステップアップさせる(S307)。また、判断結果がΔの下限値より小さいと判断した場合にはエンジン制御部502は放電開始電圧はより高い設定にあると判断し、帯電バイアス印加回路401に対しバイアス値(PWM(1))をステップダウンさせる(S308)。この動作を行い、エンジン制御部502はΔ値の公差内となった場合に、図2(a)の+側のVが検知できたとして、そのときのバイアス値(PWM(1))を正バイアスの放電開始電圧V1と設定する(S309)。
【0024】
次に、エンジン制御部502はリレー回路部511によりリレーを切り替え、正バイアス印加から負バイアス印加に切り替える(S310)。その後、帯電バイアス印加回路206はACバイアスを感光ドラム201に印加して除電する(S311)。そして、帯電バイアス印加回路301は所定の負バイアス(PWM(2))を印加する(S312)。次に、エンジン制御部502は感光ドラム201から流れてくる電流I62とフィードバック回路部306から流れてくる電流I61を合計した電流I63を電流検知回路部305により検知することでJ301のアナログ値から検知する(S313)。その検知値より、エンジン制御部502は放電電流を算出する(S314)。そして、エンジン制御部502はその算出値とΔ値と比較し、Δ値の公差内となっているか否かの判断を行う(S315)。算出値がΔの上限値より大きいと判断した場合には、エンジン制御部502は放電開始電圧がより低い設定にあると判断し、帯電バイアス印加回路301に対しバイアス値(PWM(2))をステップアップさせる(S316)。また、算出値がΔの下限値より小さいと判断した場合にはエンジン制御部502は放電開始電圧がより高い設定にあると判断し、帯電バイアス印加回路301に対しバイアス値(PWM(2))をステップダウンさせる(S317)。この動作を行い、Δ値の公差内となった場合に、図2(a)の−側のVが検知できたとして、そのときのバイアス値(PWM(2))を負バイアスの放電開始電圧V2と設定する(S318)。その後、エンジン制御部502はV1とV2の差分の1/2を感光ドラム201が放電を開始する上で必要な図2(a)の電圧差ΔV、V1(図2(a)のV)とV2(図2(a)の−V)の中心値をドラム上のゼロドラム電位(Vdram)を算出する(S319)。エンジン制御部502はその算出したΔVとゼロドラム電位(Vdram)に応じたPWM値に、ドラム電位に相当するバイアス値(ΔPWM)を加算し、帯電バイアス印加回路206から出力する帯電バイアス(PWM(3))を設定する(S320)。設定値は、感光ドラム201上に重畳させたい電位をVdとすると、ΔV+Vdram+Vdとなる。このように設定することで、図7(a)に示すようにVdが一定となる。次に、帯電バイアス印加回路206のバイアス設定(PWM(3))に応じて、エンジン制御部502は現像バイアス(PWM(4))を設定する(S321)。このシーケンスを行なうことで、図7(b)に示すようにVd−Vdc間の電圧が所定の値に制御される。
【0025】
次にレーザ照射後の電位VLを検知するシーケンスとなる。まずは、帯電バイアス印加回路206はACバイアスを感光ドラム201に印加して残存電位を除電する(S322)。その後、帯電バイアス印加回路206はS320で決定した帯電バイアス(PWM(3))を感光ドラム201に印加し(S323)、レーザ光量値PWM(6)のレーザを照射して感光ドラム201上の電位をVLの状態とする(S324)。次に、帯電バイアス印加回路301は所定のDC電圧であるDC負バイアス(PWM(5))を感光ドラム201に印加する(S325)。そして、エンジン制御部502は感光ドラム201から流れてくる電流I62とフィードバック回路部306から流れてくる電流I61を合計した電流I63を電流検知回路部305により検知することでJ301のアナログ値から検知する(S326)。その検知値より、エンジン制御部502は放電電流を算出する(S327)。そして、エンジン制御部502はその算出値とΔ値と比較し、Δ値の公差内となっているか否かの判断を行う(S328)。算出値がΔの上限値より大きいと判断した場合には、エンジン制御部502はVL値が低い設定にあると判断し、レーザ駆動回路505の制御回路部351によりレーザ光量値(PWM(6))をステップダウンさせ、光量をダウンさせる(S329)。また、エンジン制御部502は算出値がΔの下限値より小さいと判断した場合にはVL値が高い設定にあると判断し、制御回路部351によりレーザ光量設定値(PWM(6))をステップアップさせ、光量をアップさせる(S330)。エンジン制御部502はこの制御を行い、Δ値の公差内となった場合に、そのときレーザ光量値(PWM(6))を所定のレーザ光量と判断し制御回路部351に設定する(S331)。このシーケンスを行なうことで、図7(c)に示すようにVL−Vdc間の電圧が所定の値に制御される。これらの設定が完了した後、プリントが開始される。このような制御を行うことにより、環境やドラム膜厚の状態に左右されずに、図7(d)に示すような安定した電位が得られ、高品質な画像を実現することができる。
【0026】
本実施例の画像形成装置では、環境やドラム膜厚に左右されず、高品質な画像を形成することが可能となる。
【実施例2】
【0027】
実施例2でも、実施例1と同様にゼロドラム電位に対して放電が開始するために必要な電位差は正負対称であるという特性(正負対称性)を利用している。しかし、本実施例の画像形成装置ではレーザの光量可変機能を有していないことが実施例1と異なる点である。そのため本実施例の画像形成装置は、実施例1より更に安価な構成とすることができる。
【0028】
[帯電バイアス制御]
本実施例における画像形成装置の構成、帯電バイアス印加回路の構成は、実施例1と同様なので説明を省略する。次に、図8のフローチャート、図9の電位図を用いて本実施例の制御について説明する。図8のS401〜S420までの処理は、実施例1の図6のS301〜S320までの処理と同じであるため説明を省略する。
【0029】
帯電バイアス印加回路206から出力する帯電バイアス(PWM(3))の設定値は、感光ドラム201上に重畳させたい電位をVdとすると、ΔV+Vdram+Vdとなる。この設定電圧にすることにより、図9(a)に示すようにVdが一定となる。
【0030】
次にレーザ照射後の電位VLを検知するシーケンスとなる。まず、帯電バイアス印加回路206はACバイアスを感光ドラム201に印加して感光ドラム201上の残存電位を除電する(S421)。その後、帯電バイアス印加回路206はS420で決定した帯電バイアス(PWM(3))を感光ドラム201に印加し(S422)、レーザを照射してレーザ照射後の電位VLの状態とする(S423)。次に、帯電バイアス印加回路301は所定のDC負バイアス(PWM(5))を印加する(S424)。そして、エンジン制御部502は帯電体から流れてくる電流I62とフィードバック回路部306から流れてくる電流I61を合計した電流I63を電流検知回路部305により検知することでJ301のアナログ値から検知する(S425)。その検知値より、エンジン制御部502は放電電流を算出する(S426)。そして、エンジン制御部502はその算出値とΔ値と比較し、Δ値の公差内となっているか否かの判断を行う(S427)。算出値がΔの上限値より大きいと判断した場合には、エンジン制御部502は放電開始電圧はより低い設定にあると判断し、バイアス値(PWM(5))をステップアップさせる(S428)。また、算出値がΔの下限値より小さいと判断した場合にはエンジン制御部502は放電開始電圧はより高い設定にあると判断し、バイアス値(PWM(5))をステップダウンさせる(S429)。この動作を行い、エンジン制御部502はΔ値の公差内となった場合に、そのときのバイアス値(PWM(5))を負バイアスの放電開始電圧V3と設定する(S430)。このVL時の放電開始電圧V3と上記シーケンスで得られた放電を開始する上で必要な電圧差ΔVより、エンジン制御部502はV3−ΔV=VLの式を用いてVLを算出する(S431)。これにより図9(b)に示すようにVL−Vd間の電位が検知できる。
【0031】
そして、上記シーケンスにて、設定されたVdと算出されたVLの値に応じて、エンジン制御部502は現像バイアス値(PWM(4))を設定する(S432)。設定するにあたっては、コントラストに影響を及ぼすVL−Vdc間の電圧が所定範囲の値となっていることを考慮する。このような制御を行うことにより、環境やドラム膜厚の状態に左右されない図9(c)に示すよう所定の電位が得られ、高品質な画像を実現することが可能となる。
【0032】
本実施例の画像形成装置では、環境やドラム膜厚に左右されない一定のドラム電位を得ることで、高品質な画像を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
201 感光ドラム
202 帯電ローラ
203 現像スリーブ
206 帯電バイアス印加回路
207 レーザ光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電部材にDC電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段により、正極性と負極性のDC電圧を前記帯電部材に印加することにより、前記像担持体の正極性と負極性の夫々の放電開始電圧を判断し、判断した夫々の放電開始電圧に基づき前記像担持体の表面電位を算出する算出手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記帯電部材に前記電圧印加手段によりDC電圧が印加された際に、前記像担持体に流れる電流値を検知する電流検知手段と、
前記電圧印加手段が前記帯電部材に印加するDC電圧の電圧値を設定する電圧設定手段とを更に有し、
前記算出手段は、
前記電圧設定手段によって前記電圧印加手段が前記帯電部材に印加する正極性のDC電圧を印加して、前記電流検知手段が検知する電流値が所定の電流値に達した場合における正極性のDC電圧を正極性の放電開始電圧とし、
前記電圧設定手段によって前記電圧印加手段が前記帯電部材に印加する負極性のDC電圧を印加して、前記電流検知手段が検知する電流値が所定の電流値に達した場合における負極性のDC電圧を負極性の放電開始電圧とし、
前記正極性の放電開始電圧と前記負極性の放電開始電圧の中心値を前記像担持体の電位とし、
前記正極性の放電開始電圧の値と前記負極性の放電開始電圧の値の差分の1/2を、前記像担持体が放電を開始する上で必要な電圧差とし、前記電位と前記電圧差を用いて前記像担持体の表面電位を算出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体を露光するための露光手段を有し、
前記算出手段は、前記正極性の放電開始電圧と、前記負極性の放電開始電圧と、前記電位及び前記電圧差に基づき、前記帯電部材により帯電されていない状態の前記像担持体の電位、及び前記帯電部材により帯電された後に前記露光手段で露光された状態の前記像担持体の電位を算出することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光手段により前記像担持体に形成された静電潜像を現像する現像部材を備え、
前記算出手段で得られた値に応じて、前記帯電部材に印加するバイアス、前記現像部材に印加するバイアス、及び前記露光手段が照射する光の光量を設定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−13881(P2012−13881A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149375(P2010−149375)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】