画像形成装置
【課題】吸引キャップのニップを清掃する機能を簡単で低コストで省スペースな構成で、今まで以上に長期間ニップ部のインク堆積を防止する。
【解決手段】ヘッド2が搭載されキャリッジ1をガイドロッド3に摺動可能に保持して往復動作可能とする。吸引キャップ4と保湿キャップ5の突起が、ホルダ6の内溝6bに係合して上下方向に摺動可能に保持され、バネ13によって、上方向に付勢されている。一対のキャップ清掃部材10をケース12に軸10aで回動可能に設け、引っ張りバネ14で、常に閉じる方向に付勢する。吸引キャップ4の上昇時だけキャップ清掃部材10の掻き落とし部10bが吸引キャップ4のニップ4a接触し、下降時は中間部材11があるために吸引キャップ4には触れない。そのため掻き落とし部10bの上にインクが溜まらず、長期間にわたり洗浄機能を持続できる。
【解決手段】ヘッド2が搭載されキャリッジ1をガイドロッド3に摺動可能に保持して往復動作可能とする。吸引キャップ4と保湿キャップ5の突起が、ホルダ6の内溝6bに係合して上下方向に摺動可能に保持され、バネ13によって、上方向に付勢されている。一対のキャップ清掃部材10をケース12に軸10aで回動可能に設け、引っ張りバネ14で、常に閉じる方向に付勢する。吸引キャップ4の上昇時だけキャップ清掃部材10の掻き落とし部10bが吸引キャップ4のニップ4a接触し、下降時は中間部材11があるために吸引キャップ4には触れない。そのため掻き落とし部10bの上にインクが溜まらず、長期間にわたり洗浄機能を持続できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置、詳細にはインクジェットタイプの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような画像形成装置においては、インクジェットのヘッドからインクを吸引するために備えられた吸引キャップには、吸引したときのインクがニップ(ヘッドと接触する部分)に付着することがある。この状態でキャッピングするとノズル面にそのインクが転写される。このような動作が繰り返されると、付着したインクが徐々に堆積していき、増粘、固着して、ニップとノズル面の密着性を阻害して保湿性が損なわれたり、吸引できなくなったり、ノズル面側に堆積したインクがクリーニング動作でワイピングされたときにノズル上に引きずられたりしてしまい、ノズルの吐出不良を引き起こしたりするため、キャップのニップを清掃する部材が備えられた装置が提案され、既に知られている。
【0003】
しかし、キャップを清掃する部材を備えた従来の装置では、特に速乾性のインクの場合にはニップを清掃する清掃部材にもインクが堆積して、その状態でニップに対して相対移動して清掃する往復動作時に常に接触するため、清掃部材に堆積したインクをまたニップに転写してしまい、清掃機能を長期間持続できなかったり、装置が複雑で大型化して高価になってしまったりする。
【0004】
また、ニップに対して相対移動するときに往復動作時に常に触れず、片方向に移動するときだけ清掃する動作であれば、堆積したインクを一方向に掻き落とすので、清掃機能をより長期間持続させることができるが、そのような動作をさせるものは装置が複雑化、大型化して高価になっていた。
【0005】
特許文献1には、キャップのニップ部を清掃する目的で、キャップを保持してヘッドに対して接離する動作をするホルダの動作を利用して、レバーを介してキャップを清掃する部材がキャップのニップを清掃する動作をさせる構成が開示されている。しかし、清掃機能を長期間持続させることができないことや、機構が複雑で大型化して高価であるという問題が解消できていない。
【0006】
特許文献2には、キャップのニップ部を清掃する目的で、キャリッジ側に清掃部材が備えられ、キャリッジの走査の動作もしくは備えられた清掃部材自体が動作することによってキャップを清掃する構成が開示されている。しかし、やはり、機構が複雑で大型化して高価であるという問題が解消できていない。
【0007】
特許文献3には、キャップのニップ部を清掃する目的で、ヘッドをワイピングするワイパ部材のヘッド側とは反対側にキャップを清掃する部材を備え、ワイパ部材を走査させてキャップを清掃する構成が開示されている。しかし、これもやはり、機構が複雑で大型化して高価であるという問題を解消できていない。
【0008】
さらに特許文献4には、キャップのニップ部を清掃する目的で、キャップ部材がヘッドに対して接離するように摺動可能に保持したホルダにキャップを清掃する薄膜弾性部材を備え、キャップ接離動作によってキャップを清掃する構成が開示されている。しかし、これもやはり、清掃機能を長期間持続させることができないという問題を解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、キャップのニップを清掃する機能を簡単で低コストで省スペースな構成で、今まで以上に長期間ニップ部のインク堆積を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置のうち請求項1に係るものは、インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、前記キャップの前記ノズル面に当接する当接部を清掃する清掃手段とを備え、前記清掃手段は、前記記録ヘッドのキャッピング位置に移動するときに前記当接部と接触する第1の位置と、前記記録ヘッドのキャッピング位置から外れていく(デキャップ)とき前記当接部と接触しない第2の位置の間で揺動可能に設けられ、前記清掃手段を前記第1の位置に付勢する弾性部材と、前記清掃手段を前記第2の位置に保持する中間部材とを備えたことを特徴とする。
【0011】
同請求項2に係るものは、インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、前記キャップの前記ノズル面に当接する当接部を清掃する清掃手段とを備え、前記清掃手段は、前記記録ヘッドのキャッピング位置に移動するときに前記当接部と接触する第1の位置と、前記記録ヘッドのキャッピング位置から外れていく(デキャップ)とき前記当接部と接触しない第2の位置の間で揺動可能に設けられ、前記第2の位置に、弾性変形する弾性部材で形成され、前記清掃手段を前記第2の位置に保持する中間部材を備えたことを特徴とする。
【0012】
同請求項3に係るものは、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記当接部を弾性率の大きい弾性体で形成したことを特徴とする。
【0013】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記清掃手段の前記当接部に突起を備えた
ことを特徴とする。
【0014】
同請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記キャッピング位置に移動したときに、前記当接部に接触する吸収体を備えたことを特徴とする。
【0015】
同請求項6に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記当接部に吸収体を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吸引キャップのニップを清掃する機能を簡単で低コストで省スペースな構成で、今まで以上に長期間ニップ部のインク堆積を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置で用い得るキャップ清掃機構の構成について説明する正面図
【図2】図1のキャップ清掃機構の構成について説明する側面図
【図3】同キャップ清掃部材の掻き落とし部上面について説明する平面図
【図4】同キャップ清掃部材の動作について説明する図
【図5】本発明の実施例2に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図6】本発明の実施例3に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図7】本発明の実施例4に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図8】本発明の実施例5に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図9】本発明の実施例6に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図10】本発明の実施対象となり得る画像形成装置の一例の全体構成を説明する側面説明図
【図11】同装置の要部平面説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、インクジェットのキャップのヘッド面に当接するニップ部を清掃するのに際して、吸引キャップのニップを清掃する部材を簡単で低コストで省スペースな構成で、清掃部材がインクを掻き落とす方向を常に一方向にすることで、吸引キャップのニップを清掃する機能を簡単で低コストで省スペースな構成で、今まで以上に長期間ニップ部のインク堆積を防止するものである。
【実施例】
【0019】
<実施例1>
まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。なお、図10は本発明の実施対象となり得る画像形成装置の一例の全体構成を説明する側面説明図、図11は同装置の要部平面説明図である。この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体100の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図11で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0020】
キャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0021】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部40に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ40y、40m、40c、40kから、図示せぬ供給ポンプユニットによって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
【0022】
一方、給紙トレイ200の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0023】
搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図11のベルト搬送方向に周回移動する。
【0024】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ300を備えている。また、装置本体100の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0025】
さらに、図11に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャッピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。
【0026】
また、この維持回復機構81の下方側には維持回復動作のうちの空吐出受け84に対する空吐出及びワイパ部材83の清掃によって空吐出受け84から生じる廃液を収容するための交換されない第1廃液タンク100を、維持回復機構81の側方側にはカートリッジ装填部4の下側に装置本体100の前面側から交換可能な第2廃液タンク101を、それぞれ備えている。インクカートリッジ10及び第1廃液タンク101は、装置本体100の前面にある共通のカバーを開くことで、装置本体100の前面側から交換することができるため、低コスト化を図れる。
【0027】
また、図11に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0028】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ200から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、さらに先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0029】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0030】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ300に排紙する。そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0031】
図1は、上述のような画像形成装置で用い得るキャップ清掃機構の構成について説明する正面図である。また図2は、キャップ清掃機構の構成について説明する側面図である。図1と図2により、キャップ清掃機構の構成について説明する。
【0032】
キャリッジ1にはヘッド2が搭載され、キャリッジ1はガイドロッド3に摺動可能に保持されて、往復動作できるようになっている。吸引キャップ4と保湿キャップ5の突起が、ホルダ6の内溝6bに係合して上下方向に摺動可能に保持され、バネ13によって、上方向に付勢されている。これは、キャッピングしたときに適度な加圧力を発生させる。なお、以下では、このホルダ6にキャップが保持されている状態のものをキャップユニットと称する。
【0033】
吸引キャップ4はチューブ9を介して図示していない吸引ポンプと接続されている。ホルダ6は、ケース12に上下方向に摺動可能に保持され、ホルダ6の下方に配置され、カム軸7に備えられたカム8によって、上下動する。カム軸7はケース12に回動可能に保持され、駆動源(専用もしくは副走査、主走査、給紙、供給などの駆動源と共用)によって回転する。
【0034】
一対のキャップ清掃部材10は、ケース12に軸10aを軸支して、回動可能に設けてあり、引っ張りバネ14によって、常に閉じる方向に付勢されている。また中間部材11は、溝11aがホルダ6のリブ6aに係合して、上下方向に摺動可能に保持されている。
【0035】
図3は、キャップ清掃部材の掻き落とし部上面について説明する平面図である。キャップ清掃部材10の掻き落とし部10bは、吸引キャップ4のニップ4aと少しオーバーラップするように構成され、開口した状態となっている。
【0036】
図4は、キャップ清掃部材の動作について説明する図である。
図4(a)は、キャップユニットが下端位置まで下がった状態を示している。印刷動作などでキャリッジ1が動作するときの位置はこの位置となっている。
図4(b)は、キャップユニットが上昇し始めて、吸引キャップ4のニップ4aがキャップ清掃部材10の掻き落とし部10bを押し上げて、キャップ清掃部材10が軸10aを支点に回動して開いた状態を示している。ニップ4aは、掻き落とし部10bの下面に接触してからさらに上昇することで、掻き落とし部10bによってニップ4aに付着したインクが掻き落とされる。
【0037】
図4(c)は、キャップユニットがさらに上昇して、ヘッド2のノズル面をキャッピングした状態を示す。キャップユニットは、吸引キャップ4の上端がノズル面に接触する位置よりもさらに上昇した位置まで上昇し、吸引キャップ4はバネ13によって押し上げられている。そのため食い込んだ高さの分押し下げられ、吸引キャップ4を適度な圧力でノズル面に押し当てた状態となる。この時点では、中間部材11がキャップ清掃部材10の中間部材11に接触する当接部10cによって、挟まれた状態となり、引っ張りバネ14で付勢されているため、中間部材11をその高さで保持した状態となり、キャップ清掃部材10は完全に開いた状態となる。
【0038】
図4の(d)は、キャップユニットが下降していく状態を示している。キャップユニットは下降していくが、中間部材11はキャップ清掃部材10の当接部10cで挟まれて保持されているので、中間部材11は図4の(c)の位置のままで、キャップ清掃部材10は完全に開いた状態でキャップユニットが下がっていく。中間部材11の溝11aの下端にホルダ6のリブ6aが到達した時点で、吸引キャップ4のニップ4aの高さが、キャップ清掃部材10の掻き落とし部10bの下面よりも低い位置になる。キャップユニットがさらに下がっていき、ホルダ6のリブ6aが中間部材11を押し下げて、中間部材11がキャップ清掃部材10の当接部10cから外れると、中間部材11が落下して、キャップ清掃部材10が閉じる。しかし、このときには、吸引キャップ4のニップ4aはキャップ清掃部材10の掻き落とし部10bより下にあるため、掻き落とし部10bに接触することがなく、図4の(a)の状態となる。
【0039】
この図4(a)〜(d)の一連の動作を繰り返すが、吸引キャップ4のニップ4aにキャップ清掃部10の掻き落とし部10bが接触するのはキャップユニットが上昇していくときのみで、下降時には接触しない。そのため、ニップ4aのインクを掻き落とす方向は下方向の一方向のみとなり、それによってキャップ清掃機能をさらに長期間持続させることができるようになる。
【0040】
なお特許文献4の技術ではキャップの上昇時も下降時も吸引キャップ4のニップ4aに掻き落とし部10bに接触するので、掻き落とし部10bの上にインクが溜まるが、本実施例並びに以下に説明する他の本発明の実施例では、吸引キャップ4の上昇時だけ掻き落とし部10bがニップ4a接触し、下降時は中間部材11のために吸引キャップ4には触れないので、掻き落とし部10bの上にインクが溜まることがなく、それによって長期間にわたって洗浄機能を持続させることができるのである。
【0041】
<実施例2>
図5は、本発明の実施例2に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、キャップ清掃部材10全体の材質を弾性変形が大きいゴムなどの弾性部材にして、当接部10cの弾性変形を防止する補強リブ10fを追加し、ケース12に保持させる保持部10eの形状を角形状にすることで、キャップ清掃部材10を閉じる方向に付勢するバネなどの弾性部材を排除することができ、さらに低コストで構成することができるようにしている。
【0042】
<実施例3>
図6は、本発明の実施例3に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、掻き落とし部10bの材質を弾性変形が大きいゴムなどの弾性体で形成することで、ニップ4aに当接したときに、ニップ4aの形状に倣うことで、インクを除去する効率を高めることができるようにしている。
【0043】
<実施例4>
図7は、本発明の実施例4に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、掻き落とし部10bのニップ4aと当接する面に、ニップ4aの内側に入り込む突起部10dを形成することで、ニップ4aの内側からインクを除去することができ、より清掃機能の持続期間を長期化することができるようにしている。
【0044】
<実施例5>
図8は、本発明の実施例5に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、キャッピング時に、キャップユニットが上昇した位置で、掻き落とし部10bのニップ4aと接触する面に接触する吸収体15をキャップユニット側に備えることで、掻き落とし部10bに付着したインクを吸収して排除することで、キャップ清掃機能をより長期間持続させることができるようにしている。
【0045】
<実施例6>
図9は、本発明の実施例6に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、キャップ清掃部材10の掻き落とし部10bのニップ4aと接触する面に吸収体15を備えることで、ニップ4aに付着したインクをより効率良く掻き落とすことができるようにしている。
【符号の説明】
【0046】
1:キャリッジ
2:ヘッド
3:ガイドロッド
4:吸引キャップ
4a:吸引キャップのニップ
5:保湿キャップ
6:ホルダ
6a:ホルダのリブ
6b:同内溝
7:カム軸
8:カム
9:チューブ
10:キャップ清掃部材
10a:キャップ清掃部材の軸
10b:同掻き落とし部
10c:同当接部
10d:同突起部
10e:同保持部
10f:同補強リブ
11:中間部材
11a:中間部材の溝
12:ケース
13:バネ
14:引っ張りバネ
15:吸収体
21A、21B:左右の側板
31、32:ガイドロッド
33:キャリッジ
34、34a、34b:記録ヘッド
35、35a、35b:サブタンク
36:供給チューブ
40:カートリッジ装填部
40y、40m、40c、40k:インクカートリッジ
41:用紙積載部(圧板)
42:用紙
43:半月コロ(給紙コロ)
44:分離パッド
45:ガイド部材
46:カウンタローラ
47:搬送ガイド部材
48:押さえ部材
49:先端加圧コロ
51:搬送ベルト
52:搬送ローラ
53:テンションローラ
56:帯電ローラ
61:分離爪
62:排紙ローラ
63:拍車
71:両面ユニット
72:手差しトレイ
81:維持回復機構
82、82a、82b:キャップ
83:ワイパ部材(ワイパブレード)
84:空吐出受け
87:キャリッジロック
88:空吐出受け
89:開口部
100:画像形成装置の装置本体
101:第1廃液タンク
102:第2廃液タンク
200:給紙トレイ
300:排紙トレイ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特許第3276493号公報
【特許文献2】特開2000−289214号公報
【特許文献3】特許第4508131号公報
【特許文献4】特開2010−17892号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置、詳細にはインクジェットタイプの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような画像形成装置においては、インクジェットのヘッドからインクを吸引するために備えられた吸引キャップには、吸引したときのインクがニップ(ヘッドと接触する部分)に付着することがある。この状態でキャッピングするとノズル面にそのインクが転写される。このような動作が繰り返されると、付着したインクが徐々に堆積していき、増粘、固着して、ニップとノズル面の密着性を阻害して保湿性が損なわれたり、吸引できなくなったり、ノズル面側に堆積したインクがクリーニング動作でワイピングされたときにノズル上に引きずられたりしてしまい、ノズルの吐出不良を引き起こしたりするため、キャップのニップを清掃する部材が備えられた装置が提案され、既に知られている。
【0003】
しかし、キャップを清掃する部材を備えた従来の装置では、特に速乾性のインクの場合にはニップを清掃する清掃部材にもインクが堆積して、その状態でニップに対して相対移動して清掃する往復動作時に常に接触するため、清掃部材に堆積したインクをまたニップに転写してしまい、清掃機能を長期間持続できなかったり、装置が複雑で大型化して高価になってしまったりする。
【0004】
また、ニップに対して相対移動するときに往復動作時に常に触れず、片方向に移動するときだけ清掃する動作であれば、堆積したインクを一方向に掻き落とすので、清掃機能をより長期間持続させることができるが、そのような動作をさせるものは装置が複雑化、大型化して高価になっていた。
【0005】
特許文献1には、キャップのニップ部を清掃する目的で、キャップを保持してヘッドに対して接離する動作をするホルダの動作を利用して、レバーを介してキャップを清掃する部材がキャップのニップを清掃する動作をさせる構成が開示されている。しかし、清掃機能を長期間持続させることができないことや、機構が複雑で大型化して高価であるという問題が解消できていない。
【0006】
特許文献2には、キャップのニップ部を清掃する目的で、キャリッジ側に清掃部材が備えられ、キャリッジの走査の動作もしくは備えられた清掃部材自体が動作することによってキャップを清掃する構成が開示されている。しかし、やはり、機構が複雑で大型化して高価であるという問題が解消できていない。
【0007】
特許文献3には、キャップのニップ部を清掃する目的で、ヘッドをワイピングするワイパ部材のヘッド側とは反対側にキャップを清掃する部材を備え、ワイパ部材を走査させてキャップを清掃する構成が開示されている。しかし、これもやはり、機構が複雑で大型化して高価であるという問題を解消できていない。
【0008】
さらに特許文献4には、キャップのニップ部を清掃する目的で、キャップ部材がヘッドに対して接離するように摺動可能に保持したホルダにキャップを清掃する薄膜弾性部材を備え、キャップ接離動作によってキャップを清掃する構成が開示されている。しかし、これもやはり、清掃機能を長期間持続させることができないという問題を解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、キャップのニップを清掃する機能を簡単で低コストで省スペースな構成で、今まで以上に長期間ニップ部のインク堆積を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置のうち請求項1に係るものは、インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、前記キャップの前記ノズル面に当接する当接部を清掃する清掃手段とを備え、前記清掃手段は、前記記録ヘッドのキャッピング位置に移動するときに前記当接部と接触する第1の位置と、前記記録ヘッドのキャッピング位置から外れていく(デキャップ)とき前記当接部と接触しない第2の位置の間で揺動可能に設けられ、前記清掃手段を前記第1の位置に付勢する弾性部材と、前記清掃手段を前記第2の位置に保持する中間部材とを備えたことを特徴とする。
【0011】
同請求項2に係るものは、インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、前記キャップの前記ノズル面に当接する当接部を清掃する清掃手段とを備え、前記清掃手段は、前記記録ヘッドのキャッピング位置に移動するときに前記当接部と接触する第1の位置と、前記記録ヘッドのキャッピング位置から外れていく(デキャップ)とき前記当接部と接触しない第2の位置の間で揺動可能に設けられ、前記第2の位置に、弾性変形する弾性部材で形成され、前記清掃手段を前記第2の位置に保持する中間部材を備えたことを特徴とする。
【0012】
同請求項3に係るものは、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記当接部を弾性率の大きい弾性体で形成したことを特徴とする。
【0013】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記清掃手段の前記当接部に突起を備えた
ことを特徴とする。
【0014】
同請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記キャッピング位置に移動したときに、前記当接部に接触する吸収体を備えたことを特徴とする。
【0015】
同請求項6に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記当接部に吸収体を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吸引キャップのニップを清掃する機能を簡単で低コストで省スペースな構成で、今まで以上に長期間ニップ部のインク堆積を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置で用い得るキャップ清掃機構の構成について説明する正面図
【図2】図1のキャップ清掃機構の構成について説明する側面図
【図3】同キャップ清掃部材の掻き落とし部上面について説明する平面図
【図4】同キャップ清掃部材の動作について説明する図
【図5】本発明の実施例2に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図6】本発明の実施例3に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図7】本発明の実施例4に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図8】本発明の実施例5に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図9】本発明の実施例6に係るキャップ清掃部材について説明する図
【図10】本発明の実施対象となり得る画像形成装置の一例の全体構成を説明する側面説明図
【図11】同装置の要部平面説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、インクジェットのキャップのヘッド面に当接するニップ部を清掃するのに際して、吸引キャップのニップを清掃する部材を簡単で低コストで省スペースな構成で、清掃部材がインクを掻き落とす方向を常に一方向にすることで、吸引キャップのニップを清掃する機能を簡単で低コストで省スペースな構成で、今まで以上に長期間ニップ部のインク堆積を防止するものである。
【実施例】
【0019】
<実施例1>
まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。なお、図10は本発明の実施対象となり得る画像形成装置の一例の全体構成を説明する側面説明図、図11は同装置の要部平面説明図である。この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体100の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図11で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0020】
キャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0021】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部40に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ40y、40m、40c、40kから、図示せぬ供給ポンプユニットによって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
【0022】
一方、給紙トレイ200の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0023】
搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図11のベルト搬送方向に周回移動する。
【0024】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ300を備えている。また、装置本体100の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0025】
さらに、図11に示すように、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャッピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。
【0026】
また、この維持回復機構81の下方側には維持回復動作のうちの空吐出受け84に対する空吐出及びワイパ部材83の清掃によって空吐出受け84から生じる廃液を収容するための交換されない第1廃液タンク100を、維持回復機構81の側方側にはカートリッジ装填部4の下側に装置本体100の前面側から交換可能な第2廃液タンク101を、それぞれ備えている。インクカートリッジ10及び第1廃液タンク101は、装置本体100の前面にある共通のカバーを開くことで、装置本体100の前面側から交換することができるため、低コスト化を図れる。
【0027】
また、図11に示すように、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0028】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ200から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、さらに先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0029】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0030】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ300に排紙する。そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0031】
図1は、上述のような画像形成装置で用い得るキャップ清掃機構の構成について説明する正面図である。また図2は、キャップ清掃機構の構成について説明する側面図である。図1と図2により、キャップ清掃機構の構成について説明する。
【0032】
キャリッジ1にはヘッド2が搭載され、キャリッジ1はガイドロッド3に摺動可能に保持されて、往復動作できるようになっている。吸引キャップ4と保湿キャップ5の突起が、ホルダ6の内溝6bに係合して上下方向に摺動可能に保持され、バネ13によって、上方向に付勢されている。これは、キャッピングしたときに適度な加圧力を発生させる。なお、以下では、このホルダ6にキャップが保持されている状態のものをキャップユニットと称する。
【0033】
吸引キャップ4はチューブ9を介して図示していない吸引ポンプと接続されている。ホルダ6は、ケース12に上下方向に摺動可能に保持され、ホルダ6の下方に配置され、カム軸7に備えられたカム8によって、上下動する。カム軸7はケース12に回動可能に保持され、駆動源(専用もしくは副走査、主走査、給紙、供給などの駆動源と共用)によって回転する。
【0034】
一対のキャップ清掃部材10は、ケース12に軸10aを軸支して、回動可能に設けてあり、引っ張りバネ14によって、常に閉じる方向に付勢されている。また中間部材11は、溝11aがホルダ6のリブ6aに係合して、上下方向に摺動可能に保持されている。
【0035】
図3は、キャップ清掃部材の掻き落とし部上面について説明する平面図である。キャップ清掃部材10の掻き落とし部10bは、吸引キャップ4のニップ4aと少しオーバーラップするように構成され、開口した状態となっている。
【0036】
図4は、キャップ清掃部材の動作について説明する図である。
図4(a)は、キャップユニットが下端位置まで下がった状態を示している。印刷動作などでキャリッジ1が動作するときの位置はこの位置となっている。
図4(b)は、キャップユニットが上昇し始めて、吸引キャップ4のニップ4aがキャップ清掃部材10の掻き落とし部10bを押し上げて、キャップ清掃部材10が軸10aを支点に回動して開いた状態を示している。ニップ4aは、掻き落とし部10bの下面に接触してからさらに上昇することで、掻き落とし部10bによってニップ4aに付着したインクが掻き落とされる。
【0037】
図4(c)は、キャップユニットがさらに上昇して、ヘッド2のノズル面をキャッピングした状態を示す。キャップユニットは、吸引キャップ4の上端がノズル面に接触する位置よりもさらに上昇した位置まで上昇し、吸引キャップ4はバネ13によって押し上げられている。そのため食い込んだ高さの分押し下げられ、吸引キャップ4を適度な圧力でノズル面に押し当てた状態となる。この時点では、中間部材11がキャップ清掃部材10の中間部材11に接触する当接部10cによって、挟まれた状態となり、引っ張りバネ14で付勢されているため、中間部材11をその高さで保持した状態となり、キャップ清掃部材10は完全に開いた状態となる。
【0038】
図4の(d)は、キャップユニットが下降していく状態を示している。キャップユニットは下降していくが、中間部材11はキャップ清掃部材10の当接部10cで挟まれて保持されているので、中間部材11は図4の(c)の位置のままで、キャップ清掃部材10は完全に開いた状態でキャップユニットが下がっていく。中間部材11の溝11aの下端にホルダ6のリブ6aが到達した時点で、吸引キャップ4のニップ4aの高さが、キャップ清掃部材10の掻き落とし部10bの下面よりも低い位置になる。キャップユニットがさらに下がっていき、ホルダ6のリブ6aが中間部材11を押し下げて、中間部材11がキャップ清掃部材10の当接部10cから外れると、中間部材11が落下して、キャップ清掃部材10が閉じる。しかし、このときには、吸引キャップ4のニップ4aはキャップ清掃部材10の掻き落とし部10bより下にあるため、掻き落とし部10bに接触することがなく、図4の(a)の状態となる。
【0039】
この図4(a)〜(d)の一連の動作を繰り返すが、吸引キャップ4のニップ4aにキャップ清掃部10の掻き落とし部10bが接触するのはキャップユニットが上昇していくときのみで、下降時には接触しない。そのため、ニップ4aのインクを掻き落とす方向は下方向の一方向のみとなり、それによってキャップ清掃機能をさらに長期間持続させることができるようになる。
【0040】
なお特許文献4の技術ではキャップの上昇時も下降時も吸引キャップ4のニップ4aに掻き落とし部10bに接触するので、掻き落とし部10bの上にインクが溜まるが、本実施例並びに以下に説明する他の本発明の実施例では、吸引キャップ4の上昇時だけ掻き落とし部10bがニップ4a接触し、下降時は中間部材11のために吸引キャップ4には触れないので、掻き落とし部10bの上にインクが溜まることがなく、それによって長期間にわたって洗浄機能を持続させることができるのである。
【0041】
<実施例2>
図5は、本発明の実施例2に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、キャップ清掃部材10全体の材質を弾性変形が大きいゴムなどの弾性部材にして、当接部10cの弾性変形を防止する補強リブ10fを追加し、ケース12に保持させる保持部10eの形状を角形状にすることで、キャップ清掃部材10を閉じる方向に付勢するバネなどの弾性部材を排除することができ、さらに低コストで構成することができるようにしている。
【0042】
<実施例3>
図6は、本発明の実施例3に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、掻き落とし部10bの材質を弾性変形が大きいゴムなどの弾性体で形成することで、ニップ4aに当接したときに、ニップ4aの形状に倣うことで、インクを除去する効率を高めることができるようにしている。
【0043】
<実施例4>
図7は、本発明の実施例4に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、掻き落とし部10bのニップ4aと当接する面に、ニップ4aの内側に入り込む突起部10dを形成することで、ニップ4aの内側からインクを除去することができ、より清掃機能の持続期間を長期化することができるようにしている。
【0044】
<実施例5>
図8は、本発明の実施例5に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、キャッピング時に、キャップユニットが上昇した位置で、掻き落とし部10bのニップ4aと接触する面に接触する吸収体15をキャップユニット側に備えることで、掻き落とし部10bに付着したインクを吸収して排除することで、キャップ清掃機能をより長期間持続させることができるようにしている。
【0045】
<実施例6>
図9は、本発明の実施例6に係るキャップ清掃部材について説明する図である。
本実施例は、キャップ清掃部材10の掻き落とし部10bのニップ4aと接触する面に吸収体15を備えることで、ニップ4aに付着したインクをより効率良く掻き落とすことができるようにしている。
【符号の説明】
【0046】
1:キャリッジ
2:ヘッド
3:ガイドロッド
4:吸引キャップ
4a:吸引キャップのニップ
5:保湿キャップ
6:ホルダ
6a:ホルダのリブ
6b:同内溝
7:カム軸
8:カム
9:チューブ
10:キャップ清掃部材
10a:キャップ清掃部材の軸
10b:同掻き落とし部
10c:同当接部
10d:同突起部
10e:同保持部
10f:同補強リブ
11:中間部材
11a:中間部材の溝
12:ケース
13:バネ
14:引っ張りバネ
15:吸収体
21A、21B:左右の側板
31、32:ガイドロッド
33:キャリッジ
34、34a、34b:記録ヘッド
35、35a、35b:サブタンク
36:供給チューブ
40:カートリッジ装填部
40y、40m、40c、40k:インクカートリッジ
41:用紙積載部(圧板)
42:用紙
43:半月コロ(給紙コロ)
44:分離パッド
45:ガイド部材
46:カウンタローラ
47:搬送ガイド部材
48:押さえ部材
49:先端加圧コロ
51:搬送ベルト
52:搬送ローラ
53:テンションローラ
56:帯電ローラ
61:分離爪
62:排紙ローラ
63:拍車
71:両面ユニット
72:手差しトレイ
81:維持回復機構
82、82a、82b:キャップ
83:ワイパ部材(ワイパブレード)
84:空吐出受け
87:キャリッジロック
88:空吐出受け
89:開口部
100:画像形成装置の装置本体
101:第1廃液タンク
102:第2廃液タンク
200:給紙トレイ
300:排紙トレイ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特許第3276493号公報
【特許文献2】特開2000−289214号公報
【特許文献3】特許第4508131号公報
【特許文献4】特開2010−17892号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、前記キャップの前記ノズル面に当接する当接部を清掃する清掃手段とを備え、
前記清掃手段は、前記記録ヘッドのキャッピング位置に移動するときに前記当接部と接触する第1の位置と、前記記録ヘッドのキャッピング位置から外れていく(デキャップ)とき前記当接部と接触しない第2の位置の間で揺動可能に設けられ、
前記清掃手段を前記第1の位置に付勢する弾性部材と、
前記清掃手段を前記第2の位置に保持する中間部材と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、前記キャップの前記ノズル面に当接する当接部を清掃する清掃手段とを備え、
前記清掃手段は、前記記録ヘッドのキャッピング位置に移動するときに前記当接部と接触する第1の位置と、前記記録ヘッドのキャッピング位置から外れていく(デキャップ)とき前記当接部と接触しない第2の位置の間で揺動可能に設けられ、
前記第2の位置に、弾性変形する弾性部材で形成され、前記清掃手段を前記第2の位置に保持する中間部材を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記当接部を弾性率の大きい弾性体で形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記清掃手段の前記当接部に突起を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記キャッピング位置に移動したときに、前記当接部に接触する吸収体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記当接部に吸収体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、前記キャップの前記ノズル面に当接する当接部を清掃する清掃手段とを備え、
前記清掃手段は、前記記録ヘッドのキャッピング位置に移動するときに前記当接部と接触する第1の位置と、前記記録ヘッドのキャッピング位置から外れていく(デキャップ)とき前記当接部と接触しない第2の位置の間で揺動可能に設けられ、
前記清掃手段を前記第1の位置に付勢する弾性部材と、
前記清掃手段を前記第2の位置に保持する中間部材と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、前記キャップの前記ノズル面に当接する当接部を清掃する清掃手段とを備え、
前記清掃手段は、前記記録ヘッドのキャッピング位置に移動するときに前記当接部と接触する第1の位置と、前記記録ヘッドのキャッピング位置から外れていく(デキャップ)とき前記当接部と接触しない第2の位置の間で揺動可能に設けられ、
前記第2の位置に、弾性変形する弾性部材で形成され、前記清掃手段を前記第2の位置に保持する中間部材を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記当接部を弾性率の大きい弾性体で形成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記清掃手段の前記当接部に突起を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記キャッピング位置に移動したときに、前記当接部に接触する吸収体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記当接部に吸収体を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−139933(P2012−139933A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294576(P2010−294576)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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