説明

画像形成装置

【課題】速度変動検知用画像を形成することなく、かつ、簡易な制御で色ずれを低減する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、感光体ドラム2a〜2dと、感光体ドラム2dを回転駆動する第1の駆動モータ301と、感光体ドラム2a〜2cを回転駆動する第2の駆動モータ302と、感光体ドラム2dと、感光体ドラム2a〜2cの1つである比較対象ドラムとの回転位相差の誤差を検出し、検出した誤差が許容範囲内となる様に、第1の駆動モータ301又は第2の駆動モータ302を加速又は減速する制御部201とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より詳しくは、各色のトナー像の色ずれを低減させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像形成装置は、各感光体ドラムに異なる色のトナー像を形成し、各トナー像を転写材に重ね合わせて転写することでカラー画像を形成している。各トナー像の転写材への転写位置がずれると、色ずれとなって画像に現れる。色ずれは、画像形成装置の組み付け時の部材の位置ずれ等により発生する定常的な色ずれ(DC色ずれ)と、感光体ドラム等の偏心等により発生する周期的な色ずれ(AC色ずれ)に大別できる。
【0003】
特許文献1は、ある感光体ドラムを基準として、他の感光体ドラムの回転位相を個別に制御することで色ずれを小さくする構成を開示している。また、特許文献2は、各色の速度変動検知用画像を転写材に形成し、形成した速度変動検知用画像に基づき各感光体ドラムの回転位相を制御することで色ずれを小さくする構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−021943号公報
【特許文献2】特開2008−250124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成は、各感光体ドラムの回転位相を個別に制御するものであり、制御が複雑になる。また、特許文献2に記載の構成は、まず速度変動検知用画像を形成する必要があり、よって、色ずれの補正制御に必要な時間が長くなる。また、色ずれの補正制御のためにトナーを消費することになる。
【0006】
したがって、本発明は、速度変動検知用画像を形成することなく、かつ、簡易な制御で色ずれを低減する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による画像形成装置は、第1の像担持体と、複数の第2の像担持体と、第1の像担持体を回転駆動する第1の駆動手段と、複数の第2の像担持体を回転駆動する第2の駆動手段と、第1の像担持体と、複数の第2の像担持体の1つである比較対象像担持体との回転位相差の誤差を検出し、検出した誤差が許容範囲内となる様に、第1の駆動手段又は第2の駆動手段を加速又は減速する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
複数ある第2の像担持体は1つの駆動手段により駆動されているため、第1の像担持体と、複数ある第2の像担持体の1つとの回転位相差の誤差を調整するのみで、総ての像担持体の回転位相が合うことになる。よって、個々の像担持体の回転位相を個別に制御する必要はなく制御を簡略化することができる。また、本発明においては、速度変動を検知するための画像を印刷する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置の画像形成部の概略的な構成図。
【図2】画像形成装置の概略的なブロック図。
【図3】画像形成装置の感光体ドラムの制御構成のブロック図。
【図4】感光体ドラムの駆動構成図。
【図5】色ずれを低減するための感光体ドラムの回転位相制御のフローチャート。
【図6】色ずれの発生を示す図。
【図7】比較対象の感光体ドラムの決定処理のフローチャート。
【図8】目標位相誤差の決定処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態の1例について、以下では図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
(第一実施形態)まず、図1を用いて本実施形態にかかるカラー画像形成装置の画像形成部100の概略を説明する。図1において、帯電部3a〜3dは、それぞれ、対応する感光体ドラム2a〜2dの表面を所定電位に均一に帯電する。露光部7a〜7dは、それぞれ、入力される画像信号に基づき対応する感光体ドラム2a〜2dをレーザ光で露光し、像担持体である各感光体ドラム2a〜2dの表面に画像信号に応じた静電潜像を形成する。なお、感光体ドラム2a〜2dは、それぞれ、イエロー、シアン、マゼン、ブラックに対応している。現像装置4a〜4dは、それぞれ、対応する色のトナーを収容しており、対応する感光体ドラム2a〜2dの静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する。一次転写部5a〜5dは、対応する感光体ドラム2a〜2dのトナー像を、中間転写体6に転写する。なお、各色のトナー像は、中間転写体6に重ね合わせて転写される。中間転写体6に転写された各色のトナー像は、図示しない二次転写部により転写材に転写される。
【0012】
図2に示す様に、画像形成装置の画像処理部300は、パソコンといったホストコンピュータから画像情報及び印刷命令を受け取ると、受け取った画像情報から画像信号を生成し、生成した画像信号をプリンタ制御部150に出力する。プリンタ制御部150のレーザ駆動部206は、画像処理部300から画像信号を受け取ると、制御部(CPU)201の制御の下、露光部7a〜7dが画像信号に応じたレーザ光を照射する様に露光部7a〜7dを駆動する。また、CPU201は、画像形成部100の各部材を制御して、転写材に画像信号に応じた画像を形成させる。なお、CPU201は、読み取り専用メモリ203(ROM)に保存されているプログラムを実行することで、画像形成部100の制御を行う。また、CPU201は、RAM204を、入力データの記憶や作業用記憶領域等として使用する。図2に示す様に、画像形成部100には、感光体ドラム2dを駆動する第1の駆動モータ301と、感光体ドラム2a〜2cを駆動する第2の駆動モータ302が設けられている。さらに、各感光体ドラム2a〜2dの回転速度及び回転位相を検出するため、各感光体ドラム2a〜2dに対応したセンサ8a〜8dが設けられている。これら、第1の駆動モータ301及び302並びにセンサ8a〜8dは、I/Oインタフェース205に接続されている。CPU201は、I/Oインタフェース205経由で、第1の駆動モータ301及び302を制御し、センサ8a〜8dから感光体ドラム2a〜2dの回転速度及び回転位相を示す情報を取得する。
【0013】
続いて、図3を用いて、本実施形態における各感光体ドラム2a〜2dの制御構成について説明する。CPU201は、感光体ドラム2d(第1の像担持体)を回転駆動する第1の駆動モータ301からモータの速度を示すFG信号を受信し、FG信号に基づき第1の駆動モータ301を制御する。具体的には、CPU201は、FG信号が示す回転速度が目標速度より遅ければ加速信号(ACC)を、目標速度より速ければ減速信号(DEC)を、第1の駆動モータ301に出力する。ギヤ10dは、第1の駆動モータ301の動力を感光体ドラム2dに伝達するためのものであり、ギヤ10dには、フラグ9dが設けられている。また、センサ8dは、光照射素子と光検出素子を含み、光照射素子から照射した光を光検出素子が検出する様に構成されている。なお、本実施形態において、センサ8dは、光検出素子が光照射素子からの光を検出している間はオフを出力し、光照射素子からの光を検出しない間はオンを出力するものとする。しかしながら、光検出素子が光照射素子からの光を検出している間はオンを出力し、光照射素子からの光を検出しない間はオフを出力するものであっても良い。
【0014】
フラグ9dは、ギヤ10dが1回転する度に、センサ8dの光照射素子から光検出素子に至る光路を1回横切る様に取り付けられている。つまり、フラグ9dは、ギヤ10dが1回転する度に、光照射素子から光検出素子に至る光を遮断する。これにより、CPU201は、フラグ9dがセンサ8dの光路を横切るタイミング、つまり回転位相を検出する。図4に感光体ドラム2dの回転位相を検出するための各部材の構成図を示す。なお、図4(b)は、図4(a)の第1の駆動モータ301の側から感光体ドラム2dの方向を見た図である。また、図4(a)及び(b)の矢印は、それぞれ、感光体ドラム2d及びギヤ10dの回転方向を示している。
【0015】
図3に戻り、CPU201は、感光体ドラム2a〜2c(複数の第2の像担持体)を回転駆動する第2の駆動モータ302の回転速度についても、第1の駆動モータ301と同様な方法により制御する。つまり、CPU201は、第2の駆動モータ302から受信するFG信号に基づき、加速信号(ACC)及び減速信号(DEC)を使用して第2の駆動モータ302が目標速度となる様に制御する。また、ギヤ10a〜10c及び311は、それぞれ、第2の駆動モータ302の動力を感光体ドラム2a〜2cに伝達するためのものであり、ギヤ10a〜10cには、それぞれ、フラグ9a〜9cが設けられている。さらに、センサ8dと同様に、各感光体ドラム2a〜2cの回転位相を検出するために、各フラグ9a〜9cに対応してセンサ8a〜8cが設けられている。なお、センサ8a〜8cはセンサ8dと同じ構成である。ギヤ10a〜10cを、製造の際に生じるギヤの偏心成分をキャンセルする様に組み付けることで、第2の駆動モータの回転による相対的な回転位相のずれを非常に低くすることができる。
【0016】
なお、以下の説明において、感光体ドラム2a〜2dの回転位相とは、フラグ9a〜9dがセンサ8a〜8dの光路を横切っているときを基準とした位相とする。つまり、感光体ドラム2a〜2cの回転位相は、フラグ9a〜9dがセンサ8a〜8dの光路を横切っているときに零となる。また、感光体ドラムAに対する感光体ドラムBの回転位相差とは、感光体ドラムAを基準とした、感光体ドラムAの基準位相と感光体ドラムBの基準位相の差を意味するものとする。つまり、感光体ドラムBに対応するフラグがセンサを横切っているときの感光体ドラムAの回転位相を意味するものとする。
【0017】
感光体ドラム2a〜2dを駆動する場合、ギヤ10a〜10dの累積ピッチ誤差や、回転軸の偏心といった駆動伝達系誤差の影響により、副走査方向において、各トナー像の相対的な位置ずれが発生する。これは、感光体ドラム2a〜2dの回転軸に偏心がある場合、感光体ドラムの回転速度が変動し、露光部7a〜7dからのレーザ光の照射位置が変動することに起因している。
【0018】
続いて、図5を用いて本実施形態における感光体ドラムの回転位相制御について説明する。なお、以下の説明においては、ブラック用の感光体ドラム2dを基準ドラムと呼び、シアン用の感光体ドラム2cを比較対象ドラム(比較対象像担持体)と呼ぶものとする。また、基準ドラムの回転位相を検出するセンサ8dを基準センサと呼び、比較対象ドラムの回転位相を検出するセンサ8cを比較対象センサと呼ぶものとする。
【0019】
CPU201は、S101において、画像処理部300から印刷処理を指示されたか否かを判定する。CPU201は、印刷処理の指示を受け取ると、S102及びS103において、第1の駆動モータ301及び第2の駆動モータ302が、目標回転速度となる様に制御する。CPU201は、S103において、第1の駆動モータ301及び第2の駆動モータ302が目標回転速度に達した場合、S104において、基準センサの出力がオンとなるまで、つまり、本例においては、フラグ9dがセンサ8dの光路を横切るまで待機する。
【0020】
CPU201は、基準センサの出力がオンとなると、S105において、所定速度のクロックによりカウントを開始する。CPU201は、カウント開始後、S106において、比較対象センサの出力を監視する。比較対象センサの出力がオンとなると、CPU201は、S107においてカウントを終了し、S108においてカウント値に基づき、感光体ドラム2dに対する感光体ドラム2cの回転位相差の誤差(以下、回転位相誤差と呼ぶ。)を算出する。例えば、感光体ドラム2cの基準位相が、感光体ドラム2dの基準位相に対して100°だけ遅れる様に制御するものとし、100°に対応するカウント値が1000であるものとする。この場合、カウント値が1000であると、CPU201は、S108において回転位相誤差が零であると算出する。これに対して、例えば、カウント値が1050であると、CPU201は、S108において回転位相誤差が5°(遅れ)であると算出する。CPU201は、S109において、回転位相誤差が許容範囲内となる様に調整する。回転位相誤差の調整は、回転位相誤差が許容範囲内となるまで第1の駆動モータ301又は第2の駆動モータ302を加速又は減速することで行う。例えば、感光体ドラム2cの位相が5°遅れている場合、第2の駆動モータ302を加速させるか、第1の駆動モータ301を減速させる。CPU201は、S110において、回転位相誤差が許容範囲内にあるか否かを判定し、許容範囲内にある場合には、第1の駆動モータ301及び第2の駆動モータ302を目標回転速度で回転させる様に制御して、回転位相制御を終了する。なお、許容範囲は、例えば、予めROM203に設定されている目標位相誤差により定義され、例えば、目標位相誤差の絶対値をAとすると、許容範囲は−Aより大きく、+A未満の範囲として定義される。
【0021】
本実施形態において、感光体ドラム2a〜2cは、位相組みによって位相調整されているため感光体ドラム2dと、感光体ドラム2a〜2cのいずれか1つの感光体ドラムの回転位相差を調整すれば、感光体ドラム2a〜2dの回転位相が合うことになる。本実施形態においては、個々の感光体ドラムの回転位相を個別に制御する必要はなく制御を簡略化することができる。また、速度変動を検知するための画像を印刷する必要もない。
【0022】
なお、感光体ドラム2a〜2dの回転位相制御を、印刷処理開始時に行う形態で説明したが、本実施形態はそれに限定されず、例えば、印刷終了時や、電源投入時に実行する形態とすることができる。さらに、画像形成装置内部の部材の交換やジャム処理のためのドアが閉じられたときに、感光体ドラム2a〜2dの回転位相制御を実行することもできる。電源投入時や、ドアが閉じられたときには、各感光体ドラム2a〜2dの回転位相差が、許容範囲から大きくずれている可能性があり、予め回転位相制御を行って、回転位相を許容範囲内に設定しておく。印刷処理を行っていない時に、感光体ドラム2a〜2dの回転位相制御を行っておくことで、印刷処理時の回転位相制御は短時間に終了し、よって、最初の印刷を開始できるまでの時間を短くすることができる。
【0023】
図6(a)は、感光体ドラム2a〜2dの回転速度の変動を示す波形図である。なお、横軸は、感光体ドラム2a〜2dの回転角を示し、縦軸は速度の変動量を示している。また、図6(a)において、直線Tは、中間転写体6のトナー像の転写位置を結んだものである。つまり、点TYが感光体ドラム1aの転写位置を、点TMが感光体ドラム2bの転写位置を、点TCが感光体ドラム2cの転写位置を、点TKが感光体ドラム1dの転写位置を、それぞれ、示している。図6(b)及び(c)は中間転写体6へのトナー像の転写位置の変動量である。図6(b)は、感光体ドラム2a〜2dの回転位相が合っている場合を示しており、この状態において、色ずれのほとんどない高品質の画像が得られる。一方、図6(c)は、感光体ドラム2a〜2dの回転位相が合っていない状態を示している。具体的には、感光体ドラム2a〜2cは、位相組みしてあるため回転位相が合った状態であるが、感光体ドラム2dとの回転位相が合っていないため、4色重ね合わせた場合、ブラックだけがずれた画像となる状態を示している。
【0024】
なお、感光体ドラム2a〜2cは、回転位相が合っていることを前提としているが、組み込み時のずれやギヤの磨耗によって理論的な回転位相からずれてしまう可能性がある。図5を用いた説明では、感光体ドラム2cを比較対象ドラムとして回転位相制御を行っていた。しかしながら、感光体ドラム2a〜2c間の回転位相のずれを考慮すると、これらの回転位相のずれ量に基づき比較対象ドラムを決定することが好ましい。以下、図7を用いて比較対象ドラムの決定方法について説明する。なお、以下の説明において、感光体ドラム2dに対する感光体ドラム2a〜2cの回転位相差は、それぞれ、140°、120°、100°に設定されているものとする。また、以下の説明においては、参照ドラムを、感光体ドラム2cとするが、参照ドラムは感光体ドラム2a〜2cの何れであっても良い。
【0025】
CPU201は、感光体ドラム2a〜2cが目標回転速度となった後、S201において、参照ドラムである感光体ドラム2cに対応するセンサ8c(シアン:C用)がオンとなるまで待機する。CPU201は、センサ8cがオンを出力したことを検出すると、S202において、各カウンタを零に初期化し、S203において、所定速度のクロックにより各カウンタのカウントを開始する。その後、CPU201は、S208において、センサ8cのオンを再び検出するまで、S204〜S207の処理を繰り返す。
【0026】
S204及びS206において、CPU201は、それぞれ、感光体ドラム2a及び2bに対応するセンサ8a(イエロー:Y用)及び8b(マゼンダ:M用)がオンであるか否かを判定する。CPU201は、センサ8aのオンを検出すると、S205において、カウンタCntYのカウントを終了する。同様に、CPU201は、センサ8bのオンを検出すると、S207において、カウンタCntMのカウントを終了する。
【0027】
CPU201は、S208において、センサ8dのオンを検出すると、S209において、カウンタCntCのカウントを終了する。続いて、CPU201は、S210において、カウンタCntY、CntM、CntCの値から感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2a及び2bの回転位相差を算出する。具体的には、カウンタCntCとCntYの値の差と、カウンタをカウントするクロックの速度から、CPU201は、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2aの回転位相差を算出する。同様に、カウンタCntCとCntMの値の差と、カウンタをカウントするクロックの速度から、CPU201は、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2bの回転位相差を算出する。ここでは、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2aの回転位相差が44°と、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2bの回転位相の差が22°と算出されたものとする。
【0028】
CPU201は、S211において回転位相誤差を算出する。本例において、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2aの理想的な回転位相差は40°であるため、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2aの回転位相誤差は4°となる。同様に、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2bの理想的な回転位相差は20°であるため、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2bの回転位相誤差は2°となる。よって、図5の制御において、比較対象ドラムを感光体ドラム2cとすると、感光体ドラム2a及び感光体ドラム2bの色ずれは、それぞれ、4°及び2°となる。同様に、比較対象ドラムを感光体ドラム2aとすると、感光体ドラム2b及び感光体ドラム2cの色ずれは、それぞれ、−2°及び−4°となる。一方、比較対象ドラムを感光体ドラム2bとすると、感光体ドラム2a及び感光体ドラム2cの色ずれは、それぞれ、2°及び−2°となる。したがって、CPU201は、回転位相誤差の絶対値の最大値が一番小さくなる感光体ドラム2bを、S212において比較対象ドラムに選択する。つまり、CPU201は、感光体ドラム2aから2cのそれぞれについて、別の感光体ドラムとの回転位相誤差の絶対値の合計値を求め、求めた合計値が一番小さい感光体ドラムを比較対象ドラムに選択する。
【0029】
(第二実施形態)続いて、第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態においては、図5のS109及びS110での回転位相誤差の調整においては、回転位相誤差の絶対値を予め定めた目標位相誤差未満となる様に制御するものであった。本実施形態は、予め定めた目標位相誤差を使用するのではなく、目標位相誤差を実測値に基づき動的に設定するものである。以下、第一実施形態との相違点について説明を行う。なお、本実施形態においても、感光体ドラム2dに対する感光体ドラム2a〜2cの理想的な回転位相差が、それぞれ、140°、120°、100°であるものとする。また、以下の説明においては、参照ドラムを、感光体ドラム2cとするが、参照ドラムは感光体ドラム2a〜2cの何れであっても良い。
【0030】
続いて、図8を用いて、感光体ドラムの目標位相誤差を決定するための処理を説明する。なお、S301〜S311の処理は、図7のS201〜S211の処理と同様であるので説明は省略する。なお、本実施形態においても、S311において、感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2a及び2bの回転位相差の誤差が、それぞれ、4°及び2°と算出されたものとする。
【0031】
S312において、CPU201は、回転位相誤差の平均値を目標位相誤差に設定する。上記例においては、参照ドラムである感光体ドラム2cに対する感光体ドラム2cの回転位相誤差が零であることから、回転位相誤差の平均値は(4+2+0)/3=2°となる。したがって、感光体ドラム2cの感光体ドラム2dに対する目標位相誤差を2°に設定する。つまり、感光体ドラム2cの感光体ドラム2dに対する回転位相誤差の絶対値が2°未満となる様に、CPU201は、図5のS109において第1の駆動モータ301又は第2の駆動モータ302を制御する。本実施形態においては、固定的な回転位相差となる様に組み立てられた感光体ドラム2a〜2cの回転位相誤差に基づき、感光体ドラム2dに対する回転位相制御を行うことで、実際の画像形成装置の状態を考慮した回転位相制御を実施することができる。
【0032】
なお、S312において、平均値を使用するのではなく、0から回転位相誤差の絶対値以下の範囲においてランダムに選択する形態であっても良い。つまり、上記例では、0〜4°の範囲でランダムに選択する。なお、選択する値は、例えば、印刷するページ単位で変更する。これにより、ブラックのトナー像に対する、イエロー、マゼンダ及びシアンのトナー像の色ずれがページ毎に異なることとなり、視覚的には色ずれを認識しづらくすることができる。
【0033】
以上、感光体ドラム2a〜2cのうちの1つである比較対象ドラムと、感光体ドラム2dの回転位相誤差が許容範囲内となる様に、第1の駆動モータ301又は第2の駆動モータ302を制御する。この構成により、個々の感光体ドラムの回転位相を個別に制御することなく、色ずれを低減させることができる。また、本実施形態においては、速度変動を検知するための画像を印刷する必要はない。
【0034】
なお、比較対象ドラムは、感光体ドラム2a〜2cのそれぞれについて、別の感光体ドラムとの回転位相誤差の絶対値の合計値を求め、求めた合計値が最小となる感光体ドラムとする。この構成により、色ずれを低減することができる。
【0035】
なお、許容範囲は、比較対象ドラムと、感光体ドラム2a〜2cの比較対象ドラムとは別の感光体ドラムとの回転位相誤差の平均値から設定する。実際の感光体ドラム2a〜2cの回転位相のズレ量により許容範囲を設定することで、適切な許容範囲とすることができる。さらに、平均値ではなく、0から回転位相誤差の絶対値以下の範囲において許容範囲をランダムに選択する。この構成により、視覚的には色ずれを認識しづらくすることができる。
【0036】
また、感光体ドラム2a〜2dに対してセンサ8a〜8dを設ける。センサ8a〜8dの光照射素子と光検出素子間の光路が、対応する感光体ドラム2a〜2dが回転する度に遮断される様に構成することで、2つの感光体ドラムの回転位相差を簡易に検出することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の像担持体と、
複数の第2の像担持体と、
前記第1の像担持体を回転駆動する第1の駆動手段と、
前記複数の第2の像担持体を回転駆動する第2の駆動手段と、
前記第1の像担持体と、前記複数の第2の像担持体の1つである比較対象像担持体との回転位相差の誤差を検出し、該検出した誤差が許容範囲内となる様に、前記第1の駆動手段又は前記第2の駆動手段を加速又は減速する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の第2の像担持体のそれぞれについて、前記複数の第2の像担持体の別の第2の像担持体との回転位相差の誤差の絶対値の合計値を求め、前記合計値が一番小さくなる第2の像担持体を前記比較対象像担持体として選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記許容範囲は、目標位相誤差の絶対値をAとすると、−Aより大きく、+A未満の範囲であり、
前記制御手段は、前記比較対象像担持体と、前記複数の第2の像担持体の前記比較対象像担持体とは異なる第2の像担持体との回転位相差の誤差の平均値を前記目標位相誤差とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記許容範囲は、目標位相誤差の絶対値をAとすると、−Aより大きく、+A未満の範囲であり、
前記制御手段は、前記比較対象像担持体と、前記複数の第2の像担持体の前記比較対象像担持体とは異なる第2の像担持体との回転位相差の誤差の絶対値以下の値から前記目標位相誤差を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の像担持体及び前記複数の第2の像担持体のそれぞれに対応して設けられる光照射素子及び光検出素子を含むセンサと、フラグとをさらに備えており、
前記フラグは、対応する像担持体の回転により、対応する前記センサの前記光照射素子から前記光検出素子への光路を遮断し、
前記制御手段は、前記第1の像担持体及び前記複数の第2の像担持体のうちの2つの像担持体の回転位相差の誤差を、前記2つの像担持体に対応する2つのセンサの出力により検出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−159801(P2012−159801A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21080(P2011−21080)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】