説明

画像形成装置

【課題】用紙表裏での画像のずれを発生させない用紙表裏反転を行うとともに、生産性の高い両面画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】用紙をその搬送方向に直交する幅方向に回転させて表裏を反転する用紙反転装置を備えるとともに、用紙反転装置に複数の用紙を導入させ、導入した複数の用紙の表裏反転を同時に行わせる用紙反転制御手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の両面に画像形成する両面画像形成が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両面画像形成が可能な画像形成装置においては、像担持体に形成されたトナー像を、転写部が配設されている領域である転写領域に搬送された用紙の一方の面に転写し、さらに定着した後、トナー像が転写された用紙を用紙反転装置にて表裏を反転する。そして、表裏が反転された用紙を再び転写領域に搬送し、トナー像が転写されていない側の面にトナー像の転写を行って用紙の表、裏面に画像形成、すなわち両面画像形成を行う。
【0003】
用紙反転装置としては、スイッチバック方式とも言われる、片面に画像形成された用紙を一旦スイッチバック搬送路に導入し、スイッチバック搬送路に導入した用紙の後端を先端として再び転写領域に搬送することにより表裏を反転する方式の用紙反転装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
画像形成装置は、転写領域を搬送される用紙の所定位置に像担持体に形成されたトナー像が適切に転写されるように、転写領域に向けて用紙を搬送されるタイミングを規制するレジスト機構が配されている。レジスト機構としては、レジストローラにて用紙を搬送されるタイミングを規制することが一般的である。レジストローラは、それぞれの回転軸を平行にして当接する2本のローラからなり、搬送されてきた用紙の先端を2本のローラの当接部にて一端受け止め、転写領域にて像担持体に形成されるトナー像が適切な位置に転写されるタイミングにて回転を開始し、2本のローラの当接部にて一端受け止めた用紙を転写領域に搬送する。また、レジストローラは、転写領域に向けて用紙を搬送するに際し、傾きを有して搬送されてきた用紙の傾きを修正する。画像形成には、通常、長方形をなす用紙が用いられる。用紙が傾きを有して搬送される、とは、用紙が搬送される方向(用紙搬送方向)に対して垂直な方向と、長方形をなす用紙の搬送方向に直交する方向の辺とがなす角度が等しくない状態で搬送されることをいう。なお、用紙が搬送される方向に沿った方向を搬送方向、用紙の搬送方向に対して直交する方向を、幅方向、と称することにする。
【0005】
レジストローラの当接部は、用紙の搬送方向に直交するように配置、構成される。そして、傾きを有して搬送されてきた用紙の先端側の辺が2本のローラの当接部に沿って受け止められることにより先端側の辺は用紙搬送方向に対して垂直になり、レジストローラから転写領域に搬送される用紙の先端側の辺は搬送方向に対して垂直になる。すなわち用紙の傾きが修正される。
【0006】
しかし、長方形をなす用紙の隣り合う2辺がなす角度が必ずしも90°(直角)になっていないことがある。このような、隣り合う2辺のなす角度が90°(直角)になっていない用紙が画像形成に供されたときは、搬送される先端側の辺と後端側の辺とは必ずしも平行でない場合がある。
【0007】
このような用紙を用いて、スイッチバック方式、すなわち用紙の搬送方向の先端と後端を入れ替えて転写領域に搬送することにより表裏を反転する方式の場合、レジストローラにてなされる用紙の傾きの修正が、用紙の表裏で異なることになる。したがって、転写領域に搬送される用紙の傾きが用紙の表裏で異なり、用紙の表裏で、用紙の輪郭に対しての転写されたトナー像の位置にずれが生じるおそれがある。用紙表裏での画像のずれが生じることは、後工程で製本などを行う場合には大きな問題となる。
【0008】
この問題に対して、用紙を搬送方向に直交する幅方向に回転させることにより、用紙の先端と後端とを入れ替えることなく用紙の表裏を反転する用紙反転装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−35265号公報
【特許文献2】特開平7−43958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に提案されている技術では、用紙反転装置に用紙を1枚ずつ導入し、用紙の表裏反転を1枚ずつ行うので、両面画像形成の生産性が低くなる、という問題がある。
【0011】
本発明は、用紙表裏での画像のずれを発生させない用紙表裏反転を行うとともに、生産性の高い両面画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することを課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、以下の手段により解決される。
【0013】
1.トナー像を担持する像担持体、
前記像担持体に担持されたトナー像を用紙に転写する転写部と、
用紙を搬送する用紙搬送部と、
用紙をその搬送方向に直交する幅方向に回転させて表裏を反転する用紙反転装置と、
を有し、
前記転写部にて片面にトナー像の転写がなされた用紙を前記用紙反転装置にて表裏を反転し、先にトナー像の転写がなされた面の裏面に前記転写部にてトナー像の転写を行うことにより用紙の両面に画像形成を行う画像形成装置において、
前記用紙反転装置は複数の用紙を同時に導入可能であり、導入した複数の用紙の表裏反転を同時に行わせる用紙反転制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【0014】
2.前記用紙反転装置は、搬送される用紙の前記幅方向の中心線を回転軸として回転することにより、用紙の表裏の反転を行うことを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0015】
3.前記用紙反転制御手段は、前記用紙反転装置が同時に表裏を反転する用紙の数を、用紙の搬送方向の長さに基づいて決定することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0016】
4.前記用紙反転装置は、前記用紙反転装置が同時に導入可能な用紙の最大数に対応する数の用紙移動手段を有し、
前記用紙移動手段のそれぞれは、前記用紙反転装置に導入された複数の用紙のそれぞれを、前記用紙反転装置の所定位置に移動することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0017】
5.前記用紙反転装置にて表裏反転された用紙の幅方向の位置を検出する幅方向位置検出手段と、
表裏反転された用紙の幅方向位置を変更する用紙幅方向位置変更手段と、
前記幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて前記用紙幅方向位置変更手段の動作を制御し、前記像担持体と前記転写部とが対向する領域である転写領域に搬送される表裏反転された用紙の幅方向位置を転写されるトナー像の幅方向の位置に一致させるように制御する用紙幅方向位置制御手段を有することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0018】
6.前記用紙反転装置にて表裏反転された用紙の幅方向の位置を検出する幅方向位置検出手段と、
前記幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて、前記像担持体が担持するトナー像の幅方向位置を、前記像担持体と前記転写部とが対向する領域である転写領域に搬送される表裏反転された用紙の幅方向位置に一致させるように制御する用紙幅方向位置制御手段を有することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、用紙表裏での画像のずれを発生させない用紙表裏反転を行うとともに、生産性の高い両面画像形成を行うことが可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の一例である画像形成装置を説明する図である。
【図2】用紙反転装置750を説明する図である。
【図3】用紙反転装置750が行う用紙反転の動作を説明する図である。
【図4】回転パネル780における第1パネル761、第2パネル762及び第1用紙センサ750S1、第2用紙センサ750S2と、反転される用紙の寸法の関連を説明する図である。
【図5】表裏反転がなされる用紙Sが第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入され、停止した状態を説明する図である。
【図6】画像形成装置10の動作を制御する制御系のブロック図である。
【図7】ROM920に収納されている用紙搬送方向長さテーブルの一例である。
【図8】制御部900が用紙搬送基本プログラムに基づいて行う用紙搬送の流れを説明するフローチャートである。
【図9】図8に示したフローチャートのステップS7にて実行される用紙反転SRプログラムの流れを説明するフローチャートである。
【図10】図8に示したフローチャートのステップS1にて実行される給紙SRプログラムによる給紙動作の流れを説明するフローチャートである。
【図11】ローラ移動部720を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の形態の一例である画像形成装置を説明する図である。
【0022】
画像形成装置10は電子写真方式により、用紙に画像、あるいは文字をプリントして排出する画像形成装置である。また、画像形成装置10は用紙の表裏両面に画像、あるいは文字をプリントする両面画像形成を行うことができる。
【0023】
画像形成装置10は、原稿読み取り部100、画像処理部200、画像書き込み部300、画像形成部400、転写部450、現像器500、定着部600、用紙搬送部700、操作表示部800、及び、制御部900を備えている。
【0024】
操作表示部800からは、画像形成装置10を動作させるための条件、たとえば、画像形成を行う用紙のサイズ、用紙の搬送姿勢、枚数、画像形成は片面か両面かの選択、等を、実行ジョブ条件として入力することができる。また、操作表示部800にはスタートボタンが配され、スタートボタンを操作することにより、入力された実行ジョブ条件に基づいて画像形成装置10の画像形成を開始させることができる。
【0025】
制御部900は、操作表示部800から入力された実行ジョブ条件を踏まえて、画像形成装置10の画像形成動作を制御する。また、制御部900は、用紙搬送部700の動作を制御して、後述する用紙反転装置750に複数の用紙を導入させ、導入した複数の用紙の表裏反転を同時に行わせる用紙反転制御手段としても機能する。
【0026】
画像形成装置10の上部には、自動原稿送り装置DFが搭載されている。自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿dは矢印方向に搬送され、原稿読み取り部100の光学系により原稿の画像が読みとられ、画像情報が取得される。
【0027】
取得された画像情報は、画像処理部200にて必要な画像処理がなされ、画像書き込み部300に送付される。
【0028】
画像書き込み部300は、半導体レーザにて画像情報に基づく出力光を画像形成部400の画像形成部400の感光体ドラム410に照射する。
【0029】
画像形成部400は感光体ドラム410、イレーサランプ、帯電器、クリーナを有する。
【0030】
非図示の駆動手段により図示矢印方向に回転される感光体ドラム410は、イレーサランプ420に照射されて除電がなされた後、帯電器430により電荷を付与され、画像書き込み部300により画像情報に基づく出力光を照射される。画像書き込み部300による出力光の照射により、感光体ドラム410の周面に画像情報に基づく静電潜像が形成される。
【0031】
感光体ドラム410に形成された静電潜像は現像器500により現像されてトナー像となり感光体ドラム410に担持される。感光体ドラム410はトナー像を担持する像担持体として機能する。
【0032】
用紙搬送部700は、給紙搬送部710、用紙反転装置750、及び用紙収容部790を有する。
【0033】
用紙収容部790は用紙収容カセット791A、791Bを有し、用紙収容カセット791A、791Bには、それぞれ異なるサイズの用紙SA、SBを収容できる。
【0034】
給紙搬送部710は、用紙を挟持、搬送する複数のローラ対や搬送ベルト機構および用紙の搬送方向を案内する案内部材(非図示)を有し、用紙収容部790から用紙を1枚ずつ取り出して給紙するとともに所定の用紙搬送経路に沿って画像形成装置10の内部を搬送する。
【0035】
給紙搬送部710が用紙を搬送する用紙搬送経路は、給紙搬送路r1、転写搬送路r2、定着搬送路r3、排紙搬送路r4、反転導入路r5及び反転排紙路r6からなる。
【0036】
給紙搬送路r1は、用紙収容カセット791Aに収納された用紙SAを1枚ずつ取り出す給紙機構部792A、あるいは用紙収容カセット791Bに収納された用紙SBを1枚ずつ取り出す給紙機構部792Bに後続する搬送路である。給紙機構部792Aにより取り出された用紙SA、あるいは給紙機構部792Bより取り出された用紙SBは給紙搬送路r1から後続する転写搬送路r2に導入される。なお、以後の説明において、用紙SA、SBを特に区別する必要のないときは、用紙SA、SBを用紙と総称する。
【0037】
転写搬送路r2は、その入口にレジストローラ710Rが配されている。レジストローラ710Rは給紙搬送路r1を搬送されてきた用紙の傾きを補正し転写搬送路r2に導入する。
【0038】
なお、720はローラ移動部であり、レジストローラ710Rをその回転軸方向(図示手前から奥に向かう方向)に移動させる。また給紙搬送路r1に配された710Sは、給紙搬送路r1をレジストローラ710Rに向けて搬送される用紙における搬送方向に沿った辺の位置を検出する用紙位置検出センサである。用紙位置検出センサ710Sとローラ移動部720の作用については後述する。
【0039】
転写搬送路r2に沿って感光体ドラム410と転写部450が配置されている。感光体ドラム410と転写部450とが対向している領域が転写領域である。転写搬送路r2を搬送される用紙が転写領域を通過する際に、用紙の感光体ドラム410に対向する側の面に感光体ドラム410上のトナー像が転写される。
【0040】
定着搬送路r3は転写搬送路r2に後続し、定着搬送路r3に沿って定着部600が配されている。そして、定着搬送路r3を搬送される用紙に転写されたトナー像が定着される。
【0041】
排紙搬送路r4、及び反転導入路r5は定着搬送路r3に後続する搬送路である。定着搬送路r3の出口には搬送路切り替え板730が配され、搬送路切り替え板730は定着搬送路r3を搬送されてきた用紙を排紙搬送路r4、あるいは反転導入路r5のいずれかに導入する。
【0042】
定着搬送路r3を搬送されてきた用紙における定着された画像を担持する側の面(以下表面と記す)の裏側の面(以下裏面と記す)に画像形成を行わない場合は、定着搬送路r3を搬送されてきた用紙は排紙搬送路r4に導入される。
【0043】
排紙搬送路r4に沿って排紙ローラ710Rが配されており、排紙搬送路r4に導入された用紙を装置外に排出する。
【0044】
用紙の裏面に画像形成を行う場合には、定着搬送路r3を搬送されてきた用紙は、搬送路切り替え板730により反転導入路r5に導入される。
【0045】
反転導入路r5は、用紙反転装置750に用紙を導入する搬送路である。
【0046】
用紙反転装置750は、導入された用紙の搬送方向に直交する用紙幅方向の中心線を回転軸として180度回転させることにより導入された用紙の表裏を反転し、反転排紙路r6に表裏反転された用紙を導入する。用紙反転装置750の詳細は後述する。
【0047】
反転排紙路r6は給紙搬送路r1に合流する搬送路であり、反転排紙路r6に導入された表裏反転された用紙は、給紙搬送路r1を経て再び転写搬送路r2に導入されて裏面にトナー像の転写がなされた後、定着搬送路r3に導入されてトナー像が定着される。そして、排紙搬送路r4に導入され、装置外に排出される。
【0048】
図2は、用紙反転装置750を説明する図である。図2(a)は、用紙反転装置750の正面図、図2(b)は用紙反転装置750を図2(a)における右側斜め上方から見た斜視図である。
【0049】
用紙反転装置750は、図2(a)、(b)に示すように、回転パネル780を有している。
【0050】
回転パネル780は、円筒形状をなすリング781、782と、リング781、782とに両端部を支持される第1パネル761及び第2パネル762と、2対の用紙移動ローラ対771及び772を有している。
【0051】
第1ローラ対771は、第1移動ローラ771A、771Bからなり、第2ローラ対772は第2移動ローラ772A、772Bからなる。用紙移動ローラ対771及び772はそれぞれ用紙移動手段として機能する。
【0052】
回転パネル780におけるリング781は3個のプーリ781R1、781R2、781R3(非図示)によって、リング782は3個のプーリ782R1、782R2、782R3によって、リング781、782の中心を垂直に結ぶ仮想線Lcを回転中心にして回転可能に支持される。そして仮想線Lcは、搬送される用紙の幅方向の中心線と略一致している。
【0053】
回転パネル780における第1パネル761及び第2パネル762は、リング781、782の中心を結ぶ仮想線Lc挟んで対称かつ平行にリング781、782に固定される。
【0054】
プーリ781R1は、回転パネル駆動モータ780Mにより駆動され、プーリ781R1が駆動されることによりリング781は仮想線Lcを回転中心にして回転される。そして、リング781が回転されることにより、回転パネル780は、リング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcを回転中心にして図2(b)に示す矢印r方向に回転される。
【0055】
回転パネル780が仮想線Lcを回転中心にして回転することにより、第1パネル761及び第2パネル762は、仮想線Lcを回転中心にして図2(a)、(b)に示す水平位置から回転される。
【0056】
図2(a)、(b)に示す回転パネル780は、おける第1パネル761及び第2パネル762が水平に保たれた状態であり、この第1パネル761及び第2パネル762が水平に保たれた回転パネル780の位置を、以下、静止位置とも記す。
【0057】
第1ローラ対771における第1移動ローラ771A及び第2ローラ対772における第2移動ローラ772Aは、それぞれの軸部を第1パネル761に配された軸受け(非図示)により回転可能に支持され、第1ローラ対771における第1移動ローラ771B及び第2ローラ対772における第2移動ローラ772Bはその軸部を第2パネル762に配された軸受け(非図示)により回転可能に支持される。そして第1ローラ対771における第1移動ローラ771A、771B及び第2ローラ対772における第2移動ローラ772A、772Bは、それぞれ、リング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcを挟んで当接し、ニップ部を形成する。
【0058】
そして、第1ローラ対771は第1ローラ駆動モータ771M(図6に表示)により、また、第2ローラ対772は第2ローラ駆動モータ772M(図6に表示)により、回転駆動される。
【0059】
表裏を反転される用紙は、回転パネル780のリング781側から第1パネル761及び第2パネル762の間に導入され、第1ローラ対771及び第2ローラ対772に挟持されて第1パネル761及び第2パネル762の間を搬送、あるいは、第1パネル761及び第2パネル762の間の所定の位置に停止される。
【0060】
第1パネル761の図示中央部には第1用紙センサ750S1が、図示右側端部の近傍には第2用紙センサ750S2が配されている。第1用紙センサ750S1と第2用紙センサ750S2は、第1パネル761及び第2パネル762の間を搬送される用紙の先端を検知するセンサである。第1用紙センサ750S1と第2用紙センサ750S2の詳細については後述する。
【0061】
図3は、用紙反転装置750が行う用紙反転の動作を説明する図である。図3(a)は回転パネル780が静止位置にある図、図3(b)は、図3(a)の状態から回転パネル780がリング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcを回転中心にして90°回転された状態を示す図、図3(c)は、図3(b)の状態から回転パネル780がさらに90°回転された状態を示す図である。
【0062】
反転導入路r5を搬送されてきた用紙Sは、図3(a)に示すように、回転パネル780におけるリング781側から第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入される。第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入された用紙Sは、回転する第1ローラ対771及び第2ローラ対772により間隙内を移動される。
【0063】
回転する第1ローラ対771及び第2ローラ対772により第1パネル761及び第2パネル762の間隙を移動される用紙Sが、間隙内の所定位置に到達すると第1ローラ対771及び第2ローラ対772の回転が停止される。
【0064】
第1ローラ対771及び第2ローラ対772の回転が停止されると、非図示の回転パネル駆動モータ780Mにより回転パネル780がリング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcを回転中心にして回転される。図3(b)は、図3(a)の状態から回転パネル780がリング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcを回転中心にして90°回転された回転途中の状態を示す図、図3(c)は、図3(b)の状態から回転パネル780がさらに90°回転された状態、すなわち、図3(a)に示した静止位置より180°回転された状態を示す図である。回転パネル780が180°回転されることにより、第1パネル761及び第2パネル762間に導入された用紙も第1ローラ対771及び第2ローラ対772に挟持されたまま図3(a)に示した第1パネル761及び第2パネル762間に導入された状態からリング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcを回転中心にして回転される。すなわち、図3(a)に示す状態では、図3(a)に示した第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入された状態から搬送方向に直交する幅方向に180度回転されて、表裏が反転される。
【0065】
回転パネル780の180度の回転がなされると、第1ローラ対771及び第2ローラ対772が回転し、表裏反転された用紙Sはリング782側から反転排紙路r6に排出される。
【0066】
ここで、図3(c)に示す回転パネル780における第1パネル761及び第2パネル762は水平であり、図3(a)に示される第1パネル761及び第2パネル762が水平である静止位置と同等の状態となっている。すなわち、図3(a)の状態から180°回転された図3(c)に示す回転パネル780の位置も静止位置となる。
【0067】
続いて表裏反転がなされる用紙は、図3(c)に示す回転パネル780(静止位置にある)から表裏反転がなされた先行の用紙が排出されると、リング781側から第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入される。
【0068】
そして、回転パネル780が180°回転されて図3(a)の状態になると、表裏反転された後続の用紙はリング782側から反転排紙路r6に排出される。
【0069】
このように、用紙反転装置750は、用紙を第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入する都度、回転パネル780をリング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcを回転中心にして180°回転して用紙の表裏を反転し、表裏反転した用紙を反転排紙路r6に排出する。
【0070】
用紙反転装置750は、第1ローラ対771、第2ローラ対772、及び第1用紙センサ750S1、第2用紙センサ750S2を有しており、同時に2枚の用紙の表裏を反転させることが可能であり、高い生産性のもとに両面画像形成を行うことができる。
【0071】
このように、用紙反転装置750は2枚の用紙を同時に導入可能であり、導入した用紙を同時に表裏反転するように構成されている。表裏反転可能な用紙の最大の枚数2に対応してそれぞれ用紙移動手段として機能する2対の用紙移動ローラ対771及び772を有している。しかし、同時に表裏を反転させる用紙の最大数をもっと多く、例えば同時に表裏を反転させる用紙の最大数を3、あるいは4にし、両面画像形成の生産性をより高めることも可能である。そのときは、同時に表裏を反転させる用紙の最大数に対応して、用紙移動手段として機能する用紙移動ローラ対の数を3、あるいは4にすればよい。
【0072】
図4は、回転パネル780における第1パネル761、第2パネル762及び第1用紙センサ750S1、第2用紙センサ750S2と、反転される用紙の寸法の関連を説明する図である。
【0073】
図示されるLpは、第1パネル761、第2パネル762における用紙搬送方向の寸法、Lmaxは用紙反転装置750が2枚同時表裏反転を行うことができる最大サイズの用紙の用紙搬送方向の寸法である。また、kminは最小紙間寸法であり、先行する用紙のレジストローラ710Rから転写領域に用紙の搬送がなされ、先行する用紙の後端がレジストローラ710Rから離れた後、レジストローラ710Rの回転が停止するまでの間に、後続して搬送される用紙の先端をレジストローラ710Rに到達させないための時間を確保するための最小間隔であり、給紙搬送部710が用紙を搬送する速度(v)に基づいて決定される定数である。
【0074】
Lmaxは、2Lmax+kmin<Lpを満足する範囲で、画像形成装置10の設計事項としてあらかじめ設定される。
【0075】
第2用紙センサ750S2は、リング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcに沿って第1パネル761、第2パネル762の図示右端近傍に配されている。また、第1用紙センサ750S1は、仮想線Lcに沿って、第2用紙センサ750S2からLmax+kmin離間した位置に配されている。そして、第1用紙センサ750S1配置位置からLmax離間した位置が、第1パネル761、第2パネル762の図示左端より内方になるように第1パネル761、第2パネル762が構成される。第1ローラ対771及び第2ローラ対772は、第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入された用紙を狭持し、図示左方から右方に搬送する。
【0076】
用紙反転装置750は、用紙の搬送方向の長さ寸法(用紙搬送方向長さ)をLsとしたとき、用紙搬送方向長さLsがLmaxを越えない用紙を2枚同時に用紙反転装置750に導入し、同時に表裏反転することができる。2枚同時に表裏反転することにより、両面画像形成を行うときの生産性を高くすることができる。
【0077】
また、用紙搬送方向長さLsがLmax<Ls≦2Lmax+kminである用紙は、1枚ずつの表裏反転を行う。
【0078】
画像形成装置10が両面画像形成ジョブを実行するときには、2枚同時に表裏反転するか、1枚ずつ反転するかは、操作表示部800から入力されたジョブ条件に基づいて制御部900が判断する。用紙反転制御手段としても機能する制御部900による、2枚同時に表裏反転するか、1枚ずつ反転するかの判断のプロセスについては後述する。
【0079】
2枚の用紙を同時に表裏反転する場合は、2枚の用紙を第1パネル761及び第2パネル762の間隙に順次導入する。第2用紙センサ750S2は導入され搬送される1枚目の用紙の先端を検出すると、検出信号(1枚目用紙検出信号)を発する。また、第1用紙センサ750S1は導入され搬送される2枚目の用紙の先端を検出したとき、検出信号(2枚目用紙検出信号)を発する。
【0080】
制御部900は、第2用紙センサ750S2からの1枚目用紙検出信号を受けると第2ローラ対772の動作を停止させ、第2ローラ対772による1枚目の用紙の移動を停止させる。また、制御部900は、第1用紙センサ750S1からの2枚目用紙検出信号を受けると第1ローラ対771の動作を停止させ、第2用紙移動ローラ対771による2枚目の用紙の移動を停止させる。また、用紙を1枚ずつ表裏反転する場合は、制御部900は、第2用紙センサ750S2からの1枚目用紙検出信号を受けると第2ローラ対772及び第1ローラ対771の動作を停止させ、用紙の移動を停止させる。
【0081】
図5は、表裏反転がなされる用紙Sが第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入され、停止した状態を説明する図である。なお図5においては、第1パネル761が第2パネル762の上方に位置するときを示しているが、第1パネル761が第2パネル762の下方に位置するときでも同様である。
【0082】
図5(a)は、2枚同時表裏反転を行うことができる最大サイズ、すなわち用紙搬送方向の寸法がLmaxである2枚の用紙、用紙Sと用紙Sとが、第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入され、それぞれの先端が第2用紙センサ750S2と第1用紙センサ750S1とに検出され、停止した状態を示す図である。用紙Sの後端と用紙Sの先端の間隔はkminが確保されるとともに、用紙Sの先端から用紙Sの後端までの長さは2Lmax+kminとなり、用紙Sの先端および用紙Sの後端は第1パネル761及び第2パネル762からはみ出さない。したがって、回転パネル780が回転されても、収容した用紙Sが干渉されることはない。
【0083】
図5(b)は、用紙搬送方向長さLsがLmaxよりも短い2枚の用紙、用紙Sと用紙Sとが、第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入され、それぞれの先端が第2用紙センサ750S2と第1用紙センサ750S1とに検出され、停止した状態を示す図である。用紙Sの後端と用紙Sの先端の間隔kはkmin以上となるとともに、用紙Sの先端から用紙Sの後端までの長さは2Ls+kとなり、用紙Sの先端および用紙Sの後端は第1パネル761及び第2パネル762からはみ出すことはない。
【0084】
用紙搬送方向長さLsがLmax<Ls≦2Lmax+kminである用紙Sは、1枚ずつの表裏反転がなされる。
【0085】
図5(c)は、用紙搬送方向長さLsがLmax<Ls≦2Lmax+kminである用紙Sが、第1パネル761及び第2パネル762の間隙に導入され、先端が第2用紙センサ750S2に検出され、停止した状態を示す図である。Ls≦2Lmax+kminである用紙Sの後端は第1パネル761及び第2パネル762からはみ出さない。したがって、回転パネル780が回転されても、収容した用紙Sが干渉されることはない。
【0086】
図6は、画像形成装置10の動作を制御する制御系のブロック図である。図6(a)は全体制御系、図6(b)は用紙搬送部700における給紙搬送部710の制御系、図6(c)は用紙搬送部700における用紙反転装置750の制御系を示す。
【0087】
画像形成装置10における900は制御部である。制御部900は、CPU910、ROM920、RAM930を有するコンピュータシステムである。制御部900は、画像形成装置10の各種動作を制御するとともに、用紙反転装置750に複数の用紙を導入させ、導入した複数の用紙の表裏反転を同時に行わせる用紙反転制御手段としても機能する。
【0088】
CPU910は、ROM920に収納されたプログラムを実行することにより画像形成装置10の各機構部の動作を制御し、用紙に画像形成を行い排出する。
【0089】
RAM930は、複数の情報の収納と読み出しが可能であり、CPU910が、画像形成装置10の制御を実行する際に生成したデータあるいは取得したデータを収納する。またRAM930は所定のタイミングからの経過時間t1、t2、t3、t4、をそれぞれ計測するタイマーT1、T2、T3、T4としても機能する。
【0090】
ROM920は、画像形成装置10が画像形成を行うための用紙搬送基本プログラム、画像形成を行うに際して、給紙搬送部710に給紙を行わせる給紙SR(サブルーチン)プログラム、用紙反転装置750に用紙反転を行わせる用紙反転SRプログラムを収納している。
【0091】
ROM920は、操作表示部800から入力されたジョブ条件に指定された用紙のサイズ、搬送姿勢に対応する用紙の搬送方向の長さである用紙搬送方向長さLsを用紙搬送方向長さテーブルとして収納している。また、複数の定数、たとえば、Lmax、及びタイマーT2、T4の動作をそれぞれ管理する定数、t2k、t4k、を収納するとともに、タイマーT1、T3の動作をそれぞれ管理する時間値t1k、t3kを算出する算出式を収納している。
【0092】
図7は、ROM920に収納されている用紙搬送方向長さテーブルの一例である。画像形成装置はA3、B4サイズの用紙については、用紙の短辺側を先頭にして搬送するたて方向搬送が可能、A4、A3、B5、B6サイズの用紙についてはたて方向搬送及び用紙の長辺側を先頭にして搬送するよこ方向搬送が可能であり、ジョブに指定された用紙サイズと搬送方向から用紙搬送方向長さテーブルを参照することにより、用紙搬送方向長さLsを知ることができる。
【0093】
なお、定数t2k、t4k、及び、t1k、t3kを算出する算出式については後述する。
【0094】
909はバスであり、バス909には、制御部900とともに、原稿読み取り部100、画像処理部200、画像書き込み部300、画像形成部400、転写部450、現像器500、定着部600、用紙搬送部700、操作表示部800、及び自動原稿送り装置DFが接続されており、相互の情報の授受を可能にしている。
【0095】
そして、制御部900は、画像形成装置10が画像形成を行うに際し、操作表示部800から入力された実行ジョブ条件に基づいて、バス909に接続された各装置、機構部の動作を制御し、入力された実行ジョブ条件に基づく画像形成を行わせる。
【0096】
図8は、制御部900が用紙搬送基本プログラムに基づいて行う用紙搬送の流れを説明するフローチャートである。
【0097】
制御部900のCPU910は、操作表示部800から入力されたジョブの条件(以下、実行ジョブ条件とも記す)が入力され、スタートボタンが押されると、ステップS1で給紙SRを実行し給紙を実行する。給紙とは実行ジョブ条件に基づいて、給紙搬送部710の給紙機構部A792Aあるいは給紙機構部B792Bを動作させて、用紙収容カセット791Aあるいは791Bに収容された用紙を給紙搬送路r1に送り出すこと、及び、用紙反転装置750から反転がなされた用紙を給紙搬送路r1に送り出すことをいう。
【0098】
ステップS2では用紙を転写搬送路r2に導入させる。用紙が転写搬送路r2に導入されるに際し、レジストローラ710Rにより用紙を転写搬送路r2に導入するタイミングが調整されるとともに、用紙の傾きが矯正される。そして、転写搬送路r2を搬送される用紙の感光体ドラム410に対向する側の面に感光体ドラム410上のトナー像が転写される。
【0099】
続くステップS3では用紙を定着搬送路r3に導入させる。定着搬送路r3を搬送される用紙に担持されたトナー像が定着部600により定着される。
【0100】
ステップS4では、実行中のジョブが両面画像形成か否かを確認する。実行中のジョブが両面画像形成である(ステップS4 Yes)の場合にはステップS6に移行する。
【0101】
ステップS5では定着搬送路r3を搬送されてきた用紙が、表裏反転がなされた用紙であるか否かを確認する。用紙が、表裏反転がなされた用紙でない(ステップS5 No)のときはステップS6に移行、すなわち反転導入路r5に導入させる。用紙が、表裏反転がなされた用紙である(ステップS5 Yes)ときはステップS8に移行、すなわち排紙搬送路r4に導入させる。定着搬送路r3を搬送されてきた用紙を反転導入路r5あるいは排紙搬送路r4のいずれかに導入されるかは、ステップS5における用紙が、表裏反転がなされた用紙であるか否かの判断結果に基づいて、CPU910が搬送路切り替え板730を動作させることによりなされる。
【0102】
ステップS6にて用紙を反転導入路r5に導入させると、続くステップS7にて用紙反転SRを実行して用紙反転装置750を動作させ、用紙の表裏を反転される。
【0103】
表裏が反転された用紙はステップS1にて給紙搬送路r1に導入される。以下、ステップS1、S2、S3の工程を経て先にトナー像が転写された面の裏面側にトナー像の転写および定着がなされ、ステップS5に移行する。
【0104】
前述したように、ステップS5では定着搬送路r3を搬送されてきた用紙が、表裏反転がなされた用紙であるか否かの確認がなされる。そして用紙が、表裏反転がなされた用紙である(ステップS5 Yes)ときはステップS8に移行する。そして、ステップS8では、用紙は、排紙搬送路r4に導入され、ステップS9で用紙は排紙、すなわち装置外に排出される。
【0105】
また、ステップS4では、実行中のジョブが両面画像形成か否かを確認しているが、実行中のジョブが両面画像形成でない(ステップS4 No)の場合にはステップS8に移行し、用紙は、排紙搬送路r4に導入され、ステップS9で排紙される。
【0106】
図9は、図8に示したフローチャートのステップS7にて実行される用紙反転SRプログラムの流れを説明するフローチャートである。
【0107】
図8に示したフローチャートの、ステップS6で反転導入路r5に用紙が導入されると、CPU910は、図9に示すフローチャートのステップS701にて、用紙反転装置750に第1ローラ回転指令と第2ローラ回転指令を発信する。第1ローラ回転指令、第2ローラ回転指令が発信されると、用紙反転装置750第1ローラ駆動モータ771M及び第2ローラ駆動モータ772Mが動作し、第1ローラ771及び第2ローラ772が回転する。第1ローラ771及び第2ローラ772が回転することにより、反転導入路r5に導入された用紙が用紙反転装置750に導入され、第1ローラ771及び第2ローラ772に挟持されて用紙反転装置750内を搬送される。
【0108】
続くステップS702にて、実行ジョブ条件に基づいて、反転導入路r5に導入された用紙の用紙搬送方向長さLs(用紙搬送方向長さテーブルより参照される)がLmax(定数、ROM920に収納されている)以下であるか否かを確認する。そして、用紙搬送方向長さLsがLmax以下である(ステップS702 Yes)ときは、ステップS703に移行する。
【0109】
CPU910は、ステップS703で用紙反転装置750に導入された先頭側の用紙の先端が第2用紙センサ750S2に検出されることを待つ。先頭側の用紙の先端が第2用紙センサ750S2に検出される(ステップS703 Yes)と、ステップS704に移行し、第2ローラ回転停止指令を発信する。第2ローラ回転停止指令が発信されると、第2ローラ駆動モータ772Mが停止し、第2ローラ772の回転が停止し、先頭の用紙は先端を第2用紙センサ750S2に検出された位置にて停止する。
【0110】
続くステップS705では、CPU910は用紙反転装置750に導入された先頭側の用紙に後続する用紙の先端が第1用紙センサ750S1に検出されることを待つ。後続する用紙の先端が第1用紙センサ750S1に検出される(ステップS705 Yes)と、ステップS706に移行し、第1ローラ回転停止指令を発信する。第1ローラ回転停止指令が発信されると、第1ローラ駆動モータ771Mが停止し、第1ローラ771の回転が停止し、後続する用紙は、先端を第1用紙センサ750S1に検出され対置にて停止する。図5(a)あるいは図5(b)に示した状態である。
【0111】
CPU910は、第1ローラ回転停止指令を発信すると、続くステップS709にて回転パネル回転指令を発信する。回転パネル回転指令は、回転パネル駆動モータ780Mを動作させて、回転パネル780を回転させる指令である。回転パネル回転指令が発信されると、回転パネル駆動モータ780Mが動作し、回転パネル780を回転させる。
【0112】
回転パネル回転指令を発信するとステップS710にて回転パネル780の180°回転が完了することを待つ。回転パネル780の180°回転完了は回転パネル位置センサ780S(図6に表示)にて検知される。
【0113】
回転パネル780の180°回転が完了する(ステップS710 Yes)と、ステップS710で回転パネル回転停止指令を発信する。回転パネル回転停止指令が発信されると、回転パネル駆動モータ780Mが停止し、回転パネル780は180°回転した位置で停止する。回転パネル780が180°回転することにより、回転パネル780内の用紙は表裏が反転される。
【0114】
続くステップS712では反転完了フラグをONにし、ステップS713で反転用紙給紙指令を待つ。反転用紙給紙指令は、後述する図10のフローチャートにおけるステップS111にて発信される。
【0115】
反転用紙給紙指令を受信する(ステップS713 Yes)と、ステップS714に移行する。
【0116】
ステップS714では第1ローラ回転指令と第2ローラ回転指令を発信する。第1ローラ回転指令、第2ローラ回転指令の発信により、第1ローラ駆動モータ771M及び第2ローラ駆動モータ772Mが動作し、第1ローラ771及び第2ローラ772の回転により、回転パネル780内の用紙、すなわち表裏反転された用紙が回転パネル780から排出される。回転パネル780から排出された用紙は、反転排紙路r6を経て給紙搬送路r1に導入される。
【0117】
そして、ステップS714では反転完了フラグをOFFにする。
【0118】
前述のステップS702にて、反転導入路r5に導入された用紙の用紙搬送方向長さLsがLmax以下でない(ステップS702 No)ときは、ステップS707に移行する。
【0119】
ステップS707では、用紙反転装置750に導入された先頭側の用紙の先端が第2用紙センサ750S2に検出されることを待つ。導入された用紙の先端が第2用紙センサ750S2に検出される(ステップS707 Yes)と、ステップS708に移行し、第1ローラ回転停止指令及び第2ローラ回転停止指令を発信する。
【0120】
第1ローラ回転停止指令及び第2ローラ回転停止指令が発信されると、第1ローラ駆動モータ771M及び第2ローラ駆動モータ772Mが停止し、第1ローラ771及び第2ローラ772の回転が停止し、用紙は先端を第2用紙センサ750S2に検出された位置にて停止する。そして、ステップS709にての回転パネル回転指令発信、及びそれに続くステップS710、711、712を経て用紙の表裏を反転させ、ステップS713、714、715を経て表裏反転された用紙を回転パネル780から排出させる。回転パネル780から排出された用紙は、反転排紙路r6を経て給紙搬送路r1に導入される。
【0121】
図10は、図8に示したフローチャートのステップS1にて実行される給紙SRプログラムによる給紙動作の流れを説明するフローチャートである。
【0122】
制御部900のCPU910は、ステップS101にて操作表示部800から入力された実行ジョブ条件に基づいて、カセット給紙指令を発信する。カセット給紙指令は、実行ジョブ条件に基づくサイズ、搬送方向の用紙を収納する用紙収容カセット791A、あるいは用紙収容カセット791Bのいずれかから給紙機構部792A、あるいは給紙機構部792Bにより、実行ジョブ条件に基づく用紙を1枚取り出させ、給紙搬送路r1に導入させる指令である。カセット給紙指令により、実行ジョブ条件に基づく用紙が用紙収容カセット791A、あるいは用紙収容カセット791Bから取り出され、給紙搬送路r1に導入される。
【0123】
続くステップS102では、実行するジョブが両面画像ジョブであるか否かを確認する。実行するジョブが両面画像ジョブである(ステップS102 Yes)ときはステップS103に移行する。
【0124】
ステップS103では反転用紙給紙タイミング基準時間t3kを算出する。
【0125】
反転用紙給紙タイミング基準時間t3kの算出は、ROM920に収納されている以下の算出式を適用してなされる。
t3k={2(Lmax+kmin)+(LC−710R−L750S2−710R)}/v
ここで、
Lmax:用紙反転装置750が2枚同時表裏反転を行うことができる最大サイズの用紙の用紙搬送方向の寸法(設計値で決まる定数)、
kmin:最小紙間寸法(設計値で決まる定数)
C−710R:ジョブに指定された用紙を収納するカセットに収納された用紙の先端からレジストローラ710Rのニップ部までの距離。用紙収容カセット791Aに収納された用紙の先端からレジストローラ710Rのニップ部までの距離(設計値で決まる定数)、あるいは用紙収容カセット791Bに収納された用紙の先端からレジストローラ710Rのニップ部までの距離(設計値で決まる定数)の、いずれかからジョブ条件に対応して決まる。
【0126】
750S2−710R:第2用紙センサ750S2からレジストローラ710Rのニップ部までの距離
v:給紙機構部710が用紙を搬送する速度(設計値で決まる定数)
である。そして、算出したt3kをRAM930に収納する。
【0127】
反転用紙給紙タイミング基準時間t3kを算出するとステップS104に移行し、タイマーT2、タイマーT3、タイマーT4、をスタートさせる。タイマーT2、タイマーT3、タイマーT4のそれぞれは、ステップS101におけるカセット給紙指令が発信された時点からの経過時間t2、t3、t4、の計時を開始する。
【0128】
続くステップS105では、ジョブ条件から指定された用紙の搬送方向寸法LsがLmax以下であるか否かを確認する。ジョブ条件から、指定された用紙の用紙搬送方向長さLsは、ジョブ条件から用紙搬送方向長さテーブルを参照して求める。Lmaxは用紙反転装置750が2枚同時表裏反転を行うことができる最大サイズの用紙の用紙搬送方向の寸法であり、ROM920に収納されている基準値の1つである。そして、用紙の搬送方向長さLsがLmax以下である(ステップS105 Yes)ときは、ステップS106に移行する。
【0129】
続くステップS106では、タイマーT2の計時時間t2が、あらかじめ設定されROM920に収納されている紙間確保時間値t2k以上になることを待つ。
【0130】
紙間確保時間値t2kは、2枚を一組にして搬送される2枚の用紙のうちの、カセットから先行して取り出され搬送される用紙の搬送方向先端と、後続して取り出され搬送される用紙の搬送方向先端との間隔を一定に保つことにより、2枚の用紙の紙間を最小紙間寸法kmin以上に保つために必要とする時間である。
【0131】
紙間確保時間値t2kは、以下の算出式によりあらかじめ算出された定数であり、ROM910に収納されている。
t2k=(Lmax+kmin)/v
ここで、
Lmax:用紙反転装置750が2枚同時表裏反転を行うことができる最大サイズの用紙の用紙搬送方向の寸法(設計値で決まる定数)
kmin:最小紙間寸法(設計値で決まる定数)
v:給紙機構部710が用紙を搬送する速度(設計値で決まる定数)
である。
【0132】
CPU910は、ステップS106にて、タイマーT2の計時時間t2がt2k以上になる(ステップS105 Yes)、ステップS107に移行する。
【0133】
ステップS107にては、カセット用紙給紙指令を発信する。カセット用紙給紙指令の発信により、ステップS101に続いて用紙収容カセット791A、あるいは用紙収容カセット791Bからジョブに指定された用紙(用紙搬送方向長さLsがLmax以下)が1枚取り出され、給紙搬送路r1に導入される。
【0134】
このように、用紙搬送方向長さLsがLmax以下の用紙にて両面画像形成を行うジョブのときには、ステップS101にて給紙がなされると、ステップS101にて給紙がなされた時点からt2k経過した時点で後続の用紙の給紙がなされる。このように、画像形成装置10においては、用紙搬送方向長さLsがLmax以下の用紙にて両面画像形成を行う場合には、先行して給紙された用紙と、先行して給紙された用紙に対するカセット用紙給紙指令が発信された時点からt2k経過した時点で給紙した後続の用紙との2枚の用紙との2枚の用紙を、一組の用紙のように扱って給紙を行う。
【0135】
ステップS107で2枚を一組とする後続の用紙のカセット用紙給紙指令の発信がなされるとステップS108に移行する。
【0136】
また、前述のステップS105にて、用紙搬送方向長さLsがLmax以下でない(ステップS105 Yes)とき、ステップS105からステップS108に移行する。すなわち、両面画像形成ジョブにおける搬送方向の長さが所定寸法より長い用紙の場合には、ステップS101にて給紙がなされると、ステップS108に移行する。
【0137】
ステップS108にてタイマーT3の計時時間t3がt3k(ステップS103にて算出し、RAM930に収納)以上になるのを待つ。
【0138】
タイマーT3の計時時間t3がt3k以上になる(ステップS108 Yes)とステップS109に移行し、反転済み用紙の給紙は終了しているか否かを確認する。CPU910は反転済み用紙の給紙が終了したか否かを、反転済み用紙を給紙した回数をカウントし、その累計数がジョブに指定された用紙の枚数に至ったか否かで判断する。
【0139】
反転済み用紙の給紙が終了していない(ステップS109 No)ときはステップS110に移行し、反転完了フラグがONであるか否かを確認する。反転完了フラグは、図9に示すフローチャートのステップS712にて説明したように、用紙反転装置750が受け入れた用紙の表裏反転が完了したときにONになる。
【0140】
反転完了フラグがONである(ステップS110 Yes)ときはステップS111に移行し、反転用紙給紙指令を発信する。反転用紙給紙指令は、用紙反転装置750内の用紙(反転済み)を給紙搬送路r1に導入させる指令である。用紙反転装置750は反転用紙給紙指令を受けると、図9におけるステップS713にて説明したように、第1ローラ駆動モータ771M及び第2ローラ駆動モータ772Mが動作して、回転パネル780内の表裏反転された用紙を反転排紙路r6に排出し、給紙搬送路r1に導入する。タイマーT3の計時時間t3がt3kを経過した後に用紙反転装置750から排出され給紙搬送路r1に導入された反転済みの用紙の先端と、先にステップS101にて給紙された用紙の先端との間隔は2(Lmax+kmin)となる。
【0141】
反転用紙給紙指令を発信するとステップS112に移行する。また、前述のステップS110にて反転完了フラグがONでない(ステップS110 No)ときもステップS112に移行する。
【0142】
ステップS112では、カセット給紙が終了しているか否かを確認する。CPU910はカセット給紙が終了したか否かを、カセット給紙を行った回数をカウントし、その累計数がジョブに指定された用紙の枚数に至ったか否かで判断する。
【0143】
カセット給紙が終了していない(ステップS212 No)ときはステップS113に移行し、t4があらかじめ算出され、ROM920に収納されているカセット給紙待機時間値t4k以上になることを待つ。
【0144】
カセット給紙待機時間値t4kは、両面画像形成ジョブにおけるカセット給紙を、反転済み用紙と干渉させることなく行うために、カセット給紙を待機する時間であり、以下の算出式によりあらかじめ算出された定数であり、ROM920に収納されている。
t4k=4(Lmax+kmin)/v
ここで、
寸法Lmax:用紙反転装置750が2枚同時表裏反転を行うことができる最大サイズの用紙の用紙搬送方向の長さ(設計値で決まる定数)
kmin:最小紙間寸法(設計値で決まる定数)
v:給紙機構部710が用紙を搬送する速度(設計値で決まる定数)
である。
【0145】
t4がカセット給紙待機時間値t4k以上になると、ステップS101に移行し、カセット給紙指令を発信する。カセット給紙指令により、実行ジョブ条件に基づく用紙が用紙収容カセット791A、あるいは用紙収容カセット791Bから取り出され、給紙搬送路r1に導入される。以下、ステップS102〜ステップS112の工程をステップS112にてカセット給紙が終了していることが確認されるまで実行する。
【0146】
カセット給紙が終了している(ステップS112 Yes)ときは、ステップS109に移行し、反転用紙給紙が終了しているか否かを確認する。反転用紙給紙が終了していない(ステップS109 No)ときは、ステップS110〜ステップS112を経てステップS109に至る工程をくり返し、反転用紙給紙が終了する(ステップS109 Yes)と両面画像形成ジョブにおける用紙の給紙を終了する。
【0147】
このように、両面画像形成ジョブにおいては、ステップS101及びステップS107にてそれぞれカセット給紙を行い、ステップS101でカセット給紙を行った時点からt3k経過したステップS111で反転給紙を行う。ステップS101にて給紙された用紙の先端と、ステップS111にて給紙された2枚の用紙の先頭側の用紙の先端との間隔は2(Lmax+kmin)となるので、反転給紙された2枚の用紙はステップS101及びステップS107にて給紙された用紙と干渉することはない。そして、ステップS101にてカセット給紙を行った時点からt4k経過するとステップS101に戻り、ステップS101及びステップS107にてカセット給紙がおこなわれる。そして、先にカセット給紙された2枚の用紙の先頭側の用紙の先端と、t4k経過後にカセット給紙された用紙の先端との間隔は4(Lmax+kmin)となるので、t4k経過後にカセット給紙された用紙とステップS111で反転給紙された用紙とが干渉することはない。
【0148】
このように、2枚ずつのカセット給紙をカセット給紙待機時間値t4k(=4(Lmax+kmin)/v)が経過する都度実施し、カセット給紙の間に反転給紙をおこなうことにより、反転前の用紙と反転済みの用紙とを交互に順次給紙搬送路r1に導入することにより、用紙反転を2枚ずつ行うことができ、高い生産性のもとに両面画像形成を行うことができる。
【0149】
なお、用紙反転装置750は2枚の用紙を同時に表裏反転するように構成されており、表裏反転可能な用紙の枚数2に対応して2対の用紙移動ローラ対771及び772を有している。しかし、同時に表裏を反転させる用紙の数をもっと多くすること、例えば同時に表裏を反転させる用紙の数を3、あるいは4にすることも可能であり、そのときは、用紙移動ローラ対及び用紙センサの数を、同時に表裏を反転させる用紙の数に対応して3、あるいは4にすればよい。
【0150】
また、前述のステップS102において、実行ジョブ条件に指定されるジョブが両面画像ジョブでない(ステップS102 No)ときは、ステップS114に移行する。
【0151】
ステップS114では、最小紙間確保時間t1kを算出する。
【0152】
最小紙間確保時間t1kは、給紙機構部792A、あるいは給紙機構部792Bが選択された用紙をカセットから取り出しを開始する時点から、その用紙の搬送方向の後端と、それに後続する用紙の先端との間隔が最小紙間寸法kminになるまでの時間であり、ROM920に収納された以下の算出式により算出される。
t1k=(kmin+Ls)/v
ここで
kmin:最小紙間寸法(設計値で決まる定数)
Ls:選択された用紙の用紙搬送方向長さ(実行ジョブ条件に基づいて用紙搬送方向長さテーブルを参照し、決定される)
v:給紙機構部710が用紙を搬送する速度(設計値で決まる定数)
である。
【0153】
算出したt1kはRAM930に収納される。
【0154】
続くステップS115でタイマーT1をスタートさせ、ステップS101にてカセット用紙給紙指令を発信した時点からの経過時間であるt1の計時を開始させる。
【0155】
ステップS116では、タイマーT1の計時時間t1がt1k以上になることを待つ。そしてt1がt1k以上になった(ステップS116 Yes)ときはステップS117に移行する。
【0156】
ステップS117ではカセット給紙が終了しているか否かを確認する。CPU910はカセット給紙が終了したか否かを、カセット給紙を行った回数をカウントし、その累計数がジョブに指定された用紙の枚数に至ったか否かで判断する。
【0157】
カセット給紙が終了していない(ステップS117 No)ときはステップS101に移行する。
【0158】
ステップS101ではカセット用紙給紙指令を発信して、用紙収容カセット791A、あるいは用紙収容カセット791Bから後続の用紙を給紙搬送路r1に導入させる。後続の用紙は先行の用紙のカセット用紙給紙指令が発せられた時点からt1k経過後に発せられたカセット用紙給紙指令により給送される。したがって、後続する用紙の搬送方向先端は、先行する用紙の後端に対して最小紙間寸法kminの間隔を有して給紙搬送路r1に導入される。
【0159】
以下ステップS102〜ステップS117までの工程をステップS117においてカセット用紙給紙が終了したことが確認されるまでくり返し、カセット用紙給紙が終了したことが確認される(ステップS117 Yes)と両面画像形成を行わないジョブにおける給紙を終了する。
【0160】
ところで、用紙は、通常、その幅方向の中心を、画像形成装置における用紙搬送部700の幅方向中心に一致させて搬送される。そして、感光体ドラムのような像担持体はその幅方向中心を用紙搬送部700の幅方向中心に一致させて配置されている。
【0161】
用紙が用紙搬送部700の幅方向中心に一致させて搬送されることにより、感光体ドラムのような像担持体の幅方向の中心に用紙の幅方向の中心を一致させている。
【0162】
ところが、転写領域に搬送される用紙が片寄り、その幅方向の中心が感光体ドラムのような像担持体の幅方向の中心に一致しないことがある。
【0163】
トナー像は、その幅方向の中心を像担持体の幅方向の中心に一致させて像担持体に形成される。したがって、用紙が幅方向の中心が像担持体の幅方向の中心に一致しない状態で転写領域に搬送されると、転写されるトナー像の位置が用紙の幅方向に対して片寄る不具合を発生させる原因になる。
【0164】
画像形成装置10においては、用紙反転装置750にてリング781、782の中心を結ぶ仮想線Lcを回転軸にして180°回転することにより用紙の表裏反転を行っている。そして、表裏反転がなされて給紙搬送路r1を搬送された用紙が幅方向に移動されているときは、用紙の幅方向位置を修正し、転写領域に搬送される用紙の幅方向の中心を、感光体ドラム410の幅方向の中心に一致させ、感光体ドラム410に担持されるトナー像の幅方向の中心に一致させることが行われる。
【0165】
用紙の幅方向位置の変更は、幅方向に移動された用紙を挟持したレジストローラ710Rの幅方向位置を、ローラ移動部720により移動することによりなされる。
【0166】
図11は、ローラ移動部720を説明する図である。図11は図1に示すレジストローラ710Rをその幅方向である感光体ドラム410側から見た図である。
【0167】
レジストローラ710Rは、レジスト駆動ローラ710RRa及びレジスト従動ローラ710RRbからなる。そして、レジスト駆動ローラ710RRaとレジスト従動ローラ710RRbとのニップ部にて用紙を挟持したレジストローラ710Rをローラ移動部720にて幅方向に図示矢印q、あるいは矢印r方向に移動することにより、レジストローラ710Rから転写領域に送り出す用紙の幅方向位置を変更することができる。ローラ移動部720とレジストローラ710Rは、表裏反転された用紙の幅方向位置を変更する用紙幅方向位置変更手段として機能する。
【0168】
ローラ移動部720は、画像形成装置10の不図示の筐体に固定された台板721と台板721に固定されたローラ移動モータ720Mを有している。
【0169】
レジストローラ710Rは、レジスト駆動ローラ710RRa及びレジスト従動ローラ710RRbからなり、軸受け723dを介してレジスト基板723cに取り付けられている。軸受け723dには、レジスト駆動ローラ710RRa及びレジスト従動ローラ710RRbを互いに押圧する方向に付勢する押圧バネ723eが取り付けられている。レジスト基板723cの図示下方にはガイド板723fと、図示左側下部にはウオーム噛合部材723gが固定されている。ウオーム噛合部材723gには後述される円筒ウオーム歯車720Gに噛み合い可能なウオームホイールの歯型が形成されている。
【0170】
台板721は、上面にレジスト基板723cを載置しており、台板721に載置されたレジスト基板723cは、ガイド板723fを台板721に配された案内溝(図示せず)に案内されて幅方向位置を図示矢印q方向及び矢印r方向への移動が可能である。
【0171】
ローラ移動モータ720Mの軸には、レジスト基板723cに取り付けられたウオーム噛合部材723gと噛み合う円筒ウオーム歯車720Gが取り付けられている。
【0172】
ローラ移動モータ720Mが回転することにより、ローラ移動モータ720Mの軸に取り付けられた円筒ウオーム歯車720Gが回転し、円筒ウオーム歯車720Gが1回転される毎に、ウオーム噛合部材723gが円筒ウオーム歯車720Gのリード寸法(予め定められている)だけ円筒ウオーム歯車720Gの軸方向に移動され、レジスト基板723cが図示qあるいはr方向(幅方向)に移動される。
【0173】
ローラ移動モータ720Mはステッピングモータであり、その回転方向、回転角度は制御部900により決定される。制御部900は、ローラ移動モータ720Mの回転方向及び回転角度を制御し、レジスト基板723cを移動させる方向と、レジスト基板723cを移動させる量(距離)を制御する。レジストローラ710Rはレジスト基板723cに取り付けられており、レジストローラ710Rが移動される方向及び移動量の制御は、制御部900によりローラ移動モータ720Mの回転方向及び回転角度を制御することによりなされる。
【0174】
用紙位置検出センサ710Sは、給紙搬送路r1における反転排紙路r6との合流点より用紙搬送方向下流側、かつレジストローラ710Rの上流位置に配置される。そして、給紙搬送路r1をレジストローラ710Rに向けて搬送される用紙の搬送方向に沿った辺の位置を検出する。すなわち、用紙位置検出センサ710Sは、用紙反転装置にて表裏反転された用紙の幅方向の位置を検出する幅方向位置検出手段として機能する。
【0175】
制御部900は、用紙位置検出センサ710Sの検出結果とジョブに指定された用紙の幅方向寸法とから、給紙搬送路r1をレジストローラ710Rに向けて搬送されてくる用紙における幅方向の中心線の、用紙搬送部700の幅方向中心からの片寄りの方向と量とを算出する。
【0176】
制御部900は、給紙搬送路r1を搬送されてきた用紙がレジストローラ710Rに挟持されると、算出した用紙の幅方向の中心の、用紙搬送部700の幅方向中心からの片寄りの方向と量に基づいてローラ移動モータ720Mの回転方向及び回転角度を制御して、用紙を狭持したレジストローラ710Rを幅方向に移動させる。そして、幅方向に移動させたレジストローラ710Rから、挟持した用紙を転写搬送路r2に導入する。転写搬送路r2に導入された用紙の幅方向の中心線は画像形成装置における用紙搬送部700の幅方向中心に一致しており、感光体ドラム410の幅方向の中心、すなわち、感光体ドラム410に担持されたトナー像の幅方向の中心に一致する。したがって、転写領域にて転写されるトナー像の幅方向の位置が用紙の幅方向に対して片寄る不具合を発生させことはない。このように、制御部900は、転写領域に搬送される表裏反転された用紙の幅方向位置を転写されるトナー像の幅方向の位置に一致させるように制御する用紙幅方向位置制御手段として機能する。
【0177】
なお、画像形成装置10においては、ローラ移動部720は、用紙の幅方向位置の変更をレジストローラ710Rの幅方向位置を変更して行っているが、レジストローラ710Rよりも用紙搬送方向上流側かつ用紙位置検出センサ710Sよりも下流側のローラの幅方向位置を変更するように構成してもよい。
【0178】
以上述べた構成では、給紙搬送路r1を搬送される表裏反転された用紙の幅方向位置が移動されているとき、転写搬送路にr2に導入する用紙の幅方向位置を変更することにより、用紙に転写されるトナー像の幅方向の位置が用紙の幅方向に対して片寄る不具合を防止するが、転写搬送路にr2に導入する用紙の幅方向位置は変更せず、用紙に転写されるトナー像の幅方向位置を転写搬送路r2に導入される用紙の幅方向位置にあわせて変更するようにしても良い。
【0179】
すなわち、用紙位置検出センサ710Sの検出結果とジョブに指定された用紙の幅方向寸法とから、給紙搬送路r1をレジストローラ710Rに向けて搬送されてくる用紙における幅方向の中心の、用紙搬送部700の幅方向中心からの片寄りの方向と量とを算出し、算出結果に基づいて像担持体である感光体ドラム410に形成するトナー像の幅方向の位置を変更し転写する。
【0180】
像担持体に形成するトナー像の幅方向の位置の幅方向の位置の変更は、画像書込部300が、感光体ドラム410に書き込む画像データの幅方向位置を変更することによりなされる。
【0181】
用紙幅方向位置制御手段として機能する制御部900は、給紙搬送路r1を搬送される用紙における幅方向の中心の、用紙搬送部700の幅方向中心からの片寄りの方向と量とを算出し、算出結果に基づいて画像書込部300の動作を制御し、像担持体410に形成する潜像の幅方向の位置を変更させる。像担持体410に形成された幅方向の位置が変更された潜像は現像器500により現像されて、幅方向の位置が変更されたトナー像となる。そして、給紙搬送路r1から転写搬送路r2に導入された、幅方向の中心の位置が用紙搬送部700の幅方向中心から片寄っている用紙に転写される。
【0182】
このように、転写搬送路にr2に導入された用紙の幅方向位置の隔たりに合致する幅方向位置の片寄りを有して形成されたトナー像が用紙に転写されることにより、転写されたトナー像の幅方向の位置が用紙の幅方向に対して片寄る不具合が防止される。
【符号の説明】
【0183】
10 画像形成装置
100 原稿読み取り部
200 画像処理部
300 画像書き込み部
400 画像形成部
410 感光体ドラム
450 転写部
500 現像器
600 定着部
700 用紙搬送部
710 給紙搬送部
710R 排紙ローラ
710R レジストローラ
710S 用紙位置検出センサ
720 ローラ移動部
720M ローラ移動モータ
730 搬送路切り替え板
750 用紙反転装置
750S1 用紙センサ
750S2 用紙センサ
761 第1パネル
762 第2パネル
771 第1ローラ対
771M 第1ローラ駆動モータ
772 第2ローラ対
772M 第2ローラ駆動モータ
780 回転パネル
780M 回転パネル駆動モータ
780S 回転パネル位置センサ
781 リング
781R1、781R2、781R3 プーリ
782 リング
782R1、782R2、782R3 プーリ
790 用紙収容部
791A 用紙収容カセット
791B 用紙収容カセット
792A 給紙機構部A
792B 給紙機構部B
800 操作表示部
900 制御部
r1 給紙搬送路
r2 転写搬送路
r3 定着搬送路
r4 排紙搬送路
r5 反転導入路
r6 反転排紙路
Lmax 用紙反転装置750が2枚同時表裏反転を行うことができる最大サイズの用紙の用紙搬送方向の寸法
Ls 用紙搬送方向
kmin 最小紙間寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体、
前記像担持体に担持されたトナー像を用紙に転写する転写部と、
用紙を搬送する用紙搬送部と、
用紙をその搬送方向に直交する幅方向に回転させて表裏を反転する用紙反転装置と、
を有し、
前記転写部にて片面にトナー像の転写がなされた用紙を前記用紙反転装置にて表裏を反転し、先にトナー像の転写がなされた面の裏面に前記転写部にてトナー像の転写を行うことにより用紙の両面に画像形成を行う画像形成装置において、
前記用紙反転装置は複数の用紙を同時に導入可能であり、導入した複数の用紙の表裏反転を同時に行わせる用紙反転制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙反転装置は、搬送される用紙の前記幅方向の中心線を回転軸として回転することにより、用紙の表裏の反転を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙反転制御手段は、前記用紙反転装置が同時に表裏を反転する用紙の数を、用紙の搬送方向の長さに基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記用紙反転装置は、前記用紙反転装置が同時に導入可能な用紙の最大数に対応する数の用紙移動手段を有し、
前記用紙移動手段のそれぞれは、前記用紙反転装置に導入された複数の用紙のそれぞれを、前記用紙反転装置の所定位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記用紙反転装置にて表裏反転された用紙の幅方向の位置を検出する幅方向位置検出手段と、
表裏反転された用紙の幅方向位置を変更する用紙幅方向位置変更手段と、
前記幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて前記用紙幅方向位置変更手段の動作を制御し、前記像担持体と前記転写部とが対向する領域である転写領域に搬送される表裏反転された用紙の幅方向位置を転写されるトナー像の幅方向の位置に一致させるように制御する用紙幅方向位置制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記用紙反転装置にて表裏反転された用紙の幅方向の位置を検出する幅方向位置検出手段と、
前記幅方向位置検出手段の検出結果に基づいて、前記像担持体が担持するトナー像の幅方向位置を、前記像担持体と前記転写部とが対向する領域である転写領域に搬送される表裏反転された用紙の幅方向位置に一致させるように制御する用紙幅方向位置制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−17163(P2012−17163A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154622(P2010−154622)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】