説明

画像形成装置

【課題】コード画像のドットを大きくする。
【解決手段】画像形成部15は、カラートナーを用いて、感光体ドラム21Y,21M,21C,21K上にカラー画像を形成し、第1の転写バイアスにより、感光体ドラム21Y,21M,21C,21K上に形成されたカラー画像を中間転写ベルト26に転写する。また、画像形成部15は、赤外光又は紫外光を吸収する不可視トナーを用いて、ドットの配列により情報を表すコード画像を感光体ドラム21T上に形成し、第1の転写バイアスよりも大きい第2の転写バイアスにより、感光体ドラム21T上に形成されたコード画像を中間転写ベルト26に転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を形成するときに、画像の濃度を制御する技術がある。例えば、特許文献1には、パッチ画像の濃度を検出することにより、黒色のトナー画像を転写するときに用いる適切な一次転写電流値を決定する技術が記載されている。特許文献2には、テストパッチの濃度と、潜像条件、現像条件、転写条件等の情報とに基づいて、感光体ドラムの電位及び現像バイアスを調整する技術が記載されている。特許文献3には、転写材の表面電位に応じて転写バイアス電圧を調整する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−227480号公報
【特許文献2】特開平5−53402号公報
【特許文献3】特開平8−160784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コード画像のドットを大きくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、カラートナーを用いて、第1の像保持体上にカラー画像を形成する第1の形成部と、第1の転写バイアスにより、前記第1の像保持体上に形成された前記カラー画像を転写媒体に転写する第1の転写部と、赤外光又は紫外光を吸収する不可視トナーを用いて、ドットの配列により情報を表すコード画像を第2の像保持体上に形成する第2の形成部と、前記第1の転写バイアスよりも大きい第2の転写バイアスにより、前記第2の像保持体上に形成された前記コード画像を転写媒体に転写する第2の転写部とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の構成において、前記第2の形成部は、前記不可視トナーを用いて、前記第2の像保持体上に複数の領域を含むパッチ画像を形成し、前記第2の転写部は、前記第2の像保持体上に形成された前記パッチ画像に含まれる前記複数の領域を、それぞれ前記第1の転写バイアスよりも大きい異なる転写バイアスにより転写媒体に転写し、前記転写媒体に転写された前記パッチ画像に含まれる前記複数の領域の濃度を測定する第1の測定部と、前記第1の測定部により測定された前記複数の領域の濃度に基づいて、最も濃度が大きい領域を転写するときに用いられた転写バイアスを特定する特定部と、前記第2の転写部は、前記特定部により特定された転写バイアスにより、前記第2の像保持体上に形成された前記コード画像を転写することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記第2の形成部は、前記第2の像保持体を帯電させる帯電部と、前記帯電した第2の保持体を露光し、前記コード画像に対応する潜像を形成する露光部と、前記形成された潜像を前記不可視トナーで現像する現像部とを有し、前記潜像が現像された後、前記第2の保持体の現像電位を測定する第2の測定部と、前記第2の測定部により測定された現像電位が閾値よりも小さい場合には、前記第2の転写バイアスを大きくするよう制御する転写制御部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記画像形成装置内の湿度を測定する第3の測定部と、前記第3の測定部により測定された湿度が閾値よりも大きい場合には、前記第2の転写バイアスを大きくするよう制御する転写制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、カラートナーを用いて、第1の像保持体上にカラー画像を形成する第1の形成部と、第1の転写バイアスにより、前記第1の像保持体上に形成された前記カラー画像を転写媒体に転写する第1の転写部と、赤外光又は紫外光を吸収する不可視トナーを用いて、ドットの配列により情報を表すコード画像を第2の像保持体上に形成する第2の形成部と、前記コード画像が前記第1の転写バイアスで転写された場合に比べて前記ドットのサイズが大きくなるように設定された第2の転写バイアスにより、前記第2の像保持体上に形成された前記コード画像を転写媒体に転写する第2の転写部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、第1の転写バイアスでコード画像を転写する場合に比べて、コード画像のドットを大きくすることができる。
請求項2に係る発明によれば、コード画像のドットの濃度が最大になるように、第2の転写部の転写バイアスの値を設定することができる。
請求項3に係る発明によれば、現像電位の変化に応じて、第2の転写バイアスをより適した値に変更することができる。
請求項4に係る発明によれば、湿度の変化に応じて、第2の転写バイアスをより適した値に変更することができる。
請求項5に係る発明によれば、第1の転写バイアスでコード画像を転写する場合に比べて、コード画像のドットを大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の構成を示す図。
【図2】画像形成部の構成を示す図。
【図3】ドットA、B、Cの直径を示す図。
【図4】ドットA、B、Cの平均直径を示す図。
【図5】転写電流が45μAである場合のスキャン画像を示す図。
【図6】転写電流が50μAである場合のスキャン画像を示す図。
【図7】変形例に係る画像形成装置の構成を示す図。
【図8】パッチ画像の一例を示す図。
【図9】転写バイアスと光学濃度との関係を示す図。
【図10】変形例に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図11】変形例に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の構成を示す図である。画像形成装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、電源14と、画像形成部15とを備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを備える。CPUは、メモリに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置1の各部を制御する。通信部12は、通信回線を介して端末装置(図示せず)と通信を行う。記憶部13は、例えばハードディスクを備え、各種のデータを記憶する。電源14は、画像形成装置1の各部に電力を供給する。
【0013】
図2は、画像形成部15の構成を示す図である。画像形成部15は、感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21Tを備える。感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21Tは、それぞれ感光層を有し、軸を中心に回転する。感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21Tの周りには、それぞれ帯電器22Y,22M,22C,22K,22Tと、露光装置23と、現像装置24Y,24M,24C,24K,24Tと、一次転写ローラ25Y,25M,25C,25K,25Tとが配置される。
【0014】
帯電器22Y,22M,22C,22K,22Tは、それぞれ感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21Tの表面を均一に帯電させる。露光装置23は、帯電した各々の感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21Tを露光して、静電潜像を形成する。現像装置24Y,24M,24C,24K,24Tは、それぞれ感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21T上に形成された静電潜像をトナーで現像し、トナー像を形成する。現像装置24Y,24M,24C,24Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー(カラートナーの一例)を用いてトナー像を形成する。現像装置24Tは、不可視トナーを用いてトナー像を形成する。この不可視トナーとは、可視光に対してほぼ透明であり、赤外光又は紫外光を吸収するトナーのことである。不可視トナーは、可視光も若干吸収するため、トナー量が多くなると、目視で認識し易くなる。なお、「不可視」とは、実際に目視で認識できるか否かとは関係なく、目視で認識し難くすることを目的とした状態をいう。
【0015】
一次転写ローラ25Y,25M,25C,25K,25Tは、それぞれ感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21Tとの間に転写バイアスを加え、感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21T上に形成されたトナー像を中間転写ベルト26に転写する。一次転写ローラ25Y,25M,25C,25K,25Tには、電源14から転写電流が供給される。制御部11は、一次転写ローラ25Y,25M,25C,25K(第1の転写部の一例)には通常の転写電流を供給させ、一次転写ローラ25T(第2の転写部の一例)には通常の転写電流よりも大きい転写電流を供給させる。例えば、制御部11は、一次転写ローラ25Y,25M,25C,25Kには45μAの転写電流を供給させ、一次転写ローラ25Tには50μAの転写電流を供給させる。これにより、一次転写ローラ25Tの転写バイアスは、一次転写ローラ25Y,25M,25C,25Kの転写バイアスよりも大きくなる。以下の説明では、一次転写ローラ25Y,25M,25C,25Kの転写バイアスを第1の転写バイアスといい、一次転写ローラ25Tの転写バイアスを第2の転写バイアスという。
【0016】
中間転写ベルト26(転写媒体の一例)は、図中の矢印A方向に回転し、一次転写ローラ25Y,25M,25C,25K,25Tにより転写されたトナー像を二次転写ローラ27へと搬送する。二次転写ローラ27は、中間転写ベルト26により搬送されたトナー像を記録媒体に転写する。この記録媒体は、例えば用紙である。定着器28は、熱と圧力を加えることにより、トナー像を記録媒体に定着させる。給紙部29は、複数の記録媒体を収容し、収容する記録媒体を一枚ずつ供給する。搬送部30は、複数の搬送ローラ30aを有し、給紙部29から供給された用紙を、二次転写ローラ27、定着器28を経由して排出口へと搬送する。
【0017】
カラー画像を形成する場合、画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するための構成を用いて以下の動作を行う。カラー画像とは、後述するコード画像以外の画像をいう。この場合、制御部11は、カラー画像を表すカラー画像データを取得する。例えば、制御部11は、端末装置(図示せず)から送られてきたカラー画像データを通信部12により受信する。制御部11は、取得したカラー画像データに応じた画像信号を生成し、生成した画像信号を露光装置23に供給する。帯電器22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ感光体ドラム21Y,21M,21C,21K(第1の像保持体の一例)の表面を帯電させる。露光装置23は、制御部11から供給された画像信号に基づき、帯電した感光体ドラム21Y,21M,21C,21Kの少なくとも1つを露光し、カラー画像に対応する静電潜像を形成する。現像装置24Y,24M,24C,24Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いて、感光体ドラム21Y,21M,21C,21K上に形成された静電潜像を現像し、カラー画像を形成する。この帯電器22Y,22M,22C,22K、露光装置23及び現像装置24Y,24M,24C,24Kは、第1の形成部の一例である。一次転写ローラ25Y,25M,25C,25Kは、それぞれ第1の転写バイアスにより、感光体ドラム21Y,21M,21C,21K上に形成されたカラー画像を中間転写ベルト26に転写する。この第1の転写バイアスは、例えば良好な転写効率が得られるように設定された通常の転写バイアスである。
【0018】
一方、コード画像を形成する場合、画像形成装置1は、不可視トナーの画像を形成するための構成を用いて以下の動作を行う。コード画像とは、不可視トナーにより形成される小さなドットの配列により特定の情報を表す画像をいう。この場合、制御部11は、コード画像を表すコード画像データを取得する。例えば、制御部11は、端末装置(図示せず)から送られてきたコード画像データを通信部12により受信する。制御部11は、取得したコード画像データに応じた画像信号を生成し、生成した画像信号を露光装置23に供給する。帯電器22T(帯電部の一例)は、感光体ドラム21T(第2の像保持体の一例)を帯電させる。露光装置23(露光部の一例)は、制御部11から供給された画像信号に基づき、帯電した感光体ドラム21Tを露光し、コード画像に対応する静電潜像を形成する。現像装置24T(現像部の一例)は、感光体ドラム21T上に形成された静電潜像を不可視トナーで現像し、コード画像を形成する。この帯電器22T、露光装置23及び現像装置24Tは、第2の形成部の一例である。一次転写ローラ25Tは、第2の転写バイアスにより、感光体ドラム21T上に形成されたコード画像を中間転写ベルト26に転写する。この第2の転写バイアスは、通常の転写バイアスよりも大きい。そのため、一次転写ローラ25Tが転写を行う時は、放電が起こる。放電が起こると、コード画像のドットを形成するトナーが散らばる。これにより、ドットのサイズが大きくなる。言い換えると、第2の転写バイアスは、コード画像が第1の転写バイアスで転写された場合に比べて、ドットのサイズが大きくなるように設定されたものであるといえる。
【0019】
次に、転写バイアスを大きくした場合の作用を確認するために行った実験について説明する。この実験では、まず転写電流を45μAにしてドットA、B、Cを形成し、形成されたドットA、B、Cの直径を測定した。次に、転写電流を50μAにして同じドットA、B、Cを形成し、形成されたドットA、B、Cの直径を測定した。
【0020】
この実験の条件は、以下の通りである。
温度:22℃
湿度:55%
用紙:OKトップコート紙127.9g/m(王子製紙株式会社製)
プロセススピード:440mm/s
現像剤:2成分現像剤
現像電位:130V
なお、プロセススピードとは、画像形成装置1が画像を形成する処理を行うときの処理速度のことである。
【0021】
この実験で用いられた中間転写ベルト26の特性は、以下の通りである。
厚さ:100μm
ヤング率:3400MPa
表面硬度:35mN/μm
表面粗さ:1.5μm
表面抵抗率:12.8LogΩ/sq(500Vの電圧を印加した場合)
体積抵抗率:12.6LogΩ・cm(500Vの電圧を印加した場合)
【0022】
図3及び図4は、この実験の結果を示す図である。図3は、実験で測定されたドットA、B、Cの直径を示す図である。図4は、実験で測定されたドットA、B、Cの平均直径を示す図である。転写電流を45μAにした場合、ドットAの直径は103.56μm、ドットBの直径は105.18μm、ドットCの直径は104.04μmであった。また、ドットA、B、Cの平均直径は、104.26μmであった。これに対し、転写電流を50μAにした場合、ドットAの直径は125.36μm、ドットBの直径は124.84μm、ドットCの直径は131.04μmであった。ドットA、B、Cの平均直径は、127.08μmであった。このように、転写電流を50μAにした場合には、転写電流を45μAにした場合に比べて、ドットA、B、Cの直径が大きくなった。このことから、転写バイアスを大きくすると、ドットのサイズが大きくなることが確認できた。
【0023】
次に、転写電流を45μAにした場合に形成されたコード画像を、赤外光又は紫外光を照射するスキャナにより読み取り、スキャン画像31を生成した。また、転写電流を50μAにした場合に形成されたコード画像を、同じスキャナにより読み取り、スキャン画像32を生成した。図5は、スキャン画像31を示す図である。図6は、スキャン画像32を示す図である。スキャン画像31,32には、いずれも複数のドットが含まれている。しかしながら、スキャン画像32のドットは、スキャン画像31のドットよりもサイズが大きくなっている。また、スキャン画像31を生成した時の読み取りエラーの数と、スキャン画像32を生成した時の読み取りエラーの数とを比べてみると、スキャン画像32を生成した時の読み取りエラーの数は、スキャン画像31を生成した時の読み取りエラーの数に比べて約50%少なくなった。
【0024】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、変形して実施されてもよい。以下、変形例をいくつか説明する。また、以下の変形例は、それぞれ組み合わせて実施されてもよい。
【0025】
(変形例1)
一次転写ローラ25Tの転写バイアスは、コード画像のドットの濃度が最大になるように設定されてもよい。図7は、この変形例に係る画像形成装置1Aの構成を示す図である。画像形成装置1Aは、上述した制御部11、通信部12、記憶部13、電源14、画像形成部15に加え、濃度センサー16を備える。濃度センサー16(第1の測定部の一例)は、中間転写ベルト26の上側に設けられる。濃度センサー16は、不可視トナー像に光を照射し、その反射光を検出することにより、不可視トナー像の光学濃度を測定する。
【0026】
記憶部13には、予めパッチ画像50を表すパッチ画像データが記憶される。図8は、パッチ画像50の一例を示す図である。パッチ画像50は、j方向に配列する領域R1、R2、・・・、Rnを有する。図に示すi方向は、露光装置23の主走査方向に相当し、j方向は、露光装置23の副走査方向に相当する。制御部11は、記憶部13に記憶されたパッチ画像データに応じた画像信号を生成し、生成した画像信号を露光装置23に供給する。露光装置23は、制御部11から供給された画像信号に基づき、帯電した感光体ドラム21Tを露光し、パッチ画像50に対応する静電潜像を形成する。現像装置24Tは、感光体ドラム21T上に形成された静電潜像を不可視トナーで現像し、パッチ画像50を形成する。
【0027】
制御部11は、第2の転写バイアスよりも大きい転写バイアスB1、B2、・・・、Bnを設定する。制御部11は、パッチ画像50を転写するときに、パッチ画像50の領域R1、R2、・・・、Rnがそれぞれ転写バイアスB1、B2、・・・、Bnで転写されるように、一次転写ローラ25Tに供給する転写電流を順に大きくしていく。この場合、一次転写ローラ25Tは、感光体ドラム21Tとの間に転写バイアスB1、B2、・・・、Bnを順に加えて、感光体ドラム21T上に形成されたパッチ画像50を中間転写ベルト26に転写する。これにより、パッチ画像50の領域R1、R2、・・・、Rnは、それぞれ異なる転写バイアスB1、B2、・・・、Bnにより転写される。
【0028】
濃度センサー16は、中間転写ベルト26に転写されたパッチ画像50の領域R1、R2、・・・、Rnの光学濃度を順に測定する。制御部11は、濃度センサー16により測定された光学濃度に基づいて、一次転写ローラ25Tの転写バイアスと、その転写バイアスを用いて転写されたパッチ画像の領域の光学濃度との関係を求める。図9は、転写バイアスB1、B2、・・・Bnと、パッチ画像の領域B1、B2、・・・Bnの光学濃度との関係の一例を示す図である。転写バイアスB1からBkまでの間は、転写バイアスが大きくなるにつれ、光学濃度が大きくなっていく。しかし、転写バイアスBkを過ぎると、光学濃度が小さくなる。これは、転写バイアスが大きすぎると、放電量が過剰になり、転写率が下がるためである。続いて、制御部11は(特定部の一例)、この関係に基づき、最大の光学濃度に対応する転写バイアスBkを特定する。この転写バイアスBkは、パッチ画像50の領域R1、R2、・・・、Rnのうち、最も光学濃度が大きい領域を転写するときに用いられた転写バイアスである。そして、制御部11は、特定した転写バイアスBkを、一次転写ローラ25Tの転写バイアスに設定する。この場合、一次転写ローラ25Tは、設定された転写バイアスBkにより、コード画像を転写する。
【0029】
(変形例2)
二次転写バイアスは、現像電位の変化に応じて変更されてもよい。図10は、この変形例に係る画像形成装置1Bの構成を示す図である。画像形成装置1Bは、上述した制御部11、通信部12、記憶部13、電源14、画像形成部15に加え、電位センサー17を備える。電位センサー17(第2の測定部の一例)は、感光体ドラム21Tの周りに設けられ、現像後の感光体ドラム21Tの現像電位を非接触で測定する。制御部11(転写制御部の一例)は、電位センサー17により測定された現像電位が閾値よりも小さい場合には、一次転写ローラ25Tに供給する転写電流を増やすことにより、第2の転写バイアスを大きくする。これは、現像電位が小さい場合には、コード画像に付与されるトナー量が少なくなるため、コード画像を精度よく読み取れるようにするには、ドットのサイズを大きくする必要があるためである。
【0030】
(変形例3)
二次転写バイアスは、湿度の変化に応じて変更されてもよい。図11は、この変形例に係る画像形成装置1Cの構成を示す図である。画像形成装置1Cは、上述した制御部11、通信部12、記憶部13、電源14、画像形成部15に加え、湿度センサー18を備える。湿度センサー18(第3の測定部の一例)は、画像形成装置1の内部に設けられ、画像形成装置1内の湿度を測定する。制御部11は、湿度センサー18により測定された湿度が閾値よりも大きい場合には、一次転写ローラ25Tに供給する転写電流を増やすことにより、第2の転写バイアスを大きくする。これは、湿度が高い場合には、現像電位が小さくなる傾向があるため、コード画像を精度よく読み取れるようにするには、ドットのサイズを大きくする必要があるためである。
【0031】
(変形例4)
画像形成装置1では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外のカラートナーが用いられてもよい。例えば、ライトシアンやライトマゼンタのトナーが用いられてもよい。カラートナーとは、不可視トナー以外のトナーをいう。
【0032】
(変形例5)
画像形成装置1は、中間転写ベルト26を備えず、感光体ドラム21Y,21M,21C,21K,21T上に形成された画像を直接記録媒体に転写してもよい。この場合、記録媒体は、転写媒体として機能する。
また、画像形成装置1は、ロータリー現像方式で画像を形成してもよい。この場合、画像形成装置1は、感光体ドラム及び一次転写ローラをそれぞれ1つずつ備える。現像装置24Y,24M,24C,24K,25Tは、位置が入れ替えられ、感光体ドラム上に順にトナー像を形成する。一次転写ローラは、カラー画像が形成されるときには、第1の転写バイアスによりカラー画像を転写し、コード画像が形成されるときには、第2の転写バイアスによりコード画像を転写する。
【0033】
(変形例6)
制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備えてもよい。この場合、制御部11の機能は、ASICだけで実現されてもよいし、ASICとCPUの両方で実現されてもよい。
【0034】
(変形例7)
制御部11の機能を実現するプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスク(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk))など)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、画像形成装置1にインストールしてもよい。また、通信回線を介してダウンロードしてインストールしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…画像形成装置、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、14…電源、15…画像形成部、16…濃度センサー、17…電位センサー、18…湿度センサー、21Y,21M,21C,21K,21T…感光体ドラム、22Y,22M,22C,22K,22T…帯電器、23…露光装置、24Y,24M,24C,24K,24T…現像装置、25Y,25M,25C,25K,25T…一次転写ローラ、26…中間転写ベルト、27…二次転写ローラ、28…定着器、29…給紙部、30…搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラートナーを用いて、第1の像保持体上にカラー画像を形成する第1の形成部と、
第1の転写バイアスにより、前記第1の像保持体上に形成された前記カラー画像を転写媒体に転写する第1の転写部と、
赤外光又は紫外光を吸収する不可視トナーを用いて、ドットの配列により情報を表すコード画像を第2の像保持体上に形成する第2の形成部と、
前記第1の転写バイアスよりも大きい第2の転写バイアスにより、前記第2の像保持体上に形成された前記コード画像を転写媒体に転写する第2の転写部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の形成部は、前記不可視トナーを用いて、前記第2の像保持体上に複数の領域を含むパッチ画像を形成し、
前記第2の転写部は、前記第2の像保持体上に形成された前記パッチ画像に含まれる前記複数の領域を、それぞれ前記第1の転写バイアスよりも大きい異なる転写バイアスにより転写媒体に転写し、
前記転写媒体に転写された前記パッチ画像に含まれる前記複数の領域の濃度を測定する第1の測定部と、
前記第1の測定部により測定された前記複数の領域の濃度に基づいて、最も濃度が大きい領域を転写するときに用いられた転写バイアスを特定する特定部とを備え、
前記第2の転写部は、前記特定部により特定された転写バイアスにより、前記第2の像保持体上に形成された前記コード画像を転写する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の形成部は、前記第2の像保持体を帯電させる帯電部と、前記帯電した第2の保持体を露光し、前記コード画像に対応する潜像を形成する露光部と、前記形成された潜像を前記不可視トナーで現像する現像部とを有し、
前記潜像が現像された後、前記第2の保持体の現像電位を測定する第2の測定部と、
前記第2の測定部により測定された現像電位が閾値よりも小さい場合には、前記第2の転写バイアスを大きくするよう制御する転写制御部とを備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置内の湿度を測定する第3の測定部と、
前記第3の測定部により測定された湿度が閾値よりも大きい場合には、前記第2の転写バイアスを大きくするよう制御する転写制御部とを備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
カラートナーを用いて、第1の像保持体上にカラー画像を形成する第1の形成部と、
第1の転写バイアスにより、前記第1の像保持体上に形成された前記カラー画像を転写媒体に転写する第1の転写部と、
赤外光又は紫外光を吸収する不可視トナーを用いて、ドットの配列により情報を表すコード画像を第2の像保持体上に形成する第2の形成部と、
前記コード画像が前記第1の転写バイアスで転写された場合に比べて前記ドットのサイズが大きくなるように設定された第2の転写バイアスにより、前記第2の像保持体上に形成された前記コード画像を転写媒体に転写する第2の転写部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−173607(P2012−173607A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36900(P2011−36900)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】