説明

画像形成装置

【課題】本発明は、非常にシンプルなシステムで、非常に正確なインク供給が行え、か
つサブタンク内部の負圧を正確にコントロールすることで記録ヘッドからのインク流出や
出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの環境変動によ
る負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる。
【解決手段】本発明の記録液補充供給量制御方法によれば、サブタンクに記録液の補充
供給を行う際に、負圧レバーの所定の記録液の吸引量に対する変位量に、サブタンクの近
傍周辺における環境特性値に応じた補正係数を乗算した負圧レバーの変位量に基づいて記
録液補充供給量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録液補充供給量制御方法、記録液補充供給量制御装置及び画像形成装置に関し、詳細には記録液を装置本体側のメインタンクから記録ヘッドに補充供給するサブタンクに設けられ、サブタンク内の収納容量に応じて変位する負圧レバーの開き量を環境特性に応じて制御してサブタンクへの補充供給量を規定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インク容量が多いインクカートリッジを搭載したインクジェット記録装置において、キャリッジに搭載された記録ヘッドに直接インクカートリッジを搭載し記録ヘッドにインク供給を行なおうとすると、インクカートリッジの重さが原因でキャリッジ動作に支障を来たし、画像品質が下がってしまう。そこで、従来より、インクカートリッジを本体側に、キャリッジ内の記録ヘッドには印字に用いるインクを一時的に貯蔵しておくサブタンクを搭載させるようなインクジェット記録装置が存在している。
【0003】
図12はインクジェット記録装置のサブタンクの構造を示す斜視図である。同図において、負圧レバー301は、サブタンク内部に設けられ、フィルム302に付勢を与えるバネ(図示せず)によって負圧を生じているサブタンク内に収納されるインクの消費量に応じて変位するフィルム302に追随して動作するレバーである。供給口303は後述する図1及び図3のインクカートリッジ110k〜110yから図3のインク供給チューブ136を経てインクが供給される供給口である。また、大気開放ピン304はサブタンク内部を必要に応じて大気状態に開放するピンである。更に、このようなサブタンクの下方にはインク滴を噴射する記録ヘッド305が取り付けられている。
【0004】
このようなインクジェット記録装置におけるサブタンクにおいて、ある所定量のインクをインク量に対する負圧レバーの移動量が固定の値で設定されているインクジェット記録装置において、負圧レバーの移動量を見ながらインク充填すると、負圧レバーの動きにサブタンクごとのバラツキや、設置周辺の温度等の環境変動に対するバラツキがあった場合に、サブタンク内にインクが過充填されたり、所望の充填量に対して充填されたインク量が不足していたりし、サブタンク内の負圧が所望の値に維持することが困難となり画像品質の低下やインクの自重による記録ヘッドからのインク流出が発生してしまう。これらの問題点を解決するために、従来よりいくつかの提案がなされている。
【0005】
その一つとしての特許文献1には、インクカートリッジと記録ヘッドの間に中間タンクとそのタンクから離れた場所に圧力センサを搭載させ、記録ヘッド内部の負圧状態をセンスし、必要に応じて中間タンクを上下動させることにより、所望の負圧を維持する構成が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、インクを貯蔵しておく主タンク室に付随したメニスカス構成部材を有した副タンク室から、主タンク室の圧力がインクを消費することにより低下した場合、低下した圧力分副タンク室からインクが自動的に供給され、所望の負圧を保つ構成が開示されている。
【0007】
更に、特許文献3には、密閉したインクタンク内にインクを充填し、このインクタンクに一端が大気に開放された小穴を設け、インクタンク内のインクが消費されると、小穴を通じて空気がインクタンク内に供給されインクタンク内を所望の負圧に保つ構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1では、記録ヘッド、中間タンク、圧力センサとそれぞれが離れた場所に配置されているために、システムが煩雑かつ厖大になり得る。また、中間タンクを上下動させることによる負圧維持機構において、上下動させる機構を持たせることもシステムが煩雑かつ厖大になる要因である。更に、圧力センサを取り付けることは、コスト高につながる。また、設置周辺の温度等の環境変動に対するバラツキは考慮されておらず、環境変動の激しい場所での使用に対しては対処できない。また、上記特許文献2では、メニスカス構成部材の劣化により、所望の負圧を維持することが困難になることや、何らかの要因でタンク自体がリークした場合、その不具合に対する対処ができないという不都合があった。また、設置周辺の温度等の環境変動に対するバラツキも考慮されておらず、環境変動の激しい場所での使用に対しても対処できない。更に、上記特許文献3では、常に大気に開放されているため、インクの変性が起こり、何らかの要因でタンクがリークした場合の対処ができない等の不都合があった。また、設置周辺の温度等の環境変動に対するバラツキは考慮されておらず、環境変動の激しい場所での使用に対しては対処できない。
【0009】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、非常にシンプルなシステムで、非常に正確なインク供給が行え、かつサブタンク内部の負圧を正確にコントロールすることで記録ヘッドからのインク流出や出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの環境変動による負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる、記録液補充供給量制御方法、記録液補充供給量制御装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点を解決するために、ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した記録液の量に応じて変位し、サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、メインタンクからサブタンクへの記録液補充供給量を制御する、本発明の記録液補充供給量制御方法によれば、サブタンクに記録液の補充供給を行う際に、負圧レバーの所定の記録液の吸引量に対する変位量に、サブタンクの近傍周辺における環境特性値に応じた補正係数を乗算した負圧レバーの変位量に基づいて記録液補充供給量を制御することに特徴がある。よって、記録ヘッドからの記録液流出や出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの環境変動による負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる。
【0011】
また、本発明の記録液補充供給量制御方法によれば、サブタンクの近傍周辺における環境特性値が所定の基準値を超えているときはサブタンクを大気開放し、その際の負圧レバーの初期位置を検出し、サブタンクに記録液の補充供給を行う際に、負圧レバーの初期位置に対する負圧レバーの所定の記録液の吸引量に対する変位量に、環境特性値に応じた補正係数を乗算した負圧レバーの変位量に基づいて記録液補充供給量を制御することに特徴がある。よって、環境特性値に特段の変化があった場合でも、記録ヘッドからの記録液流出や出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの環境変動による負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる。
【0012】
更に、環境特性値は、サブタンクの近傍周辺の温度又は湿度のいずれか、あるいは温度及び湿度であることにより、温度変化、湿度変化を伴う環境下でも非常に精密な記録液補充供給を行うことができる。
【0013】
また、補正係数は随時更新されることにより、実使用上で補正係数が定まるので装置の使用状況に合わせた補正係数の決定が可能となり、非常に精密な記録液補充供給を行うことができる。
【0014】
更に、負圧レバーの所定の記録液の吸引量に対する変位量は、所定量の記録液を吸引した時の値であることにより、実使用上多くの頻度で実施される記録液吸引時に環境特性値に対する係数を算出していくことで、非常に簡便な制御で非常に精密な記録液補充供給が可能となる。
【0015】
また、負圧レバーの所定の記録液の吸引量に対する変位量は、所定量の空気を吸引した時の値であることにより、負圧を維持するために空気吸引を行った際に環境特性値に対する係数を算出していくことで、非常に簡便な制御で非常に精密な記録液の補充供給が可能となる。
【0016】
更に、インク補充供給量に対応する負圧レバーの変位量は、負圧形成時の変位量を元にして規定することにより、実使用上多くの頻度で実施される負圧形成動作時に環境特性値に対する係数を算出していくことで、非常に簡便な制御で非常に精密な記録液の補充供給が可能となる。
【0017】
また、サブタンクに記録液の補充供給を行う動作は、ヘッドクリーニング動作時に行ってもよい。
【0018】
更に、別の発明としてのインク補充供給量制御装置は、サブタンクにインクを補充する所定のインク量に対応する負圧レバーの変位量を記憶する負圧レバー変位量記憶部と、サブタンクの近傍温度に対する負圧レバーの変位量の補正係数を記憶する温度・補正係数記憶部と、サブタンクの近傍周辺の温度を検出する温度検出部と、負圧レバーの変位量を検出する負圧レバー位置検出部と、該負圧レバー位置検出部によって検出された負圧レバーの変位量に、温度検出部によって検出されたサブタンクの近傍周辺の温度に基づいて温度・補正係数記憶部から読み出した補正係数を乗算した負圧レバーの変位量に基づいてインク補充供給量を制御する制御部とを有することに特徴がある。よって、記録ヘッドからの記録液流出や出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの周辺温度変動による負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる。
【0019】
また、別の発明としてのインク補充供給量制御装置は、サブタンクにインクを補充する所定のインク量に対応する負圧レバーの変位量を記憶する負圧レバー変位量記憶部と、サブタンクの近傍湿度に対する負圧レバーの変位量の補正係数を記憶する湿度・補正係数記憶部と、サブタンクの近傍周辺の湿度を検出する湿度検出部と、負圧レバーの変位量を検出する負圧レバー位置検出部と、該負圧レバー位置検出部によって検出された負圧レバーの変位量に、湿度検出部によって検出されたサブタンクの近傍周辺の湿度に基づいて湿度・補正係数記憶部から読み出した補正係数を乗算した負圧レバーの変位量に基づいてインク補充供給量を制御する制御部とを有することに特徴がある。よって、記録ヘッドからの記録液流出や出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの周辺湿度変動による負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる。
【0020】
更に、別の発明としてのインク補充供給量制御装置は、サブタンクにインクを補充する所定のインク量に対応する負圧レバーの変位量を記憶する負圧レバー変位量記憶部と、サブタンクの近傍温度に対する負圧レバーの変位量の補正係数を記憶する温度・補正係数記憶部と、サブタンクの近傍湿度に対する負圧レバーの変位量の補正係数を記憶する湿度・補正係数記憶部と、サブタンクの近傍周辺の温度を検出する温度検出部と、サブタンクの近傍周辺の湿度を検出する湿度検出部と、負圧レバーの変位量を検出する負圧レバー位置検出部と、該負圧レバー位置検出部によって検出された負圧レバーの変位量に、温度検出部によって検出されたサブタンクの近傍周辺の温度又は湿度検出部によって検出されたサブタンクの近傍周辺の湿度、あるいは温度及び湿度に基づいて、温度・補正係数記憶部又は湿度・補正係数記憶部、あるいは温度・補正係数記憶部及び湿度・補正係数記憶部から読み出した補正係数を乗算した負圧レバーの変位量に基づいてインク補充供給量を制御する制御部とを有することに特徴がある。よって、記録ヘッドからの記録液流出や出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの周辺温度変動や周辺湿度変動、あるいは周辺温湿度変動による負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる。
【0021】
また、温度検出部によって検出されたサブタンクの近傍周辺の温度が所定の基準値を超えているとき、あるいは湿度検出部によって検出されたサブタンクの近傍周辺の湿度が所定の基準値を超えているときはサブタンクを大気開放し、その際の負圧レバーの初期位置を検出し、制御部は負圧レバーの初期位置に対する負圧レバーの変位量に温度・補正係数記憶部又は湿度・補正係数記憶部、あるいは温度・補正係数記憶部及び湿度・補正係数記憶部から読み出した補正係数を乗算し、乗算した負圧レバーの変位量に基づいて記録液補充供給量を制御する。よって、環境特性値に特段の変化があった場合でも、記録ヘッドからの記録液流出や出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの環境変動による負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる。
【0022】
また、温度・補正係数記憶部や湿度・補正係数記憶部に記憶されている補正係数は随時更新されることにより、実使用上で補正係数が定まるので装置の使用状況に合わせた補正係数の決定が可能となり、非常に精密な記録液補充供給を行うことができる。
【0023】
更に、負圧レバーの所定の記録液の吸引量に対する変位量は、所定量の記録液を吸引した時の値であることにより、実使用上多くの頻度で実施される記録液吸引時に温度や湿度などの環境特性値に対する係数を算出していくことで、非常に簡便な制御で非常に精密な記録液補充供給が可能となる。
【0024】
また、負圧レバーの所定の記録液の吸引量に対する変位量は、所定量の空気を吸引した時の値であることにより、負圧を維持するために空気吸引を行った際に環境特性値に対する係数を算出していくことで、非常に簡便な制御で非常に精密な記録液の補充供給が可能となる。
【0025】
更に、記録液補充供給量に対応する負圧レバーの変位量は、負圧形成時の変位量を元にして規定することにより、実使用上多くの頻度で実施される負圧形成動作時に環境特性値に対する係数を算出していくことで、非常に簡便な制御で非常に精密な記録液の補充供給が可能となる。
【0026】
また、別の発明としての画像形成装置は、上記記録液補充供給量制御装置を有することに特徴がある。よって、どのような環境でマシンを使用しようとも非常に精密な記録液補充供給が可能となり、安定した画像形成を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の記録液補充供給量制御方法によれば、サブタンクに記録液の補充供給を行う際に、負圧レバーの所定の記録液の吸引量に対する変位量に、サブタンクの近傍周辺における環境特性値に応じた補正係数を乗算した負圧レバーの変位量に基づいて記録液補充供給量を制御する。よって、記録ヘッドからの記録液流出や出力画像品質の低下等の不具合を防止することができ、更にはサブタンクの環境変動による負圧レバーの変位量バラツキを考慮せずとも記録ヘッド内の負圧を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置を前方から見た斜視図である。
【図2】インクジェット記録装置の機構部の概要を示す側面図である。
【図3】インクジェット記録装置の機構部の概要を示す要部平面図である。
【図4】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構の構成を示す概略図である。
【図5】図4の制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の別の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の別の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における別の記録液供給制御機構の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における別の記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における別の記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の別の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における別の記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の別の動作を示すフローチャートである。
【図13】インクジェット記録装置のサブタンクの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置を前方から見た斜視図である。同図に示す本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置100は、装置本体101と、装置本体101に装着された用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。また、装置本体101の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体101の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部104を有し、このカートリッジ装填部104の上面には操作ボタンや表示器などの操作/表示部105が設けられている。
【0030】
このカートリッジ装填部104には、色の異なる色材である記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液収容手段としての記録液カートリッジであるインクカートリッジ110k、110c、110m、110y(色を区別しないときは「インクカートリッジ110」という。)を、装置本体101の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部104の前面側には、インクカートリッジ110を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)106が開閉可能に設けられている。また、インクカートリッジ110k、110c、110m、110yは縦置き状態で横方向に並べて装填する構成となっている。
【0031】
また、操作/表示部105には、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部111k、111c、111m、111yを配置している。更に、この操作/表示部105には、電源ボタン112、用紙送り/印刷再開ボタン113、キャンセルボタン114も配置されている。
【0032】
次に、このインクジェット記録装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は同機構部の概要を示す側面図、図3は同じく要部平面図である。
【0033】
インクジェット記録装置の機構部において、フレーム121を構成する左右の側板121A、121Bに横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図3で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0034】
このキャリッジ133には、前述したようにイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0035】
記録ヘッド134を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0036】
この記録ヘッド134にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)122を介して接続している。また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。この各色のサブタンク135には各色のインク供給チューブ136を介して、前述したように、カートリッジ装填部104に装着された各色のインクカートリッジ110から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填104にはインクカートリッジ110内のインクを送液するための供給ポンプユニット124が設けられ、またインク供給チューブ136は這い回しの途中でフレーム121を構成する後板121Cに係止部材125にて保持されている。
【0037】
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)143及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
【0038】
そして、この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側に送り込むために、用紙142を案内するガイド部材145と、カウンタローラ146と、搬送ガイド部材147と、先端加圧コロ149を有する押さえ部材148とを備えるとともに、給送された用紙142を静電吸着して記録ヘッド134に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト151を備えている。
【0039】
この搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ152とテンションローラ153との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト151の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156を備えている。この帯電ローラ156は、搬送ベルト151の表層に接触し、搬送ベルト151の回動に従動して回転するように配置されている。更に、搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材157が配置されている。
【0040】
この搬送ベルト151は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ152が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向に周回移動する。
【0041】
更に、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪161と、排紙ローラ162及び排紙コロ163とを備え、排紙ローラ162の下方に排紙トレイ103を備えている。
【0042】
また、装置本体101の背面部には両面ユニット171が着脱自在に装着されている。この両面ユニット171は搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ146と搬送ベルト151との間に給紙する。また、この両面ユニット171の上面は手差しトレイ172としている。
【0043】
更に、図3に示すように、キャリッジ133の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド134のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構181を配置している。
【0044】
この維持回復機構181には、記録ヘッド134の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)182a〜182d(区別しないときは「キャップ182」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード183と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け184などを備えている。ここでは、キャップ182aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ182b〜182dは保湿用キャップとしている。
【0045】
そして、この維持回復機構181による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ182に排出されたインク、あるいはワイパーブレード183に付着してワイパークリーナ185で除去されたインク、空吐出受け194に空吐出されたインクは図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
【0046】
また、図3に示すように、キャリッジ133の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け188を配置し、この空吐出受け188には記録ヘッド134のノズル列方向に沿った開口189などを備えている。
【0047】
このように構成した本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置においては、給紙トレイ102から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142はガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ146との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド137で案内されて先端加圧コロ149で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0048】
このとき、後述する制御部のACバイアス供給部から帯電ローラ156に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト151が交番する帯電電圧パターン、すなわち周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト151上に用紙142が給送されると、用紙142が搬送ベルト151に吸着され、搬送ベルト151の周回移動によって用紙142が副走査方向に搬送される。
【0049】
そこで、リニアエンコーダ137による主走査位置情報に基づいてキャリッジ133を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
【0050】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ133は維持回復機構181側に移動されて、キャップ182で記録ヘッド134がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ182で記録ヘッド134をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド134の安定した吐出性能を維持する。
【0051】
図4は本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構の構成を示す概略図である。同図に示す本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構200は、メインタンクであるインクカートリッジ201からインクをサブタンク202に供給する供給ポンプ203と、サブタンク202内のインクを吸引する吸引ポンプ204と、サブタンク202に収容するインク量に応じて動作するフィルム205に追随して動作する負圧レバー206と、複数の負圧レバー206の内の所定の負圧レバー206の位置を検出して負圧レバー206の開き量を検出する位置センサ207と、当該位置センサ207によって検出した負圧レバー206の開き量に応じて供給ポンプ203又は吸引ポンプ204を動作させ、後述するような負圧レバー206の開き量に関する制御を施す制御部208と、吸引ポンプ204で吸引したインクを溜めておく廃液タンク209と、サブタンク202内の負圧状態を大気状態に開放する大気開放ピン210と、サブタンク202の近傍に設けられてサブタンク202の周辺温度を検出する温度センサ211と、サブタンク202の近傍に設けられてサブタンク202の周辺湿度を検出する湿度センサ212とを備えている。
【0052】
また、図4の制御部208は、図5に示すように、インク量と負圧レバーの開き量との関係を記憶しているインク量・負圧レバー開き量記憶部208−1と、温度センサ211によって検出されるサブタンク202の周辺温度に対する補正係数を記憶している温度・補正係数記憶部208−2と、湿度センサ212によって検出されるサブタンク202の周辺湿度に対する補正係数を記憶している湿度・補正係数記憶部208−3と、インク量・負圧レバー開き量記憶部208−1から読み出した、所定量のインク量に対する負圧レバー206の開き量に対して、温度・補正係数記憶部208−2から読み出した補正係数、又は湿度・補正係数記憶部208−3から読み出した補正係数、あるいは両方の補正係数を乗算して負圧レバー206の開き量を算出・決定する負圧レバー開き量決定部208−4と、該負圧レバー開き量決定部208−4によって決定された負圧レバー206の開き量に基づいてインク量・負圧レバー開き量記憶部208−1からインク量を読み出してインク補充量を制御するインク補充量制御部208−5とを含んで構成されている。
【0053】
なお、位置センサ207は、主走査方向に対して並列に並べて設置された複数のサブタンクの中で両端又は一端のサブタンクに設けられた負圧レバー206の位置を検出することが好ましい。また、制御部208は、図4に示すようなサブタンク202内のインク消費量に対する負圧レバー206の移動量の関係から定まる負圧レバー206の位置データを予め記憶する記憶テーブルを有している。更に、制御部208は、記憶テーブルに記憶されている負圧レバー206の位置データを、負圧レバー206の正常位置の平均を取って更新しておき、あるいは温度センサ211によって検出した温度や湿度センサ212によって検出した湿度の変化等の周囲環境変動に応じて逐次負圧レバーの位置平均を取って更新しておくことで、負圧レバー206の開き量の読み取り時のバラツキもある程度考慮できる制御を行うことができる。
【0054】
次に、このような構成を有する本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の動作について当該動作フローを示す図6に従って以下に説明する。先ず、所定量のインクを供給する場合に、図4のインクジェット記録装置において、負圧レバー206の閉じ量を位置センサ207によって検出し(ステップS101,S102)、図5の負圧レバー開き量決定部208−4はインク量・負圧レバー開き量記憶部208−1から読み出された所定量のインク量に相当する負圧レバー206の開き量に、温度センサ211及び/又は湿度センサ212によって検出された温度や湿度の変化等の環境特性値に相当する図5の温度・補正係数記憶部208−2及び/又は湿度・補正係数記憶部208−3に記憶されて読み出された補正係数を乗算して負圧レバー206の開き量を算出・決定する(ステップS103)。そして、図5のインク補充量制御部208−5は、決定した負圧レバー206の開き量に相当する負圧レバー206の位置まで負圧レバー206が移動するまでインク供給を行う(ステップS104、ステップS105;NO)。その後、負圧レバー206が決定した位置で検知されたならばインク供給を停止し(ステップS105;YES、ステップS106)、一連の所定量インク供給動作を終了する(ステップS107)。
【0055】
このような本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構において、例えば負圧レバーの移動量に環境変動によるバラツキが存在していた場合でも、本制御を導入することにより、サブタンクごと固有の所定量のインク供給に対する負圧レバーの移動量が規定できるので、非常に精密にインク供給が行うことが可能となる。
【0056】
次に、本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の別の動作について当該動作フローを示す図7に従って以下に説明する。先ず、所定量のインクを供給する場合に、図4のインクジェット記録装置において、負圧レバー206の閉じ量を位置センサ207によって検出し(ステップS201,S202)、図5の負圧レバー開き量決定部208−4はインク量・負圧レバー開き量記憶部208−1から読み出されて随時更新された負圧レバー206の開き量に、温度センサ211及び/又は湿度センサ212によって検出された温度や湿度の変化等の環境特性値に相当する図5の温度・補正係数記憶部208−2及び/又は湿度・補正係数記憶部208−3に記憶されて読み出された補正係数を乗算して負圧レバー206の開き量を算出・決定する(ステップS203)。そして、図5のインク補充量制御部208−5は、決定した負圧レバー206の開き量に相当する負圧レバー206の位置まで負圧レバー206が移動するまでインク供給を行う(ステップS204、ステップS205;NO)。その後、負圧レバー206が決定した位置で検知されたならばインク供給を停止し(ステップS205;YES、ステップS206)、一連の所定量インク供給動作を終了する(ステップS207)。
【0057】
このような本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構において、例えば負圧レバーの移動量にバラツキが存在していた場合でも、本制御を導入することにより、サブタンクごと固有の所定量のインク供給に対する負圧レバーの移動量が規定できるので、非常に精密にインク供給が行うことが可能となるばかりではなく、インクジェット記録装置がその時々で置かれている環境による負圧レバーの変動バラツキをもカバーし、精密なインク供給が可能となる。
【0058】
次に、本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の別の動作について当該動作フローを示す図8に従って以下に説明する。先ず、所定量のインクを供給する場合に、図4のインクジェット記録装置において、負圧レバー206の閉じ量を位置センサ207によって検出し(ステップS301,S302)、図5の負圧レバー開き量決定部208−4はインク量・負圧レバー開き量記憶部208−1から読み出されて吸引ポンプ204によるインク吸引時の負圧レバー206の開き量に、温度センサ211及び/又は湿度センサ212によって検出された温度や湿度の変化等の環境特性値に相当する図5の温度・補正係数記憶部208−2及び/又は湿度・補正係数記憶部208−3に記憶されて読み出された補正係数を乗算して負圧レバー206の開き量を算出・決定する(ステップS303)。そして、図5のインク補充量制御部208−5は、決定した負圧レバー206の開き量に相当する負圧レバー206の位置まで負圧レバー206が移動するまでインク供給を行う(ステップS304、ステップS305;NO)。その後、負圧レバー206が決定した位置で検知されたならばインク供給を停止し(ステップS305;YES、ステップS306)、一連の所定量インク供給動作を終了する(ステップS307)。
【0059】
このような本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構において、例えば負圧レバーの移動量にバラツキが存在していた場合でも、本制御を導入することにより、サブタンクごと固有の所定量のインク供給に対する負圧レバーの移動量が規定できるので、非常に精密にインク供給が行うことが可能となるばかりではなく、インクジェット記録装置がその時々で置かれている環境による負圧レバーの変動バラツキをもカバーし、精密なインク供給が可能となる。
【0060】
図9は本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における別の記録液供給制御機構の構成を示す概略図である。同図において図4と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構200は、メインタンクであるインクカートリッジ201からインクをサブタンク202に供給する供給ポンプ203と、サブタンク202内のインクを吸引する吸引ポンプ204と、サブタンク202に収容するインク量に応じて動作するフィルムに追随して動作する負圧レバー206と、複数の負圧レバー206の内の所定の負圧レバー206の位置を検出して負圧レバー206の開き量を検出する位置センサ207と、当該位置センサ207によって検出した負圧レバー206の開き量に応じて供給ポンプ203、吸引ポンプ204又は空気吸引ポンプ213を動作させ、後述するような負圧レバー206の開き量に関する制御を施す制御部208と、吸引ポンプ204で吸引したインクを溜めておく廃液タンク209と、サブタンク202内の負圧状態を大気状態に開放する大気開放ピン210と、サブタンク202の近傍に設けられてサブタンク202の周辺温度を検出する温度センサ211と、サブタンク202の近傍に設けられてサブタンク202の周辺湿度を検出する湿度センサ212とを備えている。
【0061】
次に、本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における別の記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の動作について当該動作フローを示す図10に従って以下に説明する。先ず、所定量のインクを供給する場合に、図4のインクジェット記録装置において、負圧レバー206の閉じ量を位置センサ207によって検出し(ステップS401,S402)、図5の負圧レバー開き量決定部208−4はインク量・負圧レバー開き量記憶部208−1から読み出されて空気吸引ポンプ213による空気吸引時の負圧レバー206の開き量に、温度センサ211及び/又は湿度センサ212によって検出された温度や湿度の変化等の環境特性値に相当する図5の温度・補正係数記憶部208−2及び/又は湿度・補正係数記憶部208−3に記憶されて読み出された補正係数を乗算して負圧レバー206の開き量を算出・決定する(ステップS403)。そして、図5のインク補充量制御部208−5は、決定した負圧レバー206の開き量に相当する負圧レバー206の位置まで負圧レバー206が移動するまでインク供給を行う(ステップS404、ステップS405;NO)。その後、負圧レバー206が決定した位置で検知されたならばインク供給を停止し(ステップS405;YES、ステップS406)、一連の所定量インク供給動作を終了する(ステップS307)。
【0062】
このような本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構において、例えば負圧レバーの移動量にバラツキが存在していた場合でも、本制御を導入することにより、サブタンクごと固有の所定量のインク供給に対する負圧レバーの移動量が規定できるので、非常に精密にインク供給が行うことが可能となるばかりではなく、インクジェット記録装置がその時々で置かれている環境による負圧レバーの変動バラツキをもカバーし、精密なインク供給が可能となる。
【0063】
次に、本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における別の記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の別の動作について当該動作フローを示す図11に従って以下に説明する。先ず、所定量のインクを供給する場合に、図4のインクジェット記録装置において、負圧レバー206の閉じ量を位置センサ207によって検出し(ステップS501,S502)、図5の負圧レバー開き量決定部208−4はインク量・負圧レバー開き量記憶部208−1から読み出されて負圧形成時の負圧レバー206の開き量に、温度センサ211及び/又は湿度センサ212によって検出された温度や湿度の変化等の環境特性値に相当する図5の温度・補正係数記憶部208−2及び/又は湿度・補正係数記憶部208−3に記憶されて読み出された補正係数を乗算して負圧レバー206の開き量を算出・決定する(ステップS503)。そして、図5のインク補充量制御部208−5は、決定した負圧レバー206の開き量に相当する負圧レバー206の位置まで負圧レバー206が移動するまでインク供給を行う(ステップS504、ステップS505;NO)。その後、負圧レバー206が決定した位置で検知されたならばインク供給を停止し(ステップS505;YES、ステップS506)、一連の所定量インク供給動作を終了する(ステップS507)。
【0064】
このような本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における記録液供給制御機構において、例えば負圧レバーの移動量にバラツキが存在していた場合でも、本制御を導入することにより、サブタンクごと固有の所定量のインク供給に対する負圧レバーの移動量が規定できるので、非常に精密にインク供給が行うことが可能となるばかりではなく、インクジェット記録装置がその時々で置かれている環境による負圧レバーの変動バラツキをもカバーし、精密なインク供給が可能となる。
【0065】
次に、本発明の画像形成装置としてのインクジェット記録装置における別の記録液供給制御機構の所定量のインクを供給する場合の別の動作について当該動作フローを示す図12に従って以下に説明する。先ず、湿度や温度の環境特性値を検出し(ステップS601)、検出した環境特性値が所定の基準値を超えているか否かを判定する(ステップS602)。なお、所定の基準値とは、例えばインクジェット記録装置が設置されている環境において冷暖房の使用等がある環境下で湿度や温度が大きく変化する環境となった場合、具体的には前回の大気開放充填で負圧レバー206の絶対位置を位置センサ207によって検出したときの湿度又は温度と、次の大気開放充填で負圧レバー206の絶対位置を位置センサ207によって検出したときの湿度又は温度との差が例えば30%以上であった場合の温度や湿度の環境特性値を言う。そして、ステップ602で環境特性値が所定の基準値を超えているときはサブタンクの大気開放を行って負圧レバー206の絶対位置を初期位置とし、その負圧レバー206の位置を位置センサ207によって検出し直した後(ステップS602;YES、ステップS603,S604)、所定量のインクを供給し始める(ステップS605)。また、ステップ602で環境特性値が所定の基準値を超えていないときは大気開放充填せずに、所定量のインクを供給し始める(ステップS602;NO、ステップS605)。その後、図4のインクジェット記録装置において、負圧レバー206の閉じ量を位置センサ207によって検出し(ステップS606)、図5の負圧レバー開き量決定部208−4はインク量・負圧レバー開き量記憶部208−1から読み出されて負圧形成時の負圧レバー206の開き量に、温度センサ211及び/又は湿度センサ212によって検出された温度や湿度の変化等の環境特性値に相当する図5の温度・補正係数記憶部208−2及び/又は湿度・補正係数記憶部208−3に記憶されて読み出された補正係数を乗算して負圧レバー206の開き量を算出・決定する(ステップS607)。そして、図5のインク補充量制御部208−5は、決定した負圧レバー206の開き量に相当する負圧レバー206の位置まで負圧レバー206が移動するまでインク供給を行う(ステップS608、ステップS609;NO)。その後、負圧レバー206が決定した位置で検知されたならばインク供給を停止し(ステップS609;YES、ステップS610)、一連の所定量インク供給動作を終了する(ステップS611)。
【0066】
なお、上記各実施の形態では、所定量のインクを供給する場合の補正動作であったがこれに限定する必要はなく、ヘッドクリーニング動作を実施する場合においても同様な補正動作を行ってもよい。
【0067】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
100;インクジェット記録装置、
200;記録液供給制御機構、201;インクカートリッジ、
202;サブタンク、203;供給ポンプ、204;吸引ポンプ、
205;フィルム、206;負圧レバー、207;センサ、
208;制御部、
208−1;インク量・負圧レバー開き量記憶部、
208−2;温度・補正係数記憶部、
208−3;湿度・補正係数記憶部、
208−4;負圧レバー開き量決定部、
208−5;インク補充量制御部、209;廃液タンク、
210;大気開放ピン、211;温度センサ、212;湿度センサ、
213;空気吸引ポンプ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2003-341028号公報
【特許文献2】特許第3,269,268号明細書
【特許文献3】特許第2,898,746号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに前記記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから前記記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した前記記録液の量に応じて変位し、前記サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、前記メインタンクから前記サブタンクへの記録液補充供給量を制御する記録液補充供給量制御方法において、
前記サブタンクに前記記録液の補充供給を行う際に、前記負圧レバーの所定の前記記録液の吸引量に対する変位量に、前記サブタンクの近傍周辺における環境特性値に応じた補正係数を乗算した前記負圧レバーの変位量に基づいて記録液補充供給量を制御することを特徴とする記録液補充供給量制御方法。
【請求項2】
ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに前記記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから前記記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した前記記録液の量に応じて変位し、前記サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、前記メインタンクから前記サブタンクへの記録液補充供給量を制御する記録液補充供給量制御方法において、
前記サブタンクの近傍周辺における環境特性値が所定の基準値を超えているときは前記サブタンクを大気開放し、その際の前記負圧レバーの初期位置を検出し、前記サブタンクに前記記録液の補充供給を行う際に、前記負圧レバーの初期位置に対する前記負圧レバーの所定の前記記録液の吸引量に対する変位量に、前記環境特性値に応じた補正係数を乗算した前記負圧レバーの変位量に基づいて記録液補充供給量を制御することを特徴とする記録液補充供給量制御方法。
【請求項3】
前記環境特性値は、前記サブタンクの近傍周辺の温度又は湿度のいずれか、あるいは温度及び湿度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録液補充供給量制御方法。
【請求項4】
前記補正係数は随時更新されることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録液補充供給量制御方法。
【請求項5】
前記負圧レバーの所定の前記記録液の吸引量に対する変位量は、所定量の前記記録液を吸引した時の値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録液補充供給量制御方法。
【請求項6】
前記負圧レバーの所定の前記記録液の吸引量に対する変位量は、所定量の空気を吸引した時の値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録液補充供給量制御方法。
【請求項7】
前記記録液補充供給量に対応する前記負圧レバーの変位量は、負圧形成時の変位量を元にして規定することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録液補充供給量制御方法。
【請求項8】
前記サブタンクに前記記録液の補充供給を行う動作は、ヘッドクリーニング動作であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録液補充供給量制御方法。
【請求項9】
ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに前記記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから前記記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した前記記録液の量に応じて変位し、前記サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、前記メインタンクから前記サブタンクへの記録液補充供給量を制御する記録液補充供給量制御装置において、
前記サブタンクに前記記録液を補充する所定の記録液量に対応する前記負圧レバーの変位量を記憶する負圧レバー変位量記憶部と、
前記サブタンクの近傍温度に対する前記負圧レバーの変位量の補正係数を記憶する温度・補正係数記憶部と、
前記サブタンクの近傍周辺の温度を検出する温度検出部と、
前記負圧レバーの変位量を検出する負圧レバー位置検出部と、
該負圧レバー位置検出部によって検出された前記負圧レバーの変位量に、前記温度検出部によって検出された前記サブタンクの近傍周辺の温度に基づいて前記温度・補正係数記憶部から読み出した前記補正係数を乗算した前記負圧レバーの変位量に基づいて前記記録液補充供給量を制御する制御部と
を有することを特徴とする記録液補充供給量制御装置。
【請求項10】
前記温度検出部によって検出された前記サブタンクの近傍周辺の温度が所定の基準値を超えているときは前記サブタンクを大気開放し、その際の前記負圧レバーの初期位置を検出し、前記制御部は前記負圧レバーの初期位置に対する前記負圧レバーの変位量に前記温度・補正係数記憶部から読み出した前記補正係数を乗算し、乗算した前記負圧レバーの変位量に基づいて前記記録液補充供給量を制御することを特徴とする請求項9記載の記録液補充供給量制御装置。
【請求項11】
ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに前記記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから前記記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した前記記録液の量に応じて変位し、前記サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、前記メインタンクから前記サブタンクへの記録液補充供給量を制御する記録液補充供給量制御装置において、
前記サブタンクに前記記録液を補充する所定の記録液量に対応する前記負圧レバーの変位量を記憶する負圧レバー変位量記憶部と、
前記サブタンクの近傍湿度に対する前記負圧レバーの変位量の補正係数を記憶する湿度・補正係数記憶部と、
前記サブタンクの近傍周辺の湿度を検出する湿度検出部と、
前記負圧レバーの変位量を検出する負圧レバー位置検出部と、
該負圧レバー位置検出部によって検出された前記負圧レバーの変位量に、前記湿度検出部によって検出された前記サブタンクの近傍周辺の湿度に基づいて前記湿度・補正係数記憶部から読み出した前記補正係数を乗算した前記負圧レバーの変位量に基づいて前記記録液補充供給量を制御する制御部と
を有することを特徴とする記録液補充供給量制御装置。
【請求項12】
前記湿度検出部によって検出された前記サブタンクの近傍周辺の湿度が所定の基準値を超えているときは前記サブタンクを大気開放し、その際の前記負圧レバーの初期位置を検出し、前記制御部は前記負圧レバーの初期位置に対する前記負圧レバーの変位量に前記湿度・補正係数記憶部から読み出した前記補正係数を乗算し、乗算した前記負圧レバーの変位量に基づいて前記記録液補充供給量を制御することを特徴とする請求項11記載の記録液補充供給量制御装置。
【請求項13】
ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに前記記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから前記記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した前記記録液の量に応じて変位し、前記サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、前記メインタンクから前記サブタンクへの記録液補充供給量を制御する記録液補充供給量制御装置において、
前記サブタンクに前記記録液を補充する所定の記録液量に対応する前記負圧レバーの変位量を記憶する負圧レバー変位量記憶部と、
前記サブタンクの近傍温度に対する前記負圧レバーの変位量の補正係数を記憶する温度・補正係数記憶部と、
前記サブタンクの近傍湿度に対する前記負圧レバーの変位量の補正係数を記憶する湿度・補正係数記憶部と、
前記サブタンクの近傍周辺の温度を検出する温度検出部と、
前記サブタンクの近傍周辺の湿度を検出する湿度検出部と、
前記負圧レバーの変位量を検出する負圧レバー位置検出部と、
該負圧レバー位置検出部によって検出された前記負圧レバーの変位量に、前記温度検出部によって検出された前記サブタンクの近傍周辺の温度又は前記湿度検出部によって検出された前記サブタンクの近傍周辺の湿度、あるいは温度及び湿度に基づいて、前記温度・補正係数記憶部又は前記湿度・補正係数記憶部、あるいは前記温度・補正係数記憶部及び前記湿度・補正係数記憶部から読み出した前記補正係数を乗算した前記負圧レバーの変位量に基づいて前記記録液補充供給量を制御する制御部と
を有することを特徴とする記録液補充供給量制御装置。
【請求項14】
前記温度検出部によって検出された前記サブタンクの近傍周辺の温度が所定の基準値を超えているとき、あるいは前記湿度検出部によって検出された前記サブタンクの近傍周辺の湿度が所定の基準値を超えているときは前記サブタンクを大気開放し、その際の前記負圧レバーの初期位置を検出し、前記制御部は前記負圧レバーの初期位置に対する前記負圧レバーの変位量に前記温度・補正係数記憶部又は前記湿度・補正係数記憶部、あるいは前記温度・補正係数記憶部及び前記湿度・補正係数記憶部から読み出した前記補正係数を乗算し、乗算した前記負圧レバーの変位量に基づいて前記記録液補充供給量を制御することを特徴とする請求項13記載の記録液補充供給量制御装置。
【請求項15】
前記温度・補正係数記憶部に記憶されている前記補正係数は、随時更新されることを特徴とする請求項9,10,13又は14のいずれか1項に記載の記録液補充供給量制御装置。
【請求項16】
前記湿度・補正係数記憶部に記憶されている前記補正係数は、随時更新されることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載の記録液補充供給量制御装置。
【請求項17】
前記負圧レバーの所定の前記記録液の吸引量に対する変位量は、所定量の前記記録液を吸引した時の値であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の記録液補充供給量制御装置。
【請求項18】
前記負圧レバーの所定の前記記録液の吸引量に対する変位量は、所定量の空気を吸引した時の値であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記録液補充供給量制御装置。
【請求項19】
前記記録液補充供給量に対応する前記負圧レバーの変位量は、負圧形成時の変位量を元にして規定することを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記録液補充供給量制御装置。
【請求項20】
前記サブタンクに前記記録液の補充供給を行う動作は、ヘッドクリーニング動作であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の記録液補充供給量制御装置。
【請求項21】
ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに前記記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから前記記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した前記記録液の量に応じて変位し、前記サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置において、
請求項9〜20のいずれか1項に記載の記録液補充供給量制御装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−210817(P2012−210817A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−148167(P2012−148167)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【分割の表示】特願2008−1748(P2008−1748)の分割
【原出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】