説明

画像形成装置

【課題】連続印画モードでロール紙の搬送を一時的に停止した場合に、ロール紙とカール矯正手段とが当接する部分に発生する局所的な曲げ変形を再矯正することで、印画画質の低下を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、連続印画モードの場合に、印画手段14でロール紙Pの印画領域に印画され部分をカッター手段6でカットした後、ロール紙Pの搬送を一時的に停止した際にロール紙Pのカール矯正手段5が当接していた部分が給紙カセット1の内部でロール状に巻回される位置までロール紙Pを搬送して待機し、その後、印画開始位置までロール紙Pを再搬送するように搬送手段3を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に、記録紙としてロール紙を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙としてロール紙を用いた画像形成装置では、ロール紙のカールを矯正するカール矯正手段を備えるのが一般的である。カール矯正手段は、カール方向と逆の方向にロール紙を変形させて、印画後の用紙を適正なカール量に調整する。
【0003】
ところで、このような画像形成装置では、ロール紙の往復搬送の折り返し位置やカット動作時、或いは次の画像データの読み込み時など、制御上ロール紙の搬送を一時的に停止させる場合がある。
【0004】
この場合、ロール紙とカール矯正手段とが当接した状態であるため、ロール紙の一部分のみが強く矯正され、ロール紙のカール部分にカール方向とは逆方向の局所的な曲げ変形が発生する。
【0005】
従って、連続印画モードの場合に、このカール部分の局所的な曲げ変形により、ロール紙の平滑性が損なわれて、次に画像データの印画動作中のヘッドタッチの変化やロール紙の搬送速度変動が生じやすくなる。この結果、濃度むらや色抜けとなり、印画画質を低下させてしまう。
【0006】
一方、印画終了後にロール紙を逆搬送し、カール部分に局所的な曲げ変形が発生しない位置までロール紙の先端を戻して待機させる技術が提案されている(特許文献1)。
【0007】
また、ロール紙のカット動作終了後に印画物を排紙した後、所定寸法だけロール紙の先端を送り出して保持することで、次の画像データの読み込みなどで待機する間に、ロール紙の先端に局所的な曲げ変形が発生するのを防ぐ技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−108434号公報
【特許文献2】特開平5−309890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1及び2のいずれも、連続印画モードでロール紙の搬送を一時的に停止した場合に、ロール紙とカール矯正手段とが当接する部分に発生する局所的な曲げ変形を再矯正することについては開示も示唆もされていない。
【0010】
そこで、本発明は、連続印画モードでロール紙の搬送を一時的に停止した場合に、ロール紙とカール矯正手段とが当接する部分に発生する局所的な曲げ変形を再矯正することで、印画画質の低下を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、記録紙としてのロール紙を収納する収納部と、前記収納部に収納された前記ロール紙を搬送路に給紙する給紙手段と、前記搬送路に給紙された前記ロール紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段の下流側に配置され、前記搬送手段により搬送される前記ロール紙の印画領域に対して印画動作を行う印画手段と、前記印画手段により前記ロール紙の前記印画領域に印画された部分を印画物としてカットするカッター手段と、前記印画手段と前記搬送手段との間に配置され、前記ロール紙をカール方向と逆の方向に変形させて、前記印画物のカール量を調整するカール矯正手段と、前記給紙手段、前記搬送手段、前記印画手段及び前記カッター手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、連続印画モードの場合に、前記カッター手段により前記印画された部分をカットした後、前記ロール紙の搬送を一時的に停止した際に前記カール矯正手段が当接していた部分が前記収納部の内部でロール状に巻回される位置まで前記ロール紙を搬送して待機し、その後、印画開始位置まで前記ロール紙を再搬送するように前記搬送手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連続印画モードでロール紙の搬送を一時的に停止した場合に、ロール紙とカール矯正手段とが当接する部分に発生する局所的な曲げ変形を再矯正してからロール紙を再搬送するので、印画画質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の一例である画像形成装置の概略断面図である。
【図2】給紙カセットを軸方向から見た図である。
【図3】(a)はカッターユニットによるカット動作時におけるロール紙の停止位置を示す模式図、(b)は排紙ローラ対による排紙動作時におけるロール紙の停止位置を示す模式図である。(c)は、ロール紙のカール部分に発生する曲げ変形の再矯正時におけるロール紙の停止位置を示す模式図である。
【図4】カット動作時におけるロール紙の停止位置での要部断面図である。
【図5】曲げ変形の再矯正時におけるロール紙の停止位置での要部断面図である。
【図6】排紙動作時におけるロール紙の停止位置での要部断面図である。
【図7】曲げ変形の再矯正時におけるロール紙の停止位置での要部断面図である。
【図8】画像形成装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図9】連続印画モードにおける画像形成装置の動作例を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態の一例である画像形成装置の概略断面図、図2は給紙カセットを軸方向から見た図である。
【0016】
図1において、給紙カセット1には、ロール紙Pがボビン1aに巻回された状態で収納されている。給紙カセット1の外周部には、記録紙としてのロール紙Pを搬送路に送り出すためのスリット状の開口が設けられている。ここで、給紙カセット1は、本発明の収納部の一例に相当する。
【0017】
ボビン1aは、図の略上下方向に移動可能に支持されており、ロール紙Pは、ばね部材1c(図2)により給紙ローラ2及び分離部材1bに対して押圧接触した状態となる。
【0018】
この状態で、給紙ローラ2が回転駆動されると、ロール紙Pは、ボビン1aと共に回転し、分離部材1bは、回転するロール紙Pの先端をすくい上げてスリット状の開口へとガイドして搬送路に送り出す。
【0019】
そして、搬送路に送り出されたロール紙Pは、キャプスタンローラ3とピンチローラ4とのローラ対により下流側に搬送される。
【0020】
インクリボンカセット14の内部には、インクリボン14aが収納されている。インクリボン14aは、供給ボビン14bおよび巻き取りボビン14cに巻回されている。
【0021】
サーマルヘッド12は、複数の発熱素子を有する加熱部を備えており、インクリボン14a上に塗布されたインクをロール紙Pに熱転写する。また、サーマルヘッド12は、略上下方向に移動可能な取付フレームに取り付けられ、印画動作時には、取付フレームが所定の位置まで移動して、ばね部材の付勢力により加熱部とプラテンローラ13とを押圧する。
【0022】
ここで、サーマルヘッド12とプラテンローラ13とのニップ部で形成される搬送路と、キャプスタンローラ3とピンチローラ4とのニップ部で形成される搬送路とは、角度をもって配置され、この2つの搬送路に接するようにデカーラ5が配置される。ここで、デカーラ5は、本発明のカール矯正手段の一例に相当する。
【0023】
デカーラ5は、搬送路に送り出されたロール紙Pが屈曲する位置に配置され、ロール紙Pをカール方向の逆の方向に湾曲させるようにロール紙Pの裏面に接触する。
【0024】
そして、この状態でキャプスタンローラ3を駆動して、ロール紙Pを送り出し方向と逆方向(印画方向X2:図3)に搬送すると、サーマルヘッド12とプラテンローラ13とのニップ力がロール紙Pの張力となり、ロール紙Pの裏面がデカーラ5に押圧接触する。
ここで、2つの搬送路の傾きの角度とデカーラ5の半径とを調整することで、印画後のロール紙Pが適正なカール量となるように調整される。なお、デカーラ5の形状及び数等は特に限定されない。
【0025】
カッターユニット6は、可動刃6a及び固定刃6bを備え、可動刃6a及び固定刃6bは、搬送路を挟むように対向配置される。そして、不図示のカッターモータによって回転駆動されるカムギア6cにより可動刃6aをロール紙Pの紙面に対して上下方向に往復させることで、ロール紙Pを切断する。
【0026】
そして、切断されたロール紙Pは、カッターユニット6の搬送路下流側に配置された排紙ローラ対15,16により、排紙トレイ19に排紙される。なお、カッターユニットの種類は、特に限定されず、例えばロータリカッター等を用いてもよい。
【0027】
図3(a)はカッターユニット6によるカット動作時におけるロール紙Pの停止位置を示す模式図、図3(b)は排紙ローラ対15,16による排紙動作時におけるロール紙の停止位置を示す模式図である。図3(c)は、ロール紙Pのカール部分に発生する曲げ変形の再矯正時におけるロール紙Pの停止位置を示す模式図である。
【0028】
図3において、X1は、給紙方向或いは排紙方向であり、X2は、ロール紙Pの給紙カセット1内への収納方向或いは印画方向である。
【0029】
カッターユニット6によるカット動作終了後、ロール紙Pは、図3(a)に示す状態から、排紙方向X1に搬送され、図3(b)に示す排紙動作を終了した状態となる。また、図3(b)に示す状態から、ロール紙Pを収納方向X2に搬送することで、図3(c)に示す状態に至る。
【0030】
図3(a)の状態では、ロール紙Pの印画領域7は、未印画領域8とつながった状態であるため、印画領域7に印画動作を行う間も、未印画領域8が給紙ローラ2やキャプスタンローラ3、デカーラ5を通過することになる。
【0031】
特に、熱転写式のカラー印画では、印画方向X2へロール紙Pを搬送しながら、印画領域7に複数の色を順次重ねることで所望の画像を得る。
【0032】
このとき、印画開始位置から印画開始位置より上流側の印画終了位置まで搬送されたロール紙Pを一時的に停止させ、その後、キャプスタンローラ3により給紙方向X1へ搬送して再び印画開始位置まで戻し、更に同様の印画動作を複数回繰り返す必要がある。
【0033】
このように、ロール紙Pの往復搬送における折り返し位置においては、ロール紙Pの搬送を一時的に停止させなければならない。このため、ロール紙Pとデカーラ5とが当接した位置でロール紙Pの一部分のみが強く矯正され、カール部分にカール方向とは逆方向の局所的な曲げ変形10が発生する。
【0034】
また、印画領域7において一枚分の印画が完了するまでの間に、ロール紙Pの未印画領域8に対してデカーラ5が複数回当接するため、上述した曲げ変形10は幾重にも蓄積される。
【0035】
図3(a)において、切り屑領域11は、直前の印画動作によって形成された印画領域7と次の印画動作で使用される未印画領域8との間に位置している。本実施形態では、印画領域7と未印画領域8との間に、余白として毎回切り屑11が形成されるようになっているが、これに限定されない。
【0036】
ところで、図3(b)に示す印画物9の排紙動作時における停止位置は、前述した往復搬送の中での折り返し位置に相当する。
【0037】
つまり、排紙動作として排紙方向X1に搬送されたロール紙Pは、図3(b)に示す位置で一旦停止し、ここからは逆に収納方向X2に搬送されることになる。そのため、比較的短い時間であったとしても、図3(b)の停止位置におけるデカーラ5との当接位置において、ロール紙Pに上述した曲げ変形が新たに発生する。
【0038】
しかし、本実施形態では、新たな曲げ変形の発生箇所が切り屑領域11内に含まれるように、排紙動作の搬送量を調整して設定している。切り屑領域11は、印画の対象ではないため、この領域に新たに曲げ変形が発生したとしても印画品位が低下することはない。
図3(c)の状態では、ロール紙Pの先端は、デカーラ5を通過し、且つキャプスタンローラ3で保持されている。また、カッターユニット6によるカット動作時に発生したロール紙Pの曲げ変形10は、給紙カセット1内で巻回された状態となっている。
【0039】
ここで、カッターユニット6からデカーラ5までの距離L1を、キャプスタンローラ3から給紙ローラ2までの距離L2よりも長くすることで、カッターユニット6によるカット動作時における曲げ変形10の部分を給紙カセット1内に収納することができる。
【0040】
図3(c)の状態で所定の時間待機すると、カット動作時に発生した曲げ変形10は、ロール状に巻回された状態で再矯正されて元のカール形状に戻り、これにより、ロール紙P表面の平滑性を取り戻すことができる。
【0041】
本実施形態では、曲げ変形10の再矯正に要する待機時間を利用して、例えば画像データの展開や読み込み、補正や合成など、次に印画する画像データの処理を実行する制御を行う。これにより、曲げ変形10を再矯正している間に次に印画する画像データの処理を完了させることができる。
【0042】
また、図3(c)の曲げ変形10の再矯正時には、次に印画する画像データの容量に応じて、待機時間を変更する制御がより好ましい。
【0043】
一般的に、画像データの容量と求められている印画画質とが相関するため、例えば、画像データの容量が大きいほど、撮影時の画素数が多く、高画質が求められる場合が多い。
そこで、本実施形態では、次に印画する画像データの容量が大きいほど、曲げ変形10の再矯正に要する待機時間を長くなるように設定する。換言すれば、次に印画する画像データの処理に要する時間に応じて、曲げ変形10の再矯正に要する待機時間を設定する。なお、画像データの処理と同時に、例えば、冷却動作としての温度ウェイトなどを実行しても良い。
【0044】
一方、図3(c)の状態では、ロール紙Pの先端は、キャプスタンローラ3で保持された状態である。本実施形態では、複数の画像を連続して印画する連続印画モードを想定している。
【0045】
次に、図4〜図7を参照して、ロール紙Pの先端を搬送路上で検知するセンサ類について説明する。図4はカット動作時におけるロール紙Pの停止位置での要部断面図、図5は曲げ変形10の再矯正時におけるロール紙Pの停止位置での要部断面図である。
【0046】
図4及び図5において、検知センサ17は、デカーラ5とキャプスタンローラ3との中間位置で搬送路に近接して配置されている。給紙動作時には、給紙ローラ2によって給紙カセット1から引き出されたロール紙Pは、キャプスタンローラ3とピンチローラ4とに狭持され、その先端がデカーラ5の直前にまで至る。このとき、検知センサ17がロール紙Pの先端位置を検知することで、その後の搬送量を任意に設定することができる。
【0047】
本実施形態では、連続印画モードの場合、図5に示す曲げ変形10の再矯正と同時に、検知センサ17によってロール紙Pの搬送ずれの有無を検知する。
【0048】
具体的には、図5に示すロール紙Pの停止位置において、ロール紙Pの先端が検知センサ17をわずかに通過した位置で、且つキャプスタンローラ3で保持されるように収納方向X2への搬送量を設定する。
【0049】
このとき、図4で検知センサ17はロール紙Pを検知した状態であるのに対し、図5では検知センサ17はロール紙Pを検知していない状態となる。
【0050】
ロール紙Pがキャプスタンローラ3の搬送量に対してずれて搬送された場合であれば、例えばロール紙Pが図5の停止位置に至っても、まだ検知センサ17がロール紙Pを検知したままの状態となることが予想される。
【0051】
つまり、図4の状態から収納方向X2にロール紙Pが搬送される途中で、その先端がいつ検知センサ17を通過するかを監視し、あらかじめ記憶していたタイミングと比較することで、ロール紙Pとキャプスタンローラ3との位相のずれの有無を検知する。
【0052】
図6は排紙動作時におけるロール紙Pの停止位置での要部断面図、図7は曲げ変形10の再矯正時におけるロール紙Pの停止位置での要部断面図である。
【0053】
図6及び図7において、検知センサ18は、排紙ローラ15とカッターユニット6との中間位置で搬送路に近接して配置されている。
【0054】
排紙ローラ15は、不図示のモータによって回転駆動され、給紙ローラ2やキャプスタンローラ3と同期している。そのため、排紙動作時には、図3(b)および図6に示すように、印画物9を装置の外へ排出するのと連動して、ロール紙Pが余分に引き出されることになる。
【0055】
排紙ローラ対15,16を抜けた印画物9は、排紙トレイ19に落下して収納される。切り屑11の排紙動作についても、印画物9と同様であり、この場合、切り屑収納部20に収納される。
【0056】
ここで、印画物9の排紙動作の完了後、曲げ変形10を再矯正する必要があるため、図6に示す停止位置から図7に示す停止位置までロール紙Pを収納しなければならない。このときに印画物9が逆流するのを回避するため、本実施形態では、図6から図7までの収納動作と共に、検知センサ18によって印画物9の逆流を監視する構成となっている。
【0057】
図6では検知センサ18はロール紙Pを検知した状態であるのに対し、図7では検知センサ18はロール紙Pを検知していない状態となる。
【0058】
印画物9が逆流した場合であれば、例えばロール紙Pが図7の停止位置に至った際、検知センサ18が逆流用紙を検知した状態となっていることが予想される。
【0059】
つまり、図6の状態から図7の状態へとロール紙Pが搬送される途中で、その先端がいつ検知センサ18を通過するかを監視し、あらかじめ記憶していたタイミングと比較することで、印画物9の逆流の有無を検知する。なお、本実施形態では、検知センサ17,18として光学式センサを用いたが、検知センサの種類は特に限定されない。
【0060】
次に、図8を参照して、画像形成装置の制御系について説明する。
【0061】
図8において、メインコントローラ21は、画像形成装置全体の制御を司る。検知センサ22は、給紙カセット1の有無を検知し、検知センサ23は、インクリボンカセット14の有無を検知する。なお、本実施形態では、誤作動防止のため、検知センサ22,23が共にON状態であるときにのみ、画像形成装置が印画開始動作に移行する。
【0062】
検知センサ17は、給紙カセット1から引き出されたロール紙Pの先端部が通過したことを検知し、検知センサ24は、インクリボン14aの各色の先端部に塗布された遮光マーカーを検知する。検知センサ25は、可動刃6aが待機位置にあるか切断位置にあるかを検知し、検知センサ18は、装置の外から逆流してくる印画物9の有無を検知する。
【0063】
モータドライバ26は、紙送りモータ27を駆動するためのドライバである。紙送りモータ27は、回転機構を介して給紙ローラ2やキャプスタンローラ3、排紙ローラ15等に連結されている。モータドライバ28は、インクリボン巻上げ用のモータ29を駆動するためのドライバである。
【0064】
インクリボン14aが装着された状態では、巻き取りボビン14cとインクリボン巻上げ用のモータ29とが回転機構を介して連結されており、モータ29の駆動によりインクリボン14aの巻き取り、巻き上げが行われる。なお、モータ29によるインクリボン14aの巻き上げ動作は、検知センサ24の検知結果に基づいて制御される。
【0065】
モータドライバ30は、サーマルヘッド12の昇降を行うモータ31を駆動してサーマルヘッド12を印画位置と退避位置との間で動作させる。モータドライバ32は、カッターユニット6の可動刃6aを駆動するためのドライバである。
【0066】
表示制御部34は、LCD等の表示部35の表示を制御する。表示部35は、印画される画像データを表示したり、印画に必要な設定データを入力するためにメニューを表示したりする。操作部36は、画像形成装置の電源のON/OFFを指示する電源スイッチや、表示部35に表示された各種メニューを選択するための選択スイッチなどを備える。
【0067】
次に、図9を参照して、連続印画モード時における画像形成装置の動作例について説明する。図9での各処理は、図8のROM等の記憶手段に記憶された制御プログラムがRAMにロードされて、メインコントローラ21により実行される。
【0068】
ステップS1では、メインコントローラ21は、ユーザによる操作部36での連続印画モードの印画開始指示を受け付けると、ステップS2に進む。
【0069】
ステップS2では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して給紙ローラ2等を回転させ、給紙カセット1内のロール紙Pを送り出す。
【0070】
給紙カセット1内から送り出されたロール紙Pは、先端が分離部材1bにガイドされてスリット状の開口に導かれ、その後、給紙ローラ2と同期駆動されるキャプスタンローラ3とピンチローラ4とで狭持されて下流側に搬送される。
【0071】
そして、メインコントローラ21は、検知センサ17の検知情報に基づいてロール紙Pの先端が印画開始位置まで達したか否かを判断し、達した場合は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を停止して、ステップS3に進む。
【0072】
ステップS3では、メインコントローラ21は、モータドライバ28を介してモータ29の駆動を制御してインクリボン14aを巻き上げる。
【0073】
そして、メインコントローラ21は、インクリボン14aを巻き上げる過程で、検知センサ24によるインクリボン14aの先端部の遮光マーカーの検出情報を基に、各色のインクリボン14aの先端位置合わせを行い、ステップS4に進む。
【0074】
ステップS4では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、ロール紙Pをインクリボン14aとともに印画開始位置から印画終了位置まで印画方向X2に搬送する。
【0075】
また、メインコントローラ21は、モータドライバ30を介してモータ31の駆動を制御してサーマルヘッド12の取付フレームを印画位置まで移動させて加熱部をロール紙Pを介してプラテンローラ13に押圧し、印画動作を行う。
【0076】
その後、メインコントローラ21は、再度、モータドライバ30を介してモータ31の駆動を制御してサーマルヘッド12の取付フレームを印画位置から退避させ、ステップS5に進む。
【0077】
この段階では、全ての色の印画動作は終了していないため、メインコントローラ21は、ステップS6に移行し、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、ロール紙Pを印画終了位置から印画開始位置まで搬送し、ステップS3に戻る。
【0078】
そして、メインコントローラ21は、ステップS3〜ステップS6の処理を繰り返し、ステップS5で、ロール紙Pの印画領域7に対して全ての色の印画動作が完了すると、ステップS7に進む。
【0079】
ステップS7では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、ロール紙Pを切り屑11の切断位置まで搬送し、ステップS8に進む。ここでは、ロール紙Pは、排紙ローラ対15,16に挟持されて、排紙方向X1へ搬送される。
【0080】
ステップS8では、メインコントローラ21は、モータドライバ32を介してモータ33の駆動を制御して、カッターユニット6の可動刃6aを切断位置に下降させ、ロール紙Pを切り屑領域11と印画領域7との境界で切断する。
【0081】
そして、メインコントローラ21は、前記切断後、検知センサ25の検知情報を基に、モータドライバ32を介してモータ33の駆動を制御して、可動刃6aを切断位置から退避させ、ステップS9に進む。
【0082】
ステップS9では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、排紙ローラ対15,16により切断位置から切り屑11を上流側の印画領域7とともに、排紙方向X1に搬送し、ステップS10に進む。
【0083】
これにより、切断された切り屑11は、上流側の印画領域7に押し出されて切り屑収納部20に排紙される。
【0084】
ステップS10では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、ロール紙Pを印画物9の切断位置まで搬送し、ステップS11に進む。印画物9の切断位置は、印画の完了した印画領域7と次の切り屑領域11との境界と可動刃6aとが一致する位置である。
【0085】
ステップS11では、メインコントローラ21は、ステップS8と同様にして、印画物9の切断動作を行い、ステップS12に進む。
【0086】
ステップS12では、メインコントローラ21は、ステップS9と同様にして、印画物9の排紙動作を行い、ステップS13に進む。ここでは、切断された印画物9は、上流側の切り屑領域11に押されて、排紙トレイ19に排紙される。
【0087】
ステップS13では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、ロール紙Pの搬送を一時的に停止させた後、ロール紙Pを収納方向X2へ搬送し、ステップS14に進む。
【0088】
ステップS14では、メインコントローラ21は、ロール紙Pの収納方向X2への搬送中に、検知センサ17,18によるエラーの有無を監視し、ステップS15に進む。
【0089】
具体的には、メインコントローラ21は、検知センサ17の検知結果を基にロール紙Pとキャプスタンローラ3との位相にずれがないかを監視し、検知センサ18の検知結果を基に印画物9の逆流が発生していないかを監視する。
【0090】
ステップS15では、メインコントローラ21は、検知センサ17,18の検知結果がいずれもOFF状態であるか否かを判断する。
【0091】
そして、メインコントローラ21は、いずれもOFF状態であれば、エラーは発生していないと判定してステップS17に進み、いずれかがON状態であれば、エラーが発生したと判定してステップS16に進む。
【0092】
ステップS16では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を停止して、ロール紙Pの搬送を中止し、表示制御部34を介してLCD等の表示部35にエラー情報を表示する。
【0093】
一方、ステップS17では、メインコントローラ21は、印画物9の枚数が設定枚数に達しているか否かを判定し、達している場合は、ステップS21に進み、達していない場合は、ステップS18に進む。
【0094】
ステップS18では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、ロール紙Pの搬送を上述した曲げ変形10の再矯正位置(図3(c))で停止し、ステップS19に進む。
【0095】
ステップS19では、メインコントローラ21は、所定時間待機した後、ステップS20に進む。ここでは、この待機時間内に次に印画する画像データの処理、例えば画像データの展開や読み込みや補正や合成処理などを実行する。
【0096】
また、待機時間は、上述したように、次に印画する画像データの容量が大きいほど長くなるように設定してもよいし、画像データの容量の大きさに関わらず一定にしてもよい。この場合、タイマ等の計時手段を用いることができる。
【0097】
ステップS20では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、再び印画開始位置にロール紙Pを給紙方向X1に再給紙し、ステップS3に戻る。
【0098】
そして、メインコントローラ21は、印画物9の枚数が設定枚数に達するまでステップS3〜ステップS17の処理を繰り返し、印画物9の枚数が設定枚数に達すると、ステップS21に進む。
【0099】
ステップS21では、メインコントローラ21は、モータドライバ26を介してモータ27の駆動を制御して、ロール紙Pの収納方向X2へ搬送する。
【0100】
そして、メインコントローラ21は、ロール紙Pの先端が給紙カセット1のスリット状の開口から十分に引き込んだ位置でロール紙Pの搬送を停止して、処理を終了する。
【0101】
以上説明したように、本実施形態では、連続印画モードでロール紙Pの搬送を一時的に停止した場合に、ロール紙Pとデカーラ5とが当接する部分に発生する局所的な曲げ変形10部分を給紙カセット1の内部に収納し、再度ロール状に巻回して所定時間待機する。これにより、曲げ変形10が再矯正されて元のカール形状に戻り、この状態でロール紙Pを再搬送して次の画像データを印画することにより、濃度むらや色抜けなどによる印画画質の低下を防止することができる。
【0102】
また、本実施形態では、ロール紙Pの曲げ変形10を再矯正する際に、ロール紙Pの先端を完全に給紙カセット1の内部に収納するのではなく、キャプスタンローラ3で保持した状態としている。これにより、給紙ローラ2で再度給紙する必要がなくなり、比較的高速な画像形成装置を提供することができる。
【0103】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 給紙カセット
2 給紙ローラ
3 キャプスタンローラ
4 ピンチローラ
5 デカーラ
6 カッターユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙としてのロール紙を収納する収納部と、
前記収納部に収納された前記ロール紙を搬送路に給紙する給紙手段と、
前記搬送路に給紙された前記ロール紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の下流側に配置され、前記搬送手段により搬送される前記ロール紙の印画領域に対して印画動作を行う印画手段と、
前記印画手段により前記ロール紙の前記印画領域に印画された部分を印画物としてカットするカッター手段と、
前記印画手段と前記搬送手段との間に配置され、前記ロール紙をカール方向と逆の方向に変形させて、前記印画物のカール量を調整するカール矯正手段と、
前記給紙手段、前記搬送手段、前記印画手段及び前記カッター手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、連続印画モードの場合に、前記カッター手段により前記印画された部分をカットした後、
前記ロール紙の搬送を一時的に停止した際に前記カール矯正手段が当接していた部分が前記収納部の内部でロール状に巻回される位置まで前記ロール紙を搬送して待機し、
その後、印画開始位置まで前記ロール紙を再搬送するように前記搬送手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印画手段は、前記搬送手段により前記印画開始位置まで搬送された後、前記印画開始位置より上流側の印画終了位置まで搬送される前記ロール紙の印画領域に対して印画動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記待機している状態のときに、前記ロール紙の先端が前記搬送手段に保持されるように、前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カッター手段から前記カール矯正手段までの距離が前記搬送手段から前記給紙手段までの距離よりも長く、
前記ロール紙の、前記ロール紙の搬送を一時的に停止した際に前記カール矯正手段が当接していた部分は、前記カッター手段による前記印画された部分のカット動作の際に前記カール矯正手段が当接していた部分であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記待機している間に、次に印画する画像データの処理を実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記次に印画する画像データの容量に応じて前記待機している時間を変更することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−236321(P2012−236321A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106215(P2011−106215)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】