説明

画像形成装置

【課題】メンテナンス動作の実行を不要とし、インク消費量の低減およびファーストプリントタイムを短縮する。
【解決手段】最終の画像形成動作からの経過時間を計時するタイマ204と、設定情報202に基づいて所定の画像形成データを生成する画像形成データ生成手段201,203,206,207と、最終の画像形成動作から所定時間を経過している場合、画像形成データについて画像形成を行う画像形成手段201,302と、を備え、所定時間は、記録ヘッドのメンテナンス動作が必要となる放置時間より短く、画像形成データの画像形成に要するインク量は、メンテナンス動作に要するインク量よりも少ないものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。さらに詳述すると、インク消費量の低減に好適な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、記録液(以下、インクともいう)の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドで構成した記録ヘッドをキャリッジに搭載して、このキャリッジを被記録媒体(以下、用紙、記録用紙ともいう)の搬送方向に対して直交する方向にシリアルスキャンさせるとともに、被記録媒体を記録幅に応じて間欠的に搬送し、搬送と記録を交互に繰り返すことによって被記録媒体に画像形成(以下、印刷)するインクジェット方式の画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置は長期間放置された場合に、記録ヘッドのノズル内のインクが乾燥し、印刷時の吐出性能が悪化し、画像かすれが発生することがある。この問題を回避するため、最後に印刷動作を実行してからの経過時間や、最後にメンテナンス動作(以下、ヘッドクリーニング、クリーニングともいう)をしてからの経過時間に応じて、放置後の印刷前にメンテナンス動作を実行してから印刷を開始する技術が既に知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、印刷に先立って実施する予備吐出(メンテナンス動作)によるインク消費を低減させることを目的として、予備吐出が行われる予定時期であることをユーザに報知し、ユーザに印刷を促すインクジェット式記録装置に関する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最後に印刷されてからの経過時間や最後にメンテナンス動作をしてからの経過時間に応じて、印刷前にメンテナンス動作を実行してから印刷を開始する場合、経過時間が長いと、より強力なメンテナンス動作をしなければならず、インクを大量に消費するという問題がある。また、印刷前にメンテナンス動作を実行する必要があるので、次にユーザが必要とする印刷を開始するまでに時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術は、ユーザが装置からの印刷指示に従った場合は上記課題を解決できるが、従わない場合やユーザが装置近傍にいない等の理由で従うことができない場合においては、印刷前にメンテナンス動作が実行されることとなり、インクが消費されるという問題は解消できなかった。
【0007】
そこで本発明は、最終の画像形成動作からの経過時間に応じて所定の印刷データを印刷することにより、ユーザが必要とする印刷前のメンテナンス動作の実行が不要とし、インク消費量の低減およびファーストプリントタイムを短縮することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の画像形成装置は、記録ヘッドからインク液滴を吐出することにより画像形成を行う画像形成装置であって、最終の画像形成動作からの経過時間を計時する計時手段と、設定情報に基づいて所定の画像形成データを生成する画像形成データ生成手段と、最終の画像形成動作から所定時間を経過している場合、画像形成データについて画像形成を行う画像形成手段と、を備え、所定時間は、記録ヘッドのメンテナンス動作が必要となる放置時間より短く、画像形成データの画像形成に要するインク量は、メンテナンス動作に要するインク量よりも少ないものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、設定情報は、任意に設定されたURLであり、画像形成データは、URLにアクセスして得られるデータに基づくものである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置において、画像形成手段による画像形成に際し、当該画像形成装置の給紙手段に用紙が無い場合は、記録ヘッドのメンテナンス動作を実行するものである。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置において、画像形成データの画像形成に要するインク量を算出するインク量算出手段を備え、インク量算出手段による算出結果に応じて、画像形成データに所定のデータを追加するものである。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置において、計時手段により計時される最終の画像形成動作からの経過時間に応じて、複数の画像形成データから画像形成を行う画像形成データを選択するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、インク消費量の低減およびファーストプリントタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施態様の概略構成を示す上面図である。
【図2】画像形成装置の一実施態様の概略構成を示す前方図である。
【図3】画像形成装置の制御部の概要を示すブロック図である。
【図4】画像形成装置の給紙装置の概略図である。
【図5】画像形成装置の給紙装置の要部構成図である。
【図6】所定時間経過後の印刷制御に係るブロック図である。
【図7】所定時間経過後の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】最終印刷と自動印刷との関係を示すタイムチャートである。
【図9】インク消費量により印刷データを生成する所定時間経過後の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】経過時間により印刷データの切替えを行う所定時間経過後の印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】画像形成装置を含む画像形成システムの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る構成を図1から図11に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る画像形成装置は、記録ヘッド(記録ヘッド120)からインク液滴を吐出することにより画像形成を行う画像形成装置(インクジェット記録装置)であって、最終の画像形成動作からの経過時間を計時する計時手段(タイマ204)と、設定情報(設定情報202)に基づいて所定の画像形成データを生成する画像形成データ生成手段(情報蓄積制御部201、蓄積手段203、HTML解析部206、HTMLレンダリングエンジン207)と、最終の画像形成動作から所定時間を経過している場合、画像形成データについて画像形成を行う画像形成手段(情報蓄積制御部201、印刷制御部302)と、を備え、所定時間は、記録ヘッドのメンテナンス動作が必要となる放置時間より短く、画像形成データの画像形成に要するインク量は、メンテナンス動作に要するインク量よりも少ないものである。
【0017】
[画像形成装置の構成]
図1は本発明に係る画像形成装置の一態様であるインクジェット記録装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図(上面図)、図2は装置前方の側面図である。
【0018】
このインクジェット記録装置は、左右の側板(図示せず)に横架したガイドロット104でキャリッジ100を保持している。キャリッジ100は、主走査モータ105によって、駆動プーリ106と従動プーリ107間に渡したタイミングベルト102を介して主走査方向に移動走査する。
【0019】
キャリッジ100には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する4個の液吐出ヘッドから成る記録ヘッド(単に、ヘッドともいう)120が設けられ、複数のインク吐出口(ノズル)を形成したノズル面のノズル列が主走査方向と直行する副走査方向に配列され、インク吐出口方向を下方に向けて装着されている。なお、ここでは独立した液滴吐出ヘッドを用いているが、各色の記録液の液滴を吐出する複数のノズル列を有する1又は複数のヘッドを用いる構成とすることもできる。また、色の数及び配列順序はこれに限るものではない。
【0020】
記録ヘッド120を構成するインクジェットヘッドとしては、例えば、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0021】
キャリッジ100には、スリットを形成したエンコーダスケール103が主走査方向に沿って設けられている。また、キャリッジ100にはエンコーダスケール103のスリットを検出するエンコーダセンサが設けられ(図示せず)、これらがキャリッジ100の主走査方向位置を検知するためのリニアエンコーダを構成している。
【0022】
さらに、キャリッジ100には、用紙端を検出するための用紙検出センサ111が設けられている。キャリッジ走査時に用紙の両端エッジを用紙検出センサ111で検出し、用紙端を検出したときのキャリッジ100の主走査方向位置を検出することで、左右の用紙端を検出した位置の差分から用紙幅を検出できるようになっている。
【0023】
また、記録用紙(用紙)108を静電吸着して記録ヘッド120に対向する位置で搬送するための搬送手段として、搬送ベルト101を備えている。この搬送ベルト101は無端状ベルトであり、搬送ローラ109とテンションローラ110との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成し、周回移動しながら帯電ローラ113によって帯電(電荷付与)される。
【0024】
搬送ベルト101としては、1層構造のベルトでも、複層(2層以上)構造のベルトでもよい。なお、1層構造の搬送ベルト101の場合は、用紙108や帯電ローラ113に接触するので、層全体を絶縁材料で形成する。また、複層構造の搬送ベルト101の場合は、用紙108や帯電ローラ113に接触する側は絶縁層で形成し、用紙108や帯電ローラ113と接触しない側は導電層で形成することが好ましい。
【0025】
[制御手段]
次に、画像形成装置の制御手段としての制御部の概要について説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置(インクジェット記録装置)の制御部300の概要を示すブロック図である。
【0026】
主制御部301は、通信回路317から入力される印刷処理の情報に基づいて用紙108に画像を形成するために、主走査モータ105や副走査モータを主走査モータ駆動回路303及び副走査モータ駆動回路304を介して駆動制御するとともに、印刷制御部302に対して印刷用データを送出するなどの制御を行なう。
【0027】
主制御部301には、キャリッジ100の位置を検出するキャリッジ位置検出回路305からの検出信号が入力され、主制御部301はこの検出信号に基づいてキャリッジ100の移動位置及び移動速度を制御する。キャリッジ位置検出回路305は、例えば、キャリッジ100の走査方向に配置されたエンコーダスケール103のスリット数を、キャリッジ100に搭載されたエンコーダセンサで読み取って計数することで、キャリッジ100の位置を検出する。主走査モータ駆動回路303は、主制御部301から入力されるキャリッジ移動量に応じて主走査モータ105を回転駆動させて、キャリッジ100を所定の位置に所定の速度で移動させる。
【0028】
また、主制御部301には搬送ベルト101の移動量を検出する搬送量検出回路306からの検出信号が入力され、主制御部301はこの検出信号に基づいて搬送ベルト101の移動量及び移動速度を制御する。搬送量検出回路306は、例えば、搬送ローラ109の回転軸に取り付けられた回転エンコーダシートのスリット数を、フォトセンサで読み取って計数することで搬送量を検出する。副走査モータ駆動回路304は、主制御部301から入力される搬送量に応じて副走査モータを回転駆動させて、搬送ローラ109を回転駆動して搬送ベルト101を所定の位置に所定の速度で移動させる。
【0029】
また、主制御部301は、給紙コロ駆動回路307に給紙コロ駆動指令を与えることによって給紙コロを一回転させる。主制御部301は、維持回復機構駆動用モータ駆動回路308を介してモータを回転駆動することにより、キャップの昇降、ワイパーブレードの昇降を行なわせる。
【0030】
また、主制御部301は、インク供給モータ駆動回路311を介して供給ユニットのポンプを駆動するためのインク供給モータを駆動制御し、カートリッジ装填部に装填されたインクカートリッジからヘッドタンクに対してインクを補充供給する。
【0031】
また、主制御部301には、ヘッドタンクが満タン状態にあることを検知するヘッドタンク満タンセンサ312からの検知信号、カートリッジ装填部の前カバーの開閉を検知するカートリッジカバーセンサ313からの検知信号などが入力される。
【0032】
また、主制御部301は、カートリッジ通信回路314を通じて、カートリッジ装填部に装着された各インクカートリッジに設けられる記憶手段である不揮発性メモリ316k、316c、316m、316yに記憶されている情報を取り込んで、所要の処理を行なって、装置本体の記憶手段である不揮発性メモリ(例えば、EEPROM315)に格納保持する。
【0033】
印刷制御部302は、主制御部301からの信号とキャリッジ位置検出回路305及び搬送量検出回路306などからのキャリッジ位置や搬送量に基づいて、記録ヘッド120の液滴を吐出させるための圧力発生手段を駆動するためのデータを生成して、ヘッド駆動回路310に与える。
【0034】
ヘッド駆動回路310は、印刷制御部302からの印刷データに基づいて記録ヘッド120の圧力発生手段(ピエゾ型ヘッドであれば圧電素子)を駆動して、所要のノズルから液滴を吐出させる。
【0035】
[給紙手段]
次に、画像形成装置の給紙装置(給紙手段)の概要について説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置(インクジェット記録装置)の給紙装置400を概略的に示す構成図であり、図5は、給紙装置400の要部構成図であって、アクチュエータ406がペーパーエンドセンサ405を遮蔽している状態を示す断面図である。
【0036】
給紙装置400は、用紙を収納する給紙トレイ401と、給紙トレイ401に設けられ用紙を積載する底板402と、底板402の用紙を給紙する給紙ローラ403と、給紙トレイ401に収納された用紙が無くなったことを検知する用紙切れ検知手段404とを有している。
【0037】
底板402には、穴部402aが形成されており、この穴部402aの上方に用紙切れ検知手段404が位置している。
【0038】
用紙切れ検知手段404は、ペーパーエンドセンサ405と、アクチュエータ406とを有しており、給紙トレイ401に収容された用紙が無くなったこと、すなわち、底板402に積載された用紙が無くなったことを検知するものである。
【0039】
ペーパーエンドセンサ405は、透過型フォトセンサを用いており、ペーパーエンドセンサ405は、アクチュエータ406の遮蔽部材407に遮蔽されることにより、用紙無し、を検知するようになっている。
【0040】
アクチュエータ406は、支持部材408と遮蔽部材407とを有している。底板402に用紙が積載されているときは、図4に示すように、支持部材408が用紙に持ち上げられており、遮蔽部材407は、ペーパーエンドセンサ405を遮蔽しない位置に位置している。一方、底板402の用紙が無くなると、図5に示すように、支持部材408が底板402に形成された穴部402aに落ち込むことにより、遮蔽部材407がペーパーエンドセンサ405を遮蔽するようになっている。
【0041】
[所定時間経過後の印刷制御]
図6に本実施形態に係る画像形成装置による、最後に印刷動作が実行されてから所定時間経過後の印刷制御に係る機能ブロック図を示す。
【0042】
主制御部301の一部として構成される情報蓄積制御部201は、設定情報202に基づき、ネットワーク上の対象となるWWW(World Wide Web)ページで情報収集を行って、その収集した情報を蓄積情報203として記憶させる、などの処理を行う。
【0043】
設定情報202は、情報蓄積制御部201が行う処理に用いられる情報で、EEPROM315に記憶される情報である。設定情報202は、例えば、ネットワーク上での情報収集の対象となるWWWページのURL(Uniform Resource Locator)、対象となるWWWページにアクセスする時刻と間隔、などであり、ユーザにより任意に設定および変更が可能な情報である。なお、設定情報202の設定は、画像形成装置の表示パネル等から行うことができる。このようにして設定情報202に設定されたURLおよびアクセス間隔等に基づいて、WWWページへのアクセスがなされる。
【0044】
蓄積情報203は、設定情報202に基づいてアクセスされたWWWページのURL、アクセス先のデータ(HTML:HyperText Markup Language)や画像のデータ、蓄積した日時などを記憶したものであり、記憶手段(装置本体のRAM、EEPOM315等)に記憶される。
【0045】
タイマ(計時手段)204は、例えば、RTC(Real Time Clock)であり、情報蓄積制御部201に対し、最終の画像形成動作からの経過時間等の時間情報を与える。
【0046】
また、HTTP(HyperText Transfer Protocol)リクエスト送信部205は、情報蓄積制御部201が指定するURLのHTTPリクエストの送信などを行うものであり、HTML解析部206は、受信したWWWページのHTMLの解析などをおこなうものである。また、HTMLレンダリングエンジン207は、受信したデータのHTMLを解析して、印刷可能なビットマップデータに展開する。また、上述のように印刷制御部302は、情報蓄積制御部201の指示により画像の印刷を行う。
【0047】
以上説明したように、情報蓄積制御部201、蓄積手段203、HTML解析部206およびHTMLレンダリングエンジン207は、設定情報202に基づいて所定の印刷データを生成する画像形成データ生成手段として機能する。また、情報蓄積制御部201および印刷制御部302は、タイマ204の計時に基づいて、最終の印刷から所定時間を経過している場合、生成した印刷データについて印刷を実行する画像形成手段として機能する。
【0048】
[所定時間経過後の印刷処理]
図7に本実施形態に係る画像形成装置による、最終印刷後の所定時間経過後の印刷処理のフローチャートを示す。以下、最終印刷後の所定時間経過後の印刷処理(自動印刷ともいう)について説明する。
【0049】
タイマ204は、印刷が終了すると印刷終了後からの経過時間の計時を開始している。情報蓄積制御部201は、最終印刷後の所定時間(自動印刷周期ともいう)が経過しているかどうかを、タイマ204を参照して判断する(S101)。ここで、自動印刷周期は、少なくともメンテナンス動作が必要となる放置時間(最終印刷からヘッドクリーニングを実行するまでの時間を指す)よりも短く設定されるものとする。メンテナンス動作が必要となる放置時間よりも長いと、自動印刷の前にメンテナンス動作が実行されてしまうからである。
【0050】
自動印刷周期を経過している場合(S101:Yes)は、設定情報202に基づいてアクセスされ、蓄積情報203として蓄積されているWWWページのHTML文書を取得し、HTMLレンダリングエンジン207により印刷データ(ビットマップデータ)が生成される(S102)。
【0051】
次に、画像形成装置の給紙トレイ401に用紙があるかどうか判断する(S103)。用紙がある場合(S103:Yes)は、S102で生成した印刷データの印刷を実行する(S104)。一方、用紙が無い場合(S103:No)、印刷を実行せずにメンテナンス動作を実行する(S105)。
【0052】
以上説明した画像形成装置によれば、最終印刷後放置された状態において、メンテナンス動作が必要となる放置時間よりも短い自動印刷周期が設定され、用紙ありの場合、所定の印刷データの印刷が実行(自動印刷)されているため、次の印刷開始前にメンテナンス動作が実行されることがないこととなる。
【0053】
すなわち、図8のタイムチャートに示すように、従来では最終印刷後のc時間(メンテナンス動作が必要となる放置時間とする)経過後の印刷では、メンテナンス動作を実施してから印刷を実行する必要があったが、本実施形態によれば、a時間(但し、a<cである)経過後に、上述のように所定の印刷データを印刷するので、自動印刷後から次の印刷までの時間はb時間(b<cである)となり、印刷前にメンテナンス動作を実施する必要がなくなる。
【0054】
ここで、通常は、メンテナンス動作で消費するインク量は、印刷に使用されるインク量より多い。したがって、本実施形態のように、印刷前にメンテナンス動作を実行しないようにすることで、インクの消費量を抑えることが可能となる。また、印刷前にメンテナンス動作を実行することがないので、次の印刷開始までの時間(ファーストプリントタイム)を短縮することが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態では、HTML文書をネットワーク上から取得するようにしているが、設定情報202としては、ユーザが関心のあるURLアドレス(例えば、天気予報サイト、ニュースサイト等)を設定して、そのURLのHTML文書を取得するようにすることが好ましい。例えば、ニュースサイトに所定間隔でアクセスし、その情報を蓄積情報203に記憶しておくようにすれば、自動印刷された印刷結果は最新のニュース内容であるので、ユーザにとって有意義な情報となり、無用な印刷とはならない。
【0056】
また、ユーザは、関心のあるキーワードをいくつか設定情報202として設定しておき、情報蓄積制御部201が、当該キーワードに基づいてWeb検索等を実施し、キーワードに関連するWWWページにアクセスし、当該ページの情報を蓄積情報203として記憶しておくようにすることも好ましい。また、この場合、毎回異なるサイトにアクセスするようにすることにより、ユーザは、自身の関心のある情報に関し、毎回異なる情報を得ることができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、自動印刷をする前に用紙の有無をチェックしている(S103)ため、自動印刷がユーザ不在時に実行された場合でもエラー等で停止することがない。また、用紙切れの場合は、従来通りメンテナンス動作を実行することでヘッドの状態を維持することができる。なお、この場合のメンテナンス動作は、従来の放置後印刷前に実行されるメンテナンス動作よりもインク消費量の少ないメンテナンス動作とすることが好ましい。
【0058】
(第2の実施形態)
以下、本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の点についての説明は省略する。第2の実施形態に係る画像形成装置は、生成された印刷データを実際に印刷した際に要するインク量を算出するインク量算出手段を備えるものである。インク量の算出方法は、公知の手法によれば良く特に限られるものではない。また、本実施形態に係る画像形成装置は、ノズル列ごとに印刷データを設定することができ、インク量算出手段は、ノズル列ごとのインク消費量を算出することができる。
【0059】
上記第1の実施形態においては、ユーザが関心のあるURLからHTMLを取得し、印刷データを生成して自動印刷を実施していたが、HTMLより生成した印刷データでは、十分なヘッドの状態回復効果を得られない場合が考えられる。
【0060】
例えば、取得、生成された印刷データが、モノクロ文書であった場合、カラーインクのノズルからインクが吐出されないため、ノズルコンディションは回復されない。
【0061】
そこで、図9のフローチャートに示すように、HTMLデータを取得し、印刷データを生成(S201,図7のS102に対応)した後、当該印刷データの印刷により消費されるインク消費量を算出するようにしている(S202)。
【0062】
次に、ノズル列ごとに算出した消費量がそれぞれ所定量以下であるか否かを判断し(S203)、所定量以下である場合(S203:Yes)は、消費量が不足しているノズル列の印刷データに所定のデータを追加して、これを印刷データとするものである(S204)。一方、所定量を満たす場合(S203:No)と、所定のデータを追加(S204)した後は、図7のS103へ戻るようにする。なお、追加する所定のデータは、例えば、YMCK4色が含まれるデータやテストチャートなどである。
【0063】
このように、HTMLから取得、生成された印刷データでのインク消費量がノズルのコンディション回復に必要な量でなかった場合でも、所定のデータを追加することにより、ノズルのコンディション回復に必要な量を吐出することができ、適切なメンテナンスを実行することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
以下、本発明に係る画像形成装置の第3の実施形態について説明する。なお、第1〜2の実施形態と同様の点についての説明は省略する。
【0065】
本実施形態では、経過時間により自動印刷する印刷データ(以下、チャートともいう)を切り替える制御を行う。例えば、最後に印刷してから画像形成装置の電源を切った場合、経過時間は装置内の計時手段204により計時することはできるが、電源が切れているため、自動印刷を実施することはできない。
【0066】
そこで、本実施形態では、電源が再びオンされた場合、先ず、自動印刷周期の経過を判断し(S301、図7のS101に対応)、経過している場合(S301:Yes)、さらに、経過時間が所定時間(電源オフオン後の判断時間ともいう、電源オフオン後の判断時間>自動印刷周期である)を経過しているかどうかを判断している(S302)。
【0067】
電源オフオン後の判断時間以上である場合(S302:Yes)は、放置時間が長く、ヘッドコンディション回復に必要なインク消費量は多く必要となるため、インク消費量の多い印刷データを印刷する(S303)。これに対し、電源オフオン後の判断時間を経過していない場合(S302:No)は、インク消費量の少ない印刷データ(例えば、自動印刷周期の経過時と同じ印刷データ)を印刷する(S304)。
【0068】
このように、電源オフオン後において自動印刷周期を過ぎていても、経過時間に応じて適切なインク消費量の印刷データを印刷することによりヘッドのコンディションを回復し、適切なメンテナンスを実行することができる。
【0069】
なお、インク消費量の多い印刷データおよび少ない印刷データについては、予め装置内の記憶手段に記憶させておいても良いし、インク消費量の多いHTML文書があるURLとインク消費量の少ないHTML文書があるURLを設定しておき、経過時間に応じてどちらか文書を取得するようにしてもよい。また、印刷するページ数を異なるものとしても良い。
【0070】
(第4の実施形態)
以下、本発明に係る画像形成装置の第4の実施形態について説明する。なお、第1〜3の実施形態と同様の点についての説明は省略する。
【0071】
上記実施形態では、画像形成装置自身が、最終印刷からの経過時間を計時したり、HTML文書を取得する場合について説明したが、例えば、図11に示すように、画像形成装置(プリンタ502)に接続され、画像形成装置とともに画像形成システム500を構成する情報処理装置(パーソナルコンピュータ501)が、HTMLの取得や印刷指示を実行するようにしてもよい。この場合は、図6に示した各手段を情報処理装置側に備えるようにすれば良い。
【0072】
以上説明した画像形成装置による、最終印刷後の所定時間経過後の印刷処理は、プログラム(画像形成プログラム)で実行することもできる。当該画像形成プログラムは、例えば、プリンタドライバで実行する構成とすることが好ましい。また、例えばインターネット上からのダウンロードによって提供し、情報処理装置から画像形成装置にインストールすることも好ましい。また、画像形成プログラムを画像形成装置で実行可能に記録した記録媒体(画像形成プログラムを記録した記録媒体)の態様にも適用される。
【0073】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0074】
100 キャリッジ
101 搬送ベルト
102 タイミングベルト
103 エンコーダスケール
104 ガイドロット
105 主走査モータ
106 駆動プーリ
107 従動プーリ
108 記録用紙
109 搬送ローラ
110 テンションローラ
111 用紙検出センサ
113 帯電ローラ
120 記録ヘッド(ヘッド)
201 情報蓄積制御部
202 設定情報
203 蓄積情報
204 タイマ(計時手段)
205 HTTPリクエスト送信部
206 HTML解析部
207 HTMLレンダリングエンジン
300 制御部
301 主制御部
302 印刷制御部
303 主走査モータ駆動回路
304 副走査モータ駆動回路
305 キャリッジ位置検出回路
306 搬送量検出回路
307 給紙コロ駆動回路
308 維持回復機構駆動用モータ駆動回路
310 ヘッド駆動回路
311 インク供給モータ駆動回路
312 ヘッドタンク満タンセンサ
313 カートリッジカバーセンサ
314 カートリッジ通信回路
315 EEPROM
316k、316c、316m、316y 不揮発性メモリ
317 通信回路
400 給紙装置(給紙手段)
401 給紙トレイ
402 底板
402a 穴部
403 給紙ローラ
404 検知手段
405 ペーパーエンドセンサ
406 アクチュエータ
407 遮蔽部材
408 支持部材
500 画像形成システム
501 情報処理装置(パーソナルコンピュータ)
502 画像形成装置(プリンタ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2007−290357号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドからインク液滴を吐出することにより画像形成を行う画像形成装置であって、
最終の画像形成動作からの経過時間を計時する計時手段と、
設定情報に基づいて所定の画像形成データを生成する画像形成データ生成手段と、
最終の画像形成動作から所定時間を経過している場合、前記画像形成データについて画像形成を行う画像形成手段と、を備え、
前記所定時間は、前記記録ヘッドのメンテナンス動作が必要となる放置時間より短く、
前記画像形成データの画像形成に要するインク量は、前記メンテナンス動作に要するインク量よりも少ない
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記設定情報は、任意に設定されたURLであり、
前記画像形成データは、前記URLにアクセスして得られるデータに基づくものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段による画像形成に際し、当該画像形成装置の給紙手段に用紙が無い場合は、前記記録ヘッドのメンテナンス動作を実行することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成データの画像形成に要するインク量を算出するインク量算出手段を備え、
前記インク量算出手段による算出結果に応じて、前記画像形成データに所定のデータを追加することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記計時手段により計時される最終の画像形成動作からの経過時間に応じて、複数の前記画像形成データから画像形成を行う前記画像形成データを選択することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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