説明

画像形成装置

【課題】トナー画像の転写を好適に行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー画像を担持する像担持体と、該像担持体上の前記トナー画像を静電気的にシートに転写させる転写要素と、前記シートを案内する案内要素と、を備え、前記像担持体及び前記転写要素は、前記シートを挟持するためのニップ部を形成し、前記案内要素は、前記ニップ部に向けて前記シートを案内するように形成された主案内部と、該主案内部から前記ニップ部に向けて突出する副案内部と、を含み、該副案内部は、導電性を有することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像の円滑な転写を促すシートの搬送構造を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ装置やプリンタといった画像形成装置は、典型的には、像担持体上に形成されたトナー画像をシートに転写するための転写構造を備える(特許文献1参照)。特許文献1に開示される転写構造は、像担持体として用いられる感光体ドラムと、感光体ドラムと協働してニップ部を形成する転写ローラと、感光体ドラム周面近傍までシートを案内する案内要素を備える。
【0003】
案内要素は、シートが通過する搬送路を規定する主案内部と、主案内部に取り付けられた副案内部とを含む。主案内部は、感光体ドラムの周面に近接して配置される先端部を備える。主案内部の先端部からニップ部に向けて突出する副案内部が主案内部の先端部からニップ部までの空間を部分的に埋めるので、シートは副案内部によって比較的安定的に保持される。かくして、シートの後端縁のばたつきに起因するトナー画像の転写不良が抑制される。
【0004】
上述の副案内部は、合成樹脂フィルムから形成される。また、副案内部の厚さは、適切な弾性特性が発揮されるように定められる。副案内部の弾性特性は、感光体ドラムの周面へのシートの密着性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−332322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
合成樹脂製の副案内部とシートとの摩擦は、副案内部の帯電を引き起こす。副案内部の帯電は、感光体ドラムからのトナーの飛散を生じさせる。トナーの飛散に起因する副案内部の汚染は、最終的には、シートの汚れ(トナー画像が転写される転写面と反対側のブランク面の汚れ)に帰結する。
【0007】
ブランク面の汚れを回避するために副案内部と感光体ドラムとの距離を増大させることは、ニップ部へ向かうシートの不十分な支持に帰結する。この結果、シートのばたつきに起因する転写不良が招来される。
【0008】
本発明は、トナー画像の転写を好適に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、トナー画像を担持する像担持体と、該像担持体上の前記トナー画像を静電気的にシートに転写させる転写要素と、前記シートを案内する案内要素と、を備え、前記像担持体及び前記転写要素は、前記シートを挟持するためのニップ部を形成し、前記案内要素は、前記ニップ部に向けて前記シートを案内するように形成された主案内部と、該主案内部から前記ニップ部に向けて突出する副案内部と、を含み、該副案内部は、導電性を有することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
上記構成によれば、像担持体によって担持されたトナー画像は、転写要素によって、シートに転写される。像担持体及び転写要素は、シートを挟持するためのニップ部を形成する。案内要素は、ニップ部に向けてシートを案内するように形成された主案内部と、主案内部からニップ部に向けて突出する副案内部とを含む。副案内部が導電性を有するので、シートと副案内部との摩擦に起因する副案内部の帯電が適切に抑制される。
【0011】
上記構成において、前記主案内部は、導電性を有し、前記副案内部は、前記主案内部に導通されることが好ましい(請求項2)。
【0012】
上記構成によれば、案内部は、導電性を有する主案内部に導通される。したがって、シートと副案内部との摩擦に起因する副案内部の帯電が適切に抑制される。
【0013】
上記構成において、前記案内要素は、前記転写要素から前記副案内部へ流れる電流を抑制する抵抗要素を備え、前記主案内部は、前記抵抗要素を介して接地されることが好ましい(請求項3)。
【0014】
上記構成によれば、副案内部と導通される主案内部は、抵抗要素を介して接地されるので、転写要素から副案内部へ流れる電流が適切に抑制される。
【0015】
上記構成において、前記副案内部は、前記像担持体に対向する第1面と、前記転写要素に対向する第2面と、前記第2面を被覆するコーティング層とを含み、前記コーティング層の抵抗値は、10Ω以上1012Ω以下であることが好ましい(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、像担持体に対向する副案内部の第1面は、ニップ部へ向かうシートを適切に指示する。転写要素に対向する第2面は、10Ω以上1012Ω以下の抵抗値を有するコーティング層で被覆される。したがって、転写要素から副案内部へ流れる電流が適切に抑制される。
【0017】
上記構成において、前記副案内部は、前記主案内部から前記ニップ部に向けて突出する導電部と、該導電部と前記主案内部との間に配設される非導電性のスペーサと、を備え、前記導電部は、前記スペーサを横切って、前記主案内部に電気的に接続される導電路を含むことが好ましい(請求項5)。
【0018】
上記構成によれば、副案内部は、主案内部からニップ部に向けて突出する導電部と、導電部と主案内部との間に配設される非導電性のスペーサと、を備える。非導電性のスペーサは、転写要素から副案内部へ流れる電流の発生を抑制する。導電部は、スペーサを横切って、主案内部に電気的に接続される導電路を含むので、副案内部と主案内部との間の導通が適切に保たれる。
【0019】
上記構成において、前記主案内部は、前記ニップ部へ向かう前記シートの搬送方向を規定する搬送面を含み、前記副案内部は、前記ニップ部に対向する先端縁を含み、該先端縁は、前記搬送面によって規定される前記シートの前記搬送方向に沿う搬送線に対して前記転写要素側に位置し、前記先端縁と前記像担持体との間の距離は、前記主案内部と前記像担持体との間の距離以下であることが好ましい(請求項6)。
【0020】
上記構成によれば、主案内部の搬送面は、ニップ部へ向かうシートの搬送方向を規定する。ニップ部に対向する副案内部の先端縁は、搬送面によって規定されるシートの搬送方向に沿う搬送線に対して転写要素側に位置する。また、主案内部からの副案内部の突出量は、先端縁と像担持体との間の距離が、前記主案内部と前記像担持体との間の距離以下となるように定められる。したがって、副案内部は、主案内部からニップ部へ向かうシートを支持するのに十分に主案内部から突出する。
【0021】
上記構成において、前記像担持体は、前記トナー画像を担持する第1周面を含み、前記転写要素は、前記第1周面に圧接され、前記ニップ部を形成する第2周面を含み、前記搬送面は、前記第1周面と前記第2周面とが接触し始める接触開始点と前記第1周面と前記第2周面との間の接触が終了する接触終了点とを結ぶニップ接線よりも前記像担持体側に位置することが好ましい(請求項7)。
【0022】
上記構成によれば、トナー画像を担持する像担持体の第1周面に、転写要素の第2周面が圧接されることにより、ニップ部が形成される。搬送面は、第1周面と第2周面とが接触し始める接触開始点と第1周面と第2周面との間の接触が終了する接触終了点とを結ぶニップ接線よりも像担持体側に位置する。したがって、主案内部からニップ部へ向かうシートの移動を副案内部が阻害することが好適に抑制される。
【0023】
上記構成において、前記搬送面と前記第1周面との間の距離は、0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましい(請求項8)。
【0024】
上記構成によれば、搬送面と第1周面との間の距離が0.2mm以上であるので、搬送面へのトナーの付着が好適に抑制される。また、搬送面と第1周面との間の距離が1mm以下であるので、ニップ部へ向かうシートの適切な搬送角度が保たれる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る画像形成装置は、トナー画像の転写を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示される画像形成装置が備える案内構造を概略的に示す図である。
【図3】図2に示される案内構造の補助構造を概略的に示す図である。
【図4】図1に示される画像形成装置の転写ローラと転写ベルトの間に形成されるニップ部の周囲の構造を拡大して示す図である。
【図5】図4に示されるニップ部の概略的な模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の補助機構を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の補助機構を示す図である。
【図8】図7に示される補助機構の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施例について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。
【0028】
<第1実施形態>
(画像形成装置の全体構成)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の内部構造を概略的に示す。第1実施形態に関連して説明される画像形成装置は、タンデム型のカラープリンタである。尚、本実施形態に係る原理は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機或いは外部から入力された画像情報に基づいて印刷媒体の表面にトナー画像を転写して印刷を行う他の装置に適用されてもよい。
【0029】
カラープリンタ100は、略直方体形状の筐体200を備える。カラープリンタ100は、シートSを筐体200内で搬送するための搬送機構300と、搬送機構300によって搬送されるシートSにトナー画像を形成する画像形成部400と、シートS上のトナー画像を定着させる定着部500と、筐体200外にシートSを排出する排出部600とを含む。
【0030】
搬送機構300は、シートSを収容可能に形成されたカセット310を備える。使用者は、筐体200内に配設されたカセット310を、必要に応じて、筐体200外へ引き出すことができる。その後、使用者は、シートSの束をカセット310内に収容し、再度、カセット310を筐体200内に収容することができる。カセット310は、シートSの束を支持するリフト板311と、リフト板311を押し上げ、傾斜させる押し上げ機構312とを含む。
【0031】
搬送機構300は、ピックアップローラ321を備える。ピックアップローラ321は、押し上げ機構312によって押し上げられたリフト板311上のシートSの先頭縁に当接する。ピックアップローラ321は、シートSがカセット310から排出されるように回転する。
【0032】
搬送機構300は、ピックアップローラ321の下流に配設された給紙ローラ322及び捌きローラ323を備える。給紙ローラ322及び捌きローラ323は、ピックアップローラ321によって、カセット310から排出されたシートSを挟むように配設される。給紙ローラ322は、シートSを更に下流へ搬送するように回転する。捌きローラ323は、シートSをカセット310に戻すように回転する。この結果、ピックアップローラ321によって重なったままカセット310から送り出された複数枚のシートSは、給紙ローラ322及び捌きローラ323によって適切に分離される。かくして、給紙ローラ322に直接的に接触するシートSのみが1枚ずつ下流へ搬送される。
【0033】
搬送機構300は、給紙ローラ322から上方へ向けて延びる給紙搬送路324と、シートSを上方へ送り出す搬送ローラ325とを備える。給紙搬送路324は、後述される画像形成部400の転写ベルト410及び転写ローラ420によって形成されるニップ部Nに向けて延びる。
【0034】
搬送機構300は、ニップ部Nの直前に配設されたレジストローラ対326を備える。レジストローラ対326は、画像形成部400のトナー画像の形成のタイミングに合わせて、搬送ローラ325によって給紙搬送路324に沿って搬送されたシートSを、ニップ部Nに向けて送り出す。
【0035】
搬送機構300は、筐体200に対して回動可能に取り付けられた手差しトレイ330を備える。使用者は、手差しトレイ330を回動させ、筐体200の外面に対して突出させることができる。その後、使用者は、手差しトレイ330上にシートSを載置することができる。
【0036】
搬送機構300は、筐体200に対して回動可能に支持される手差しトレイ330の近傍に配設されたピックアップローラ331を備える。手差しトレイ330上のシートSの先頭縁に当接するピックアップローラ331は、筐体200内にシートSを引き込むように回転する。
【0037】
搬送機構300は、ピックアップローラ331の下流に配設された給紙ローラ332及び捌きローラ333を備える。給紙ローラ332及び捌きローラ333は、ピックアップローラ331によって、筐体200内に引き込まれたシートSを挟むように配設される。給紙ローラ332は、シートSを更に下流へ搬送するように回転する。捌きローラ333は、シートSを手差しトレイ330に戻すように回転する。この結果、ピックアップローラ331によって重なったまま手差しトレイ330から送り出された複数枚のシートSは、給紙ローラ332及び捌きローラ333によって適切に分離される。かくして、給紙ローラ332に直接的に接触するシートSのみが1枚ずつ下流へ搬送される。
【0038】
搬送機構300は、給紙ローラ332から給紙搬送路324へ向けて延びる合流搬送路334と、合流搬送路334に沿って配設された複数の搬送ローラ335とを備える。カセット310の上方で略水平に延びる合流搬送路334は上方に湾曲し、レジストローラ対326の直前で給紙搬送路324と合流する。したがって、手差しトレイ330から送り出されたシートSも、レジストローラ対326によって、画像形成部400のトナー画像の形成のタイミングに合わせて、ニップ部Nに向けて送り出される。
【0039】
画像形成部400は、上述の如く、レジストローラ対326によってニップ部Nへ送り出されたシートSにトナー画像を形成する。画像形成部400は、上述の転写ベルト410及び転写ローラ420に加えて、画像形成ユニット430を備える。画像形成ユニット430は、マゼンタ色のトナーで画像を形成する第1画像形成ユニット430M、シアン色のトナーで画像を形成する第2画像形成ユニット430C、イエロ色のトナーで画像を形成する第3画像形成ユニット430Y及びブラック色のトナーで画像を形成する第4画像形成ユニット430Bkを含む。第1画像形成ユニット430Mによって形成されたトナー画像、第2画像形成ユニット430Cによって形成されたトナー画像、第3画像形成ユニット430Yによって形成されたトナー画像及び第4画像形成ユニット430Bkによって形成されたトナー画像は、順次、転写ベルト410上に転写される。これらのトナー画像は転写ベルト410上で重ね合わせられ、1つのフルカラーのトナー画像となる。転写ベルト410は、フルカラーのトナー画像を担持しつつ、ニップ部Nまで搬送する。本実施形態において、転写ベルト410は、トナー画像を担持する像担持体として例示される。また、本実施形態において、転写ベルト410の外周面は、トナー像を担持する第1周面として例示される。代替的に、典型的な画像形成装置に適用される感光体ドラムやトナー画像を担持することができる他の装置が像担持体として用いられてもよい。
【0040】
上述の如く、転写ベルト410及び転写ローラ420は、シートSを挟持するニップ部Nを形成する。転写ローラ420は、転写ベルト410上のトナーに対して逆極性の電圧をシートSに印加する。この結果、転写ベルト410上のフルカラーのトナー画像は、シートSに静電気的に転写される。本実施形態において、転写ローラ420は、転写要素として例示される。また、転写ベルト410の外周面に圧接され、転写ローラ420の外周面は、ニップ部Nを形成する第2周面として例示される。代替的に、トナー画像を像担持体からシートSへ静電気的に転写することができる他の装置が転写要素として用いられてもよい。
【0041】
画像形成ユニット430は、略円筒状の感光体ドラム431と、感光体ドラム431の下方に配設された帯電装置432と、帯電装置432の下方に配設された露光装置433とを備える。帯電装置432は、回転する感光体ドラム431の周面を一様に帯電させる。露光装置433は、コンピュータといった外部機器から出力された画像信号に従って、レーザ光を走査する。この結果、帯電装置432によって帯電された感光体ドラム431の周面の電荷が部分的に消失し、静電潜像が形成される。
【0042】
画像形成ユニット430は、感光体ドラム431の周面にトナーを供給する現像装置434を備える。静電潜像が形成された感光体ドラム431の周面に現像装置434からトナーが供給されると、静電潜像に合致するトナー画像が感光体ドラム431の周面に現れる。その後、上述の如く、トナー画像は、転写ベルト410へ転写される。
【0043】
画像形成部400は、駆動ローラ411と従動ローラ412とを備える。感光体ドラム431上に配設された転写ベルト410は、駆動ローラ411と従動ローラ412との間で張設される。画像形成部400は、第1画像形成ユニット430M、第2画像形成ユニット430C、第3画像形成ユニット430Y及び第4画像形成ユニット430Bkそれぞれの感光体ドラム431上に配設された転写ローラ413を備える。転写ベルト410は、トナー画像が形成された感光体ドラム431の周面に、転写ローラ413によって、押しつけられる。駆動ローラ411は、感光体ドラム431の周面の速度と略等しい速度で、転写ベルト410を周回させる。かくして、感光体ドラム431上のトナー画像は、転写ベルト410の外周面に適切に転写される。
【0044】
画像形成部400は、転写ベルト410の内周面に当接するテンションローラ414を備える。上方に付勢されたテンションローラ414は、転写ベルト410の走行が安定化されるように、転写ベルト410の張力を適切に維持する。かくして、感光体ドラム431から転写ベルト410へのトナー画像の転写(一次転写)及び転写ベルト410からシートSへのトナー画像の転写(二次転写)が適切に行われる。
【0045】
画像形成ユニット430は、第1クリーニング装置435を備える。第1クリーニング装置435は、一次転写後の感光体ドラム431の周面に残留するトナーを除去する。第1クリーニング装置435により清浄化された感光体ドラム431の周面は、再度、帯電装置432によって帯電される。その後、感光体ドラム431の周面には、新たなトナー画像が形成される。
【0046】
画像形成部400は、第2クリーニング装置415を備える。第2クリーニング装置415は、二次転写後の転写ベルト410の外周面に残留するトナーを除去する。第2クリーニング装置415により清浄化された転写ベルト410の周面には、新たなトナー画像が転写される。
【0047】
ニップ部Nにおいて、トナー画像がシートSに転写された後、シートSは、定着部500へ向かう。
【0048】
シートS上のトナー画像を定着させる定着部500は、定着ベルト510と、定着ベルト510を加熱する加熱ローラ520と、シートSに圧力を加える加圧ローラ530と、加圧ローラ530に定着ベルト510を圧接させる定着ローラ540とを備える。加熱ローラ520は、例えば、通電発熱体を内蔵してもよい。通電発熱体からの熱エネルギは、加熱ローラ520を介して、定着ベルト510へ伝達される。加熱ローラ520と定着ローラ540との間で張設された定着ベルト510は、加圧ローラ530と協働して、フルカラーのトナー画像を担持するシートSを挟持する。定着ローラ540は、加熱された定着ベルト510をシートSに押し当て、シートS上のトナーを溶融させる。この結果、トナー画像はシートS上で定着される。
【0049】
排出部600は、定着部500から筐体200外へ延びる排出搬送路610を備える。定着部500を通過したシートSは、排出搬送路610を通じて、筐体200外へ排出される。排出部600によって排出されたシートSは、筐体200の上面に蓄積される。
【0050】
(ニップ部への案内構造)
図2は、ニップ部Nへの案内構造を概略的に示す断面図である。図1及び図2を用いて、ニップ部Nへの案内構造が説明される。
【0051】
転写ローラ420は、駆動ローラ411の周面に沿って弧状に湾曲した転写ベルト410の周面に押しつけられ、ニップ部Nを形成する。ニップ部Nの下方には、レジストローラ対326が配設される。搬送機構300は、レジストローラ対326からニップ部Nまでの区間、シートSを案内する案内構造700を備える。本実施形態において、案内構造700は、シートSを案内する案内要素として例示される。
【0052】
案内構造700は、略弧状に湾曲した第1案内板710と、第1案内板710よりも筐体200の内方に配設される第2案内板720とを備える。第1案内板710と第2案内板720との間に、上述の給紙搬送路324の一部区間が形成される。第2案内板720の先端部721よりもニップ部Nに近接される先端部711を有する第1案内板710は、ニップ部Nに向けてシートSを案内する。本実施形態において、第1案内板710は、主案内部として例示される。
【0053】
第1案内板710は、例えば、導電性を有する金属板から形成される。第2案内板720は、例えば、筐体200と一体化された樹脂から形成されてもよい。
【0054】
案内構造700は、第1案内板710の先端部711に取り付けられた補助構造730を備える。補助構造730は、第1案内板710によるシートSに対する案内を補助する。
【0055】
図3は、補助構造730を概略的に示す断面図である。図2及び図3を用いて、補助構造730が説明される。
【0056】
補助構造730は、補助板731と、補助板731と第1案内板710との間に配設されたスペーサ732とを備える。補助板731は、例えば、導電性を有する金属板を折り曲げ加工して形成される。スペーサ732は、導電性を有する金属ブロックから形成されてもよい。本実施形態において、補助構造730は、副案内部として例示される。
【0057】
補助板731は、スペーサ732を介して第1案内板710に取り付けられる基端片733と、基端片733に対して折り曲げられニップ部Nに向けて突出する先端片734とを含む。先端片734は、折り曲げ加工を通じて、2重板構造をなす。この結果、ニップ部Nに向けて移動するシートSと接触する先端片734の先端縁735は、弧状輪郭をなし、シートSへの損傷が低減される。本実施形態において、補助板731は、導電部として例示される。
【0058】
上述の如く、導電性の補助板731は、導電性のスペーサ732を介して、導電性の第1案内板710に導通されるので、シートSと先端縁735との摩擦に起因する補助板731の帯電は、好適に抑制される。
【0059】
図4は、ニップ部Nの周囲の構造を拡大して示す。図3及び図4を用いて、案内構造700が更に説明される。
【0060】
案内構造700は、バリスタやハイメグ抵抗器といった抵抗要素740を備える。抵抗要素740は、第1案内板710から延びる接地用の電線741の途中に設けられる。抵抗要素740の抵抗値は、静電気的にトナー画像の転写を行う転写ローラ420から第1案内板710に向けて流れる電流を抑制するのに十分な大きさに定められる。したがって、補助板731が転写ローラ420に近接されても、案内構造700へ不必要な電流が流れることが抑制される。
【0061】
第1案内板710は、ニップ部Nへ向かうシートSの搬送方向を規定する搬送面712を含む。補助構造730は、搬送面712の反対側の第1案内板710の面に取り付けられる。図3及び図4には、搬送面712に沿って、下流方向に向けて延びる搬送線DLが示されている。搬送面712によって規定される搬送線DLは、ニップ部Nに向けて延びる。
【0062】
上述の如く、補助構造730の補助板731は、ニップ部Nと対向する先端縁735を含む。先端縁735は、搬送線DLに対して転写ローラ420側に位置する。図3に示される如く、先端縁735と転写ベルト410の外周面との間の距離D1が、第1案内板710と転写ベルト410の外周面との間の距離D2より短くなるように、第1案内板710からの補助板731の突出量が定められることが好ましい。かくして、先端縁735は、転写ベルト410に十分に近接した位置に配設される。尚、距離D2は、好ましくは、0.2mm以上1.0mm以下の範囲に設定される。
【0063】
図5は、ニップ部Nを概略的に示す模式図である。図4及び図5を用いて、案内構造700が更に説明される。
【0064】
図5に示される如く、ニップ部Nは、転写ベルト410の外周面と転写ローラ420の外周面との間の接触が開始される接触開始点STと、転写ベルト410の外周面と転写ローラ420の外周面との間の接触が終了する接触終了点ENとの間に形成される。図4及び図5には、接触開始点STと接触終了点ENとを結ぶニップ接線TLが示されている。
【0065】
図4に示される如く、ニップ接線TLは、ニップ部Nにおいて、搬送線DLと交差する。ニップ部Nの上流側において、搬送面712から延びる搬送線DLは、ニップ接線TLよりも転写ベルト410側に位置する。ニップ接線TLよりも搬送面712が転写ベルト410側に配設されることにより、搬送線DLは、適切に、ニップ部Nに向けられる。また、補助板731とニップ部Nへ移動するシートSとの間の不必要な干渉が抑制される。
【0066】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る画像形成装置に用いられる補助構造を概略的に示す断面図である。図6を用いて、第1実施形態に係る画像形成装置と第2実施形態に係る画像形成装置との相違点が説明される。尚、以下の説明に含まれない特徴に対して、第1実施形態に係る画像形成装置に係る説明が援用される。図6に示される要素中、第1実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対して、同様の符号が付されている。
【0067】
補助構造730Aの補助板731Aは、コーティング層736を備える。補助板731Aの先端片734は、転写ベルト410に対向する第1面737と、転写ローラ420に対向する第2面738とを含む。コーティング層736は、第2面738を被覆する。コーティング層736は、10Ω以上1012Ω以下の抵抗値を有する。かくして、転写ローラ420から補助板731A及び第1案内板710へ向かって流れる電流が好適に抑制される。
【0068】
上述の如く、コーティング層736は、第1実施形態の画像形成装置に用いられた抵抗要素740と同様の電流抑制効果をもたらすので、第2実施形態の画像形成装置は、抵抗要素740を備えなくともよい。
【0069】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る画像形成装置に用いられる補助構造を概略的に示す断面図である。図7を用いて、第1実施形態に係る画像形成装置と第3実施形態に係る画像形成装置との相違点が説明される。尚、以下の説明に含まれない特徴に対して、第1実施形態に係る画像形成装置に係る説明が援用される。図7に示される要素中、第1実施形態に関連して説明された要素と同様の要素に対して、同様の符号が付されている。
【0070】
補助構造730Bは、非導電性のスペーサ732Bを備える。スペーサ732Bは、導電性の補助板731Bと導電性の第1案内板710との間に配設される。
【0071】
図8は、スペーサ732Bの周囲の概略的な拡大断面図である。図7及び図8を用いて、補助構造730Bが更に説明される。
【0072】
補助板731Bの基端片733は、スペーサ732Bを横切って、第1案内板710に向けて突出する導電路739を含む。補助板731Bは、導電路739を介して、第1案内板710に電気的に接続される。したがって、補助板731BとシートSとの間の摩擦に起因する補助板731Bの帯電が好適に抑制される。
【0073】
比較的小さな断面を有する導電路739を用いた補助板731Bと第1案内板710との電気的接続並びに非導電性のスペーサ732Bによって、転写ローラ420から補助板731B並びに第1案内板710へ向けて流れる電流は好適に抑制される。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、カラープリンタ、モノクロプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機などの各種の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
100・・・・・・・・・・・・・カラープリンタ(画像形成装置)
410・・・・・・・・・・・・・転写ベルト(像担持体)
420・・・・・・・・・・・・・転写ローラ(転写要素)
700・・・・・・・・・・・・・案内構造(案内要素)
710・・・・・・・・・・・・・第1案内板(主案内部)
712・・・・・・・・・・・・・搬送面
730,730A,730B・・・補助構造(副案内部)
731,731A,731B・・・補助板(導電部)
732,732B・・・・・・・・スペーサ
735・・・・・・・・・・・・・先端縁
736・・・・・・・・・・・・・コーティング層
739・・・・・・・・・・・・・導電路
740・・・・・・・・・・・・・抵抗要素
DL・・・・・・・・・・・・・・搬送線
EN・・・・・・・・・・・・・・接触終了点
N・・・・・・・・・・・・・・・ニップ部
S・・・・・・・・・・・・・・・シート
ST・・・・・・・・・・・・・・接触開始点
TL・・・・・・・・・・・・・・ニップ接線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を担持する像担持体と、
該像担持体上の前記トナー画像を静電気的にシートに転写させる転写要素と、
前記シートを案内する案内要素と、を備え、
前記像担持体及び前記転写要素は、前記シートを挟持するためのニップ部を形成し、
前記案内要素は、
前記ニップ部に向けて前記シートを案内するように形成された主案内部と、
該主案内部から前記ニップ部に向けて突出する副案内部と、を含み、
該副案内部は、導電性を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記主案内部は、導電性を有し、
前記副案内部は、前記主案内部に導通されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記案内要素は、前記転写要素から前記副案内部へ流れる電流を抑制する抵抗要素を備え、
前記主案内部は、前記抵抗要素を介して接地されることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記副案内部は、前記像担持体に対向する第1面と、前記転写要素に対向する第2面と、前記第2面を被覆するコーティング層とを含み、
前記コーティング層の抵抗値は、10Ω以上1012Ω以下であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記副案内部は、前記主案内部から前記ニップ部に向けて突出する導電部と、該導電部と前記主案内部との間に配設される非導電性のスペーサと、を備え、
前記導電部は、前記スペーサを横切って、前記主案内部に電気的に接続される導電路を含むことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記主案内部は、前記ニップ部へ向かう前記シートの搬送方向を規定する搬送面を含み、
前記副案内部は、前記ニップ部に対向する先端縁を含み、
該先端縁は、前記搬送面によって規定される前記シートの前記搬送方向に沿う搬送線に対して前記転写要素側に位置し、
前記先端縁と前記像担持体との間の距離は、前記主案内部と前記像担持体との間の距離以下であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体は、前記トナー画像を担持する第1周面を含み、
前記転写要素は、前記第1周面に圧接され、前記ニップ部を形成する第2周面を含み、
前記搬送面は、前記第1周面と前記第2周面とが接触し始める接触開始点と前記第1周面と前記第2周面との間の接触が終了する接触終了点とを結ぶニップ接線よりも前記像担持体側に位置することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記搬送面と前記第1周面との間の距離は、0.2mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−32487(P2012−32487A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170337(P2010−170337)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】