説明

画像形成装置

【課題】中間転写体へのダメージを抑えつつ、良好なクリーニング性能を得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体(18)に形成されたトナー像が中間転写体(12)を介して記録材に転写される画像形成装置(1)において、中間転写体の走行方向で見て1次転写位置よりも上流側には、中間転写体の転写面を清掃するクリーニング手段(70)を備えており、このクリーニング手段は、2次転写位置よりも下流側に配置され、回転せずに転写面に対して接触するように構成されており、転写面の予備清掃や残留トナーの摩擦帯電可能な起毛したプレクリーニング部材(72)と、装置内若しくは装置外の温度又は湿度を測定する環境検出手段(60)と、この装置内若しくは装置外の温度又は湿度が高い場合には、当該温度又は湿度が低いときに比して、プレクリーニング部材を転写面に近付けて接触させる押圧量調整手段(92)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を像担持体から中間転写体を経て記録材に出力する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では電子写真方式が用いられており、帯電器が像担持体、例えば感光体ドラムを予め帯電し、露光部が感光体ドラムの表面に光を照射すると、この表面には静電潜像が形成される。また、現像器はトナーを保持しており、トナーが静電潜像に付着してトナー像を形成する。そして、このトナー像を中間転写体の転写面に1次転写し、次いで記録材に2次転写して定着させる。
【0003】
ここで、この中間転写体の走行方向で見て2次転写位置よりも下流側であって1次転写位置よりも上流側には、この中間転写体の転写面を清掃するクリーニング装置が設けられている。クリーニング装置はファーブラシやプレブラシを有し、このプレブラシが、ファーブラシよりも上流側に配置され、ファーブラシで転写面の残留トナーを除去する前に予備清掃を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−146189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、中間転写体に大きなダメージが生ずるという問題がある。詳しくは、当該技術のファーブラシやプレブラシには極性の異なるバイアスがそれぞれ印加されており、残留トナーは良好に除去できるが、特に温度や湿度の低い環境下では転写面への負荷が非常に大きくなるからである。そして、これでは転写面が損傷して、転写不良やクリーニング不良が発生してしまう。
【0006】
この場合にプレブラシ等を回転させることも考えられる。つまり、温度や湿度の低い環境下ではブラシを遅く回転させれば、中間転写体へのダメージを小さくできるし、一方、温度や湿度の高い環境下ではブラシを速く回転させてクリーニング性能を向上させることができる。
しかしながら、プレブラシ等を回転させると、トナーが飛散して画像形成装置内を汚染するという問題が新たに生ずる。また、この回転させるための構造には大きなスペースを要するし、さらに、装置の製造コストの低廉化を図れないとの問題もある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、中間転写体へのダメージを抑えつつ、良好なクリーニング性能を得ることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1の発明は、像担持体に形成されたトナー像が中間転写体を介して記録材に転写される画像形成装置において、中間転写体の走行方向で見て像担持体との転写位置よりも上流側には、中間転写体の転写面を清掃するクリーニング手段を備えており、このクリーニング手段は、記録材との転写位置よりも下流側に配置され、回転せずに転写面に対して接触するように構成されており、転写面の予備清掃や残留トナーの摩擦帯電可能な起毛したプレクリーニング部材と、装置内若しくは装置外の温度又は湿度を測定する環境検出手段と、この装置内若しくは装置外の温度又は湿度が高い場合には、当該温度又は湿度が低いときに比して、プレクリーニング部材を転写面に近付けて接触させる押圧量調整手段とを具備する。
【0009】
第1の発明によれば、像担持体に形成されたトナー像は、中間転写体に1次転写され、次いで、この中間転写体から用紙に2次転写して定着させる。この1次転写位置よりも上流側には、中間転写体の転写面を清掃するクリーニング手段が設けられる。
このクリーニング手段は、プレクリーニング部材、環境検出手段、押圧量調整手段を備えており、プレクリーニング部材は、中間転写体の走行方向で見て、2次転写位置よりも下流側であって像担持体との1次転写位置よりも上流側に配置される。
【0010】
ここで、本発明のプレクリーニング部材は、転写面の予備清掃を行う機能や、この転写面に存在する残留トナーの摩擦帯電を行う機能を有しているが、従来とは異なり、回転せずに固定され、転写面に対して接離可能に構成されている。これにより、従来の如くのバイアス印加による中間転写体へのダメージや、飛散したトナーを原因とした画像形成装置内の汚染を防止できるし、この装置の省スペース化や製造コストの低廉化にも寄与する。
【0011】
そして、当該プレクリーニング部材は、画像形成装置内若しくは装置外の温度又は湿度に応じて転写面との距離を変える。
詳しくは、プレクリーニング部材は、装置内若しくは装置外の温度又は湿度が高い場合には転写面に近付いて接触する。当該温度又は湿度が高い場合には、プレクリーニング部材の起毛部分は柔らかくなり、転写面に強く接触させても中間転写体へのダメージは小さいからである。また、当該温度又は湿度が高い場合には、残留トナーは摩擦帯電し難く、さらに、このトナー自体の帯電量も低いため、起毛部分で転写面をより強く擦る必要があるからである。
【0012】
このように、当該温度又は湿度が高い場合には当該温度又は湿度が低いときに比して、押圧量調整手段がプレクリーニング部材を転写面に強く接触させれば、残留トナーを容易に摩擦帯電して転写面から引き離し易くなり、クリーニング性能の向上を達成できる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、押圧量調整手段は、装置内若しくは装置外の温度又は湿度が低い場合には、当該温度又は湿度が高いときに比して、プレクリーニング部材を転写面から遠ざけて接触させることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、プレクリーニング部材は、当該温度又は湿度が低い場合には転写面から遠ざけられて接触する。当該温度又は湿度が低い場合には、プレクリーニング部材の起毛部分は硬くなり、転写面に強く接触させると、中間転写体へのダメージが大きくなるからである。また、当該温度又は湿度が低い場合には、残留トナーは摩擦帯電し易く、さらに、このトナー自体の帯電量も高いので、起毛部分を転写面に僅かに触れさせても十分に帯電可能だからである。
【0014】
このように、当該温度又は湿度が低い場合には当該温度又は湿度が高いときに比して、押圧量調整手段がプレクリーニング部材を転写面に弱く接触させてもクリーニング性能を維持できるし、中間転写体へのダメージを低減でき、長寿命の中間転写体を提供できる。
第3の発明は、第1又は第2の発明の構成において、プレクリーニング部材の位置よりも下流側に配置され、転写面から表面付着物を除去するクリーニング部材をさらに具備することを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、第1又は第2の発明の作用に加えてさらに、クリーニング部材は、中間転写体の走行方向で見て、プレクリーニング部材の位置よりも下流側であって像担持体との1次転写位置よりも上流側に配置され、転写面から残留トナーや外添剤等の表面付着物の除去を行う機能を有している。そして、上記プレクリーニング部材の構成と相俟って、転写面から表面付着物を確実に除去でき、転写性能の安定化及びクリーニング性能の良好化の双方を長期間に亘って両立できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プレクリーニング部材は、画像形成装置内若しくは装置外の温度又は湿度に応じて転写面との距離を変えており、中間転写体へのダメージを抑えつつ、良好なクリーニング性能を得ることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例のプリンタの概略構成図である。
【図2】コントローラを含めた図1のプリンタの構成図である。
【図3】図1のプリンタの要部拡大図である。
【図4】温度や湿度の変化に応じたプレブラシ位置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、画像形成装置の一例であるカラー印刷可能なプリンタ1の構造が概略的に示されている。図1に示された断面はプリンタ1の左側面からみたものである。このため、プリンタ1の前面は図1の右側に、背面は左側にそれぞれ位置する。
【0019】
図1に示されるように、プリンタ1の装置本体2の上方には排紙トレイ36が設けられ、この排紙トレイ36の近傍には、使用者の各種操作に供される複数の操作キーや、各種情報を表示する画面を配置したフロントカバー5が設けられている。
また、この装置本体2の下方には給紙カセット4が配置され、その収容部40には、枚葉の用紙(記録材)が積層された状態で収納されている。
【0020】
この図1でみて収容部40の右上方には給紙ローラ46が設けられており、用紙は、給紙カセット4の右上方に向けて送出され、この送出された用紙は、装置本体2の内部でプリンタ1の前面に沿って上方に向けて搬送される。
また、給紙カセット4は、プリンタ1の前面側、つまり、図1において右方向に向けて引き出し可能に構成されており、この引き出した状態にて、収容部40に新たな用紙を補充したり、用紙を別の種類の用紙に入れ替え可能となる。
【0021】
装置本体2の内部には、給紙カセット4からの用紙搬送方向でみて下流側に搬送ローラ10、レジストローラ14、画像形成部16及び2次転写部30が順番に配置されている。
画像形成部16には4個の画像形成ユニット17が並設され、各ユニット17には感光体ドラム(像担持体)18がそれぞれ設けられている。この感光体ドラム18は回転自在に設置され、ドラムモータによって図1の時計回りにそれぞれ駆動する。
【0022】
感光体ドラム18と給紙カセット4との間には露光部15が備えられており、この露光部15からは、レーザ光が各感光体ドラム18に向けてそれぞれ照射される。そして、図1に示されるように、各感光体ドラム18の周囲の適宜位置には、帯電器20、現像器24、1次転写ローラ13やクリーニング部50がそれぞれ設けられている。
【0023】
本実施例の帯電器20は、画像形成ユニット17の下部に位置し、感光体ドラム18に接する帯電ローラや、この帯電ローラの表面を研磨摺擦する摺擦ローラを有し、感光体ドラム18の表面を帯電させる。
また、現像器24は画像形成ユニット17の左方に配置され、感光体ドラム18に対峙する現像ローラを有する。この現像ローラは現像モータによって図1の反時計回りに駆動する。
【0024】
画像形成部16は中間転写ベルト(中間転写体)12を有し、当該転写ベルト12は各感光体ドラム18の上方に配置され、ベルトモータによってプリンタ1の前面と背面との間を図1でみて反時計回りに走行する。
また、この中間転写ベルト12と排紙トレイ36との間には4個のトナーコンテナ23が配設されている。これら各トナーコンテナ23は、プリンタ1の背面側から前面側に向けて、マゼンタ用、シアン用、イエロー用、そして、ブラック用の順に配設され、このブラック用のトナーコンテナの容量が最も大きく構成される。
【0025】
各1次転写ローラ13に、感光体ドラム18の静電潜像に付着するトナーと逆極性の電圧を印加すると、各トナー像は中間転写ベルト12に移動する。
2次転写部30には2次転写ローラ31が備えられ、この転写ローラ31は転写ベルト12に対して斜め下方から圧接可能に構成されている。これら転写ベルト12と2次転写ローラ31とは、トナー像を用紙に転写するためのニップ部を形成する。2次転写ローラ31に、上記静電潜像に付着するトナーと逆極性の電圧を印加すると、トナー像は用紙に移動する。
【0026】
また、用紙搬送方向でみて2次転写部30の下流側には、定着部32、排出分岐部34及び排出ローラ35が順番に配置されている。
本実施例では、2次転写部30と手差しトレイ3との間に両面印刷搬送路38が形成されている。この両面印刷搬送路38は、排出分岐部34から装置本体2の前面側で分岐して下方に向けて延び、レジストローラ14の上流側に連結している。
【0027】
一方、上述の中間転写ベルト12はクリーニング部(クリーニング手段)70で清掃される。
本実施例のクリーニング部70は、図3にも示されるように、駆動ローラ52に掛け回された中間転写ベルト12と2次転写ローラ31との圧接位置とは反対側に設けられている。
【0028】
より具体的には、このクリーニング部70は、転写ベルト12の走行方向でみてプリンタ1の背面側に配置されたマゼンタ用の感光体ドラム18の上流側、換言すれば、従動ローラ54に掛け回された中間転写ベルト12に対して斜め下方から接触可能に構成され、図2のコントローラ90の出力信号によって駆動するファーブラシ(クリーニング部材)76や回収ローラ74等を有する。
【0029】
当該ファーブラシ76は駆動モータによって回転し、転写ベルト12の転写面に接触する。これにより、このファーブラシ76は、転写ベルト12の転写面に付着した外添剤を含む残留トナーや用紙から出た紙粉などを除去し、この転写ベルト12の転写面を清掃する。
回収ローラ74はファーブラシ76に接触して外添剤を含む残留トナーや紙粉などを回収する。
【0030】
また、この回収ローラ74にはクリーニングブレード75が接触しており、回収ローラ74から掻き取られた外添剤を含む残留トナーや紙粉などは、回収スクリュー78を用いて回収容器に集められる。
ここで、本実施例のクリーニング部70はプレブラシ(プレクリーニング部材)72も備えている。
【0031】
詳しくは、図3に示される如く、プレブラシ72は、転写ベルト12の走行方向でみてファーブラシ76の上流側、換言すれば、従動ローラ54に掛け回された中間転写ベルト12に対して上方から接触・離間可能に構成されている。
また、このプレブラシ72は、中間転写ベルト12の転写面に回転しないで接触しており、この転写面の予備清掃や残留トナーの摩擦帯電可能に起毛している。
【0032】
なお、プレブラシ72は、例えばナイロン製やポリエステル製で構成することができ、プリンタ1の設置箇所が湿度の影響を多く受ける場合はポリエステル製のプレブラシ72を、一方、湿度の影響が少ない場合にはナイロン製のプレブラシ72を選択できる。
また、このプリンタ1の周囲環境は温湿センサ(環境検出手段)60で検出される(図2)。
【0033】
本実施例の温湿センサ60は、プリンタ1の内部(外部でも良い)の温度や湿度を測定しており、この温湿センサ60の測定結果はコントローラ90に入力され、その押圧量調整部(押圧量調整手段)92がプレブラシ72の押圧量を求める(図2)。そして、押圧量調整部92がプレブラシ駆動部62に信号を出力すると、プレブラシ72が中間転写ベルト12の転写面に強め或いは弱めに接触する。
【0034】
より具体的には、図4に示されるように、温湿センサ60が高い温度(例えば30℃近傍)を測定した場合に、例えば60%程度の高い湿度であれば、押圧量調整部92は、この湿度が低いとき(例えば15%)の中程度の押圧量に比して大きな押圧量を設定する。これにより、プレブラシ駆動部62がプレブラシ72を中間転写ベルト12に近付けるので、プレブラシ72はその転写面に強めに接触する。
【0035】
これに対し、温湿センサ60が低い温度(例えば10℃近傍)を測定した場合に、例えば15%程度の低い湿度であれば、押圧量調整部92は、この湿度が高いとき(例えば60%)の中程度の押圧量に比して小さな押圧量を設定する。これにより、プレブラシ駆動部62がプレブラシ72を中間転写ベルト12から遠ざけるため、プレブラシ72はその転写面に弱めに接触する。
【0036】
なお、押圧量調整部92による押圧量は、温度又は湿度のいずれかのみに基づいて設定しても良い。仮に温度が高い場合には、温度が低いときよりもプレブラシ72を転写面に近付け、また、湿度が高い場合にも、湿度が低いときに比してプレブラシ72を転写面に近付けるからである。
さらに、この押圧量調整部92は、プレブラシ72の押圧量を所定の閾値を境にしてステップ状に変更しても良いし、また、温度や湿度の変化に応じてリニアに変更しても良い。
【0037】
再び図1に戻り、上記プリンタ1が印刷を行う際は、給紙ローラ46によって給紙カセット4から用紙が1枚ずつ分離して送出される。送出された用紙は搬送ローラ10からレジストローラ14に到達する。このレジストローラ14は、用紙の斜め送りを矯正しつつ、画像形成部16で形成されるトナー像との画像転写タイミングを計りながら、用紙を所定の給紙タイミングにて2次転写部30へと送出する。
【0038】
一方、図2の入力ポート91は、印刷の元になる画像データが外部から受信可能に構成されている。この画像データは、文字や符号、図形、記号、線図、模様等の各種の画像がデータ化されたものである。そして、このデータに基づき、コントローラ90ではレーザ光の照射などを制御する。
詳しくは、各感光体ドラム18の表面を除電した後、帯電器20が感光体ドラム18の表面をそれぞれ帯電する。
【0039】
次いで、露光部15が感光体ドラム18の表面にレーザ光をそれぞれ照射すると、各感光体ドラム18の表面には静電潜像が作られ、この静電潜像から各色のトナー像が形成される。
各トナー像は中間転写ベルト12に重ね合わされ(1次転写)、2次転写部30にて用紙に2次転写される。なお、感光体ドラム18の表面に残留したトナー等はクリーニング部50で除去され、また、転写ベルト12の転写面に残留したトナー等はクリーニング部70で除去される。
【0040】
続いて、用紙は未定着トナー像を担持した状態で定着部32に向けて送られ、この定着部32にて加熱及び加圧され、トナー像が定着される。その後、定着部32から送出された用紙は排出ローラ35を介して排紙トレイ36に排出され、高さ方向に積層される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部32から排出された用紙は、排出分岐部34でその搬送方向が切り替えられる。
【0041】
つまり、片面に印刷された用紙は装置本体2内に引き戻され、両面印刷搬送路38に搬送される。続いて、この用紙はレジストローラ14の上流側に向けて送出され、2次転写部30に向けて再び送られる。これにより、用紙の未だ印刷がされていない面にトナー像が転写される。
以上のように、本実施例によれば、感光体ドラム18に形成されたトナー像は、中間転写ベルト12に1次転写され、次いで、この中間転写ベルト12から用紙に2次転写して定着させる。この1次転写位置よりも上流側には、中間転写ベルト12の転写面を清掃するクリーニングヴ70が設けられる。
【0042】
このクリーニング部70は、プレブラシ72、ファーブラシ76、温湿センサ60、プレブラシ駆動部62、押圧量調整部92を備えており、プレブラシ72は、中間転写ベルト12の走行方向で見て、2次転写ローラ31との2次転写位置よりも下流側であって感光体ドラム18との1次転写位置よりも上流側に配置される。
【0043】
ここで、本実施例のプレブラシ72は、中間転写ベルト12の転写面の予備清掃を行う機能や、この転写面に存在する残留トナーの摩擦帯電を行う機能を有しているが、従来とは異なり、回転せずに固定され、転写面に対して接離可能に構成されている。
これにより、従来の如くのバイアス印加による中間転写ベルト12へのダメージや、回転ブラシによる飛散したトナーを原因としたプリンタ1内の汚染を防止できるし、この装置の省スペース化や製造コストの低廉化にも寄与する。
【0044】
そして、当該プレブラシ72は、プリンタ1内若しくはプリンタ1外の温度又は湿度に応じて中間転写ベルト12の転写面との距離を変える。
詳しくは、プレブラシ72は、プリンタ1内若しくはプリンタ1外の温度又は湿度が高い場合には転写面に近付いて接触する。当該温度又は湿度が高い場合には、プレブラシ72の起毛部分は柔らかくなり、転写面に強く接触させても中間転写ベルト12へのダメージは小さいからである。
【0045】
また、当該温度又は湿度が高い場合には、残留トナーは摩擦帯電し難く、さらに、このトナー自体の帯電量も低いため、起毛部分で転写面をより強く擦る必要があるからである。
このように、当該温度又は湿度が高い場合には当該温度又は湿度が低いときに比して、押圧量調整部92がプレブラシ72を中間転写ベルト12の転写面に強く接触させれば、残留トナーを容易に摩擦帯電して転写面から引き離し易くなり、クリーニング性能の向上を達成できる。
【0046】
また、プレブラシ72は、当該温度又は湿度が低い場合には中間転写ベルト12の転写面から遠ざけられて接触する。当該温度又は湿度が低い場合には、プレブラシ72の起毛部分は硬くなり、転写面に強く接触させると、中間転写ベルト12へのダメージが大きくなるからである。
さらに、当該温度又は湿度が低い場合には、残留トナーは摩擦帯電し易く、さらに、このトナー自体の帯電量も高いので、起毛部分を転写面に僅かに触れさせても十分に帯電可能だからである。
【0047】
このように、当該温度又は湿度が低い場合には当該温度又は湿度が高いときに比して、押圧量調整部92がプレブラシ72を中間転写ベルト12の転写面に弱く接触させてもクリーニング性能を維持できるし、中間転写ベルト12へのダメージを低減でき、長寿命の中間転写ベルト12を提供できる。
さらに、ファーブラシ76は、中間転写ベルト12の走行方向で見て、プレブラシ72の位置よりも下流側であって感光体ドラム18との1次転写位置よりも上流側に配置され、中間転写ベルト12の転写面から残留トナーや外添剤等の表面付着物の除去を行う機能を有している。そして、上記プレブラシ72の構成と相俟って、転写面から表面付着物を確実に除去でき、転写性能の安定化及びクリーニング性能の良好化の双方を長期間に亘って両立できる。
【0048】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示しているが、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
【0049】
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、中間転写体へのダメージを抑えつつ、良好なクリーニング性能を得ることができるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0050】
1 プリンタ(画像形成装置)
12 中間転写ベルト(中間転写体)
18 感光体ドラム(像担持体)
60 温湿センサ(環境検出手段)
70 クリーニング部(クリーニング手段)
72 プレブラシ(プレクリーニング部材)
76 ファーブラシ(クリーニング部材)
90 コントローラ
92 押圧量調整部(押圧量調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成されたトナー像が中間転写体を介して記録材に転写される画像形成装置において、
前記中間転写体の走行方向で見て前記像担持体との転写位置よりも上流側には、前記中間転写体の転写面を清掃するクリーニング手段を備えており、
このクリーニング手段は、
前記記録材との転写位置よりも下流側に配置され、回転せずに前記転写面に対して接触するように構成されており、前記転写面の予備清掃や残留トナーの摩擦帯電可能な起毛したプレクリーニング部材と、
前記装置内若しくは装置外の温度又は湿度を測定する環境検出手段と、
この装置内若しくは装置外の温度又は湿度が高い場合には、当該温度又は湿度が低いときに比して、前記プレクリーニング部材を前記転写面に近付けて接触させる押圧量調整手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記押圧量調整手段は、前記装置内若しくは装置外の温度又は湿度が低い場合には、当該温度又は湿度が高いときに比して、前記プレクリーニング部材を前記転写面から遠ざけて接触させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置であって、
前記プレクリーニング部材の位置よりも下流側に配置され、前記転写面から表面付着物を除去するクリーニング部材をさらに具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−53175(P2012−53175A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194250(P2010−194250)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】