説明

画像形成装置

【課題】検知を短時間で行う装置の検知部に適用でき、専用の信号線を設けることなく安価な構成で基板の種類を判別すること。
【解決手段】MPU207を有するDCコントローラ201と、MPU207からの信号により制御される高圧電源装置202とを備え、電源の供給を開始した際に高圧電源装置202の種類を判別可能な画像形成装置であって、記録紙35の有無を検知し検知信号を出力するフォトインタラプタ436と、フォトインタラプタ436が出力した検知信号を高圧電源装置202からMPU207に伝送するための信号線とを備え、高圧電源装置202は、基板の種類を示す論理信号を、その信号線を介してMPU207に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同一機能を有した複数の基板を判別する必要がある場合に、抵抗によりプルアップされた信号線を使用して、各々の論理が異なるようにしていた。すなわち、一方の基板は、ローレベル(以後“L”と記す)とし、もう一方の基板は、ハイレベル(以後“H”と記す)となるように、1チップマイクロコンピュータ(以後MPUと記す)の入力ポートの論理を切り換えるような回路構成にして判別していた。図8は、従来のレーザプリンタの回路図の一部を示す図である(後述する実施例と同じ構成には同じ符号を付す)。
【0003】
フォトインタラプタ436は、例えば排紙センサ等の紙有無検知センサであり、記録紙がセンサ位置にくると遮光する構成である。フォトインタラプタ436の出力は、DCコントローラ201のプルアップ抵抗135とMPU207のデジタル入力ポート(DI1ポート)に接続されている。記録紙がセンサ位置になくフォトインタラプタ436に光が透過すると、フォトインタラプタ436の出力は、“L”となる。一方、記録紙がセンサ位置にありフォトインタラプタ436が遮光されると、DI1ポートには“H”が入力される。
【0004】
MPU207の入力ポートDI2は、抵抗142で3.3Vにプルアップされており、2種類の高圧電源装置202を判別する際に、一方は例えば図の点線部180を介してグランド(GND)に接続してDI2を“L”にする。もう一方の高圧電源装置は、点線部180がない回路構成とし、どこにも接続しない。そうすると、MPU207のDI2ポートは、“H”になる。このようにすると、MPU207は、どちらの高圧電源装置が接続されたかについてDI2ポートに入力される信号のレベルを検出することにより、2種類の高圧電源装置202を判別することができる。
【0005】
また、特許文献1によれば、商用電源の電源電圧及び周波数に対応してDC電圧を出力する電源回路が提案されている。特許文献1では、複数の基板の電圧が異なるように抵抗で分圧して、ADコンバータで電圧を検出する構成が提案されている。この場合、“H”は、それぞれの基板の種類に対応した電圧値となり、“L”は、0V付近となることを判別することにより、ドアオープンと複数の基板の種類を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2004−021040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来例によれば、1つのポートと信号の論理を切り換える専用の入力ピンとコネクタが追加となり、コストアップとなるため、コストの低減が望まれていた。また、特許文献1のADコンバータは、検知に時間がかかるため、例えばドアオープン状態を検知するような信号であれば、時間がかかっても対応できるが、紙有無センサ等の検知を短時間で行うことが必要な個所に適用できないおそれがあった。更に装置を生産した後に機能を追加したり、コストダウンを実施する場合に、変更前の装置に影響を与えずに機能追加やコストダウンができることが望まれていた。
【0008】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、検知を短時間で行う必要がある装置の検知部に適用でき、専用の信号線を設けることなく、安価な構成で基板の種類を判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0010】
(1)制御手段を含む第一回路を有する第一回路基板と、前記制御手段からの信号により制御される第二回路を有する第二回路基板と、を備え、電源の供給を開始した際に前記第二回路基板の種類を判別可能な画像形成装置であって、記録紙の有無を検知して検知信号を出力する検知手段と、前記検知手段が出力した検知信号を前記第二回路基板から前記制御手段に伝送するための信号線と、を備え、前記第二回路基板は、基板の種類を示す論理信号を、前記信号線を介して前記制御手段に出力することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知を短時間で行う装置の検知部に適用でき、専用の信号線を設けることなく安価な構成で基板の種類を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1のカラーレーザプリンタの断面図
【図2】実施例1のDCコントローラ、高圧電源装置及び低圧電源装置の回路図
【図3】実施例1のDI1ポートの真理値表、新基板のタイミングチャート
【図4】実施例1の基板の判別処理を説明するフローチャート
【図5】実施例2のDCコントローラ、高圧電源装置及び低圧電源装置の回路図
【図6】実施例2のDI1ポートの真理値表、新基板のタイミングチャート、基板の判別処理を説明するフローチャート
【図7】実施例3のDCコントローラ、高圧電源装置及び低圧電源装置の回路図
【図8】従来例のDCコントローラ、高圧電源装置及び低圧電源装置の回路図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係わる実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0014】
[カラーレーザプリンタの構成]
図1は本実施例のカラーレーザプリンタの構成図である。カラーレーザプリンタ401は、記録紙35を収納するデッキ402、デッキ402内の記録紙35の有無を検知するデッキ紙有無センサ403、デッキ402から記録紙35を繰り出すピックアップローラ404を有する。またカラーレーザプリンタ401は、ピックアップローラ404によって繰り出された記録紙35を搬送するデッキ給紙ローラ405、デッキ給紙ローラ405と対をなし記録紙35の重送を防止するためのリタードローラ406を有する。更にカラーレーザプリンタ401は、デッキ給紙ローラ405の下流に記録紙35を同期搬送するレジストローラ対407、レジストローラ対407への記録紙35の搬送状態(記録紙の有無)を検知するレジ前センサ408を有する。
【0015】
レジストローラ対407の下流には静電吸着搬送転写ベルト(以下ETBと記す)409を備えたETBユニットが配設される。ETB409上には次のようにして、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の4色のトナー画像からなるカラー画像が形成される。即ち、Y、M、C、Bの4色分のプロセス画像形成カートリッジ410Y、410M、410C、410B(以下、YMCBを省略する)とスキャナユニット420からなる画像形成部によって形成された画像が、転写ローラ430によって順次重ね合わされて行く。これによりカラー画像が形成され、記録紙35上に転写される。カラー画像が形成された記録紙35は下流に搬送される。下流には定着器439が備えられており、ここで、記録紙35上に転写されたトナー像を定着する。定着器439は、内部に加熱用のヒータ432を備えた定着ローラ433と加圧ローラ434の対、定着ローラ433からの記録紙35を搬送するための、定着排紙ローラ対435を有する。更に、定着器439からの記録紙35の搬送状態(記録紙の有無)を検知する定着排紙センサ436(検知手段)が配設されている。
【0016】
また、スキャナユニット420は、半導体レーザ421、ポリゴンミラー422、スキャナモータ423、結像レンズ群424より構成される。半導体レーザ421は、ビデオコントローラ440から送出される各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光する。ポリゴンミラー422とスキャナモータ423は、各半導体レーザ421からのレーザ光を各感光ドラム305上に走査する。そして、各プロセス画像形成カートリッジ410は公知の電子写真プロセスに必要な感光ドラム305、帯電ローラ303、現像ローラ302、トナー格納容器411を備えており、カラーレーザプリンタ401本体に対して着脱可能に構成されている。更に、ビデオコントローラ440は、外部装置である例えばホストコンピュータ441から送出される画像信号を受け取ると、この画像信号をビットマップデータに展開し、画像形成用の画像信号を生成する。
【0017】
また、DCコントローラ201(エンジン制御部を有するエンジン制御基板)はカラーレーザプリンタ401を制御する。DCコントローラ201は、RAM207a、ROM207b、タイマ207c、デジタル入出力ポート207d、D/Aポート207eを備えた1チップマイクロコンピュータ(以降MPUと記載)207を有する。ROM207bは、MPU207の制御手順を格納している。更にDCコントローラ201は、不揮発記憶装置(EEPROM)208及び各種入出力制御回路(不図示)等を有する。また、高圧電源装置(圧電トランス式高圧電源装置)202は、各プロセス画像形成カートリッジ410に対応した帯電高圧電源の制御部(不図示)、現像高圧電源(不図示)を有する。更に、高圧電源装置202は、各転写ローラ430に対応した高電圧を出力可能な圧電トランスを使用した転写高圧電源を有する。
【0018】
[回路構成]
次に本実施例のDCコントローラ201(第一回路基板)、高圧電源装置202(第二回路基板)及び低圧電源装置437(第三回路基板)の回路構成を図2を参照しながら説明する。低圧電源装置(図中、LVPSと記す)437は、商用電源の交流電圧を直流電圧24Vや3.3Vに変換する回路基板である。制御基板(以下、DCコントローラ)201は、装置本体のセンサや駆動部を制御する。高圧電源装置(図中、HVTと記す)202は、電子写真プロセスに必要な電力を供給する電源である。MPU207は、カラーレーザプリンタ401を制御する。FET147は、電界効果トランジスタである。低圧電源装置437は、FET147のゲート抵抗146、NPN型バイポーラトランジスタ155、NPN型バイポーラトランジスタ155のベース抵抗156、エミッタ抵抗157を有する。MPU207は、例えば省エネルギーモードに入るときに、出力ポートであるDO1ポートを“L”(ローレベル)にして、NPN型バイポーラトランジスタ155をオフする。これによりMPU207はFET147をオフし、高圧電源装置202や不図示の駆動源等に供給している+24VB(所定の直流電圧)の直流電源の供給を停止する。
【0019】
フォトインタラプタ436は、上述した定着排紙センサ436であり(以降、フォトインタラプタ436とする)、記録紙35がセンサ位置にくると遮光する構成である。抵抗131は、フォトインタラプタ436の発光ダイオード(LED)の電流制限抵抗である。高圧電源装置202の種類を判別可能な従来例の回路図(図8)との相違点は、次の点にある。すなわち、高圧電源装置202とDCコントローラ201との間の通信線を、フォトインタラプタ436の検知信号を伝送する信号線と、基板の種類を判別するための論理信号を伝送する信号線の2本から、その2本を共通化した1本の信号線としたことである。そして、高圧電源装置202に回路が追加になっている点である。すなわち、従来例の図8の回路図で、MPU207のDI2ポートに接続される、基板の種類を判別するための論理信号を伝送する専用の信号線がない構成である。
【0020】
まず、MPU207が+24VBを供給するように制御している状態から説明する。このときFET147は、オンしており+24VBが高圧電源装置202に供給されている。抵抗133と抵抗134は、+24VBを分圧してコンパレータ107のマイナス端子に約1.5Vの基準電圧を与えている。抵抗132は、フォトインタラプタ436の出力電流制限抵抗である。コンパレータ107のプラス端子は、フォトインタラプタ436の出力と抵抗132に接続されている。フォトインタラプタ436に光が透過すると、その出力であるところのコンパレータ107のプラス端子は、0.3V以下になり、コンパレータ107のマイナス端子と比較して低くなるので、コンパレータ107の出力は、“L”となる。すなわちMPU207のDI1ポートは、“L”となる。一方でフォトインタラプタ436は、記録紙35が存在すると遮光し、フォトインタラプタ436の出力は、高抵抗(High Impedance;以後“High Imp”と記す)となりコンパレータ107のプラス端子は、+3.3Vとなる。コンパレータ107のマイナス端子と比較して高くなるので、コンパレータ107の出力は、“High Imp”となる。MPU207のDI1ポートには、プルアップ抵抗135が接続されているので“H”(ハイレベル)と認識する。
【0021】
次に、MPU207が+24VBの供給を停止するように制御している状態を説明する。例えば、省エネルギーモードに入るとき、MPU207がDO1ポートを“L”にすると、NPN型バイポーラトランジスタ155及びFET147はオフする。そうするとコンパレータ電源及びコンパレータ107のマイナス端子は、0Vとなり記録紙35の存在に依存せずにコンパレータ107の出力は、“High Imp”となり、MPU207のDI1ポートは“H”となる。すなわち、+24VBの電源の供給が遮断された場合(オフの場合)は、記録紙35の存在に依存せずにDI1ポートは“H”となる。
【0022】
[DI1ポートの真理値表]
図3(a)は、本実施例におけるMPU207のDI1ポートの真理値表である。ここで、本実施例では、図8に示す従来の基板(以下、従来基板という)を用いた高圧電源装置と、図2に示す新しい基板(以下、新基板という)を用いた高圧電源装置とを判別する場合について説明する。従来基板(図8参照)では、+24VBの供給状態に依存することなく、記録紙35が排紙センサ部に無くフォトインタラプタ436のLEDの光が透過する場合は、“L”となる。また従来基板では、記録紙35が排紙センサ部にありフォトインタラプタ436を遮光する場合(紙検出)は、“H”となる。一方、新基板では、記録紙35が排紙センサ部にありフォトインタラプタ436を遮光する場合は、+24VBのオン、オフによらず“H”となる。しかし、記録紙35が排紙センサ部に無くフォトインタラプタ436のLEDの光が透過する場合は、+24VBがオンのときは“L”となり、+24VBがオフのときは“H”となる。すなわち、フォトインタラプタ436に記録紙35がなく+24VBがオフの状態で、DI1ポートに入力される信号を検知すれば、接続されている高圧電源装置202が、従来基板であるか新基板であるかを判別することができる。
【0023】
[タイミングチャート]
図3(b)は、本実施例の高圧電源装置202が新基板である場合であって、電源投入時にフォトインタラプタ436に記録紙がある場合のタイミングチャートである。図3(b)には、+24VBのオン(ON)オフ(OFF)、排紙センサ部のフォトインタラプタ436の検知結果である紙有り(図3(a)の紙検出)、紙無し、MPU207のDI1ポートの信号レベル“H”、“L”を示す。電源投入後、まず、MPU207は+24VBをオンさせる。このとき、記録紙35が排紙センサ部に滞留している場合は、タイミングチャートに示すように、MPU207はフォトインタラプタ436により紙有りを検知し、MPU207のDI1ポートは“H”となったままである。
【0024】
MPU207は、これにより記録紙が滞留していることを検出し、ユーザに取り除いてもらうようにホストコンピュータ441に通知する。ここで、ホストコンピュータ441がユーザに通知する方法は、例えば表示部に表示することや警告音を鳴らすこと等の公知の方法で行う。ユーザは、滞留している記録紙35を取り除いて不図示のドアを閉じる。+24VBがオンの状態で記録紙35を除去したことによりフォトインタラプタ436が紙無し(第1の値)となると、DI1ポートは“L”となり(図3(a)参照)、これによりMPU207はユーザによる紙の除去処理が完了したこと(紙除去完了)を検知できる。MPU207は、その後+24VBをオフにする。新基板の場合、記録紙35がフォトインタラプタ436にない状態で+24VBをオフにすると、DI1ポートは、“H”(第2の値)となる。ここで、MPU207は、高圧電源装置202に新基板が用いられていることを検知できる。その後MPU207は、再度、+24VBをオンさせる。このとき排紙センサ部のフォトインタラプタ436の記録紙35が取り除かれていると、MPU207のDI1ポートは、“L”となり、プリンタはプリント動作を行う。正常なシーケンスでプリント動作が行われ、排紙センサ部のフォトインタラプタ436に記録紙35が搬送されてくるとMPU207のDI1ポートは“H”となり、記録紙35がフォトインタラプタ436を通過すると“L”となる。プリント動作が終了して、MPU207が+24VBをオフさせると、DI1ポートは、“H”となる。
【0025】
[基板種類の判別処理]
図4は、本実施例における基板種類の判別処理のフローチャートである。プリンタ本体に電源が投入されるとDCコントローラ201のMPU207は基板種類の判別処理を開始する。ステップ(以下、Sとする)101で、MPU207は、自己診断をスタートさせる。S102でMPU207は、DI1ポートの入力論理を不図示のHSレジスタに記憶する。ここで、+24VBはオフの状態となっており、記録紙35がフォトインタラプタ436に有る状態であれば、従来基板の場合でも新基板の場合でもHSレジスタには“H”が記憶される(図3(a)参照)。また、記録紙35がフォトインタラプタ436に無い状態であれば、従来基板の場合は“L”、新基板の場合は“H”が記憶される(図3(a)参照)。S103でMPU207は、DO1出力ポートを“H”にして、低圧電源装置437の+24VBをオンする。S104でMPU207は、DI1ポートが“H”であるか“L”であるかを判断する。S104でMPU207は、DI1ポートが“H”であると判断した場合は、基板の種類によらず(図3(a)参照)フォトインタラプタ436が遮光している、すなわち紙有りを検出しているので、S105で排紙部に記録紙35が滞留していることを通知する。その後、排紙部の記録紙35が取り除かれ、S106でMPU207が、DI1ポートが“L”となったと判断するまで待機する。S106でMPU207は、DI1ポートが“L”となったと判断すると、S107で一旦+24VBをオフにしてS102の処理に戻る。
【0026】
一方、S104でMPU207は、DI1ポートが“L”であると判断した場合は、S108で不図示のHSレジスタに記憶された情報を読み込む。HSレジスタに記憶された情報とは、S102でMPU207が記憶させた情報である。図3(a)で説明したように、MPU207は、フォトインタラプタ436に紙がない状態で+24VBをオフしたしたときのDI1ポートに入力される信号のレベルにより、従来基板と新基板のどちらが接続されているかを判別できる。S108でMPU207は、HSレジスタに記憶された情報が“L”であると判断した場合は、S109でDCコントローラ201に接続されている基板は従来基板であると判別する。一方、S108でMPU207は、HSレジスタに記憶された情報が“H”であると判断した場合は、S110でDCコントローラ201に接続されている基板は新基板であると判別する。以上で判別処理を終了する。
【0027】
基板の判別処理の終了後、MPU207は、高圧電源装置202に用いられている基板の種類に対応して制御テーブルや制御タイミングが違う場合は、それぞれの基板に対応した制御テーブルや制御タイミングを選択して処理を行う。また、高圧電源装置202に用いられている基板の種類に対応して、プリント速度(画像形成条件)が違う場合でも、MPU207はそれぞれに対応したプリント速度となるようにエンジン部の制御を変えることも可能である。尚、公知の制御の詳細は省略する。
【0028】
このように本実施例の新基板の特徴は、排紙センサ部のフォトインタラプタ436に記録紙35が存在しないとき、高圧電源装置202へ+24VBを供給する場合と供給しない場合でMPU207のDI1ポートの論理が異なることである。これにより排紙センサの信号線を回路基板の種類を判別する信号線と共用することができ、専用の信号線を追加することなく、コストを低減し複数の基板の判別が可能となる。
【0029】
このように本実施例によれば、排紙センサのフォトインタラプタのように応答速度の速い信号線を使って専用の信号線を追加することなく複数の基板の種類を判別できる。更に生産開始後に機能追加やコストの低減を実施した場合に、信号線を新たに追加することなく、変更前後の基板を区別できるので、変更前の生産品に影響を与えずに機能追加やコスト低減ができる。すなわち、速い検知が必要なフォトインタラプタに適用でき、専用の信号線を設けることなく基板の種類を判別し、コストを低減することができる。
【実施例2】
【0030】
図5は、本実施例における基板の回路図を示す。従来例及び実施例1と同一の構成は、同一の記号を付して説明は省略する。実施例1との違いは、コンパレータ107のマイナス端子にクロックを入力していることである。本実施例では、一例として、オペアンプ108とその周辺回路でウィーンブリッジ発振回路(クロック回路)を構成している。148、149、150、151は抵抗である。146、147はコンデンサである。152はダイオード、153はコンパレータ107の入力抵抗である。
【0031】
[DI1ポートの真理値表]
図6(a)は、本実施例のDI1ポートの真理値表である。実施例1との相違は、新基板の場合に+24VBがオンで紙無し状態がパルス(PULSE)になることである。
【0032】
[タイミングチャート]
図6(b)は、本実施例におけるタイミングチャートである。実施例1との相違点は、+24VBがオンでかつ紙無しのときにDI1ポートに出力される信号が、“H”と“L”を交互に繰り返すパルス信号になっていることである。
【0033】
[基板種類の判別処理]
図6(c)は、本実施例の基板種類の判別処理のフローチャートである。実施例1との相違点は、S102のHSレジスタに書き込む処理が不要であることである。また、実施例1では電源投入後、記録紙35が排紙センサ部に滞留していた場合、記録紙を除去したあと、一度+24VBをオフしていたが、本実施例では+24VBのオン状態を維持する。そして、S208でMPU207がDI1ポートの入力がパルスか否かを判断し、パルスになっていないと判断した場合は、S109で従来基板であると判別する。一方、S208でMPU207はDI1ポートの入力がパルスになっていると判断した場合には、S110で新基板であると判別する。ここで、更に基板の種類が増えた場合でも基板毎にパルスの周波数を異ならせ、パルスの周波数を検知することにより、それらを判別することができる。その他、実施例1と同じステップについては説明を省略する。
【0034】
このように本実施例によれば、排紙センサのフォトインタラプタのように応答速度の速い信号線を使って専用の信号線を追加することなく複数の基板の種類を判別できる。更に生産開始後に機能追加やコストの低減を実施した場合に、信号線を新たに追加することなく、変更前後の基板を区別できるので、変更前の生産品に影響を与えずに機能追加やコスト低減ができる。すなわち、速い検知が必要なフォトインタラプタに適用でき、専用の信号線を設けることなく基板の種類を判別し、コストを低減することができる。
【実施例3】
【0035】
図7は、本実施例の基板の回路図である。実施例1との違いは、コンパレータ107を使用せずに安価なトランジスタを2個使っていることである。トランジスタ101は、PNP型バイポーラトランジスタである(2SA1576、2SA1162が好適)。また、145は、PNP型バイポーラトランジスタ101のベース抵抗、144は、PNP型バイポーラトランジスタ101のエミッタ抵抗である。トランジスタ102は、NPN型バイポーラトランジスタであり(2SC4081、2SC2712が好適)、138は、そのベース抵抗、141は、そのエミッタ抵抗である。この回路によれば、+24VBがオンでフォトインタラプタ436がオン(透過)しているときにPNP型バイポーラトランジスタ101及びNPN型バイポーラトランジスタ102がオンし、MPU207のDI1ポートは、“L”となる。一方、+24VB又はフォトインタラプタ436がオフ(記録紙検出)の場合は、DI1ポートは、“H”となる。従って、真理値表とフローチャートは、実施例1と同じであり、詳細説明は省略する。
【0036】
尚、PNP型バイポーラトランジスタ101と抵抗144、145は、抵抗内蔵トランジスタのRN2418(東芝製)でも代用できる。また、NPN型バイポーラトランジスタ102と抵抗138、141は、抵抗内蔵トランジスタのRN1404でも代用できる。このように本実施例によれば、コンパレータを使用せず2つの安価なトランジスタを用いることでコストを低減した構成とすることができる。
【0037】
このように本実施例によれば、排紙センサのフォトインタラプタのように応答速度の速い信号線を使って専用の信号線を追加することなく複数の基板の種類を判別できる。更に生産開始後に機能追加やコストの低減を実施した場合に、信号線を新たに追加することなく、変更前後の基板を区別できるので、変更前の生産品に影響を与えずに機能追加やコスト低減ができる。すなわち、速い検知が必要なフォトインタラプタに適用でき、専用の信号線を設けることなく基板の種類を判別し、コストを低減することができる。
【0038】
[その他の実施例]
実施例1〜3では、高圧電源装置202の基板上にフォトインタラプタ436が実装されている構成とした。しかし、フォトインタラプタ436は高圧電源装置202の基板上に実装されている必要はなく、フォトインタラプタ436の検知信号が伝送される信号線が、高圧電源装置202を経由してMPU207のDI1ポートに接続される構成であればよい。このような構成でも、フォトインタラプタ436の検知信号を伝送する信号線を用いて高圧電源装置202の基板の種類を示す論理信号を伝送することができ、実施例1〜3と同様の効果を得ることができる。
また、実施例1〜3では、定着排紙センサ436から出力される検知信号を伝送する信号線を介して、基板の種類を示す論理信号をMPU207に出力する構成とした。しかし、例えばレジ前センサ408から出力される検知信号を伝送する信号線を介して、基板の種類を示す論理信号をMPU207に出力する構成としてもよい。電源投入時にレジ前センサ408に記録紙35が滞留していた場合は記録紙35を除去した後に基板の判別処理を行うことで、実施例1〜3と同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施例1〜3は、それぞれ単独で説明したものの、これらの実施例は、適宜組み合わされても良い。
【符号の説明】
【0039】
201 DCコントローラ
202 高圧電源装置
207 MPU
436 フォトインタラプタ
437 低圧電源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段を含む第一回路を有する第一回路基板と、前記制御手段からの信号により制御される第二回路を有する第二回路基板と、を備え、電源の供給を開始した際に前記第二回路基板の種類を判別可能な画像形成装置であって、
記録紙の有無を検知して検知信号を出力する検知手段と、
前記検知手段が出力した検知信号を前記第二回路基板から前記制御手段に伝送するための信号線と、を備え、
前記第二回路基板は、基板の種類を示す論理信号を、前記信号線を介して前記制御手段に出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電源の電圧を直流電圧に変換し、変換した前記直流電圧を前記第二回路基板の前記第二回路に供給する第三回路基板を備え、
前記第二回路基板は、前記検知手段が出力する検知信号が第1の値であり、かつ前記第三回路基板からの前記直流電圧の供給が遮断された場合に、第2の値の論理信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電源の電圧を直流電圧に変換し、変換した前記直流電圧を前記第二回路基板の前記第二回路に供給する第三回路基板を備え、
前記第二回路基板は、前記検知手段が出力する検知信号が第1の値であり、かつ前記第三回路基板から前記直流電圧が供給されている場合に、パルス信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第二回路基板は、クロック回路を有し、
前記クロック回路は、前記パルス信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記クロック回路は、前記第二回路基板の種類に応じた周波数のパルス信号を出力することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第三回路基板は、低圧電源装置であることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知手段は、記録紙が有りのときと、記録紙が無しのときで夫々異なるレベルの検知信号を出力するフォトインタラプタであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第一回路基板は、画像形成部の動作を制御するエンジン制御部を有するエンジン制御基板であり、
前記制御手段は、前記信号線により伝送された論理信号に基づき、前記画像形成部の画像形成条件を切り換えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第二回路基板は、画像形成部に高電圧を供給する高圧電源装置であり、
前記制御手段は、前記信号線により伝送された論理信号に基づき、前記高圧電源装置の制御を切り換えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−98370(P2012−98370A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244002(P2010−244002)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】