説明

画像形成装置

【課題】制御が複雑になることを防止し、設定を書込むために必要な記憶容量を低減させても、複数ページの印刷出力の速度が低下することを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】情報記憶部は、設定データ並びにアドレス空間上の設定データの開始アドレス及び終了アドレスを、設定に対応する情報として記憶する。記憶制御部は、画像処理モジュールが動作中であると判断された場合には、情報を情報記憶部に記憶させ、情報記憶部が情報を記憶した後に、動作中であった画像処理モジュールが動作中でなくなったと判断された場合には、情報に基づいて設定記憶部に設定データを記憶させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ページ毎に設定を変更して画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の画像処理に対する設定を内部のレジスタにそれぞれ格納し、レジスタに格納した設定に応じてそれぞれの画像処理を行う画像形成装置が知られている。また、複数ページの連続印刷を行う場合に、現ページの印刷と次ページの印刷との間に設定を行うことが知られている。また、現ページの印刷中に次ページの印刷設定に関する情報をFIFOに書き込む画像形成装置も公知である。
【0003】
例えば、特許文献1には、現ページの印刷中に次ページの印刷設定に関する情報を格納するためのFIFOに、次ページの書込みデータ、アドレス、アクセス(Byte/Word)を記憶させる画像形成装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、階調処理回路が内部のレジスタにインデックステーブル及び階調処理テーブルを格納して階調処理を行う画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像に対して施す画像処理の数が増加すると、画像処理に対する設定が多くなる。複数ページの印刷出力の速度を低下させずに設定を書込むためには、制御が複雑になってしまうという問題があった。また、画像処理に対する設定が多くなると、設定を書込むために必要な記憶容量が大きくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、制御が複雑になることを防止し、設定を書込むために必要な記憶容量を低減させても、複数ページの印刷出力の速度が低下することを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像処理に対する設定を示す設定データを予め定められたアドレス空間上に記憶する設定記憶部を備え、画像データに対して前記設定データに応じた画像処理をそれぞれ行う複数の画像処理モジュールと、前記画像処理モジュールが動作中であるか否かを判断する判断部と、前記設定データ並びに前記アドレス空間上の前記設定データの開始アドレス及び終了アドレスを、前記設定に対応する情報として記憶する情報記憶部と、前記画像処理モジュールが動作中であると判断された場合には、前記情報を前記情報記憶部に記憶させ、前記情報記憶部が前記情報を記憶した後に、動作中であった前記画像処理モジュールが動作中でなくなったと判断された場合には、前記情報に基づいて前記設定記憶部に前記設定データを記憶させるよう制御する記憶制御部と、前記画像処理モジュールが処理した画像データに応じて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御が複雑になることを防止し、設定を書込むために必要な記憶容量を低減させても、複数ページの印刷出力の速度が低下することを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態にかかる画像形成装置の概要を示すブロック図である。
【図2】図2は、画像処理ASICの詳細及びその周辺の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、画像処理ASICにおける各画像処理モジュール間の画像インターフェース信号の一例である。
【図4】図4は、図3に示した各信号の動作タイミング例を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、I/F部が入出力する信号を例示する概念図である。
【図6】図6は、エンジンCPUの画像処理ASICに対するライトアクセスのタイミング例を示すタイミングチャートである。
【図7】図7は、I/F部及び各画像処理モジュールの構成を概念的に示すブロック図である。
【図8】図8は、ライトアクセス記憶部の構成を例示するブロック図である。
【図9】図9は、アクセス制御部の構成を例示するブロック図である。
【図10】図10は、画像処理ASICのアドレスマップの一例である。
【図11】図11は、アクセス制御部の動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は、ライトアクセス記憶部及び各画像処理モジュールの動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
【図13】図13は、連続ページ印刷を行うための設定動作を例示するシーケンス図である。
【図14】図14は、実施の形態にかかる複合機などの画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、実施の形態にかかる画像形成装置1の概要を示すブロック図である。図1に示すように、画像形成装置1は、コントローラ10及びエンジン部60を有する。
【0011】
コントローラ10は、CPU11と、システムメモリ12と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有する。
【0012】
CPU11は、画像形成装置1全体の制御、及びプリント画像の生成などを行う。システムメモリ12は、CPU11によるプログラム実行のワークエリアなどに用いられる記憶領域であり、画像データやDMAC(Direct Memory Access Controller)のディスクリプタなどを記憶する。
【0013】
ASIC16は、CPU11の制御により、システムメモリ12及びHDD18にアクセスし、エンジン部60に対してデータの送受を行う。HDD18は、CPU11が実行するプログラム、及び画像データなどを記憶する。
【0014】
エンジン部60は、画像処理ASIC61、スキャナ62、エンジンCPU64、書込み制御ASIC66及びプロッタ68を有する。エンジン部60は、スキャナ62が読み取った画像の処理、及びプロッタ68が出力する画像の処理を行い、用紙などの記録媒体に画像を形成する。
【0015】
スキャナ62は、原稿に対するランプ照射の反射光を図示しないCCD(Charge Coupled Device)でRGB(Red-Green-Blue color model)画像データ信号に変換して出力する。画像処理ASIC61は、PCIe(PCI Express)などの汎用インターフェースを介してコントローラ10と接続されており、スキャナ62が読み取った画像に対して後述する補正処理などの画像処理を行い、コントローラ10に対して出力する。また、画像処理ASIC61は、コントローラ10から画像データを受入れ、後述する階調処理などの画像処理を行い、書込み制御ASIC66に対して出力する。
【0016】
書込み制御ASIC66は、プロッタ68の図示しないポリゴンモータ及びレーザーダイオードなどの制御、画像処理ASIC61に対して出力する同期信号の生成、及びプロッタ68に対する画像データの出力を行う。プロッタ68は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色の画像を担持する図示しない感光体ドラムを備え、4色の画像を記録媒体上に重畳させるよう制御する重畳制御部680を有する。プロッタ68は、書込み制御ASIC66から受入れた画像データに応じて、用紙などの記録媒体に4色の画像を重畳させて形成する。エンジンCPU64は、エンジン部60を構成する各部を制御する。
【0017】
次に、画像処理ASIC61について詳述する。図2は、画像処理ASIC61の詳細及びその周辺の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理ASIC61は、第1モジュール610、第2モジュール612、第3モジュール614、第4モジュール616、PCIe制御部618、第5モジュール620、第6モジュール622、第7モジュール624、第8モジュール626及びインターフェース部(I/F部)628を有する。
【0018】
第1モジュール610は、スキャナ62が読み取った画像データを受入れ、第2モジュール612における内部処理に適した形式に変換し、第2モジュール612に対して出力する(スキャナI/F部)。
【0019】
第2モジュール612は、第1モジュール610から受入れた画像データ(スキャナ画像)に対してCCDラインずれの補正及び光量むらの補正を行い第3モジュール614に対して出力する(ライン間補正/シェーディング補正部)。
【0020】
第3モジュール614は、第2モジュール612から受入れた画像データに対してγ特性の補正及びMTF(Modulation Transfer Function)の補正などを行い第4モジュール616に対して出力する(スキャナγ/フィルタ部)。
【0021】
第4モジュール616は、第3モジュール614から受入れたRGB画像データをCMYK画像データに変換し、色補正、UCR(下色除去)及びUCA(下色追加)などの処理を行い、PCIe制御部618に対して出力する(色補正/UCR/UCA部)。
【0022】
PCIe制御部618は、第4モジュール616から受入れた画像データ(スキャナ画像)をコントローラ10に対して出力する制御、及びコントローラ10からの画像データ(プロッタ画像)の読み出し制御を行う。
【0023】
第5モジュール620は、コントローラ10から受入れたプロッタ画像をプロッタ68の解像度に合わせるように変換し、第6モジュール622に対して出力する(解像度変換部)。
【0024】
第6モジュール622は、第5モジュール620から受入れたプロッタ画像に対してセンタリングや出力画像サイズの調整を行い、第7モジュール624に対して出力する(シフト部)。
【0025】
第7モジュール624は、第6モジュール622から受入れたプロッタ画像に対してプリンタ出力γ特性の補正及び多値画像の階調処理を行う(プリンタγ/階調処理部)。
【0026】
第8モジュール626は、第7モジュール624から受入れたプロッタ画像に対し、書込み制御ASIC66への制御信号の生成及びデータのパッキングなどを行い、書込み制御ASIC66に対して出力する(プリンタI/F部)。
【0027】
I/F部628は、エンジンCPU64からのアクセスを各画像処理モジュール(第1モジュール610、第2モジュール612、第3モジュール614、第4モジュール616、PCIe制御部618、第5モジュール620、第6モジュール622、第7モジュール624及び第8モジュール626)に分配するモジュールである(エンジンCPU I/F部)。
【0028】
以下、第1モジュール610〜第8モジュール626及びPCIe制御部618を単に各画像処理モジュールと略記することがある。また、各画像処理モジュールのいずれか1つを特定することなく示す場合には、単に画像処理モジュールと記すことがある。
【0029】
さらに、第1モジュール610、第2モジュール612、第3モジュール614及び第4モジュール616を介して、スキャナ62が出力した画像データをPCIe制御部618へ送るパスをスキャナパスと記すことがある。また、第5モジュール620、第6モジュール622、第7モジュール624及び第8モジュール626を介して、PCIe制御部618が出力した画像データを書込み制御ASIC66へ送るパスをプロッタパスと記すことがある。
【0030】
図3は、画像処理ASIC61における各画像処理モジュール間の画像インターフェース信号の一例である。図4は、図3に示した各信号の動作タイミング例を示すタイミングチャートである。fgateは、副走査方向の画像領域を示す制御信号である。lsyncは、主走査の同期を取るための制御信号である。lgateは、主走査方向の画像領域を示す制御信号である。dataは、画像データである。なお、図3において、入力信号には_iが、出力信号には_oが信号名に付してある。
【0031】
各画像処理モジュールは、受け入れた画像データに対し、受け入れた制御信号(上記入力信号)に応じてそれぞれ画像処理を行い、後段の画像処理モジュールへ制御信号及び画像処理後の画像データを出力する。また、各画像処理モジュールは、fgateをI/F部628に対しても出力する。
【0032】
図5は、I/F部628が入出力する信号を例示する概念図である。図5において、I/F部628の左側に示された信号は、I/F部628が画像処理ASIC61の外部端子を介してエンジンCPU64との間で送受する信号である。I/F部628がエンジンCPU64との間で送受する信号には、例えば、アドレス(addr_i)、ライトイネーブル(we_i)、ライトデータ(wdata_i)、リードイネーブル(re_i)、リードデータ(rdata_o)及び割り込み(irq_o)がある。
【0033】
また、I/F部628の右側に示された信号は、I/F部628が各画像処理モジュールとの間で送受する信号である。I/F部628が各画像処理モジュールとの間で送受する信号には、共通信号と、個別に画像処理モジュールと送受する信号とがある。
【0034】
例えば、I/F部628が送受する共通信号には、アドレス(addr_o)、リードイネーブル(re_o)、ライトイネーブル(we_o)及びライトデータ(wdata_o)がある。また、I/F部628が個別に画像モジュールと送受する信号には、アドレスをデコードして各画像処理モジュール毎に生成されるチップセレクト信号(cs1_o、cs2_o、・・・csn_o)と、各画像処理モジュールから入力されるリードデータ(rdata1_i、rdata2_i、・・・rdatan_i)、副走査方向画像領域信号(fgate1_i、fgate2_i、・・・fgaten_i)がある。なお、図5において、入力信号には_iが、出力信号には_oが信号名に付してある。
【0035】
図6は、エンジンCPU64の画像処理ASIC61に対するライトアクセスのタイミング例を示すタイミングチャートである。エンジンCPU64から画像処理ASIC61に対する書込み(レジスタライトアクセス)が非同期である場合、図6に示すように、セットアップ期間(Tsu)、ライトイネーブル期間(Twe)、ホールド期間(Tho)、及びディスエーブル期間(Tcw)が必要になる。つまり、エンジンCPU64は、画像処理ASIC61に対して連続してライトアクセスする場合であっても、1回のライトアクセスには数クロックが必要である。
【0036】
図7は、I/F部628及び各画像処理モジュールの構成を概念的に示すブロック図である。図7に示すように、I/F部628は、アクセス制御部630、ライトアクセス記憶部632及び割り込み制御部634を有する。
【0037】
アクセス制御部630は、エンジンCPU64からのアクセスに応じて、各画像処理モジュール及びライトアクセス記憶部632に対してアクセス制御信号を生成して出力する。ライトアクセス記憶部632は、アクセス制御部630の制御に応じて動作する情報記憶部である。例えば、ライトアクセス記憶部632は、画像処理モジュールが動作中である場合、図8を用いて後述するようにエンジンCPU64からのライトアクセスを保持する。割り込み制御部634は、エンジンCPU64への割り込み信号出力の制御を行う。
【0038】
各画像処理モジュールは、それぞれレジスタ制御部700、処理部702及び制御信号生成部704を有する。レジスタ制御部700は、内部に設定記憶部としてのレジスタ701を有する。レジスタ制御部700は、処理部702が行う画像処理のモードやパラメータ(設定データ)をレジスタ701に保持することにより設定し、設定データに応じて処理部702を制御する。各画像処理モジュールが有するレジスタ701それぞれは、設定データを記憶するアドレスが図10を用いて後述するアドレスマップ(アドレス空間)上に予め定められている。
【0039】
処理部702は、画像処理モジュールが受け入れた画像データに対し、レジスタ制御部700が設定したモードやパラメータ(設定データ)に基づいて画像処理を行い、処理後の画像データを後段の画像処理モジュールに対して出力する。制御信号生成部704は、前段の画像処理モジュールから受入れた制御信号(図3参照)に応じて、処理部702の画像処理による画素遅延を反映した制御信号を生成し、後段の画像処理モジュール及びI/F部628に対して出力する。
【0040】
図8は、ライトアクセス記憶部632の構成を例示するブロック図である。図8に示すように、ライトアクセス記憶部632は、アドレス記憶部632a及びデータ記憶部632bを有する。アドレス記憶部632aは、エンジンCPU64からの一連のライトアクセスにおける開始アドレス及び終了アドレスを保持する。ここで、ライトアクセスにおける開始アドレス及び終了アドレスとは、レジスタ701それぞれに対して予め定められたアドレス空間上に記憶されるライトデータ(設定データ)の実際の開始アドレス及び終了アドレスを示している。データ記憶部632bは、ライトアクセスにおけるライトデータ(設定データ)を保持する。つまり、データ記憶部632bが記憶する設定データ毎に、アドレス記憶部632aが設定データに対応する開始アドレス及び終了アドレスを保持する。
【0041】
図9は、アクセス制御部630の構成を例示するブロック図である。図9に示すように、アクセス制御部630は、ライトアクセス特定部630a、動作状態検出部630b、記憶制御部630c、判断部630d及びライトアクセス生成部630eを有する。
【0042】
ライトアクセス特定部630aは、エンジンCPU64から入力されるアドレス、ライトイネーブル信号と、画像処理ASIC61のアドレスマップ(図10を用いて後述)とを比較し、ライトアクセスの対象となる画像処理モジュールを特定する。
【0043】
動作状態検出部630bは、各画像処理モジュールの制御信号生成部704から副走査方向画像領域信号(fgate)を受入れ、各画像処理モジュールの動作状態及び動作終了を検出して、記憶制御部630cに対し出力する。
【0044】
記憶制御部630cは、判断部630dの判断結果に応じて、各画像処理モジュールに対する設定データを記憶させる場所を制御する。
【0045】
判断部630dは、ライトアクセス特定部630a及び動作状態検出部630bから受入れる信号に応じて、ライトアクセス(書込み)をライトアクセス特定部630aが特定した画像処理モジュールに発行(出力)するか、又はライトアクセス記憶部632にライトアクセスを記憶(保持)させるかを判断する。
【0046】
そして、記憶制御部630cは、ライトアクセス記憶部632にライトアクセスを記憶させる場合には、設定データに対応する開始アドレス及び終了アドレスを生成し、生成した開始アドレス及び終了アドレスと、設定データとをライトアクセス記憶部632に対して出力する。また、記憶制御部630cは、ライトアクセス特定部630a及び動作状態検出部630bから受入れる信号に応じて、ライトアクセス記憶部632に記憶させた開始アドレス、終了アドレス及び設定データを読み出して、ライトアクセス生成部630eに対して出力する。
【0047】
ライトアクセス生成部630eは、記憶制御部630cから開始アドレス、終了アドレス及び設定データを受入れ、設定データを書込むべき画像処理モジュールへのライトアクセス信号を生成する。そして、ライトアクセス生成部630eは、設定データを書込むべき画像処理モジュールのレジスタ制御部700に対し、生成したライトアクセス信号を出力する。
【0048】
図10は、画像処理ASIC61のアドレスマップの一例である。図10に示すように、I/F部628が使用する全体制御アドレス800と、画像処理モジュールがスキャナパスにおいて画像処理に使用するパラメータ設定アドレス802と、画像処理モジュールがプロッタパスにおいて画像処理に使用する設定アドレス804とは、同じアドレス空間にマッピングされている。
【0049】
パラメータ設定アドレス802において、第1モジュール610が使用するスキャナI/F、第2モジュール612が使用するライン補間/シェーディング補正、第3モジュール614が使用するスキャナγ/フィルタ、第4モジュール616が使用する色補正/UCR/UCAのアドレスまでは、RGBの3チャンネルの画像データが処理される。
【0050】
また、パラメータ設定アドレス802において、第4モジュール616が使用する色補正/UCR/UCA以降のアドレスでは、CMYKの4チャンネルに変換された画像データが処理される。スキャナパスにおけるパラメータ設定アドレス802では、画像データのチャンネル数が変えられても、各チャンネルの動作タイミングが共通であるため、画像処理モジュール毎にアドレスがまとめられている。
【0051】
一方、プロッタパスにおける設定アドレス804では、第5モジュール620が使用する解像度変換、第6モジュール622が使用するシフト、第7モジュール624が使用するプリンタγ/階調処理、第8モジュール626が使用するプリンタI/Fのアドレスまでは、CMYKの4チャンネル画像データが処理される。
【0052】
プロッタ68が例えばCMYKの4色の感光体ドラムを有する構成である場合、感光体ドラム間隔に応じて、画像データの読み出しから出力までのタイミングが色毎にずれる。したがって、特にプロッタ68が複数ページの画像出力をする場合、設定の書込みが可能になるタイミングが色毎にずれる。そこで、設定アドレス804は、画像処理モジュール毎ではなく、色毎(版毎)にアドレスをまとめたマッピングになっている。
【0053】
次に、アクセス制御部630の動作について説明する。図11は、アクセス制御部630の動作を示すフローチャートである。図11に示すように、ステップ10(S10)において、アクセス制御部630は、エンジンCPU64から各画像処理モジュールへのライトアクセスがあったか否かを判断する。アクセス制御部630は、ライトアクセスがあったと判断した場合(S10:Yes)にはS12の処理に進み、ライトアクセスがなかったと判断した場合(S10:No)にはS24の処理に進む。
【0054】
ステップ12(S12)において、アクセス制御部630は、ライトアクセスの対象となる画像処理モジュールが動作中であるか否か(動作状態)をfgate信号によって判断する。アクセス制御部630は、画像処理モジュールが動作していない(fgateネゲート中)と判断した場合(S12:No)にはS14の処理に進み、画像処理モジュールが動作中(fgateアサート中)であると判断した場合(S12:Yes)にはS16の処理に進む。
【0055】
ステップ14(S14)において、アクセス制御部630は、各画像処理モジュールに対してライトアクセス信号を出力する。
【0056】
ステップ16(S16)において、アクセス制御部630は、前回のライトアクセスとアドレスが連続しているか否かを判断する。アクセス制御部630は、前回のライトアクセスとアドレスが連続していると判断した場合(S16:Yes)にはS18の処理に進み、前回のライトアクセスとアドレスが連続していないと判断した場合(S16:No)にはS20の処理に進む。
【0057】
ステップ18(S18)において、アクセス制御部630は、設定データ、開始アドレス及び終了アドレスをライトアクセスとしてライトアクセス記憶部632に対して出力する。
【0058】
ステップ20(S20)において、アクセス制御部630は、前回終了アドレスをライトアクセス記憶部632に対して出力する。
【0059】
ステップ22(S22)において、アクセス制御部630は、前回終了アドレスの次のアドレスを今回開始アドレスとし、今回開始アドレスと終了アドレス及び設定データをライトアクセスとしてライトアクセス記憶部632に対して出力する。つまり、アクセス制御部630は、今回開始アドレスを含むライトアクセスをライトアクセス記憶部632に対して出力する。
【0060】
ステップ24(S24)において、アクセス制御部630は、各画像処理モジュールが出力するfgate信号のネゲートを検出したか否かを判断する。アクセス制御部630は、fgate信号のネゲートを検出したと判断した場合(S24:Yes)にはS26の処理に進み、fgate信号のネゲートを検出していないと判断した場合(S24:No)にはS10の処理に進む。
【0061】
ステップ26(S26)において、アクセス制御部630は、ライトアクセス記憶部632から例えば開始アドレスを読み出し、fgate信号のネゲートを検出した画像処理モジュールに対して書込むためにライトアクセス記憶部632が記憶しているライトアクセスがあるか否かを判断する。アクセス制御部630は、ライトアクセス記憶部632が記憶しているライトアクセスがあると判断した場合(S26:Yes)にはS28の処理に進み、ライトアクセス記憶部632が記憶しているライトアクセスがないと判断した場合(S26:No)にはS10の処理に進む。
【0062】
ステップ28(S28)において、アクセス制御部630は、開始アドレス、終了アドレスをライトアクセス記憶部632から読み出す。
【0063】
ステップ30(S30)において、アクセス制御部630は、ライトアクセス記憶部632から設定データを読み出し、S24の処理でfgate信号のネゲートを検出した画像処理モジュールに対してライトアクセス信号を出力する。
【0064】
ステップ32(S32)において、アクセス制御部630は、S30の処理で読み出した設定データについて、終了アドレスまでのライトアクセスが完了したか否かを判断する。アクセス制御部630は、終了アドレスまでのライトアクセスが完了したと判断した場合(S32:Yes)にはS34の処理に進み、その他の場合(S32:No)にはS30の処理に進む。
【0065】
ステップ34(S34)において、アクセス制御部630は、ライトアクセス記憶部632が記憶する開始アドレス及び終了アドレスをクリアする。
【0066】
次に、アクセス制御部630、ライトアクセス記憶部632及び各画像処理モジュールの動作タイミングについて詳述する。図12は、ライトアクセス記憶部632及び各画像処理モジュールの動作タイミングを例示するタイミングチャートである。
【0067】
図12に示すように、アクセス制御部630は、まずライトアクセス記憶部632のアドレス記憶部632aから、開始アドレス(Start Address:SA)と終了アドレス(End Address:EA)の組を読み出す。
【0068】
次に、アクセス制御部630は、アドレス記憶部632aから読み出した開始アドレス及び終了アドレスに基づいてライトするデータ数を算出し、算出したデータ数の一連の設定データをデータ記憶部632bから読み出す。
【0069】
アクセス制御部630は、読み出した開始アドレス、終了アドレス及び設定データから、画像処理モジュールに対するライトアドレス(設定アドレス)を生成し、ライトイネーブル(we)、チップセレクト(csn)と共にライトアドレス(addr)、ライトデータ(wdara)を画像処理モジュールに対して出力する。
【0070】
アクセス制御部630は、ライトアクセス記憶部632が記憶している設定データを読み出して各画像処理モジュールに設定データを書込む場合、1クロックにより連続書込みが可能である。また、アクセス制御部630は、内部クロックの高速化も容易であるため、書込み時間を短縮することができる。
【0071】
次に、連続ページ印刷を行うための設定動作について説明する。図13は、連続ページ印刷を行うための設定動作を例示するシーケンス図である。なお、図13においては、スキャナパス、プロッタパスのC版、M版、Y版及びK版が独立したタイミングで動作することを想定している。
【0072】
図13に示すように、ステップ100(S100)において、エンジンCPU64は、例えば第1モジュール610などの画像処理モジュールに対して1ページ目のレジスタ設定(レジスタ701に対する設定データの書込み)を開始する。なお、1ページ目のレジスタ設定では、各画像処理モジュールは、各版(色)のfgateがネゲート状態のため、エンジンCPU64からのライトアクセスのタイミングでそのまま設定データがレジスタに書き込まれる。また、プロッタパスにおいては、画像処理モジュールは、版毎に間隔を空けることなく連続してレジスタに書込みを行っても問題ない。
【0073】
ステップ102(S102)において、エンジンCPU64は、例えば第1モジュール610などの画像処理モジュールに対して1ページ目のレジスタ設定を終了させる。
【0074】
ステップ104(S104)において、画像処理モジュールは、アクセス制御部630に対してfgate信号がアサートであることを示す出力を行う。
【0075】
ステップ106(S106)において、エンジンCPU64は、アクセス制御部630を介して2ページ目のレジスタ設定を開始する。ステップ106においては、画像処理モジュールのfgate信号がアサートであるため、エンジンCPU64は、アクセス制御部630を介してアドレス記憶部632aに開始アドレスを記憶させ、データ記憶部632bに設定データを記憶させることを開始する。つまり、2ページ目のレジスタ設定は、画像処理モジュールのレジスタ701に対してはまだ行われない。
【0076】
なお、エンジンCPU64が2ページ目のレジスタ設定を開始するタイミングには制約はない。例えば、エンジンCPU64は、コントローラ10から次のページの設定データがコミュニケーション用のバッファなどを通じて送信された後に、2ページ目のレジスタ設定を開始する。通常、次のページの設定データは、現在のページの画像転送中に送信される。
【0077】
ステップ108(S108)において、エンジンCPU64は、アクセス制御部630を介して、アドレス記憶部632aに終了アドレスを記憶させ、データ記憶部632bへの設定データの書込みを終了させて、2ページ目のレジスタ設定を終了させる。
【0078】
ステップ110(S110)において、画像処理モジュールは、1ページ目の画像形成動作が終了すると、アクセス制御部630に対してfgate信号がネゲートであることを示す出力を行う。
【0079】
ステップ112(S112)において、アクセス制御部630は、S110の処理によってfgate信号がネゲートであることを判断できると、アドレス記憶部632aから開始アドレスを読み出す。
【0080】
ステップ114(S114)において、アクセス制御部630は、アドレス記憶部632aから終了アドレスを読み出す。
【0081】
ステップ116(S116)において、アクセス制御部630は、S112の処理で読み出した開始アドレスを用いて(例えばアドレスをインクリメントして生成する)、データ記憶部632bからの設定データの読み出しを開始する。
【0082】
ステップ118(S118)において、アクセス制御部630は、画像処理モジュールに対して2ページ目のレジスタ設定を開始する。
【0083】
ステップ120(S120)において、アクセス制御部630は、データ記憶部632bからの設定データの読み出しを終了する。
【0084】
ステップ122(S122)において、アクセス制御部630は、画像処理モジュールに対する2ページ目のレジスタ設定を終了させる。
【0085】
ステップ124(S124)において、アクセス制御部630は、割り込み制御部634を介して、レジスタ設定が完了したことを示す割り込みをエンジンCPU64に対して出力する。
【0086】
つまり、用紙などの記録媒体に対して1ページ目の印刷を行っている間であっても、1ページ目の印刷に対する処理動作を終えた画像処理モジュールに対しては、2ページ目の印刷に対応するレジスタ設定を開始することができる。
【0087】
図14は、実施の形態にかかる複合機などの画像形成装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。本図に示すように、この画像形成装置1は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ10は、画像形成装置1全体の制御と描画、通信、操作表示部20からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部60には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれてもよい。
【0088】
コントローラ10は、CPU11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM−P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM−C)17と、ASIC16と、HDD18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM−P12は、ROM(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、をさらに有する。
【0089】
CPU11は、画像形成装置1の全体制御を行うものであり、NB13、MEM−P12及びSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0090】
NB13は、CPU11とMEM−P12、SB14、AGPバス15とを接続するためのブリッジであり、MEM−P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0091】
MEM−P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書込み及び読み出し可能なメモリである。
【0092】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0093】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス15、PCIバス、HDD18及びMEM−C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲット及びAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)30、USB(Universal Serial Bus)40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース50が接続される。また、ASIC16は、図示しないホストPC及びネットワーク等にも接続されている。操作表示部20は、例えばタッチパネルなどであり、コントローラ10に対する入力を受け入れるとともに、画像形成装置1の状態などを表示する。また、操作表示部20は、ASIC16に直接接続されている。
【0094】
MEM−C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0095】
AGPバス15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0096】
記憶媒体19は、例えば1度の書込みが可能なCD−R(Compact Disk Recordable)などであり、記憶したプログラムやデータなどをHDD18にコピーする場合(又はHDD18からコピーする場合)などに用いられる。
【0097】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置1をコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明したが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置は、制御が複雑になることを防止し、設定を書込むために必要な記憶容量を低減させても、複数ページの印刷出力の速度が低下することを防止することに有用である。
【符号の説明】
【0099】
1 画像形成装置
10 コントローラ
16 ASIC
60 エンジン部
61 画像処理ASIC
610 第1モジュール
700 レジスタ制御部
701 レジスタ(設定記憶部)
702 処理部
704 制御信号生成部
612 第2モジュール
614 第3モジュール
616 第4モジュール
618 PCIe制御部
620 第5モジュール
622 第6モジュール
624 第7モジュール
626 第8モジュール
628 インターフェース部(I/F部)
630 アクセス制御部
630a ライトアクセス特定部
630b 動作状態検出部
630c 記憶制御部
630d 判断部
630e ライトアクセス生成部
632 ライトアクセス記憶部
632a アドレス記憶部
632b データ記憶部
634 割り込み制御部
62 スキャナ
64 エンジンCPU
66 書込み制御ASIC
68 プロッタ
680 重畳制御部
800 全体制御アドレス
802 パラメータ設定アドレス
804 設定アドレス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開2008−302583号公報
【特許文献2】特開2005−333499号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理に対する設定を示す設定データを予め定められたアドレス空間上に記憶する設定記憶部を備え、画像データに対して前記設定データに応じた画像処理をそれぞれ行う複数の画像処理モジュールと、
前記画像処理モジュールが動作中であるか否かを判断する判断部と、
前記設定データ並びに前記アドレス空間上の前記設定データの開始アドレス及び終了アドレスを、前記設定に対応する情報として記憶する情報記憶部と、
前記画像処理モジュールが動作中であると判断された場合には、前記情報を前記情報記憶部に記憶させ、前記情報記憶部が前記情報を記憶した後に、動作中であった前記画像処理モジュールが動作中でなくなったと判断された場合には、前記情報に基づいて前記設定記憶部に前記設定データを記憶させるよう制御する記憶制御部と、
前記画像処理モジュールが処理した画像データに応じて記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶制御部は、
前記画像処理モジュールが動作中でないと判断された場合には、前記設定記憶部に前記設定データを記憶させること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記情報に基づいて前記記憶制御部が前記設定記憶部に前記設定データを記憶させるよう制御することを終了した場合に、制御が終了した旨を示す割り込み信号を出力する割り込み制御部をさらに有すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、
複数の異なる色の画像を記録媒体に重畳させるよう制御する重畳制御部をさらに有し、
前記画像形成部が記録媒体に画像を形成する場合に動作する前記画像処理モジュールそれぞれが備える前記設定記憶部は、
前記重畳制御部が重畳させる画像の色毎にアドレスが連続するように、アドレス空間がマッピングされていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−103372(P2013−103372A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247392(P2011−247392)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】