説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置の製造原価上昇を抑制しつつ、離間タイミングを適切なタイミングとして異音の発生を抑制する。
【解決手段】第1ポジションのときには押圧板を上昇変位させる力が押圧板側に伝達され、第2ポジションのときには当該力の伝達が遮断された状態となる揺動部材40と、押圧板の変位に機械的に連動して回転するラチェット歯車33、及び揺動部材40に変位可能に組み付けられ、ラチェット歯車33と噛み合うことによりラチェット歯車33の回転を禁止する歯止部材34を有するラチェット機構と、第2ポジションのときには、歯止部材34をラチェット歯車33に押し当てる弾性力を歯止部材34に作用させ、第1ポジションのときには、弾性力を歯止部材34に作用させない弾性部材41とを備え、歯止部材34に弾性力が作用していないときには、歯止部材34は、揺動部材40に対して変位自在とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートトレイ等の載置部に載置された複数枚のシートを、順次、画像形成部に送出する機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、給紙トレイの上方側にピックアップローラを配設するとともに、給紙トレイに残存する用紙枚数の減少に応じて押圧板を上昇変位させることにより、給紙トレイに残存する用紙とピックアップローラとの接触面圧が大きく低下することを防止している。
【0003】
そして、特許文献1に記載の発明では、ストッパアーム等の揺動部材を揺動させることにより、押圧板を上昇変位させる力が押圧板側に伝達する場合と、当該力の伝達を遮断する場合とを切り替えている。このとき、ラチェット歯車及び歯止部材等からなる周知のラチェット機構により、上記力の伝達が遮断されているときに押圧板が下降変位することを禁止している。
【0004】
なお、以下、上記の力が押圧板側に伝達されているときの揺動部材の位置を第1ポジションという。また、上記力の伝達が遮断されているときの揺動部材の位置を第2ポジションという。
【0005】
しかし、ラチェット歯車と歯止部材とが噛み合った状態で、上記の力が押圧板側に伝達されて押圧板が上昇変位すると、押圧板の上昇変位と連動してラチェット歯車が回転するので、ラチェット歯車の歯部と歯止部材とが衝突して「カタカタ」といった異音が発生する。
【0006】
そこで、特許文献1に記載の発明では、(a)弾性部材にて歯止部材を常にラチェット歯車に押圧する構成とし、かつ、(b)揺動部材が第2ポジションから第1ポジションに揺動変位する際に、揺動部材に設けた当接部を歯止部材に衝突させて歯止部材をラチェット歯車から離間させることにより、上記異音の発生を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−153014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、揺動部材が第1ポジションになった時からラチェット歯車が歯溝幅より大きく回転すると、歯止部材がラチェット歯車の歯部を乗り越えてしまうので、ラチェット歯車の歯部と歯止部材とが衝突してしまう。
【0009】
このため、歯止部材をラチェット歯車から離間させる離間タイミングは、(A)揺動部材が第1ポジションになると同時、又は(B)揺動部材が第1ポジションになった時からラチェット歯車が歯溝幅だけ回転する前とする必要がある。
【0010】
一方、特許文献1に記載の発明において、離間タイミングは、当接部及び歯止部材の外形寸法や位置寸法、並びにラチェット歯車の歯溝幅寸法等によって決定されるので、離間タイミングを上記のタイミングとするには、当接部の外形寸法や位置寸法等のバラツキが小さくなるように、歯止部材等の製造を厳密に管理する必要ある。
【0011】
しかし、当接部の外形寸法や位置寸法等のバラツキが小さくなるように厳密に管理すると、歯止部材等の製造原価が上昇するので、画像形成装置の製造原価上昇を招いてしまう。
【0012】
本発明は、上記点に鑑み、画像形成装置の製造原価上昇を抑制しつつ、離間タイミングを適切なタイミングとして異音の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、シートに画像を形成する画像形成部(5)と、複数枚のシートが積層状態で載置される載置部(15A)と、載置部(15A)の上方側に配設され、載置部(15A)に載置されたシートに上方側から接触して当該シートを画像形成部(5)側に給送する給送ローラ(17)と、載置部(15A)に載置されたシートを上方側に変位させる押圧板(15B)と、第1ポジションと第2ポジションとの間で揺動変位する揺動部材であって、第1ポジションのときには押圧板(15B)を上昇変位させる力が押圧板(15B)側に伝達され得る状態となり、第2ポジションのときには当該力の伝達が遮断された状態となる揺動部材(40)と、押圧板(15B)が下降変位することを禁止するラチェット機構であって、押圧板(15B)の変位に機械的に連動して回転するラチェット歯車(33)、及び揺動部材(40)に変位可能に組み付けられ、ラチェット歯車(33)と噛み合うことによりラチェット歯車(33)の回転を禁止する歯止部材(34)を有するラチェット機構(35)と、第2ポジションのときには、歯止部材(34)をラチェット歯車(33)に押し当てる弾性力を歯止部材(34)に作用させ、第1ポジションのときには、弾性力を歯止部材(34)に作用させない弾性部材(41)とを備え、歯止部材(34)に弾性力が作用していないときには、歯止部材(34)は、揺動部材(40)に対して変位自在であることを特徴とする。
【0014】
そして、本発明では、揺動部材(40)が第2ポジションであるときには、歯止部材(34)に弾性力が作用しているので、ラチェット歯車(33)と歯止部材(34)とが噛み合った状態を確実に保持できる。
【0015】
また、本発明においては、揺動部材(40)が第1ポジションであるときには、歯止部材(34)に弾性力が作用しておらず、かつ、歯止部材(34)が揺動部材(40)に対して変位自在である。
【0016】
このため、ラチェット歯車(33)と回転すると、これと同時に、歯止部材(34)は、ラチェット歯車(33)の回転力を受けてラチェット歯車(33)から離間する。つまり、本発明では、揺動部材(40)が第1ポジションになると、ほぼ同時に歯止部材(34)がラチェット歯車(33)から離間する。
【0017】
したがって、本発明は、揺動部材(40)に上記当接部を設けことなく、離間タイミングを適切なタイミングとすることができるので、画像形成装置の製造原価上昇を抑制しつつ、異音の発生を抑制することができる。
【0018】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の中央断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るピックアップローラ17及び分離ローラ19の周囲を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る上昇機構30の斜視図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係るクラッチ機構36の分解斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る上昇機構30の斜視図である。
【図6】(a)は歯止部材34の正面図であり、(b)は揺動部材40の正面図であり、(c)は係合アーム37の正面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る上昇機構30の作動説明図である。
【図8】本発明の実施形態に係る上昇機構30の作動説明図である。
【図9】本発明の実施形態に係る上昇機構30の作動説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係る上昇機構30の作動説明図である。
【図11】(a)及び(b)は、歯止部材34の作動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に説明する「発明の実施形態」は実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的手段や構造等に限定されるものではない。
【0021】
そして、本実施形態は、電子写真方式の画像形成装置に本発明を適用したものである。以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
1.画像形成装置の概略構造
画像形成装置1の筐体3内には、図1に示すように、記録用紙やOHPシート等のシートに現像剤像を転写することにより、シートに画像を形成するモノクロ方式の画像形成部5が収納されている。
【0022】
なお、本実施形態に係る画像形成部5は、現像ユニットをなすプロセスカートリッジ7、感光ドラム7Aを露光する露光器9、感光ドラム7Aに形成された現像剤像をシートに転写させる転写ローラ11、及びシートに転写された現像剤像を加熱して定着させる定着器13等から構成されている。
【0023】
また、給紙トレイ15は、画像形成部5に搬送されるシートが積層された状態で載置される載置部15Aを有する。そして、給紙トレイ15は、装置本体、つまり筐体3に対して着脱可能に装着されている。なお、本実施形態では、給紙トレイ15を装置本体に対して前後方向に移動させることにより、給紙トレイ15を装置本体に対して着脱することができる。
【0024】
そして、載置部15Aに載置されているシートは、ピックアップローラ17により画像形成部5に向けて搬出された後、分離ローラ19及び分離パッド21により1枚ずつ分離されて画像形成部5に搬送される。
【0025】
ピックアップローラ17は、装置本体のうち給紙トレイ15の上方側に配設されている。そして、ピックアップローラ17は、載置部15Aに載置されたシートに上方側から接触して当該シートを画像形成部5側に給送する。
【0026】
分離パッド21は、分離ローラ19と対向する位置に配設されてシートに搬送抵抗を付与する。一方、分離ローラ19はシートに接触して回転することによりシートに搬送力を付与する。このため、ピックアップローラ17から画像形成部5側に複数枚のシートが送出された場合であっても、それらシートが分離されて1枚ずつ画像形成部5に搬送される。
【0027】
また、分離ローラ19から搬出されたシートは、搬送ローラ23にて搬送されながら、その搬送方向が搬送シュート23Aにより上方側に折り返すように転向させられる。その後、シートは、一対のレジストローラ25にて姿勢が矯正された後、所定のタイミングにて画像形成部5に送り込まれる。
【0028】
ところで、ピックアップローラ17と分離ローラ19とは、図2に示すように、ローラホルダ27Aを介して一体化されてローラユニット27が構成されている。そして、分離ローラ19の軸端のうち駆動軸19Aと同一側には、分離ローラ19と一体的に回転する駆動歯車19Bが設けられている。
【0029】
また、ピックアップローラ17の軸端のうち駆動歯車19Bと同一側には、ピックアップローラ17と一体的に回転する従動歯車が設けられている。なお、図2においては、従動歯及び駆動軸19Aに駆動力を供給する電動モータ等の駆動源は図示されていない。
【0030】
そして、ローラホルダ27Aには、駆動歯車19B及び前記従動歯車と噛み合う中間歯車27Bが回転可能に組み付けられている。このため、駆動軸19Aが回転して分離ローラ19が回転すると、中間歯車27Bを介して駆動歯車19Bから従動歯車に回転力が伝達されてピックアップローラ17が回転する。
【0031】
なお、ローラホルダ27Aは、分離ローラ19の軸線を回転中心として回転可能であり、中間歯車27Bは、ローラホルダ27Aに回転可能に支持されている。このため、ピックアップローラ17がシートに接触していない状態、つまりローラホルダ27Aが自由に回転可能な状態において、分離ローラ19が回転すると、ピックアップローラ17は、回転することなくローラホルダ27Aと共に分離ローラ19周りを旋回する。
【0032】
そして、ピックアップローラ17がシートに接触してローラホルダ27Aの回転が規制されると、中間歯車27Bがローラホルダ27Aに対して回転し始めるので、ピックアップローラ17が回転し始める。このように、本実施形態では、分離ローラ19に回転力が伝達されると、ピックアップローラ17は、載置部15Aに載置されたシートの上面に接触する位置まで旋回移動した後、回転し始める。
【0033】
また、ローラホルダ27Aのうちピックアップローラ17側には、駆動軸19Aと略平行な方向に延びるローラ揺動アーム27Cが揺動可能に連結されている。このローラ揺動アーム27Cは、その長手方向中間部が装置本体に対して揺動可能に支持されている。そして、ローラ揺動アーム27Cの長手方向一端側は、ローラホルダ27Aに連結され、長手方向他端側は、給紙トレイ15の幅方向外側まで延びている。
【0034】
このため、ピックアップローラ17、つまりローラホルダ27Aが載置部15A側に旋回変位すると、ローラ揺動アーム27Cは、揺動中心27Dを中心として、長手方向一端側が下方側に移動し、長手方向他端側が上方側に変位するように揺動する。
【0035】
なお。幅方向とは、ピックアップローラ17によるシートの給送方向及び載置部15Aに載置されたシートの厚み方向と直交する方向をいう。そして、本実施形態では、左右方向が幅方向となる。
【0036】
ところで、給紙トレイ15の底部には、図1に示すように、載置部15Aに載置されたシートを上方側、つまりピックアップローラ1717側に変位させる押圧板15Bが設けられている。この押圧板15Bは、載置部15Aに載置されているシート枚数の減少に応じて上方側に揺動変位する。これにより、ピックアップローラ17とシートとの接触面圧が一定の範囲内に維持されるため、ピックアップローラ17の給送不良が抑止される。
【0037】
2.押圧板の上昇機構
2.1 クラッチ機構
押圧板15Bを上昇させる上昇機構30は、図3に示すように、複数の歯車等を有して構成されている。そして、上昇機構30は、ローラ揺動アーム27Cの長手方向他端側が上方側に変位したときに、押圧板15Bを上昇変位させる扇形歯車を予め設定された角度だけ回転させて押圧板15Bを上昇変位させる。なお、扇形歯車は、図3に図示されていない。
【0038】
入力歯車31は、前記電動モータから駆動力が供給され、電動モータの回転に同期して回転する。このため、入力歯車31は、ピックアップローラ17の位置、つまり押圧板15Bを上昇変位させるときであるか否かを問わず、前記電動モータが回転しているときには回転する。
【0039】
出力歯車32は、前記扇形歯車側に駆動力を出力する出力部である。このため、出力歯車32が回転すると、押圧板15Bが上昇変位する。ラチェット歯車33は、歯止部材34と共にラチェット機構35を構成する。
【0040】
なお、ラチェット機構とは、周知のごとく、ラチェット歯車33と歯止部材34とが噛み合うことにより、ラチェット歯車33が一の向きに回転することを許容し、他の向きに回転することを禁止する機構である。
【0041】
そして、ラチェット歯車33と出力歯車32とは一体的に回転するので、ラチェット歯車33の回転は、押圧板15Bの変位に機械的に連動することなる。したがって、本実施形態では、ラチェット機構35により、押圧板15Bが下降変位することが禁止され、押圧板15Bが上昇変位することは許容される。因みに、ラチェット歯車33と歯止部材34との噛み合いが解除されたときには、押圧板15Bは下降変位可能な状態となる。
【0042】
また、入力歯車31から出力歯車32に至る駆動力の断続は、本実施形態では、遊星歯車機構を利用したクラッチ機構36により行われる。なお、クラッチ機構36及びラチェット歯車33は、装置本体に回転可能に組み付けられている。
【0043】
そして、クラッチ機構36は、図4(a)に示すように、太陽歯車36A、内歯車36B、遊星歯車36C及び保持器36D等を有して構成されている。太陽歯車36Aは入力歯車31から駆動力を得て回転する。
【0044】
なお、本実施形態では、太陽歯車36Aは、入力歯車31と同軸上に配置された状態で入力歯車31と共に樹脂にて一体成形されている。このため、太陽歯車36Aは、前記電動モータと同期して回転する。
【0045】
内歯車36Bは、その回転中心線が太陽歯車36Aの回転中心線と一致し、かつ、円筒状の内周面に遊星歯車36Cと噛み合う歯部が形成された歯車である。そして、内歯車36Bから出力歯車32に駆動力が伝達される。
【0046】
なお、本実施形態では、内歯車36B、ラチェット歯車33及び出力歯車32は、互いに同軸上に配置された状態で樹脂にて一体成形されている。このため、内歯車36Bが回転すると、出力歯車32が回転するので、押圧板15Bが変位する。
【0047】
遊星歯車36Cは、内歯車36Bの内側に配設されて太陽歯車36A及び内歯車36Bと噛み合う歯車である。なお、本実施形態では、太陽歯車36Aを挟んで対称の位置に2つの遊星歯車36Cを配設している。
【0048】
保持器36Dは、図4(b)に示すように、太陽歯車36Aの回転中心に対して各遊星歯車36Cを旋回可能としながら、それら遊星歯車36Cを回転可能に保持する。具体的には、保持器36Dは、各遊星歯車36Cを回転可能に保持する保持軸36E、及びこれら保持軸36Eを太陽歯車36Aの回転中心に対して旋回可能とする支持する保持プレート36F等を有している。
【0049】
したがって、太陽歯車36Aが回転している状態で、保持器36Dの回転を許容すると、出力歯車32、つまり内歯車36Bの回転抵抗が保持器36Dの回転抵抗に比べて大きいため、一対の遊星歯車36Cは、太陽歯車36Aの周りを旋回するのみで、内歯車36Bに駆動力を伝達しない。このため、入力歯車31から出力歯車32への駆動力の伝達が遮断される。
【0050】
一方、太陽歯車36Aが回転している状態で、保持器36Dの回転を禁止すると、内歯車36Bの回転抵抗が保持器36Dの回転抵抗に比べて小さくなるため、一対の遊星歯車36Cは、太陽歯車36Aの周り旋回することなく、その位置で回転する。このため、内歯車36Bに駆動力が伝達されるので、入力歯車31から出力歯車32へ駆動力が伝達される。
【0051】
2.2 クラッチ機構の制御
<クラッチ機構の詳細>
保持器36Dの保持プレート36Fには、図4に示すように、円筒状の外周面に複数の突起が設けられた係合部36Gが設けられている。そして、係合部36Gと係合する係合アーム37が、図5に示すように、装置本体に組み付けられている。この係合アーム37は、係合部36Gと係合するポジションと係合部36Gから離間したポジションとの間で変位可能である。
【0052】
係合アーム37は、図6(c)に示すように、係合部36Gの突起と係合する爪部37A、及び装置本体に設けられた揺動軸3Aが挿入される軸受部37Bが設けられている。このため、係合アーム37は、軸受部37Bを中心として上記2種類のポジション間を揺動する。
【0053】
また、係合アーム37の揺動は、図5に示すように、外周面にカム面38Aが設けられカム筒38により機械的に制御されている。
すなわち、係合アーム37には、カム面38Aに摺接する従節部37C、及びバネ37Dの一端側が連結されるバネフック37Eが設けられている。そして、バネ37Dは、他端側が装置本体に固定された状態で、従節部37Cをカム筒38側に押圧する力、及び爪部37Aを係合部36G側に押圧する向きの力を係合アーム37に作用させている。
【0054】
このため、カム筒38が回転すると、従節部37Cがカム面38Aの円筒部Aと接触しているときには、図7に示すように、爪部37Aは係合部36Gから離間したポジションとなる。一方、従節部37Cがカム面38Aの切欠部Bの領域にあるときには、図8に示すように、爪部37Aと係合部36Gとが係合した状態となる。
【0055】
つまり、従節部37Cがカム面38Aの円筒部Aと接触しているときには、保持器36Dの回転が許容されて入力歯車31から出力歯車32への駆動力の伝達が遮断された状態となる。一方、従節部37Cがカム面38Aの切欠部Bの領域にあるときには、保持器36Dの回転が禁止されて入力歯車31から出力歯車32への駆動力の伝達が可能な状態となる。
【0056】
また、カム筒38の軸方向一端側には、図3に示すように、カム筒38と一体的に回転するカム歯車38Bが設けられている。このカム歯車38Bは、図7に示すように、入力歯車31と噛み合う歯が設けられた歯部38C、及び歯が設けられていない欠歯部38D等からなる欠歯歯車である。
【0057】
そして、捻りバネ等のバネ38Eは、図3の二点鎖線の矢印で示すように、カム歯車38Bを回転させる向きの力を常に作用させている。一方、カム筒38の外周面には、図3に示すように、カムストッパアーム39と係合する突起部38Fが設けられている。
【0058】
カムストッパアーム39は、突起部38Fと係合することにより、バネ38Eの弾性力に対向してカム歯車38Bが回転することを阻止するカム筒制御部である。このカムストッパアーム39は、突起部38F、つまりカム筒38の外周面から離間したポジションと当該外周面に近接又は接触して突起部38Fと係合するポジションとの間で変位することができるように装置本体に組み付けられている。
【0059】
そして、バネ39Aは、図5に示すように、カムストッパアーム39を突起部38F側に揺動させる力をカムストッパアーム39に作用させている。一方、ローラ揺動アーム27Cは、その長手方向他端側が予め設定された位置より上方側に変位したときに、カムストッパアーム39をカム筒38の外周面から離間させる向きの力をカムストッパアーム39に作用させる。
【0060】
<クラッチ機構の作動>
ローラ揺動アーム27Cの長手方向他端側が予め設定された位置より上方側に変位したときに、つまり、ピックアップローラ17が予め設定された位置より下方側に変位したときには、図8に示すように、カムストッパアーム39と突起部38Fとの係合が解除される。このため、バネ38Eの弾性力により、カム筒38及びカム歯車38Bが回転し始める。
【0061】
そして、従節部37Cがカム面38Aの切欠部Bの領域に移動するため、保持器36Dの回転が禁止されて入力歯車31から出力歯車32への駆動力の伝達が可能な状態となる。したがって、押圧板15Bが上昇変位し始める。
【0062】
そして、カム筒38及びカム歯車38Bの回転が進行すると、図9に示すように、カム歯車38Bの歯部38Cと入力歯車31とが噛み合うため、入力歯車31から駆動力を得てカム筒38及びカム歯車38Bが回転する。なお、このときも、従節部37Cが切欠部Bに位置しているので、押圧板15Bは上昇し続ける。
【0063】
また、図9に示す状態から更にカム筒38及びカム歯車38Bの回転が進行すると、図10に示すように、従節部37Cが円筒部Aの領域に移動し始めるので、爪部37Aが係合部36Gから離間し、保持器36Dの回転が許容されて入力歯車31から出力歯車32への駆動力の伝達が遮断された状態となる。したがって、押圧板15Bの上昇変位が停止する。
【0064】
そして、カム筒38及びカム歯車38Bの回転が進行すると、カム歯車38Bの欠歯部38Dと入力歯車31とが面するとともに、カムストッパアーム39と突起部38Fとが係合するため、図7に示すように、カム筒38及びカム歯車38Bの回転が停止する。
【0065】
以上のように、ピックアップローラ17が予め設定された位置より下方側に変位したときには、カム筒38及びカム歯車38Bが、図8→図9→図10→図7の順で回転することにより、押圧板15Bが予め設定された所定量だけ上昇変位する。
【0066】
2.3 ラチェット機構
<ラチェット機構の概略作動>
ラチェット機構35は、入力歯車31から出力歯車32への駆動力の伝達が遮断されているときには、ラチェット歯車33と歯止部材34とが噛み合うことにより、押圧板15Bの下降変位を禁止する。
【0067】
そして、入力歯車31から出力歯車32へ駆動力が伝達されて押圧板15Bが上昇変位しているときには、ラチェット歯車33と歯止部材34との噛み合いが解除されて歯止部材34がラチェット歯車33と接触しない位置まで離間する。
【0068】
<ラチェット機構の構成>
ラチェット歯車33は、クラッチ機構36の内歯車36Bに一体化されている。歯止部材34は、図6(a)に示すように、爪部34A、軸受部34B及び腕部34C等を有して構成されている。
【0069】
軸受部34Bは、装置本体に設けられた揺動軸3Aが挿入される部位である。腕部34Cは、軸受部34B、つまり揺動軸3Aからラチェット歯車33側に延びるアームである。爪部34Aは、腕部34Cの延び方向先端側に設けられ、入力歯車31から出力歯車32への駆動力の伝達が遮断されているときにラチェット歯車33と噛み合う係合部である。なお、爪部34A、軸受部34B及び腕部34C等は樹脂にて一体成形されている。
【0070】
そして、歯止部材34がラチェット歯車33と噛み合った状態、つまり爪部34Aがラチェット歯車33の歯と係合している状態においては、図7の一点鎖線L1で示されるように、腕部34Cの長手方向は水平方向に延びている。
【0071】
一方、揺動軸3A、つまり軸受部34Bの軸線方向は、上記一点鎖線L1と直交する水平方向に一致し、かつ、揺動軸3Aの位置は、ラチェット歯車33より下方に設定されている。このため、歯止部材34は、揺動軸3Aを中心に上下方向に揺動変位することができる。
【0072】
そして、歯止部材34の爪部34Aは、図6(a)に示すように、揺動軸3Aの軸線方向と平行な方向から見ると、略直角三角形状に形成されているとともに、その斜辺部34Dは、揺動軸3A側に面している。
【0073】
また、揺動軸3Aには、図7に示すように、係合アーム37及び揺動部材40が揺動可能に組み付けられている。このため、歯止部材34は、揺動部材40に対して上下方向に揺動可能に組み付けられた状態となる。
【0074】
そして、揺動部材40には、図6(b)に示すように、カム面38Aに摺接する従節部40A、及び揺動軸3Aが挿入される軸受部40B等が設けられている。従節部40Aは、図11に示すように、揺動軸3Aを挟んで爪部34Aと反対側に位置している。
【0075】
このため、従節部40Aがラチェット歯車33に近接する向きに変位すると、図8に示すように、揺動部材40の右端側、つまり揺動部材40のうち爪部34A側は、ラチェット歯車33から離間する向きに変位する。一方、従節部40Aがラチェット歯車33に離間する向きに変位すると、図7に示すように、揺動部材40のうち爪部34A側は、ラチェット歯車33に近接する向きに変位する。
【0076】
また、揺動部材40は、揺動部材40に作用する重力により、従節部40Aがラチェット歯車33に近接する向きに変位するようなモーメントが発生するように構成され、かつ、揺動部材40には、従節部40Aをカム面38A側に押圧する力を揺動部材40に作用させる図示しないバネが連結されている。
【0077】
このため、カム筒38及びカム歯車38Bが回転すると、係合アーム37の従節部37Cと揺動部材40の従節部40Aとは、共にカム面38Aをなぞるように変位するので、係合アーム37と揺動部材40とは、機械的に同期して揺動する。
【0078】
そこで、以下、入力歯車31から出力歯車32への駆動力の伝達が可能となり、押圧板15Bが上昇変位するときに揺動部材40の位置を第1ポジションという。また、入力歯車31から出力歯車32への駆動力の遮断され、押圧板15Bの上昇変位が禁止されたときに揺動部材40の位置を第2ポジションという。
【0079】
このため、揺動部材40が第1ポジションにあるときには、図7に示すように、揺動部材40のうち爪部34A側は、第2ポジション時に比べてラチェット歯車33に近接した状態となる。一方、揺動部材40が第2ポジションにあるときには、図8に示すように、揺動部材40のうち爪部34A側は、第1ポジション時に比べてラチェット歯車33に離間した状態となる。
【0080】
また、揺動部材40には、図11に示すように、捻りコイルバネ状の弾性部材41が組み付けられている。この弾性部材41は、揺動軸3A側から爪部34A側に延びる棒状の作用部41A、作用部41Aの長手方向一端側に設けられたコイル部41B、及びコイル部41Bから作用部41Aと同一側に延びて揺動部材40に係止された係止部41C等を有して構成されている。
【0081】
また、コイル部41B内には、揺動部材40に設けられた円筒又は円柱状のボス部40Cが挿入されている。一方、作用部41Aの延び方向先端側は、揺動部材40に設けられた規制部40Dに係止されている。この規制部40Dは、歯止部材34側から作用部41Aの先端側に接触することにより、作用部41Aが歯止部材34側に変位することを規制する。
【0082】
一方、歯止部材34には、作用部41A側に突出する突起部40Eが設けられている。この突起部40Eは、図7に示すように、揺動部材40が第2ポジションにあるときに、歯止部材34をラチェット歯車33に押し当てる弾性力を歯止部材34に作用させる。以下、この弾性力を押当力という。
【0083】
<ラチェット機構の詳細作動>
揺動部材40が第2ポジションにあるときには、従節部40Aとカム面38Aとが接触しているので、図7に示すように、揺動部材40の規制部40D側がラチェット歯車33側に近接する位置となる。このため、弾性部材41の作用部41Aが歯止部材34の突起部40Eに接触して押当力を歯止部材34に作用させる。
【0084】
また、揺動部材40が第2ポジションから第1ポジションに揺動すると、図8に示すように、作用部41A、つまり弾性部材41が揺動部材40と一体的にラチェット歯車33から離間するように下方側に揺動変位するので、作用部41Aが突起部40Eから離間する。
【0085】
そして、揺動部材40が第1ポジションになると、押当力が消失するので、歯止部材34が揺動部材40に対して揺動自在な状態となり、爪部34Aがラチェット歯車33から離間して爪部34Aとラチェット歯車33と噛み合いが解除される。
【0086】
すなわち、揺動部材40が第1ポジションになると、入力歯車31から出力歯車32に駆動力が伝達されるので、押圧板15Bを上昇させる向きにラチェット歯車33が回転する。
【0087】
これにより、歯止部材34の爪部34Aが、ラチェット歯車33の歯の斜面に沿って下方側に移動することに加え、歯止部材34に作用する重力により、歯止部材34をラチェット歯車33から離間させるモーメントが歯止部材34に作用する。このため、爪部34Aがラチェット歯車33から離間する。
【0088】
3.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態では、上述したように、揺動部材40が第2ポジションであるときには、歯止部材34に押当力が作用しているので、ラチェット歯車33と歯止部材34とが噛み合った状態を確実に保持できる。
【0089】
また、本実施形態においては、揺動部材40が第1ポジションであるときには、歯止部材34に押当力が作用しておらず、かつ、歯止部材34が揺動部材40に対して変位自在である。
【0090】
このため、ラチェット歯車33と回転すると、これと同時に、歯止部材34は、ラチェット歯車33の回転力を受けてラチェット歯車33から離間する。つまり、本実施形態では、揺動部材40が第1ポジションになると、ほぼ同時に歯止部材34がラチェット歯車33から離間する。
【0091】
したがって、本実施形態は、揺動部材40に上記当接部を設けことなく、離間タイミングを適切なタイミングとすることができるので、画像形成装置の製造原価上昇を抑制しつつ、異音の発生を抑制することができる。
【0092】
また、本実施形態では、弾性部材41は、揺動部材40に組み付けられて、揺動部材40と一体的に揺動変位することを特徴としている。
これにより、本実施形態では、揺動部材40の揺動に連動して弾性部材41が変位するので、容易に、歯止部材34に作用する押当力を適切なタイミングで解除することができる。
【0093】
また、本実施形態では、歯止部材34は、揺動部材40に対して上下方向に揺動可能に組み付けられており、さらに、歯止部材34の揺動軸は、ラチェット歯車33より下方側に設定されていることを特徴としている。
【0094】
これにより、本実施形態では、歯止部材34に作用する重力は、上述したように、歯止部材34をラチェット歯車33から離間させる力となる。
このため、歯止部材34を確実にラチェット歯車33から離間させることができるとともに、歯止部材34がラチェット歯車33から離間した後、その離間状態を確実に維持することができる。したがって、異音の発生を確実に抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、歯止部材34がラチェット歯車33と噛み合った状態において、腕部34Cが水平方向に延びていることを特徴としている。
これにより、本実施形態では、歯止部材34に作用する重力をより効果的に、歯止部材34をラチェット歯車33から離間させる力として機能させることができる。
【0096】
なお、「腕部34Cが水平方向に延びている」とは、厳格に水平である必要はなく、例えば、水平に対して±10度程度のずれも含む意味である。
また、本実施形態では、爪部34Aは、揺動軸の軸線方向と平行な方向から見て、直角三角形状に形成されていることを特徴としている。
【0097】
これにより、本実施形態では、図7に示すように、鉛直方向と爪部34Aの垂辺部34Eとがほぼ平行となるので、歯止部材34がラチェット歯車33から離間し易くなる。したがって、揺動部材40が第1ポジションとなってラチェット歯車33に回転力が作用すると、ほぼ同時に歯止部材34がラチェット歯車33から離間するので、異音の発生を確実に抑制することができる。
【0098】
なお、「揺動軸の軸線方向と平行な方向から見て、爪部34Aが直角三角形状である」とは、目視にて概ね直角三角形状に見える、といった程度の意味であり、厳格に直角三角形状であることを意図するものではない。
【0099】
また、本実施形態では、歯止部材34には、作用部41A側に突出し、第2ポジションのときに押当力を歯止部材34に作用させる突起部40Eが設けられていることを特徴としている。
【0100】
これにより、本実施形態では、押当力は突起部40Eを介して歯止部材34に作用するので、押当力が作用する位置のバラツキを小さくすることができ、歯止部材34を安定的に作動させることができる。
【0101】
また、本実施形態では、歯止部材34側から作用部41Aに接触することにより、作用部41Aが歯止部材34側に変位することを規制する規制部40Dが、揺動部材40に設けられていることを特徴としている。
【0102】
これにより、本実施形態では、第1ポジションのときに、歯止部材34に押当力が作用することを確実に規制することができる。
また、本実施形態では、揺動軸の軸線方向と平行な方向から見て、爪部34Aの斜辺部34Dは、揺動軸3A側に面していることを特徴としている。
【0103】
これにより、本実施形態では、第2ポジションのときに、爪部34Aの垂辺部34Eに作用する力の向きは、揺動軸側に向かう向きの力となる。一方、垂辺部34Eに作用する力は、押圧板15Bを下降変位させる向きの力に基づく力である。
【0104】
したがって、揺動部材40が第1ポジションとなってラチェット歯車33に回転力が作用すると、図7に示すように、爪部34Aの垂辺部34Eに作用する力が消失すると同時に、垂辺部34Eで発生していた摩擦力が消失する。このため、揺動部材40が第1ポジションとなると、ほぼ同時に歯止部材34がラチェット歯車33から離間するので、異音の発生を確実に抑制することができる。
【0105】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、規制部40Dを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1ポジションのときに弾性部材41が押当力を歯止部材34に作用さなければよいので、例えば、規制部40Dを廃止して、弾性部材41の自然状態において、作用部41Aが突起部40Eから離間した状態となるように構成してもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、弾性部材41として捻りコイルバネを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、弾性部材41を作用部41A相当のみからなる板バネとしてもよい。
【0107】
また、上述の実施形態では、弾性部材41を揺動部材40に組み付けたが、本発明はこれに限定れるものではなく、例えば、弾性部材41を歯止部材34に組み付けてもよい。
また、上述の実施形態では、歯止部材34及び揺動部材40をラチェット歯車33の下方側に配設したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これとは逆に歯止部材34及び揺動部材40をラチェット歯車33の上方側に配設してもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では、モノクロレーザプリンタに本発明を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばカラーレーザプリンタやインクジェット方式の画像形成装置等にも適用することができる。
【0109】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0110】
1… 画像形成装置 3… 筐体 3A… 揺動軸 5… 画像形成部
7… プロセスカートリッジ 7A… 感光ドラム 9… 露光器
11… 転写ローラ 15… 給紙トレイ 15A… 載置部 15B… 押圧板
17… ピックアップローラ 19… 分離ローラ 19A… 駆動軸
19B… 駆動歯車 21… 分離パッド 23… 搬送ローラ
23A… 搬送シュート 25… レジストローラ 27… ローラユニット
27A… ローラホルダ 27B… 中間歯車 27C… ローラ揺動アーム
27D… 揺動中心 30… 上昇機構 31… 入力歯車 32… 出力歯車
33… ラチェット歯車 34… 歯止部材 34A… 爪部 34B… 軸受部
34C… 腕部 34D… 斜辺部 34E… 垂辺部 35… ラチェット機構
36… クラッチ機構 36A… 太陽歯車 36B… 内歯車 36C… 遊星歯車
36D… 保持器 36E… 保持軸 36F… 保持プレート 36G… 係合部
37… 係合アーム 37A… 爪部 37B… 軸受部 37C… 従節部
37D… バネ 37E… バネフック 38A… カム面 38… カム筒
38B… カム歯車 38C… 歯部 38E… バネ 38F… 突起部
38D… 欠歯部 39… カムストッパアーム 39A… バネ
40… 揺動部材 40A… 従節部 40C… ボス部 40D… 規制部
40E… 突起部 41… 弾性部材 41A… 作用部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部と、
複数枚のシートが積層状態で載置される載置部と、
前記載置部の上方側に配設され、前記載置部に載置されたシートに上方側から接触して当該シートを前記画像形成部側に給送する給送ローラと、
前記載置部に載置されたシートを上方側に変位させる押圧板と、
第1ポジションと第2ポジションとの間で揺動変位する揺動部材であって、前記第1ポジションのときには前記押圧板を上昇変位させる力が前記押圧板側に伝達され得る状態となり、前記第2ポジションのときには当該力の伝達が遮断された状態となる揺動部材と、
前記押圧板が下降変位することを禁止するラチェット機構であって、前記押圧板の変位に機械的に連動して回転するラチェット歯車、及び前記揺動部材に変位可能に組み付けられ、前記ラチェット歯車と噛み合うことにより前記ラチェット歯車の回転を禁止する歯止部材を有するラチェット機構と、
前記第2ポジションのときには、前記歯止部材を前記ラチェット歯車に押し当てる弾性力を前記歯止部材に作用させ、前記第1ポジションのときには、前記弾性力を前記歯止部材に作用させない弾性部材とを備え、
前記歯止部材に前記弾性力が作用していないときには、前記歯止部材は、前記揺動部材に対して変位自在であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記揺動部材に組み付けられて、前記揺動部材と一体的に揺動変位することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記歯止部材は、前記揺動部材に対して上下方向に揺動可能に組み付けられており、
さらに、前記歯止部材の揺動軸は、前記ラチェット歯車より下方側に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記歯止部材は、前記揺動軸から前記ラチェット歯車側に延びる腕部、及び前記腕部の延び方向先端側に設けられ、前記ラチェット歯車と噛み合う爪部を有しており、
さらに、前記歯止部材が前記ラチェット歯車と噛み合った状態において、前記腕部は、水平方向に延びていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記爪部は、前記揺動軸の軸線方向と平行な方向から見て、直角三角形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記揺動軸側から前記爪部側に延びる作用部を有しており、
さらに、前記歯止部材及び前記作用部のうちいずれか一方には、他方側に突出し、前記第2ポジションのときに前記弾性力を前記歯止部材に作用させる突起部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記歯止部材側から前記作用部に接触することにより、前記作用部が前記歯止部材側に変位することを規制する規制部が、前記揺動部材に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記揺動軸の軸線方向と平行な方向から見て、前記爪部の斜辺部は、前記揺動軸側に面していることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−107773(P2013−107773A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256501(P2011−256501)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】