説明

画像形成装置

【課題】裏写りが発生することなく、原稿先端部を確実に検出することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿給送部によって搬送されてくる原稿に光を照射し、色分解フィルターを介して読み取りラインXにおける原稿からの反射光をラインセンサーで受光し、ラインセンサーからの画像信号出力に基づいて、原稿の色分解フィルターを透過する色成分を読み取る画像形成装置であって、読み取りラインXにおいて、原稿が搬送される搬送路を挟んで対向配置され、色分解フィルターによって遮断される色の識別マーク336Bが形成された白色板336を設け、読み取りラインXへの原稿の到達前と到達時とのラインセンサーからの画像信号出力の変化に基づいて、原稿先端部を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートドキュメントフィーダー(ADF)等の原稿給送部によって搬送されてくる原稿を読み取る原稿読み取り部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿給送部によって搬送されてくる原稿を読み取る場合には、搬送されてくる原稿先端部を検出する必要があり、この原稿先端部の検出に、専用の用紙検出センサーを設けることなく、原稿を読み取る画像読み取り用の画像読み取りセンサーを用いることが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている原稿読み取り装置では、基準ローラーに搬送される原稿先端部の影を、画像読み取りセンサーを用いて検出することで原稿先端部を検出している。また、特許文献2に開示されているスキャナー装置では、画像読み取りセンサーによる読み取り箇所に対向する部位に識別パターンを形成し、画像読み取りセンサーによる画像信号出力が識別パターンを示すものから変化した場合に原稿の先端を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−174988号公報
【特許文献2】特開2008−245209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の従来技術においては、原稿先端部の影を形成させるための余分な構成(照明)が必要になると共に、原稿が薄いと陰が鮮明に形成されず、原稿先端部を正確に検出することができない場合があるという問題点があった。また、特許文献2の従来技術では、画像読み取りセンサーによる読み取り箇所に対向する部位に識別パターンを形成するだけで、余分な構成は必要ないが、裏写りが発生してしまうという問題点があった。すなわち、画像読み取りセンサーによる読み取り箇所に対向する部位には、画像の裏写り防ぐために一般的に白色が使用されているが、画像読み取り範囲に識別パターンを配置した場合には、識別パターンが透けて裏写りが発生してしまうという問題点があった。特に、原稿が薄く、原稿の背景色が白色の場合に、裏写りが顕著に発生してしまう。
【0006】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、従来技術の問題を解決し、裏写りが発生することなく、原稿先端部を確実に検出することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、原稿給送部によって搬送されてくる原稿に光を照射し、色分解フィルターを介して読み取りラインにおける前記原稿からの反射光をラインセンサーで受光し、前記ラインセンサーからの画像信号出力に基づいて、前記原稿の前記色分解フィルターを透過する色成分を読み取る画像形成装置であって、前記読み取りラインにおいて、前記原稿が搬送される搬送路を挟んで対向配置され、前記色分解フィルターによって遮断される色の識別マークが形成された白色板と、前記読み取りラインへの前記原稿の到達前と到達時との前記ラインセンサーからの画像信号出力の変化に基づいて、原稿先端部を検出する原稿先端部検出手段とを具備することを特徴とする。
さらに、本発明の画像形成装置において、前記識別マークは、原稿読み取り範囲の両端近傍にそれぞれ形成するようにしても良い。
さらに、本発明の画像形成装置において、前記原稿先端部検出手段は、前記ラインセンサーからの画像信号出力の変化が予め設定された所定時間検出されない場合には、紙詰まりエラーを検出するようにしても良い。
さらに、本発明の画像形成装置において、前記ラインセンサーからの画像信号出力は、前記原稿給送部による給紙動作開始と同時に開始され、前記原稿先端部検出手段によって原稿先端部が検出されるまでは、同じメモリー領域に上書き保存されるようにしても良い。
さらに、本発明の画像形成装置において、前記原稿先端部検出手段は、主走査方向の異なる2箇所の受光素子における前記画像信号出力が変化するタイミングを比較することで、前記原稿の傾きを検出するようにしても良い。
さらに、本発明の画像形成装置において、前記原稿給送部の原稿載置部から前記ラインセンサーの原稿読み取り範囲外の受光素子に至る導光路を具備し、前記原稿先端部検出手段は、原稿読み取り範囲外の受光素子の画像信号出力に基づいて前記原稿の有無を検出するようにしても良い。
さらに、本発明の画像形成装置において、赤色成分を透過する色分解フィルターRを介して読み取りラインXにおける前記原稿からの赤色成分の反射光を受光する赤色ラインセンサーと、緑色成分を透過する色分解フィルターGを介して読み取りラインYにおける前記原稿からの緑色成分の反射光を受光する緑色ラインセンサーと、青色成分を透過する色分解フィルターBを介して読み取りラインZにおける前記原稿からの青色成分の反射光を受光する青色ラインセンサーとを具備し、前記白色板には、前記読み取りラインXに前記色分解フィルターRによって遮断される色の前記識別マークが、前記読み取りラインYに前記色分解フィルターGによって遮断される色の前記識別マークが、前記読み取りラインZに前記色分解フィルターBによって遮断される色の前記識別マークがそれぞれ形成され、前記原稿先端部検出手段は、前記赤色ラインセンサー、前記緑色ラインセンサー及び前記青色ラインセンサーからの画像信号出力の変化に基づいて原稿先端部を検出するようにしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ラインセンサーによる読み取りラインに形成する、原稿先端部を検出するための識別マークを色分解フィルターによって遮断される色にすることで、裏写りが発生することなく、原稿先端部を確実に検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の形態の内部構成を示す概略模式断面図である。
【図2】図1に示す原稿読取部及び原稿給送部の内部構成を示す概略模式断面図である。
【図3】図2に示すCCDの構成を示す正面図である。
【図4】図2に示す白色板の構成を示す正面図である。
【図5】図1に示す画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の実施の形態における原稿先端部検出動作について説明するためのフローチャートである。
【図7】図3に示す赤色ラインセンサーの画像信号出力例を示す図である。
【図8】図3に示す赤色ラインセンサー、緑色ラインセンサー及び青色ラインセンサーの画像信号出力例を示図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施の形態の画像形成装置1は、複写機であり、図1を参照すると、原稿読取部2と、原稿給送部3と、本体部4と、スタックトレイ5と、操作部6とを備えている。原稿読取部2は、本体部4の上部に配設され、原稿給送部3は、原稿読取部2の上部に配設されている。スタックトレイ5は、本体部4の形成された記録紙の排出口41側に配設され、また、操作部6は、画像形成装置1の手前側に配設されている。また、原稿給送部3は、可倒式に構成され、原稿給送部3を上方に開くことで、原稿読取部2の上面を開放させることができる。
【0011】
操作部6には、液晶表示部61と、操作ボタン62とが設けられている。ユーザーは操作部6を操作して指示を入力することで、画像形成装置1の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。液晶表示部61は、画像形成装置1の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したり、タッチパネルとして、両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。操作ボタン62としては、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置1の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン、テンキー等が設けられている。
【0012】
原稿読取部2は、プラテンガラス21と、原稿読取スリット22と、白基準を決めるためのシェーディング板23と、原稿の画像を光学的に読み取って画像信号を出力するスキャナー部24とを備えている。プラテンガラス21は、ガラス等の透明部材により構成され、原稿読取部2の上面に配置された原稿台である。原稿読取スリット22は、ガラス等の透明部材により構成され、原稿給送部3による原稿の搬送方向と直交する方向に形成されたスリット状の原稿読み取り窓である。
【0013】
スキャナー部24は、図2を参照すると、光源241と、第1ミラー242と、第2ミラー243と、第3ミラー244と、第1キャリッジ245と、第2キャリッジ246と、結像レンズ247と、原稿を読み取る画像読み取りセンサーであるCCD(Charge Coupled Device)248とを備えている。光源241及び第1ミラー242は、第1キャリッジ245によって支持されており、第2ミラー243及び第3ミラー244は、第2キャリッジ246によって支持されている。CCD248は、図3を参照すると、赤色ラインセンサー248Rと、緑色ラインセンサー248Gと、青色ラインセンサー248Bとが、RGBの3原色にそれぞれ対応する3ライン分の受光素子列として形成されている。赤色ラインセンサー248Rには、赤色成分を透過する色分解フィルターRが形成されており、赤色成分のみが選択的に受光される。緑色ラインセンサー248Gには、緑色成分を透過する色分解フィルターGが形成されており、緑色成分のみが選択的に受光される。青色ラインセンサー248Bには、青色成分を透過する色分解フィルターBが形成されており、青色成分のみが選択的に受光される。
【0014】
スキャナー部24による原稿の読み取り動作は、光源241によってプラテンガラス21もしくは原稿読取スリット22上の原稿を照射し、原稿からの反射光をCCD248によって受光する。原稿からの主走査方向3ライン分の反射光は、第1ミラー242、第2ミラー243、第3ミラー244の順に反射され、結像レンズ247に入射され、結像レンズ247に入射された3ライン分の反射光がCCD248の赤色ラインセンサー248R、緑色ラインセンサー248G及び青色ラインセンサー248Bにそれぞれ結像される。CCD248は、RGBの3ライン分の画像信号を本体部4に出力する。
【0015】
原稿給送部3は、ADF(Auto Document Feeder)であり、図2を参照すると、原稿載置部31と、原稿排出部32と、原稿搬送機構33とを備えている。原稿載置部31に載置された原稿は、原稿搬送機構33によって、1枚ずつ順に繰り出されて原稿読取スリット22に対向する位置へ搬送され、その後、原稿排出部32に排出される。
【0016】
原稿搬送機構33は、原稿給紙ローラー331と、原稿搬送ローラー332、333と、ガイド部334と、原稿排出ローラー335と、白色板336とを備えている。原稿給紙ローラー331は、原稿載置部31にセットされた原稿が1枚ずつ順に繰り出し、繰り出された原稿は、原稿搬送ローラー332、333を経由して原稿読取スリット22の位置に搬送され、原稿読取スリット22の位置で読み取られた後、原稿排出ローラー335によって原稿排出部32に排出される。白色板336は、ガイド部334の原稿読取スリット22と対向する面に取り付けられている。すなわち、白色板336は、原稿が搬送される搬送路を挟んで、原稿読取スリット22と対向配置されている。
【0017】
白色板336には、図4(a)を参照すると、反射光が赤色ラインセンサー248Rに結像される、赤色ラインセンサー248Rによる読み取りラインXに一対の青色の識別マーク336Bが、反射光が緑色ラインセンサー248Gに結像される、緑色ラインセンサー248Gによる読み取りラインYに一対の赤色の識別マーク336Rが、反射光が青色ラインセンサー248Bに結像される、青色ラインセンサー248Bによる読み取りラインZに一対の緑色の識別マーク336Gがそれぞれ形成されている。識別マーク336B、336R、336Gは、原稿読み取り範囲の両端近傍にそれぞれ配置されている。ここで、識別マーク336R、336G、336Bは、図4(b)に示すように、原稿給送部3によって搬送されてきた原稿が最も斜めに傾いた状態であっても、各読み取りラインX、Y、Zにおいて、原稿先端部が横切る位置にそれぞれ配置されている。以下、識別マーク336R、336G、336Bは、Bが形成されている主走査方向のそれぞれの領域を右マーク領域及び左マーク領域と称す。なお、右左マーク領域以外は、白色板336がそのまま露出した白色領域となる。
【0018】
なお、読み取りラインXに形成されている識別マーク(青色の識別マーク336B)は、赤色ラインセンサー248Rに形成されている色分解フィルターRによって遮断される色であれば良く、例えば青色の識別マーク336Bに換えて緑色の識別マーク336Gを形成しても良い。また、読み取りラインYに形成されている識別マーク(赤色の識別マーク336R)は、緑色ラインセンサー248Gに形成されている色分解フィルターGによって遮断される色であれば良く、例えば赤色の識別マーク336Rに換えて青色の識別マーク336Bを形成しても良い。さらに、読み取りラインZに形成されている識別マーク(緑色の識別マーク336G)は、青色ラインセンサー248Bに形成されている色分解フィルターBによって遮断される色であれば良く、例えば緑色の識別マーク336Gに換えて赤色の識別マーク336Rを形成しても良い。さらにまた、本実施の形態では、一対の識別マーク336R、336G、336Bを形成したが、異なる原稿サイズを読み取る場合には、一対の識別マーク336R、336G、336Bが各原稿サイズ(B5〜A4)の両端近傍にそれぞれ形成される。
【0019】
原稿載置部31に原稿が載置されていない状態で、操作部6の操作ボタン62によって原稿の読み取りが指示されると、プラテンガラス21に載置された原稿を読み取るフラット読取モードとなり、プラテンガラス21に載置された原稿が読み取られる。フラット読取モードでは、第1キャリッジ245がプラテンガラス21に対向する位置に移動され、第1キャリッジ245及び第2キャリッジ246を主走査方向と直交する副走査方向に移動させながら原稿を読み取り、画像信号を本体部4に出力する。
【0020】
原稿載置部31に原稿が載置されている状態で、操作部6の操作ボタン62によって原稿の読み取りが指示されると、原稿給送部3により搬送される原稿を原稿読取スリット22の位置で読み取るADF読取モードとなり、原稿給送部3により搬送された原稿が読み取られる。ADF読取モードでは、第1キャリッジ245が原稿読取スリット22と対向する位置に移動され、原稿読取スリット22を介し、原稿給送部3による搬送動作と同期して原稿を読み取り、画像信号を本体部4に出力する。
【0021】
本体部4は、図1を参照すると、記録部7を備えると共に、給紙部42と、用紙搬送路43と、搬送ローラー44と、排出ローラー45とを備えている。給紙部42は、複数の給紙カセット42a1〜42anと、給紙カセット42a1〜42anから記録紙を1枚ずつ用紙搬送路43に繰り出す給紙ローラー42b1〜42bnとを備えている。給紙ローラー42b1〜42bn、搬送ローラー44及び排出ローラー45が搬送部として機能し、記録紙が搬送される。給紙ローラー42b1〜42bnによって用紙搬送路43に繰り出された記録紙は、搬送ローラー44によって記録部7に搬送される。そして、記録部7によって記録が施された記録紙は、排出ローラー45によってスタックトレイ5に排出される。
【0022】
記録部7は、感光体ドラム71と、露光部72と、画像形成部73と、転写部74と、定着部75とを備えている。露光部72は、レーザー装置やミラー等を備えた光学ユニットであり、画像データーに基づいてレーザー光を出力して感光体ドラム71を露光し、感光体ドラム71の表面に静電潜像を形成する。画像形成部73は、トナーを用いて感光体ドラム71に形成された静電潜像を現像する現像ユニットであり、静電潜像に基づいたトナー像を感光体ドラム71上に形成させる。転写部74は、画像形成部73によって感光体ドラム71上に形成されたトナー像を記録紙に転写させる。定着部75は、転写部74によってトナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる。
【0023】
図5には、画像形成装置1の概略構成を示すブロック図が示されている。上述の原稿読取部2、原稿給紙部3、搬送部(給紙ローラー42b1〜42bn、搬送ローラー44、排出ローラー45)、操作部6及び記録部7は、制御部8に接続され、制御部8によって動作制御される。また、制御部8には、画像処理部9と、記憶部10とが接続されている。
【0024】
制御部8は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには画像形成装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部8は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、操作部6から入力された所定の指示情報に応じて装置全体の制御を行う。制御部8は、原稿読取部2からの画像信号に基づいて原稿先端部を検出し、以降の画像信号を画像データーとして記憶部10に記憶させる。
【0025】
画像処理部9は、画像データーに対して所定の画像処理を行う手段であり、例えば、拡大縮小処理や、階調調整、濃度調整等の画像改善処理が行われる。
【0026】
記憶部10は、半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段であり、原稿読取部2によって読み取った原稿の画像データーが記憶されると共に、各種の管理情報が記憶されている。
【0027】
次に、本実施の形態の画像形成装置1における原稿先端部検出動作について図6乃至図8を参照して詳細に説明する。
画像形成装置1における原稿先端部検出動作は、原稿給送部3によって搬送されてくる原稿を読み取る際に、読み取り開始のタイミングを検出するための動作であり、ADF読取モードで実行される。
【0028】
図6を参照すると、操作部6の操作ボタン62によって原稿の読み取りが指示されると(ステップA1)、制御部8は、原稿載置部31に原稿が載置されているか否かを判断する(ステップA2)。ステップA2で原稿載置部31に原稿が載置されていない場合には、制御部8は、フラット読取モードに設定して、以降のステップを実行することなく、原稿先端部検出動作を終了させる。ステップA2において、制御部8は、CDD248から出力される画像信号に基づいて、原稿載置部31に原稿が載置されているか否かを判断する。図2に示すように、原稿を読み取るための導光路Aとは別に、原稿載置部31からCCD248に至る導光路Bが設けられている。導光路Bは、原稿載置部31に設けられた図示しない開口から、CCD248(本実施の形態では、緑色ラインセンサー248G)の原稿読み取り範囲外の領域25に至り、領域25に含まれる受光素子の画像信号出力によって、原稿載置部31に原稿が載置されているか否かが判断される。
【0029】
ステップA2で原稿載置部31に原稿が載置されている場合には、制御部8は、ADF読取モードに設定して、原稿給送部3による原稿の搬送を開始させると共に、原稿読取部2のスキャナー部24による原稿読み取りを開始する(ステップA3)。図7(a)は、読み取りラインXに原稿が到達していない状態での、赤色ラインセンサー248Rの画像信号出力である。この場合には、左右マーク領域において、青色の識別マーク336Bからの赤色成分が含まれていない反射光は、赤色ラインセンサー248Rの色識別フィルターによって遮断されると共に、白色領域において、赤色成分が含まれている反射光が赤色ラインセンサー248Rに受光されるため、青色の識別マーク336Bが形成されている左右マーク領域が、他の白色領域よりも画像信号出力が低くなっている。なお、読み取りラインYに原稿が到達していない状態での、緑色ラインセンサー248Gの画像信号出力と、読み取りラインZに原稿が到達していない状態での、青色ラインセンサー248Bの画像信号出力と、図7(a)とほぼ同様の信号波形となり、左右マーク領域が、他の白色で形成されている他の領域よりも画像信号出力が低くなっている。
【0030】
次に、制御部8は、予め設定されている時間Tの経過(ステップA4)と、左右マーク領域の画像信号出力の変化(ステップA5)と、左右マーク領域以外の画像信号出力の変化(ステップA6)とをそれぞれ監視する。ステップA5で左右マーク領域の画像信号出力の変化と、ステップA6で左右マーク領域以外の画像信号出力の変化とのいずれもが検出されることなく、ステップA4で予め設定されている時間Tが経過した場合には、制御部8は、紙詰まりエラーを検出する(ステップA7)。次に、制御部8は、紙詰まりを知らせる報知画面を操作部6の液晶表示部61に表示させ、ユーザーに紙詰まりエラーを報知し(ステップA8)、原稿先端部検出動作を終了させる。なお、本実施の形態では、制御部8は、原稿読取部2のスキャナー部24からの画像信号出力を画像データーとして取り扱うことなく、RAMの同じ領域に上書き保存し、最新の2ライン分の画像信号のみを保持するように構成されている。従って、メモリー領域を有効活用することができる。
【0031】
ステップA4で予め設定されている時間Tが経過する前に、ステップA5において左右マーク領域の画像信号出力の変化と、ステップA6おいて左右マーク領域以外の画像信号出力の変化とのいずれかが検出された場合には、制御部8は、当該画像信号出力が変化したタイミングで原稿先端部を検出し(ステップA9)、原稿先端部検出動作を終了させる。
ステップA5及びステップA6における画像信号出力の変化は、保持している最新の2ライン分の画像信号を比較することが行われ、画像信号出力が予め設定されている閾値異常変化下場合に、原稿先端部が検出され、画像信号出力の変化が検出されたラインから画像データーとして記憶部10に記憶される。
【0032】
図7(b)は、白色、赤色等の赤色成分を含む背景色の原稿が読み取りラインXに到達した状態での、赤色ラインセンサー248Rの画像信号出力である。この場合には、背景色に赤色成分が含まれている原稿によって青色の識別マーク336Bが遮られ、左右マーク領域において、赤色成分の反射光が赤色ラインセンサー248Rに受光される。従って、原稿が読み取りラインXに到達すると、ステップA5において左右マーク領域の画像信号出力が高くなり、画像信号出力の変化が検出される。
【0033】
図7(c)は、緑色、青色等の赤色成分が含まれていない背景色の原稿が読み取りラインXに到達した状態での、赤色ラインセンサー248Rの画像信号出力である。この場合には、背景色に赤色成分が含まれていない原稿によって青色の識別マーク336B以外の白色領域が遮られ、左右マーク領域以外において、赤色成分の反射光が赤色ラインセンサー248Rに受光されなくなる。従って、原稿が読み取りラインXに到達すると、ステップA6において左右マーク領域以外の画像信号出力が低くなり、画像信号出力の変化が検出される。
【0034】
図8(a)は、背景色が白色であり、且つ青色の識別マーク336Bが形成されている左右マーク領域に対向する箇所が緑色もしくは青色の赤色成分が含まれていない色に色づけされている特殊な原稿が、読み取りラインXに到達した状態での、赤色ラインセンサー248Rの画像信号出力である。この場合には、左右マーク領域において、原稿によって青色の識別マーク336Bが遮られても、赤色成分の反射光が赤色ラインセンサー248Rに受光されることがない。従って、原稿が読み取りラインXに到達しても、左右マーク領域の画像信号出力に変化がなく、原稿先端部を検出することができない。しかしながら、原稿の左右マーク領域に対向する箇所が緑色である場合には、原稿が読み取りラインYに到達した場合に、図8(b)に示すように、ステップA5において左右マーク領域の画像信号出力が高くなり、画像信号出力の変化が検出され、原稿先端部を検出することができる。また、原稿の左右マーク領域に対向する箇所が青色である場合には、原稿が読み取りラインZに到達した場合に、図8(c)に示すように、ステップA5において左右マーク領域の画像信号出力が高くなり、画像信号出力の変化が検出され、原稿先端部を検出することができる。そこで、本実施の形態では、ステップA5及びステップA6における画像信号出力の変化を、赤色ラインセンサー248Rからの画像信号出力のみでなく、緑色ラインセンサー248G及び青色ラインセンサー248Bからの画像信号出力においても検出するように構成されている。
【0035】
また、本実施の形態では、ラインセンサーであるCCD248を用いて原稿先端部の検出を行っている。従って、主走査方向の異なる2箇所において、画像信号出力が変化するタイミングを比較することで、原稿の傾きを検出し、画像データーを補正することができる。画像信号出力が変化するタイミングを比較する2箇所は、離れていることが好ましい。従って、図7(b)に示すように、ステップA5において左右マーク領域の画像信号出力の変化が検出された場合には、左右マーク領域が原稿読み取り範囲の両端近傍にそれぞれ形成されているため、左右マーク領域内におけるそれぞれ受光素子の画像信号出力が変化するタイミングを比較すると良い。また、図7(b)に示すように、ステップA6において左右マーク領域以外の画像信号出力の変化が検出された場合には、原稿読み取り範囲の両端と左右マーク領域との間にそれぞれ位置する受光素子の画像信号出力が変化するタイミングを比較すると良い。
【0036】
以上説明したように本実施の形態においては、原稿給送部3によって搬送されてくる原稿に光を照射し、色分解フィルターRを介して読み取りラインXにおける原稿からの反射光を赤色ラインセンサー248Rで受光し、赤色ラインセンサー248Rからの画像信号出力に基づいて、原稿の色分解フィルターRを透過する色成分を読み取る画像形成装置1であって、読み取りラインXにおいて、原稿が搬送される搬送路を挟んで対向配置され、色分解フィルターRによって遮断される色の識別マーク336Bが形成された白色板336を設け、読み取りラインXへの原稿の到達前と到達時との赤色ラインセンサー248Rからの画像信号出力の変化に基づいて、原稿先端部を検出するように構成されている。これにより、赤色ラインセンサー248Rによる読み取りラインXに形成する、原稿先端部を検出するための識別マーク336Bを色分解フィルターRによって遮断される色であるため、裏写りが発生することなく、原稿先端部を確実に検出することができる。
【0037】
さらに、本実施の形態においては、緑色成分を透過する色分解フィルターGを介して読み取りラインYにおける前記原稿からの緑色成分の反射光を受光する緑色ラインセンサー248Gと、青色成分を透過する色分解フィルターBを介して読み取りラインZにおける原稿からの青色成分の反射光を受光する青色ラインセンサー248Bとを具備し、白色板に、読み取りラインYに色分解フィルターGによって遮断される色の識別マーク336Rと、読み取りラインZに色分解フィルターBによって遮断される色の識別マーク336Gとがそれぞれ形成され、赤色ラインセンサー248R、緑色ラインセンサー248G及び青色ラインセンサー248Bからの画像信号出力の変化に基づいて原稿先端部を検出するように構成されている。これにより、背景色が白色であり、且つ青色の識別マーク336Bが形成されている左右マーク領域に対向する箇所が緑色もしくは青色の赤色成分が含まれていない色に色づけされている特殊な原稿であっても原稿先端部を確実に検出することができる。
【0038】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0039】
1 画像形成装置
2 原稿読取部
3 原稿給送部
4 本体部
5 スタックトレイ
6 操作部
7 記録部
8 制御部
9 画像処理部
10 記憶部
21 プラテンガラス
22 原稿読取スリット
23 シェーディング板
24 スキャナー部
31 原稿載置部
32 原稿排出部
33 原稿搬送機構
41 排出口
42 給紙部
42a1〜42an 給紙カセット
42b1〜42bn 給紙ローラー
43 用紙搬送路
44 搬送ローラー
45 排出ローラー
61 液晶表示部
62 操作ボタン
71 感光体ドラム
72 露光部
73 画像形成部
74 転写部
75 定着部
80 異物
241 光源
242 第1ミラー
243 第2ミラー
244 第3ミラー
245 第1キャリッジ
246 第2キャリッジ
247 結像レンズ
248 CCD
248R 赤色ラインセンサー
248G 緑色ラインセンサー
248B 青色ラインセンサー
331 原稿給紙ローラー
332、333 原稿搬送ローラー
334 ガイド部
335 原稿排出ローラー
336 白色板
336R、336G、336B 識別マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿給送部によって搬送されてくる原稿に光を照射し、色分解フィルターを介して読み取りラインにおける前記原稿からの反射光をラインセンサーで受光し、前記ラインセンサーからの画像信号出力に基づいて、前記原稿の前記色分解フィルターを透過する色成分を読み取る画像形成装置であって、
前記読み取りラインにおいて、前記原稿が搬送される搬送路を挟んで対向配置され、前記色分解フィルターによって遮断される色の識別マークが形成された白色板と、
前記読み取りラインへの前記原稿の到達前と到達時との前記ラインセンサーからの画像信号出力の変化に基づいて、原稿先端部を検出する原稿先端部検出手段とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記識別マークは、原稿読み取り範囲の両端近傍にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記原稿先端部検出手段は、前記ラインセンサーからの画像信号出力の変化が予め設定された所定時間検出されない場合には、紙詰まりエラーを検出することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ラインセンサーからの画像信号出力は、前記原稿給送部による給紙動作開始と同時に開始され、前記原稿先端部検出手段によって原稿先端部が検出されるまでは、同じメモリー領域に上書き保存されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記原稿先端部検出手段は、主走査方向の異なる2箇所の受光素子における前記画像信号出力が変化するタイミングを比較することで、前記原稿の傾きを検出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記原稿給送部の原稿載置部から前記ラインセンサーの原稿読み取り範囲外の受光素子に至る導光路を具備し、
前記原稿先端部検出手段は、原稿読み取り範囲外の受光素子の画像信号出力に基づいて前記原稿の有無を検出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
赤色成分を透過する色分解フィルターRを介して読み取りラインXにおける前記原稿からの赤色成分の反射光を受光する赤色ラインセンサーと、緑色成分を透過する色分解フィルターGを介して読み取りラインYにおける前記原稿からの緑色成分の反射光を受光する緑色ラインセンサーと、青色成分を透過する色分解フィルターBを介して読み取りラインZにおける前記原稿からの青色成分の反射光を受光する青色ラインセンサーとを具備し、
前記白色板には、前記読み取りラインXに前記色分解フィルターRによって遮断される色の前記識別マークが、前記読み取りラインYに前記色分解フィルターGによって遮断される色の前記識別マークが、前記読み取りラインZに前記色分解フィルターBによって遮断される色の前記識別マークがそれぞれ形成され、
前記原稿先端部検出手段は、前記赤色ラインセンサー、前記緑色ラインセンサー及び前記青色ラインセンサーからの画像信号出力の変化に基づいて原稿先端部を検出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110505(P2013−110505A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252597(P2011−252597)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】