説明

画像形成装置

【課題】排紙トレイに排出される前に用紙を十分に冷却することで、用紙からトナーが剥がれるような不具合を抑制する。
【解決手段】本発明は、用紙にトナー像を定着させる定着装置23と、該定着装置23によってトナー像を定着された用紙を最終的に排紙トレイ4に排出する排紙ローラーユニット25と、を備えた画像形成装置1であって、前記排紙トレイ4には、前記排紙ローラーユニット25に向かって冷却風を送るための送風口64が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、用紙にトナー像を定着させる定着装置と、トナー像を定着された用紙を排紙トレイに排出する排紙ローラーユニットと、を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の電子写真方式の画像形成装置には、トナー像を加熱及び加圧して用紙に定着させる定着装置と、この定着装置によってトナー像を定着された用紙を排紙トレイに排出する排紙ローラーユニットと、が設けられている。
【0003】
このような画像形成装置では、定着装置によってトナー像を用紙に定着させる際に用紙が加熱され、この加熱された用紙が熱を持ったまま排紙トレイに積層すると、一の用紙のトナーが他の用紙に貼りついてトナーが剥がれるという問題が生じる。また、トナーを収容するコンテナが排紙トレイの下方に配置される場合には、排紙トレイに積層した高温の用紙からの熱が、排紙トレイを介してコンテナに伝達され、コンテナ内のトナーが高温化して固化するという問題が生じる。
【0004】
この課題を解決するために、例えば特許文献1に示されるように、用紙冷却専用のファンを設置することが多くある。このような構成が多く採用される理由は、画像形成装置内の他の熱源(例えば定着装置)を冷却するファンを用紙冷却ファンに併用しようとすると、上記した他の熱源を冷却して高温化及び微弱化された冷却風によって用紙を冷却することになり、用紙の冷却効果を十分に得られないためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−72729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、ファンからの冷却風が排紙ローラーユニットよりも下流側に向かって吹き付けられている(特許文献1の図1等参照)。そのため、排紙ローラーユニットを通過中の用紙を確実に冷却することはできず、用紙からトナーが剥がれてしまう問題を十分に解決することは困難であった。
【0007】
また、特許文献1のように用紙冷却専用のファンを設置すると、画像形成装置内に設置されるファンの数の増加を招き、コストの上昇、スペースの問題、騒音問題など、新たな問題が生じてしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、排紙トレイに排出される前に用紙を十分に冷却することで、用紙からトナーが剥がれるような不具合を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、用紙にトナー像を定着させる定着装置と、該定着装置によってトナー像を定着された用紙を排紙トレイに排出する排紙ローラーユニットと、を備えた画像形成装置であって、前記排紙トレイには、前記排紙ローラーユニットに向かって冷却風を送るための送風口が設けられていることを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用することにより、排紙ローラーユニットを通過中の用紙に冷却風を確実に吹き付けることが可能となり、排紙トレイに排出される前に用紙を十分に冷却することが可能となる。そのため、高温の用紙が排紙トレイ上に積層して一の用紙のトナーが他の用紙に貼りついてトナーが剥がれてしまうような不具合を抑制することが可能となる。また、既存の部品である排紙トレイに送風口を設けており、送風口を形成するための部材を別途に追加する必要が無いため、部品点数を削減して低コスト化を図ることが可能となる。
【0011】
本発明の画像形成装置は、トナーを収容するコンテナと、該コンテナを冷却するコンテナ冷却ファンと、該コンテナ冷却ファンから前記送風口に至るダクトと、を備えていても良い。
【0012】
このような構成を採用することにより、コンテナ冷却ファンからの冷却風によって、コンテナと用紙の両方を冷却することが可能となる。つまり、コンテナ冷却ファンを用紙の冷却に併用することが可能となる。そのため、用紙冷却専用のファンを設ける場合と比較してファンの数を減少させることが可能となり、製造コストの抑制、スペースの節約及び騒音の低減を図ることが可能となる。
【0013】
本発明の画像形成装置は、前記ダクトは、前記排紙トレイによって上側を覆われ、該排紙トレイの下面には、前記コンテナ冷却ファンの送風方向に沿ってリブが突設されていても良い。
【0014】
このような構成を採用することにより、コンテナの周囲の空間に冷却風が拡散するのをリブによって抑制することが可能となり、一定量の冷却風を確実に送風口に供給することが可能となる。そのため、用紙の冷却効果を一層高めることが可能となる。
【0015】
本発明の画像形成装置は、トナーを収容するコンテナと、該コンテナを冷却するコンテナ冷却ファンと、前記定着装置に設けられるIHコイルユニットと、該IHコイルユニットを冷却するIH冷却ファンと、前記コンテナ冷却ファンから前記送風口に至る第1ダクトと、前記コンテナ冷却ファンから前記IH冷却ファンに至る第2ダクトと、を備えていても良い。
【0016】
このような構成を採用することにより、コンテナ冷却ファンからの冷却風によって、コンテナと用紙の両方を冷却することが可能となる。つまり、コンテナ冷却ファンを用紙の冷却に併用することが可能となる。そのため、用紙冷却専用のファンを設ける場合と比較してファンの数を減少させることが可能となり、製造コストの抑制、スペースの節約及び騒音の低減を図ることが可能となる。また、コンテナ冷却ファンからの冷却風をIH冷却ファンに吸引させ、このIH冷却ファンからの冷却風によってIHコイルユニットを冷却することが可能となるため、IHコイルユニットの冷却効率を高めることができる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、前記コンテナの上方に前記排紙トレイが配置され、前記コンテナと前記排紙トレイの間の空間は、仕切板によって上下に仕切られ、該仕切板と前記排紙トレイの間に前記第1ダクトが形成され、前記仕切板と前記コンテナの間に前記第2ダクトが形成されても良い。
【0018】
このような構成を採用することにより、各ダクトによって仕切板の上下にそれぞれ空気層が形成されるため、排紙トレイ上に積層した用紙からの熱が第2ダクトの下方に配置される部材に伝達されにくくなる。そのため、例えば第2ダクトの下方にコンテナを配置すれば、用紙からコンテナへの熱影響を遮断して、コンテナ内のトナーの固化を防止することができる。
【0019】
本発明の画像形成装置は、前記コンテナ冷却ファンは、前記コンテナを挟んで前記定着装置の反対側に設置されても良い。
【0020】
このような構成を採用することにより、最大の熱源である定着装置から離間した位置にコンテナ冷却ファンを設置することが可能となる。そのため、定着装置から発生する熱によってコンテナ冷却ファンからの冷却風が高温化するのを抑制することが可能となり、コンテナ及び用紙の冷却性能を一層向上させることが可能となる。
【0021】
本発明の画像形成装置は、前記排紙トレイは、前記排紙ローラーユニットから排出された用紙が載置される載置部と、該載置部から前記排紙ローラーユニット側に突出する突部と、を備え、該突部の先端に前記送風口が形成されても良い。
【0022】
このような構成を採用することにより、送風口を排紙ローラーユニットに接近させることが可能となり、用紙の冷却性能を一層高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像形成装置によれば、排紙トレイに排出される前に用紙を十分に冷却することで、用紙からトナーが剥がれるような不具合を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの上部を示す断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、第1の排紙トレイを示す下側からの斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、第1の排紙トレイを示す上側からの斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るカラープリンターの上部を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るカラープリンターにおいて、IHコイルユニットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施形態>
まず、図1を用いて、第1の実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンター1の構成の概略について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。
【0026】
カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には第1の排紙トレイ4が設けられている。第1の排紙トレイ4の上方には第2の排紙トレイ5が設けられている。
【0027】
プリンター本体2の内部には、像担持体としての中間転写ベルト6が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト6の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が配置され、中間転写ベルト6の下部に沿って4個の画像形成部8がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。
【0028】
各画像形成部8には、感光体ドラム9が回転可能に設けられており、感光体ドラム9の周囲には、帯電器10と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。
【0029】
現像器11の下部には一対の攪拌ローラー15が設けられ、攪拌ローラー15の斜め上方には磁気ローラー16が設けられ、磁気ローラー16の斜め上方には現像ローラー17が設けられている。現像器11の上方には、4個のコンテナ18が設けられている。各コンテナ18には、各画像形成部8と対応する色のトナーが収容されている。
【0030】
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、搬送経路20が設けられている。搬送経路20の上流端には給紙部21が設けられ、搬送経路20の中流部には中間転写ベルト6の一端(図面上右端)に二次転写部22が設けられ、搬送経路20の下流部には定着装置23が設けられている。
【0031】
搬送経路20は、定着装置23よりも下流側の部分において上下に分岐している。下側の分岐路である第1の搬送路24の下流端部には第1の排紙ローラーユニット25が第1の排紙トレイ4の上方一側(図面上、上方右側)に設けられている。上側の分岐路である第2の搬送路26の下流端部には第2の排紙ローラーユニット27が第2の排紙トレイ5の上方一側(図面上、上方右側)に設けられている。
【0032】
第2の排紙ローラーユニット27は、搬送経路20の二次転写部22よりも上流側の部分と、搬送経路20の一側(図面上右側)に設けられた両面印刷用の反転経路28を介して接続されている。
【0033】
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置23の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0034】
まず、帯電器10によって感光体ドラム9の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム9に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、コンテナ18から供給されるトナーによって現像器11が対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト6の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部8が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム9上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
【0035】
一方、給紙部21によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部22へと搬送され、二次転写部22において、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路20を下流側へと搬送されて定着装置23に進入し、この定着装置23によって用紙にトナー像が定着される。トナー像を定着された用紙は、第1の搬送路24又は第2の搬送路26のいずれかに進入する。第1の搬送路24に進入した用紙は、第1の排紙ローラーユニット25によって最終的に第1の排紙トレイ4上に排出される。第2の搬送路26に進入した用紙は、第2の排紙ローラーユニット27によって最終的に第2の排紙トレイ5上に排出されるか、又は、両面印刷のために反転経路28へと搬送される。
【0036】
次に、図2〜図5を用いて、コンテナ18及びその周辺について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターの上部を示す断面図である。図3は、図2の要部拡大図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、第1の排紙トレイを示す下側からの斜視図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係るカラープリンターにおいて、第1の排紙トレイを示す上側からの斜視図である。なお、図2及び図3において、白抜き矢印は冷却風の流れを示し、太線Sは用紙を示している。
【0037】
図2に示されるように、各コンテナ18は、プリンター本体2の上部に設けられたコンテナ収納部31に着脱自在に装着されている。コンテナ収納部31には、複数の側板32によって区画される4個の装着部33が左右に並んでおり、各装着部33には、前記したコンテナ18がそれぞれ着脱自在に装着されている。
【0038】
図3に示されるように、右端のコンテナ18の右方には前記した定着装置23が設けられている。定着装置23は、コンテナ収納部31と区画板34によって区画され、この区画板34の上部には段差部35が設けられている。
【0039】
定着装置23は、加熱ローラー36と、加熱ローラー36の右方に設けられる加圧ローラー37と、加熱ローラー36の左方に設けられるIHコイルユニット38と、を備えている。つまり、定着装置23は、誘導加熱式(IH式)の定着装置23である。
【0040】
加圧ローラー37は、付勢手段(図示せず)の付勢力によって加熱ローラー36に圧接しており、加熱ローラー36と加圧ローラー37の間には定着ニップ40が形成され、加圧ローラー37が加熱ローラー36の回転に従動して回転するようになっている。そして、搬送経路20に沿って搬送されてきた用紙を、定着ニップ40において加熱及び加圧することで、用紙上にトナー像を定着させるようになっている。
【0041】
IHコイルユニット38は、ケース部材41と、ケース部材41内に収納され、加熱ローラー36の外周に沿って円弧状に配置される誘導加熱コイル42と、ケース部材41内に収納され、誘導加熱コイル42の外周に沿って配置されるアーチコア43と、を備えている。アーチコア43は、例えば、フェライトによって構成される。
【0042】
右端のコンテナ18の右上方には、第1の排紙ローラーユニット25が設けられている。第1の排紙ローラーユニット25は、駆動ローラー44と、この駆動ローラー44の上方に配置される従動ローラー45と、を備えている。
【0043】
駆動ローラー44は、駆動源(図示せず)と複数のギア(図示せず)を介して接続されており、駆動源からの駆動力によって回転するように構成されている。従動ローラー45は駆動ローラー44に圧接しており、駆動ローラー44と従動ローラー45の間には排出ニップ46が形成され、駆動ローラー44の回転に従動して従動ローラー45が回転するようになっている。そして、駆動ローラー44及び従動ローラー45を回転させることで、搬送経路20に沿って搬送されてきた用紙を、第1の排紙トレイ4へと排出できるようになっている。
【0044】
図2に示されるように、左端のコンテナ18の左方には、コンテナ冷却ファン47が設けられている。コンテナ冷却ファン47は、各コンテナ18を挟んで定着装置23の反対側に設置されている。コンテナ冷却ファン47は、左から右に向かって送風できるような向きで設置されている。コンテナ冷却ファン47の更に左方には、外装カバーの一部を成す左カバー48が上下方向に設けられている。
【0045】
各コンテナ18の上方には主ダクト50が左右方向に形成され、主ダクト50の上側を覆うようにして、前記した第1の排紙トレイ4が設けられている。第1の排紙トレイ4は、略左右方向に延びる載置部51と、この載置部51の右端部から第1の排紙ローラーユニット25側(本実施形態では上側)に突出する突部54と、を備えている。
【0046】
載置部51は、第1の排紙ローラーユニット25の左下方に位置しており、第1の排紙ローラーユニット25から排出された用紙が載置部51に載置されるようになっている。載置部51の左端部には、下方に向かって窪むストッパー収納部52が設けられ、ストッパー収納部52には用紙ストッパー53が収納されている。
【0047】
載置部51の左端部には、左下方に傾斜するルーバー55が設けられ、ルーバー55の下端部が左カバー48の上端部に当接している。ルーバー55は、コンテナ冷却ファン47よりも外側(本実施形態では左側)に配置されており、コンテナ冷却ファン47の左側面の上部を覆うように設けられている。ルーバー55には、複数の吸気口56が水平方向に穿設されている。各吸気口56は、例えば横長なスリット状を成しており、縦横3列ずつ設けられている。
【0048】
載置部51の左端部から右側部に亘る部分は上方に向かって膨出している。図4に示されるように、載置部51の下面には、上記した膨出部分と対応する位置に、左右方向に沿って複数のリブ57が突設されている。
【0049】
図5等に示されるように、突部54は、載置部51の右端部から上方に向かって屈曲される第1側板58と、この第1側板58の上端から右方に向かって屈曲される上板60と、上板60の右端から下方に向かって屈曲される第2側板61と、を備えている。
【0050】
図3に示されるように、突部54には、第1側板58と第2側板61の間に副ダクト62が形成されている。副ダクト62は、上方に向かって左右幅が徐々に狭くなっている。副ダクト62は、第1側板58と区画板34の間の隙間63を介して、主ダクト50と連通している。第2側板61の下端部は、区画板34の段差部35に当接している。
【0051】
突部54の先端には、上板60と第2側板61に跨って送風口64が穿設され、この送風口64を介して副ダクト62と第1の排紙ローラーユニット25側の空間が連通している。以上のように、本実施形態では、主ダクト50と、第1側板58と区画板34の間の隙間63と、副ダクト62と、によってコンテナ冷却ファン47から送風口64に至るダクト66が形成されている。
【0052】
図5に示されるように、送風口64は、前後方向に長い形状を成している。突部54には、第1側板58と第2側板61の間に複数の補助板65が設けられており、この補助板65によって送風口64が前後に区画されている。
【0053】
上記の如く構成されたものにおいて、画像形成動作に伴ってコンテナ冷却ファン47を稼働させると、ルーバー55の吸気口56を介して導入された外気がコンテナ冷却ファン47に吸引され、図2に矢印Aで示されるように、コンテナ冷却ファン47からの冷却風が主ダクト50を左から右に向かって流動する。この冷却風によって各コンテナ18が冷却される。
【0054】
図3に矢印Bで示されるように、各コンテナ18を冷却した冷却風は、隙間63を介して副ダクト62に流入し、送風口64から第1の排紙ローラーユニット25の排出ニップ46付近に向かって吹き出される。この吹き出された冷却風によって、第1の排紙ローラーユニット25に搬送されてきた用紙が冷却される。
【0055】
以上のように、本実施形態では、第1の排紙ローラーユニット25に向かって冷却風を送るための送風口64が第1の排紙トレイ4に設けられている。そのため、第1の排紙ローラーユニット25を通過中の用紙に冷却風を確実に吹き付けることが可能となり(図3参照)、第1の排紙トレイ4に排出される前に用紙を十分に冷却することが可能となる。従って、高温の用紙が第1の排紙トレイ4上に積層して一の用紙のトナーが他の用紙に貼りついてトナーが剥がれてしまうような不具合を抑制することが可能となる。また、既存の部品である第1の排紙トレイ4に送風口64を設けており、送風口64を形成するための部材を別途に追加する必要が無いため、部品点数を削減して低コスト化を図ることが可能となる。
【0056】
また、コンテナ冷却ファン47から送風口64に至るダクト66が形成されているため、コンテナ冷却ファン47からの冷却風によって、コンテナ18と用紙の両方を冷却することが可能となる。つまり、コンテナ冷却ファン47を用紙の冷却に併用することが可能となる。そのため、用紙冷却専用のファンを設ける場合と比較してファンの数を減少させることが可能となり、製造コストの抑制、スペースの節約及び騒音の低減を図ることが可能となる。また、構成がシンプルであるため、実機への搭載が容易に実現できる。
【0057】
なお、各コンテナ18を冷却した後の冷却風は、多少温度が上昇するが、熱を持ったまま第1の排紙ローラーユニット25を通過する用紙に比べると、温度が十分に低い。そのため、用紙を十分に冷却することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、用紙が積層される第1の排紙トレイ4とコンテナ18の間に主ダクト50が形成されているため、主ダクト50を流れる冷却風によって用紙からコンテナ18への熱伝達を遮断することが可能となり、各コンテナ18の冷却性能を一層高めることが可能となる。
【0059】
また、上記した主ダクト50の上側を覆う第1の排紙トレイ4の下面には、コンテナ冷却ファン47の送風方向に沿って複数のリブ57が突設されている。そのため、各コンテナ18の周囲の空間に冷却風が拡散するのをリブ57によって抑制することが可能となり、一定量の冷却風を確実に送風口64に供給することが可能となる。そのため、用紙の冷却効果を一層高めることが可能となる。
【0060】
また、コンテナ冷却ファン47が各コンテナ18を挟んで定着装置23の反対側に設置されているため、最大の熱源である定着装置23から離間した位置にコンテナ冷却ファン47を設置することが可能となる。そのため、定着装置23から発生する熱によってコンテナ冷却ファン47からの冷却風が高温化するのを抑制することが可能となり、コンテナ18及び用紙の冷却性能を一層向上させることが可能となる。
【0061】
また、第1の排紙ローラーユニット25側に突出する突部54を第1の排紙トレイ4に設け、上記した突部54の先端に送風口64が形成されている。そのため、送風口64を第1の排紙ローラーユニット25に接近させることが可能となり、用紙の冷却性能を一層高めることが可能となる。
【0062】
<第2の実施形態>
次に、図6及び図7を用いて、第2の実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンター1について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係るカラープリンターの上部を示す断面図である。図7は、本発明の第2の実施形態に係るカラープリンターにおいて、IHコイルユニットを示す斜視図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。なお、図6において、白抜き矢印は冷却風の流れを示し、太線Sは用紙を示している。
【0063】
図6に示されるように、各コンテナ18の上方には第1の排紙トレイ4が配置され、コンテナ18と第1の排紙トレイ4の間の空間は仕切板71によって上下に区画されている。仕切板71と第1の排紙トレイ4の間には接続ダクト72が左右方向に形成されている。接続ダクト72は、第1の排紙トレイ4の突部54に設けられた副ダクト62と連通しており、接続ダクト72及び副ダクト62によってコンテナ冷却ファン47から送風口64に至る第1ダクト73が形成されている。
【0064】
右端のコンテナ18の右方には、区画板34との間にIH冷却ファン74が設置されており、コンテナ18と仕切板71の間には、コンテナ冷却ファン47からIH冷却ファン74に至る第2ダクト75が形成されている。
【0065】
図7に示されるように、IH冷却ファン74は、吸気ダクト76を介して、IHコイルユニット38のケース部材41の前端部に設けられた冷却吸気口77と接続されている。IHコイルユニット38のケース部材41の後端部には冷却排気口78が設けられ、この冷却排気口78は、排気ダクト80を介して、カラープリンター1の背面側の空間と接続されている。
【0066】
上記の如く構成されたものにおいて、画像形成動作に伴ってコンテナ冷却ファン47及びIH冷却ファン74を稼働させると、ルーバー55の吸気口56を介して導入された外気がコンテナ冷却ファン47に吸引される。そして、図6に示されるように、コンテナ冷却ファン47の上部からの冷却風が接続ダクト72を左から右に向かって流動する。この冷却風は、副ダクト62に流入し、送風口64から第1の排紙ローラーユニット25の排出ニップ46付近に向かって吹き出される。この吹き出された冷却風によって、第1の排紙ローラーユニット25に搬送されてきた用紙が冷却される。
【0067】
また、コンテナ冷却ファン47の下部からの冷却風は、第2ダクト75を左から右に向かって流動する。この冷却風によって各コンテナ18が冷却される。各コンテナ18を冷却した冷却風はIH冷却ファン74に吸引される。そして、IH冷却ファン74から吸気ダクト76に送られて冷却吸気口77からIHコイルユニット38内に流入する。そして、IHコイルユニット38内を前から後ろに流動してIHコイルユニット38を冷却した後、冷却排気口78から排気ダクト80に流入し、排気ダクト80の後端部からカラープリンター1の後方の空間に排出される。
【0068】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、コンテナ冷却ファン47からの冷却風によって、コンテナ18と用紙の両方を冷却することが可能となっている。つまり、コンテナ冷却ファン47を用紙の冷却に併用することが可能となる。そのため、用紙冷却専用のファンを設ける場合と比較してファンの数を減少させることが可能となり、製造コストの抑制、スペースの節約及び騒音の低減を図ることが可能となる。
【0069】
また、IHコイルユニット38は、誘導加熱コイル42に温度のスペックが存在する上に、誘導加熱コイル42の温度が低い程誘導加熱機能が高まる。そのため、IHコイルユニット38の冷却が必須となる。そこで、本実施形態では、コンテナ冷却ファン47からの冷却風をIH冷却ファン74に吸引させ、このIH冷却ファン74からの冷却風によってIHコイルユニット38を冷却している。このような構成により、IHコイルユニット38の冷却効率を高めることができる。
【0070】
なお、各コンテナ18を冷却した後の冷却風は、多少温度が上昇するが、IHコイルユニット38に比べると温度が十分に低い。そのため、用紙を十分に冷却することが可能となる。
【0071】
また、コンテナ18と第1の排紙トレイ4の間の空間を仕切板71によって上下に仕切ることで、仕切板71の上下にそれぞれ空気層が形成されることになる。そのため、第1の排紙トレイ4上に積層した用紙からの熱が第2ダクト75の下方に配置されるコンテナ18に伝達されにくくなり、コンテナ18内のトナーの固化を防止することができる。
【0072】
第1、第2の実施形態では、第1の排紙トレイ4のみに送風口64を設ける場合について説明したが、他の異なる実施形態では、第2の排紙トレイ5のみに送風口64を設けたり、第1の排紙トレイ4と第2の排紙トレイ5の両方に送風口64を設けたりしても良い。
【0073】
第1、第2の実施形態では、定着装置23を加熱する手段としてIHコイルユニット38を用いたが、他の異なる実施形態では、例えばハロゲンヒーター等の他の加熱手段を用いて定着装置23を加熱しても良い。
【0074】
第1、第2の実施形態では、カラープリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、モノクロプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 カラープリンター(画像形成装置)
4 第1の排紙トレイ
18 コンテナ
23 定着装置
25 第1の排紙ローラーユニット
38 IHコイルユニット
47 コンテナ冷却ファン
51 載置部
54 突部
57 リブ
64 送風口
66 ダクト
71 仕切板
73 第1ダクト
74 IH冷却ファン
75 第2ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙にトナー像を定着させる定着装置と、該定着装置によってトナー像を定着された用紙を最終的に排紙トレイに排出する排紙ローラーユニットと、を備えた画像形成装置であって、
前記排紙トレイには、前記排紙ローラーユニットに向かって冷却風を送るための送風口が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナーを収容するコンテナと、
該コンテナを冷却するコンテナ冷却ファンと、
該コンテナ冷却ファンから前記送風口に至るダクトと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ダクトは、前記排紙トレイによって上側を覆われ、該排紙トレイの下面には、前記コンテナ冷却ファンの送風方向に沿ってリブが突設されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナーを収容するコンテナと、
該コンテナを冷却するコンテナ冷却ファンと、
前記定着装置に設けられるIHコイルユニットと、
該IHコイルユニットを冷却するIH冷却ファンと、
前記コンテナ冷却ファンから前記送風口に至る第1ダクトと、
前記コンテナ冷却ファンから前記IH冷却ファンに至る第2ダクトと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記コンテナの上方に前記排紙トレイが配置され、
前記コンテナと前記排紙トレイの間の空間は、仕切板によって上下に仕切られ、該仕切板と前記排紙トレイの間に前記第1ダクトが形成され、前記仕切板と前記コンテナの間に前記第2ダクトが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コンテナ冷却ファンは、前記コンテナを挟んで前記定着装置の反対側に設置されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記排紙トレイは、
前記排紙ローラーユニットから排出された用紙が載置される載置部と、
該載置部から前記排紙ローラーユニット側に突出する突部と、を備え、
該突部の先端に前記送風口が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−114134(P2013−114134A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261638(P2011−261638)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】