説明

画像形成装置

【課題】定着装置の種別を識別する制御信号を用いることなく、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたことを検知する。
【解決手段】記録紙上に形成されたトナー像を記録紙に定着させる着脱可能な定着装置260を備えた画像形成装置250であって、画像形成装置250と定着装置260とは、複数の端子を有するコネクタ240、241を介して接続され、定着装置260は、記録紙を加熱するヒータとヒータの温度を検知するサーミスタ222、223を有し、画像形成装置250に装着されたときに、定着装置260が装着されたことを示す装着信号と、サーミスタが出力する温度検知信号TH1、TH2を、画像形成装置250と対応した所定の前記端子を介して、画像形成装置に出力し、装着信号と温度検知信号に基づいて、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたことを検知する制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を記録紙に定着させる着脱可能な定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、トナー像を記録紙上に定着させる定着装置の機種や形態により、画像形成スピード等の性能が異なる。従って、画像形成装置の機種により定着装置の特性も相違するため、画像形成装置の性能に合った正規の定着装置を装着して使用するようになっている。また、定着装置をユニット化し、画像形成装置に着脱可能な構成とすることが一般的に行なわれており、昨今の画像形成装置の多様化に伴い、ヒータ以外を共通化して、異なる画像形成装置にも着脱可能な定着装置も増えている。このため、サービス時やメンテナンス時等では定着装置を目視にて識別し、正規の(対応した)定着装置を画像形成装置に装着するようにしているが、目視によるチェックだけでは、正規の定着装置と異なる定着装置を誤って装着してしまうおそれがある。例えば、画像形成装置の定格電源電圧と、定着装置の発熱体仕様が誤った組みあわせとなる非正規の(対応していない)定着装置が誤って装着された場合には、仕様の違いによる不適合により、不測の事態が生じる場合がある。このような事態を回避するために、例えば特許文献1に開示されているような、定着装置の定格電圧を識別する手段を画像形成装置に設ける方法がある。この方法によれば、定着装置が装着された場合には、画像形成装置と定着装置の定格電圧を検知し、互いの定格電圧が適合しない場合には、非正規の定着装置が装着されたと判断されて、ヒータへの給電が停止される。
【0003】
また、定着装置の種別を識別する信号を設け、識別信号により定着装置の適否を検知する方法も考えられる。ところが、この場合には、識別すべき定着装置の数が増えていくと、それに伴い、識別信号の種類(数)も増えてしまう。そこで、定着装置の種別については識別せず、定着装置の装着/未装着のみを検知し、非正規の定着装置が装着された場合には、定着装置は未装着と判断する装着検知方法が画像形成装置では用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−84943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前述した定着装置の装着検知方法では、非正規の定着装置を誤って装着した場合には、ユーザに対しては、非正規の定着装置が装着されたと報知されるのではなく、定着装置は未装着状態であると報知されていた。そのため、ユーザは、非正規の定着装置が装着されていることを認識し難いという課題があった。
【0006】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、定着装置の種別を識別する信号を用いることなく、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたことを検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明は以下の構成を備える。
【0008】
(1)記録紙上に形成されたトナー像を前記記録紙に定着させる着脱可能な定着装置を備えた画像形成装置であって、前記画像形成装置と前記定着装置とは、複数の端子を有するコネクタを介して接続され、前記定着装置は、前記記録紙を加熱するヒータと前記ヒータの温度を検知する温度検知手段を有し、前記画像形成装置に装着されたときに、定着装置が装着されたことを示す装着信号と前記温度検知手段が出力する温度検知信号を、前記画像形成装置と対応した所定の前記端子を介して、前記画像形成装置に出力し、前記装着信号と前記温度検知信号に基づいて、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたことを検知する制御手段を備えた画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、定着装置の種別を識別する信号を用いることなく、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたことを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の画像形成装置の構成を示す図
【図2】実施例1のヒータの駆動及び制御を行う回路の模式図
【図3】実施例1の画像形成装置と定着装置の接続状態を示す図
【図4】実施例1の画像形成装置と定着装置の接続状態を示す図
【図5】実施例1の画像形成装置と定着装置の接続時の検知信号の状態を示す図
【図6】実施例2の画像形成装置と定着装置の接続状態、及び画像形成装置と定着装置の接続時の検知信号の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
[画像形成装置の概要]
図1は、本実施例の定着装置を含む画像形成装置の構成を示す図である。図1において、給紙カセット101に積載された記録紙は、ピックアップローラ102によって1枚だけ給紙カセット101から送出され、給紙ローラ103によってレジストローラ104に向けて搬送される。更に、記録紙は、レジストローラ104によって、所定のタイミングで転写ローラ110へ搬送される。プロセスカートリッジ105は、帯電ローラ106、現像ローラ107、クリーナ108、及び感光ドラム109により構成されている。感光ドラム109は、帯電ローラ106によって表面を一様に帯電された後、像露光手段であるスキャナユニット111により、画像信号に基づいた像露光が行なわれる。スキャナユニット111内のレーザダイオード112から出射されるレーザ光は、回転多面鏡113、反射ミラー114を経て主走査方向に走査され、更に感光ドラム109の回転により副走査方向に走査され、2次元の静電潜像が感光ドラム109上に形成される。感光ドラム109上の静電潜像は、現像ローラ107によってトナー像として可視化され、トナー像は、転写ローラ110によって、レジストローラ104から搬送された記録紙上に転写される。
【0013】
続いて、トナー像が転写された記録紙は、定着装置115に搬送されると、加熱定着処理が行われ、未定着トナー像が記録紙に定着される。記録紙は、更に中間排紙ローラ116、排紙ローラ117によって画像形成装置から排出され、一連の画像形成動作が終了する。
【0014】
[ヒータ制御回路の概要]
図2は、本実施例の定着装置115内のヒータの駆動及び制御を行うヒータ制御回路の模式図である。図2において、発熱体203は、双方向3端子サイリスタ(以下、トライアックという)205を介して、交流電源201に接続されている。そして、トライアック205は、交流電源201から発熱体203への給電、又は給電の遮断を行う。抵抗207、208は、トライアック205のためのバイアス抵抗である。トランジスタ212は、抵抗213を介してCPU220に接続されている。CPU220は、制御信号FSRD1によってトランジスタ212のオン/オフ動作を制御し、制御信号FSRD1がハイレベルのときにはトランジスタ212はオン状態となり、ローレベルのときには、トランジスタ212はオフ状態となる。フォトトライアックカプラ209は、一次側が発光ダイオード、二次側がトライアックで構成されたフォトカプラであり、一次側と二次側の電気的絶縁を確保するために設けられている。抵抗211は、フォトトライアックカプラ209の電流を制限するための抵抗である。トランジスタ212がオン状態になると、フォトトライアックカプラ209の発光ダイオードに電流が流れ、トライアック205がオンし、交流電源201から発熱体203へ給電が行われる。逆に、トランジスタ212がオフ状態になると、フォトトライアックカプラ209の発光ダイオードには電流が流れなくなり、トライアック205はオフし、交流電源201から発熱体203への給電が遮断される。即ち、CPU220は、制御信号FSRD1をハイレベルにすることにより発熱体203への給電を行い、制御信号FSRD1をローレベルにすることにより発熱体203への給電の遮断を行って、発熱体の給電制御を行う。
【0015】
第1の温度検知手段であるメインサーミスタ222は、発熱体203が形成されているセラミック面状発熱体ヒータ(以下、セラミック面発ヒータという)224の、第1の場所である中央部の温度を検知するためのサーミスタである。メインサーミスタ222は、発熱体203に対して、絶縁距離を確保できるように、絶縁耐圧を有する絶縁物を介して、セラミック面発ヒータ224上に配置される。また、第2の温度検知手段であるサブサーミスタ223は、セラミック面発ヒータ224の、第2の場所である端部の温度を検知するためのサーミスタである。サブサーミスタ223も、発熱体203に対して、絶縁距離を確保できるように、絶縁耐圧を有する絶縁物を介して、セラミック面発ヒータ224の端部に配置される。メインサーミスタ222によって検知される、セラミック面発ヒータ224の温度は、抵抗225とメインサーミスタ222の分電圧として検知され、第1の温度検知信号であるTH1信号としてCPU220に入力される。同様に、サブサーミスタ223によって検知される、セラミック面発ヒータ224の温度は、抵抗226とサブサーミスタ223の分電圧として検知され、第2の温度検知信号であるTH2信号としてCPU220に入力される。CPU220は、TH1信号、TH2信号に基づいてセラミック面発ヒータ224の温度を検知し、設定された目標温度と比較して、例えばPI(比例・積分)制御により、発熱体203へ供給する電力を算出する。更に、CPU220は、供給する電力に対応した位相角(位相制御)の場合の制御レベル、又は波数(波数制御)の場合の制御レベルに換算し、位相制御又は波数制御の制御条件に従って、トランジスタ212に制御信号FSRD1を送出する。
【0016】
[定着装置の装着検知方法]
図3は、画像形成装置Aと2つの定着装置A、Bを接続した状態を示す模式図である。図3(a)は、画像形成装置A250と、画像形成装置Aの正規の定着装置である定着装置A260を、複数の端子を有するコネクタを介して接続した場合の模式図である。
【0017】
図3(a)に示すように、画像形成装置A250側のコネクタ240の1番端子は、定着装置の装着を検知するCPU220の入力ポートIO1と抵抗231に接続され、抵抗231の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。同様に、コネクタ240の3番端子は、メインサーミスタ222の温度検知を行うCPU220のADポート(アナログ/デジタル入力ポート)AD1と抵抗225に接続され、抵抗225の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。更に、コネクタ240の5番端子は、サブサーミスタ223の温度検知を行うCPU220のADポートAD2と抵抗226に接続され、抵抗226の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。また、画像形成装置A250側のコネクタ240の2、4、6番端子は、接地されている。
【0018】
定着装置A260は、画像形成装置A250に対して着脱可能な定着ユニットであり、図3(a)に示すように、コネクタ240、241を介して、定着装置A260側の回路(配線)と画像形成装置A250側の回路(配線)が接続される。コネクタ240、241は、1番端子〜6番端子の6端子で構成されており、コネクタ内の数字は、端子番号を示している。定着装置A260のコネクタ241の1、2番端子はジャンパ線232でショートされ、3、4番端子には、メインサーミスタ222が、5、6番端子には、サブサーミスタ223が接続されている。
【0019】
定着装置A260が画像形成装置A250に装着されると、コネクタ241の2番端子は画像形成装置A250内で接地される。その結果、定着装置A260のジャンパ線232によって、画像形成装置A250のコネクタ240の1番端子の入力電圧レベルはGNDレベル(以下、ローレベルという)となり、CPU220の入力ポートIO1はローレベルに保たれる。定着装置A260が未装着の場合には、コネクタ240の1番端子は、抵抗231によって電源電圧Vccレベル(以下、ハイレベルという)に保たれるため、入力ポートIO1はハイレベルとなる。
【0020】
また、定着装置A260が画像形成装置A250に装着されると、定着装置のメインサーミスタ222が接続されたコネクタ241の4番端子は接地され、3番端子はCPU220のADポートAD1と電源電圧Vccにプルアップされた抵抗225に接続される。その結果、CPU220のADポートAD1には、電源電圧Vccを抵抗225とメインサーミスタ222の抵抗値で分圧された電圧、即ち、メインサーミスタ222で検知されたセラミック面発ヒータ224の中央部の温度に応じた電圧が入力される。サブサーミスタ223についても、メインサーミスタ222と同様の動作によって、CPU220のADポートAD2に、サブサーミスタ223で検知されたセラミック面発ヒータ224の端部温度に応じた電圧が入力される。なお、画像形成装置A250に、正規の定着装置である定着装置A260が装着された状態で、セラミック面発ヒータ224が異常高温状態のときには、CPU220のADポートAD1、AD2への入力がローレベルになる。また、定着装置A260が未装着の場合には、コネクタ240の3番、5番端子がそれぞれ抵抗225、226によりハイレベルに保たれるため、CPU220のADポートAD1、AD2の入力はハイレベルとなる。
【0021】
CPU220は、定着装置の装着を検知する入力ポートIO1の入力がハイレベル(未装着)だった場合には、温度検知手段であるメインサーミスタ222、サブサーミスタ223が接続されるADポートAD1、AD2の入力レベルの検知を行う。そして、CPU220は、2つのADポートのうち、少なくとも1つのADポートの入力がローレベルの場合には、定着装置が未装着であるにも拘らず、ADポートの入力がローレベルになることはありえないので、非正規の定着装置が装着されたと判断する。また、ADポートAD1、AD2の両方の入力がハイレベルの場合には、CPU220は、定着装置は未装着と判断する。
【0022】
次に、画像形成装置A250に対して、非正規の定着装置である定着装置B261を装着した場合について説明する。図3(b)は、画像形成装置A250と、定着装置B261とをコネクタを介して接続した場合の模式図である。定着装置B261においては、コネクタ242の1、2番端子には、メインサーミスタ222が接続され、3、4番端子は、ジャンパ線232でショートされ、5、6番端子には、サブサーミスタ223が接続されている。定着装置A260と定着装置B261では、ジャンパ線とメインサーミスタ222が接続された端子が異なっている。
【0023】
図3(b)に示すように、画像形成装置A250に定着装置B261が装着された場合、CPU220の入力ポートIO1には、電源電圧Vccを抵抗231とメインサーミスタ222の抵抗値で分圧された電圧が入力される。常温では、メインサーミスタ222の抵抗値は、抵抗231に比べて十分大きいため、入力ポートIO1の入力レベルはハイレベルとなる。また、CPU220のADポートAD1には、定着装置B261内のジャンパ線232で折り返されたローレベルが入力される。CPU220は、入力ポートIO1がハイレベル、ADポートAD1がローレベルの検知結果より、非正規の定着装置が装着されたと判断する。
【0024】
図5(a)は、画像形成装置A250に、定着装置が未装着の場合、定着装置A260を装着した場合、定着装置B261を装着した場合における、CPU220のIO1、AD1、AD2ポートの信号検知結果と定着装置の装着判断結果をまとめた表である。図3(a)に示すように、画像形成装置A250に定着装置A260が装着された場合には、CPU220は、入力ポートIO1の入力レベルがローレベルとなり、正規の定着装置A260が装着されたと判断する。また、このとき、ADポートAD1、AD2には、セラミック面発ヒータ224の中央部、端部の温度を示すヒータ温度検知レベルの電圧が入力される。
【0025】
画像形成装置A250に定着装置が未装着の場合には、CPU220の入力ポートIO1の入力レベルがハイレベルとなる。また、CPU220のADポートAD1、AD2の入力レベルもハイレベルとなる。CPU220は、入力ポートIO1がハイレベル、ADポートのAD1がハイレベル、AD2がハイレベルの検知結果より、定着装置が未装着と判断する。そして、CPU220は、不図示の表示パネル等のユーザインタフェースを介して、定着装置が未装着であることをユーザに報知する。
【0026】
図3(b)に示すように、画像形成装置A250に定着装置B261が装着された場合には、CPU220の入力ポートIO1の入力レベルはハイレベルとなる。また、CPU220のADポートAD1には、ローレベルが入力される。CPU220は、入力ポートIO1がハイレベル、ADポートAD1がローレベルの検知結果より、非正規の定着装置が装着されたと判断する。そして、CPU220は、不図示の表示パネル等のユーザインタフェースを介して、非正規の定着装置が装着されたことをユーザに報知する。なお、ADポートAD2には、サブサーミスタ223で検知されたセラミック面発ヒータ224の端部温度に応じた電圧が入力される。
【0027】
次に、図4は、画像形成装置Bと2つの定着装置A、Bを接続した状態を示す模式図である。図4(a)は、画像形成装置B251と、画像形成装置Bには非正規の定着装置である定着装置A260とをコネクタを介して接続した場合の模式図である。なお、コネクタ内の番号は、端子番号を示している。
【0028】
まず、画像形成装置B251について説明する。画像形成装置B251側のコネクタ243の3番端子は、CPU220の入力ポートIO1と抵抗231に接続され、抵抗231の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。同様に、コネクタ243の1番端子は、CPU220のADポートAD1と抵抗225に接続され、抵抗225の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。更に、コネクタ243の5番端子は、CPU220のADポートAD2と抵抗226に接続され、抵抗226の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。画像形成装置B251側のコネクタ243の2、4、6番端子は、接地されている。
【0029】
図4(a)に示すように、画像形成装置B251に定着装置A260が装着された場合には、CPU220の入力ポートIO1には、電源電圧Vccを抵抗231とメインサーミスタ222の抵抗値で分圧された電圧が入力される。常温では、メインサーミスタ222の抵抗値は、抵抗231に比べて十分大きいため、入力ポートIO1の入力レベルはハイレベルとなる。また、CPU220のADポートAD1には、定着装置A260内のジャンパ線232で折り返されたローレベルが入力される。CPU220は、入力ポートIO1がハイレベル、ADポートAD1がローレベルの検知結果より、非正規の定着装置が装着されたと判断する。そして、CPU220は、不図示の表示パネル等のユーザインタフェースを介して、非正規の定着装置が装着されたことをユーザに報知する。なお、ADポートAD2には、サブサーミスタ223で検知されたセラミック面発ヒータ224の端部温度に応じた電圧が入力される。
【0030】
次に、図4(b)に示すように、定着装置B261が画像形成装置B251に装着された場合には、定着装置B261のジャンパ線232によって、CPU220の入力ポートIO1はローレベルになる。また、定着装置B261が画像形成装置B251に装着された場合には、CPU220のADポートAD1には、メインサーミスタ222で検知されたセラミック面発ヒータ224の温度に応じた電圧が入力される。更に、CPU220のADポートAD2には、サブサーミスタ223で検知されたセラミック面発ヒータ224の端部温度に応じた電圧が入力される。なお、画像形成装置B251に、正規の定着装置である定着装置B261が装着された状態で、セラミック面発ヒータ224が異常高温状態のときは、CPU220のADポートAD1、AD2への入力がローレベルになる。また、定着装置B261が未装着の場合には、コネクタ243の3番、1番、5番端子はハイレベルに保たれるので、CPU220の入力ポートIO1、及びADポートAD1、AD2への入力はハイレベルとなる。
【0031】
図5(b)は、画像形成装置B251に、定着装置が未装着の場合、定着装置A260を装着した場合、定着装置B261を装着した場合における、CPU220のIO1、AD1、AD2ポートの信号検知結果と定着装置の装着判断結果をまとめた表である。図5(b)の表の見方や判定条件については、図5(a)と同様であり、表中の内容については、上述した通りなので、説明を省略する。
【0032】
以上説明したように、本実施例によれば、定着装置の種別を識別する信号を用いることなく、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたことを検知することができる。特に、本実施例では、定着装置の装着を検知する手段とセラミック面発ヒータの温度を検知する手段の検知結果により、定着装置の種別を判別するための信号を設けなくても、画像形成装置に対応していない定着装置の装着を検知することができる。そして、定着装置の誤装着をユーザへ報知することにより、ユーザビリティを向上させることができる。
【0033】
なお、本実施例では、定着装置によって、メインサーミスタとジャンパ線のコネクタ端子との接続位置を入れ替えたが、サブサーミスタとジャンパ線の接続位置を入れ替えた方法でも、同様の判別が可能である。更に、サブサーミスタの接続位置も入れ替えることにより、本実施例のように6個の端子を有するコネクタの場合には、上述した2種類の定着装置に、更にもう1種類の定着装置を加えて、計3種類の定着装置の識別が可能となる。
【実施例2】
【0034】
実施例2について、図6を用いて、以下に説明する。実施例1では、CPU220の入力ポートの入力が正規の定着装置が装着された場合にはローレベル、未装着又は非正規の定着装置が装着された場合にはハイレベルとなる回路構成により、定着装置の装着を検知していた。本実施例では、定着装置に設けられた、記録紙の有無を検知する記録紙検知手段である紙有無センサの出力を、定着装置が装着されたことを示す装着信号とすることにより、定着装置が装着されたことを検知する点が、実施例1とは異なる。
【0035】
[定着装置の装着検知方法]
図6(a)、(b)は、画像形成装置Cと2つの定着装置C、Dを接続した状態を示す模式図である。図6(a)は、画像形成装置Cと、画像形成装置Cの正規の定着装置である定着装置Cとをコネクタを介して接続した場合の模式図である。図6(b)は、画像形成装置Cに対して、非正規の定着装置である定着装置Dを、コネクタを介して接続した場合の模式図である。
【0036】
図6(a)に示すように、画像形成装置C270側のコネクタ244の1番端子は、定着装置の装着を検知するCPU220の入力ポートIO2と抵抗291に接続され、抵抗291の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。同様に、コネクタ244の2番端子は、メインサーミスタ222の温度検知を行うCPU220のADポートAD1と抵抗225に接続され、抵抗225の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。更に、コネクタ244の4番端子は、サブサーミスタ223の温度検知を行うCPU220のADポートAD2と抵抗226に接続され、抵抗226の他端は電源電圧Vccでプルアップ接続されている。画像形成装置C270側のコネクタ244の3、5番端子は、接地されている。
【0037】
定着装置C280は、画像形成装置C270に対して着脱可能な定着ユニットであり、図6(a)に示すように、コネクタ244、245を介して、定着装置C280側の回路(配線)と画像形成装置C270側の回路(配線)が接続される。コネクタ244、245は、1番端子〜5番端子の5端子で構成され、コネクタ内の番号は、端子番号を示している。定着装置C280のコネクタ245の1番端子は、紙有無センサ290に接続されている。紙有無センサ290は、定着装置C280内に記録紙が存在する場合にはハイレベル、記録紙が存在しない場合にはローレベルを出力するセンサである。そして、コネクタ245の2、3番端子には、メインサーミスタ222が、4、5番端子には、サブサーミスタ223が接続されている。
【0038】
定着装置C280が画像形成装置C270に装着されると、定着装置C280に配置された紙有無センサ290の出力である紙有無検知信号が、コネクタ244、245の1番端子を介して、画像形成装置C270のCPU220の入力ポートIO2に入力される。CPU220は、入力ポートIO2の入力レベルがローレベルの場合には、正規の定着装置C280が装着され、定着装置内には記録紙が存在しない正常な状態であると判断する。なお、このとき、2つのADポートAD1、AD2には、それぞれメインサーミスタ222、サブサーミスタ223で検知されたセラミック面発ヒータ224の温度に応じた電圧であるヒータ温度検知レベルの電圧が入力される。一方、入力ポートIO2の入力レベルがハイレベルの場合には、CPU220は、温度検知手段であるメインサーミスタ222、サブサーミスタ223の出力が接続されたADポートAD1、AD2の入力レベルの検知を行う。そして、2つのADポートのうち、少なくとも1つのADポートの入力がローレベルであれば、通常では正規の定着装置を装着したときに、このような状態にはならないので、CPU220は非正規の定着装置が装着されたと判断する。2つのADポートの入力レベルがどちらも通常ヒータ温度レベルであった場合には、CPU220は、正規の定着装置C280が装着され、定着装置内に記録紙が存在していると判断する。また、入力ポートIO2、ADポートAD1、AD2の入力レベルがすべてハイレベルの場合には、CPU220は、定着装置は未装着と判断する。
【0039】
次に、画像形成装置C270に対して、非正規の定着装置である定着装置D281を装着した場合について説明する。図6(b)に示すように、定着装置D281においては、コネクタ246の1、3番端子には、メインサーミスタ222が接続され、2番端子には、紙有無センサ290が接続され、4、5番端子には、サブサーミスタ223が接続されている。
【0040】
画像形成装置C270に定着装置D281が装着された場合には、図6(b)に示すように、CPU220の入力ポートIO2には、電源電圧Vccを抵抗291とメインサーミスタ222の抵抗値で分圧された電圧が入力される。常温では、メインサーミスタ222の抵抗値は、抵抗291に比べて十分大きいため、このときのCPU220の入力ポートIO2の入力レベルはハイレベルとなる。また、CPU220のADポートAD1には、紙有無センサ290の出力が入力され、通常、定着装置を装着するときは、定着装置内には記録紙が存在しないため、ローレベルとなる。そこで、CPU220は、入力ポートIO2がハイレベル、ADポートのAD1がローレベル、AD2が通常ヒータ温度レベルという検知結果より、非正規の定着装置が装着されたと判断する。そして、CPU220は、不図示の表示パネル等のユーザインタフェースを介して、非正規の定着装置が装着されたことをユーザに報知する。
【0041】
図6(c)は、画像形成装置C270に、定着装置C280を装着した場合と定着装置D281を装着した場合における、CPU220のIO2、AD1、AD2ポートの信号検知結果と定着装置の装着判断結果をまとめた表である。図6(c)の表の見方は、図5の表と同様であり、表中の記載内容は、上述した内容をまとめたものであるので、説明を省略する。
【0042】
以上説明したように、本実施例によれば、定着装置の種別を識別する信号を用いることなく、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたことを検知することができる。特に、本実施例では、定着装置内の記録紙の有無検知を行う紙有無センサと、セラミック面発ヒータの温度を検知するサーミスタの検知結果により、定着装置の種別を判別するための信号を設けることなく、対応していない定着装置の装着を検知することができる。そして、定着装置の誤装着をユーザへ報知することにより、ユーザビリティを向上させることができる。
【0043】
なお、本実施例では、定着装置により、メインサーミスタと紙有無センサのコネクタにおける接続位置を入れ替えたが、サブサーミスタと紙有無センサの接続位置を入れ替えた方法でも、同様の判別が可能である。サブサーミスタの接続位置も入れ替えることにより、本実施例のように5個の端子を有するコネクタの場合には、上述した2種類の定着装置に、更にもう1種類の定着装置を加えて、計3種類の定着装置の識別が可能となる。
【符号の説明】
【0044】
220 CPU
222 メインサーミスタ
223 サブサーミスタ
240、241 コネクタ
250 画像形成装置
260、261 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙上に形成されたトナー像を前記記録紙に定着させる着脱可能な定着装置を備えた画像形成装置であって、
前記画像形成装置と前記定着装置とは、複数の端子を有するコネクタを介して接続され、
前記定着装置は、前記記録紙を加熱するヒータと前記ヒータの温度を検知する温度検知手段を有し、前記画像形成装置に装着されたときに、定着装置が装着されたことを示す装着信号と前記温度検知手段が出力する温度検知信号を、前記画像形成装置と対応した所定の前記端子を介して、前記画像形成装置に出力し、
前記装着信号と前記温度検知信号に基づいて、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたことを検知する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記装着信号は、前記定着装置に設けられた記録紙の有無を検知する記録紙検知手段が、前記定着装置内に記録紙がないことを検知した場合に出力する検知信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記装着信号は、前記画像形成装置に対応した前記定着装置が装着された場合に出力される所定の電圧レベルであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記装着信号を検知した場合には、画像形成装置に対応する定着装置が装着されたと判断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記装着信号を検知せず、前記温度検知信号により前記ヒータの異常高温を検知した場合には、画像形成装置に対応していない定着装置が装着されたと判断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記温度検知信号は、前記ヒータの第1の場所の温度を検知する第1の温度検知手段が出力する第1の温度検知信号と、前記ヒータの前記第1の場所とは異なる第2の場所の温度を検知する第2の温度検知手段が出力する第2の温度検知信号を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記装着信号を検知せずに、前記第1の温度検知信号及び前記第2の温度検知信号のうち、少なくとも1つの前記温度検知信号により前記ヒータの異常高温を検知した場合には、画像形成装置に対応しない定着装置が装着されたと判断することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−114158(P2013−114158A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261871(P2011−261871)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】