説明

画像形成装置

【課題】搬送経路の重複により印刷の待ち状況が生じない画像形成装置を提供すること。
【解決手段】給紙部20を出てから画像形成手段102を通り、排紙部30に至る第1の搬送路と、第1の搬送経路のうち給紙部20から前記1つの画像形成手段102までの間に設けた分岐部から分岐して他の1つの画像形成手段101を通り、前記第1の搬送経路上、前記分岐部よりも上流で合流するループ状の第2の搬送経路を有し、画像形成手段101で被記録媒体の第1面に画像を形成した後、前記1つの画像形成手段102により被記録媒体の第2面に画像形成をすることにより同一の被記録媒体の両面に画像を形成して前記排紙部へ排出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタやこれらのいくつかを複合させた複合機として知られる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の一形態として、インク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式が知られている。例えば、被記録媒体に向けてインク滴を吐出し着弾させて画像を形成するインクジェット記録装置がある。
【0003】
このような液体を用いる画像形成装置においては、インクなどの記録液を使用して画像を形成し、被記録媒体に着弾した記録液が乾燥するまでにはある程度の時間を要することから、着弾した記録液が乾燥するまでの間、被記録媒体を装置内で待機させてから排出する。また、両面印刷を行う場合には、先ず片面の印刷を終えたら一旦排出トレイ上に被記録媒体を排出してから、この被記録媒体を再度印刷部に送り、残る面を印刷してから排出トレイに排出するようにしている。
【0004】
本発明に最も近い従来技術にかかる画像形成装置として、複数の印字部と1つ以上の給紙部を有し、印字信号により、印字部と給紙部を選択して記録を行う画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
以下、図11を参照しつつ、上記特許文献1の段落0089に記載された説明を引用すると、「給紙部ユニット1から給紙された紙は、印字部ユニット2の可変紙ガイド2aにより矢印M方向に搬送され、搬送ローラ2bに供給される。記録ヘッド2cにより印字が行われた後、搬送ローラ2dを通って印字下流側へ搬送される。この時、可変紙ガイド2eの動作により、矢印N方向へ搬送され、開口部2fを通って、印字部ユニット3の開口部3aへ紙が供給される。さらに可変紙ガイド3bの動作により矢印O方向に搬送され、紙が反転した状態で搬送ローラ3cに供給される。記録ヘッド3dで反対面を印字した後、搬送ローラ3fを通って、矢印P方向に搬送される。反対面の印字が完全に終了した後、紙は、逆方向の矢印Q方向に搬送され、搬送ローラ3f、3cを通って、可変紙ガイド3gの動作により矢印I方向に搬送され、開口部4より排出される。上記動作により、両面印字が可能となる。」とある。
【0006】
このような両面印字方式では、(イ).図11に示された画像形成装置の中段部に配置された第1の画像形成手段(記録ヘッド2c)により第1面目の画像を形成した後、画像形成装置の上段部に設置された第2の画像形成手段(記録ヘッド3d)へ向けて矢印N、矢印Oで示される反転路を介して被記録媒体を搬送する搬送経路と、(ロ).第2の画像形成手段(記録ヘッド3d)により第2面目の画像を形成してから排紙部に送り出す搬送経路、とが合流する合流部を有する構成となっている。
【0007】
このような合流部があると、連続印刷する場合に、第2面目が印字された紙が上記(ロ)の搬送経路上にある間は、上記(イ)の搬送経路上にある第1面目が印字された紙を当該(イ)の搬送経路上に送り出すことができない。このため、上記(ロ)の搬送経路上から紙が送り出されるまで、上記(イ)の搬送経路上にある紙の送り出しを待たねばならないという待ち状況が生じる。これは、第2面目を印刷して排出部へ向う搬送経路と、第1面目の印字を終えて第2面目の画像形成に向う搬送経路とが重なっているためであり、搬送経路内で紙の搬送が停滞し画像形成の生産性を低下させる要因となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術におけるような搬送経路の重複により印刷の待ち状況が生じない画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1): 本発明の第1の手段の画像形成装置では、被記録媒体に向けて液滴を吐出する記録ヘッドにより画像形成をする複数の画像形成手段が上下方向に並列配置されていて、前記画像形成手段に向けて被記録媒体を送り出す給紙部と、画像形成後の被記録媒体が排出される排紙部を有する画像形成装置であって、
前記給紙部を出てから前記複数の画像形成手段の中の1つの画像形成手段を通り、前記排紙部に至る第1の搬送路と、
前記第1の搬送経路のうち前記給紙部から前記1つの画像形成手段までの間に設けた分岐部から分岐して前記複数の画像形成手段の中の他の1つの画像形成手段を通り、前記第1の搬送経路上、前記分岐部よりも上流で合流する第2の搬送経路を有し、
前記他の1つの画像形成手段で被記録媒体の第1面に画像を形成した後、前記1つの画像形成手段により被記録媒体の第2面に画像形成をすることにより同一の被記録媒体の両面に画像を形成して前記排紙部へ排出することとした。
この構成では、第1面を印刷する画像形成手段を含む前記他の1つの画像形成手段を含む第2の搬送経路は、前記1つの画像形成手段の上流側で第1の搬送経路から分岐し、かつ、この分岐部の上流で該第1の搬送経路に合流するのであるから、第2面目を印字して排出部へ向う搬送経路と、第1面目の印字を終えて第2面目の画像形成に向う搬送経路とは重ならず、よって、第1面目の印字を終えて第2面目の画像形成に向う被記録媒体が、第2面目の印字を終えた被記録媒体を待つ状況は生じ得ない。
(2): 本発明の第2の手段の画像形成装置では、前記第1の手段の画像形成装置において、
前記第1の搬送経路上であって前記給紙部と前記1つの画像形成手段との間で被記録媒体の片面に処理液を塗布する処理液塗布装置を備え、前記分岐部が前記第1の搬送経路上、前記処理液塗布装置と前記1つの画像形成手段との間の部位にあり、前記合流部を前記第1の搬送経路上であって前記給紙部と前記処理液塗布装置との間の部位とし、前記第2の搬送経路上、前記他の1つの画像形成手段の下流側に被記録媒体の向きを変える反転手段を設けた。
この構成では、第2の搬送経路であって、前記他の1つの画像形成手段と前記合流部の間に反転手段を設けたことにより、処理液の塗布面を処理液塗布装置に適合する側に合わせることができ、これにより、一台の処理液塗布装置で複数の画像形成手段に適合する印字面に対して処理液を塗布することができ、処理液塗布装置の設置台数を最小化できる。
(3): 本発明の第3の手段の画像形成装置では、第2の手段の画像形成装置において、
前記他の1つの画像形成手段を出た下流側の搬送経路を前記反転手段に至る経路から分岐して、前記第1の搬送経路上であって前記1つの画像形成手段と前記排紙手段との間に合流する第3の搬送経路を有することとした。
この構成では、前記他の1つの画像形成手段を出た用紙を第3の搬送経路を経由させることにより、反転させることなく排紙部に導くことができるので、前記1つの画像形成手段においても、また、前記他の1つの画像形成手段においても、それぞれ独立して片面画像形成が可能であり、複数の画像形成手段を交互に使用しての片面印字を行い印字の生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、第2面目を印字したのち、排出部へ向う搬送経路と、第1面目の印字を終えて第2面目の画像形成に向う搬送経路とは重なっていないので、構成上、第2面目の印字を終えた被記録媒体と、第1面目の印字を終えて第2面目の画像形成に向う被記録媒体との間に搬送経路の重なりに起因する印刷待ち状況は生じ得ず、画像形成の生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】例1に係わる画像形成装置の構成を示した図である。
【図2】図1における第2の搬送経路と第1の搬送経路との合流部の拡大図であり、(a)は給紙部からの用紙を優先、(b)は用紙反転後、搬送ローラ140からの用紙を優先させる場合をそれぞれ示す図である。
【図3】図1における処理液塗布装置直後の位置での第1の搬送経路からの第2の搬送経路への分岐部の拡大図であり、(a)は第1の搬送経路を辿る用紙を優先、(b)はループ状の第2の搬送経路へ進む経路を優先させる場合をそれぞれ示す図である。
【図4】図1における手差しトレイから画像形成手段に向かう経路と、処理液塗布装置から画像形成手段に向かう経路と合流部の拡大図であり、(a)は処理液塗布装置からの用紙を優先させて画像形成手段に送る場合、(b)は手差しトレイからの用紙を優先させて画像形成手段に送る場合をそれぞれ示す。
【図5】図1の画像形成装置について、第3の経路を付加した例2に係わる画像形成装置の構成を示した図である。
【図6】図5の画像形成装置において、各画像形成手段についてそれぞれ片面画像を形成する例2に係わる態様を示した図である。
【図7】図5の画像形成装置における第3の経路の切換え例を示し、(a)は第3の経路を用いない態様で用紙を反転経路に導く態様を説明した図であり、(b)は第3の経路を用いる態様を説明した図である。
【図8】例3に係わる画像形成装置を示した図である。
【図9】図8の画像形成装置において、第3の経路を追加した例4に係わる画像形成装置の構成を示した図である。
【図10】図9において、第3の経路の切換え例を示し、(a)は第3の経路を用いない態様で用紙を反転経路に導く態様を説明した図であり、(b)は第3の経路を用いる態様を説明した図である。
【図11】従来技術にかかる画像形成装置における構成の概要を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付すことにより、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0013】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。ここで、「用紙」は、紙に限定するものではなく、OHP(overhead projector)用の用紙(以下、OHP専用紙という。)を含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。また、「画像形成」は、記録、印字、印写、印刷などと同義の語として使用している。
【0014】
本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること、単に液滴を媒体に着弾させること、をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。また、「画像形成装置」には液体吐出方式のものに限らず、電子写真方式で画像形成を行なうものなども含まれるが、以下では液体吐出方式の画像形成装置で説明する。
【0015】
[例1]:
例1に係る画像形成装置の構成を図1に示す。図1において、画像形成装置10は、被記録媒体である用紙100に液滴を吐出して画像を形成する画像形成手段としての記録ヘッドユニット101と、該記録ヘッドユニット101と対向する位置に配置されていて、印字に供される用紙100を支えつつ搬送する搬送ベルト112と、用紙100を収容する給紙カセット103と、記録ヘッドユニット101よりも用紙搬送方向上流側で被塗布部材である用紙100に処理液201を塗布する塗布手段でもある処理液塗布装置200とを備えている。
【0016】
記録ヘッドユニット101は、液滴を吐出する複数のノズルを、図1の紙面に垂直な方向を用紙幅とするその用紙幅相当分の長さに配列したノズル列を有するライン型液体吐出ヘッドから構成され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を記録ヘッド101y、101m、101c、101kを備えている。なお、シリアル型画像形成装置として記録ヘッドをキャリッジに搭載する構成とすることもできる。記録ヘッドユニット102についても記録ヘッドユニット101と同様に記録ヘッド101y、101m、101c、101kを備えるとともに、印字に供される用紙100を支えつつ搬送する搬送ベルト112を備える。
【0017】
搬送ベルト112は、無端状ベルトであり、搬送ローラ121とテンションローラ122との間に掛け渡されて周回するように構成している。この搬送ベルト112に対する用紙100の保持は、例えば静電吸着、空気の吸引による吸着などを行う構成とすることやその他の公知の搬送手段を用いることができる。また、ローラ対による搬送手段を用いることもできる。
【0018】
記録ヘッドユニット101の他にもう一つの記録ヘッド102を記録ヘッドユニット101の上方に具備し、記録ヘッドユニット101と同様に、搬送ベルト125、搬送ローラ123、テンションローラ124等を備えているが、その構成は記録ヘッドユニット101におけると同様のため説明は割愛する。
【0019】
給紙部20は、画像形成装置本体10の前面側、図1の紙面に垂直な方向から抜き差し可能で、多数枚の用紙100を積載して収納する給紙カセット103と、給紙カセット103内の用紙100を1枚ずつ分離して送り出すためのピックアップローラ131と搬送ローラ対132を備えている。
【0020】
また、OHP専用紙など処理液201の塗布を必要としない用紙を手差しで使用する手差しトレイ105と、手差しトレイ105から1枚ずつ用紙100を給紙するためのピックアップローラ171と搬送ローラ対172を備えている。
【0021】
処理液塗布装置200は、処理液201を収容した変形可能な例えばPET(polyethylene terephthalate resin)フィルムを袋状にした図示しない処理液容器と、この図示しない処理液容器から供給された処理液201を圧送する図示しないポンプと処理液201を被記録媒体である用紙100に塗布する塗布部210などを備えている。図示しない処理液容器内の処理液201は図示しないポンプによって吸上げられ、図示しない供給経路を通じて塗布部210内の液室202へと供給され、塗布の準備がなされる。
【0022】
液室202へ供給された処理液201は、液室202に設けた図示しない液面検知センサで液面高さと液面角度が所定内であることを確認する。液面検知センサは例えば、電極ピン方式を用いる。電極ピン方式は、公知技術なのでここでは詳しく説明しないが、電極ピンに電気を通電させ電極ピン間で液体を介して電気が導通することにより液面を検知する。この方法により処理液201の供給不足や液室202へ所定量以上の供給を防止することができる。
【0023】
塗布部210は、用紙100を搬送する搬送ローラ234と、搬送ローラ234に対向して用紙100に処理液201を塗布する塗布ローラ232と、塗布ローラ232に処理液201を供給して液膜を薄くするスクイーズローラ233を有している。
【0024】
これらのローラは、搬送ローラ234に塗布ローラ232が接し、塗布ローラ232にスクイーズローラ233が接して配置されている。そして、スクイーズローラ233と塗布ローラ232とによって供給された処理液201の液膜層が形成されて、塗布ローラ232の回転によって搬送ローラ234側に移送され、被記録媒体である用紙100に塗布される。
【0025】
なお、ここで処理液201は、用紙100の表面に塗布することで用紙100の表面を改質する改質材である。例えば、処理液201は、予め用紙100(前述したように材質としての紙に限定されない。)にムラなく塗布しておくことで、インクの水分を速やかに用紙100に浸透させると共に色成分を増粘させ、更には乾燥も早めることによって滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止し、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)をあげることを可能にする定着剤(セット剤)である。
【0026】
この処理液201は、組成的には、例えば界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたもの)に対して、水分の浸透を促進するセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース等)とタルク微粉体の様な基剤を加えた溶液等をあげることができる。さらに微粒子を含有することもできる。
【0027】
(画像形成の搬送経路及び工程)
本例は、給紙部20から送り出された用紙100の第1面形成面に処理液塗布装置200によって処理液201を塗布後、上下方向に配置された複数の記録ヘッドユニット101、102のうち、下段に配置された記録ヘッドユニット101により先に第1面の画像を形成し、その後、用紙を反転させてから、用紙100の第2面形成面(第1面形成面の裏面)に処理液塗布装置200によって処理液201を塗布後、上段に配置された記録ヘッドユニット102により第2面の画像を形成してから排紙ユニット30に向けて送り出す。用紙を反転させるのは、用紙の片面にだけ処理液を塗布する処理液塗布装置200を第1面、第2面の画像形成のための処理液塗布に共用していることによる。また、複数の記録ヘッドユニット101、102が共に、用紙の画像形成面に対して同じ側からインクを吐出して画像を形成する方式であることによる。
【0028】
両面画像形成に際し、給紙カセット103に収容された用紙100は、ピックアップローラ131で1枚ずつ分離給紙されて搬送ローラ対132によって矢印300で示す経路を経て、この経路に配置されたレジストローラ対133に送られ、レジストローラ対133から所定のタイミングで搬送ローラ対134によって処理液塗布装置200に送られ、処理液塗布装置200で塗布ローラ232の対向面に処理液201が塗布される。
【0029】
処理液201が塗布された用紙100は、揺動爪(実線)400により矢印300の延長上に延びる直線的な経路から左方に分岐した矢印301で示す経路へ進路が切換えられる。矢印301で示す経路へ分離された用紙100は、搬送ローラ対135によって送られ、図示しない案内板により進路を誘導されて搬送ベルト112上に送り込まれて該搬送ベルト112上に保持される。そして、搬送ベルト112の反時計回りの向きの周回移動とともに搬送されこの搬送中に記録ヘッドユニット101の記録ヘッド101y、101m、101c、101kから各色の液滴が吐出され、上記処理液塗布装置200を通過時に処理液201が塗布された面に第1面の画像が形成される。
【0030】
第1面の画像が形成された用紙100は、搬送ベルト112の周回移動とともに矢印302で示す経路に送り出され、搬送ローラ対136によって搬送される。矢印302で示す経路を介して搬送されている用紙100は、揺動爪(実線)401、揺動爪(実線)402により進路を規制されてスイッチバック搬送路303へ導かれる。
【0031】
スイッチバック搬送路303には正逆転切り換え可能なリバースローラ対137が備えられ、スイッチバック搬送路303とリバースローラ対137、揺動爪401、402等とともに反転手段を構成している。スイッチバック搬送路303に導かれた用紙100はその後端部が揺動爪401を抜けるまではリバースローラ対137の正転により図中左方に進行し、その後端部が揺動爪401を抜けると、リバースローラ対137が逆転して図中右方への進行にとなり進行方向が反転するとともに、揺動爪401、402が破線の位置に切り換わり、進路が矢印304で示す再給紙路へ切換えられて、搬送ローラ対138、139、140により順次送られて搬送路300に合流し、レジストローラ対133へ搬送される。
【0032】
レジストローラ対133に送られた用紙100は、レジストローラ対133から所定のタイミングで搬送ローラ対134によって搬送路300に沿って処理液塗布装置200に送られる。この状態で用紙100はスイッチバック搬送路303を経て搬送されたことにより、前記初回の処理液塗布装置200搬送時と比べて用紙の面が反転した状態となっており、第1面の反対側の第2面が直接、塗布ローラ232に対向するようになっている。よって、処理液塗布装置200を通過する間に、用紙100の第2面に塗布ローラ232により処理液201が塗布される。
【0033】
第2面に処理液201が塗布された用紙100は、揺動爪(破線)400により搬送路301へ進路が切換えられることなく、搬送路300の延長である鉛直方向に上向きに進み、搬送路301を外巻きにする矢印305で示す搬送路へ適宜の案内手段により横向きに誘導される。搬送路305へ分離された用紙100は、搬送ローラ対141によって搬送路305を介して搬送ベルト125上に送り込まれて保持される。そして、搬送ベルト125の反時計回りの向きの周回移動とともに搬送される間に記録ヘッドユニット102の記録ヘッド101y、101m、101c、101kから各色の液滴が吐出され、上記処理液塗布装置200を通過時に処理液201が塗布された第2面に画像が形成される。
【0034】
こうして両面に画像が形成された用紙100は、搬送ベルト125の周回移動で搬送されて、搬送ローラ142によって矢印306で示す搬送路を介して搬送される。搬送路306は、排紙ユニット30へ用紙100を送り出す排出ローラ対143を有し、この排出ローラ143より用紙100を排紙ユニット30へ送り出す。
【0035】
排紙ユニット30では用紙100を反転して排紙トレイ104に送り出すか、又は、反転しないで排紙トレイ104に送り出すかの2つの選択が可能である。反転して排紙トレイ104に送り出す場合には、排出ローラ対143から送り出された用紙100を搬送対ローラ144で受け取って搬送し、揺動爪403(実線)、揺動爪404(実線)を介して進路をスイッチバック搬送路307に向け、リバースローラ対155で搬送する。用紙100の後端部が揺動爪403、揺動爪404を抜けたら、リバースローラ対155の回転方向を切り換え、かつ、揺動爪403、揺動爪404をそれぞれ破線で示す位置に切り換えることにより用紙100を反転させて、排紙ユニット30の排出ローラ対156を経て排紙トレイ104に送り出す。この場合には、排出ローラ143より送り出される状態に比べて排紙トレイ104上では用紙100は反転された状態で排紙トレイ104に用紙100が排紙される。本例の場合、第1面を上にして排紙される。
【0036】
一方、反転しないで排紙トレイ104に送り出す場合には、揺動爪403を破線の位置に切り換え、排出ローラ対143から送り出された用紙100を搬送対ローラ144で受け取って揺動爪403(破線)に沿う搬送路306の直線延長上の矢印309で示す経路を経ることにより用紙100を反転させずに、排紙ユニット30の排出ローラ対156を経て排紙トレイ104に第2面を上にして送り出す。この場合には、排出ローラ143より送り出される状態のまま、反転されることなく排紙トレイ104に用紙100が排紙される。本例の場合、第2面を上にして排紙される。
【0037】
本例は、用紙100に向けて液滴を吐出する記録ヘッドにより画像形成をする複数の画像形成手段として、記録ヘッドユニット101、102が上下方向に並列配置されていて、これら記録ヘッドユニット101、102に向けて用紙100を送り出す給紙部20と、画像形成後の用紙100が排出される排紙部としての排紙ユニット30を有する画像形成装置であって、画像形成のための用紙の搬送経路は、給紙部20を出てから記録ヘッドユニット101、102の中の一つである記録ヘッドユニット102を通り、排紙部排紙ユニット30に至る第1の搬送経路と、この第1の搬送経路のうち、給紙部20から記録ヘッドユニット102までの間に配置された処理液塗布装置200の下流側であって記録ヘッドユニット102の上流側の分岐位置から分岐して記録ヘッドユニット101、102の中の他の一つである記録ヘッドユニット101を通り、反転してから前記分岐位置の上流である処理液塗布装置200の上流側で前記第1の搬送経路に合流するループ状の第2の搬送経路を有する。その上で、先にループ状の第2の搬送経路を通る間に、記録ヘッドユニット101で第1面に画像を形成してから反転して前記第1の搬送経路に合流し、記録ヘッドユニット102により第2面に画像形成をすることで両面に画像を形成して排紙ユニット30に至る。
【0038】
この構成では、第2面に印字して排出部へ向う搬送経路306と、第1面の印字を終えて第2面目の画像形成に向う矢印304で示す再搬送経路とを重なっておらず、また、重ねる必然性はなく、連続した画像形成を実施した場合においても、本例のように経路同士が重ならない構成の自由度を有するので、構成上、第1面及び第2面の印字を終えた用紙と、第1面の印字を終えて第2面の画像形成に向う用紙との間に印刷待ち状況は生じ得ない。
【0039】
また、第2の搬送経路上、他の1つの画像形成手段としての記録ヘッドユニット101の下流側にスイッチバック搬送路303とリバースローラ対137、揺動爪401、402等による用紙100の向きを変える反転手段を設けたので、処理液の塗布面が塗布ローラ232に対向する片面に特定された処理液塗布装置200であってもこれを1台設置するだけで、記録ヘッドユニット101、102による印字前に、処理液の塗布面を合わせて用紙を送ることができ、処理液塗布装置の設置台数を最小化できる。
【0040】
図1における、第2の搬送経路からの第1の搬送経路への合流部における進路の切り換えについて補足する。図2は合流部を拡大して示す。合流部に揺動爪405を配置する。給紙部20から処理液塗布装置200へ用紙100を搬送する場合には図2(a)に示すように揺動爪405を立てて搬送ローラ対140に給紙部20より送られる用紙100の搬送路300を開放するとともに、搬送ローラ対140により送られる用紙100の進路を塞ぐ。また、搬送ローラ対140からの用紙100を基本搬送路に合流させる場合には、図2(b)に示すように揺動爪405を傾けることで、給紙部20より送られる用紙100の搬送路300を開放するとともに、搬送ローラ対140により送られる用紙100の進路を塞ぐ。
【0041】
図1における、第1の搬送経路からの第2の搬送経路への分岐部における進路の切り換えについて補足する。図3は分岐部を拡大して示す。分岐部に揺動爪400を配置する。用紙100の進路を基本搬送路から分岐させない場合は、図3(a)に示すように揺動爪400を下向きにする。これにより用紙100は処理液塗布装置200から記録ヘッドユニット102へ向う。用紙100の進路を基本搬送路から分岐させる場合は図3(b)に示すように揺動爪400を傾ける。これにより、用紙100は記録ヘッドユニット101のある第2の搬送経路へ分岐する。
【0042】
図1における、第1の搬送経路における手差しトレイ105からの経路の合流部における進路の切り換えについて補足する。図4は合流部を拡大して示す。合流部に揺動爪406を配置する。第1の搬送経路での用紙搬送を優先する場合は、図4(a)に示すように揺動爪406を傾ける。これにより、処理液塗布装置200からの用紙100は搬送ローラ対141に向う。手差しトレイ105からのOHP用紙などを優先させる場合は、図4(b)に示すように揺動爪406を横向きにする。これにより、手差しトレイ105からのOHP用紙などが優先して搬送ローラ対141に向う。
【0043】
[例2]
例1(図1乃至図4)における画像形成装置では、両面画像形成しかできず、また、記録ヘッドユニット101により第1面の画像が形成され、記録ヘッドユニット102により第2面の画像が形成される、というように画像形成面と画像形成装置との関係が固定されてしまう。経時的には、記録ヘッドユニット101により作成する第1面の累積作像量と、記録ヘッドユニット102により作成する第2面の累積作像量とでは、量的に差異が生ずる。このため、長期的には、記録ヘッドユニット101と、記録ヘッドユニット102との間で処理する画像情報量の差に応じて部材の消耗度にも偏りが生じることから、劣化した部材の交換時期にもずれができ、メンテナンスのための機械の休止頻度が増す等の事態を生じ得る。
【0044】
そこで、例2では、例1における両面画像形成機能をそのまま全て保持した上で、さらに加えて記録ヘッドユニット101と記録ヘッドユニット102の何れでも自在に選択して画像形成が可能なように用紙の第3の搬送経路を追加設定している。
【0045】
その具体例を図5に示す。図5において、例1を説明した図1における用紙の搬送経路と同じ搬送経路を太い矢印で示している。本例ではそれに加えて、第3の搬送経路を構成する部材として、搬送ローラ対136から出た用紙が搬送ローラ対143に導かれるように、これら2つの搬送ローラ対136と搬送ローラ143との間に搬送ローラ対150を新設している。かつ、搬送ローラ対150を出た用紙を搬送ローラ対150に導くように案内板600を搬送ローラ対143の直前位置に配置している。
【0046】
これら、搬送ローラ対150及び案内板600を設けたことにより、かつ、揺動爪401、揺動爪402を共に実線で示す位置に切り換えることにより、記録ヘッドユニット101より下流側の搬送経路を、搬送ローラ対136と搬送ローラ対143とをつなぐ第3の搬送経路で構成する。この第3の搬送経路は、搬送ローラ対136より下流の経路を、スイッチバック搬送路303とリバースローラ対137を主体とする反転手段に至る経路から分離させて、第1の搬送経路上であって記録ヘッドユニット102と排紙ユニット30との間の排出ローラ対143の直前位置で第1搬送経路に合流する搬送経路である。図6の例では、この第3の搬送経路上に用紙100が位置している様子を示している。
【0047】
本例では第3の搬送経路を設け、図6に示すように、各記録ヘッドユニット101、102を出た経路は何れも、還流することなくそれぞれ、排紙ユニット30へ進むように構成される。よって、各記録ヘッドユニット101、102の何れを用いて画像形成するかについての自由度があるので、両記録ヘッドユニット間で累積作像量に偏りが生じた場合や、生じるおそれがある場合に、片面画像形成モードにして、累積作像量が均等化されるように頁毎で受け持つ記録ヘッドユニットを選択して画像形成することが可能となる。
【0048】
図7は用紙の搬送経路の切り換えについて、(イ)搬送ローラ対136を出た用紙がスイッチバック搬送路303とリバースローラ対137を主体とする反転手段を経て搬送ローラ対138に至るスイッチバック経路と、(ロ)搬送ローラ対136を出た用紙が搬送ローラ対150を経て搬送ローラ対143に至る第3の経路、とを切り換える手段として、案内板と揺動爪とからなる構成を例示した図である。
【0049】
図7に示すように搬送経路は対向する案内板601の間に構成する。搬送ローラ対136と搬送ローラ対150とを結ぶ経路の間の位置に、リバースローラ対137に進む経路に分岐する分岐経路を設け、この分岐部に揺動爪407を配置している。また、この揺動爪407とリバースローラ対137とを結ぶ経路の間の位置に、搬送ローラ対138に進む経路に分岐する分岐経路を設け、この分岐部に揺動爪408を設けている。これら揺動爪407、408は丸印で示す基端部を支点として揺動可能である。
【0050】
上記(イ)のケースでは、図7(a)に示すように揺動爪407、408共に実線で示す位置におき、搬送ローラ対136からの用紙100を、該用紙100を引き込む方向の回転である正転中のリバースローラ対137に導く。用紙100の後端部が揺動爪408を抜けた時点でリバースローラ対137を逆転させると共に、揺動爪408を破線で示す位置に切り換えることにより向きを反転した用紙100を搬送ローラ対138に導くことができる。
【0051】
上記(ロ)のケースでは、図7(b)に示すように揺動爪407を実線で示す位置におき、搬送ローラ対136からの用紙100を搬送ローラ対150に導く。揺動爪408に至る経路は揺動爪407により遮断されているので実線、破線何れの状態でもよい。
【0052】
なお、用紙の搬送経路の切り換えについては、その他の手段として、転轍機のように、搬送経路の分岐する箇所に揺動自在の用紙案内部材を配置し、揺動軸を支点に或いは偏心カムを利用してこの用紙案内部材を揺動させることにより用紙の搬送経路の切り換えをすることもできる。
【0053】
[例3]
図8に画像形成装置を示す。本例は、給紙部20から送り出された用紙100の第1面形成面に処理液塗布装置200によって処理液201を塗布後、複数の記録ヘッドユニット101、102のうち、上段に配置された記録ヘッドユニット102により先に第1面の画像を形成し、その後、用紙を反転させてから、用紙100の第2面形成面(第1面形成面の裏面)に処理液塗布装置200によって処理液201を塗布後、下段に配置された記録ヘッドユニット101により第2面の画像を形成してから排紙ユニット30に向けて送り出す。用紙を反転させるのは、用紙の片面にだけ処理液を塗布する処理液塗布装置200を第1面、第2面の画像形成のための処理液塗布に共用していることによる。また、複数の記録ヘッドユニット101、102が共に、用紙の画像形成面に対して同じ側からインクを吐出して画像を形成する方式であることによる。
【0054】
図8において、給紙部20、記録ヘッドユニット101、102、処理液塗布装置200、排紙ユニット30の構成については既に説明したので同じ符号で示し説明は省略する。また、例1で説明した手差しトレイ105については図8図に示していないが、図1と同様に構成できることはもちろんである。
【0055】
(画像形成の搬送経路及び工程)
本例の概要は、給紙部20から送り出された用紙100の第1面形成面に処理液塗布装置200によって処理液201を塗布後、複数の記録ヘッドユニット101、102のうち、上段に配置された記録ヘッドユニット102により先に第1面の画像を形成し、その後、用紙を反転させてから、用紙100の第2面形成面(第1面形成面の裏面)に処理液塗布装置200によって処理液201を塗布後、下段に配置された記録ヘッドユニット101により第2面の画像を形成してから排紙ユニット30に向けて送り出す。用紙を反転させるのは、用紙の片面にだけ処理液を塗布する処理液塗布装置200を第1面、第2面の画像形成のための処理液塗布に共用していることによる。また、複数の記録ヘッドユニット101、102が共に、用紙の画像形成面に対して同じ側からインクを吐出して画像を形成する方式であることによる。
【0056】
以下、詳細に説明する。両面画像形成に際し、給紙カセット103に収容された用紙100は、ピックアップローラ131で1枚ずつ分離給紙されて搬送ローラ対132によって矢印300で示す経路を経て、この経路に配置されたレジストローラ対133に送られ、レジストローラ対133から所定のタイミングで搬送ローラ対134によって処理液塗布装置200に送られ、処理液塗布装置200で塗布ローラ232の対向面に処理液201が塗布される。
【0057】
処理液201が塗布された用紙100は、揺動爪(実線)400により矢印300で示す経路の延長上、鉛直の経路を下から上に進む。上段に配置された記録ヘッドユニット102の高さに達した状態で、経路は横方向に曲がり、搬送ローラ対141で送られ、矢印305で示す左向きの経路をたどり、搬送ベルト125上に送り込まれて保持される。そして、搬送ベルト125の反時計回りの向きの周回移動とともに搬送される間に記録ヘッドユニット102の記録ヘッド102y、102m、102c、102kから各色の液滴が吐出され、上記処理液塗布装置200を通過時に処理液201が塗布された第1面に画像が形成される。
【0058】
第1面に画像が形成された用紙100は記録ヘッドユニット102から送り出されて搬送対ローラ158に至り、該搬送対ローラ158の下流近傍に配置された揺動爪(実線)412及び案内板415により用紙100の先端部を掬い上げられて搬送される。こうして、それまでとは逆向きの斜め右上方向に進路を変えられ、曲折状湾曲して進み、さらに図示しない案内板に案内されて横方向に向きを整えてから搬送対ローラ160、162、163を経て、スイッチバック搬送路312へ導かれる。
【0059】
スイッチバック搬送路312には正逆転切り換え可能なリバースローラ対144が備えられ、スイッチバック搬送路312とリバースローラ対144、揺動爪413により反転手段を構成している。揺動爪(破線)413によりスイッチバック搬送路312に導かれた用紙100はその後端部が揺動爪413を抜けるまではリバースローラ対144の正転により図中右方に進行し、その後端部が揺動爪(破線)413を抜けると、リバースローラ対144が逆転して図中左方への進行にとなり進行方向が反転するとともに、揺動爪413が実線の位置に切り換わり、進路が鉛直下向きに切換えられて、搬送ローラ対173、174により順次送られて矢印300で示す搬送路に合流し、レジストローラ対134へ搬送される。
【0060】
レジストローラ対134に送られた用紙100は、レジストローラ対134から所定のタイミングで搬送ローラ対134によって搬送路300に沿って処理液塗布装置200に送られる。この状態で用紙100はスイッチバック搬送路312を経て搬送されたことにより、前記初回の処理液塗布装置200搬送時と比べて用紙の面が反転した状態となっており、第1面の反対側の第2面が直接、塗布ローラ232に対向するようになっている。よって、処理液塗布装置200を通過する間に、用紙100の第2面に塗布ローラ232により処理液201が塗布される。
【0061】
第2面に処理液201が塗布された用紙100は、揺動爪(破線)400により進路が左斜め上方へ切換えられ、左方に分岐した矢印301で示す経路へ進路が切換えられる。矢印301で示す経路へ分離された用紙100は、搬送ローラ対135によって送られ、図示しない案内板により進路を誘導されて搬送ベルト112上に送り込まれて該搬送ベルト112上に保持される。そして、搬送ベルト112の反時計回りの向きの周回移動とともに搬送されこの搬送中に記録ヘッドユニット101の記録ヘッド101y、101m、101c、101kから各色の液滴が吐出され、上記処理液塗布装置200を通過時に処理液201が塗布された第2面に画像が形成される。
【0062】
こうして両面に画像が形成された用紙100は、搬送ベルト112の周回移動で搬送されて、搬送ローラ175によって搬送され、排紙ユニット30へ用紙100を送り出す排出ローラ対143に向かい、この排出ローラ対143により排紙ユニット142へ送り出される。排紙ユニット30における用紙100の搬送態様は、例1で述べているのと同じであるので図8に同じ符号を付し説明を割愛する。
【0063】
本例は、用紙100に向けて液滴を吐出する記録ヘッドにより画像形成をする複数の画像形成手段として、記録ヘッドユニット101、102が上下方向に並列配置されていて、これら記録ヘッドユニット101、102に向けて用紙100を送り出す給紙部20と、画像形成後の用紙100が排出される排紙部としての排紙ユニット30を有する画像形成装置であって、画像形成のための用紙の搬送経路は、給紙部20を出てから記録ヘッドユニット101、102の中の一つである記録ヘッドユニット101を通り、排紙部排紙ユニット30に至る第1の搬送経路と、この第1の搬送経路のうち、給紙部20から記録ヘッドユニット101までの間に配置された処理液塗布装置200の下流側であって記録ヘッドユニット101の上流側の分岐位置から分岐して記録ヘッドユニット101、102の中の他の一つである記録ヘッドユニット102を通り、反転してから前記分岐位置の上流である処理液塗布装置200の上流側で前記第1の搬送経路に合流するループ状の第2の搬送経路を有する。その上で、先に第2の搬送経路を通る間に、記録ヘッドユニット102で第1面に画像を形成してから反転して前記第1の搬送経路に合流し、記録ヘッドユニット101により第2面に画像形成をすることで両面に画像を形成して排紙ユニット30に至る。
【0064】
この構成では、第2面に印字して排出部へ向う搬送ローラ対175を含む搬送経路と、第1面の印字を終えて第2面目の画像形成に向う搬送ローラ対160、162、163を含む搬送経路とが重なっておらず、また、重ねる必然性はなく、連続した画像形成を実施した場合においても、本例のように経路同士が重ならない構成の自由度を有するので、構成上、第1面及び第2面の印字を終えた用紙と、第1面の印字を終えて第2面の画像形成に向う用紙との間に印刷待ち状況は生じ得ない。
【0065】
また、第2の搬送経路上、他の1つの画像形成手段としての記録ヘッドユニット102の下流側にスイッチバック搬送路312とリバースローラ対144、揺動爪4413等による用紙100の向きを変える反転手段を設けたので、処理液の塗布面が塗布ローラ232に対向する片面に特定された処理液塗布装置200であってもこれを1台設置するだけで、記録ヘッドユニット101、102による印字前に、処理液の塗布面を合わせて用紙を送ることができ、処理液塗布装置の設置台数を最小化できる。
【0066】
[例4]
例3(図8)における画像形成装置では、両面画像形成しかできず、また、記録ヘッドユニット102により第1面の画像が形成され、記録ヘッドユニット101により第2面の画像が形成される、というように画像形成面と画像形成装置との関係が固定されてしまう。経時的には、記録ヘッドユニット102により作成する第1面の累積作像量と、記録ヘッドユニット101により作成する第2面の累積作像量とでは、量的に差異が生ずる。このため、長期的には、記録ヘッドユニット101と、記録ヘッドユニット102との間で処理する画像情報量の差に応じて部材の消耗度にも偏りが生じることから、劣化した部材の交換時期にもずれができ、メンテナンスのための機械の休止頻度が増す等の事態を生じ得る。
【0067】
そこで、例4では、例3における両面画像形成機能をそのまま全て保持した上で、さらに加えて記録ヘッドユニット101と記録ヘッドユニット102の何れでも自在に選択して画像形成が可能なように用紙の第3の搬送経路を追加設定している。
【0068】
その具体例を図9に示す。図9において、例3を説明した図8における用紙の搬送経路のうち、本例でも使用される搬送経路を塗りつぶした太い矢印で示している。本例ではそれに加えて、第3の搬送経路を構成する部材として、搬送ローラ対158から出た用紙が搬送ローラ対143に導かれるように、揺動爪412を横向きの破線の状態に切換える揺動爪412の回転駆動手段を設けている。
【0069】
揺動爪412の回転駆動手段及びその回転位置を定める制御手段を設け、揺動爪412を実線で示す位置から破線で示す位置に切り換えることにより、記録ヘッドユニット102より下流側の搬送経路を、搬送ローラ対158以後で搬送ローラ対143につなぐことができる。この搬送ローラ対158以後で搬送ローラ対143につなぐ白抜き矢印で示す経路500を第3の搬送経路と称する。
【0070】
この第3の搬送経路は、記録ヘッドユニット102を出た用紙100を排出ローラ対143に導く搬送経路である。これにより、各記録ヘッドユニット101、102を出た経路は何れも、還流することなくそれぞれ、排紙ユニット30へ進むように構成されるので、各記録ヘッドユニット101、102の何れを用いて画像形成するかについての自由度がある。よって、両記録ヘッドユニット間で累積作像量に偏りが生じた場合や、生じるおそれがある場合に、片面画像形成モードにして、累積作像量が均等化されるように頁毎で受け持つ記録ヘッドユニットを選択して画像形成することが可能となる。
【0071】
図10は搬送対ローラ158後における用紙の搬送経路の切り換えについて、図9に示した揺動爪412や、案内板415による経路切換え手段をより具体的に例示している。図10(a)では、搬送ローラ対158を出た用紙100を曲折している対向一対の案内板650aに沿わせて、用紙100の送りを利用して搬送対ローラ160に向けて導く。そしてその補助手段として、搬送対ローラ158と搬送対ローラ143とを結ぶ第3の搬送経路を構成する案内板650b内であって、搬送対ローラ160へ向うべく案内板650bから分岐している曲折部の始端位置に、揺動爪414を設けている。揺動爪414は、用紙100の先端部を掬い上げて曲折部に導くと共に、案内板650bによる搬送路を塞ぐ状態に保持されている。案内板650b上、揺動爪414の下流側には搬送対ローラ138を出た用紙100がスムーズに搬送対ローラ143に送られるように揺動爪414の下流側の案内板650bに連通する案内板650cを、下流側に進むにつれて案内板650bに近づく傾向に傾斜させた態様で接続させている。
【0072】
図10(b)では、揺動爪414が案内板650bの分岐開口を塞ぐ態様に変位した状態で保持されている。この状態では、搬送対ローラ160から出た用紙100を搬送対ローラ143に導くことができるし、また、搬送対ローラ138から出た用紙100を搬送対ローラ143に導くこともできる。2系統の搬送経路が合流する合流部で用紙同士が干渉しないように、時間差を持たせるようにして搬送制御することとなる。
【符号の説明】
【0073】
1 給紙部ユニット
2 印字部ユニット
2a 可変紙ガイド
2c 記録ヘッド
2d 搬送ローラ
2e 可変紙ガイド
2f 開口部
3b 可変紙ガイド
3c 搬送ローラ
3d 記録ヘッド
3f 搬送ローラ
3g 可変紙ガイド
10 画像形成装置
20 給紙部
30 排紙ユニット
100、100a、100b、100c、100d 用紙
101y、101m、101c、101k 記録ヘッド
101、102 記録ヘッドユニット
103 給紙カセット
104 排紙トレイ
105 手差しトレイ
112、125 搬送ベルト
121、123 搬送ローラ
122、124 テンションローラ
131、171 ピックアップローラ
132 搬送ローラ対
133 レジストローラ対
134、135、136、138、139、140、141、142、150、158、160、162、163、172、173、174、175 搬送ローラ対
137、155、144 リバースローラ対
143、156 排出ローラ対
200 処理液塗布装置
201 処理液
203 液室
210 塗布部
232 塗布ローラ
234 搬送ローラ
M、N、O、P、Q、300、301、302、304、305、306、309 矢印
303、312 スイッチバック搬送路
307 スイッチバック搬送路
600、601、415、650a、650b、650c 案内板
400、401、402、403、404、405、406、407、408、410、412、413、414 揺動爪
500 経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2003−305893号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に向けて液滴を吐出する記録ヘッドにより画像形成をする複数の画像形成手段が上下方向に並列配置されていて、前記画像形成手段に向けて被記録媒体を送り出す給紙部と、画像形成後の被記録媒体が排出される排紙部を有する画像形成装置であって、
前記給紙部を出てから前記複数の画像形成手段の中の1つの画像形成手段を通り、前記排紙部に至る第1の搬送路と、
前記第1の搬送経路のうち前記給紙部から前記1つの画像形成手段までの間に設けた分岐部から分岐して前記複数の画像形成手段の中の他の1つの画像形成手段を通り、前記第1の搬送経路上、前記分岐部よりも上流で合流する第2の搬送経路を有し、
前記他の1つの画像形成手段で被記録媒体の第1面に画像を形成した後、前記1つの画像形成手段により被記録媒体の第2面に画像形成をすることにより同一の被記録媒体の両面に画像を形成して前記排紙部へ排出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、前記第1の搬送経路上であって前記給紙部と前記1つの画像形成手段との間で被記録媒体の片面に処理液を塗布する処理液塗布装置を備え、前記分岐部が前記第1の搬送経路上、前記処理液塗布装置と前記1つの画像形成手段との間の部位にあり、前記合流部を前記第1の搬送経路上であって前記給紙部と前記処理液塗布装置との間の部位とし、前記第2の搬送経路上、前記他の1つの画像形成手段の下流側に被記録媒体の向きを変える反転手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記他の1つの画像形成手段を出た下流側の搬送経路を前記反転手段に至る経路から分岐して、前記第1の搬送経路上であって前記1つの画像形成手段と前記排紙手段との間に合流する第3の搬送経路を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−22874(P2013−22874A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161094(P2011−161094)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】