説明

画像形成装置

【課題】画像形成部より下流側の排紙部で片面画像形成済みの用紙をスイッチバックする排紙部のスイッチバック手段の逆転動作に際し、別アクチュエータを用いることなく簡単な構成でスイッチバックさせるとともに、搬送ベルトや搬送ローラなどの搬送手段とアクチュエータとの駆動連結に際して、駆動剛性を損なうことなく、同一駆動源にて排紙部のスイッチバック手段の正逆転を切り替えるクラッチ機構を実現する。
【解決手段】搬送ベルト11よりも下流側で用紙をスイッチバックする正逆転可能な第1、第2排紙ローラ20,21を備えた再給送手段と、両面搬送路と、搬送ベルト11および第1、第2排紙ローラ20,21を駆動する単一の搬送モータ9と、搬送モータ9の駆動系を除く部位に配置され、第1、第2排紙ローラ20,21の正逆転を切り替えるクラッチ機構(クラッチ制御機構60、クラッチ揺動機構61)と、このクラッチ機構を作動させる作動手段とを有し、作動手段として搬送ローラ10の一定量の逆転を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、画像形成部の下流側でスイッチバックの駆動の切り替えを行うクラッチ機構を備えた、インクジェット記録装置、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、印刷装置等を含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両面印刷可能な画像形成装置において、スイッチバックの駆動切替を(1)クラッチなど別アクチュエータで行うものと、(2)揺動ギヤで行うものとが既に知られている。
前記(1)において、クラッチなど別アクチュエータで行うものの具体例としては、画像形成後に両面印刷搬送路に用紙を搬送する両面印刷搬送切替部(スイッチバック機構)が画像形成部(定着部を含む)の下流側に設けられ、用紙第1面の画像形成後に排紙部にてスイッチバックさせて両面印刷搬送路に引き込む構成などが挙げられる(例えば、特許文献1および2参照)。
特許文献1および2には、正逆回転可能な駆動源を不要とし、同一駆動源でスイッチバック動作を実現する目的で、別アクチュエータとしてのソレノイドを用いたクラッチ(揺動ギヤとリンク機構または揺動ギヤと切り替えガイドの組み合わせ)とその駆動連結方法が開示されている。
【0003】
前記(2)において、揺動ギヤで行うものの具体例としては、搬送ベルトにて用紙を搬送して搬送ベルト上の用紙に画像を形成する画像形成装置において、画像形成後に両面搬送パス(両面搬送経路)に用紙を搬送する両面搬送パス切替部が画像形成部の上流側に設けられ、用紙第1面への印字終了(画像形成)後に搬送ベルトの逆方向駆動によりスイッチバックさせて両面パスに引き込むなどの構成が挙げられる。
このような構成の場合、両面搬送パス内は常に用紙は逆転しかしないが、搬送ベルト面は正逆転で搬送を行う。そこで、クラッチを用いることなく同一駆動源で駆動させる技術として、両面搬送パスの駆動を揺動ギヤで連結させる技術が既に知られている(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および2記載の技術を含む、今までのクラッチなどの別アクチュエータで行うものでは、装置自体が大きくなることやコスト高になるという問題点がある。
また、特許文献3記載の技術を含む、揺動ギヤで駆動を連結する方法では、画像形成後に両面搬送パスに用紙を搬送する両面搬送パス切替部が画像形成部下流側に設けられ、用紙第1面への画像形成後に排紙部にてスイッチバックさせて、画像形成手段と対向しない反対向側の搬送ベルト面もしくは画像形成手段と対向しない反対向側の搬送ローラ側に用紙第1面画像形成済みの用紙を案内する両面搬送路として構成した場合に、揺動ギヤを採用すると、搬送ローラへ繋がる駆動系に揺動ギヤを配設する構成となり、搬送ベルトの高速度制御や搬送ベルトで搬送される用紙の高精度で高速な搬送量制御(例えばμm単位での位置決めを数十msの時間で行う搬送量制御)等ができなくなるという問題点がある。
さらに具体的に補説すると、通常、駆動源としてはDCモータが使用され、DCモータからタイミングベルト等の駆動力伝達手段を介して搬送ベルトを駆動する搬送ローラまでの駆動系に揺動ギヤを介装すると、この揺動ギヤの介装によって駆動系の駆動剛性が弱くなっているため、あるいはDCモータに高周波を入力して駆動させると発振したり時定数が増加したりしてしまうため、結果的に低周波の入力しかできなくなることにより、DCモータの起動が遅くなることで搬送ベルトの高速度制御や用紙の高精度で高速な搬送量制御等ができなくなる不具合が発生する。
【0005】
本発明は、上述した問題・事情に鑑みてなされたものであり、画像形成部より下流側の排紙部で片面画像形成済みの用紙をスイッチバックする排紙部のスイッチバック手段の逆転動作に際し、別アクチュエータを用いることなく簡単な構成でスイッチバックさせるとともに、搬送ベルトや搬送ローラなどの搬送手段とアクチュエータ(DCモータなど)との駆動連結に際して、駆動剛性を損なうことなく、単一の同一駆動源にて排紙部のスイッチバック手段の正逆転を切り替えるクラッチ機構を実現し提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、本発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
すなわち、本発明は、シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段と対向して配置され、前記搬送手段により搬送されてくるシートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段を通過した片面画像形成済みのシートを前記搬送手段よりも下流側でスイッチバックする正逆転可能なスイッチバック手段を備え、該スイッチバック手段の逆転によってスイッチバックされた片面画像形成済みのシートを、再度、前記画像形成手段側へ再給送する再給送手段と、前記再給送手段により給送されてきた前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートを、前記搬送手段における前記画像形成手段との対向面と反対側の反対向面に案内して前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの表裏を反転し、再度、前記搬送手段の前記対向面へ案内する反転経路と、前記搬送手段および前記スイッチバック手段を駆動する単一の駆動源と、前記駆動源の駆動力を前記搬送手段に伝達する駆動系を除く部位に配置され、前記スイッチバック手段の正逆転を切り替えるクラッチ機構と、前記クラッチ機構を作動させる作動手段と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。すなわち、本発明によれば、前記構成により、スイッチバック手段と搬送手段とを単一の駆動源で駆動することができるとともに、スイッチバック手段の正逆転を切り替えるクラッチ機構に別アクチュエータを追加することなく搬送手段の高精度なシート搬送量制御を行える両面搬送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1および2の画像形成装置の一例としてのインクジェットプリンタの全体構成を示す簡略的な一部断面正面図である。
【図2】(a)、(b)は、実施形態1および2のクラッチ機構の駆動切り替えタイミング等を含む作動・動作を説明するための簡略的な一部断面正面図である。
【図3】(a)、(b)は、実施形態1および2のクラッチ機構の駆動切り替えタイミング等を含む作動・動作を説明するための簡略的な一部断面正面図である。
【図4】(a)、(b)は、実施形態1の駆動系、クラッチ機構、駆動系から排紙反転部への駆動力伝達機構を説明する簡略的な正面図である。
【図5】(a)、(b)、(c)は、実施形態1のクラッチ機構の動作を説明する要部の簡略的な正面図である。
【図6】(a)は、実施形態2のクラッチ機構およびこれを作動させるキャリッジの移動位置、駆動系から排紙反転部への駆動力伝達機構を説明する簡略的な一部断面側面図、(b)は、実施形態2のクラッチ機構を構成する揺動ギヤユニットの一部断面正面図である。
【図7】(a)、(b)は、実施形態2のクラッチ機構を構成する揺動ギヤユニットの周りの作動・動作を説明するための簡略的な一部断面正面図である。
【図8】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す簡略的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品等)については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0010】
(実施形態1)
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態1を説明する(請求項1〜7、12)。図1は、本発明の実施形態1を示すインクジェットプリンタ全体の簡略的な正面図である。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態1を示す画像形成装置の一例としてのインクジェット記録装置(以下、「インクジェットプリンタ」という)の全体構成と動作を説明した後に、本発明の特徴的な実施形態1のクラッチ機構を詳述する。
【0011】
図1に示すインクジェットプリンタ100は、インクジェット方式で画像形成を行うシリアル型のインクジェットプリンタである。インクジェットプリンタ100は、インクジェット方式で画像形成を行う画像形成手段としての記録ヘッド31等を備えた画像形成部90と、記録媒体ないし被記録媒体とも呼ばれるシートの一例としての用紙Pを搬送する搬送ベルト11等を備えた搬送部91と、用紙Pを給送・給紙する給紙部92と、画像形成(以下、「印刷」ともいう)された用紙を排出・排紙する排紙部および片面印刷済みの用紙をスイッチバックし反転すべく再給送する再給送部の機能を兼ね備えた排紙反転部93とを有する。
【0012】
用紙(シート)の搬送経路としては、給紙部92から給紙された用紙Pを搬送部91に搬送する経路である給紙搬送路95と、給紙搬送路95に接続・連通(以下、単に「接続」という)され、表面(第1の面)に画像形成された片面印刷済みの用紙、および片面印刷済みの用紙がスイッチバック・反転されて残りの裏面(第2の面)に画像形成された両面印刷済みの用紙を画像形成部90の下流側に搬送する経路である共通搬送路96と、共通搬送路96に接続され、再給送手段を構成する後述する第1、第2排紙ローラ20,21によりスイッチバックされ再給送されてきた片面印刷済みの用紙を画像形成部90の記録ヘッド31と対向しない反対向側の搬送ベルト11面(以下、「反対向面11b」という)に案内する再給送経路としての再給紙路97と、片面印刷済みの用紙が搬送ベルト11の反対向面11bを通過した後、搬送ベルト11の移動方向における記録ヘッド31との対向部よりも上流側の搬送ローラ100に掛け回されている搬送ベルト11の外側周囲を迂回して反転された片面印刷済みの用紙を、再度、記録ヘッド31と対向する対向側の搬送ベルト11の面(以下、「対向面11a」という)に案内する反転経路としての迂回路98とを有する。なお、再給紙路97と迂回路98とを総称して両面搬送経路としての両面搬送路とも言う。
【0013】
給紙搬送路95は、迂回路98の内側のガイド部材である両面ガイド内18と、迂回路98の外側のガイド部材である両面ガイド外19と、ガイド部材を兼ねる先端加圧板40の一部等とで画定されて所定の隙間をもって形成されている。
共通搬送路96は、先端加圧板40の一部と、ガイド部材である排紙ガイド下24と、ガイド部材である排紙ガイド中央23等とで画定されて所定の隙間をもって形成されている。
再給紙路97は、排紙ガイド中央23と、開閉部材としての前カバー1に一体的に形成された両面ガイド上2aと、前カバー1に一体的に形成された両面ガイド下2bとで画定されて所定の隙間をもって形成されている。前カバー1は、給紙トレイ5近傍の装置本体に所定角度の範囲で回動(時計回りおよび反時計回りに回転することを意味する。以下、同じ)可能に支持された軸2cを中心に、同図に示す閉位置と、この閉位置から図において反時計回りに揺動した開位置との間で揺動可能に構成されている。前カバー1が開位置を占めたとき、両面搬送路(再給紙路97および迂回路98)が開放されて、図において左方であるマシン前面からのすべてのジャム処理、メンテナンス部品交換を行えるようになっている。
迂回路98は、両面ガイド内18と、両面ガイド外19等とで画定されて所定の隙間をもって形成されている。
なお、共通搬送路96、再給紙路97等の上記各ガイド部材には、各種搬送ローラおよび点状破線円で示す拍車が適宜配設されているが、本実施形態では説明および図の簡明化のため、それら搬送ローラおよび拍車の主なもののみを図示している。
【0014】
画像形成部90は、走査・移動可能な移動体としてのキャリッジ30を備えている。キャリッジ30は、装置本体に横架して取り付け・固定(以下、「固設」ともいう)されたガイド部材である主従のメインガイドロッド32およびサブガイドロッド33により、主走査方向(図中紙面に対して直交する紙面手前側および紙面奥側の方向)に摺動自在に保持されている。キャリッジ30は、図示しないタイミングベルトを介して主走査モータ(図示せず)に連結されており、同主走査モータによって主走査方向に往復移動・走査される。
【0015】
キャリッジ30には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド31が搭載されている。記録ヘッド31は、搬送ベルト11と対向して配置され、搬送ベルト11の対向面11aにより搬送されてくる用紙Pに画像を形成する画像形成手段ないし記録手段として機能する。記録ヘッド31は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向Xa(シート搬送方向Xaでもある)に配列し、ノズルのインク滴吐出方向を水平方向に向けて装着している。
記録ヘッド31は、例えば、4つのノズル列を有し、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインク液滴をそれぞれ吐出する。
【0016】
また、キャリッジ30は、記録ヘッド31のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク(図示せず)を搭載している。このヘッドタンクには、図示しないカートリッジ装填部に着脱自在に装着される各色の記録液カートリッジから、供給ポンプユニット(図示せず)によって各色の供給チューブを介して、各色の記録液が補充供給されるようになっている。
【0017】
給紙部92は、複数枚の用紙Pを積載して昇降可能な底板29を備えた給紙トレイ5と、底板29上の用紙Pを給送する半月状の給紙コロ28と、給紙コロ28に対向し、給紙コロ28との協働作用により用紙Pを1枚ずつ分離給送する、用紙に対して摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド(図示せず)等とを備えている。上記図示しない分離パッドは給紙コロ28側に付勢されている。
【0018】
片面印刷時に給紙部92から給紙された用紙Pおよび両面印刷時に反転された片面印刷済みの用紙Pを画像形成部90の記録ヘッド31に対向する位置に送り込むために、搬送部91が配置されている。
搬送部91は、搬送ベルト11と、搬送ローラ10と、テンションローラ12と、先端加圧コロ41と、帯電ローラ17等とを備えている。
【0019】
搬送ベルト11は、給送されてきた用紙Pを静電吸着して記録ヘッド31に対向する位置に搬送するためのものであり、用紙Pをシート搬送方向Xaに間欠的に搬送する搬送手段として機能する。搬送ベルト11は、無端状ベルトであり、駆動・回転体としての搬送ローラ10と従動・回転体としてのテンションローラ12との間に掛け回され・巻き掛けられて、ベルト移動方向Xa(シート搬送方向Xa、副走査方向Xaでもある)に周回移動するように構成されている。なお、搬送ローラ10およびテンションローラ12は、後述する図4に2点鎖線で示すようにそれぞれのローラ10,12に配設された軸10a,12aを介して、正逆転・回動可能に装置本体側に支持されている。
【0020】
搬送ローラ10は、後述する図4に示す駆動力伝達手段としてのタイミングベルト52を介して、単一の駆動源としての搬送モータ(副走査モータ)9によって構成される駆動系によって正逆転駆動される。搬送ベルト11は、図4に示す搬送モータ9により搬送ローラ10が回転駆動されることによって矢印で示すベルト移動方向Xaに周回移動する。
本実施形態の搬送ベルト11は、無端ベルトであるが、成型上において無端のベルトでも、両端をつなぐことで無端状としたベルトでもよい。
【0021】
搬送ベルト11は、1層または複層構造であり、少なくとも用紙や後述する帯電ローラ17と接触する側(表層)は、例えばPET、PEI、PVDF、PC、ETFE、PTFEなどの樹脂、またはエラストマーであって導電制御材を含まない材料などで形成される絶縁層を有していて、電荷を保持するようになっている。なお、2層以上の構造とする場合には帯電ローラ17と接触しない側に上記樹脂やエラストマーにカーボンを含有させた導電層を有する構成とできる。
【0022】
先端加圧コロ41は、搬送ベルト11を表面側(搬送面側)から押圧する押圧部材として機能する。先端加圧コロ41は、搬送ベルト11のベルト移動方向Xaにおける記録ヘッド31の上流近傍に、搬送ベルト11を介して搬送ローラ10に押圧するように配設されていて、用紙Pを搬送ベルト11に密着させる。
なお、図1では図示を省略しているが、搬送ローラ10とテンションローラ12との間であって、搬送ベルト11の内側における記録ヘッド31に対向する位置には、搬送ベルト11を内側からガイドするベルトガイド部材として機能する搬送ガイド板(図示せず)が配設されている。
【0023】
帯電ローラ17は、搬送ローラ10におけるベルト移動方向Xaの上流側に配置され、搬送ベルト11の表面を帯電させるための帯電手段として機能する。帯電ローラ17は、搬送ベルト11の表層(絶縁層)に接触し、搬送ベルト11の周回移動に従動して回転するように配置されている。
【0024】
帯電ローラ17に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が図示しない電圧印加手段により印加され、搬送ベルト11が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向Xaに、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト11上に用紙Pが給送されると、用紙Pが搬送ベルト11に静電的に吸着され、搬送ベルト11の周回移動によって用紙Pが副走査方向Xaに搬送される。
【0025】
そこで、キャリッジ30を移動させながら画像信号に応じて、図示しない制御手段の制御の下に記録ヘッド31を駆動することにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を記録し、搬送ベルト11により用紙Pを所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙Pの後端が記録ヘッド31の記録領域である印字領域10を抜け出た信号を、図示しない制御手段が受けることにより、記録動作を終了する。
【0026】
さらに、記録ヘッド31で画像形成・記録された用紙Pを排紙するための排紙部として、第2搬送ローラ14および分離爪拍車ユニット15を備えている。
分離爪拍車ユニット15は、ベルト移動方向Xaにおける記録ヘッド31の下流側において、搬送ベルト11を介してテンションローラ12に押圧するように配設され、搬送ベルト11から用紙Pを分離する分離部材として分離爪の機能も有する。分離爪拍車ユニット15のユニット筺体には、テンションローラ12に従動して回動する点状破線円で示す拍車16と、第2搬送ローラ14に従動して回動する拍車16とが支持されている。
【0027】
第2搬送ローラ14配置部における共通搬送路96の下流側には、排出手段および再給送手段の機能を併せ持つ2組の正逆転・回動可能な排紙ローラ対を備えている。この2組の排紙ローラ対は、点状破線円で示す断面星型・ローラ状の拍車16およびこの拍車16に対向当接した第1排紙ローラ20からなる第1排紙ローラ対(以下、「第1排紙ローラ20」で代表する)と、拍車16およびこの拍車16に対向当接した第2排紙ローラ21からなる第2排紙ローラ対(以下、「第2排紙ローラ21」で代表する)とを有する。第1、第2排紙ローラ20,21は、排紙ガイド部材である排紙ガイド上22に軸を介して回動可能に支持されている。拍車16も、排紙ガイド部材である排紙ガイド下24に軸を介して回動可能に支持されている。
第1、第2排紙ローラ20,21のシート搬送方向下流には、第1、第2排紙ローラ20,21によって排紙すべく送られてきた用紙Pを積載する排紙トレイ6が配設されている。
【0028】
拍車16は、記録ヘッド31の下流側において、記録ヘッド31に対向する用紙Pの面に係合するものであるが、用紙Pが通常の普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ、封筒等の厚紙に記録を行う場合においては、用紙Pの送りを単に補助するものであり、第1、第2排紙ローラ20,21と拍車16との間に用紙Pが噛んでいること、すなわち拍車16が用紙Pに係合していることによって用紙P表面と記録ヘッド31とのギヤップを定めるものではない。
【0029】
次に両面印刷に係る構成について説明する。
第1、第2排紙ローラ20,21および拍車16は、片面印刷済みの用紙Pの先端および後端を反転させるスイッチバック動作可能に、共に時計回り、反時計回りの両方向、換言すれば正逆転・回動可能に、図4に示す単一の駆動源としての搬送モータ9によって駆動されるように構成されている。すなわち、第1、第2排紙ローラ20,21および拍車16は、搬送ベルト11の対向面11aを通過した片面印刷済みの用紙Pをスイッチバックさせて、再度、画像形成部90の記録ヘッド31側へ給送する再給送手段およびスイッチバック手段として機能する。
【0030】
排紙反転部93の共通搬送路96と再給紙路97との分岐部には、スイッチバック用の、支軸を中心として揺動可能な分岐手段・搬送経路切替手段としての分岐爪25が配設されている。
両面ガイド下2bの上部には、テンションローラ12と対向して搬送ベルト11の反対向面11bに当接するレジスト部材・回転体としてのレジストローラ26が回転可能に支持されている。両面ガイド下2bの下部には、搬送ベルト11を介して搬送ローラ10に押圧するように配設された押圧部材としての両面搬送ローラ27が回転可能に支持されている。
迂回路98の入口近傍の両面ガイド内18には、搬送ベルト11を介して搬送ローラ10に押圧するように配設された分離部材としての分離爪43が配置されている。
上記したとおり、再給送手段は、第1、第2排紙ローラ20,21、レジストローラ26、両面搬送ローラ27再給紙路97、搬送ベルト11の反対向面11bおよび分岐爪25を備えている。
【0031】
次に、図1〜図3に基づいて、本実施形態1のインクジェットプリンタ100の動作を説明する。
先ず、片面(例えば用紙Pの第1の面である用紙表面)印刷時の動作を説明する。図示しない電源スイッチがオン・投入され、使用者による操作部(図示せず)の各種キー操作(印刷枚数や拡大・縮小等のキー操作)が終了すると、インクジェットプリンタ100の動作を制御する図示しない制御手段からの制御指令により、図1に示す給紙部92が画像形成部90および搬送部91と同期して起動可能状態になる。すなわち、給紙コロ28および上記図示しない分離パッドの協働作用により、給紙トレイ5の底板29上の用紙Pが1枚に分離されて給送され、給紙搬送路95を通って搬送部91の先端加圧コロ41と搬送ベルト11との間に送り込まれる。
【0032】
この時、後述する図4に示す搬送モータ9により搬送ローラ10が正転駆動されることによって、搬送ベルト11は副走査方向(ベルト移動方向)Xaに周回移動している。この際、帯電ローラ17は、搬送ベルト11の表層に接触し、搬送ベルト11の回動に従動して回転しており、図示しない電圧印加手段による帯電ローラ17への交番する電圧印加を介して、帯電ローラ17がプラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電される。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト11上に用紙Pが給送され、用紙Pが搬送ベルト11に静電的に吸着され、搬送ベルト11の周回移動によって用紙Pが副走査方向Xaに搬送される。この際、用紙Pの搬送は記録ヘッド31における印字位置で一旦停止する。
【0033】
次いで、キャリッジ30が主走査方向(図1中紙面に直交する紙面手前および奥側)に移動するように駆動されるとともに、画像信号に応じて記録ヘッド31が駆動されることにより、停止している用紙Pにインク滴を吐出して1行分を印字記録し、搬送ベルト11上に保持された用紙Pの所定量搬送後、次の行の印字記録が行われる。
そして、再び搬送ローラ10の正転駆動を介して搬送ベルト11によって用紙Pが搬送され、この際、分離爪拍車ユニット15を介して搬送ベルト11から分離された片面印刷済みの用紙P(以下、単に「用紙P」ともいう)は第2搬送ローラ14によりシート搬送方向Xaの下流側の排紙反転部93に送り込まれる。
【0034】
排紙反転部93に搬送されてきた片面印刷済みの用紙Pは、第1、第2排紙ローラ20,21の正転駆動によって排紙ガイド上・下22,24によって案内されつつ、さらにシート排出方向Xbの下流側に搬送される。記録終了信号または片面印刷済みの用紙Pの後端が記録ヘッド31の記録領域である印字領域を抜け出た信号を、上記図示しない制御手段が受けることにより、記録動作を終了して、用紙Pは排紙トレイ6に排紙・積載される。
【0035】
次に、図1〜図3を参照して、両面印刷時の動作について説明する。なお、図2および図3は、後述する本実施形態1のクラッチ機構の駆動切り替えタイミング等を含む作動・動作を説明するための図であるが、両面印刷時の動作を理解しやすくするために、ここでは詳細なクラッチ機構の作動・動作をできる限り省略して説明する。両図においては、用紙Pを太い破線で示すこととする。
片面印刷が上述した通りの動作で行われた後、図2において片面印刷済みの用紙Pの先端Paが第1、第2排紙ローラ20,21の各挟持部(以下、「ニップ部」という)へ導かれて、片面印刷済みの用紙Pの後端Pbが排紙反転部93の分岐部(分岐爪25配置部)を通過して(図2(a)参照)、片面印刷済みの用紙Pがスイッチバック位置を占めると、これが図示しないセンサにより検知されることで、片面印刷済みの用紙Pの搬送が一時的に停止され(この間に本実施形態1のクラッチ機構による第1、第2排紙ローラ20,21の正転→逆転への作動・駆動切り替えが行われる)、その後、図2(b)に示すように、第1、第2排紙ローラ20,21と各拍車16とが逆転・反転開始することにより、片面印刷済みの用紙Pの先端Paと後端Pbとがシート搬送方向に対して逆になるスイッチバック動作が行われる。このスイッチバック動作開始と同時に、搬送ローラ10の正転により搬送ベルト11がベルト移動方向Xaに移動開始する。
この際、図1および図2(a)に示す位置を占めていた分岐爪25が時計回りに揺動駆動されることにより、片面印刷済みの用紙Pの搬送経路は両面搬送路(再給紙路97)側に切り替えられている。
次いで、スイッチバック動作を検知する図示しないセンサにより、スイッチバックされた片面印刷済みの用紙Pの先端Pb(スイッチバック前は片面印刷済みの用紙Pの後端Pbであるが、「先端Pb」と言い替えると共に、「スイッチバック後の用紙Pの先端Pb」ともいう)が検知されると、分岐爪25によって両面搬送路(再給紙路97)に導かれつつ、第1、第2排紙ローラ20,21と各拍車16によって片面印刷済みの用紙Pの先端Pbが両面搬送路(再給紙路97)に搬送される(図2(b)参照)。
【0036】
スイッチバック後の用紙Pは再給紙路97を経由して、図3(a)に示すように、搬送ベルト11における記録ヘッド31と対向しない反対向面11bに吸着されながら搬送される。搬送ベルト11の反対向面11bに吸着されながら搬送されてきたスイッチバック後の用紙Pは、両面搬送ローラ27によって搬送ベルト11を介して搬送ローラ10に押圧されつつ搬送され、分離爪43によって搬送ベルト11から分離される。分離されたスイッチバック後の用紙Pは、図3(b)に示すように、さらに迂回路98に案内されつつ先端加圧コロ41を通って搬送ベルト11によって記録ヘッド31との対向部に再度搬送される。この際、上述したと同様にして搬送ベルト11の対向面11aに吸着されて記録ヘッド31の印字領域に吸着搬送される。
ここで、帯電ローラ17は、反転時、迂回路9の内側に設置されているため、スイッチバック後の用紙Pは常に新規に帯電された状態の搬送ベルト11上に吸着されることとなる。以降の動作は片面印刷時の動作より当業者であれば容易に理解し実施できるため、これ以上の動作説明を省略する。
【0037】
本実施形態1によれば、両面印刷可能な画像形成装置であるインクジェットプリンタ100において、片面印刷済みの用紙を再給送・反転する際に、記録ヘッド31と対向しない搬送ベルト11の反対向面11bに再給送し案内するように再給送手段(第1、第2排紙ローラ20,21、レジストローラ26、両面搬送ローラ27、再給紙路97、分岐爪25等)を構成しているので、装置の小型化を図れるとともにコストアップを抑えることができる。
【0038】
本実施形態1のインクジェットプリンタ100は、上述した前カバー1等を備えていることにより、装置本体(マシン本体)サイズを最小限に抑えつつフロントオペレーション(マシン前面からのすべてのジャム処理、メンテナンス部品交換)を行える構成を有している。
本実施形態1のインクジェットプリンタ100は、フロントオペレーションを達成しつつ、マシンサイズさらに部品点数を最小限に抑えるために、キャリッジ30に搭載された記録ヘッド31を主走査方向に走査しながらインクを略水平に吐出して画像を形成する搬送経路にて構成される。
このように、給紙トレイ5に対する図1の左側に相当する前面からのアクセスと共に、用紙の印字面側を下向きに排紙する裏面排紙(フェイスダウン)を実現することにより、インクを下方に吐出して印字し画像を形成する従来のS字搬送経路に比べて、マシンサイズを最小に抑えることができる。
【0039】
同時に、片面画像形成済みの残りの裏面に画像を形成するために表裏反転する両面搬送経路についても、ジャム時の装置本体前面からの操作達成のため、マシンサイズを最小限に抑えつつさらに部品点数を最小限に抑えるために、両面搬送経路は搬送ベルト11を離れた用紙50を一度排紙部ないし排紙反転部でスイッチバックさせ、キャリッジ30と対向しない反対側の搬送ベルト11の反対向面11bに再吸着させて搬送する構成としている。
【0040】
図4および図5を参照して、本実施形態1の駆動系、クラッチ機構、駆動系から排紙反転部93への駆動力伝達機構・搬送系を説明する。図4は、本実施形態の駆動系、クラッチ機構、駆動系から排紙反転部93への駆動力伝達機構・搬送系の各構成および動作を説明する図、図5は、本実施形態のクラッチ機構の構成および動作を説明する要部の拡大図である。なお、以下、単に図4というときは図4(a)および図4(b)に示す両機構に共通の構成を、単に図5というときは図5(a)と図5(b)と図5(c)とに示す各機構に共通の構成を、それぞれ指しているものとする。図4においては、図の簡明化のため、図1で説明した第1、第2排紙ローラ20,21を除く、搬送ローラ10、搬送ベルト11、テンションローラ12、第2搬送ローラ14、排紙ガイド中央23、分岐爪25等の各部材は、2点鎖線で図示されている。
【0041】
本実施形態1の駆動系は、図4に示すように、少なくとも、搬送手段としての搬送ベルト11およびスイッチバック手段としての第1、第2排紙ローラ20,21を駆動する単一の駆動源・駆動手段としての搬送モータ9と、搬送モータ9の出力軸に固設された歯付きのモータプーリ9Aおよび搬送ローラ10と同軸上に設けられ軸10aの一端部(例えば図4における紙面の奥側)に固定された歯付きの搬送ローラ駆動プーリ10Aの間に巻き掛けられたタイミングベルト52とを有する。
【0042】
搬送モータ9は、正逆転可能なDCモータである。搬送ローラ10の軸10aの一端部には、多数のスリットを備えた図示しないロータリエンコーダが固設されている。このロータリエンコーダ近傍の装置本体側には、上記ロータリエンコーダと共にパルスエンコーダを構成して、搬送モータ9の回転駆動量・回転数を検出する透過型のフォトセンサからなるエンコーダセンサ(図示せず)が固設されている。このパルスエンコーダにより、搬送モータ9の回転駆動量が張力管理されたタイミングベルト52を介して、画像形成部90近傍の搬送ローラ10に正確に伝達されているか否かを検出するようになっている。
なお、実施形態例では駆動力伝達手段としてタイミングベルト52を用いているが、ギヤを用いてもよく、またレイアウトおよび機構上許されるのであれば搬送ローラ10の軸10aに搬送モータ9を直結してもよい。
また、キャリッジ30の上方側には、スリットを形成した図示しないエンコーダスケールを設け、さらにエンコーダスケールのスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ(図示せず)を設けることによって、キャリッジ30の主走査方向位置を検知するためのエンコーダを構成している。
【0043】
搬送ローラ10の軸10aの一端部(例えば図4における紙面の奥側)には、歯付きの搬送ローラプーリ10Bが、第2搬送ローラ14の軸14aの一端部(例えば図4における紙面の奥側)には、歯付きの第2搬送ローラプーリ14Aが、それぞれ固定されている。搬送ローラプーリ10Bと第2搬送ローラプーリ14Aとの間には、タイミングベルト54が巻き掛けられている。このため、単一かつ同一駆動源である搬送モータ9によって、駆動力伝達手段としての搬送ベルト11、タイミングベルト54を介して、テンションローラ12と第2搬送ローラ14とは常に同一方向に回転される。
【0044】
第2搬送ローラ14の軸14aの一端部には、第2搬送ローラプーリ14Aとほぼ同径の第2搬送ローラギヤ14B(第2搬送ローラプーリ14Aの奥側にあるため紙面正面からは見えない)が固設されている。第2搬送ローラ14近傍の装置本体には、第2搬送ローラギヤ14Bと常に噛み合う第1中間ギヤ55と、この第1中間ギヤ55と常に噛み合う第2中間ギヤ56が図示しないギヤ軸を介して回動可能に支持されている。第2中間ギヤ56は、後述するクラッチ制御機構60を構成するクラッチ制御ギヤ65と常に噛み合うようになっている。
また、第2搬送ローラ14の右斜め上近傍の装置本体には、第2搬送ローラギヤ14Bと常に噛み合うと同時に、後述するクラッチ揺動機構61のクラッチ第1ギヤ74と常に噛み合う中間ギヤ68が図示しないギヤ軸を介して回動可能に支持されている。
【0045】
本実施形態1のクラッチ機構(以下、本実施形態1の説明では単に「クラッチ機構」ともいう)は、クラッチ制御機構60とクラッチ揺動機構61とを備えており、2重クラッチ機構とも呼ばれる。
本実施形態1のクラッチ機構は、搬送モータ9の逆転駆動により逆転される、搬送手段としての搬送ベルト11または搬送ローラ10の一定の逆転量によって、同クラッチ機構が作動し、スイッチバック手段としての第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向を変更する機能・構成を有する。ここで、搬送ベルト11または搬送ローラ10の一定の逆転量が、本実施形態1のクラッチ機構を作動させる作動手段として機能する。
【0046】
上述した再給送手段および反転経路のとおり、片面印刷済みの用紙およびスイッチバックされた片面印刷済みの用紙を搬送する際に、印刷の生産性を向上させるために有益な動作は、搬送モータ9の正転駆動を介して駆動回転される搬送ローラ10の正転動作および搬送ベルト11のベルト移動方向(シート搬送方向)Xaの正転動作であるから、本実施形態1のクラッチ機構は上記した搬送ローラ10および搬送ベルト11の正転時以外の一定量の逆転(用紙搬送距離に換算して数mm以内に設定される)を巧みに利用して、第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向を切り替え・変更する作動手段ないしトリガ手段として活用するものである。
【0047】
クラッチ制御機構60は、図5に拡大して示すように、装置本体側の図示しない支持手段により回動可能に支持され、突起部63aを備えた第1回転体63と、装置本体側の所定位置に固設されたストッパ62と、第1回転体63内に回動可能に支持された第2回転体64と、第1回転体63と一体的に設けられ、第2中間ギヤ56と常に噛み合うクラッチ制御ギヤ65とを有する。第1回転体63は、正面視で劣弧状に一部切り欠かれたリング状をなす。第2回転体64は、図4および図5中ハッチを施して示されており、図5(a)に示す第1回転体63の切り欠き部分の延長円上の位置まで突出するように図示しないバネに付勢されて第1回転体63の切欠部から出没可能に設けられている。
クラッチ制御ギヤ65は、第2中間ギヤ56と常時噛合可能に、かつ、揺動アーム71の突起部71aと選択的に係合可能に、例えば第1回転体63よりも紙面の手前側に突出して歯幅が長く形成されている。
【0048】
クラッチ制御機構60の第1回転体63には、搬送ローラ10および搬送ベルト11の正転時、すなわち図4(a)に示すように副走査方向(ベルト移動方向)Xaに周回移動している際には、同図中白抜き太矢印で示すようにタイミングベルト54、第2搬送ローラプーリ14A、第2搬送ローラギヤ14B、第1中間ギヤ55、第2中間ギヤ56、クラッチ制御ギヤ65の駆動力伝達手段の走行・回転を介して、時計回りの駆動力(右回転のトルク)が伝達されているが、一定以上の負荷が掛かると、突起部63aがストッパ62に当たることによって第1回転体63の回転が止められることで、一定位置で止まるよう構成されている(図5(a)参照)。
搬送ローラ10および搬送ベルト11の逆転時には、上述したとは逆に上記駆動力伝達手段を介して、反時計回りの駆動力(左回転のトルク)が伝達されているが、一定以上の負荷(トルク)が掛かると止まる仕組みになっている。つまり搬送ローラ10および搬送ベルト11の回転に連結・連動して回転方向にトルクは掛かるが、一定以上の負荷(トルク)が掛かると止まる仕組みになっている。このような仕組みは図示しないがバネなどの摩擦力によって実現される一般的な構成である。
第1回転体63の劣弧状の切り欠き範囲は、後述するように搬送モータ9を介して駆動される搬送ローラ10および搬送ベルト11の一定の逆転量を調整するために設定されている。第2回転体64も、後述する搬送ローラ10および搬送ベルト11の一定の逆転量を調整するために設けられている。
【0049】
クラッチ揺動機構61は、図5に拡大して示すように、装置本体側に揺動可能に支持された支軸70と、この支軸70に一端部を固着され支軸70を中心として所定角度の範囲で揺動可能な揺動アーム71と、支軸70に回動可能に支持された歯付きのクラッチ第1プーリ72と、揺動アーム71の他端部に軸を介して回動可能に設けられた歯付きのクラッチ第2プーリ73と、クラッチ第1プーリ72とクラッチ第2プーリ73との間に巻き掛けられたタイミングベルト76と、クラッチ第1プーリ72と同軸上にクラッチ第1プーリ72と共に回動可能に設けられ、第2搬送ローラギヤ14Bと常に噛み合うクラッチ第1ギヤ74と、クラッチ第2プーリ73と同軸上にクラッチ第2プーリ73と共に回動可能に設けられ、排紙ローラ中間ギヤ78または第1排紙ローラ駆動受け渡しギヤ80と選択的に噛み合うクラッチ第2ギヤ75とを有する。
揺動アーム71における第1回転体63の上記切欠部と対向する側壁には、三角形状をなす突起部71aが上記切欠部側に向けて突出形成されている。
【0050】
図4に示すように、第1排紙ローラ20の同軸上には、第1排紙ローラギヤ20Aが固設されていて、第1排紙ローラギヤ20Aは第1排紙ローラ20と共に同一方向に回転するようになっている。第2排紙ローラ21の同軸上には、第2排紙ローラギヤ21Aが固設されている。第1排紙ローラギヤ20Aと第2排紙ローラギヤ21Aとの間には、両ギヤ20A,21Aと常に噛み合う排紙ローラ中間ギヤ78が軸を介して装置本体に回動自在に支持されている。すなわち、第1排紙ローラギヤ20Aは、排紙ローラ中間ギヤ78との噛み合いを介して第2排紙ローラギヤ21Aと共に同一方向に回転するギヤ列構成である。それ故に、第1排紙ローラ20と第2排紙ローラ21とは常に同一方向に回転する。
第1排紙ローラ20の近傍には、第1排紙ローラギヤ20Aと常に噛み合う第1排紙ローラ中間ギヤ79が軸を介して装置本体に回動自在に支持されている。さらに、第1排紙ローラ中間ギヤ79の左斜め下近傍の装置本体には、第1排紙ローラ中間ギヤ79と常に噛み合い、かつ、クラッチ第2ギヤ75と選択的に噛み合う第1排紙ローラ駆動受け渡しギヤ80が軸を介して装置本体に回動自在に支持されている。
【0051】
クラッチ揺動機構61もクラッチ制御機構60と同様な仕組みで、搬送ローラ10の正転時には、タイミングベルト54、第2搬送ローラプーリ14A、第2搬送ローラギヤ14B、クラッチ第1ギヤ74、クラッチ第1プーリ72、タイミングベルト76、クラッチ第2プーリ73、クラッチ第2ギヤ75の駆動力伝達手段を介して、反時計回りの駆動力(左回転のトルク)が作用していて、搬送ローラ10および搬送ベルト11の回転に連結・連動して揺動するが、一定以上の負荷でその揺動が止まる仕組みになっている。
クラッチ揺動機構61は、図4(a)および図5(a)に示すように搬送ローラ10の正転時には、支軸70を中心として反時計回りに揺動(左回転)し、図4(b)および図5(b)に示すように搬送ローラ10の逆転時には、支軸70を中心として時計回りに揺動(右回転)する。
【0052】
図5(a)は、搬送ローラ10が正転している時のクラッチ位置状態を表す。この状態では、図4(a)に示したクラッチ制御機構60側の駆動力伝達手段の構成上、第1回転体63は時計回りに回転しているが、第1回転体63の突起部63aがストッパ62に当たることによって第1回転体63の回転が止められることにより、同図中の一定位置で止まっている。この際、第2回転体64は、図示しないバネの付勢力により第1回転体63の切欠部のほぼ半分を遮るように突出している。一方、クラッチ揺動機構61は支軸70を中心として反時計回りに揺動するトルクを受けているが、揺動アーム71の突起部71aが第1回転体63の切欠部のほぼ半分を遮るように突出している第2回転体64に干渉することで、クラッチ揺動機構61の反時計回りの揺動が規制されている状態にある。
【0053】
搬送ローラ10が正転している時の図5(a)に示したクラッチ揺動機構61の位置状態により、図4(a)に示すように、タイミングベルト54、第2搬送ローラプーリ14A、第2搬送ローラギヤ14B、中間ギヤ68、クラッチ第1ギヤ74、クラッチ第1プーリ72、タイミングベルト76、クラッチ第2プーリ73、クラッチ第2ギヤ75の駆動力伝達手段を介して、クラッチ第2ギヤ75は同図中矢印で示す反時計回りに回転していて、排紙ローラ中間ギヤ78と噛み合うこととなる。これにより、排紙ローラ中間ギヤ78が時計回りに回転することとなり、第1、第2排紙ローラ20,21の反時計回りの回転(正転)搬送によって片面印刷済みの用紙は同図中矢印で示すシート排出方向Xbに搬送されることとなる。
【0054】
図5(a)の状態から搬送ローラ10を一定量逆転させると、図5(b)に示すように、第1回転体63は反時計回りに一定量回転し、クラッチ揺動機構61は支軸70を中心として時計回りに揺動することで、揺動アーム71の突起部71aが第1回転体63の切欠部のほぼ半分を遮っている第2回転体64と切欠部分との間に嵌り込む状態になり、クラッチ制御機構60の第1回転体63とクラッチ揺動機構61は図5(b)に示す位置状態になる。
この後、搬送ローラ10が再度正転することより、図5(c)に示すように、第1回転体63の時計回りの回転によって第1回転体63の突起部63aがストッパ62に当たることで、第1回転体63の回転が止められると同時に、揺動アーム71の突起部71aがクラッチ制御ギヤ65の隣合う歯の間に嵌り込むことで揺動アーム71の時計回りの揺動が同図中の一定位置で止められる。この際、揺動アーム71の突起部71aが第2回転体64の先端と当たることにより、第2回転体64は上記図示しないバネの付勢力に抗して第1回転体63内に入り込み、第1回転体63の切欠部からの突出量が小さくなる。結局、第1回転体63とクラッチ揺動機構61は図5(c)に示す位置状態になる。これは図4(b)に示す位置状態に相当し、第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向がスイッチバック可能な逆転に切り替えられることとなる。
【0055】
すなわち、図5(c)に示したクラッチ揺動機構61の位置状態により、図4(b)に示すように、タイミングベルト54、第2搬送ローラプーリ14A、第2搬送ローラギヤ14B、中間ギヤ68、クラッチ第1ギヤ74、クラッチ第1プーリ72、タイミングベルト76、クラッチ第2プーリ73、クラッチ第2ギヤ75の駆動力伝達手段を介して、クラッチ第2ギヤ75は同図中矢印で示す反時計回りに回転していて、第1排紙ローラ駆動受け渡しギヤ80と噛み合うこととなる。これにより、第1排紙ローラ駆動受け渡しギヤ80が時計回りに回転するとともに、第1排紙ローラ中間ギヤ79の反時計回りの回転および第1排紙ローラギヤ20Aの時計回りの回転を介して、第1、第2排紙ローラ20,21の時計回りの回転(逆転)搬送によって片面印刷済みの用紙はスイッチバックされることとなる。
【0056】
第1、第2排紙ローラ20,21が逆転で搬送ローラ10が正転状態にある図5(c)の状態から、搬送ローラ10を再び一定量逆転させると、第2回転体64を付勢している上記図示しないバネが反発して一瞬で図5(a)に示す状態に戻ることにより、クラッチ揺動機構61の反時計回りに揺動する動きに規制が掛けられる。これにより、図4(a)に示したように、第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向が再び正転に切り替えられる。すなわち、第1排紙ローラギヤ20Aが反時計回りに回転することとなり、第1、第2排紙ローラ20,21は反時計回りの回転(正転)搬送に戻る。
【0057】
上述したとおり、本実施形態1のクラッチ機構は、用紙の位置を検出する位置検知センサからの電気信号に基づいてクラッチ機構のオン・オフ作動を行うものでなく、基本的にメカニック機構を利用したものであることから、後で詳述するように第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量と、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量とを、異なるように設定している。これにより、両面印刷を行う際にはクラッチ機構のオン・オフ作動タイミングがいつも同じになり、メカニック的なヒステリシスの発生を防止している(請求項4)。
また、搬送ローラ10の逆転時には、クラッチ揺動機構61が駆動の切り替えのために揺動している動作中にあるため、第1、第2排紙ローラ20,21には搬送モータ9の駆動を伝えないように構成されている(請求項7)。
【0058】
次に、図2〜図5を参照して、本実施形態1の主として両面印刷時におけるクラッチ機構の動作を説明する。
上述した全体動作においては特に説明しなかったが、片面印刷および両面印刷時の印刷の生産性を向上するために、記録ヘッド31による用紙Pへの非画像形成動作中の搬送ベルト11の搬送速度が、記録ヘッド31による用紙Pへの画像形成動作中の搬送ベルト11の搬送速度と比べて速く設定されている。換言すれば、非画像形成動作中の搬送ベルト11の搬送速度が、画像形成動作中の搬送ベルト11の搬送速度と比べて速くなるように、搬送モータ9の回転速度が制御される。これは、後述の実施形態2においても同様である(請求項12)。
片面印刷が上述した通りの動作で行われた後、図2において片面印刷済みの用紙Pの先端Paが第1、第2排紙ローラ20,21の各ニップ部へ導かれて、片面印刷済みの用紙Pの後端Pbが排紙反転部93の分岐部(分岐爪25配置部)を通過して(図2(a)参照)、片面印刷済みの用紙Pがスイッチバック位置を占めると、これが図示しないセンサにより検知されることで、片面印刷済みの用紙Pの搬送が一時的に停止される。この際に、本実施形態1のクラッチ機構による第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転への作動・駆動切り替えが行われる。すなわち、図5(a)〜図5(c)に示したように搬送モータ9を介しての搬送ローラ10の一定量の逆転動作によって、第1、第2排紙ローラ20,21が正転から逆転へ切り替えられる(図4(b)参照)。
【0059】
第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量は、図2(a)に示すように、片面画像形成済みの用紙Pの後端Pbが分岐爪25を抜けた位置から、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙の先端Pbがレジストローラ26に最初に接触するまで(図2(b)参照)の用紙(シート)搬送量以内に設定されている(請求項3)。
この際、搬送モータ9を介しての搬送ローラ10の逆転量が、図2(a)に示す片面画像形成済みの用紙Pの後端Pbのスイッチバック位置から、両面搬送路(再給紙路97)内で常に一定方向である時計回りに回転するレジストローラ26まで(図2(b)参照)の用紙距離よりも長く設定すると、レジストローラ26の回転方向とスイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの搬送方向とが逆になりジャムになってしまうとともに、レジストローラ26によって一度搬送ベルト11の反対向面11bに押し付けられ帯電されたスイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの先端Pbが両面搬送路(再給紙路97)の上流側へ若干押し戻されるような状態になるため望ましくない。実際には、図2(a)に示す片面画像形成済みの用紙Pの後端Pbのスイッチバック位置から、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの先端Pbが分岐爪25を確実に通り越す搬送量(搬送距離)に設定するのが望ましい。
【0060】
図3を用いて、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量について説明する。第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるタイミングは、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの後端Paが両面搬送路(再給紙路97)に入った後に、同用紙Pの後端Paがスイッチバック手段、つまり第1排紙ローラ20を抜けた後である必要がある。これは、同用紙Pの後端Paが第1排紙ローラ20を抜けていないと、同用紙Pの後端部が第1排紙ローラ20と拍車16との間のニップ部に噛み込まれている状態にあるため、この状態で第1、第2排紙ローラ20,21が逆転から正転へ切り替えられると、同用紙Pの先端部側が搬送ベルト11に静電吸着してベルト移動方向Xaに搬送されている状態で両面搬送路(再給紙路97)の上流側へ押し戻されるため望ましくないからである。
【0061】
上述の理由から、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量は、図3(a)に示すように、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの後端Paが第1排紙ローラ20と拍車16とのニップ部を抜けた後から分岐爪25を抜けるまでに搬送される同図中白抜き太矢印で示す用紙搬送量67以下に設定されていることが条件となる(請求項5)。第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるタイミングおよびそのための搬送ローラ10の一定の逆転量は、図3(a)に示したスイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの後端Paの位置と、用紙搬送量67との関係を満たすように設定する必要がある。この際、図4(b)に示すようにクラッチ機構の作動により、第1、第2排紙ローラ20,21が逆転から正転へ切り替えられる。
【0062】
図2(a)、図2(b)〜図3(a)を用いて説明したとおり、第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量と、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量とが異なる(請求項4)。
そして、本実施形態1例では第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量が、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の一定の逆転量よりも大きく設定されている。
【0063】
また、本実施形態1では、図3(b)に示すように、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させる搬送ローラ10の逆転タイミングは、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの先端Pbが、一度搬送ベルト11の反対向面11bを離れた後に再度搬送ベルト11の対向面11aに吸着されるよりも上流側の両面搬送路(再給紙路97ないし迂回路98)に存在する位置に設定されている(請求項6)。
このような構成にすることで、搬送ベルト11の対向面11a側での吸着のための帯電が常にリフレッシュされた状態を保つことができる。つまり、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの先端Pbが図3(b)に示す位置を過ぎた時点で、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるためにクラッチ機構を作動させるために搬送ローラ10の逆転を開始すると、搬送ベルト11の対向面11aに一度吸着した用紙Pが搬送ベルト11の対向面11aから離れ、再度吸着してしまう。このような構成では帯電が乱れ吸着力が著しく悪化し、搬送乱れに直結してしまう。
【0064】
また、本実施形態1では、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pが搬送ベルト11の反対向面11bに再度吸着される際に、搬送ベルト11の対向面11aおよび反対向面11bに一度吸着されて離れた部分に同用紙Pが載置されないように構成している。
このような構成にすることで、搬送ベルト11の対向面11a側での吸着のための帯電が常にリフレッシュされた状態を保つことができる。
【0065】
上述したとおり、本実施形態1によれば、第1、第2排紙ローラ20,21(スイッチバック手段)と搬送ローラ10、搬送ベルト11(搬送手段)とを単一の搬送モータ9(駆動源)で駆動することができるとともに、第1、第2排紙ローラ20,21の正逆転を切り替えるクラッチ制御機構60およびクラッチ揺動機構61(クラッチ機構)に別アクチュエータを追加することなく、搬送手段の高精度の用紙搬送制御を行える両面搬送を実現することができる。
また、本実施形態1の駆動系によれば、この駆動系に揺動ギヤなどのクラッチを介装させていないので、駆動系の駆動剛性が弱くなってしまうことなく正常に保たれ、DCモータからなる搬送モータ9に高周波電圧を入力して駆動させても発振したり時定数が増加したりしまうことなく、DCモータの起動が正常に行われることで、搬送ベルト11の高速搬送・高精度の用紙搬送量制御ができる。
【0066】
(実施形態2)
図6および図7を参照して、本発明の実施形態2を説明する(請求項8〜12)。図6は、本発明の実施形態2を示すクラッチ機構およびスイッチバック手段の回転方向を切り替えるキャリッジ位置を説明する図、図7は、クラッチ機構(揺動ギヤユニット)の動作を説明する図である。なお、図6(b)および図7(a)、図7(b)は、図6(b)の矢視Va側から見た一部断面側面図である。
実施形態2は、図1〜図5に示した実施形態1と比較して、図4および図5の実施形態1のクラッチ機構に代えて、図6および図7に示すクラッチ機構を用いる点、および図4に示した正逆転可能な単一の搬送モータ9を含む駆動系に代えて、正転方向にのみ回転可能な単一の搬送モータを含む駆動系を用いる点が主に相違する。この相違点以外の構成は、実施形態1と同様である。すなわち、本実施形態2の搬送ローラ10は正転方向にのみ回転するとともに、これに伴い搬送ベルト11はベルト移動方向Xaにのみ走行・回転する。
【0067】
本実施形態2のクラッチ機構は、図6および図7に示す揺動ギヤユニット46と揺動ギヤ規制機構としての揺動ギヤ規制部材45とを備えている。
本実施形態2のクラッチ機構(以下、本実施形態2の説明では単に「クラッチ機構」ともいう)は、画像形成手段(記録ヘッド31)の非画像形成時の動作と連動して移動可能な移動体としてのキャリッジ30の位置によって、同クラッチ機構が作動し、第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向を変更する機能・構成を有する。ここで、非画像形成時の動作と連動して移動可能な移動体としてのキャリッジ30の位置が、本実施形態2のクラッチ機構を作動させる作動手段として機能する。
【0068】
図6において、符号3は、メインガイドロッド32等を取り付け・保持している装置本体としての本体フレームを示す。図6および図7に示すように、搬送ローラ10の軸10aの両端部は、本体フレーム3に回動可能に支持されている。搬送ローラ10の軸10aの一端部(図6(a)の右端部)には、搬送ローラギヤ44が固設されている。
揺動ギヤユニット46は、搬送ローラギヤ44と常に噛み合う駆動ギヤ48と、駆動ギヤ48と常に噛み合う第1揺動ギヤ49と、駆動ギヤ48と常に噛み合う第2揺動ギヤ50と、駆動ギヤ48、第1揺動ギヤ49および第2揺動ギヤ50を各ギヤ軸を介して回転可能に支持する対向する一対の連結アーム51とを備えている。
揺動ギヤユニット46は、本体フレーム3に回転可能に支持された駆動ギヤ48のギヤ軸48aを中心として揺動可能に構成されている。内側の連結アーム51には、揺動ギヤ規制部材45と選択的に係合する係合孔51aが貫通して形成されている。
【0069】
一方、揺動ギヤユニット46の第1揺動ギヤ49の近傍には、第1揺動ギヤ49と選択的に噛み合う中継ギヤ47がギヤ軸を介して本体フレーム3に回動可能に支持されている。中継ギヤ47は、ギヤ軸を介して本体フレーム3に回動可能に支持されている駆動受け渡しギヤ53と常に噛み合うように配置されている。駆動受け渡しギヤ53は、図示しないギヤ列等からなる駆動力伝達手段を介して排紙部の駆動機構(図4に示した第1排紙ローラギヤ20A、第2排紙ローラギヤ21A参照)へ連結されている。
揺動ギヤ規制部材45は、例えば先端部が先細りテーパ状に形成されていることで自動調芯機能を備えた金属製の丸棒からなり、図6(a)に示すように、基端部がキャリッジ30の右外側壁に固定されている。
図7(a)に示すように、揺動ギヤ規制部材45の先端部が連結アーム51の係合孔51aに係合していないときは、揺動ギヤユニット46は図示しないバネの付勢力によって図7(a)に示すギヤの連結位置を占める、すなわち第1、第2排紙ローラ20,21が正転するようにギヤ連結するように構成されている。
【0070】
ここで、インクジェットプリンタ100が備えている維持回復装置について補説する。キャリッジ30の主走査方向Yの一方側および他方側の非印字・非画像形成領域には、記録ヘッド31のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構(維持回復モジュール)35を配置している。この維持回復機構35は、記録ヘッド31のノズル面をキャッピングするための吸引及び保湿用キャップ36と、記録ヘッド31のノズル面をワイピングするためのワイパーブレード37と、空吐出を行うための空吐出受け38などを備えている。
印字・画像形成待機中には、キャリッジ30は維持回復機構35側に移動されて、キャップ36で記録ヘッド31のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、吸引用キャップで記録ヘッド31をキャッピングした状態でノズルから記録液(インク)を吸引し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド31の安定した吐出性能を維持する。
【0071】
本実施形態2のクラッチ機構の動作を説明する。
図7(a)は、第1、第2排紙ローラ20,21が正転(片面印刷済みの用紙の排紙動作)時のギヤの連結を示している。このとき、揺動ギヤ規制部材45は揺動ギヤユニット46を規制せずに、揺動ギヤユニット46自身の自重と回転のトルク(搬送ローラ44から伝達される回転のトルク)と上記図示しないバネの付勢力とによって、揺動ギヤユニット46の第1揺動ギヤ49が中継ギヤ47に噛み合って連結されている状態にある。この際、同図に示すように排紙側に駆動を渡す駆動受け渡しギヤ53は白抜き太矢印で示すように反時計回りに回転(左回転)している。
【0072】
一方、図7(b)は第1、第2排紙ローラ20,21が逆転(スイッチバック動作)時のギヤの連結を示している。このとき、図6(a)に示すようにキャリッジ30の主走査方向Yの一方側の維持回復機構35への移動によって、揺動ギヤ規制部材45の先端部が揺動ギヤユニット46の連結アーム51の係合孔51aに入り込み・係合することで揺動ギヤユニット46をギヤ軸48aを中心として反時計回り揺動変位させ押し上げる。これによって駆動が切り替わり、この際、同図に示すように排紙側に駆動を渡す駆動受け渡しギヤ53は白抜き太矢印で示すように時計回りに回転(右回転)している。
図7(b)の状態において、キャリッジ30が再び印字・画像形成動作を行うべく維持回復機構35から主走査方向Yの印字領域側へ移動したときには、揺動ギヤ規制部材45と連結アーム51の係合孔51aとの係合状態が解除されることで、上記図示しないバネの付勢力によって揺動ギヤユニット46は図7(a)に示すギヤの連結位置を占め、第1、第2排紙ローラ20,21が正転するようにギヤ連結されることとなる。
以上の駆動系およびクラッチ機構を用いることで、スイッチバック手段としての第1、第2排紙ローラ20,21の正逆転をコントロールすることができる。
【0073】
なお、揺動ギヤ規制部材45と連結アーム51の係合孔51aとの係合により揺動ギヤユニット46を揺動変位させる構成に限らず、例えば、キャリッジ30の右外側壁に固定した棒状の押し付け部材と、この押し付け部材と選択的に係合可能であって、連結アーム51に固設された傾斜面を備えた傾斜板との組み合わせからなるもの等、均等な手段ならば何でもよい。
【0074】
次に、図2、図3、図6および図7を参照して、本実施形態2の主として両面印刷時におけるクラッチ機構の動作を、実施形態1と相違する点を中心に説明する。
片面印刷が上述した通りの動作で行われた後、図2において片面印刷済みの用紙Pの先端Paが第1、第2排紙ローラ20,21の各ニップ部へ導かれて、片面印刷済みの用紙Pの後端Pbが排紙反転部93の分岐部(分岐爪25配置部)を通過して(図2(a)参照)、片面印刷済みの用紙Pがスイッチバック位置を占めると、これが図示しないセンサにより検知されることで、片面印刷済みの用紙Pの搬送が一時的に停止される。この際に、本実施形態2のクラッチ機構による第1、第2排紙ローラ20,21の正転から逆転への駆動切り替えが行われる。すなわち、記録ヘッド31の非画像形成時の動作と連動して移動可能なキャリッジ30は図6(a)に示す右端に移動することによって、揺動ギヤ規制部材45の先端部が上記図示しないバネの付勢力に抗して連結アーム51の係合孔51aに入り込み・係合する。これにより、図7(a)の揺動ギヤユニット46とのギヤ連結状態から、揺動ギヤユニット46がギヤ軸48aを中心として反時計回りに揺動変位することで、図7(b)の揺動ギヤユニット46とのギヤ連結状態になる。これによって駆動が切り替わり、この際、同図に示すように排紙側に駆動を渡す駆動受け渡しギヤ53が白抜き太矢印で示すように時計回りに回転することで、第1、第2排紙ローラ20,21が逆転することとなる。
【0075】
本発明のように排紙部ないし排紙反転部側にスイッチバック手段としての第1、第2排紙ローラ20,21を備えた場合には、片面印刷済みの用紙のスイッチバック位置は用紙の第1面への印字後に一定量搬送した後である。つまりキャリッジ30は用紙の第1面への印字終了して待機している状態であるために、メンテナンス動作など直接の印字動作以外を行うことができる。そのため、スイッチバックを行わせるためのクラッチ機構を作動させるキャリッジ30の位置が、メンテナンス動作を行う周辺であるとキャリッジ30の移動動作範囲が狭くて済むという利点がある。
すなわち、キャリッジ30が一定範囲に位置するときにのみ、第1、第2排紙ローラ20,21を逆転するクラッチが入っているために、キャリッジ30が維持回復機構35周辺の一定範囲外に移動すると第1、第2排紙ローラ20,21は再度正転する。つまり、キャリッジ30が維持回復機構35周辺の一定範囲に位置するときは常に第1、第2排紙ローラ20,21は逆転動作を行い、一定範囲から外れた位置では常に正転動作を行う構成となっている(請求項9)。
【0076】
一方、一度キャリッジ30がクラッチを入れると再度クラッチを切らない限り第1、第2排紙ローラ20,21は逆転動作を行い続ける(請求項10、11)。
このような構成は、両面印刷時における第1、第2排紙ローラ20,21の逆転動作時に、キャリッジ30が離れた複数の場所で動作する必要があるときなどに有効である。例えば、キャリッジ30のメンテナンス動作は両面印刷時のスイッチバック動作時に行ってしまうと動作の無駄がなく生産性を損なわないため、記録ヘッド31の吸引動作、記録ヘッド31のクリーニング動作、空吐出動作、キャリッジ30の記録ヘッド31へのインク供給動作などが離れた位置にあり、スイッチバック動作時にこのような複数動作を行いたい場合などが挙げられる。
【0077】
しかしながら、上記の構成(請求項10、11)では、キャリッジ30の位置でクラッチがオンまたはオフが明確に分からない構成)、マシン異常などでマシンがダウンしてその後復帰した場合に、第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向が分からない問題が起こる。このような場合に逆転のクラッチのオンとオフの場所が異なると、別途センサを設けることなくキャリッジ30でクラッチをオンまたはオフしてから(第1、第2排紙ローラ20,21の回転方向を明確にしてから)復帰動作を行うことができる。
【0078】
図3を用いて、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるクラッチ機構を作動させる構成について説明する。第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるタイミングは、スイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの後端Paが両面搬送路(再給紙路97)に入った後に、同用紙Pの後端Paがスイッチバック手段、つまり第1排紙ローラ20を抜けた後である必要がある。これは、同用紙Pの後端Paが第1排紙ローラ20を抜けていないと、同用紙Pの後端部が第1排紙ローラ20と拍車16との間のニップ部に噛み込まれている状態にあるため、この状態で第1、第2排紙ローラ20,21が逆転から正転へ切り替えられると、同用紙Pの先端部側が搬送ベルト11に静電吸着してベルト移動方向Xaに搬送されている状態で両面搬送路(再給紙路97)の上流側へ押し戻されるため望ましくないからである。つまり、第1、第2排紙ローラ20,21の逆転から正転へ切り替えるタイミングは、図3(a)に示したスイッチバックされた片面画像形成済みの用紙Pの後端Paの位置と、用紙搬送量67との関係を満たすように設定する必要がある。
このように第1、第2排紙ローラ20,21を正転にもどすタイミングは比較的長い範囲で設定できるために、キャリッジ30の動作(例えば、記録ヘッド31の吸引動作、記録ヘッド31のクリーニング動作、空吐出動作、キャリッジ30の記録ヘッド31へのインク供給動作など)の都合に合わせて設定することができる。
【0079】
しかし、印字動作中(用紙の第2面の印字開始から終了までの間)にクラッチ機構を動作させるのは、搬送ローラ10と駆動連結されている関係上好ましくはない。また、印字動作ではキャリッジ30は印字範囲に合わせて移動するためにクラッチ位置に動作させるのは生産性の悪化を招く。よって実際には第1、第2排紙ローラ20,21を正転にもどすタイミングは、図3(b)の位置より上流側であることが好ましい。
【0080】
上述したとおり、本実施形態2によれば、第1、第2排紙ローラ20,21(スイッチバック手段)と搬送ローラ10、搬送ベルト11(搬送手段)とを単一の搬送モータ9(駆動源)で駆動することができるとともに、第1、第2排紙ローラ20,21の正逆転を切り替える揺動ギヤユニット46と揺動ギヤ規制機構としての揺動ギヤ規制部材45(クラッチ機構)に別アクチュエータを追加することなく、搬送手段の高精度の用紙搬送制御を行える両面搬送を実現することができる。
また、本実施形態2の駆動系によれば、この駆動系に揺動ギヤなどのクラッチを介装させていないので、駆動系の駆動剛性が弱くなってしまうことなく正常に保たれ、DCモータからなる搬送モータ9に高周波電圧を入力して駆動させても発振したり時定数が増加したりしまうことなく、DCモータの起動が正常に行われることで、搬送ベルト11の高速搬送・高精度の用紙搬送量制御ができる。
【0081】
図8を参照して、実施形態1および2の変形例を説明する。この変形例は、図1に示したインクジェットプリンタ100と比較して、主としてレイアウト構成が異なる画像形成装置の一例としてのインクジェットプリンタ100Aである点が相違する。図8のインクジェットプリンタ100Aの構成要素(部材や構成部品等)については、図1のインクジェットプリンタ100の構成要素と多少の形状の相違があっても同一の機能を有するものは同一符号を付すことで、その説明を省略する。
インクジェットプリンタ100Aは、図1のインクジェットプリンタ100と比較して、第1に、シート搬送経路を鉛直・垂直方式から水平方式に変更した点、第2に、第1の変更点に伴い破線で簡略的に示すキャリッジ30の記録ヘッド31による印字方式を鉛直方式に変更した点(これに伴い図8では省略している排紙トレイへの排紙がフェイスアップで積載される)、排出手段およびスイッチバック手段を単一の排紙ローラ20および拍車16で構成した点が主に相違する。
【0082】
インクジェットプリンタ100Aにおいて、上記以外の細部の相違点の構成を挙げれば、キャリッジ30の記録ヘッド31に対向し搬送ベルト11の対向面10a裏面側に、主走査方向に延びる搬送ガイド板13を明示した点、給紙搬送路95が給紙ガイド部材95aで形成されている点、共通搬送路96が一対のガイド部材96a,96bで形成されている点、再給紙路97が一対のガイド部材97a,97bで形成されている点、搬送ベルト11の反対向面11bに沿ってベルトガイド部材99を配設した点、迂回路98が一対のガイド部材98a,98bで形成されている点である。
なお、インクジェットプリンタ100Aの動作は、上述した実施形態1および2のクラッチ機構を適用して配設した場合を含め、当業者であれば詳述したインクジェットプリンタ100の動作から容易に理解して実施できるから、重複説明を避けるためその説明を省略する。
【0083】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術は、上述した実施例を含む各実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0084】
本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態および変形例におけるインクジェット方式のインクジェットプリンタ100,100Aに限らず、例えば、特開2006−232440号公報記載の電子写真方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0085】
本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態および変形例におけるインクジェット方式のインクジェットプリンタ100,100Aに限らず、その静電吸着式の搬送ベルト11に代えて、例えば特開平5−107969号公報や特許第3662385号公報に開示されているような吸引穴が形成された搬送ベルトを用いることも可能である。この場合、吸引および送風の両機能を兼ね備えたファンを配置して、搬送ベルトの対向面および反対向面とで上記ファンによる吸引方向を制御するように構成すればよい。
本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態におけるインクジェット方式のインクジェットプリンタ100,100Aに限らず、例えば、プリンタ、プロッタ、ワープロ、ファクシミリ、複写機、孔版印刷機を含む印刷装置等またはこれら2つ以上の機能を備えた複合機等においてインクジェット記録装置を含む画像形成装置にも適用可能である。また、本発明に係る画像形成装置は、上記実施形態1におけるシリアル型のインクジェットプリンタ100,100Aに限らず、上記実施形態1のクラッチ機構では例えばライン型のインクジェット記録装置等にも適用可能である。
また、被記録媒体・シートとしては、用紙Pに限らず、上記したように使用可能な薄紙から厚紙、はがき、封筒、あるいはOHPシート等まで、画像形成可能な全ての記録媒体・シートを含むものである。
【符号の説明】
【0086】
1 前カバー
5 給紙トレイ
6 排紙トレイ
9 搬送モータ(単一の駆動源)
10 搬送ローラ(回転体)
11 搬送ベルト(搬送手段)
12 テンションローラ(回転体)
17 帯電ローラ(帯電手段)
30 キャリッジ(移動体)
31 記録ヘッド(画像形成手段)
45 揺動ギヤ規制部材
46 揺動ギヤ
47 中継ギヤ
60 クラッチ制御機構(クラッチ機構)
61 クラッチ揺動機構(クラッチ機構)
62 ストッパ
63 第1回転体
64 第2回転体
65 クラッチ制御ギヤ
67 用紙搬送量
68 中間ギヤ
70 支軸
71 揺動アーム
72 クラッチ第1プーリ
73 クラッチ第2プーリ
74 クラッチ第1ギヤ
75 クラッチ第2ギヤ
76 タイミングベルト
78 排紙ローラ中間ギヤ
79 第1排紙ローラ中間ギヤ
80 第1排紙ローラ駆動受け渡しギヤ
P 用紙(被記録媒体、シート)
Xa ベルト移動方向、副走査方向(正転方向)
Xb シート排出方向
Y 主走査方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2008−285279号公報
【特許文献2】特開2007−076881号公報
【特許文献3】特開2005−148365号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段と対向して配置され、前記搬送手段により搬送されてくるシートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段を通過した片面画像形成済みのシートを前記搬送手段よりも下流側でスイッチバックする正逆転可能なスイッチバック手段を備え、該スイッチバック手段の逆転によってスイッチバックされた片面画像形成済みのシートを、再度、前記画像形成手段側へ再給送する再給送手段と、
前記再給送手段により給送されてきた前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートを、前記搬送手段における前記画像形成手段との対向面と反対側の反対向面に案内して前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの表裏を反転し、再度、前記搬送手段の前記対向面へ案内する反転経路と、
前記搬送手段および前記スイッチバック手段を駆動する単一の駆動源と、
前記駆動源の駆動力を前記搬送手段に伝達する駆動系を除く部位に配置され、前記スイッチバック手段の正逆転を切り替えるクラッチ機構と、
前記クラッチ機構を作動させる作動手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記駆動源および前記搬送手段は、正逆転可能に構成されており、
前記作動手段が、前記搬送手段の一定量の逆転であり、
前記搬送手段の一定量の逆転によって、前記クラッチ機構が作動し、前記スイッチバック手段の回転方向を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの搬送経路を前記反転経路に切り替える搬送経路切替手段と、
前記反転経路における前記搬送手段の前記対向面の最上流側に配置され、前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートを前記対向面に押し付けて回転する回転体と、
を有し、
前記スイッチバック手段の正転から逆転へ切り替えるために前記クラッチ機構を作動させる前記一定の逆転量は、片面画像形成済みのシートの後端が前記搬送経路切替手段を抜けた位置から、前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの先端が前記回転体に最初に接触するまでのシート搬送量以内に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の画像形成装置において、
前記スイッチバック手段の正転から逆転へ切り替えるために前記クラッチ機構を作動させる前記搬送手段の前記一定の逆転量と、前記スイッチバック手段の逆転から正転へ切り替えるために前記クラッチ機構を作動させる前記搬送手段の前記一定の逆転量とが異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記スイッチバック手段の逆転から正転へ切り替えるために前記クラッチ機構を作動させる前記搬送手段の前記一定の逆転量は、前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの後端が前記スイッチバック手段の挟持部を抜けた後から前記搬送経路切替手段を抜けるまでに搬送されるシート搬送量以下に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記搬送手段は、少なくとも2つの回転部材間に掛け回されて周回移動され、シートを吸着して搬送する搬送ベルトを備え、
前記再給送手段は、前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートを前記画像形成手段と対向しない反対向側の前記搬送ベルト面に再給送し案内するよう構成されており、
前記反転経路は、前記反対向側の前記搬送ベルト面を通過した前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートが、一度前記反対向側の前記搬送ベルト面を離れた後、再度、前記画像形成手段と対向する対向側の前記搬送ベルト面に吸着されて案内するよう構成されており、
前記スイッチバック手段の逆転から正転へ切り替えるために前記クラッチ機構を作動させる前記搬送手段の逆転タイミングは、前記スイッチバックされた片面画像形成済みのシートの先端が、一度前記反対向側の前記搬送ベルト面を離れた後に再度前記対向側の前記搬送ベルト面に吸着されるよりも上流側の前記反転経路に存在する位置に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記搬送手段の逆転時には、前記スイッチバック手段には前記駆動源の駆動を伝えないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記作動手段が、前記画像形成手段の非画像形成時の動作と連動して移動可能な移動体の位置であり、
前記非画像形成時に移動する前記移動体の位置によって、前記クラッチ機構が作動し、前記スイッチバック手段の回転方向を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記移動体が一定範囲に位置するときにのみ、前記クラッチ機構が作動することにより前記スイッチバック手段を逆転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記移動体の位置によって、前記スイッチバック手段を逆転する前記クラッチ機構のオンとオフとを切り替えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項8記載の画像形成装置において、
前記スイッチバック手段を逆転する前記クラッチ機構のオンを行う前記移動体の位置と、前記クラッチ機構のオフを行う前記移動体の位置とが異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記画像形成手段によるシートへの非画像形成動作中の前記搬送手段の搬送速度が、前記画像形成手段によるシートへの画像形成動作中の前記搬送手段の搬送速度と比べて速く設定されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−23315(P2013−23315A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158222(P2011−158222)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】