説明

画像形成装置

【課題】定着性および生産性を低下させることなく商用電源の定格電流を超えないように制御することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の入力電圧を検知する入力電圧検知手段を備え、商用電源から定着手段の加熱体に供給される交流電力の供給量を制御する電力制御部は、入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値未満の場合には、交流電力の電圧波形における少なくとも連続する2半波以上の所定波数ごとに、各半波における商用電源から加熱体への通電のオンまたはオフを設定する第一制御モードにより電力供給量を制御し、入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値以上の場合には、交流電力の電圧波形における所定波数ごとに、各半波中において商用電源から加熱体への通電のオン・オフを切り替える位相角を設定する第二制御モードにより電力供給量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置は、潜像担持体と、現像装置と、転写手段と、加熱(定着)装置を備えている。現像装置は、潜像担持体に現像剤(以降トナー)を付与することにより潜像担持体が担持する潜像をトナー像として可視化する。転写手段は、所定方向に搬送される記録紙に現像装置によるトナー像を転写する。加熱装置は、転写手段によってトナー像の転写を受けた記録紙を所定の定着処理条件にて加熱及び加圧することによりトナー像を記録紙に定着させる。
加熱装置としては、熱ローラ方式・熱板方式・ヒートチャンバー方式・フィルム加熱方式等、従来より種々の方式・構成のものが知られている。これらの加熱装置は何れも加熱体を有し、装置温度が所定の温度(所定の像定着温度等)に維持されるように加熱体への通電が制御されて温調管理される。
上記のような従来の種々の加熱装置のうちでも、フィルム加熱方式の加熱装置は効果的で実用性に富む。
フィルム加熱方式の加熱装置は、薄肉の耐熱性フィルム(加熱フィルム)と、このフィルムの移動駆動手段と、加熱体(ヒータ)と、加圧部材と、を有する。加熱体は、フィルムを中にしてその一方面側に固定支持して配置され、一定温調される。加圧部材は、フィルムの他方面側に加熱体に対向して配置され、加熱体に対してフィルムを介して像加熱すべき記録材の顕画像担持面を密着させる。フィルムは少なくとも像加熱実行時はフィルムと加圧部材との間に搬送導入される記録材と順方向に略同一速度で走行移動させられる。この走行移動フィルムを挟んで加熱体と加圧部材との圧接部で形成される像加熱部としてのニップ部を通過させることにより、記録材の顕画像担持面をフィルムを介して加熱体で加熱して顕画像を熱定着等させる。次いで像加熱部通過後のフィルムと記録材を分離点で離間させる。以上がフィルム加熱方式の加熱装置の基本構成である。
このようなフィルム加熱方式の加熱装置は昇温の速い低熱容量の加熱体や薄膜のフィルムを用いることができるため、省電力化やウェイトタイム短縮化(クイックスタート性)が可能となる。その他、従来の他の加熱装置のもつ種々の欠点を解消できる利点を有し、効果的である。フィルム加熱方式の加熱装置における温調制御は、加熱体上に設けたサーミスタの出力をA/D変換してCPUに取り込み、PID制御により加熱体への通電を制御するものが多い。すなわち、検知温度と目標温度との比較結果から、予め定められた制御テーブルに基づいてP(Proportion)制御、I(Integral)制御、D(Differential)制御を行う。
この際、加熱体への通電制御はAC電圧をトライアックによりON/OFFすることで行われるが、この通電制御方式には波数制御或いは位相制御が用いられ、通電比率を制御することで電力を細かく制御して、加熱体の温度の振幅をできるかぎり小さくしている。
ここで波数制御とは、入力するAC電圧の数波を所定周期として、その所定周期ごとに何波をON、何波をOFFという形で1半波毎にON/OFFする制御であり、所定周期内のON/OFFのデューティー比で通電比率を制御する方式である。例えば、交流電源の電源周波数が50Hzでは1半波=10msecとなり、所定周期を20半波=200msec=1周期とした場合、20半波毎に加熱体への供給電力を更新する。最小電力は全OFF(20半波全OFF)であり、最大電力は全ON(20半波全ON)となり、1周期毎の供給電力量は、0半波〜20半波ONとなる21レベルとなる。この制御によれば、入力するAC電圧の波形を図10に示す波形とすると、一例として加熱体への通電電流は図11に示すような波形になる。
これに対し、位相制御は入力するAC電圧の1波内の通電角を制御する方式であり、加
熱体への通電電流は図12に示すような波形になる。
波数制御には、高調波電流が小さく、力率が高いがフリッカノイズは大きいという特徴があり、位相制御には、フリッカノイズは小さいが、高調波電流が大きく、また、力率が低いため無効電流が多いという特徴がある。
また、波数制御は数波の所定周期ごとに通電比率を制御するため、細かく通電比率を制御しようとすると更新周期を長くしてその間の波数を多くする必要がある。しかし通電比率の更新は所定周期ごとにしか行えないため、あまり更新周期を長くすると通電比率の切り替えが遅くなる。すると、必要な時に適正な電力を供給できなくなるため、通電比率と更新周期のバランスをとって設定する必要がある。
これに対して、位相制御は1半波内で細かく通電比率を制御するとともに、通電比率の更新は最小1全波としている。したがって、位相制御の方が通電比率すなわち電力の更新を細かく行うことができ、制御に伴って生じる加熱体の温度リップルを小さくできる。
他に、位相制御はノイズフィルターが必要で回路構成も複雑となるため装置のコストが高くなる。一方、波数制御の場合はそのようなコストアップがないという特徴もある。
したがって、装置の要件に応じてそれぞれの構成が選択される。
また、位相制御と波数制御を組み合わせて、波数制御の更新周期内の少なくとも1半波に位相制御を用いる方式も提案されている(特許文献1参照)。
この制御方法は位相制御と波数制御を組み合わせていることからここではハイブリッド制御と称する。この制御方法では、波数制御のみの時よりも通電比率の更新周期を短くできるため、位相制御よりは劣るものの波数制御よりは細かい制御を行うことができる。一方、位相制御のみを用いる時よりも高調波電流を低減することができる利点がある。
ところで、近年の画像形成装置の高速化に伴い、定着装置の動作電流は増大する傾向にある。一方、高速化にともない、画像形成装置に使用するモータも高速化/大型化し、そ
の使用個数も増えることで、定着装置以外の動作電流も増加している。
また、オフィス文書のカラー化が進み、モノクロプリンタからカラーレーザプリンタへの置き換えも進んでいる。カラーレーザプリンタは、複数の画像形成を同時に行うためモータの使用個数が多く、更に、複数のトナー像を記録紙に定着させる必要があるため定着装置が消費する電流も大きい。
他にも、画像形成装置の高機能化に伴い、各種オプション装置が装着されるようになってきている。例えば、複数の記録紙サイズに対応するための給紙オプション装置や、排出された記録紙を所定枚数毎に仕分けしたりステイプルしたりする排紙オプション装置、原稿のコピーや電子ファイル化を行うための自動紙送り機構付きイメージスキャナ等が挙げられる。その結果、画像形成装置の動作電流は益々増加してきている。
これら機器の消費する電流の上限の一つの目安は、商用電源で供給可能な最大電流;定格電流(例えば15A=1500W/100V)であり、画像形成装置の動作電流が商用電源の定格電流を超えないように設計する必要がある。
そこで、従来の画像形成装置においては、例えば画像形成装置の入力電圧を検知し、入力電圧が所定値以下の時に定着温度を低下させることで動作電流を下げ、商用電源の定格電流を超えないように制御する方法も考案されている(特許文献2参照)。
また、画像形成装置への流入電流を検知する電流検知手段を設け、商用電源の定格電流を超えないように定着装置に流す電流を制限することもなされている(特許文献3参照)。
また、定着部への電流が制限されている状態で定着部の温度が制御目標温度より低い所定温度を下回った場合には、定着部へ搬送される記録材の搬送間隔を拡大して所望の定着性を確保する方法も考案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−123941号公報
【特許文献2】特開2008−250060号公報
【特許文献3】特公平3−73870号公報
【特許文献4】特開2008−292988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2のごとく入力電圧に応じて定着温度を下げると、その分定着性が悪化することは避けられない。この制御では実用的には問題は少ないと想定されるものの、できれば定着温度は下げないに越したことはない。これは特許文献3においても同様であり、その対策として特許文献4の構成が考案されている。一方、特許文献4においては、定着性は維持されるものの記録材の搬送間隔が拡大するため、画像形成装置の生産性が落ちるという課題がある。
定格電流を超えるリスクに対して、動作電流を下げるという点では、定着装置の加熱体への通電比率の制御方法の選択が挙げられる。位相制御ではよりきめ細かい制御ができるが、力率が悪く、定着に必要な電力を得るために多くの電流を要する。このため定格電流をオーバーするリスクが高い。したがって、特許文献3、4、5のごとく定着温度を下げる、スループットを落とす等の目に見えてわかるトレードオフが生じる。
これに対して波数制御は力率が高くほぼ100%であるが、制御周期および制御単位が粗く、温度制御の点では位相制御より劣る。温度リップルが大きくなりがちであり加熱ムラが見えやすい傾向がある。
【0005】
本発明の目的は、定着性および生産性の低下させることなく商用電源の定格電流を超えないように制御することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る画像形成装置は、
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
電力が供給されることで発熱する加熱体を有し、前記記録材に形成された画像を加熱及び加圧によって前記記録材に定着させる定着手段と、
前記加熱体の温度を検出する温度検出手段と、
商用電源から前記加熱体に供給される交流電力の供給量を制御する電力制御部と、
を備える画像形成装置において、
画像形成装置の入力電圧を検知する入力電圧検知手段を備え、
前記電力制御部は、
前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値未満の場合には、前記交流電力の電圧波形における少なくとも連続する2半波以上の所定波数ごとに、各半波における前記商用電源から前記加熱体への通電のオンまたはオフを設定する第一制御モードにより電力供給量を制御し、
前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値以上の場合には、前記交流電力の電圧波形における所定波数ごとに、各半波中において前記商用電源から前記加熱体への通電のオン・オフを切り替える位相角を設定する第二制御モードにより電力供給量を制御することを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するために本発明に係る画像形成装置は、
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
電力が供給されることで発熱する加熱体を有し、前記記録材に形成された画像を加熱及び加圧によって前記記録材に定着させる定着手段と、
前記加熱体の温度を検出する温度検出手段と、
商用電源から前記加熱体に供給される交流電力の供給量を制御する電力制御部と、
を備える画像形成装置において、
前記商用電源から画像形成装置に流れる電流を検知する電流検知手段を有し、
前記電力制御部は、
前記交流電力の電圧波形における少なくとも連続する2半波以上の所定波数ごとに、各半波における前記商用電源から前記加熱体への通電のオンまたはオフを設定する第一制御モードと、
前記交流電力の電圧波形における所定波数ごとに、各半波中において前記商用電源から前記加熱体への通電のオン・オフを切り替える位相角を設定する第二制御モードと、
を切り替えて電力供給量を制御できるように構成されており、
前記加熱体の発熱を開始するときは、前記第二制御モードにより電力供給量を制御し、前記電流検知手段により検知された電流が所定値以上となったときに、前記第一制御モードに切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、定着性および生産性を低下させることなく商用電源の定格電流を超えないように制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1における画像形成動作を説明するフローチャート。
【図2】実施例1における画像形成装置の構成図。
【図3】実施例1における画像形成装置を説明する図。
【図4】位相制御を用いた際の位相角と力率の関係を示す図。
【図5】入力電圧と低圧電源の動作電流の関係を示す図。
【図6】画像形成装置全体での入力電圧と動作電流の関係を示す図。
【図7】実施例2における画像形成装置を説明する図。
【図8】実施例2における画像形成動作を説明するフローチャート。
【図9】定着器に流れる定着電流波形を説明する図。
【図10】入力される交流電力の電圧波形を示す図。
【図11】波数制御による通電波形を示す図。
【図12】位相制御による通電波形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
<実施例1>
図2は、本発明の実施例の画像形成装置であるオプション装置付きのカラーレーザプリンタの構成図である。本実施例の画像形成装置は、180mm/secのプロセススピードでA4サイズ紙を30ppmで出力する能力をもつ。また、本実施例の画像形成装置は定格電圧100V〜127Vで使用されるものである。なお、本実施例ではオプション装置付きの構成図で説明を行うが、本発明はオプション装置付きに限定されるものではない。これは以降の実施例でも同様である。
【0012】
401はカラーレーザプリンタ、402は記録紙32を収納する給紙カセット、404は給紙カセット402から記録紙32を繰り出すピックアップローラ、405は前記ピックアップローラ404によって繰り出された記録紙32を搬送する給紙ローラである。406は給紙ローラ405と対をなし記録紙(記録材)32の重送を防止するためのリタードローラ、407はレジストローラ対である。
【0013】
409は静電吸着搬送転写ベルト(以下ETBと記す)であり、記録紙32を静電吸着させて搬送する。410はプロセスカートリッジであり、感光ドラム305、感光ドラム305上のトナーを除去するクリーニング手段306、帯電ローラ303と現像ローラ302、トナー格納容器411を備えており、カラーレーザプリンタ401に対し着脱可能となっている。420はスキャナユニットであり、レーザユニット421、ポリゴンミラー422、スキャナモータ423、結像レンズ群424により構成されている。レーザユニット421は、後述するビデオコントローラ440から送出される各画像信号に基づいて変調されたレーザ光を発光する。430は、転写ローラである。各レーザユニット421からのレーザ光は、ポリゴンミラー422、スキャナモータ423、結像レンズ群424により、各感光ドラム305上に走査される。なお、プロセスカートリッジ410、スキャナユニット420、転写ローラ430等は、4色(ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローY)分存在する。図2では、プロセスカートリッジやスキャナユニット、転写ローラごとに、K、C、M、Yの添え字を各符号に加えて示している。
【0014】
431は定着手段としての定着器であり、本実施例では省電力性、クイックスタート性に優れるフィルム加熱方式を用いている。432は加熱体としてのヒータで、ヒータホルダ436によって支持され、定着フィルム433を介して加圧ローラ434に図示しない加圧手段によって圧接されている。定着フィルム433は加圧ローラ434の回転駆動によって従動回転し、定着ニップに導入された用紙を搬送するとともにヒータ432の熱を定着フィルム433を介して用紙に付与する。ヒータ432には、サーミスタ530が当接若しくは近接して支持されており、ヒータ温度を検知して所定温度に制御するのに用いられる。定着ニップから搬送されてきた記録紙32は定着排紙ローラ対435によって機外に排出される。
【0015】
451、452、453はDCブラシレスモータであり、451はプロセスカートリッジ410を駆動するメインモータ、452はETBを駆動するETBモータ、453は定着器を駆動する定着モータである。
【0016】
201はレーザプリンタ401の制御手段であるDCコントローラであり、マイクロコンピュータ207、及び各種入出力制御回路(不図示)等で構成されている。202は低圧電源回路であり、1次AC電流を平滑後に降圧し、各DCブラシレスモータ451,452,453や、DCコントローラ201などに電力を供給する。440はビデオコントローラであり、パーソナルコンピュータ等の外部装置441から送出される画像データを受け取ると、この画像データをビットマップデータに展開し、画像形成用の画像信号を生成する。
【0017】
601は異なる記録紙に対応するためのオプション給紙ユニットであり、記録紙32を収納する給紙カセット602、給紙カセット602から記録紙32を繰り出すピックアップローラ604を有する。
【0018】
801はカラーレーザプリンタ401から排出された記録紙を所定枚数毎に排紙トレイにソートするオプション排紙ユニットであり、搬送ローラ対804、805を駆動するモータ802と、排紙トレイ806を昇降動作させるモータ803とを有する。
【0019】
701はカラーレーザプリンタ401から排出された記録紙をオプション排紙ユニット801に搬送するオプション搬送ユニットであり、搬送ローラ対703、704を駆動するモータ702を有する。
【0020】
901は原稿搬送部930と原稿読み込み部931とからなるオプションイメージスキャナである。902は原稿932を搬送するモータ、904は露光ユニット、905は露
光手段、906はミラー、903は露光ユニット904を水平移動させる駆動モータ、907は反射装置である。908、909はミラー、910は受光装置、940はオプションイメージスキャナ901の動作を制御するとともに、受光装置910で受光した信号を画像データ化するイメージスキャナコントローラユニットである。
【0021】
次に画像形成動作を説明する。
まず、外部装置441からビデオコントローラ440に画像データが送信される。ビデオコンローラ440は、DCコントローラ201に画像形成の開始を指示するPRINT信号を送信するとともに、受信した画像データをビットマップデータに変換する。PRINT信号を受信したDCコントローラ201は、所定のタイミングでスキャナモータ423、及びメインモータ451,ETBモータ452,定着モータ453の駆動を開始する。それとともに、DCコントローラ201は、ピックアップローラ404、給紙ローラ405、リタードローラ406を駆動して給紙カセット402から記録紙32を繰り出す。記録紙は、レジストローラ対407まで搬送して一旦停止する。次に、ビットマップデータに依存した画像信号に応じてレーザユニット421をON/OFF制御し、ポリゴンミラー422、結像レンズ群424を介して帯電ローラ303により所定電位に帯電した感光ドラム305上に静電画像を形成する。その後、現像ローラ302でトナー像に現像する。トナー像形成動作は所定のタイミングでイエローY、マゼンタM、シアンC,ブラックKに対し行う。一方、レジストローラ対407で一旦停止していた記録紙32を、上記トナー像形成動作に応じた所定のタイミングでETB409に再給紙し、転写ローラ430で感光ドラム305上のトナー像を順次記録紙32上に転写してカラー像を形成する。以上の各構成が、本実施例の画像形成装置における画像形成手段を構成する。
【0022】
記録紙32上に形成されたカラートナー像は定着器431に搬送され、所定温度に加熱されたヒータ432と、定着フィルム433を介して加圧ローラ434とによって形成された定着ニップ部において加熱、加圧される。この工程でカラートナー像が記録紙32に定着されたのち、定着排紙ローラ対435により画像形成装置401外に排出される。
【0023】
排出された記録紙32は、オプション搬送ユニット701を経由してオプション排紙ユニット801に搬送される。オプション排紙ユニット801では、所定枚数毎に記録紙32が排紙トレイ806に排出される。
【0024】
次にオプションイメージスキャナの動作について説明する。原稿搬送部930に原稿932をセット後、コピーモードか、読み取りデータを電子ファイル化するだけのスキャナモードかを不図示のパネルより選択する。
【0025】
コピーモードを選択した場合、駆動モータ902により所定のタイミングで原稿932を原稿読み込み部931に搬送する。そして、駆動モータ903により露光ユニット904を水平移動させ露光手段905の光を原稿932に照射する。原稿からの反射光はミラー906、及び反射手段907内のミラー908、909を経由して受光装置910で受光され、受光信号はイメージスキャナコントローラユニット940に送信される。イメージスキャナコントローラユニット940は受信した信号を画像データ化し、ビデオコンローラ440に送信する。その後は、外部装置441から画像形成と同様の動作で画像形成を行う。
【0026】
一方、スキャナモードを選択した場合、イメージスキャナコントローラユニット940は受信した信号を所定のファイル形式で電子ファイル化し、ビデオコンローラ440経由で外部装置441に送信する。なお、通常、オプションイメージスキャナの動作は、カラーレーザプリンタ701の画像形成動作とは独立に動作する。
【0027】
図3は本実施例における画像形成装置をより詳しく説明する図である。
202は低圧電源、501はインレット、502は商用電源からのノイズ及び低圧電源からのノイズを除去するACフィルタ、503はメインスイッチ、504はダイオードブリッジである。505は24Vを生成するコンバータ、506はコンバータ制御回路、507はダイオード、508はコンデンサ、509は定電圧制御回路、510はフォトカプラ、511は24Vから3Vを生成するDC/DCコンバータ、515はゼロクロス検知回路である。
【0028】
521は画像形成装置のドアと連動して開閉するインタロックスイッチ、522はリレー、523はトライアック、524,525、527は抵抗、526はフォトトライアックカプラ、528はトランジスタである。また、431は定着器、433は定着フィルム、434は加圧ローラ、432はヒータ、529はサーモスイッチ、530はヒータ432の温度を検知する温度検出手段としてのサーミスタ、531は抵抗である。
【0029】
続いて、回路動作について説明する。
メインスイッチ503がONされると、インレット501及びACフィルタ502を介して商用電流が流れ、ダイオードブリッジ504で全波整流される。そして、コンバータ制御回路506によりコンバータ505がスイッチングされ、コンバータ505の2次側に脈流電流が励起される。前記脈流電流はダイオード507及びコンデンサ508により整流される。整流後の電圧を定電圧制御手段509が検知し、一定電圧(本実施例では24V)になるようにフォトカプラ510を介してコンバータ制御回路506を制御する。整流された24V電圧は、DCブラシレスモータ451等に供給されるとともに、DC/DCコンバータ511に供給され3Vが生成される。生成された3VはDCコントローラ201に供給され、画像形成装置401の制御に使用される。
【0030】
一方、コンバータ505の補助巻線にはダイオードブリッジ504とコンデンサ581で全波整流された入力電圧に依存した電圧が励起される。励起された電圧は、ダイオード582、抵抗583、コンデンサ584で整流され、アンプ回路585でインピーダンス変換してCPUのA/D2ポートの入力電圧に基づいて入力電圧を判断する。
本実施例では上述の方法で装置への入力電圧の検出を行っており、検出のための各構成が本実施例における画像形成装置の入力電圧検知手段を構成する。
【0031】
次に、定着器の温度制御動作について説明する。
図9は定着器に流れる定着電流波形を説明する図である。
DCコントローラ201はサーミスタ530と抵抗531の分圧電圧をA/D1ポートを介して検知する。サーミスタ530は温度の上昇とともに抵抗値が低下する特性をもっており、DCコントローラ201はA/D1ポートの分圧電圧よりヒータ432の温度を検出する。定着器431内のヒータ432には、リレー522、トライアック523及びサーモスイッチ529を介して商用電源が供給される。DCコントローラ201は、ゼロクロス検知回路515を介して、商用電源の正負が切り替わるタイミング、いわゆるゼロクロスを検知し、内部ゼロクロス信号を生成する。そして、ゼロクロスを検知してから所定時間後(以降TOFF)にON/OFF1ポートよりトライアックON信号を出力し、トランジスタ528をONする。トランジスタ528がONすると、抵抗527を介してフォトトライアックカプラ526に電流が流れフォトトライアックカプラ526がONする。フォトトライアックカプラ526がONすると抵抗524、525を介してトライアック523にゲート電流が流れ、トライアック523がONし、ヒータ432に電流が流れ発熱する。そして、トライアック523はゲート電流がゼロ、すなわち次のゼロクロスのタイミングでOFFする。DCコントローラ201はTOFFを制御することで、ヒータ432を所定温度に制御する。以上のトライアック523のON・OFFの切り替えるための各構成が、本実施例の画像形成装置における電力制御部を構成する。
【0032】
通電制御方式として位相制御を行う場合、通電比率に応じてTOFFが商用電源のAC波形の1半波内で任意の値をとることが可能であり、AC波形の1半波内で任意に通電比率の制御を行うことができる。これに対して波数制御ではTOFFはゼロもしくはAC波形の1半波分の値(50Hzであれば10msec)の二値のみをとることができ、TOFF=ゼロであれば1半波を全ON、TOFF=AC1半波分であれば1半波が全OFFとなる。そして、所定周期(所定波数)ごとに、これらの全ONと全OFFの波形を組み合わせることで通電比率を制御する。
【0033】
本実施例では位相制御(第二制御モード)を行う場合、交流電力の電圧波形における1半波ごとに通電比率を制御し、通電比率の更新は2半波単位で行う。すなわち、1半波ごとに商用電源から加熱体への通電のオン・オフを切り替える位相角を設定し、1半波に対して設定した通電比率を常に2半波続けた後に通電比率の更新を行い、50Hzの電源であれば、更新周期は20msecになる。
また本実施例で波数制御(第一制御モード)を行う場合は、20半波単位で通電比率を制御する。したがって通電比率の更新周期は20半波ごとになり、50Hzの電源であれば、更新周期は200msecになる。なお、各半波における商用電源から加熱体への通電のオンまたはオフの設定を行う周期は、20半波に限られず、連続する2半波以上の所定波数を一周期としてもよい。
【0034】
本実施例では上記位相制御と波数制御の2種類の通電制御方式を入力電圧に応じて切り替える。これは以下の理由による。
通電制御方式として位相制御を用いた場合、AC波形の1半波内で通電比率を細かく制御できるため、ヒータの温度リップルを小さくできる等、より精度の高い制御を行うことができることは前記した通りである。しかし位相制御の場合、AC半波内で電流をON/OFFするため電流波形が線形とならず、力率≒1(100%)となるような高力率を生成できない。したがって、装置の使用時に、所望の電力を得る上で電流のピーク値が高くなり、定格電流をオーバーするリスクが高くなる。
【0035】
図4に本実施例の画像形成装置において位相制御を用いた際のヒータ点灯比率と力率の関係を示す。なお、これは定着器のみの数値であり、画像形成装置全体の力率を示すものではない。
【0036】
これに対して波数制御では電圧波形、電流波形ともに正弦波となるため力率は、ほぼ1
となる。すなわち同一の電力を得る上で波数制御の方が位相制御よりも電流値を低くできるため、定格電流オーバーのリスクを少なくすることができる。
【0037】
また、低圧電源に関しては入力電圧が低いほど動作電流が増加する。すなわち入力電圧が低いほど定格電流を超えるリスクが高くなる。このメカニズムを以下に記述する。
【0038】
図5は入力電圧と低圧電源の動作電流の関係を示す図である。図5からは、入力電圧が低くなるほど、低圧電源の動作電流が増加することがわかる。低圧電源では同じ動作をしていても入力電圧が低くなるほど動作電流は大きくなる。低圧電源の仕事量(W)は入力電圧(V)と動作電流(I)の積なのだから、装置を駆動するのに必要な仕事量(W)が一定で入力電圧(V)が低くなれば、動作電流(I)が増加するのは自明である。
【0039】
これに対して定着器の動作電流(IF)は電圧依存性はないと考えてよい。これは、温度制御に合わせて定着器への通電比率を制御することで、電圧が異なったとしても動作電流は平均的には同じになるようにしているためである。すなわち定着器の仕事量(WF)は定着器のヒータ抵抗(RF)と動作電流(IF)の2乗の積で決まる。そのため、同じ
仕事量(WF)を得るためには、動作電流の平均値は電圧が異なっても同じにならなければならず、またそのために位相制御や波数制御によって通電比率を制御しているということである。したがって、仕事量(WF)は入力電圧には関係しない。
【0040】
そこで本実施例では、低圧電源の動作電流が高くなる条件、すなわち入力電圧が低い時には定着器への通電制御方式に波数制御を用いて、動作電流が定格電流を超えるリスクを低減する。その一方、入力電圧が高く、定格電流をオーバーするリスクがない時には位相制御を用いることで、より精度の高い定着温度の制御を行う。
【0041】
図6は画像形成装置全体での入力電圧と動作電流の関係を示す図である。図6においては定着器への通電制御方式として位相制御を用いている。
画像形成装置全体としての動作電流は、低圧電源の1次側の動作電流の電流波形に定着器の動作電流の電流波形を合成した電流波形から求められるが、上記のごとく、低圧電源は入力電圧が低いほど動作電流が増すのに対して、定着器の動作電流は電圧に依存しない。したがって画像形成装置全体としては入力電圧が低いほど動作電流が増加することになる。
【0042】
ここで本実施例のように複数個のモータに加え、オプションのイメージスキャナ等を有する構成の場合には、全体の内で低圧電源の動作電流の占める比率が大きい。したがって入力電圧の低下に伴う動作電流の増加はより顕著になる。
【0043】
図6では、入力電圧が95V未満となると商用電源の定格電流Ilimit(例えば15A)を超えることがわかる。このため、本実施例では入力電圧が所定値未満、すなわち97V未満の時に位相制御ではなく波数制御を用いることで力率を上げ、画像形成装置として商用電源の定格電流を超えないようにする。95Vに対して97Vを閾値とするのは誤検知等のリスクを考慮してマージンを持たせているからである。
【0044】
本実施例の装置で97V近辺で位相制御を行った場合、点灯比率はおおよそ60〜80%くらいを使用することになる。したがって力率としては90%前後となるが、波数制御の場合、力率はほぼ100%である。すなわち、定着器での動作電流を10%程度減らすことができ、定格電流に対するマージンを増すことができる。
【0045】
図1は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。以下に図1を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S101で上述した方法によって入力電圧を検出する。
【0046】
DCコントローラ201は入力電圧を検出すると、S102において入力電圧に応じてヒータへの通電制御方式を決定する。本実施例では表1に示すテーブルのように入力電圧が所定値以上、すなわち97V以上であれば位相制御を、97V未満であれば波数制御を選択する。
【0047】
【表1】

【0048】
次いでS103で上述の方法によりヒータ432の加熱を開始し、S104でメインモ
ータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を開始する。S105でヒータ温度が目標温度Taに到達したかを判断し、目標温度Taに到達したらS106で画像形成を開始し、所定のタイミングで給紙カセット403から記録紙32を給紙する。
【0049】
そして画像形成中は定着温度を目標温度Taに一定となるように制御する。なお、ここでは目標温度Taで画像形成を開始しているが、プリント時間をより短縮するために目標温度Taの到達前に画像形成を開始してもよい。これは画像形成開始、或いは記録紙が給紙されてから定着器に到達するまでには、画像形成および搬送経路分の時間を要するため、その間にヒータ温度が上昇する分をあらかじめ見込んで、画像形成開始を開始するものである。例えば、画像形成開始から記録紙が定着器に達するまでにヒータ温度が20deg上昇することが見込まれる場合には、ヒータ温度が目標温度Taに対してTa−20degになった時点で画像形成を開始してもよい。
【0050】
次にS107において、S106で画像形成を開始した後も常に入力電圧の検知が行われる。そしてS107での検知結果に基づき、S108において再び表1のテーブルに従って、画像形成中であっても通電方式の選択が行われる。
【0051】
商用電源には電圧変動があり、ユーザーの使用状況によっても不意に電圧が大きく降下することがあり得る。そのような場合には、画像形成前に決めた通電制御方式をそのまま用いていると、定格電流をオーバーするリスクは当然高まる。したがって、入力電圧は常に検知し、通電制御方式を位相制御とするか、波数制御とするかの選択を随時行うことが好ましい。
【0052】
ただし、位相制御、波数制御ともに通電比率の更新タイミングが決まっているため、このタイミング以外で通電制御方式を切り替えることはできない。本実施例では通電比率の更新周期は、位相制御の場合2半波ごとで20msec、波数制御では20半波単位で200msecとなり、このタイミングに合わせて通電制御方式を切り替えることになる。例えば、位相制御を行っている時に更新周期の最初の1半波中に入力電圧が95V未満に降下したことを検知したとしても、2半波分を経過して更新タイミングが訪れるまでは制御方式を波数制御に切り替えることはない。
【0053】
また、上記した例では入力電圧の検知結果に応じて随時位相制御と波数制御を切り替えているが、画像形成中に波数制御を行っている際は、入力電圧が97V以上であることを検知しても、あえて通電制御方式を位相制御に切り替えなくてもよい。位相制御を行っている時は、定格電流オーバーのリスクがあるため、入力電圧変動に応じて速やかに通電制御方式を波数制御に切り替えて力率を向上する必要があるが、既に波数制御を行っている場合は慌てて位相制御に切り替えるメリットはそれほど大きくはない。むしろ頻繁に波数制御と位相制御を切り替えることで制御が不安定になる可能性もある。したがって一度波数制御が選択されたら、画像形成中は入力電圧に関わらずそのまま波数制御を継続する方が好ましい。
【0054】
そしてS109で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する(S110)。一方、画像形成が継続する場合は、S106に戻り画像形成を継続する。
【0055】
なお、波数制御では通電比率の更新周期が長く、また選択可能な通電比率が限定されるため温度リップルが大きくなりがちで画像上にムラを生じやすい。したがって装置としては基本的に位相制御を行うことが画像上は好ましい。上記してきた例からもわかるように、本構成は電圧が標準的な使用条件を下回る場合の定格電流オーバー回避を主眼に置いて
おり、この条件以外では位相制御を用いることを前提としている。
近年の画像形成装置の高速化、大型化、高機能化にともなう動作電流の増大傾向に対して、入力電圧や装置の動作状態によっては動作電流が商用電源の定格電流をオーバーするリスクが高くなる。本実施例に係る画像形成装置の電力供給量の制御方法は、動作電流が増大するイレギュラーな状態の時に定格電流オーバーのリスクを低減するものである。
【0056】
以上のように、通常は位相制御によって安定した温度制御を行うことでムラの少ない良好な画像を得る。一方、動作電流が増大するイレギュラーな状態の時には波数制御を用いて力率を向上させて動作電流を減らす。
すなわち、画像形成装置の入力電圧を検知し、入力電圧が比較的高い通常の電圧で電源系の動作電流が低い条件においては、精度の高い位相制御で定着電力を制御し、きめ細かい温度制御を行う。一方、入力電圧が低く、低圧電源の動作電流が大きくなる条件では、通電制御方式を波数制御に切り替える。このように力率の悪い位相制御から波数制御に定着電力の制御方法を切り替えることで、力率を向上させて定着の動作電流(無効電流)を減らし、定格電流に対するマージンをアップする。これにより、装置の動作電流が定格電流をオーバーするリスクを低減させることができる。
【0057】
<実施例2>
本実施例では、画像形成装置の動作電流を検知し、それに応じて定着器の通電制御方式を切り替える。
本実施例の画像形成装置は実施例1と同様、オプション装置付きのカラーレーザプリンタであり、全体構成および画像形成動作、定着器の動作も図2に示すものと同様である。このため同一部材には同符号を記し、説明は省略する。
【0058】
図7に本実施例における画像形成装置をより詳しく説明する図を示す。
【0059】
図7において、202は低圧電源、501はインレット、502は商用電源からのノイズ及び低圧電源からのノイズを除去するACフィルタ、503はメインスイッチ、504はダイオードブリッジである。505は24Vを生成するコンバータ、506はコンバータ制御回路、507はダイオード、508はコンデンサ、509は定電圧制御回路、510はフォトカプラ、511は24Vから3Vを生成するDC/DCコンバータである。512はカレントトランス、513は抵抗、514は電流検知回路、515はゼロクロス検知回路である。
【0060】
521は画像形成装置のドアと連動して開閉するインタロックスイッチ、522はリレー、523はトライアック、524,525、527は抵抗、526はフォトトライアックカプラ、528はトランジスタである。また、431は定着器、433は定着フィルム、434は加圧ローラ、432はヒータ、529はサーモスイッチ、530はヒータ432の温度を検知するサーミスタ、531は抵抗である。
【0061】
続いて、回路動作について説明する。
メインスイッチ503がONされると、インレット501及びACフィルタ502を介して商用電流が流れ、ダイオードブリッジ504で全波整流される。そして、コンバータ制御回路506によりコンバータ505がスイッチングされ、コンバータ505の2次側
に脈流電流が励起される。前記脈流電流はダイオード507及びコンデンサ508により整流される。整流後の電圧を定電圧制御手段509が検知し、一定電圧(本実施例では24V)になるようにフォトカプラ510を介してコンバータ制御回路506を制御する。整流された24V電圧は、DCブラシレスモータ451等に供給されるとともに、DC/DCコンバータ511に供給され3Vが生成される。生成された3VはDCコントローラ201に供給され、画像形成装置401の制御に使用される。
【0062】
続いて、電流検知方法について説明する。
まず、カレントトランス512及び抵抗513で画像形成装置401に流れる1次総電流を電流−電圧変換する。次に、電流-電圧変換した結果を電流検知回路514で実効値
演算し、結果をDCコントローラ201のA/D2ポートに出力する。DCコントローラ201はA/D2ポートの電圧値に基づいて、1次総電流を検出する。以上の各構成が本実施例の画像形成装置における電流検知手段を構成する。
【0063】
図8は本実施例における画像形成動作を説明するフローチャートである。図8を用いて、画像形成中の動作について説明する。
まず、DCコントローラ201はPRINT信号を受信すると、S201でヒータ432の加熱を開始する。この時ヒータ432への通電制御方式は位相制御で行われる。また、ヒータの目標温度は所定温度Taに設定される。そして、S202でメインモータ451、ETBモータ452、定着モータ453等のモータの駆動を行う。次にS203でヒータ432が所定温度Taに到達したことを検知したらS204で給紙カセット403から記録紙32を給紙し、画像形成を開始する。そしてS205で1次総電流(Ia)を検出する。次にS206において、検出した1次総電流(Ia)に対して表2のテーブルを参照し、ヒータへの通電制御方式を切り替えるか判断する。
【0064】
【表2】

【0065】
1次総電流(Ia)が14.5Aを超える場合には位相制御を波数制御に切り替える。また1次総電流(Ia)が14.5A未満の時には、位相制御のままで通電制御を行う。定格電流15Aに対して14.5Aを閾値とするのは、電流検知回路514の検出誤差等も考慮し、ある程度のマージンをもたせているためである。無論、この閾値はこの値に限定するものではなく、装置の電流検出能力や、マージンの取り方の思想によって異なってくるものである。
【0066】
1次総電流(Ia)の検出は画像形成中常時行われており、閾値である14.5Aを超
えて位相制御から波数制御に切り替わった後も、これは継続されている。
したがって、1次総電流(Ia)が十分低くなった時には、再び波数制御から位相制御に切り替えることも可能である。その場合、波数制御から位相制御に切り替える閾値は表2とは異なるものにしなくてはならない。これは、1次総電流(Ia)は位相制御から波数制御に切り替わることによって下がるため、波数制御を行っている時には表2の閾値14.5Aを下回るのは当然だからである。したがって波数制御を行っている時の閾値は、位相制御に切り替えて力率を悪化しても十分1次総電流(Ia)が低いと判断できる数値を別に設定しなくてはならない。例えば、表2の閾値14.5Aに対して、閾値として12.5Aとする必要があり、これを制御テーブルとすると例えば表3のようになる。
【0067】
【表3】

【0068】
しかし、実施例1でも記したように頻繁に波数制御と位相制御を切り替えることで制御
が不安定になる可能性もある。したがって、一度波数制御が選択されたら、画像形成中はそのまま波数制御を継続し、位相制御に切り替えは行わないようにすることもできる。
【0069】
そしてS207で画像形成が継続するか否かを判断し、最後の画像形成である場合はそのまま画像形成を終了する(S208)。一方、画像形成が継続する場合は、S204に戻り画像形成を継続する。
【0070】
以上のように、通常使用時で装置の動作電流が小さく動作電流に余裕がある状態では、加熱体への電力供給に位相制御を用い、位相制御によって安定したきめ細かい温度制御を行う。すなわち、画像形成装置の1次総電流を検知し、これが所定値を下回る場合には定着の電力制御方法として位相制御を用い、きめ細かい制御を行う。そして、動作電流が大きくなり、1次総電流の検出値が所定値を超えて大きくなった時には、通電制御方式を波数制御に切り替える。これにより、力率を向上させ、定着での動作電流(無効電流)を低減して装置の動作電流が定格電流をオーバーするリスクを低減させることができる。
【0071】
ところで、上記の例では画像形成装置全体の1次総電流を検知しているが、定着器に流れる電流を検知して位相制御と波数制御の切り替えを行うこともできる。この場合、定着器の動作電流(If)で1次総電流が定格電流を超えるかどうかを予測することになる。したがって、あらかじめ画像形成装置の低圧電源の動作電流の最大値を見積もった上で、これに定着器の動作電流(If)を加えても定格電流が超えない値を閾値として設定する必要がある。閾値は定着器のみの値になるため、当然表2のような定格電流に近い値とはならず、制御テーブルとしては例えば表のようになる。
【0072】
【表4】

【0073】
なお、上記の例では電力供給に際して通電比率の主たる制御には位相制御を用い、定格電流を超える恐れのある時に波数制御に切り替えているが、位相制御に代わり位相制御と波数制御を組み合わせたハイブリッド制御を用いてもよい。これは波数制御のように数半波を1単位とした所定周期内に必ず1半波に対して100%通電もしくは非通電(0%通電)を行う波形を有するとともに、同じ周期内に1半波に対して通電角を制御して位相制御を行う波形を含ませるものである。これにより所定周期での通電比率を制御する。
【0074】
ハイブリッド制御は全てを位相制御だけで通電比率を制御する場合よりも高調波電流の増加を極力抑えることができる利点がある。したがって、高調波電流を減らしたい時などに位相制御ではなくハイブリッド制御を選択する場合もある。
【0075】
ただし、ハイブリッド制御では位相制御を行う半波を有するため力率の点では利点はない。したがって、定格電流を超えるリスクのある時にはハイブリッド制御ではなく波数制御を用いる方がよい。
【0076】
すなわち、上記の例のごとく、通常はハイブリッド制御を用いて通電比率の制御を行うとともに、1次総電流が定格電流を超えそうな時には波数制御に切り替えることで、定格電流をオーバーするリスクを低減する構成とすることができる。これは、1次総電流を検知する場合だけでなく、実施例1のように入力電圧を検知する場合にも適用することができる。
【0077】
なお、実施例1、2では、カラーレーザプリンタを用いて説明を行ったが、画像形成装置はカラーレーザプリンタに限定されるものではなく、モノクロレーザプリンタであっても構わない。また定着器もフィルム加熱方式に限定されるものではなく、例えば熱ローラ方式等、通電によって加熱するあらゆる構成の定着器に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
401…カラーレーザプリンタ、431…定着器、432…ヒータ、433…定着フィルム、434…加圧ローラ、202…マイクロコンピュータ、202…低圧電源回路、530…サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
電力が供給されることで発熱する加熱体を有し、前記記録材に形成された画像を加熱及び加圧によって前記記録材に定着させる定着手段と、
前記加熱体の温度を検出する温度検出手段と、
商用電源から前記加熱体に供給される交流電力の供給量を制御する電力制御部と、
を備える画像形成装置において、
画像形成装置の入力電圧を検知する入力電圧検知手段を備え、
前記電力制御部は、
前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値未満の場合には、前記交流電力の電圧波形における少なくとも連続する2半波以上の所定波数ごとに、各半波における前記商用電源から前記加熱体への通電のオンまたはオフを設定する第一制御モードにより電力供給量を制御し、
前記入力電圧検知手段により検知された入力電圧が所定値以上の場合には、前記交流電力の電圧波形における所定波数ごとに、各半波中において前記商用電源から前記加熱体への通電のオン・オフを切り替える位相角を設定する第二制御モードにより電力供給量を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
電力が供給されることで発熱する加熱体を有し、前記記録材に形成された画像を加熱及び加圧によって前記記録材に定着させる定着手段と、
前記加熱体の温度を検出する温度検出手段と、
商用電源から前記加熱体に供給される交流電力の供給量を制御する電力制御部と、
を備える画像形成装置において、
前記商用電源から画像形成装置に流れる電流を検知する電流検知手段を有し、
前記電力制御部は、
前記交流電力の電圧波形における少なくとも連続する2半波以上の所定波数ごとに、各半波における前記商用電源から前記加熱体への通電のオンまたはオフを設定する第一制御モードと、
前記交流電力の電圧波形における所定波数ごとに、各半波中において前記商用電源から前記加熱体への通電のオン・オフを切り替える位相角を設定する第二制御モードと、
を切り替えて電力供給量を制御できるように構成されており、
前記加熱体の発熱を開始するときは、前記第二制御モードにより電力供給量を制御し、前記電流検知手段により検知された電流が所定値以上となったときに、前記第一制御モードに切り替えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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