説明

画像形成装置

【課題】ユーザが、ADF上に他のユーザの原稿が存在しているのを見逃したままコンタクトガラスに載置した自分の原稿を画像読取装置に読み取らせようとした場合であっても、できるだけユーザに面倒な作業を課すことなく、ADF上の原稿に対する読取動作等が実施されるのをより確実に回避することのできる技術を提供する。
【解決手段】原稿給送部が開放されると(♯1でYES)、原稿有無判断部は原稿センサから出力される検出信号に基づいて、原稿給送部に原稿が存在するか否かを判断し(♯2)、そうであるとき(♯2でYES)、開閉判断部は原稿給送部が閉じられたか否かを判断する(♯3)。原稿給送部が閉じられると(♯3でYES)、表示制御部は、読取対象設定画面を表示部に表示させ(♯4)、何れかのボタンの操作が行われると、読取制御部は該ボタンに対応する原稿を読取対象として設定する(♯5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機や複写機などの画像形成装置、特に、自動原稿送り装置を搭載した画像読取装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンタクトガラスに原稿を押し付ける圧板に、自動原稿送り装置(Automatic Document Feeder:以下、ADFという)を搭載した画像読取装置がある。この種の画像読
取装置においては、例えば、或るユーザがADFに原稿をセットしたまま該装置から離れている間に、別のユーザが前記ADFを利用しない利用形態で画像読取装置に読取動作を行わせようとした場合に、前記或るユーザの原稿がADF上にセットされていることを見落としたり、或いは、車椅子を利用するユーザなどのように目線の高さの低い人が、ADF上に原稿がセットされたままとなっている事に気付かなかったりすることがある。
【0003】
ここで、画像読取装置が、前記コンタクトガラス上に原稿が載置されていてもADF上に原稿が載置されているときにはADF上の原稿を優先的に読み取る処理が実施されるように設計されている場合がある。この場合、前述した別のユーザが、前記或るユーザの原稿の存在を見落としたまま自分の原稿について例えばFAX送信の指示を入力したときに、当該別のユーザ(自分)の原稿について読取動作やFAX送信処理がなされないで、前記或るユーザの原稿について読取動作やFAX送信がなされることとなる。
【0004】
一方、下記特許文献1には、画像形成装置本体に開閉自在に取り付けられた原稿自動給送装置を圧板として用いて原稿載置面上に載置された原稿を複写する圧板モードと、前記原稿自動給送装置の原稿台上に載置された原稿を自動給送して複写する原稿自動給送モードとを有する画像形成装置において、画像形成動作時に前記原稿自動給送装置が開放されていると、当該画像形成動作が前記圧板モードによるものであることを記憶し、一連の当該画像形成動作が終了した後、次回の画像形成動作を開始する際に前記原稿自動給送モードが選択され、且つ、前回の画像形成動作が前記圧板モードによるものであることを記憶していた場合に、前記原稿載置面上に原稿が存在するときには原稿が前記原稿載置面上に存在することを示す情報を表示する点が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、前記原稿を原稿ガラスに押圧する圧板と、原稿ガラスに対する前記圧板の開閉を検出する開閉検出手段とを備え、原稿ガラス上に載置された原稿を露光走査体により走査して原稿の画像を読み取るスキャナにおいて、原稿の画像の読取り終了後において、前記開閉検出手段が圧板の閉状態を検出してから所定時間が経過した場合に、前記露光走査体による走査により原稿の有無を検出し、原稿が存在するときに、原稿ガラス上に原稿を置き忘れていることを示す警告を発する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−61739号公報
【特許文献2】特開昭63−129771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記原稿載置面やコンタクトガラス上に原稿が存在するときにその旨を示す情報を表示するという前記特許文献1,2の技術思想をADF上に原稿がセットされたままとなっている場合について適用し、ADF上に原稿がセットされたままとなっている場合にその旨
を示す情報を表示するという構成が考えられる。
【0008】
しかしながら、ADF上に原稿がセットされたままとなっているときにその旨を示す情報を表示するだけでは、該表示を見逃して所望の操作を入力する可能性があるし、また、仮にユーザがその表示を視認したとしても、該ユーザは、ADF上に載置されている他人の原稿をADFから取り除き、載置できる別の場所を探し、その場所に、ADF上に載置されていた他人の原稿を載置するという作業が必要となり、この作業は、特に車椅子を利用するユーザなどのように目線の高さが低い人にとって面倒な作業となる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、ユーザが、ADF上に他のユーザの原稿がセットされているのを見逃したままコンタクトガラスに載置した自分の原稿を画像読取装置に読み取らせようとした場合であっても、できるだけユーザに面倒な作業を課すことなく、ADF上の原稿に対する読取動作等が実施されるのをより確実に回避することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、画像読取装置と、前記画像読取装置で読み取られた画像の画像データに基づいて記録紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置であって、前記画像読取装置は、原稿が載置される原稿台と、原稿の画像を読み取る原稿読取部と、前記原稿読取部による読取動作に供する原稿が載置される原稿載置部を備え、前記原稿台の原稿載置面とで原稿を挟む第1姿勢と前記原稿台の原稿載置面とで原稿を挟む状態を解除する第2姿勢とをとり得るように構成された原稿給送部と、前記原稿給送部の姿勢が前記第1姿勢であるか前記第2姿勢であるかを検出する姿勢検出部と、前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されているか否かを検出する原稿有無検出部と、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿の画像の読取り及び画像の形成を行うべく前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する第1制御モードと、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿の画像の読取り及び画像の形成を行うべく前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する第2制御モードとを有する動作制御部と、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されている状態で、前記原稿給送部の姿勢が前記第2姿勢を介して再び前記第1姿勢に設定されたことが前記姿勢検出部により検出されたとき、前記原稿台の原稿載置面に原稿が載置されているかによらず、読取対象の原稿を、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿に設定するか、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に設定するかの設定の入力を受け付ける入力受付部と、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されている状態で、前記原稿給送部の姿勢が前記第2姿勢を介して再び前記第1姿勢に設定されたことが前記姿勢検出部により検出されたとき、読取対象の原稿を、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿に設定するか、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に設定するかの設定の入力を要求する要求画面を表示する表示部とを備え、前記入力受付部は、読取対象の原稿を、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿に設定するか、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に設定するかの設定の入力を前記要求画面を介して受け付け、前記動作制御部は、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿を読取対象の原稿に設定する旨の入力が前記入力受付部により受け付けられると、前記原稿台の原稿載置面に載置された原稿を今回の読取対象として設定する画像形成装置である。
【0011】
この発明によれば、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されている状態で、前記原稿給送部の姿勢が前記第2姿勢を介して再び前記第1姿勢に設定されたことが前記姿勢検出部により検出されたとき、読取対象の原稿を、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿に設定するか、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に設定するかの設定の入力を受け付けるようにし、前記入力受付部により前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿を読取対象の原稿に設定する入力が受け付けられると、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿を今回の読取対象として設定するようにしたので、従来のように前記原稿台の原稿載置面に原稿が載置されたままとなっているかを示す情報を表示するだけの構成に比して、今回の読取対象の原稿をユーザに対してより強く認識させることができ、より確実に、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に対する読取動作が誤って行われるのを防止又は抑制することができる。
【0012】
また、該ユーザが、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿を原稿給送部の原稿載置部から取り除き、載置できる別の場所を探し、その場所に、原稿給送部(前記ADFに相当)上に載置されていた他人の原稿を載置するという作業が不要となり、特に車
椅子を利用するユーザなどのように目線の高さが低い人にとっての利便性を向上することができる。
【0013】
以上のことから、ユーザに面倒な作業をできるだけ課さずに、より確実に、原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に対する読取動作が誤って行われるのを回避することができる。
【0014】
上記構成において、画像形成指示を入力するための操作部を備え、前記動作制御部は、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されていない状態で、前記操作部により前記画像形成指示の入力が受け付けられると、前記第1制御モードで前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する。
【0015】
請求項3に記載の発明は、画像読取装置と、前記画像読取装置で読み取られた画像の画像データに基づいて記録紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置であって、前記画像読取装置は、原稿が載置される原稿台と、原稿の画像を読み取る原稿読取部と、前記原稿読取部による読取動作に供する原稿が載置される原稿載置部を備え、前記原稿台の原稿載置面とで原稿を挟む第1姿勢と前記原稿台の原稿載置面とで原稿を挟む状態を解除する第2姿勢とをとり得るように構成された原稿給送部と、前記原稿給送部の姿勢が前記第1姿勢であるか前記第2姿勢であるかを検出する姿勢検出部と、前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されているか否かを検出する原稿有無検出部と、画像形成指示を入力するための操作部と、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿の画像の読取り及び画像の形成を行うべく前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する第1制御モードと、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿の画像の読取り及び画像の形成を行うべく前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する第2制御モードとを有する動作制御部とを備え、前記動作制御部は、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されている状態で、前記原稿給送部の姿勢が前記第2姿勢を介して再び前記第1姿勢に設定されたことが前記姿勢検出部により検出されたとき、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿を今回の読取対象として設定し、前記操作部により前記画像形成指示の入力が受け付けられると、前記第1制御モードで前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御して前記原稿台の原稿載置面に載置された原稿に対する読取動作を前記原稿読取部に開始させ、該読取動作と並行して前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿を読み取ることなく所定の排出位置に排出させる画像形成装置である。
【0016】
この発明によれば、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されている状態で、前記原稿給送部の姿勢が前記第2姿勢を介して再び前記第1姿勢に設定されたことが前記姿勢検出部により検出されたとき、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿を今回の読取対象として設定し、前記操作部により前記実行指示の入力が受け付けられると、前記第1制御モードで前記原稿読取部を含む各部の動作を制御するとともに、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿を所定の排出位置に排出させるようにしたので、確実に、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に対する読取動作が誤って行われるのを防止することができる。
【0017】
また、該ユーザが、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿を原稿給送部の原稿載置部から取り除き、載置できる別の場所を探し、その場所に、原稿給送部(前記ADFに相当)上に載置されていた他人の原稿を載置するという作業が不要となり、特に車椅子を利用するユーザなどのように目線の高さが低い人にとっての利便性を向上することができる。
【0018】
以上のことから、ユーザに面倒な作業をできるだけ課さずに、より確実に、原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に対する読取動作が誤って行われるのを回避することができる。上記構成において、前記動作制御部は、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されていない状態で、前記操作部により前記画像形成指示の入力が受け付けられると、前記第1制御モードで前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ユーザに面倒な作業をできるだけ課さずに、より確実に、原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に対する読取動作が行われて処理されるのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態である複合機の内部構成を示す側面図である。
【図2】複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】開閉センサの外観を示す図である。
【図4】読取対象設定画面の一例を示す図である。
【図5】制御部の読取処理を示すフローチャートである。
【図6】制御部の読取処理の変形形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態である複合機の内部構成を示す側面図である。
【0022】
図1に示すように、複合機1は、コピーモード、プリンタモード、スキャナモード及びファクシミリモード等の各モードを備えており、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部4と、原稿読取部4の上方に配設された原稿給送部5とを有している。
【0023】
原稿読取部4は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるス
キャナ部6と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台7と、原稿読取スリット8とを備える。スキャナ部6は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台7に載置された原稿を読み取るときは、原稿台7に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを図略の画像処理部へ出力する。また、原稿給送部5により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット8と対向する位置に移動され、原稿読取スリット8を介して原稿給送部5による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを上記画像処理部へ出力する。
【0024】
原稿給送部5は、ADFに相当し、原稿を載置するための原稿載置部9と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部10と、原稿載置部9に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット8に対向する位置へ搬送し、原稿排出部10へ排出するための給紙ローラ(図略)、搬送ローラ(図略)等からなる原稿搬送機構11を備える。原稿搬送機構11は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット8と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図略)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット8を介してスキャナ部6から読取可能にしている。
【0025】
原稿給送部5は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部5の前面側を上方に移動させて原稿台7の上面を開放することにより、該原稿台7の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
【0026】
本体部2は、複数の給紙カセット12と、給紙カセット12から記録紙を1枚ずつ繰り出して後述の画像形成部14へ搬送する給紙ローラ13と、給紙カセット12から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部14とを備える。
【0027】
画像形成部14は、スキャナ部6等で取得された画像データに基づきレーザ等を出力して感光体ドラム15を露光する光走査装置16と、感光体ドラム15の表面に形成された静電潜像を顕像化して画像を形成する現像部17と、感光体ドラム15上に形成された画像を記録紙に転写する転写部18と、画像が転写された記録紙を加熱して該画像を記録紙に定着させる定着部19と、画像形成部14内の用紙搬送路中に設けられ、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ22まで搬送する搬送ローラ20,21等とを備える。
【0028】
記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部14で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ22側の搬送ローラ20にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ20を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部14の上流域に再度搬送し、画像形成部14により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ22に排出する。
【0029】
複合機1のフロント部には、操作部23が設けられている。操作部23には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー24と、印刷部数等を入力するためのテンキー25と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部26と、表示部26で設定された設定内容等をリセットするリセットキー27と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー28と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー29とが備えられている。
【0030】
図2は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。なお、図1に示す構成と同一の構成については同一の番号を付してその説明を省略する。
【0031】
図2に示すように、複合機1は、前述した原稿読取部4、原稿給送部5、画像形成部14及び操作部23に加えて、通信部30と、検出部31と、制御部32とを備える。通信部30は、各種のデータをパーソナルコンピュータなどの所定の外部機器X(図示せず)との間で通信を行うものである。
【0032】
検出部31は、原稿載置部9に原稿が載置されているか否かを検出するための原稿センサ311と、原稿給送部5が本体部2に対して開閉されているか否かを検出するための開閉センサ312とを有する。
【0033】
原稿センサ311は、例えば一対の投受光器を備えてなり、光を検知媒体として原稿載置部9に原稿が載置されているか否かを検出するものである。すなわち、原稿センサ311は、前記投光器から光を出力する。ここで、原稿載置部9に原稿が載置されている場合には、該光が原稿により反射される一方、原稿載置部9に原稿が載置されていない場合には、該光が原稿により反射されない。光が原稿により反射されると、その反射光が受光器により受光される。前記受光器は、前記反射光を受光すると受光信号を制御部32に出力する。
【0034】
開閉センサ312は、例えば図3に示すように、本体部2の上面適所において突出・退避可能に設置されたボタン3121と、本体部2の内部に設置されたスイッチ3122とを備えて構成されており、原稿給送部5を閉じる操作が行われ、原稿台7の原稿載置面(台面)に対する前記原稿給送部5の傾斜角度が所定角度より小さくなったときに該原稿給送部5が前記ボタン3121を下方に押圧し、該ボタン3121が下方に移動する。スイ
ッチ3122は、前記ボタン3121が所定の高さ位置より低い位置まで下降したときにオンし、オン信号を制御部32に出力する。
【0035】
制御部32は、データを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)、プログラムを予め記憶するフラッシュメモリ、及び、前記プログラム等をフラッシュメモリから読み出して実行するCPUを備えて構成されており、CPUとRAM及びフラッシュメモリとはデータバスを介してデータの授受を行うように構成されている。CPUは、フラッシュメモリに格納されているプログラムを適宜実行することで、そのプログラムの内容に応じた処理を実行する。
【0036】
本実施形態の制御部32は、原稿有無判断部321と、開閉判断部322と、表示制御部323と、入力受付部324と、読取制御部325と、搬送制御部326としての機能を有する。
【0037】
原稿有無判断部321は、原稿センサ311から出力される検出信号に基づいて、原稿給送部5に原稿が存在するか否かを判断するものであり、開閉判断部322は、開閉センサ312から出力される検出信号に基づいて、原稿給送部5が開放されているか閉じられているかを判断するものである。
【0038】
表示制御部323は、原稿有無判断部321により原稿載置部9に原稿が載置されているものと判断され、且つ、開閉判断部322により原稿給送部5が開閉されたものと判断された場合に、読取対象を、原稿給送部5に載置されている原稿に設定するのか、原稿台7に載置された原稿に設定するのかをユーザに入力させるための画面(以下、読取対象設定画面という)Gを表示部26に表示させるものである。
【0039】
本実施形態の複合機1は、閉じられていた原稿給送部5が開放された後、再び閉じられた動作が検出された場合は原稿台7上に原稿が載置されたものとみなし、この原稿台7上に載置された原稿を今回の読取対象とするのか、それとも、原稿給送部5に載置されている原稿を今回の読取対象とするのかをユーザに選択させるようにしている。図4に、前記読取対象設定画面Gの一例を示す。
【0040】
図4に示す読取対象設定画面Gには、原稿給送部5上と原稿台7上との両方に原稿が載置されている旨と、読取対象を原稿給送部5上の原稿と原稿台7上の原稿とのどちらに設定するかをユーザに尋ねるメッセージMと、読取対象を原稿台7上の原稿に設定する入力を行うためのボタンB1と、読取対象を原稿給送部5(ADF)上の原稿に設定する入力を行うためのボタンB2とを有する。
【0041】
入力受付部324は、前記ボタンB1又はボタンB2の操作を受け付けるものである。
【0042】
読取制御部325は、原稿読取部4による読取動作を制御するものであり、本実施形態では、前記読取対象設定画面Gにおいて前記ボタンB1に対する操作が前記入力受付部324により受け付けられた場合には、原稿台7上の原稿を今回の読取対象として設定し、スタートキー24が操作されると、この原稿台7上の原稿に対する読取動作を原稿読取部4に行わせる。
【0043】
一方、読取制御部325は、前記ボタンB2に対する操作が前記入力受付部324により受け付けられた場合には、原稿給送部5上の原稿を今回の読取対象として設定し、スタートキー24が操作されると、この原稿給送部5上の原稿に対する読取動作を原稿読取部4に行わせる。
【0044】
搬送制御部326は、原稿搬送機構11や搬送ローラ13,20,21など用紙の搬送に関わる部材や機構による搬送動作を制御するものであり、本実施形態では、前記ボタンB2に対する操作が前記入力受付部324により受け付けられた場合、スタートキー24が操作されると、前記原稿給送部5上の原稿の搬送動作を原稿給送部5の各部に行わせる。読取制御部325及び搬送制御部326は、動作制御部を構成する。
【0045】
図5は、制御部32の読取処理を示すフローチャートである。
【0046】
図5に示すように、開閉判断部322により原稿給送部5が開放されたものと判断されると(ステップ♯1でYES)、原稿有無判断部321は、原稿センサ311から出力される検出信号に基づいて、原稿給送部5に原稿が存在するか否かを判断する(ステップ♯2)。原稿有無判断部321は、原稿給送部5に原稿が存在するものと判断する(ステップ♯2でYES)、開閉判断部322は、原稿給送部5が閉じられたか否かを判断する(ステップ♯3)。
【0047】
開閉判断部322は、原稿給送部5が閉じられたものと判断すると(ステップ♯3でYES)、表示制御部323は、例えば図4に示す読取対象設定画面Gを表示部26に表示させる(ステップ♯4)。この読取対象設定画面Gにおいて、何れかのボタンB1、B2の操作が行われると、そのボタンに対応する原稿が読取対象として設定される(ステップ♯5)。すなわち、読取制御部325は、前記読取対象設定画面Gにおいて前記ボタンB1に対する操作がなされた場合には、原稿台7上の原稿を今回の読取対象として設定する一方、前記ボタンB2に対する操作がなされた場合には、原稿給送部5上の原稿を今回の読取対象として設定する。
【0048】
そして、制御部32(読取制御部325及び搬送制御部326等)は、画像形成指示があったか否かを判断し(ステップ♯6)、画像形成指示があると(ステップ♯6でYES)、ステップ♯5で読み取り対象として設定された方の原稿に対する読取動作及び画像形成動作を原稿読取部4や画像形成部14に実施させる(ステップ♯7)。すなわち、制御部32(読取制御部325及び搬送制御部326等)は、ステップ♯5で前記ボタンB1が操作された場合には、そのボタンB1に対応する原稿台7上の原稿に対する読取動作及び画像形成動作を原稿読取部4や画像形成部14に実施させる一方、前記ボタンB2が操作された場合には、該ボタンB2に対応する原稿給送部5上の原稿に対する読取動作及び画像形成動作を原稿読取部4や画像形成部14に実施させる。
【0049】
なお、ステップ♯2において、原稿有無判断部321が、原稿給送部5に原稿が存在しないと判断した場合において(ステップ♯2でNO)、画像形成指示があったときには(ステップ♯8でYES)、制御部32は、原稿台7上に原稿が載置されているか否かに拘わらず、原稿台7上に原稿が載置されている場合と同様の読取動作や画像形成動作を原稿読取部4や画像形成部14に実施させる(ステップ♯9)。また、ステップ♯2において、原稿有無判断部321が、原稿給送部5に原稿が存在すると判断したが(ステップ♯2でYES)、開閉判断部322が、原稿給送部5が閉じられていないと判断した場合(ステップ♯3でNO)において、画像形成指示があったときには(ステップ♯8でYES)、制御部32は、原稿給送部5上の原稿に対する読取動作及び画像形成動作を原稿読取部4や画像形成部14に実施させる(ステップ♯9)。
【0050】
以上のように、本実施形態では、原稿給送部5が開閉された場合は原稿台7上に原稿が載置されたものとみなし、原稿給送部5と原稿台7との両方に原稿が載置されている場合は、原稿給送部5に載置されている原稿と原稿台7に載置されている原稿とのうちどちらの原稿を今回の読取対象とするかをユーザに選択させるようにしたので、従来のように前記原稿給送部5に原稿が載置されたままとなっているかを示す情報を表示するだけの構成
に比して、今回の読取対象の原稿をユーザにより強く認識させることができ、より確実に、前記原稿給送部5に載置されている原稿に対する読取動作等が行われるのを防止又は抑制することができる。
【0051】
また、該ユーザが、原稿給送部5上に載置されている他人の原稿を原稿給送部5から取り除き、載置できる別の場所を探し、その場所に、前記原稿給送部5上に載置されていた他人の原稿を載置するという作業が不要となり、特に車椅子を利用するユーザなどのように目線の高さが低い人にとっての利便性を向上することができる。
【0052】
以上のことから、ユーザに面倒な作業をできるだけ課さずに、より確実に、原稿給送部5の原稿に対する読取動作が誤って行われるのを回避することができる。
【0053】
本件は、前記実施形態に代えて、或いは前記実施形態に加えて、次のような変形形態も採用可能である。
【0054】
(1)前記第1の実施形態においては、原稿給送部5と原稿台7との両方に原稿が載置されているものと判断される場合は、原稿給送部5に載置されている原稿と原稿台7に載置されている原稿とのうちどちらの原稿を今回の読取対象とするかをユーザに選択させるようにしたが、このような選択をユーザに行わせないで、スタートキー24が操作されると、読取制御部325は、原稿台7上の原稿に対する読取動作を前記原稿読取部4に開始させ、該読取動作と並行して、搬送制御部326は、前記原稿給送部5の原稿載置部9に載置されている原稿を別の場所、ここでは原稿排出部10に排出させる動作を原稿搬送機構11に行わせるようにしてもよい。
【0055】
図6は、本実施形態における制御部32の読取処理を示すフローチャートである。
【0056】
図6に示すように、開閉判断部322により原稿給送部5が開放されたものと判断されると(ステップ♯11でYES)、原稿有無判断部321は、原稿センサ311から出力される検出信号に基づいて、原稿給送部5に原稿が存在するか否かを判断する(ステップ♯12)。原稿有無判断部321は、原稿給送部5に原稿が存在するものと判断すると(ステップ♯12でYES)、開閉判断部322は、原稿給送部5が閉じられたか否かを判断する(ステップ♯13)。
【0057】
開閉判断部322は、原稿給送部5が閉じられたものと判断すると(ステップ♯13でYES)、制御部52(読取制御部325及び搬送制御部326等)は、画像形成指示があるまで待機し(ステップ♯14でNO)、画像形成指示があると(ステップ♯14でYES)、原稿台7上の原稿に対する読取動作及び画像形成動作を原稿読取部4や画像形成部14に実施させ(ステップ♯15)、また、原稿給送部5の原稿載置部9に載置されている原稿を原稿排出部10に排出する動作を原稿搬送機構11に実施させる。
【0058】
なお、ステップ♯12において、原稿有無判断部321が、原稿給送部5に原稿が存在しないと判断した場合において(ステップ♯12でNO)、画像形成指示があったとき(ステップ♯14でYES)や、ステップ♯12において、原稿有無判断部321が、原稿給送部5に原稿が存在すると判断したが(ステップ♯12でYES)、開閉判断部322が、原稿給送部5が閉じられていないと判断した場合(ステップ♯13でNO)には、画像形成指示があると(ステップ♯14でYES)、前記第1の実施形態と同様の処理(図5に示すフローチャートのステップ♯8,♯9の処理)を実施する(ステップ♯17,♯18)。
【0059】
このように、本実施形態では、誤った読取動作が行われないように前記原稿給送部5の
原稿載置部9に載置されている原稿を移動させるため、確実に、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に対する読取動作が誤って実施されるのを防止することができる。
【0060】
また、前記第1の実施形態のように、原稿給送部5に載置されている原稿と原稿台7に載置されている原稿とのうちどちらの原稿を今回の読取対象とするかをユーザに選択させる作業も省くことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 複合機
2 本体部
4 原稿読取部
5 原稿給送部
6 スキャナ部
7 原稿台
9 原稿載置部
24 スタートキー
26 表示部
31 検出部
311 原稿センサ
312 開閉センサ
32 制御部
321 原稿有無判断部
322 開閉判断部
323 表示制御部
324 入力受付部
325 読取制御部
326 搬送制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取られた画像の画像データに基づいて記録紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置であって、
前記画像読取装置は、
原稿が載置される原稿台と、
原稿の画像を読み取る原稿読取部と、
前記原稿読取部による読取動作に供する原稿が載置される原稿載置部を備え、前記原稿台の原稿載置面とで原稿を挟む第1姿勢と前記原稿台の原稿載置面とで原稿を挟む状態を解除する第2姿勢とをとり得るように構成された原稿給送部と、
前記原稿給送部の姿勢が前記第1姿勢であるか前記第2姿勢であるかを検出する姿勢検出部と、
前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されているか否かを検出する原稿有無検出部と、
前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿の画像の読取り及び画像の形成を行うべく前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する第1制御モードと、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿の画像の読取り及び画像の形成を行うべく前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する第2制御モードとを有する動作制御部と、
前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されている状態で、前記原稿給送部の姿勢が前記第2姿勢を介して再び前記第1姿勢に設定されたことが前記姿勢検出部により検出されたとき、前記原稿台の原稿載置面に原稿が載置されているかによらず、読取対象の原稿を、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿に設定するか、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に設定するかの設定の入力を受け付ける入力受付部と、
前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されている状態で、前記原稿給送部の姿勢が前記第2姿勢を介して再び前記第1姿勢に設定されたことが前記姿勢検出部により検出されたとき、読取対象の原稿を、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿に設定するか、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に設定するかの設定の入力を要求する要求画面を表示する表示部と
を備え、
前記入力受付部は、読取対象の原稿を、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿に設定するか、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿に設定するかの設定の入力を前記要求画面を介して受け付け、
前記動作制御部は、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿を読取対象の原稿に設定する旨の入力が前記入力受付部により受け付けられると、前記原稿台の原稿載置面に載置された原稿を今回の読取対象として設定する画像形成装置。
【請求項2】
画像形成指示を入力するための操作部を備え、
前記動作制御部は、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されていない状態で、前記操作部により前記画像形成指示の入力が受け付けられると、前記第1制御モードで前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取られた画像の画像データに基づいて記録紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置であって、
前記画像読取装置は、
原稿が載置される原稿台と、
原稿の画像を読み取る原稿読取部と、
前記原稿読取部による読取動作に供する原稿が載置される原稿載置部を備え、前記原稿台の原稿載置面とで原稿を挟む第1姿勢と前記原稿台の原稿載置面とで原稿を挟む状態を解除する第2姿勢とをとり得るように構成された原稿給送部と、
前記原稿給送部の姿勢が前記第1姿勢であるか前記第2姿勢であるかを検出する姿勢検出部と、
前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されているか否かを検出する原稿有無検出部と、
画像形成指示を入力するための操作部と、
前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿の画像の読取り及び画像の形成を行うべく前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する第1制御モードと、前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿の画像の読取り及び画像の形成を行うべく前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する第2制御モードとを有する動作制御部と
を備え、
前記動作制御部は、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されている状態で、前記原稿給送部の姿勢が前記第2姿勢を介して再び前記第1姿勢に設定されたことが前記姿勢検出部により検出されたとき、前記原稿台の原稿載置面に載置されている原稿を今回の読取対象として設定し、前記操作部により前記画像形成指示の入力が受け付けられると、前記第1制御モードで前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御して前記原稿台の原稿載置面に載置された原稿に対する読取動作を前記原稿読取部に開始させ、該読取動作と並行して前記原稿給送部の原稿載置部に載置されている原稿を読み取ることなく所定の排出位置に排出させる画像形成装置。
【請求項4】
前記動作制御部は、前記原稿有無検出部により前記原稿給送部の原稿載置部に原稿が載置されていることが検知されていない状態で、前記操作部により前記画像形成指示の入力が受け付けられると、前記第1制御モードで前記原稿読取部及び前記画像形成部の動作を制御する請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−42553(P2013−42553A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250112(P2012−250112)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2009−227055(P2009−227055)の分割
【原出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】