説明

画像形成装置

【課題】中間転写ベルト等の無端ベルトの温度上昇を防止ながら大型化を抑え、無端状ベルトを振動させてトナーを飛散させる恐れを解消する。
【解決手段】中間転写ベルト5は、感光体とその周囲に配置された帯電装置及びトナーによって現像する現像装置を含む作像部に近接して周回動する無端状ベルトである。その中間転写ベルト5の裏面側に、その中間転写ベルト5の周回動する矢示F方向に直交する幅方向(矢示W方向)の両端部の一方側に空気流入口42を他方側に空気流出口43をそれぞれ有し、中間転写ベルト5の裏面が冷却空間41の一壁面を形成する通風ダクト40を設ける。その通風ダクト40の空気流入口42から冷却空間41を通して空気流出口43へ、中間転写ベルト5の裏面に沿ってその裏面の全幅に亘って幅方向(矢示W方向)に空気を流して、その中間転写ベルト5を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、及びそれらの機能を組合せたデジタル複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置として、いわゆるタンデム型のカラー画像形成装置が多く使用されている。それには中間転写方式と直接転写方式とがあるが、いずれもイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各色のトナー画像を形成するための感光体とその周囲に配置された帯電装置及びトナーによる現像装置を含む作像部を色数分だけ並べて配置している。そして、その各作像部に近接して周回動する無端状ベルトを設けている。
【0003】
中間転写方式の場合は、その無端状ベルトが中間転写ベルトであり、各作像部で感光体上に形成した各色のトナー画像を、その周回動する中間転写ベルトの表面に順次重ねて一次転写して、フルカラーのトナー画像を形成する。それを中間転写ベルトの移動によって二次転写位置へ搬送し、そこでそのフルカラーのトナー画像を記録媒体である用紙に二次転写し、定着装置を通して定着して排出する。
【0004】
直接転写方式の場合は、上記無端状ベルトが用紙搬送ベルトであり、各作像部で感光体上に形成した各色のトナー画像を、その周回動する用紙搬送ベルト上に吸着されて搬送される用紙上に順次重ねて転写して、フルカラーのトナー画像を形成する。それを定着装置を通して定着して排出する。
【0005】
このような画像形成において、感光体(一般に感光体ドラム)は帯電装置との間に高電圧が印加され、露光装置からレーザ光線が照射されることなどによって加熱され、その熱が中間転写ベルト等の無端状ベルトに伝熱される。また、定着装置が発する輻射熱によっても無端状ベルトが加熱される場合がある。
【0006】
また、中間転写方式の画像形成装置の場合には、中間転写ベルト上のトナー画像を用紙に二次転写した後に残留するトナーを除去して回収するために、一般に二次転写位置の下流側に中間転写ベルトクリーナを設けている。そのため、中間転写ベルトがその中間転写ベルトクリーナのクリーニングブレード等のクリーニング部材によって擦られ、その摩擦熱によっても温度上昇する。
【0007】
そして、無端状ベルトの温度が上昇すると、中間転写ベルト上に転写されたトナー画像が溶融して、中間転写ベルト上に固着してしまったり、搬送ベルトに吸着されて搬送される用紙に転写されたトナー画像が溶融して、その画像が乱れたりする不都合が発生する。
また、無端状ベルトを介して作像部を冷却することができなくなり、感光体やトナー攪拌部材を有する現像装置等の温度が上昇し、感光体の表面や現像装置内のトナーが溶融して、画像形成に支障をきたす恐れもあった。
【0008】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1や特許文献2等には、中間転写ベルトの外周側に、中間転写ベルトの表面に気流を吹き付けるためのファンと排気用のファンや通風ダクト等を備えた冷却機構を設けて、中間転写ベルトを冷却するようにした画像形成装置が開示されている。
【0009】
しかし、このような冷却機構は中間転写ベルトの周囲にかなり大きなスペースを要するため、画像形成装置が大型化するとともに、中間転写ベルトの表面に気流を吹き付けて冷却するため、その転写面が振動して、転写したトナーが飛散して転写不良が発生する恐れもあった。
【0010】
また、冷却機構を設けるスペース上の問題を解決するために、例えば特許文献3には、図7に示すように、フレーム51に支持された駆動ローラ52とテンションローラ53及び二次転写内側ローラ54によって、仮想線で示すように中間転写ベルト55を掛け渡した中間転写ユニット50の内部に、中間転写ベルト55を冷却するダクト60を設けた画像形成装置が提案されている。
【0011】
そのダクト60は、中間転写ユニット50内のテンションローラ53と二次転写内側ローラ54との間の領域における中間転写ベルト55の裏面側に、熱取込口61aを有する冷却空間61を形成する。そして、その冷却空間61における中間転写ベルト55の幅方向の一半部と他半部から、略V字状に後方に延びる吸入側ダクト62と排出側ダクト63を有し、中間転写ユニット50の両側面における中間転写ベルト55の周回動方向に沿う長手方向の略中央部の一方と他方に、吸入側ダクト62の端部の吸入口64と排出側ダクト63の端部の排出口65をそれぞれ設けている。
【0012】
このダクト60によれば、吸入口64から流入した空気が吸入側ダクト62内を矢示A方向に流れ、冷却空間61内で熱取込口61aに面する中間転写ベルトの裏面に当たってそれを冷却する。その空気は、排出側ダクト63内を矢示B方向に流れて排出口65から流出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような構成によれば、中間転写ユニット50内に中間転写ベルト55を冷却するための冷却空間61を形成するダクト60を設けたので、無端状ベルトである中間転写ベルトの外部に余分なスペースを設ける必要がなくなり、画像形成装置の大型化を防ぐことはできる。
【0014】
しかしながら、吸入側ダクト62と排出側ダクトダクト63が中間転写ベルト55の裏面に対して斜めに延びており、吸入側ダクト62から冷却空間61内に流入した空気が、中間転写ベルト55の裏面に吹き付けるように流れることになる。そのため、中間転写ベルト55の転写面を振動させる恐れがあり、転写したトナーが飛散して転写不良が発生するという問題を、充分に解消することはできない。
【0015】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、中間転写ベルト等の無端ベルトの温度上昇を防止して、トナーの溶融などの不具合の発生を解消しながら、スペースの増加による大型化を抑え、しかも無端状ベルトを振動させてトナーを飛散させる恐れを解消し、転写不良の発生を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は上記の目的を達成するため、感光体とその周囲に配置された帯電装置及びトナーによって現像する現像装置を含む作像部と、その作像部に近接して周回動する無端状ベルトとを備えた画像形成装置において、上記無端状ベルトの裏面側に、その無端状ベルトの周回動する方向に直交する幅方向の両端部の一方側に空気流入口を他方側に空気流出口をそれぞれ有し、上記無端状ベルトの裏面が冷却空間の一壁面を形成する通風ダクトを設け、その通風ダクトの上記空気流入口から上記冷却空間を通して上記空気流出口へ、上記無端状ベルトの裏面に沿って該裏面の全幅に亘って上記幅方向に空気を流して、その無端状ベルトを冷却するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、中間転写ベルト等の無端状ベルトの内側に通風ダクトを設け、その空気流入口から流入した空気は、通風ダクト内をその一壁面を形成する無端状ベルトの裏面に沿ってその裏面の全幅に亘って無端状ベルトの幅方向に流れる。その際に無端状ベルトの熱を奪って冷却した後、空気流出口から流出する。
したがって、余分なスペースをとらずに無端状ベルトを冷却できる。しかも、その冷却用の空気は常に無端状ベルトの裏面に沿って流れるので、熱交換効率がよいばかりか、無端状ベルトに空気を吹き付けることがないので、無端状ベルトを振動させる恐れがない。そのため、トナーの飛散などによる転写不良が発生する心配もない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明による画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】その作像ユニット1の構成例を示す概略構成図である。
【図3】図1に示した画像形成装置におけるこの発明に係わる要部を拡大して示す図である。
【図4】図3に示した通風ダクトの斜視図である。
【図5】図3に示した通風ダクトを中間転写ベルト内に装着した状態を示す斜視図である。
【図6】同じくその通風ダクトを画像形成装置本体に設けた吸気側ダクトと接続した状態の例を示す平面図である。
【図7】中間転写ユニットの内部に冷却用のダクトを設けた従来例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔画像形成装置の全体説明〕
図1はこの発明による画像形成装置の一実施形態の全体構成を示す概略図、図2はその作像ユニット1の構成例を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、本体100と画像読取部110と両面用搬送部120とから構成されている。
【0020】
本体100内には、作像部として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)のトナー像を形成するための4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Kを備えている。
これらの各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ感光体である感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kと、その各周囲に後述する帯電装置やトナーによって現像する現像ユニットを備えている。そして、各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kの表面に各色の画像を形成するために、各現像ユニットでそれぞれ異なる色のYトナー,Mトナー,Cトナー,Kトナーを用いるが、それ以外は同じ構成になっている。その構造については図2によって後述する。
【0021】
この画像形成装置はタンデム型中間転写方式のカラープリンタであり、作像部に近接して周回動する無端状ベルトである中間転写ベルト5が、駆動ローラである二次転写対向ローラ6と従動ローラ7との間に、所定の張力をもって張り渡されている。
その中間転写ベルト5の下面側に、そのベルト走行方向に沿って、前述した作像部である作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが順に配置されている。
作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの下方には、各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kの表面を、レーザビームで露光走査する画像書込ユニット8が設けられている。
【0022】
さらに、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kに対して中間転写ベルト5を挟んで対向する位置に、それぞれ一次転写ローラが配置されているが、図示を省略している。
また、中間転写ベルト5の上側領域の裏面側に、中間転写ベルト5を冷却するための通風ダクト40を設けている。その通風ダクト40の詳細は後述する。
中間転写ベルト5の上方には、各作像ユニットの現像ユニットにそれぞれ各色のトナーを補給するため、トナーボトル9Y,9M,9C,9Kが交換可能に搭載されている。
【0023】
一方、画像形成対象となる転写材である用紙10は、2段の給紙カセット11A、11Bに収容されている。その各給紙カセット11A、11B内の用紙10は、用紙繰り出し側に設けられたピックアップローラ12A、12Bのいずれかによって一枚ずつ繰り出される。その繰り出された用紙10は、図示を省略している複数の搬送ローラ対によって、図1に細線で示す搬送経路に沿って位置決めローラ対13まで搬送される。
【0024】
そして、その位置決めローラ対13によって所定のタイミングで、二次転写ローラ14と二次転写対向ローラ6とが中間転写ベルト5を挟んで対向している二次転写位置へ送られる。二次転写位置の上方の搬送経路には定着装置19が配置されており、その定着装置19を通過した用紙は、排紙用搬送ローラ対20によって排紙トレイ22上へ排出される。
【0025】
画像読取部110は、本体100の上部に設けられており、図示はしていないが、コンタクトガラスと開閉可能な圧板又は自動原稿給装装置(ADF)を備え、コンタクトガラスの下側には、光源と光学系及びCCD等の撮像デバイスなどからなる読取走査装置が設けられている。
【0026】
両面用搬送部120は、本体100の一側面に取り付けられ、図1に細線で示す用紙搬送路と、それに沿って反転ローラ対15及び複数の両面搬送ローラ対16を備えている。
そして、一方の面にトナー画像が転写されて定着装置19を経て定着された用紙を導入して、その表裏を反転させて位置決めローラ対13へ送り出す。それによって、その用紙の他方の面にもトナー画像を転写して画像を形成することができる。
この実施形態では、両面用搬送部120に手差しトレイ17も取り付けており、その手差しトレイ17上にセットされた用紙10も、搬送ローラ対18によって位置決めローラ対13へ送り出し、それにトナー像を転写して画像を形成することができる。
【0027】
このように構成された画像形成装置によって、カラー画像を形成する場合の動作手順の概略を図1によって説明する。
この画像形成装置が複写装置として使用される場合は、画像読取部110にコピー用のカラー原稿がセットされ、スタートキーが押されると、その原稿の読み取りを開始して、読み取ったカラー画像データに基づいて、図示していないコントローラがカラー印刷データを生成する。
【0028】
この画像形成装置がプリンタとして使用される場合は、ネットワーク等を介して接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト装置から印刷命令とカラー印刷用ジョブを受信すると、それに基づいてコントローラがカラー印刷データを生成する。
そのいずれかのカラー印刷データに応じて、各作像ユニット1Y,1M,1C,1K及び画像書込ユニット8等による作像工程を順に開始する。
【0029】
まず、各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kの表面を後述する各帯電装置によって均一に帯電し、その各表面を画像書込ユニット8の光走査によって各色の画像データに応じて露光し、その各表面に静電潜像を形成する。その各静電潜像を、後述する各現像ユニットの各色のトナーによってそれぞれ現像し、各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kの表面に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像を順次形成する。
【0030】
その各感光体ドラム3Y,3M,3C,3K上の各色のトナー画像をバイアス電圧が印加された図示しない一次転写ローラの作用によって、中間転写ベルト5上に順次重ねて一次転写し、中間転写ベルト5上にフルカラーのトナー画像を形成する。そのトナー画像を中間転写ベルト5の周回による右方への移動によって二次転写位置へ送る。
【0031】
一方、前述したように、給紙カセット11A、11Bのいずれかの画像サイズに適したサイズの用紙10を、ピックアップローラ12A又は12Bによって繰り出し、図示していない搬送ローラ対によって位置決めローラ対13に挟まれるまで搬送して待機させる。
そして、その位置決めローラ対13によってその用紙10を所定のタイミングで、二次転写ローラ14と二次転写対向ローラ6とが中間転写ベルト5を挟んで対向している二次転写位置へ送る。
【0032】
それによって、中間転写ベルト5上のトナー画像が、バイアス電圧が印加された二次転写ローラ14の作用によって、その用紙10上に一括転写(二次転写)される。
そのフルカラーのトナー画像が転写された用紙10を、定着装置19へ搬送し、そこで加熱及び加圧による定着処理を施して送出し、排紙用搬送ローラ対20によって排紙トレイ22上へ排出する。
【0033】
モノクロ画像を形成する場合は、画像読取部110で読み取るか、ホスト装置から受信したモノクロの画像データに基づいてモノクロ印刷データを生成し、作像ユニットとしてはブラック用の作像ユニット1Kのみを使用して、感光体ドラム3Kの表面にブラックのトナー画像を形成する。それを中間転写ベルト5に転写した後、用紙10に転写する。
転写材はトナー画像を転写して定着できる媒体であればよく、用紙の他に、転写紙、印刷用紙、記録紙、印刷シート、記録シートなどとも称される。
【0034】
〔作像ユニットの構成例〕
ここで、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの構成例を説明する。これらの各作像ユニットは、前述したように使用するトナーの色が異なるだけで、その構成は同じである。そこで、その構成例をY,M,C,Kを付けない作像ユニット1として、図2によって説明する。
図2に示す作像ユニット1は、感光体ユニット2と現像ユニット4によって構成されている。そして、これらを一体のユニットとして、あるいは個別のユニットとして、図1に示した本体100に対して着脱可能である。
【0035】
感光体ユニット2は、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置23、図示していない除電装置、および感光体ドラム3の表面を帯電させる帯電装置24などを有している。感光体ドラム3は、図示していない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。
帯電装置24は、帯電バイアスが印加される帯電ローラ25を感光体ドラム3の表面に近接して備えており、その帯電ローラを反時計回りに回転駆動することによって感光体ドラム3の表面を一様帯電させる。
【0036】
なお、帯電装置として、帯電ローラの代わりに帯電ブラシを感光体に当接させるものを用いてもよい。また、スコロトロンチャージャのように、チャージャ方式によって感光体を帯電させるものを用いてもよい。
帯電装置24によって一様帯電された感光体ドラム3の表面は、図1に示した画像書込ユニット8から発せられるレーザ光Lによって露光走査されて静電潜像を担持する。
【0037】
現像ユニット4は、筐体4a内に、第1搬送スクリュー26が配設された第1剤収容部27と、透磁率センサ等からなるトナー濃度センサ28、第2搬送スクリュー29、現像ローラ30、現像剤規制部材としてのドクタブレード31などが設けられた第2剤収容部32とを備えている。
【0038】
第1剤収容部27と第2剤収容部32の内部には、磁性キャリアとマイナス帯電性のトナーとからなる現像剤(図示せず)が収容される。第1搬送スクリュー26は、図示していない駆動手段によって回転駆動され、第1剤収容部27内の現像剤を紙面に垂直な方向における手前側から奥側へ搬送する。そして、第1剤収容部27と第2剤収容部32との間の仕切壁4bに設けられた図示していない連通口を経て、第2剤収容部32内に現像剤を進入させる。
【0039】
第2剤収容部32内の第2搬送スクリュー29は回転駆動され、現像剤を図中奥側から手前側へ搬送する。搬送途中の現像剤は、第2剤収容部32の底部に固定されたトナー濃度センサ28によってそのトナー濃度が検知される。第2搬送スクリュー29の上方には、現像ローラ30が第2搬送スクリュー29と平行に配設されている。その現像ローラ30は、図中反時計回り方向に回転駆動される非磁性パイプから成る現像スリーブ33内にマグネットローラ34を内蔵している。
【0040】
第2搬送スクリュー29によって搬送される現像剤の一部は、そのマグネットローラ34の磁力によって現像スリーブ33の表面に汲み上げられる。そして、現像スリーブ33と所定の間隙を保持するように配設されたドクタブレード31によってその層厚が規制された後、感光体ドラム3と対向する現像領域まで搬送され、感光体ドラム3上の静電潜像にトナーを付着させる。この付着により、感光体ドラム3上にトナー像が形成される。
【0041】
感光体ドラム3上に形成されたトナー像は、図1に示した中間転写ベルト5に中間転写される。そして、中間転写工程を経た後の感光体ドラム3表面に残留したトナーを、ドラムクリーニング装置23が除去する。クリーニング処理が施された感光体ドラム3の表面は、図示していない除電装置によって除電され、次の画像形成に備える。
【0042】
〔通風ダクトの構成例〕
次に、通風ダクト40の構成例を図3〜図6によって説明する。
図3は図1に示した画像形成装置におけるこの発明に係わる要部を拡大して示す図である。中間転写ベルト5は、駆動ローラである二次転写対向ローラ6と従動ローラ7との間に、所定の張力をもって張り渡されて周回動をしている。図3では、中間転写ベルト5と二次転写対向ローラ6及び従動ローラ7との間に隙間があるが、実際には中間転写ベルト5は、テンションローラを含むもっと多くのローラに掛け渡されているので、それらを簡略化して模式的に示している。
【0043】
その中間転写ベルト5の下面側に、そのベルト走行方向に沿って、作像部である前述した作像ユニット1Y,1M,1C,1Kが順に配置されている。
中間転写ベルト5が周回動する領域における二次転写対向ローラ6と二次転写ローラ14とが対向する二次転写位置の下流側の上面側に、中間転写ベルトクリーナ21が配置されている。この中間転写ベルトクリーナ21は、クリーニングブレード21aの先端部が中間転写ベルト5の上面に当接して、二次転写後に中間転写ベルト上に残留したトナーを除去し、図示していない機構によって回収する。
【0044】
通風ダクト40は、中間転写ベルト5が周回動する領域中の、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム3Y,3M,3C,3Kと図示していない一次転写ローラによる一次転写の位置よりも上流側で、且つ上述した二次転写位置より下流側に、中間転写ベルト5の裏面に近接対向して設けられる。そしてこの例では、中間転写ベルト5が中間転写ベルトクリーナ21を通過した直後の領域に通風ダクト40を設けている。
その通風ダクト40は、中間転写ベルト5の裏面が一壁面となる冷却空間41を形成している。
【0045】
図4はその通風ダクト40の斜視図であり、図5はその通風ダクト40を中間転写ベルト5内に装着した状態を示す斜視図である。
これらの図に示すように、通風ダクト40は、中間転写ベルト5の周回動する方向(図5に示す矢示F方向)に直交する幅方向(矢示W方向)の両端部の一方側に空気流入口42を、他方側に空気流出口43をそれぞれ有しており、その間に冷却空間41を形成している。この通風ダクト40は金属板又は合成樹脂などで作られる。
【0046】
その空気流入口形成部42aと空気流出口形成部43aは、全周をダクトの壁面で囲んだ角筒状であるが、冷却空間41は図4に明示するように、上面を開放した扁平なチャンネル形状である。そして、図5に示すように、その上面を中間転写ベルト5の裏面に近接させて配置することによって、その裏面が冷却空間41の一壁面を形成する。
また、その通風ダクト40の冷却空間41は、空気流入口42側から空気流出口43側に向かって次第にダクト幅(空気の流れに直交する方向の幅)が広くなっている。
【0047】
この通風ダクト40は、図5に示すように、中間転写ベルト5の内側(裏面側)に、その幅方向(矢示W方向)に沿って配置される。それによって、空気流入口形成部42aが中間転写ベルト5の一側部から突出して、空気流出口形成部43aが他側部から突出し、冷却空間41は中間転写ベルト5の幅内に収まる。
【0048】
通風ダクト40をこのように配置して、空気流入口42から空気を流入させると、その空気が冷却空間41を通して空気流出口43へ、中間転写ベルト5の裏面に沿って(平行して)該裏面の全幅に亘って矢示Wで示す幅方向に流れる。その際、中間転写ベルト5の裏面に接触しながら流れる空気がその熱を奪って中間転写ベルト5を冷却し、暖まった空気が空気流出口43から排出される。中間転写ベルト5は周回動しているので順次冷却空間41の上面を移動し、全長に亘って冷却される。
【0049】
このように、冷却空間41内の空気は常に中間転写ベルト5の裏面に沿って(平行して)流れるので、熱交換効率がよい。また、中間転写ベルト5に空気を吹き付けることがないので、中間転写ベルト5を振動させる恐れがない。そのため、トナーの飛散などによる転写不良が発生する心配がない。
【0050】
また、通風ダクト40に吸入された空気は、冷却空間41内で中間転写ベルト5の裏面に沿ってその熱を奪いながら流れるので、空気流出口43側に進むにつれて暖まっていき、冷却効率が低下し、その冷却効率の差によって中間転写ベルト5に温度分布が発生する場合がある。
【0051】
しかし、この実施形態では、通風ダクト40の冷却空間41が、空気流入口42側から空気流出口43側に向かって次第にそのダクト幅が広くなっているので、下流側ほど中間転写ベルト5の裏面と空気との接触面積が増加して、冷却効率の低下を補う。そのため、冷却効率の差によって中間転写ベルト5の幅方向の領域によって温度分布が発生し、画像品質に影響を与えるのを防ぐことができる。
【0052】
図6は、この通風ダクト40を画像形成装置の本体に設けた吸気側ダクトと接続した状態を示す平面図である。
この実施形態では、画像形成装置の本体100(図1参照)の開閉可能な外装カバーの一つである前カバー101の内面側に、吸気側ダクト45を設けている。この吸気側ダクト45の一端部は、前カバー101の側部に形成された吸気口46に接続されており、他端部には、通風ダクト40との接続部45aが設けられている。
【0053】
中間転写ベルト5とそれを周回動可能に支持する二次転写対向ローラ(駆動ローラ)6と従動ローラ7等と通風ダクト40とが、画像形成装置の本体100内の所定の位置に装着された状態で、前カバー101を閉じると、図6に示すように、吸気側ダクト45の接続部45aが通風ダクト40の空気流入口形成部42aに接続される。それによって、通風ダクト40の空気流入口42と外部とが、吸気側ダクト45と吸気口46を介して連通する。
【0054】
本体100の後部の内側に、図6に仮想線で示すように外部に通じる排気側ダクト47を設け、その一端部を通風ダクト40の空気流出口形成部43aに接続するようにしてもよい。吸気側ダクト45と吸気口46との間に吸気用ファンを設け、排気側ダクト47と図示していない排気口との間に排気用ファンを設けるようにようにすれば、十分な冷却用の空気を機外から吸入して通風ダクト40へ送り込み、中間転写ベルト5を冷却した後の暖まった空気を確実に機外へ排出することができる。
【0055】
しかし、吸気用ファン又は排気用ファンの一方だけを設けてもよい。また、通風ダクト40の空気流出口43を本体100内に開放すれば、そこに常備している冷却用ファンによって、吸気口46から吸気側ダクト45及び通風ダクト40を通して機内へ流出する空気の流れが発生する。したがって、専用の吸気用ファン又は排気用ファンを設けることは必須ではない。
【0056】
なお、中間転写ベルト5は、それを掛け渡す二次転写対向ローラ6、従動ローラ7及び図示していないテンションローラ等のローラと、通風ダクト40、およびそれらを支持するフレーム等によって、中間転写ユニットとして構成し、本体100に対して一体に着脱できるようにすることができる。
また、その中間転写ユニットに対して、通風ダクト40だけ単独で着脱できるようにしてもよい。
【0057】
この実施形態では、通風ダクト40の空気流入口42と外部とを連通させる吸気側ダクト45を、画像形成装置の本体100に設けられた開閉可能な外装カバーである前カバー101の内面側に一体的に設けたので、前カバー101を開くと吸気側ダクト45も通風ダクト40から離脱して退避する。したがって、通風ダクト40やそれを含む中間転写ユニットを本体100に容易に着脱することができる。
【0058】
また、通風ダクト40を、中間転写ベルト5の周回動する領域における一次転写の位置より中間転写ベルト5の走行方向の上流側で、且つ二次転写位置より下流側の領域において、中間転写ベルト5の裏面側に配置している。
したがって、中間転写ベルト5がその表面のトナー画像を用紙に二次転写した後、作像ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作成される次のトナー画像が一次転写される前に、通風ダクト40を流れる空気によって十分に冷却される。そのため、中間転写ベルト5の一次転写位置に到達する領域は十分冷却されており、転写されるトナーが溶融する恐れはない。さらに、この冷却された中間転写ベルト5と接することによって、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kも冷却を図ることができる。
【0059】
さらに、中間転写ベルト5が中間転写ベルトクリーナ21を通過した直後の領域に通風ダクト40を配置したことによって、中間転写ベルト5とクリーニングブレードとの摩擦によって発生する熱も効率よく冷却することができる。
【0060】
この発明による画像形成装置は、中間転写ベルトに対する冷却手段として上述した通風ダクトを設けたものであるが、それは、図1に示したようなタンデム型の中間転写方式のカラープリンタに限らない。その他の中間転写方式又は直接転写方式のカラープリンタ、モノクロのプリンタ、それらのいずれかに画像読取部を備えた複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を組み合わせたデジタル複合機等の各種の画像形成装置にも、この発明を適用できる。
【0061】
タンデム型の中間転写方式の画像形成装置の場合には、作像部に近接して周回動する無端状ベルトが、表面に用紙を吸着して搬送する用紙搬送ベルトであり、その用紙搬送ベルトの裏面側に上述したような通風ダクトを設ければよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1Y,1M,1C,1K:作像ユニット 2:感光体ユニット
3,3Y,3M,3C,3K:感光体ドラム 4:現像ユニット
4a:現像ユニットの筐体 4b:仕切壁 5:中間転写ベルト
6:二次転写対向ローラ 7:従動ローラ 8:画像書込ユニット
9Y,9M,9C,9K:トナーボトル 10:用紙
11A,11B:給紙カセット 12A,12B:ピックアップローラ
13:位置決めローラ対 14:二次転写ローラ 15:反転ローラ対
16:両面搬送ローラ対 17:手差しトレイ 18:搬送ローラ対
19:定着装置
【0063】
20:排紙用搬送ローラ対 21:中間転写ベルトクリーナ
22:排紙トレイ 23:ドラムクリーニング装置 24:帯電装置
25:帯電ローラ 26:第1搬送スクリュー 27:第1剤収容部
28:トナー濃度センサ 29:第2搬送スクリュー 30:現像ローラ
31:ドクタブレード 32:第2剤収容部 33:現像スリーブ
34:マグネットローラ 40:通風ダクト 41:冷却空間
42:空気流入口 42a:空気流入口形成部 43a:空気流出口形成部
43:空気流出口 45:吸気側ダクト 46:吸気口 47:排気側ダクト
100:画像形成装置の本体 101:前カバー(外装カバー)
110:画像読取部 120:両面用搬送部 130:中間転写ユニット
L:レーザ光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2007−240703号公報
【特許文献2】特開2010−145733号公報
【特許文献3】特開2007−271688号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体とその周囲に配置された帯電装置及びトナーによって現像する現像装置を含む作像部と、該作像部に近接して周回動する無端状ベルトとを備えた画像形成装置において、
前記無端状ベルトの裏面側に、該無端状ベルトの前記周回動する方向に直交する幅方向の両端部の一方側に空気流入口を他方側に空気流出口をそれぞれ有し、前記無端状ベルトの裏面が冷却空間の一壁面を形成する通風ダクトを設け、
該通風ダクトの前記空気流入口から前記冷却空間を通して前記空気流出口へ、前記無端状ベルトの裏面に沿って該裏面の全幅に亘って前記幅方向に空気を流して該無端状ベルトを冷却するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通風ダクトの前記冷却空間は、前記空気流入口側から前記空気流出口側に向かって次第にダクト幅が広くなっていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記通風ダクトの前記空気流入口と外部と連通させる吸気側ダクトを、装置本体の開閉可能な外装カバーの内面側に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記無端状ベルトが、前記作像部によって作像されたトナー画像を表面に一次転写して用紙への二次転写位置へ搬送する中間転写ベルトであり、
前記通風ダクトが、前記中間転写ベルトの前記周回動する領域における前記一次転写の位置よりも上流側で且つ前記二次転写位置よりも下流の領域において、前記中間転写ベルトの裏面側に設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記中間転写ベルトの前記周回動する領域における前記二次転写位置の下流側の領域に、前記中間転写ベルトの表面に残留したトナーを除去する中間転写ベルトクリーナを備え、
前記通風ダクトを、前記中間転写ベルトが前記中間転写ベルトクリーナを通過した直後の領域に設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−64842(P2013−64842A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203084(P2011−203084)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】