説明

画像形成装置

【課題】ベルト部材の回転速度が低く設定された場合でも、ステアリングローラの振動やステアリング制御の不安定を発生させることなく、精密にベルト部材を寄り制御して高品質の画像を出力できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルト駆動モータ634は、中間転写ベルト606を可変の回転速度で駆動する。ステアリングカム駆動モータ624は、ステアリングローラ605を可変の傾動速度で傾動させる。制御部50は、厚紙モードにおけるステアリングローラ605の傾動速度を普通紙モードにおけるステアリングローラ605の傾動速度よりも低く設定する。ホームポジション検出制御では、中間転写ベルト606の起動に先立たせて、中間転写ベルト606の停止状態で、ステアリングローラ605を厚紙モードよりも低い傾動速度で傾動させて原点位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングローラを傾動させてベルト部材の寄り制御を行う画像形成装置、詳しくは、ベルト部材の回転速度が低く切り替えられた際のベルトユニットの振動や変形を抑制する制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト部材を用いて画像形成を行う画像形成装置が広く用いられている。例えば、像担持体に形成したトナー像を中間転写ベルトを経由して記録材に一括転写する電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。像担持体に形成したトナー像を記録材搬送ベルトに吸着させた記録材に転写する電子写真方式の画像形成装置も広く用いられている。画像形成装置は、トナー画像を融解して記録材に定着させるために、ベルト部材を用いて加熱ニップを形成した定着装置を搭載している場合がある。また、画像形成装置は、記録材搬送ベルトに載せて搬送される記録材に対して、固定された印刷ヘッドから画像を印刷するインクジェットプリンタ等を含む。
【0003】
これらのベルト部材は、画像形成中に、回転方向に直角な寄り移動が発生すると、出力画像が斜めに歪んだり、位置ずれしたりして、画像品質に影響が出る。このため、ベルト部材を搭載した画像形成装置では、刻々のベルト部材の寄り移動量を検出して、ベルト部材を張架する1本以上のステアリングローラをリアルタイムに傾動させて、寄り移動を速やかに抑制する寄り制御を実行している(特許文献1)。
【0004】
しかし、ベルト部材が回転している状態でステアリングローラを傾動させると、路面を走行中の自動車でステアリング操作を行った場合と同様に、ベルト部材からステアリングローラに対してステアリング抵抗力が作用する。ステアリング抵抗力は、ステアリングローラ支持構造のたわみやステアリングローラの振動を引き起こして、ベルト部材の走行やステアリング制御を不安定にして、出力画像の品質に影響する可能性がある。
【0005】
そこで、特許文献1では、ステアリングローラの傾動方向及び傾動軌跡を、ステアリングローラに対するステアリング抵抗力が最少になる方向に設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−2999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、画像形成装置のベルト部材において複数段階の回転速度が設定されるようになった。例えば、厚紙にトナー像を転写して定着装置で定着させる場合、熱容量の大きな厚紙で所要の定着温度を確保するために、画像形成のプロセススピードが下げられ、ベルト部材の回転速度が低く切り替えられる。
【0008】
このとき、低速で走行中の自動車でステアリング操作を行った場合と同様に、ベルト部材からステアリングローラに対して、プロセススピードが高い場合よりも大きなステアリング抵抗力が作用する。このため、特許文献1に示されるように、通常のプロセススピードにおいてステアリング抵抗力を許容範囲に抑制していても、プロセススピードを下げた場合には、ステアリングローラの振動やステアリング制御の不安定が問題になってくる。
【0009】
本発明は、ベルト部材の回転速度が低く設定された場合でも、ステアリングローラの振動やステアリング制御の不安定を発生させることなく、精密にベルト部材を寄り制御して高品質の画像を出力できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、無端状のベルト部材と、前記ベルト部材を可変の回転速度で駆動するベルト駆動部と、前記ベルト部材を張架して傾動可能に配置されたステアリングローラと、前記ステアリングローラを可変の傾動速度で傾動させるステアリング駆動部と、前記ステアリング駆動部を制御して、回転する前記ベルト部材の寄り移動を抑制するステアリング制御手段とを備えたものである。そして、上述した課題を解決するために、前記ステアリング制御手段は、前記ベルト部材の回転速度が低いほど前記ステアリングローラの傾動速度を低く設定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置では、ベルト部材の回転速度が低い場合にはゆっくりとステアリングローラを傾動させるので、ベルト部材からステアリングローラに作用するステアリング抵抗力が高まらない。ステアリング抵抗力は、ステアリングローラの回転軸線方向における各位置のステアリング周差を摩擦で埋め合わせる際の単位時間当たりの摩擦抵抗であるから、ステアリングにかける時間を引き延ばすことでステアリング抵抗力を下げることができる。
【0012】
したがって、ベルト部材の回転速度が低く設定された場合でも、ステアリングローラの振動やステアリング制御の不安定を発生させることなく、精密にベルト部材を寄り制御して高品質の画像を出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】中間転写ユニットの構成の説明図である。
【図3】ステアリング機構の構成の説明図である。
【図4】ステアリングローラのホームポジション設定の説明図である。
【図5】ステアリングローラの傾動量の説明図である。
【図6】実施例1のベルト搬送制御のブロック図である。
【図7】実施例1のベルト搬送制御のフローチャートである。
【図8】ホームポジション検出制御のフローチャートである。
【図9】ベルト寄り制御のフローチャートである。
【図10】寄り制御におけるステアリングローラの傾動軌跡の説明図である。
【図11】実施例1のステアリングローラの傾動速度制御の説明図である。
【図12】実施例1の各モードにおけるステアリング負荷の説明図である。
【図13】比較例のステアリングローラの傾動速度制御の説明図である。
【図14】比較例の各モードにおけるステアリング負荷の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、ベルト部材の回転速度が低く切り替わるとステアリングローラの傾動角速度が低く設定される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0015】
したがって、ベルト部材は、中間転写ベルト、記録材搬送ベルト、転写ベルト、定着ベルトのいずれでもよい。画像形成装置は、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/記録材搬送型、静電像の形成方式、現像方式、転写方式の区別無く実施できる。記録材搬送型においては、画像形成部には電子写真方式の他、オフセット印刷方式、インクジェット方式等も可能である。
【0016】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0017】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置60は、中間転写ベルト606に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部613y、613m、613c、613bkを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0018】
画像形成部613yでは、感光ドラム608yにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト606に転写される。画像形成部613mでは、感光ドラム608mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト606に転写される。画像形成部613c、613bkでは、感光ドラム608c、608bkにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト606に転写される。
【0019】
二次転写ローラ66は、対向ローラ603に支持された中間転写ベルト606に当接して二次転写部T2を形成する。記録材カセット61から引き出された記録材Pは、分離ローラ63で1枚ずつに分離して、レジストローラ65へ送り出される。レジストローラ65は、中間転写ベルト606のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り出す。記録材Pが二次転写部T2を挟持搬送される過程で、二次転写ローラ66に正極性の直流電圧が印加されることにより、フルカラートナー像が中間転写ベルト606から記録材Pへ二次転写される。転写されずに中間転写ベルト606に残った転写残トナーは、ベルトクリーニング装置630によって回収される。
【0020】
四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、中間転写ベルト606から曲率分離して定着装置68へ送り込まれる。定着装置68は、所定の加圧力の下でヒータ等の熱源による加熱効果を記録材Pに加えて、記録材Pにトナー像を溶融固着させる。画像を定着された記録材Pは、片面画像形成の場合、分岐搬送装置69を通じて排紙トレイ600上に排出される。しかし、両面画像形成の場合、記録材Pは、反転搬送装置601へ搬送されて、スイッチバック動作により先後端を入れ替えて両面搬送路602へ送り込まれる。その後、記録材Pは、再給紙パス64bからレジストローラ65へ合流し、二次転写部T2へ送られて裏面にもトナー像が転写され、その後、定着装置68において画像が定着される。
【0021】
画像形成部613y、613m、613c、613bkは、現像装置(610y等)で用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、実質的に同一に構成される。以下では、画像形成部613yについて説明し、画像形成部613m、613c、613bkに関する重複した説明を省略する。
【0022】
画像形成部613yは、感光ドラム608yの周囲に、コロナ帯電器612y、露光装置611y、現像装置610y、転写ローラ607y、ドラムクリーニング装置609yを配置している。感光ドラム608yは、アルミニウム管の表面に有機光導電体(OPC)を形成しており、所定のプロセススピードで矢印方向に回転する。
【0023】
コロナ帯電器612yは、コロナ放電に伴う荷電粒子を感光ドラム608yに照射して感光ドラム608yの表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電する。露光装置611yは、画像の分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、感光ドラム608yの表面に画像の静電像を書き込む。現像装置610yは、感光ドラム608yの静電像にトナーを供給してトナー像を現像する。
【0024】
転写ローラ607yは、中間転写ベルト606の内側面に当接して感光ドラム608yと中間転写ベルト606の間にトナー像の転写部を形成する。トナーの帯電極性とは逆極性である正極性の直流電圧を転写ローラ607yに印加することにより、感光ドラム608yのトナー像が中間転写ベルト606へ転写される。ドラムクリーニング装置609yは、感光ドラム608yにクリーニングブレードを摺擦させて、感光ドラム608yの転写残トナーを回収する。
【0025】
<中間転写ユニット>
図2は中間転写ユニットの構成の説明図である。図3はステアリング機構の構成の説明図である。中間転写ベルトにおいては、ベルト端面等の位置変動を検知して、ステアリングローラに傾動量を与えることで、中間転写ベルトの寄り移動をコントロールする寄り制御が行われている。このような寄り制御は、ベルト寄り切りによるベルト破損を防止することに効果がある。
【0026】
図2に示すように、ベルト駆動部の一例であるベルト駆動モータ634は、無端状のベルト部材の一例である中間転写ベルト606を可変の回転速度で駆動する。ステアリングローラ605は、中間転写ベルト606を張架して傾動可能に配置される。ステアリング駆動部の一例であるステアリングカム駆動モータ624は、ステアリングローラ605を可変の傾動速度で傾動させる。ステアリング制御手段の一例である制御部50は、ステアリングカム駆動モータ624を制御して、回転する中間転写ベルト606の寄り移動を抑制する。
【0027】
中間転写ユニット200は、無端ベルト状の中間転写ベルト606を搬送する。中間転写ベルト606は、駆動ローラ604、対向ローラ603、アイドラローラ621、ステアリングローラ605等、複数のローラ部材によって内周面を保持して張架される。駆動ローラ604は、中間転写ベルト606を回転駆動する。ベルト駆動モータ634は、駆動ローラ604を回転駆動して、中間転写ベルト606を矢印R2方向に回転速度Vで走行させる。ステアリングローラ605は、中間転写ベルト606の走行駆動時に、背面側の端部を昇降させて傾動することによって、中間転写ベルト606が斜めに走行するベルト寄りを修正する役割を担う。
【0028】
図3に示すように、ステアリングアーム8と軸受け部622との間に付勢バネ625が介装され、固定アーム9と軸受け部623との間に付勢バネ626が介装される。付勢バネ625、626は、ステアリングローラ605を中間転写ベルト606の張架面に対して交わる方向に付勢して保持する。これにより、ステアリングローラ605は、テンションローラの役割も同時に兼ねて、中間転写ベルト606に所定の張力を付与している。
【0029】
図2に示すように、感光ドラム608y、608m、608c、608bkに接するトナー像の一次転写面とステアリングローラ605との間にアイドラローラ621が配置される。アイドラローラ621は、ステアリングローラ605の傾動に伴って、一次転写面が大きく変動しないように抑制している。一次転写面は、図1に示す一次転写ローラ(607y等)によるニップ部に位置する中間転写ベルト606のベルト面である。
【0030】
中間転写ベルト606のベルトエッジ位置に対応させて、中間転写ベルトユニット200にエッジ検知センサ1が設けられている。エッジ検知センサ1は、中間転写ベルト606の搬送方向に直行する方向の位置を検知する。エッジ検知センサ1は、ベルト端部に接触するアーム式の接触子が倒れた量をギャップセンサにより検出して、端部の移動量(すなわち中間転写ベルト606の寄り量)に相当する電圧信号を出力する。なお、リニアイメージセンサ、フォトインタラプタ、超音波測距センサ等を用いてもよい。
【0031】
制御部50は、エッジ検知センサ1によって検出されたベルト寄り量に応じてステアリングローラ605の傾動角度をリアルタイムに変更することにより、中間転写ベルト606を寄り制御する。制御部50は、エッジ検知センサ1によって検出されたベルト寄り量を相殺しつつ、ベルト寄り速度を0に収束させるように、ステアリングローラ605の傾動角度を刻々と変化させる。
【0032】
図3に示すように、ステアリングローラ605は、回転軸線方向の両端部をステアリング機構201によって支持される。ステアリング機構201は、中間転写ベルト606のベルト張架面と交わる方向にステアリングローラ605を傾動させて、他のローラ部材とステアリングローラ605の平行度を逐次変化させる。
【0033】
ステアリングローラ605は、両端の軸受け部622、623によって回転自在に支持される。背面側の軸受け部622は、揺動可能に取り付けられたステアリングアーム8の揺動端に抱えられ、ステアリングアーム8の揺動に応じて昇降する。正面側の軸受け部623は、固定アーム9に保持されて、ステアリングローラ605を傾動可能に固定高さ位置で支持する。
【0034】
ステアリングアーム8は、不図示の引っ張りバネによってステアリングカム5のカム面に向かって常時付勢されているので、ステアリングカム5のカム面に当接し続け、ステアリングカム5の回転角度に応じて回動端を昇降させる。ステアリングローラ605のアライメントの可変範囲は、ステアリングカム5のカムプロファイルおよび回動中心4からステアリングローラ605までの距離によって決まる。
【0035】
ステアリングカム5は、ステアリングローラ605の固定側の軸受け部623を基準にして他端の軸受け部622を可動させることで、その軸アライメントを崩すようにステアリングローラ605を傾動させる。ステアリングカム5は、ステアリングカム駆動モータ624の軸上に取り付けられて、任意に角度位置を制御可能である。
【0036】
ステアリングカム駆動モータ624は、パルスモータで構成される。制御部50は、パルスモータに供給するパルス周波数を変更することによりステアリングローラ605の傾動速度を設定する。ステアリングカム駆動モータ624は、パルスモータ(ステッピングモータ)であるから、回転速度が供給するパルスの周波数(パルスレート)によって切り替わる。ステアリングカム駆動モータ624は、パルスモータ(ステッピングモータ)であるから、ステアリングローラ605を傾動させた状態でその傾動角度を保持することができる。
【0037】
制御部50は、ステアリングカム駆動モータ624に供給するパルスの周波数を複数段階に切り替えることで、ステアリングローラ605の傾動角速度を変更する。制御部50は、エッジ検知センサ1の出力に基づいて中間転写ベルト606の寄り移動を検出し、寄り移動の修正に要する最大ステアリング量などから、ステアリングローラ605の刻々のアライメント量に最適な値を割り付ける。
【0038】
<原点位置の検出>
図4はステアリングローラのホームポジション設定の説明図である。図5はステアリングローラの傾動量の説明図である。図5では、図を見やすくするために、中間転写ベルト606をその前側端部606F、後側端部606Rの曲線のみで表示している。
【0039】
図4の(a)に示すように、ステアリングカム5には、ステアリングカム5と一体に回転するフラグ900が設けられている。中間転写ユニット200には、図4の(b)に示すように、ステアリングカム5がホームポジションから所定角度の位置にあるときに、フラグ900によって遮光される光学センサであるHPセンサ901が設けられている。
【0040】
図3に示すように、ステアリングカム駆動モータ624は、HPセンサ901がフラグ900を検出した位置を基準にしてモータ駆動パルス数を管理されることによって、図4の(a)に示すホームポジションへ位置決められる。そして、図4の(a)に示すホームポジションを基準にして、モータ駆動パルス数を管理されることによって、CW方向、CCW方向の任意の角度位置へ回転制御される。
【0041】
図5の(a)に示すように、ステアリングローラ605をホームポジションに位置決めて中間転写ベルト606が起動されて、ステアリングローラ605による中間転写ベルト606の寄り制御が開始される。
【0042】
図5の(b)に示すように、中間転写ベルト606に寄り量が発生すると、ステアリングカム5が回転してステアリングアーム8が揺動してステアリングローラ605が傾動する。制御部50は、ステアリングローラ605の移動量を任意に制御しながら揺動する。
【0043】
<速度切り替え>
中間転写ベルト606の寄り制御においては、ステアリング動作時に中間転写ベルト606とステアリングローラ605の間に摺動が発生する。このため、中間転写ベルト606とステアリングローラ605の摩擦力によって、ベルト面やステアリング機構にストレスを与え、転写画像の乱れや、ステアリング制御性の低下を招く場合があった。
【0044】
このような摺擦摩擦力は、そのまま、ステアリング機構への負荷になるため、摺擦摩擦力が大きく、ステアリング機構の剛性が低い場合には、ステアリング制御性の低下を招くことになる。このため、ステアリング機構の剛性は、この摺擦抵抗力が大きくなることを想定して確保する必要がある。
【0045】
画像形成装置60では、普通紙への画像形成では300mm/secのプロセススピードを設定するが、厚紙への画像形成では、定着を最適化するために、150mm/secのプロセススピードを設定する。この場合、厚紙モード等、低速モードにおいて摺擦摩擦力が大きくなる傾向がある。
【0046】
そして、摺擦摩擦力の増大は、ステアリング機構の補強、ステアリングカム駆動モータ624の大型化、消費電力の増大を招いて、ステアリング機構のコストアップや大型化につながっていた。
【0047】
そこで、実施例1では、無端状のベルト部材を搬送するベルト搬送機構において、少なくとも1つのステアリングローラ平行度を逐次変化させるステアリング機構において、ステアリングローラの傾斜速度を可変にした。傾斜速度を、ベルト部材の搬送速度が遅い画像形成モードにおいては、遅く設定する。
【0048】
そして、ベルト搬送が停止している状態でステアリングローラを傾斜させる場合には、さらに傾斜速度を遅く設定するとともに、ベルト搬送を開始する前に、ステアリングローラの傾斜角度を傾斜前の位置に戻して、ステアリング機構の応力を解除している。
【0049】
<実施例1>
図6は実施例1のベルト搬送制御のブロック図である。図7は実施例1のベルト搬送制御のフローチャートである。図8はホームポジション検出制御のフローチャートである。図9はベルト寄り制御のフローチャートである。
【0050】
図3に示すように、制御部50は、エッジ検知センサ1の出力に基づいてステアリングカム駆動モータ624を制御して中間転写ベルト606の寄り制御を実行する。制御部50は、中間転写ベルト606の回転速度が低いほどステアリングローラ605の傾動速度を低く設定する。
【0051】
(ベルト搬送制御)
図2に示すように、第一モードの一例である標準速モードでは、中間転写ベルト606を第一回転速度で回転させて普通紙に画像形成を実行可能である。第二モードの一例である1/2速モードでは、中間転写ベルト606を第一回転速度よりも低い第二回転速度で回転させて厚紙に画像形成を実行可能である。制御部50は、1/2速モードにおけるステアリングローラ605の傾動速度を標準速モードにおけるステアリングローラ605の傾動速度よりも低く設定する。
【0052】
図6を参照して図7に示すように、制御部50は、画像形成装置60に画像形成ジョブが指示されると(S800)、ステアリングカム駆動モータドライバ701に対し、パルスモータ駆動のパルスレート600ppsを設定する(S801)。
【0053】
制御部50は、続いて、ステアリングカム5の絶対位置を確定するため、ステアリングカムHPサーチ動作を実行する(S802)。このため、画像形成ジョブの待機中にステアリングカム5の回転位相が不確定になっても、起動時には必ず回転位相の確定を行うので、ステアリングカム駆動モータ624の励磁電流を待機中は切ることができ、モータの昇温防止や省エネを実現できる。
【0054】
制御部50は、ステアリングカムHPサーチ動作(S802)が終わると、画像形成ジョブで指示された速度モードの判断を行う(S803、S810)。
【0055】
制御部50は、標準速モードの場合(S803のYes)、ステアリングカム駆動モータ624のパルスレートが600ppsに設定されたのち(S804)、中間転写ベルト606は300mm/secで駆動される(S805)。
【0056】
制御部50は、厚紙等の1/2速モードの場合(S810のYes)、ステアリングカム駆動モータ624のパルスレートが300ppsに設定されたのち(S811)、中間転写ベルト606は1/2速の150mm/secで駆動される(S812)。
【0057】
制御部50は、コート紙等の1/3速モードの場合(S810のNo)、ステアリングカム駆動モータ624のパルスレートが200ppsに設定されたのち(S813)、中間転写ベルト606は1/3速の100mm/secで駆動される(S814)。
【0058】
いずれの場合も、中間転写ベルト606が駆動開始されると同時にベルト寄り制御が開始される(S806)。
【0059】
その後、1枚目の記録材に画像形成がされる(S807)。2枚目の記録材の以降も画像形成の指示が入っている場合(S808のYes)、S803のステップに戻って、記録材Pごとに変速をしながら同じ動作が繰り返される。最終シートの画像形成が終われば(S808のNo)、中間転写ベルト606の駆動を停止して終了する(S809)。
【0060】
実施例1のベルト搬送制御では、厚紙モード(低速モード)時の中間転写ベルト606の寄り制御におけるステアリングローラ605と中間転写ベルト606の間の摺擦摩擦力を、普通紙モード(標準速モード)と同程度に抑えることができる。このため、中間転写ユニット200やステアリングアーム8の構造を変更して剛性を高める必要が無い。構造変更によるコストアップや中間転写ユニット200の大型化を回避できる。
【0061】
(ホームポジション検出制御)
図2に示すように、第一モードの一例である標準速モードでは、中間転写ベルト606を第一回転速度で回転させて記録材に画像形成する。第二モードの一例であるホームポジション検出制御では、中間転写ベルト606の起動に先立たせて、中間転写ベルト606の停止状態でステアリングローラ605を傾動させてステアリングローラ605の原点位置を検出する。
【0062】
制御部50は、ホームポジション検出制御におけるステアリングローラ605の傾動速度を標準速モードにおけるステアリングローラ605の傾動速度よりも低く設定する。制御部50は、ホームポジション検出制御でステアリングローラ605の原点位置を検出した後に傾動角度を傾動開始前の角度に戻して中間転写ベルト606を起動させる。
【0063】
図6を参照して図8に示すように、制御部50は、ステアリングカムHPサーチが指示されると(S830)、サーチ時のカムの移動量をカウントする変数であるサーチ駆動パルス数Nを0に設定する(S831)。このとき、中間転写ベルト606は0mm/secの停止状態であるため、ステアリングカム駆動モータ624のパルスレートは厚紙モードよりも低い50ppsに設定される。
【0064】
図4の(a)に示すように、制御部50は、ステアリングカム5の位相が、フラグ900がHPセンサ901を遮光しない位置にある場合(S832のNo)、ステアリングカム5をCCW方向に回転させる(S833)。
【0065】
図4の(b)に示すように、制御部50は、HPセンサ901が遮光されてONになるまで(S835のNo)、1パルスずつ、移動パルス数Nをカウントアップしてステアリングカム5をCCW方向に回転させる(S833、S834)。
【0066】
制御部50は、HPセンサ901がONになると(S835のYes)、その場所をカム位相の絶対位相0とし、カム位相を表す変数(カム位相カウントM)を0に設定する(S836)。
【0067】
制御部50は、絶対位相を見つけたのち、ステアリングカム5はサーチで移動したパルス数Nだけ、サーチ時移動とは逆方向に回転され、サーチ開始前の位置に戻される(S837)。
【0068】
図4の(b)に示すように、制御部50は、サーチ開始時に既にステアリングカム5が、HPセンサ901をONする場所にある場合(S832のYes)、ステアリングカム5をCW方向に回転させる(S839)。
【0069】
制御部50は、HPセンサ901がOFFになるまで(S841のYes)、1パルスずつ、移動パルス数Nをカウントアップしてステアリングカム5をCW方向に回転させる(S839、S840)。制御部50は、HPセンサ901がOFFになると(S841のNo)、その場所をカム位相の絶対位相原点から1パルスCWに回った位置とし、カム位相を表す変数(カム位相カウントM)を1に設定する(S842)。
【0070】
ステアリングカム5のCCW方向の移動可能量は、フラグ900がセンサ901を遮光してONになったのち、さらに移動してOFFにはなれないように規制されている。このようにして、HPサーチ開始時にステアリングカム5がどこの位相にいても、必ず絶対位相原点M=0の点を見つけて、自身の位相を確定することができる。
【0071】
絶対位相を見つけたのち、ステアリングカム5はサーチで移動したパルス数Nだけ、サーチ時移動とは逆方向に回転され、サーチ開始前の位置に戻される(S843)。
【0072】
実施例1のホームポジション検出制御では、パルスレートを厚紙モードよりも低下させることで、ベルト停止状態で行うHPサーチ動作における中間転写ベルト606やステアリングカム駆動モータ624の負荷を軽減できる。また、中間転写ユニット200やステアリングアーム8に発生した応力を解除した状態で中間転写ベルト606を起動するので、起動直後の応力解放によって寄り制御に大きな外乱が発生することを回避できる。ステアリング機構に生ずるストレスを低減できるため、ステアリング機構の剛性アップによるコストアップや装置の大型化を抑制できる。
【0073】
(ベルト寄り制御)
図3に示すように、制御部50は、エッジ検知センサ1の出力に基づいてステアリング機構201による中間転写ベルト606の寄り制御を実行する。
【0074】
図6を参照して図9に示すように、制御部50は、ステアリング機構201によるベルト寄り制御が開始されると(S860)、エッジ検知センサ1のベルトエッジ位置データを取得する(S861)。
【0075】
制御部50は、予め設定された目標エッジ位置との差分を算出して(S862)、所謂PID制御の演算則に従って、ステアリングカム5の目標位相を算出する(S863)。
【0076】
制御部50は、その目標位相までステアリングカム5を回転させる駆動指令を、ステアリングカム駆動モータドライバ701に送信する(S864)。
【0077】
制御部50は、中間転写ベルト606が駆動動作している間(S865のYes)、所定の制御間隔でS861からS864までの制御を繰り返している。
【0078】
画像形成ジョブや各種画像調整モードが終了すると(S865のNo)、ベルト駆動モータドライバ701へ駆動停止指令が送信されて(S866)、中間転写ベルト606が停止する(S867)。このようにして、中間転写ベルトが駆動されている間は、ステアリングローラ605を用いた寄り制御が実行されて中間転写ベルト606の寄り切りが防止される。
【0079】
<ステアリングローラ傾動速度制御の効果>
図10は寄り制御におけるステアリングローラの傾動軌跡の説明図である。図11は実施例1のステアリングローラの傾動速度制御の説明図である。図12は実施例1の各モードにおけるステアリング負荷の説明図である。図13は比較例のステアリングローラの傾動速度制御の説明図である。図14は比較例の各モードにおけるステアリング負荷の説明図である。
【0080】
図10の(a)に示すように、寄り制御時のステアリングローラ605の傾動軌跡が形成される。ステアリング機構201により、ステアリングローラ605が傾動されると、ベルト部材の周長一定という拘束条件から略図の楕円軌跡c上に沿ってステアリングローラ605の端部が移動する。前後のローラ部材(621、603)を焦点とする楕円の上では、ローラ部材(621、603)からのベルト部材の張架長が一定という関係が成立している。
【0081】
図10の(b)に示すように、ステアリングローラ605に楕円軌跡c上に沿った傾斜量sを与えると、ステアリングローラ605の端部は、位置605Fへ移動する。その際、ローラ部材(621、603:図10(a))からのベルト周長は一定であるが、ステアリングローラ605の端部の位置がその中で変わっているため、次式の距離だけベルト内面とステアリングローラが摺動する必要がある。
D−D’=ε
【0082】
目標ステアリング傾斜量sを得るためにステアリングカム駆動のパルスモータが駆動される。上述したように、実施例1のステアリングカム駆動モータ624のパルスレートは、以下のとおりである。
普通紙 :標準速モード :600pps
厚紙 :1/2速モード:300pps
コート紙:1/3速モード:200pps
【0083】
図11に示すように、実施例1では、このようなパルスレートの切り替えによって、目標ステアリング傾斜量sまでステアリングローラ605の端部が動くのに要する時間がT1、T2、T3のようにモードごとに異なる。
【0084】
図12に示すように、実施例1では、ステアリングローラ605がsまで傾斜する時間T1、T2、T3において、ベルト部材は逐次搬送されているため、実際は、ステアリングローラ605はベルト部材上を転がりながらεだけベルト部材と摺擦する。これをベルト部材側から見ると、図12のような軌跡でステアリングローラ605が転がりつつ傾斜している。ベルト部材が転がる距離は各傾斜時間とベルトの搬送速度の積であるから以下のようになる。
L1=T1*300
L2=T2*150
L3=T3*100
【0085】
しかし、図11に示すように、以下の関係が成立している。
T1=1*T1
T2=2*T1
T3=3*T1
【0086】
したがって、以下の関係が成立する。
L1≒L2≒L3
【0087】
一般的に、転がりながら傾斜する物体に生ずる摺動抵抗Fは、転がり距離が小さくて傾斜量が大きいほど大きくなる。
F ∝(L1+ε)/L1
【0088】
このため、実施例1では各モードの摺動抵抗Fは、ほぼ等価となる。
【0089】
図13に示すように、これに対して、比較例として従来技術のステアリング傾斜動作においては、ステアリングカム駆動モータ624のパルスレートは全てのベルト周速で600ppsに設定されている。このため、傾斜量sまでの所用時間も全てのモードでTとなる。
【0090】
図14に示すように、比較例においても、ベルト部材が転がる距離は、各傾斜時間とベルトの搬送速度の積であるから以下のようになる。
L1=T*300
L2=T*150
L3=T*100
【0091】
このため、摺動抵抗Fは、標準速モード、1/2速モード、1/3速モードの順に大きくなる。
(L1+ε)/L1<(L2+ε)/L2<(L3+ε)/L3
【0092】
以上説明したように、比較例が低速モードでステアリング機構201への負荷が増大するのに対し、実施例1では全ての速度モードでステアリング機構201への負荷を略等価にできる。
【0093】
以上説明したように、実施例1においては、ステアリング動作時のベルト部材とステアリングローラの摺動抵抗によるベルト部材やステアリング機構へのストレスを大幅に低減できる。このため、ステアリング機構の大型化やコストアップを招くことなく、好適なベルト寄り制御を実現できる。
【0094】
<実施例2>
実施例2は、実施例1と同一の構成及び制御である。しかし、上述したホームポジション検出制御は、パルスモータ駆動のパルスレートが固定の画像形成装置でも実施できる。ホームポジション検出に伴ってステアリング機構201及び中間転写ユニット200に発生した応力状態を解除する作用効果において、ステアリングローラ605の傾動速度を低く設定することは必須ではなく、以下の(1)、(2)の構成が必須である。
(1)無端状のベルト部材と、前記ベルト部材を張架して傾動可能に配置されたステアリングローラと、前記ステアリングローラの傾動を制御して、回転する前記ベルト部材の寄り移動を抑制するステアリング制御手段とを備える。
(2)前記ベルト部材の停止状態で前記ステアリングローラを傾動させて前記ステアリングローラの原点位置を検出した後に、前記ステアリングローラを原点位置の検出開始前の傾動角度に戻して前記ベルト部材を起動させる起動制御手段を備える。
【0095】
ベルト部材の停止状態でステアリングローラを傾動させて原点位置を検出すると、ステアリング機構201及び中間転写ユニット200が静止摩擦抵抗による応力状態となる。この状態で中間転写ベルト606を起動すると、回転開始直後に応力状態が自律的に解放されて中間転写ベルト606に大きな寄り移動の外乱が発生する。この外乱は、応力状態の解放に伴って収束するため、外乱に応じた寄り制御がされると、起動直後の過剰応答が発生してステアリングローラ605が大きく傾動され、中間転写ベルト606の伸縮やエッジ変形が発生する可能性がある。このような過剰応答を上記(2)の後半の制御によって防止することができる。
【0096】
上述した(1)、(2)の構成に以下の(3)の構成を付加することで、ステアリングローラ605の傾動速度を低く設定する構成による作用効果、すなわちホームポジション検出中における中間転写ベルト606の伸縮、エッジ変形の緩和が付加される。
(3)前記ステアリングローラの原点位置を検出する際の前記ステアリングローラの傾動速度は、回転する前記ベルト部材の寄り移動を制御する際の前記ステアリングローラの傾動速度よりも低い。
【0097】
図7のS802に示したステアリングカムHPサーチの動作は、ベルト部材が停止した状態で行われる。これは、ステアリングカム5の位相が確定する前にベルト部材を搬送させると、ステアリングカム5の位相状態によってはベルトが急激に寄って、寄り切りを招く可能性があるためである。ただ、ベルト部材が停止した状態でのステアリングローラ605の傾動動作はベルト部材側からみると、図14の1/3速モードよりもさらに急激な転がり傾斜となり、非常に大きなストレスをベルト部材やステアリング機構201に与えることになる。このため、実施例1のステアリングカムHPサーチ動作においては、S837、S843において、ステアリングカム5の位相確定後、サーチ前のステアリングカム位相に戻す動作を入れている。これにより、従来、ベルト部材がどちらにも寄らないようなカム位相に戻していたのに比較して、HPサーチによるストレスを低減した状態で、ベルト搬送を始めることができる。ベルト部材が駆動されれば、ステアリング制御の中でステアリングカム5は好適な位置に戻っていき落着くことになる。
【0098】
<従来技術との比較>
特許文献1に示されるように、ステアリングローラ605の傾動軌跡を規制することで、ベルト面やステアリング機構へのストレスを軽減することが可能である。
【0099】
しかし、PI等の樹脂ベルトや定着ベルト等の金属ベルトにおいては、ベルト部材の伸縮が少ないために、ステアリング動作時においても、ベルト部材の周長は一定という拘束条件に支配される。ステアリング動作は、本質的にベルト部材の前側と奥側で張架断面形状を変化させるため、ベルト部材の周長一定という拘束条件下においては、どこかの張架ローラとベルト部材との間では必ず摺擦が生じる。それに伴いベルト張架面やステアリング機構へストレスを発生させることになる。
【0100】
これは、特許文献1のように特定の張架面へのストレスを低減させるような傾動軌跡の規制を行ってもベルトの張架全周で見た場合には同様である。例えば、特許文献1の図8のように傾動軌跡の規制を行えば、特許文献1の図4に比べて面230の周長変化が小さいため、ローラ231とベルトの摺擦は少なくなる。しかし、一方で、この規制によって生じる周長変化は特許文献1の図1のテンションローラ1Cで吸収されるため、ローラ1eとベルト面2の摺擦が大きくなる。
【0101】
したがって、特許文献1に示される構成では、実施例1、2において解決されている低速モードの課題を解決できない。
【符号の説明】
【0102】
1 エッジ検知センサ、4 回動中心、5 ステアリングカム
8 ステアリングアーム、50 制御部
200 中間転写ユニット、201 ステアリング機構
604 駆動ローラ、605 ステアリングローラ
606 中間転写ベルト、622、623 軸受け部
624 ステアリングカム駆動モータ、634 ベルト駆動モータ
701 ステアリングカム駆動モータドライバ
702 ベルト駆動モータドライバ
703 記憶手段、613y、613m、613c、613bk 画像形成部
603 二次転写内ローラ、604 駆動ローラ、605 ステアリングローラ
606 中間転写ベルト、608y、608m、608c、608bk 感光ドラム
610y 現像装置、611y 露光装置、900 フラグ
901 ステアリングカムHPセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材を可変の回転速度で駆動するベルト駆動部と、
前記ベルト部材を張架して傾動可能に配置されたステアリングローラと、
前記ステアリングローラを可変の傾動速度で傾動させるステアリング駆動部と、
前記ステアリング駆動部を制御して、回転する前記ベルト部材の寄り移動を抑制するステアリング制御手段と、を備え、
前記ステアリング制御手段は、前記ベルト部材の回転速度が低いほど前記ステアリングローラの傾動速度を低く設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ベルト部材を第一回転速度で回転させて記録材に画像形成する第一モードと、
前記ベルト部材の起動に先立たせて、前記ベルト部材の停止状態で前記ステアリングローラを傾動させて前記ステアリングローラの原点位置を検出する第二モードと、を実行可能であって、
前記ステアリング制御手段は、前記第二モードにおけるステアリングローラの傾動速度を前記第一モードにおけるステアリングローラの傾動速度よりも低く設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第二モードは、前記ステアリングローラの原点位置を検出した後に傾動角度を傾動開始前の角度に戻して前記ベルト部材を起動させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ベルト部材を第一回転速度で回転させて普通紙に画像形成する第一モードと、
前記ベルト部材を前記第一回転速度よりも低い第二回転速度で回転させて厚紙に画像形成する第二モードと、を実行可能であって、
前記ステアリング制御手段は、前記第二モードにおけるステアリングローラの傾動速度を前記第一モードにおけるステアリングローラの傾動速度よりも低く設定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ステアリング駆動部は、パルスモータで構成され、
前記ステアリング制御手段は、前記パルスモータに供給するパルス周波数を変更してステアリングローラの傾動速度を設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材を張架して傾動可能に配置されたステアリングローラと、
前記ステアリングローラの傾動を制御して、回転する前記ベルト部材の寄り移動を抑制するステアリング制御手段と、
前記ベルト部材の停止状態で前記ステアリングローラを傾動させて前記ステアリングローラの原点位置を検出した後に、前記ステアリングローラを原点位置の検出開始前の傾動角度に戻して前記ベルト部材を起動させる起動制御手段と、を備え、
前記ステアリングローラの原点位置を検出する際の前記ステアリングローラの傾動速度は、回転する前記ベルト部材の寄り移動を制御する際の前記ステアリングローラの傾動速度よりも低いことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−71820(P2013−71820A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212530(P2011−212530)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】