説明

画像形成装置

【課題】転写ニップへの転写材先端突入後に生じるベルト像担持体の速度変動を低減できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の張架ローラによって張架されたベルト像担持体と、ベルト像担持体を介して複数の張架ローラの1つと対向し、ベルト像担持体のおもて面と転写ニップを形成する転写ローラと、装置本体に対して変位可能に設けられ転写ローラを回転可能に支持する転写ローラ支持部材と、転写ローラ支持部材をベルト像担持体に向かって付勢する付勢手段と、装置本体と転写ローラ支持部材とのうち、一方に変位可能に設けられた突き当て部材と、他方に設けられ突き当て部材が突き当てられる被突き当て部材とを備えた画像形成装置において、被突き当て部材の突き当て部材と突き当たる部分が弾性部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光体ドラム上に形成された画像をベルト像担持体である中間転写ベルト上に一次転写し、中間転写ベルト上の画像を転写材である用紙に二次転写する中間転写方式の画像形成装置が知られている。この中間転写方式の画像形成装置においては、複数の張架ローラによって張架されながら無端移動せしめられる中間転写ベルトに突発的な速度変動が生ずると、感光体ドラムから一次転写部で中間転写ベルト上に転写された画像が伸び縮みしてしまう。そのため、感光体ドラムから中間転写ベルト上に転写された画像に、一定の画像濃度であるべき部分に濃淡が生じる。また、中間転写ベルトに対して互いに異なる色の画像を順次重ね合わせて転写する多色画像形成装置においては、中間転写ベルトの速度変動によって色ズレが発生してしまう。
【0003】
上述の突発的な中間転写ベルトの速度変動は、二次転写ローラと、中間転写ベルトを介して二次転写ローラと対向する二次転写対向ローラとで形成した二次転写ニップに用紙を通紙した場合などに発生する。
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置では、回動軸を中心に装置本体に対して回動可能な転写ローラ支持部材に二次転写ローラが回転可能に保持されている。転写ローラ支持部材は、回動軸とは反対側の端部を付勢コイルバネにより中間転写ベルトに向かって付勢されている。これにより、二次転写ローラが二次転写対向ローラに近づくように、回動軸を中心に転写ローラ支持部材が回動し、二次転写ローラが二次転写ローラに押し当てられて二次転写ニップが形成される。このとき付勢コイルバネによる付勢力の全てが二次転写ニップでのニップ圧となり、これが良好な転写を行える正規のニップ圧である。
【0005】
また、装置本体側には偏心カムが回転可能に設けられており、この偏心カムを回転させて転写ローラ支持部材側に設けられた被突き当て部材に突き当てることで、付勢コイルバネの付勢力に抗して転写ローラ支持部材が押し下げられる。これにより、二次転写ローラが二次転写対向ローラから遠ざかるように、転写ローラ支持部材が回動し、二次転写ローラと二次転写対向ローラとの軸間距離が広げられる。このように、前記軸間距離が広げられるとともに、被突き当て部材に偏心カムを突き当てることで付勢コイルバネの付勢力に抗する力が生じるため、付勢コイルバネによる転写ローラ支持部材への付勢力が低減し、二次転写ニップのニップ圧が正規のニップ圧よりも低減する。
【0006】
そして、二次転写ニップに用紙が突入する前に、前述のようにして二次転写ニップのニップ圧を正規のニップ圧よりも低減させることで、二次転写ニップへの用紙先端突入時に二次転写対向ローラに加わる負荷トルクが小さくなる。これにより、二次転写ニップのニップ圧が正規のニップ圧の場合よりも、二次転写対向ローラに加わる負荷トルクが小さくなる分、二次転写ニップへの用紙先端突入時の中間転写ベルトの速度変動を低減させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
二次転写ニップへ用紙の先端が突入した後は、二次転写ニップが用紙の厚さ分だけ押し広げられ、二次転写ローラが二次転写対向ローラから遠ざかるように転写ローラ支持部材が回動する。また、このように転写ローラ支持部材が回動することで、転写ローラ支持部材の回動に連動して、被突き当て部材も偏心カムから遠ざかるように移動し偏心カムと被突き当て部材とが離間する。これにより、被突き当て部材に偏心カムを突き当てることで生じていた付勢コイルバネの付勢力に抗する力が無くなり、その分、二次転写ローラが中間転写ベルトに押し付けられ、二次転写ニップのニップ圧が上昇して正規のニップ圧になる。
【0008】
しかしながら、二次転写ニップへ用紙の先端が突入した後、すぐに偏心カムと被突き当て部材とが離間するとニップ圧が急上昇してしまい、二次転写対向ローラに負荷トルクが急激に加わって中間転写ベルトに大きな速度変動が発生するといった問題が生じる。
【0009】
これまで、装置本体側に偏心カムを設け転写ローラ支持部材に被突き当て部材を設けた場合について説明したが、転写ローラ支持部材側に偏心カムを設け転写ローラ支持部材に被突き当て部材を設けた場合でも、上述したのと同様の問題が生じる。
【0010】
また、ベルト像担持体が感光体ベルトであり感光体ベルト上のトナー像を転写部で用紙に直接転写する直接転写方式の画像形成装置であっても、前記転写部で同様の問題が生じ得る。この場合は、用紙の先端が転写部に突入した後に、感光体ベルトの速度変動が生じる。この感光体ベルトの速度変動により、潜像を形成する露光光の照射タイミングと感光体ベルト表面が露光位置を通過するタイミングにズレが生じ、感光体ベルト上に形成される潜像の位置ズレが生じるという不具合が発生し得る。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、転写ニップへの転写材先端突入後に生じるベルト像担持体の速度変動を低減できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の張架ローラによって張架されながら無端移動せしめられるループ状のベルト像担持体と、前記ベルト像担持体を介して前記複数の張架ローラの1つと対向し、該ベルト像担持体のループ外側面であるおもて面と転写ニップを形成する転写ローラと、装置本体に対して変位可能に設けられ前記転写ローラを回転可能に支持する転写ローラ支持部材と、前記転写ローラ支持部材を前記ベルト像担持体に向かって付勢する付勢手段と、装置本体と前記転写ローラ支持部材とのうち、一方に変位可能に設けられた突き当て部材と、他方に設けられ前記突き当て部材が突き当てられる被突き当て部材とを備え、前記突き当て部材を変位させて前記被突き当て部材に突き当て、前記付勢手段の付勢力に抗して前記転写ローラ支持部材を変位させることにより前記転写ニップのニップ圧を調整する画像形成装置において、前記被突き当て部材の前記突き当て部材と突き当たる部分が弾性部材であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明においては、被突き当て部材の突き当て部材と突き当たる部分が弾性部材であるので、突き当て部材を被突き当て部材に突き当てると前記弾性部材が弾性変形し、突き当て部材の一部が弾性部材に食い込んだ状態となる。これにより、転写材が転写ニップに突入した後、突き当て部材と被突き当て部材とが離間するときに、前記弾性部材の弾性変形が復元する分だけ突き当て部材と被突き当て部材とが緩やかに離間状態に移行していく。よって、転写材が転写ニップに突入した後、すぐに突き当て部材と被突き当て部材とが離間する場合よりも、ニップ圧の上昇が緩やかになり、転写ローラに対向する張架ローラに負荷トルクが急激に加わるのを抑えられ、ベルト像担持体の速度変動を低減できる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、転写ニップへの転写材先端突入後に生じるベルト像担持体の速度変動を低減することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】従来の画像形成装置の概略構成図。
【図3】中転駆動ローラと従動ローラとの速度変動を示す図。
【図4】位置ズレが発生したトナー象が転写された用紙の模式図。
【図5】(a)用紙がプレニップ部に突入した際の力の伝達を示した図、(b)用紙がプレニップ部に突入した際の二次転写ニップ近傍の拡大説明図、(c)用紙がプレニップ部に突入した際の速度変動を説明するグラフ。
【図6】(a)用紙が本ニップ部に突入した際の力の伝達を示した図、(b)用紙が本ニップ部に突入した際の二次転写ニップ近傍の拡大図、(c)用紙が本ニップ部に突入した際の速度変動を説明するグラフ。
【図7】二次転写対向ローラが減速するメカニズムの説明図。
【図8】(a)中間転写ベルトのプレニップ領域が戻る際の力の伝達を示した図、(b)中間転写ベルトのプレニップ領域が戻る際の二次転写ニップ近傍の拡大説明図、(c)中間転写ベルトのプレニップ領域が戻ることによる速度変動を説明するグラフ。
【図9】構成例1における構成の動作の詳細図。
【図10】(a)二次転写部非加圧時の動作の説明図、(b)二次転写部加圧時(減圧制御なし)の動作の説明図、(c)二次転写部加圧時(減圧制御あり)の動作の説明図、(d)用紙突入後(減圧制御あり)の動作の説明図。
【図11】構成例1と従来例とで用紙突入時の従動ローラ速度変動を比較した実験データ。
【図12】ベルト速度変動抑制メカニズムを示す模式図。
【図13】構成例2における構成の動作の詳細図。
【図14】(a)二次転写部非加圧時の動作の説明図、(b)二次転写部加圧時(減圧制御なし)の動作の説明図、(c)二次転写部加圧時(減圧制御あり)の動作の説明図、(d)用紙突入後(減圧制御あり)の動作の説明図。
【図15】構成例3における構成の動作の詳細図。
【図16】(a)二次転写部非加圧時の動作の説明図、(b)二次転写部加圧時(減圧制御なし)の動作の説明図、(c)二次転写部加圧時(減圧制御あり)の動作の説明図、(d)用紙突入後(減圧制御あり)の動作の説明図。
【図17】構成例1と構成例3との違いを説明するのに用いる説明図。
【図18】構成例4における構成の動作の詳細図。
【図19】カム位置切り替え機構の制御回路図。
【図20】モード切り替えのフローチャート。
【図21】用紙厚さ検知を行う場合の構成図。
【図22】レジスト開始前に厚さ検知を行うときの動作フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット100Y,100C,100M,100Bkを備えている。また、機内で転写材である用紙19を搬送するための複数のガイド板からなる用紙搬送路、レジストローラ対9、定着装置15、光書込ユニット(不図示)、及び、転写ユニット50なども備えている。
【0017】
本実施形態の画像形成装置は、4つのプロセスユニット100Y,100C,100M,100Bkを、後述する中間転写ベルト2に対してその無端移動方向に沿って並べた所謂タンデム型の構成になっている。
【0018】
各色のプロセスユニット100Y,100C,100M,100Bkは、それぞれ、潜像担持体たる感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bkと、その周囲に配設される各種装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、プリンタ部本体に対して着脱可能になっている。そして、互いに使用するトナーの色が異なる点以外は同様の構成になっている。
【0019】
Y用のプロセスユニット100Yを例にすると、ベルト像担持体たる感光体ドラム1Yの周囲に、帯電装置103Y、現像装置101Y、ドラムクリーニング装置102Y等を有している。プロセスユニット100Yの感光体ドラム1Yは、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめる。帯電装置103Yは、回転駆動される感光体ドラム1Yの周面をトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめる。図示しない光書込ユニットは、画像情報に基づいて、レーザーダイオードを駆動して、回転中の帯電した感光体ドラム1Yに対して、レーザー光をそれぞれ回転軸線方向に偏向せしめながら照射することで、光走査処理をおこなう。これにより、感光体ドラム1Yには、Y画像情報に基づいた静電潜像が形成される。感光体ドラム1Yとしては、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材の塗布による感光層を形成したドラム状のものを用いている。但し、無端ベルト状のものを用いても良い。
【0020】
現像装置101Yは、図示しない磁性キャリアと非磁性のYトナーとを含有する二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を用いて、感光体ドラム1Y上の静電潜像を現像する。二成分現像剤の代わりに、磁性キャリアを含まない一成分現像剤によって現像をおこなうタイプのものを使用していもよい。
【0021】
現像によって感光体ドラム1Y上に形成されたYトナー像は、後述するY用の一次転写ニップで中間転写ベルト2のおもて面に転写される。このようにしてYトナー像を転写した後の感光体ドラム1Y上に付着している転写残トナーは、ドラムクリーニング装置102Yによって感光体ドラム1Y表面から除去される。このクリーニングに先立って、感光体ドラム1Yの表面は図示しない除電ランプによる光照射を受けて除電される。
【0022】
Y用のプロセスユニット100Yについて説明したが、M,C,Bk用のプロセスユニットにおいても、同様にして感光体ドラム1M,1C,1Bkの表面にM,C,Bkトナー像が形成される。
【0023】
4つのプロセスユニット100Y,100C,100M,100Bkの下方には、転写ユニット50が配設されている。この転写ユニット50は、ベルト像担持体たる中間転写ベルト2を有している。中間転写ベルト2は、中転駆動ローラ3、二次転写対向ローラ5、テンションローラ6、従動ローラ7、入口ローラ4などの張架ローラによって張架されている。この中間転写ベルト2を、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bkに当接させながら、中転駆動ローラ3の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動させる。これにより、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bkと中間転写ベルト2とが当接するY,C,M,Bk用の一次転写ニップが形成されている。
【0024】
Y,C,M,Bk用の一次転写ニップの近傍では、ベルトループ内側に配設された一次転写ローラ54Y,54C,54M,54Bkによって中間転写ベルト2を感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bkに向けて押圧している。これら一次転写ローラ54Y,54C,54M,54Bkには、それぞれ図示しない電源によって一次転写バイアスが印加されている。これにより、Y,C,M,Bk用の一次転写ニップには、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bk上のトナー像を中間転写ベルト2に向けて静電移動させる一次転写電界が形成されている。
【0025】
図中時計回り方向の無端移動に伴ってY,C,M,Bk用の一次転写ニップを順次通過していく中間転写ベルト2のおもて面には、各一次転写ニップでトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト2のおもて面には4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0026】
中間転写ベルト2の図中下方には、当接部材たる二次転写ローラ8が配設されており、中間転写ベルト2における二次転写対向ローラ5に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して二次転写ニップを形成している。これにより、中間転写ベルト2のおもて面と、二次転写ローラ8とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ8の軸中心は、二次転写対向ローラ5の軸中心よりも、用紙搬送方向上流側に位置している。本実施形態においては、二次転写ローラ8を不図示のモータにより図中反時計回りに回転駆動させている。なお、二次転写ローラ8が中間転写ベルト2に対して連れ回る構成でもよい。
【0027】
ベルトループ内の二次転写対向ローラ5には、図示しない電源によってトナーと同極性の二次転写バイアスが印加されている。一方、ベルトループ外の二次転写ローラ8は接地されている。これにより、二次転写ニップ内に二次転写電界が形成されている。
【0028】
二次転写ニップの図中右側方には、レジストローラ対9が配設されている。画像形成に並行して、給紙カセット20から給紙ローラ18により転写材たる用紙19を繰り出し、用紙搬送経路に入れ、搬送ローラ対16,17で搬送してレジストローラ対9に突き当てて止める。
【0029】
レジストローラ対9に挟み込んだ用紙19を中間転写ベルト2上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで二次転写ニップに送り出す。二次転写ニップ内では、中間転写ベルト2上の4色トナー像が二次転写電界やニップ圧の影響によって転写材たる用紙19に一括二次転写され、用紙19の白色と相まってフルカラー画像となる。
【0030】
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト2のおもて面には、二次転写ニップで用紙19に転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト2を介してクリーニング対向ローラ49と対向するベルトクリーニング装置48によってクリーニングされる。
【0031】
二次転写ニップを通過した用紙19は、2つの張架ローラに回転可能に張架された搬送ベルト11により定着装置15に向けて送られる。定着装置15は、定着ローラ13と加熱ローラ14とで張架された定着ベルト21に対して加圧ローラ12を圧接して構成する。定着ベルト21は加熱ローラ14内のIHコイルによって加熱され、画像定着に必要な温度まで加熱される。一方、加圧ローラ12にも内部にヒーターを内蔵しており、待機時の予備加熱に使用している。用紙19上の未定着画像は、定着ベルト21と加圧ローラ12とのニップ部において熱と圧力を与えられ、用紙19に定着される。なお、定着装置15のヒーターはIHコイルを用いたものでなくてもよく、熱ローラ対で構成された方式であっても良い。
【0032】
定着装置15で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、図示しない排紙トレイに排出される。または、図示しない両面反転機構により再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録、定着して後、排紙トレイに排出する。
【0033】
中間転写ベルト2に当接して二次転写ニップを形成している二次転写ローラ8は、金属製の芯金とこれの周面に被覆されたゴム等の弾性部材とを具備している。二次転写ニップでは、中間転写ベルト2における二次転写対向ローラ5に対する掛け回し箇所が、二次転写ローラ8の表面の弾性部材に食い込んでいる。これにより、幅広い二次転写ニップが形成されている。
【0034】
次に、従来の画像形成装置の中間転写ベルト2の課題について説明する。図2は従来の画像形成装置の概略構成図であり、基本的な構成は本実施形態の画像形成装置と略同じなので、その説明は省略する。
【0035】
用紙19が二次転写ニップ部に突入する際、中間転写ベルト2の感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bkに当接する領域(以下、一次転写領域という)を張架する中転駆動ローラ3や従動ローラ7には図3に示すような速度変動が発生する。このような現象は特に厚紙通紙時(ここでは連量220[kg]紙、坪量256[g/m]紙以上を想定している)により顕著に見られる現象である。
【0036】
それに対して、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bkは用紙先端が二次転写ニップ突入時においてもほぼ同速で回転駆動されるので、感光体ドラム1Y,1C,1M,1Bkと中間転写ベルト2との間で速度差が発生する。この速度差によって、一次転写ニップにおいて転写位置ずれが発生する。
【0037】
図4は、単色の画像形成を行った場合に、前述したような転写位置ずれが発生したトナー象が最終画像として転写された用紙19を模式的に示す説明図である。
【0038】
用紙先端の二次転写ニップ突入時に発生した一次転写ニップにおける転写位置ずれを含むトナー像は、一次転写ニップから二次転写ニップまでの距離をLとすると、用紙先端からLの位置で用紙19に転写または転写・定着される。このため、排紙される用紙19上の最終画像には、図4に示すように用紙先端からLの位置に正常な画像の部分I1よりも色が薄い部分I2や色が濃い部分I3という局所的な濃度ムラをもった画像となる。
【0039】
なお、複数色の画像形成を行った場合は、各色で一次転写ニップから二次転写ニップまでの距離が異なるため、各色で用紙先端から濃度ムラまでの距離Lが異なる画像なって出力される。
【0040】
このように、用紙先端の二次転写ニップ突入時に発生する一次転写ニップにおける転写位置ずれを防ぐには、用紙先端の二次転写ニップ突入時における中転駆動ローラ3や従動ローラ7の速度変動を抑制する必要がある。この中転駆動ローラ3や従動ローラ7の速度変動がどのようなメカニズムで発生するのかについて以下に述べる。
【0041】
本実施形態の画像形成装置では、図1に示すように二次転写ローラ8の軸中心が二次転写対向ローラ5の軸中心よりも用紙搬送方向上流側に位置している。このため、中間転写ベルト2の外周面が二次転写ローラ8と当接するニップは、次の2つのニップ部を有する。すなわち、中間転写ベルト2の内周面が二次転写対向ローラ5と接触している二次転写ニップ(以下、本ニップ部という)と、二次転写ニップよりも用紙搬送方向上流側にあり、中間転写ベルト2の内周面が二次転写対向ローラ5と接触していないニップ部(以下、プレニップ部という)とを有している。
【0042】
このように、本実施形態の画像形成装置では、本ニップ部やプレニップ部を有する構成であるため、中転駆動ローラ3や従動ローラ7の速度変動は、大きく分けて以下の3つの変動から成り立っている。
【0043】
<(1)用紙19の先端がプレニップ部に突入することによる速度変動>
図5は、用紙19の先端がプレニップ部に突入した際に生じる速度変動の説明図である。用紙先端がプレニップ部に突入すると、中間転写ベルト2の二次転写ニップ上流側張架面である二次転写対向ローラ5と入口ローラ4との張架領域(以下、プレニップ領域T3という)が内側に押される。中間転写ベルト2のプレニップ領域T3が内側に押されると、プレニップ領域T3の用紙先端との当接部より中間転写ベルト移動方向上流側の部分が、図5(b)に示すように、中間転写ベルト移動方向へ引っ張られる。その結果、図5(b)に示すように、入口ローラ4には中間転写ベルト移動方向と同方向に引っ張る力I2が働き、入口ローラ4に回転方向と同方向のトルクE2が働く。その結果、入口ローラ4が加速する。
【0044】
また、図5(a)の矢印F(2)に示すように、中間転写ベルト移動方向と同方向に引っ張る力I2は、中間転写ベルト2を介して中転駆動ローラ3に伝達され、中転駆動ローラ3に回転方向と同方向のトルクがかかり、図5(c)で太線で示すように中転駆動ローラ3が加速される。そして、最終的には、図5(a)の矢印F(2)に示すように、中間転写ベルト移動方向と同方向に引っ張る力I2が中間転写ベルト2を介して従動ローラ7にまで伝達される。その結果、図5(c)の太線で示すように従動ローラ7が加速される。
【0045】
また、中間転写ベルト2のプレニップ領域T3の用紙先端との当接部より中間転写ベルト移動方向下流側の部分が、中間転写ベルト移動方向とは逆方向へ引っ張られる。その結果、図5(b)に示すように、二次転写対向ローラ5には、中間転写ベルト移動方向とは逆方向に引っ張る力I1が働き、二次転写対向ローラ5には回転方向とは逆方向のトルクE1がかかる。これにより、二次転写対向ローラ5が減速する。
【0046】
また、中間転写ベルト移動方向とは逆方向へ引っ張る力I1は、図5(a)の矢印F(1)に示すように、中間転写ベルト2を介してテンションローラ6や従動ローラ7へ伝達される。伝達経路を考えれば、中間転写ベルト移動方向と同方向へ引っ張る力I2が従動ローラ7へ伝達され従動ローラ7が加速する前に、中間転写ベルト移動方向とは逆方向へ引っ張る力I1により従動ローラ7が減速するはずである。しかしながら、図5(c)を見てみると、中間転写ベルト移動方向とは逆方向へ引っ張る力I1による従動ローラ7の減速が生じていない。これは、本実施形態では、二次転写ローラ8を中転駆動ローラ3とは別のモータで駆動させたため、二次転写ローラ8の回転駆動力によって中間転写ベルト移動方向とは逆方向へ引っ張る力I1を消滅させてしまったためと考えられる。
【0047】
図5(b)に示すように、中転駆動ローラ3が中間転写ベルト移動方向に引っ張られる力I2により加速することで、中間転写ベルト2の一次転写領域T1が加速される。その結果、図4に示すように正常な画像の部分I1よりも色が薄い部分I2が生じるのである。
【0048】
<(2)用紙19の先端が本ニップ部に突入することによる速度変動>
図6は、用紙先端が二次転写ニップたる本ニップ部に突入した際に生じる速度変動の説明図である。
【0049】
用紙19の先端が本ニップ部に突入することによる速度変動は、用紙19の先端が本ニップ部に突入する際に用紙19の先端が二次転写ローラ8を押し下げることによって二次転写対向ローラ5が減速する減少である。
【0050】
ここで、二次転写対向ローラ5が減速するメカニズムについて図7を用いて説明する。図7に示すように、用紙19の先端が本ニップ部に突入するためには、用紙19の先端が、二次転写ローラ8を用紙19の厚さ相当分押し下げる必要がある。
【0051】
図7に示すように二次転写ローラ8は、付勢コイルバネ10bにより図中矢印A方向に付勢されている。二次転写ローラ8を押し下げるには、用紙19の先端が二次転写ローラ8を押し下げる力(図中の矢印B)が、付勢コイルバネ10bの付勢力を上回る必要がある。用紙19の先端の押し下げる力Bは、用紙先端を図中右側へ搬送する搬送力であり、その搬送力は二次転写対向ローラ5の回転駆動力Cである。すなわち、用紙19の先端が二次転写ローラ8に当接したとき二次転写対向ローラ5には、中間転写ベルト2を搬送するためのトルクの他に、用紙先端が二次転写ローラ8を押し下げるのに必要なトルクが生じる。その結果、図6(b)に示すように二次転写対向ローラ5の回転負荷(図中矢印D1)が増加し、二次転写対向ローラ5が減速する。
【0052】
一方、入口ローラ4についても、二次転写対向ローラ5と同様に減速が生じる。これは、用紙19の先端が本ニップ部に突入すると、用紙19の先端が二次転写ローラ8を押し下げるまで用紙19が前に進まないので、中間転写ベルト2と用紙間の摩擦力によるベルト走行負荷J2が生じる。このベルト走行負荷J2により入口ローラ4に回転方向とは逆方向のトルクD2が働き、入口ローラ4も同様に減速する。
【0053】
このベルト走行負荷J2は、図6(a)の矢印(3)に示すように、中間転写ベルト2を介して中転駆動ローラ3へ伝達される。なお、中転駆動ローラ3に伝達されたベルト走行負荷は、中転駆動ローラ3を回転駆動させるモータの駆動力により打ち消されるため、中転駆動ローラ3より中間転写ベルト移動方向上流側の従動ローラ7に伝達されない。
【0054】
二次転写対向ローラ5が減速すると、中間転写ベルト2の二次転写ニップ下流側張架面たる二次転写対向ローラ5と従動ローラ7との張架領域(以下、テンション制御領域T2という)が中間転写ベルト移動方向とは逆方向へ引っ張られ、図6(a)の矢印F(4)に示すように、テンションローラ6や従動ローラ7に中間転写ベルト移動方向とは逆方向の力J1が伝達される。
【0055】
従動ローラ7に中間転写ベルト移動方向とは逆方向へ引っ張る力J1が伝達されると、図6(c)の太線に示すように従動ローラ7が減速する。従動ローラ7が減速することにより、中間転写ベルト2の一次転写領域T1が中間転写ベルト移動方向とは逆方向へ引っ張られ、中転駆動ローラ3に回転方向とは逆方向のトルクがかかる。その結果、図6(c)の太線に示すように中転駆動ローラ3が減速する。
【0056】
このように、従動ローラ7や中転駆動ローラ3が減速する結果、中間転写ベルト2の一次転写領域T1が減速し、図4に示すように正常な画像の部分I1よりも色が濃い部分I3が生じるのである。
【0057】
<(3)用紙先端が本ニップ部に突入した後における中間転写ベルト2のプレニップ領域T3の戻りによる速度変動>
図8は、用紙先端が本ニップ部に突入した後における中間転写ベルト2のプレニップ領域T3の戻りによる変動の説明図である。
【0058】
図8(b)に示すように、用紙先端が二次転写ローラ8を押し下げて本ニップ部へ突入すると、これまで用紙19の先端によって内側に押し込まれていた中間転写ベルト2のプレニップ領域T3が元に戻る。その結果、上記<(1)用紙19の先端がプレニップ部に突入することによる速度変動>とは逆の現象が発生する。
【0059】
すなわち、プレニップ領域T3の用紙先端が中間転写ベルト2を押していた位置よりも中間転写ベルト移動方向下流側では、中間転写ベルト移動方向と同方向に中間転写ベルト2を押し込むような力G1が発生する。
【0060】
一方、プレニップ領域T3の用紙先端が中間転写ベルト2を押していた位置よりも中間転写ベルト移動方向上流側では、中間転写ベルト移動方向とは逆方向に中間転写ベルト2を押し込むような力G2が発生するのである。
【0061】
中間転写ベルト移動方向とは逆方向に中間転写ベルト2を押し込む力G2は、図8(a)の矢印F(6)に示すように、中間転写ベルト2を介して入口ローラ4や中転駆動ローラ3に伝達される。入口ローラ4に中間転写ベルト移動方向とは逆方向に押し込む力G2が生じることで、図8(b)に示すような入口ローラ回転方向とは逆方向のトルクH1が入口ローラ4に生じ、入口ローラ4が減速する。同様に、中転駆動ローラ回転方向とは逆方向のトルクが中転駆動ローラ3に生じ、図8(c)の太線で示すように、中転駆動ローラ3の速度が低下する。
【0062】
一方、中間転写ベルト移動方向と同方向に中間転写ベルト2を押し込む力G1は、図8(a)の矢印F(5)に示すように、中間転写ベルト2を介して二次転写対向ローラ5やテンションローラ6や従動ローラ7に伝達される。二次転写対向ローラ5に中間転写ベルト移動方向とは逆方向に中間転写ベルト2を押し込む力G1が伝達されると、図8(b)で示すように、二次転写対向ローラ5に回転方向と同方向のトルクH2が生じ、二次転写対向ローラ5が加速する。同様に、従動ローラ回転方向と同方向のトルクが従動ローラ7に生じ、図8(c)の太線で示すように、従動ローラ7の速度が増加する。
【0063】
本発明は、用紙突入前にあらかじめニップ圧を減らすことができるので、用紙先端が本ニップに噛み込むことで発生するベルトの速度変動を抑制するものである。ただし、偏心カムと被突き当て部材との間に変形はほぼないため、用紙突入後、すぐに偏心カムと被突き当て部材が離間してしまう。そのため、ステップ的にニップ圧が急上昇し、抑制効果は小さくなってしまう。
【0064】
[構成例1]
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図9は本構成例における構成の全体図である。
装置本体側に偏心カム32が回転可能に設けられており、その偏心カム32に対向させてゴムパッド46を二次転写ユニット10に設置している。そして、偏心カム32を駆動制御することで、ゴムパッド46に対して偏心カム32を接離させることができ、ゴムパッド46に対する偏心カム32の突き当て量によって、二次転写部の転写ニップ圧を調整できる構成となっている。
【0065】
<二次転写部非加圧時>
二次転写部非加圧時では、図10(a)に示すように、偏心カム32を回転駆動させて二次転写ユニット10に設置したゴムパッド46に偏心カム32を押し当てる。これにより、二次転写ユニット10に設けられた二次転写ユニット回転支点43を中心に二次転写ユニット10が押し下げられるように回動し、中間転写ベルト2から二次転写ローラ8が離間して二次転写部を非加圧状態にすることができる。なお、偏心カム32とゴムパッド46との接触部分では、偏心カム32に押されてゴムパッド46が弾性変形し凹んでおり、ゴムパッド46に偏心カム32の一部が食い込んだ状態となっている。
【0066】
<二次転写部加圧時(減圧制御なし)>
減圧制御を行わない場合で二次転写部加圧時では、図10(b)に示すように、二次転写ユニット10に設置したゴムパッド46と偏心カム32とが接触しない位置まで偏心カム32を回転させる。これにより、二次転写ユニット10を引張りバネ44の引張り力によって二次転写ユニット回転支点43を中心に図中反時計回りに回転させ、中間転写ベルト2に二次転写ローラ8を押し当てることができる。また、このとき引張りバネ44による引張り力の全てが二次転写部での転写ニップ圧となり、これが正規の転写ニップ圧である。
【0067】
<二次転写部加圧時(減圧制御あり)>
減圧制御を行う場合、言い換えれば、前述した正規の転写ニップ圧に対して所定量減圧させる場合で二次転写部加圧時では、図10(c)に示すように、偏心カム32を所定量回転させて二次転写ユニット10に設置したゴムパッド46に偏心カム32を押し当てる。これにより、二次転写ユニット回転支点43を中心に二次転写ユニット10が押し下げられるように回動し、偏心カム32とゴムパッド46との間で生じる接触圧分だけ引張りバネ44による引張り力が低減し、二次転写部の転写ニップ圧が正規の転写ニップ圧よりも減少する。
【0068】
<用紙突入後(減圧制御あり)>
用紙先端が二次転写部に突入し用紙19が二次転写部を通過すると、図10(d)に示すように、二次転写ユニット10が紙厚相当分押し下げられる。これにより、二次転写ユニット10が二次転写ユニット回転支点43を中心に押し下げられるように回動し、偏心カム32とゴムパッド46とが離間する。このように、偏心カム32とゴムパッド46とが離間することで、二次転写部に用紙突入後の転写中の転写ニップ圧は、減圧状態から正規の転写ニップ圧に戻る。
【0069】
上記構成において、厚紙通紙による用紙突入時ベルト速度変動を抑制したい場合は、図10(c)に示すように、厚紙通紙前に転写ニップ圧の減圧制御を実施し、あらかじめ転写ニップ圧を減少させておく。これにより、用紙突入時の転写ニップ圧は正規の転写ニップ圧よりも小さいため、用紙噛み込み時に発生する負荷トルクは小さくなり、本ニップ突入変動は減少する。用紙突入後は、図10(d)に示すように偏心カム32とゴムパッド46とが離間するため、二次転写部の転写ニップ圧が正規のニップ圧に戻り、十分な転写ニップ圧で中間転写ベルト2上から用紙19に画像を転写することができる。
【0070】
一方、普通紙等の用紙突入によるベルト速度変動が小さい場合は、減圧制御を行わなくても良い。その場合は、図10(b)に示すように、通紙前に偏心カム32をゴムパッド46に接触しない位置まで回転させ、引張りバネ44による引張り力が全て転写ニップ圧となるようにする。
【0071】
<シミュレーションによる抑制効果>
図11は、二次転写ユニット10に設置され偏心カム32を突き当てる被突き当て部材を板金とした場合(従来例)と、二次転写ユニット10に設置され偏心カム32を突き当てる被突き当て部材をゴムパッド46とした場合(本構成例)とについて、二次転写部用紙突入時の従動ローラ速度変動を計算し、比較したものである。なお、ゴムパッド46のゴム硬度をAsker−C30[°]としており、坪量300[g/m]の用紙19を通紙した場合の結果である。
【0072】
従動ローラの速度の落ち込み変動は、本構成例だけではなく従来例でもほぼ同様に抑制できている。ところが、オーバーシュートは、現状(def)よりも従来例の方が悪化していることがわかる。一方、本構成例では、従来例よりもオーバーシュートを約42[%]抑制できており、十分な効果が得られていることがわかる。
【0073】
図12(a)は従来例における転写ニップ圧とベルト速度変動との関係を説明するのに用いる説明図であり、図12(b)は本構成例における転写ニップ圧とベルト速度変動との関係を説明するのに用いる説明図である。
【0074】
従来例では、二次転写ユニット10に設けられた板金42と偏心カム32との接触部分で板金42に変形がほぼないため、用紙19が二次転写部に突入した直後に偏心カム32と板金42とが離間状態となる。そのため、転写ニップ圧はステップ的に急上昇し、二次転写対向ローラ5に負荷トルクが急激に加わってベルト速度変動が特にオーバーシュート部で大きくなる。
【0075】
一方、本構成例では、偏心カム32とゴムパッド46との接触部分でゴムパッド46が弾性変形するため、用紙19が二次転写部に突入後、ゴムパッド46の弾性変形が復元する分だけ偏心カム32とゴムパッド46とが緩やかに離間状態に移行していく。そのため、転写ニップ圧の上昇が従来例に比べて緩やかになり、二次転写対向ローラ5に負荷トルクが急激に加わるのを抑えられ、ベルト速度変動が特にオーバーシュート部で抑制される。
【0076】
[構成例2]
図13は本構成例における構成の全体図である。
二次転写ユニット10に偏心カム32が回転可能に設けられており、その偏心カム32に対向させてゴムパッド46を装置本体側板51に設置している。そして、偏心カム32を駆動制御することで、ゴムパッド46に対して偏心カム32を接離させることができ、ゴムパッド46に対する偏心カム32の突き当て量によって、二次転写部の転写ニップ圧を調整できる構成となっている。
【0077】
<二次転写部非加圧時>
二次転写部非加圧時では、図14(a)に示すように、偏心カム32を回転駆動させて装置本体側板51に設置したゴムパッド46に偏心カム32を押し当てる。これにより、二次転写ユニット10に設けられた二次転写ユニット回転支点43を中心に二次転写ユニット10が押し下げられるように回動し、中間転写ベルト2から二次転写ローラ8が離間して二次転写部を非加圧状態にすることができる。なお、偏心カム32とゴムパッド46との接触部分では、偏心カム32に押されてゴムパッド46が弾性変形し凹んでおり、ゴムパッド46に偏心カム32の一部が食い込んだ状態となっている。
【0078】
<二次転写部加圧時(減圧制御なし)>
減圧制御を行わない場合で二次転写部加圧時では、図14(b)に示すように、装置本体側板51に設置したゴムパッド46と偏心カム32とが接触しない位置まで偏心カム32を回転させる。これにより、二次転写ユニット10を引張りバネ44の引張り力によって二次転写ユニット回転支点43を中心に図中反時計回りに回転させ、中間転写ベルト2に二次転写ローラ8を押し当てることができる。また、このとき引張りバネ44による引張り力の全てが二次転写部での転写ニップ圧となり、これが正規の転写ニップ圧である。
【0079】
<二次転写部加圧時(減圧制御あり)>
減圧制御を行う場合、言い換えれば、前述した正規の転写ニップ圧に対して所定量減圧させる場合で二次転写部加圧時では、図14(c)に示すように、偏心カム32を所定量回転させて装置本体側板51に設置したゴムパッド46に偏心カム32を押し当てる。これにより、二次転写ユニット回転支点43を中心に二次転写ユニット10が押し下げられるように回動し、偏心カム32とゴムパッド46との間で生じる接触圧分だけ引張りバネ44による引張り力が低減し、二次転写部の転写ニップ圧が正規の転写ニップ圧よりも減少する。
【0080】
<用紙突入後(減圧制御あり)>
用紙先端が二次転写部に突入し用紙19が二次転写部を通過すると、図14(d)に示すように、二次転写ユニット10が紙厚相当分押し下げられる。これにより、二次転写ユニット10が二次転写ユニット回転支点43を中心に押し下げられるように回動し、偏心カム32とゴムパッド46とが離間する。このように、偏心カム32とゴムパッド46とが離間することで、二次転写部に用紙突入後の転写中の転写ニップ圧は、減圧状態から正規の転写ニップ圧に戻る。
【0081】
本構成例におけるベルト速度変動抑制メカニズムについて説明する。本構成例においても構成例1と同じように、偏心カム32とゴムパッド46との接触部分でゴムパッド46が弾性変形するため、用紙19が二次転写部に突入後、ゴムパッド46の弾性変形が復元する分だけ偏心カム32とゴムパッド46とが徐々に離間していく。そのため、転写ニップ圧の上昇が前記従来例に比べて緩やかになり、ベルト速度変動が特にオーバーシュート部で抑制される。
【0082】
[構成例3]
図15は本構成例における構成の全体図である。
本構成例では、ゴムローラ41と、ゴムローラ41を自身の一端側で回転可能に支持するゴムローラ支持部材47とを備えており、入口ローラ軸4aを中心にゴムローラ支持部材47が回動可能になっている。ゴムローラ41は図示しない中間転写ユニット側板間を支持するステイ52に突き当たるようにしている。
【0083】
また、ゴムローラ支持部材47の前記一端側とは反対側である他端側に対して接離する偏心カム32が、二次転写ユニット10に回転可能に設けられている。そして、偏心カム32を駆動制御することで、ゴムローラ支持部材47に対して偏心カム32を接離させることができ、ゴムローラ支持部材47に対する偏心カム32の突き当て量によって、二次転写部の転写ニップ圧を調整できる構成となっている。
【0084】
図16は、本構成例の動作の詳細図である。
<二次転非加圧時>
二次転写部非加圧時では、図16(a)に示すように、偏心カム58を回転駆動させて二次転写ユニット10に偏心カム58を押し当てる。これにより、二次転写ユニット10に設けられた二次転写ユニット回転支点43を中心に二次転写ユニット10が押し下げられるように回動し、中間転写ベルト2から二次転写ローラ8が離間して二次転写部を非加圧状態にすることができる。また、このとき偏心カム32はゴムローラ支持部材47に対して退避した状態であり、ゴムローラ41とステイ52とはゴムローラ41の自重などによって接触しているが両者間にはほとんど接触圧が生じていない状態である。
【0085】
<二次転加圧時(減圧制御なし)>
減圧制御を行わない場合で二次転写部加圧時では、図16(b)に示すように、二次転写ユニット10と偏心カム58とが接触しない位置まで偏心カム58を回転させる。これにより、二次転写ユニット10を引張りバネ44の引張り力によって二次転写ユニット回転支点43を中心に図中反時計回りに回転させ、中間転写ベルト2に二次転写ローラ8を押し当てることができる。また、このとき偏心カム32はゴムローラ支持部材47に対して退避した状態であり、ゴムローラ41とステイ52とは接触しているが両者間にほとんど接触圧が生じておらず、引張りバネ44による引張り力の全てが二次転写部での転写ニップ圧となり、これが正規の転写ニップ圧である。
【0086】
<二次転写部加圧時(減圧制御あり)>
減圧制御を行う場合、言い換えれば、前述した正規の転写ニップ圧に対して所定量減圧させる場合で二次転写部加圧時では、図16(c)に示すように、二次転写ユニット10と偏心カム58とが接触しない位置まで偏心カム58を回転させる。これにより、二次転写ユニット10を引張りバネ44の引張り力によって二次転写ユニット回転支点43を中心に図中反時計回りに回転させ、中間転写ベルト2に二次転写ローラ8を押し当てることができる。また、このとき、偏心カム32を所定量回転させて、ゴムローラ支持部材47に偏心カム32を突き当てることで、入口ローラ軸4aを中心にゴムローラ支持部材47が図中反時計回りに回動し、ステイ52にゴムローラ41が押し当てられる。これにより、ゴムローラ41とステイ52との間で生じる接触圧分だけ引張りバネ44による引張り力が低減し、二次転写部の転写ニップ圧が正規の転写ニップ圧よりも減少する。
【0087】
<用紙突入後(減圧制御あり)>
用紙先端が二次転写部に突入し用紙19が二次転写部を通過すると、図16(d)に示すように、二次転写ユニット10が紙厚相当分押し下げられる。これにより、二次転写ユニット10が二次転写ユニット回転支点43を中心に押し下げられるように回動し、偏心カム32とゴムローラ支持部材47とが離間する。このように、偏心カム32とゴムローラ支持部材47とが離間することで、ゴムローラ41とステイ52とは接触しているが両者間にほとんど接触圧が生じなくなり、二次転写部に用紙突入後の転写中の転写ニップ圧は、減圧状態から正規の転写ニップ圧に戻る。
【0088】
図17は、構成例1と構成例3との違いを説明するのに用いる説明図であり、図17(a)が構成例1を示しており、図17(b)が構成例3を示している。構成例1では、偏心カム32とゴムパッド46とのニップ形成位置を二次転写ユニット側としている。そのため、偏心カム32とゴムパッド46とが接触することによる減圧量は、二次転写ユニット回転支点43から二次転写ローラ中心までの距離をL1とし、二次転写ユニット回転支点43から偏心カム32とゴムパッド46との接触部までの距離をL2とすると、偏心カム32とゴムパッド46とが接触することによる減圧量=カム接触圧×L2/L1の関係を満たすことになる。
【0089】
それに対して、構成例3では、ゴムローラ41とステイ52とのニップ形成位置を中間転写ユニット側としている。そのため、ゴムローラ41とステイ52とが接触することによる減圧量は、ゴムローラ支軸部材回転中心である入口ローラ軸4aから偏心カム32とゴムローラ支持部材47との接触位置までの距離をL3、入口ローラ軸4aからゴムローラ41とステイ52との接触部までの距離をL4とすると、ゴムローラ41とステイ52とが接触することによる減圧量=カム接触圧×L2/L1×L4/L3の関係を満たすことになる。
【0090】
つまり、別途でゴムローラ41とゴムローラ支持部材47とを設けて二次転写ユニット10とは別の箇所に偏心カム32の接触部を設けることで、減圧量の調整の自由度が向上する。特に、ベルト速度変動を抑制したい場合には減圧量を大きくする必要があり、L2>L1でありL4>L3であるときに、構成例3の構成例1よりも減圧量を大きくすることができる。なお、構成例3は、構成例1とべルト速度変動の抑制効果のメカニズムは同様であり、減圧量が同じであれば、ベルト速度変動の抑制効果はほぼ等しい。また、偏心カム32の駆動制御に関しても、構成例1と同様であるため、その説明は省略する。
【0091】
[構成例4]
図18は、構成例3において、紙厚に応じて偏心カム32のゴムローラ支持部材47への突き当て量を変更できるようにしたものである。
【0092】
本構成例では、偏心カム32をゴムローラ支持部材47に突き当てないモードであるモード1と、偏心カム32をゴムローラ支持部材47に所定量突き当てるモードであるモード2とを設けている。
【0093】
モード1は、例えば坪量163[g/m]紙未満の普通紙や薄紙印刷時に用いるようにする。これにより、用紙19の二次転写部突入時における中間転写ベルト2の速度変動が厚紙を用いる場合よりも比較的小さく一次転写ニップにおける転写位置ずれに伴う濃度ムラが生じにくい普通紙や薄紙印刷時に、モード1の状態で印刷を行えば、常に偏心カム32とゴムローラ支持部材47とが接触しないため、二次転写部の転写ニップ圧を減少させることなく転写を行うことができる。
【0094】
一方、モード2は、例えば坪量163[g/m]紙以上の厚紙印刷時に用いるようにする。用紙19が二次転写部突入前は、偏心カム32とゴムローラ支持部材47とが接触するため、二次転写部の転写ニップ圧が減少してしまう。ところが、用紙19の二次転写部突入後、偏心カム32とゴムローラ支持部材47とが離間するように設計しているため、用紙19が二次転写ニップに突入する前では減少していた二次転写部の転写ニップ圧が、モード1を実行したときと同じ水準まで戻り、所定の転写ニップ圧で中間転写ベルト2から用紙19に画像を転写することができる。
【0095】
つまり、本構成例では、用紙19の二次転写ニップ突入時における中間転写ベルト2の速度変動が小さい普通紙や薄紙(坪量163[g/m]紙未満)を用いる場合は、偏心カム32をゴムローラ支持部材47に突き当てないモード1を実行し、用紙19の二次転写部突入時における中間転写ベルト2の速度変動が大きい厚紙(坪量163[g/m]紙以上)を用いる場合は、偏心カム32をゴムローラ支持部材47に突き当てるモード2を実行し、負荷変動を抑制しつつ所定のニップ圧で転写するというように選択できるようにしている。
【0096】
また、モード2の中でさらに中厚紙モードと超厚紙モードとの2段階の設定ができるようにしており、中厚紙モードと超厚紙モードそれぞれに対応させた偏心カム32の変位位置に偏心カム32の位置を切り替える動作を行ってから、印刷を開始するようにしている。また、中厚紙モードと超厚紙モードとは、例えば、中厚紙モードを中厚紙として坪量163[g/m]〜300[g/m]紙まで、超厚紙モードを超厚紙として300[g/m]以上などと設定するようにする。用紙19の厚さに比例してベルト速度変動が大きくなるので、中厚紙を用いる場合よりも超厚紙を用いる場合に、ゴムローラ支持部材47に対する偏心カム32の突き当て量を大きくして転写ニップ圧をより大きく減圧させる。
【0097】
図19は、偏心カム32の回転を駆動制御するカム位置切り替え機構28の制御回路図を示すものである。図19に示すように、図示しないCPUからの指令が駆動司令部25内のマイクロプロセッサ26へと入力されると、マイクロプロセッサ26は、予めメモリ27に格納しておいた偏心カム32のゴムローラ支持部材47への突き当て量に対応する駆動電圧値を取り出し、カム位置切り替え機構28の駆動ドライバ29に送り、モータ30を回転させる。
【0098】
また、例えば表1に示すように、モード1(普通紙)、モード2(中厚紙モード)、モード2(超厚紙モード)に応じて、ゴムローラ支持部材47に対する偏心カム32の突き当て量であるカム突き当て量のテーブルをメモリ27に格納しておき制御するのが良い。
【0099】
【表1】

【0100】
印刷ジョブ投入時にモード切り替えONが選択されると(S1でYES)、モード切り替えONとなりモード2が実行される。次に、モード2において超厚紙モードが選択されると(S3でYES)、超厚紙モードが実行され、プリンタ本体のCPUから、駆動司令部25、カム位置切り替え機構28へと指令が伝達され、二次転写ユニット10の加圧時に偏心カム32をゴムローラ支持部材47に表1に示した突き当て量だけ突き当てる動作が行われる(S4)。一方、モード2において超厚紙モードが選択されなければ(S3でNO)、中厚紙モードが実行され、プリンタ本体のCPUから、駆動司令部25、カム位置切り替え機構28へと指令が伝達され、二次転写ユニット10の加圧時に偏心カム32をゴムローラ支持部材47に表1に示した突き当て量だけ突き当てる動作が行われる(S9)。このような動作が実行された後、印刷が開始され(S5でYES)、印刷処理を行い(S6)、印刷が終了すると(S7でYES)、モード切り替えOFFとなりモード1が実行されゴムローラ支持部材47から偏心カム32を離間させた後(S8)、一連の制御が終了する。なお、モードの切り替え設定は、プリンタ本体でのボタン操作やコンピュータでの印刷設定で設定可能とする。
【0101】
用紙19の厚さに比例して用紙19が厚くなるほど用紙19の二次転写部突入時における二次転写ユニット10の下がり量は大きくなる。そのため、用紙19が厚くなればなるほど、ゴムローラ支持部材47に対する偏心カム32の突き当て量が大きくても、用紙19の二次転写部突入後において偏心カム32とゴムローラ支持部材47とが離間するため、二次転写部の転写ニップ圧の減少を抑えることができる。
【0102】
このような構成にすることで、中厚紙モードや超厚紙モードにおいても、カム突き当てによる負荷変動抑制効果を得つつ、所定の転写ニップ圧で転写することが可能となる。
【0103】
[構成例5]
構成例4では、紙厚に応じてユーザーによりモードを選択するが、設定ミスに備えて、実際に搬送された用紙19の厚さを検知した上で、位置切り替え動作を行うようにしても良い。
【0104】
図21は用紙厚さ検知を行う場合の構成図を示すものである。厚さ検知センサ53をレジスト部の上流に配置し、レジスト開始前に厚さ検知を行うようにしている。図22はそのときの動作フローチャートを示すものである。
【0105】
印刷ジョブが投入されてレジスト部に用紙19が給紙されると(S1)、厚さ検知センサ53で用紙厚さが検知される。用紙厚さが所定の閾値を超えると(S2でYES)、モード切り替えONとなりモード2が実行され、プリンタ本体のCPUから、駆動司令部25、カム位置切り替え機構28へと指令が伝達され、二次転写ユニット10の加圧時に偏心カム32をゴムローラ支持部材47に突き当てる動作が行われる(S3)。このような動作が実行された後、印刷が開始され(S4)、印刷処理を行い(S5)、印刷が終了すると(S6でYES)、モード切り替えOFFとなりモード1が実行されゴムローラ支持部材47から偏心カム32を離間させた後(S7)、一連の制御が終了する。
【0106】
なお、厚さ検知センサ53により用紙厚さを検知する場合にも、上述のように紙厚に応じた偏心カム32の変位量を複数持つテーブルを設定しておいても良い。
【0107】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
複数の張架ローラによって張架されながら無端移動せしめられるループ状の中間転写ベルト2などのベルト像担持体と、ベルト像担持体を介して複数の張架ローラの1つと対向し、ベルト像担持体のループ外側面であるおもて面と転写ニップを形成する二次転写ローラ8などの転写ローラと、装置本体に対して変位可能に設けられ転写ローラを回転可能に支持する二次転写ユニット10などの転写ローラ支持部材と、転写ローラ支持部材をベルト像担持体に向かって付勢する引張りバネ44などの付勢手段と、装置本体と転写ローラ支持部材とのうち、一方に変位可能に設けられた偏心カム32などの突き当て部材と、他方に設けられ突き当て部材が突き当てられるゴムパッド46などの被突き当て部材とを備え、突き当て部材を変位させて被突き当て部材に突き当て、付勢手段の付勢力に抗して転写ローラ支持部材を変位させることにより転写ニップのニップ圧を調整する画像形成装置において、被突き当て部材の突き当て部材と突き当たる部分が弾性部材である。これよれば、上記実施形態について説明したように、転写ニップへの転写材先端突入後に生じるベルト像担持体の速度変動を低減することができる。
(態様B)
複数の張架ローラによって張架されながら無端移動せしめられるループ状の中間転写ベルト2などのベルト像担持体と、ベルト像担持体を介して複数の張架ローラの1つと対向し、ベルト像担持体のループ外側面であるおもて面と転写ニップを形成する二次転写ローラ8などの転写ローラと、装置本体に対して変位可能に設けられ転写ローラを回転可能に支持する二次転写ユニット10などの転写ローラ支持部材と、転写ローラ支持部材をベルト像担持体に向かって付勢する引張りバネ44などの付勢手段と、転写ローラ支持部材に変位可能に設けられた偏心カム32などの突き当て部材と、装置本体に設けられ突き当て部材が突き当てられるゴムローラ支持部材47などの被突き当て部材とを備え、突き当て部材を変位させて被突き当て部材に突き当て、付勢手段の付勢力に抗して転写ローラ支持部材を変位させることにより転写ニップのニップ圧を調整する画像形成装置において、被突き部材は装置本体に対して変位可能であり、被突き当て部材に設けられたゴムローラ41などの弾性部材と、突き当て部材を被突き当て部材に突き当てて被突き当て部材が変位することで弾性部材と突き当たる、装置本体の弾性部材と対向する位置に設けられたステイ52などの対向部材とを備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写ニップへの転写材先端突入後に生じるベルト像担持体の速度変動を低減することができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、転写材が転写ニップに搬送される前に、被突き当て部材に突き当て部材を突き当てる。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写ニップへの転写材先端突入時のベルト速度変動を低減することができる。
(態様D)
(態様A)、(態様B)または(態様C)において、突き当て部材を被突き当て部材に突き当てるか否かが選択可能である。これによれば、上記実施形態について説明したように、ニップ圧を減圧する必要がないときに、突き当て部材を被突き当て部材に突き当てることがないため、弾性部材の長寿命化を図ることができる。
(態様E)
(態様D)において、転写材の厚さに応じて突き当て部材を被突き当て部材に突き当てるか否かを選択する。これによれば、上記実施形態について説明したように、薄紙や普通紙など用紙突入時にベルト速度変動が小さく、ニップ圧を減圧する必要がないときに、突き当て部材を被突き当て部材に突き当てることがないため、弾性部材の長寿命化を図ることができる。
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)において、被突き当て部材に対する突き当て部材の突き当て量が調節可能である。これによれば、上記実施形態について説明したように、ベルト速度変動の低減効果を制御することができる。
(態様G)
(態様F)において、転写材の厚さに応じて上突き当て部材に対する突き当て部材の突き当て量を調節する。これによれば、上記実施形態について説明したように、用紙が厚いときほど突き当て部材の突き当て量を大きくして、ニップ圧を大きく減圧させることができるため、厚紙においても負荷トルクの低減効果を得ることができる。
(態様H)
(態様E)において、転写材の厚さを検知する厚さ検知センサ53などの転写材厚さ検知手段を備えており、転写材厚さ検知手段で検知した転写材の厚さに応じて突き当て部材を被突き当て部材に突き当てるか否かを選択する。これによれば、上記実施形態について説明したように、ユーザーによる紙厚設定が誤って設定された場合でも、紙厚に応じて被突き当て部材に突き当て部材を突き当てるか否かの制御を適切に行うことができる。
(態様I)
(態様F)において、転写材の厚さを検知する厚さ検知センサ53などの転写材厚さ検知手段を備えており、転写材厚さ検知手段で検知した転写材の厚さに応じて被突き当て部材に対する突き当て部材の突き当て量を調節する。これによれば、上記実施形態について説明したように、ユーザーによる紙厚設定が誤って設定された場合でも、紙厚に応じて被突き当て部材に対する突き当て部材の突き当て量を適切に調節することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 感光体ドラム
2 中間転写ベルト
3 中転駆動ローラ
4 入口ローラ
4a 入口ローラ軸
5 二次転写対向ローラ
6 テンションローラ
7 従動ローラ
8 二次転写ローラ
9 レジストローラ対
10 二次転写ユニット
10b 付勢コイルバネ
11 搬送ベルト
12 加圧ローラ
13 定着ローラ
14 加熱ローラ
15 定着装置
16 搬送ローラ対
17 搬送ローラ対
18 給紙ローラ
19 用紙
20 給紙カセット
21 定着ベルト
25 駆動司令部
26 マイクロプロセッサ
27 メモリ
28 カム位置切り替え機構
29 駆動ドライバ
30 モータ
32 偏心カム
41 ゴムローラ
42 板金
43 二次転写ユニット回転支点
44 引張りバネ
46 ゴムパッド
47 ゴムローラ支持部材
48 ベルトクリーニング装置
49 クリーニング対向ローラ
50 転写ユニット
51 装置本体側板
52 ステイ
53 厚さ検知センサ
54 一次転写ローラ
58 偏心カム
100 プロセスユニット
101 現像装置
102 ドラムクリーニング装置
103 帯電装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開2010−134142号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の張架ローラによって張架されながら無端移動せしめられるループ状のベルト像担持体と、
前記ベルト像担持体を介して前記複数の張架ローラの1つと対向し、該ベルト像担持体のループ外側面であるおもて面と転写ニップを形成する転写ローラと、
装置本体に対して変位可能に設けられ前記転写ローラを回転可能に支持する転写ローラ支持部材と、
前記転写ローラ支持部材を前記ベルト像担持体に向かって付勢する付勢手段と、
装置本体と前記転写ローラ支持部材とのうち、一方に変位可能に設けられた突き当て部材と、他方に設けられ前記突き当て部材が突き当てられる被突き当て部材とを備え、
前記突き当て部材を変位させて前記被突き当て部材に突き当て、前記付勢手段の付勢力に抗して前記転写ローラ支持部材を変位させることにより前記転写ニップのニップ圧を調整する画像形成装置において、
前記被突き当て部材の前記突き当て部材と突き当たる部分が弾性部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
複数の張架ローラによって張架されながら無端移動せしめられるループ状のベルト像担持体と、
前記ベルト像担持体を介して前記複数の張架ローラの1つと対向し、該ベルト像担持体のループ外側面であるおもて面と転写ニップを形成する転写ローラと、
装置本体に対して変位可能に設けられ前記転写ローラを回転可能に支持する転写ローラ支持部材と、
前記転写ローラ支持部材を前記ベルト像担持体に向かって付勢する付勢手段と、
前記転写ローラ支持部材に変位可能に設けられた突き当て部材と、
装置本体に設けられ前記突き当て部材が突き当てられる被突き当て部材とを備え、
前記突き当て部材を変位させて前記被突き当て部材に突き当て、前記付勢手段の付勢力に抗して前記転写ローラ支持部材を変位させることにより前記転写ニップのニップ圧を調整する画像形成装置において、
前記被突き部材は装置本体に対して変位可能であり、
前記被突き当て部材に設けられた弾性部材と、
前記突き当て部材を前記被突き当て部材に突き当てて該被突き当て部材が変位することで該弾性部材と突き当たる、装置本体の前記弾性部材と対向する位置に設けられた対向部材とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記転写材が上記転写ニップに搬送される前に、上記被突き当て部材に上記突き当て部材を突き当てることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の画像形成装置において、
上記突き当て部材を上記被突き当て部材に突き当てるか否かが選択可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記転写材の厚さに応じて上記突き当て部材を上記被突き当て部材に突き当てるか否かを選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、
上記被突き当て部材に対する上記突き当て部材の突き当て量が調節可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記転写材の厚さに応じて上記被突き当て部材に対する上記突き当て部材の突き当て量を調節することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5の画像形成装置において、
上記転写材の厚さを検知する転写材厚さ検知手段を備えており、
前記転写材厚さ検知手段で検知した前記転写材の厚さに応じて上記突き当て部材を上記被突き当て部材に突き当てるか否かを選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7の画像形成装置において、
上記転写材の厚さを検知する転写材厚さ検知手段を備えており、
前記転写材厚さ検知手段で検知した前記転写材の厚さに応じて上記被突き当て部材に対する上記突き当て部材の突き当て量を調節することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−97208(P2013−97208A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240678(P2011−240678)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】