説明

画像形成装置

【課題】両面印刷機能を有し、機内温度が上昇し、現像器内のトナーが溶融するおそれのある限界温度に達すると、印刷処理の実行を一時停止し、機内温度を下降させる一時停止処理を行う画像形成装置において、一時停止に至るまでの印刷処理の効率化を図る。
【解決手段】両面印刷機能を有し、機内温度が上昇し、現像器内のトナーが溶融するおそれのある所定の限界温度に達すると、印刷処理の実行を一時停止し、機内温度を下降させる一時停止処理を行う画像形成装置であって、印刷ジョブを受付ける毎に、受付けた印刷ジョブを記憶し、印刷待ちの印刷ジョブの実行に先立って、記憶されている印刷待ちの印刷ジョブそれぞれの印刷条件に基づいて、印刷待ちの各印刷ジョブの中から、機内温度の上昇が最も少ない印刷ジョブを推定し、優先印刷ジョブとして選択し(S506)、選択した優先印刷ジョブが優先的に実行されるように制御する(S508)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機等の画像形成装置に関し、特に、両面印刷機能を有し、機内温度が上昇し、現像器内のトナーが溶融するおそれのある温度に達すると、印刷処理の実行を一時停止し、機内温度を下降させる一時停止処理を行う画像形成装置における印刷ジョブの実行を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンター、複写機等の画像形成装置においては、エネルギー消費量の低減化を図るため、低温で溶融するトナーが利用されるようになってきている。これらの低温トナーは、本来の熱定着動作により溶融される他に、機内温度の上昇によっても溶融されやすい。特に、両面印刷機能を有する画像形成装置においては、定着装置内で片面が熱定着されることにより加熱された記録シートが装置内において循環搬送され、それにより現像器内のトナーに記録シートの熱が伝わり、トナーの溶融が起こりやすい。
【0003】
このため、両面印刷機能を有する画像形成装置においては、両面印刷処理を頻繁に実行すること等により、機内温度が、トナーが溶融するおそれのある所定の限界温度まで上昇すると、印刷処理を一時中断し、機内温度を低下させる処理が行われる。
これにより、現像器内のトナーが溶融されないように機内温度が制御されるので、機内温度の上昇により現像器内のトナーが溶融してしまい、その結果、画像形成動作に支障が生じ、画質劣化等の不具合が生じるのを有効に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−237119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような画像形成装置においては、機内温度が上昇すると、印刷処理が中断されてしまうため、例えば、両面印刷を行う印刷ジョブが連続して受付けられ、その後に、片面印刷を行う印刷ジョブが連続して受付けられた場合に、受付け順に印刷ジョブを実行していくと、両面印刷を行う印刷ジョブの連続実行により機内温度がすぐにトナーが溶融されるおそれのある温度に達してしまい、その結果、印刷処理がすぐに中断されてしまうので、中断されるまでに完了できる印刷処理量が少なくなり、当該中断に至るまでの印刷処理の効率化が図れないという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、両面印刷機能を有し、機内温度が上昇し、現像器内のトナーが溶融するおそれのある限界温度に達すると、印刷処理の実行を一時停止し、機内温度を下降させる一時停止処理を行う画像形成装置において、一時停止に至るまでの印刷処理の効率化を図ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る画像形成装置は、両面印刷機能を有し、機内温度が上昇し、現像器内のトナーが溶融するおそれのある所定の限界温度に達すると、印刷処理の実行を一時停止し、機内温度を下降させる一時停止処理を行う画像形成装置であって、印刷ジョブを受付ける毎に、受付けた印刷ジョブを記憶する記憶手段と、印刷待ちの印刷ジョブの実行に先立って、前記記憶手段に記憶されている印刷待ちの印刷ジョブそれぞれの印刷条件に基づいて、印刷待ちの各印刷ジョブの中から、機内温度の上昇が最も少ない印刷ジョブを推定し、優先印刷ジョブとして選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された前記優先印刷ジョブが優先的に実行されるように制御する制御手段と、を備える。
【0008】
ここで、前記選択手段は、各印刷ジョブについて、実行された場合に機内温度が所定の限界温度に達するまでの印刷可能枚数を算出し、各印刷ジョブの印刷可能枚数に基づき、機内温度の上昇が最も少ない印刷ジョブを推定し、優先印刷ジョブとして選択することとすることができる。
又、前記記憶手段は、さらに印刷条件毎に印刷を実行した場合の累積印刷枚数と機内温度の対応関係を示す、複数の印刷可能枚数特性曲線を記憶しており、
前記選択手段は、各印刷ジョブに対し、対応する印刷条件の印刷可能枚数特性曲線に基づいて、前記印刷可能枚数を算出することとすることができる。
【0009】
さらに、前記選択手段は、印刷可能枚数が最大となる印刷ジョブを特定し、優先印刷ジョブとして選択することとすることができる。
又、前記選択手段は、印刷可能枚数が最大となる印刷ジョブが複数ある場合には、印刷枚数が最も少ないものを前記優先印刷ジョブとして選択することとすることができる。
又、前記印刷条件には、印刷形式が片面印刷形式であるか、両面印刷形式であるかを示す条件が含まれ、前記選択手段は、前記印刷待ちの印刷ジョブが、片面印刷形式の印刷ジョブと両面印刷形式の印刷ジョブとを含む複数の印刷待ちの印刷ジョブである場合には、片面印刷形式の印刷ジョブを前記優先印刷ジョブとして選択することとすることができる。
【0010】
又、前記印刷条件には、印刷用紙サイズの指定が含まれ、前記選択手段は、前記印刷待ちの印刷ジョブが、複数の片面印刷形式の印刷ジョブである場合には、指定されている用紙サイズが最も大きいものを前記優先印刷ジョブとして選択することとすることができる。
又、前記印刷条件には、印刷用紙の厚みの指定が含まれ、前記選択手段は、前記印刷待ちの印刷ジョブが、複数の片面印刷形式の印刷ジョブである場合には、指定されている用紙の厚みが最も厚いものを前記優先印刷ジョブとして選択することとすることができる。
【0011】
又、前記印刷条件には、印刷形式がカラー印刷形式であるか、モノクロ印刷形式であるかを示す条件が含まれ、前記選択手段は、前記印刷待ちの印刷ジョブが、カラー印刷形式の印刷ジョブとモノクロ印刷形式の印刷ジョブとを含む複数の印刷ジョブである場合には、モノクロ印刷形式の印刷ジョブを前記優先印刷ジョブとして選択することとすることができる。
【発明の効果】
【0012】

上記構成を備えることにより、印刷待ちの印刷ジョブの中から、各印刷ジョブの印刷条件に基づいて機内温度の上昇が最も少ない印刷ジョブが優先的に実行されるように制御されるので、機内温度が上昇し、印刷処理の実行が一時停止されるまでの印刷処理量が多くなるように制御することができ、その分、印刷処理効率を向上させることができる。
ここで、前記画像形成装置は、機内温度を測定する測定手段を備え、前記選択手段は、測定した機内温度が、前記限界温度よりも低い、所定の設定温度を超えた場合に前記記憶手段に記憶されている印刷待ちの印刷ジョブそれぞれの印刷条件に基づいて、印刷待ちの各印刷ジョブの中から、機内温度の上昇が最も少ない印刷ジョブを推定し、優先印刷ジョブとして選択する処理を行い、超えない場合には、印刷待ちの各印刷ジョブの中から、印刷ジョブの受付け時期が最も早い印刷ジョブを選択する処理を行うこととしてもよい。
【0013】
これにより、所定の設定温度を超えない場合には、印刷ジョブの受付け時期が最も早いものが優先的に実行されるように制御されるので、機内温度が上昇しやすい印刷ジョブの実行が常に後回しにされるのを有効に防止し、印刷待ち状態の印刷ジョブの処理の円滑化を図ることができる。
ここで、前記画像形成装置は、印刷ジョブを受け付けた各印刷ジョブについて、受付けてからの経過時間を監視する監視手段を備え、前記制御手段は、前記経過時間が所定時間を超えている印刷待ちの印刷ジョブがある場合に、前記選択手段によって選択された印刷ジョブの代わりに前記経過時間が前記所定時間を超えている印刷ジョブが優先的に実行されるように制御することとしてもよい。
【0014】
これにより、印刷待ちの印刷ジョブの内、当該印刷ジョブを受付けてから所定時間を経過した印刷ジョブについては、当該印刷ジョブが優先的に実行されるように制御されるので、機内温度が上昇しやすい印刷ジョブの実行が遅延しすぎないように調整することができ、印刷待ち状態の印刷ジョブの処理の円滑化を図ることができる。
ここで、前記画像形成装置は、印刷ジョブを受付けた各印刷ジョブについて、当該印刷ジョブを受付けてから実行された、当該印刷ジョブ以外の印刷ジョブの実行回数をカウントするカウント手段を備え、前記制御手段は、前記実行回数が所定回数を超えている印刷待ちの印刷ジョブがある場合に、前記選択手段によって選択された印刷ジョブの代わりに前記所定回数を超えている前記印刷ジョブが優先的に実行されるように制御することとしてもよい。
【0015】
これにより、印刷待ちの印刷ジョブの内、当該印刷ジョブを受付けてから実行された、当該印刷ジョブ以外の印刷ジョブの実行回数が、所定回数を超えた印刷ジョブについては、当該印刷ジョブが優先的に実行されるように制御されるので、機内温度が上昇しやすい印刷ジョブの実行が遅延しすぎないように調整することができ、印刷待ち状態の印刷ジョブの処理の円滑化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】プリンター1の構成を示す図である。
【図2】制御部60の構成と制御部60の制御対象となる主構成要素との関係を示す図である。
【図3】印刷可能枚数特定曲線の例を示す。
【図4】待機ジョブリストの一例を示す。
【図5】制御部60が行う印刷ジョブ優先実行処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】制御部60が行う優先ジョブ選択処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】プリンター1を用いて、モノクロ片面印刷形式、モノクロ両面印刷形式、カラー片面印刷形式、カラー両面印刷形式の各印刷形式について印刷可能枚数特定曲線を作成し、各印刷形式間の印刷可能枚数特定曲線の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態)
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンター(以下、単に「プリンター」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンターの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンター1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るプリンター1の構成を示す図である。同図に示すように、このプリンター1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。
【0018】
プリンター1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の1つ以上の端末装置(不図示)や図示しない操作パネルから印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
【0019】
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、二次転写ローラー46などを有している。作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された現像器32Y、帯電器33Y、1次転写ローラー34Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。現像器32Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。
【0020】
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、従動ローラー12と駆動ローラー13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。又、従動ローラー12の近傍には、中間転写ベルト上に残留するトナーを除去するためのクリーナー14が配置されている。
露光部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。この露光走査により、帯電器33Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
【0021】
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの
各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成され
る。形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各1次転写ローラー(図1では、作像部3Yに対応する一次転写ローラーのみ符号34Yを付し、他の一次転写ローラーについては、符号を省略している。)により、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次1次転写された後、二次転写ローラー46による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に二次転写される。
【0022】
カラー印刷において利用される作像部3Y、3M、3Cの各感光体は、中間転写ベルト11との間で接触及び離間が可能なように構成されており、モノクロ印刷を行う場合には、作像部3Y、3M、3Cの各感光体と中間転写ベルト11とは離間され、カラー印刷を行う場合には、各感光体と中間転写ベルト11とが接触されるように構成されている。
中間転写ベルトと各感光体の間を、カラー印刷時とモノクロ印刷時とで接触・離間させる機構としては、例えば、特許文献(特開平10−181927号公報)に開示されているような、電磁クラッチ、クラッチギア、アーム等を用いたベルト装置の機構を利用することができる(明細書の段落43、44、52〜55の記載、及び図2、図3の記載参照)。
【0023】
トナー像が二次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シートに熱定着される。
そして、片面印刷時には、熱定着後の記録シートは、切替ガイド部材70を介して排出ローラー71へ搬送され、排出ローラー71により排紙トレイ80に排出され、両面印刷時には、片面が熱定着された記録シートは、切替ガイド部材70を介して反転ローラー72へ搬送される。
【0024】
反転ローラー72は、片面が熱定着された記録シートが搬送されると、当該記録シートの搬送方向を反転させ、切替ガイド部材70を介して搬送ローラー73へ搬送される。搬送ローラー73へ搬送された記録シートは、さらに搬送ローラー74、75、76に順次搬送され、タイミングローラー45へ導かれ、記録シート面が反転される。
その後、片面が熱定着された記録シートは、タイミングローラー45を介して再び二次転写位置47に搬送され、記録シートのトナー像が熱定着されていない方の面に、トナー像が二次転写された後、定着装置5で熱定着されて、切替ガイド部材70を介して排出ローラー71へ搬送され、排出ローラー71により排紙トレイ80へ排出される。これにより、記録シートの両面にトナー像が熱定着され、当該記録シートについて両面印刷が完了する。
【0025】
切替ガイド部材70は、定着装置5から排出ローラー71へ向かう搬送路と、定着装置5から反転ローラー72へ向かう搬送路との分岐点に配され、回動することにより、記録シートの搬送路を、排出ローラー71側と反転ローラー72側の何れか一方に切替える。切替ガイド部材70の回動は、例えば、駆動モータにより行わる。制御部60により、駆動モータの駆動が制御されることにより、切替ガイド部材70の回動が制御される。
【0026】
又、装置内部には、作像部の周辺において滞留する熱気を排気するための排気ダクト310および排気ファン311が設けられている。これにより、滞留する熱気を排気し、現像器内のトナーが、滞留する熱気の影響で溶融しないようにしている。さらに、作像部3Kの近傍には、機内温度を測定するための機内温度センサー320が設けられている。
給紙部4は、記録シートを収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートを搬送路上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー42と、繰り出された記録シートをタイミングローラー45へ搬送する搬送ローラー43、44と、二次転写位置47に送り出すタイミングをとって記録シートを搬送するタイミングローラー45などを備えている。
【0027】
給紙カセットは、1つに限定されず、複数であってもよい。記録シートとしては、大きさや厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)やOHPシートなどのフィルムシートを利用できる。給紙カセットが複数ある場合には、大きさ又は厚さ又は材質の異なる記録シートを複数の給紙カセットに収納することとしてもよい。
タイミングローラー45は、同じ位置に重ね合わされるように中間転写ベルト11上に一次転写されたトナー像が二次転写位置に搬送されるタイミングに合わせて記録シートをニ次転写位置47に搬送し、中間転写ベルト11に当接させる。そして、ニ次転写ローラー46により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に二次転写される。
【0028】
繰り出しローラー42、搬送ローラー43、44、タイミングローラー45等の各ローラーは、搬送モータ(不図示)を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モータとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモータが使用される。
定着装置5は、定着ローラーと加圧ローラーを有し、両ローラー間に形成される定着ニップ部に、トナー像が二次転写された記録シートを挿入して記録シートを加圧状態で加熱して、当該トナー像を記録シートに熱定着させる。定着ローラーには、ハロゲンヒータ等の発熱体が内包され、この発熱体のオン・オフを制御部60により、制御することで、定着装置5の温度制御が行われる。なお、定着装置の加熱方式は、上記のような熱ローラー方式に限定されず、例えば、電磁誘導加熱方式であってもよいし、抵抗発熱体による加熱方式であってもよい。
【0029】
又、定着ローラーは、駆動モータ等の駆動力により回転し、定着ローラーの回転に伴って加圧ローラーが従動回転する。この回転の制御は、制御部60により行われる。
[2]制御部の構成
図2は、制御部60の構成と制御部60の制御対象となる主構成要素との関係を示す図である。制御部60は、所謂コンピュータであって、時計機能を有し、同図に示されるように、CPU(Central Processing Unit)601、通信インターフェース(I/F)部602、ROM(Read Only Memory)603、RAM(Random Access Memory)604、印刷ジョブ解析部605、画像データ記憶部606、印刷形式別印刷可能枚数記憶部607、閾値記憶部608、印刷ジョブ記憶部609、待機ジョブリスト記憶部610などを備える。
【0030】
通信I/F部602は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。ROM603には、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、操作パネル6、画像読取部7、排気ファン駆動部300、機内温度センサー320等を制御するために必要なプログラムのほか、後述する印刷ジョブ優先実行処理の動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM604は、CPU601のプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
【0031】
印刷ジョブ解析部605は、端末装置からの印刷ジョブが通信I/F部602を介して受信される毎に、当該印刷ジョブを解析し、当該印刷ジョブの印刷条件と当該印刷ジョブを識別する印刷ジョブIDと当該印刷ジョブの受信時刻とを取得し、さらに取得した印刷条件に基づいて、当該印刷条件に対応する、後述する印刷可能枚数特定曲線を用いて当該印刷ジョブの印刷可能枚数を算出し、取得した印刷ジョブID、印刷条件、当該印刷ジョブの受信時刻、及び算出した当該印刷ジョブの印刷可能枚数を対応付けて待機ジョブリスト記憶部610に記憶させる。
【0032】
ここで、「印刷ジョブ」とは、プリンター1とネットワーク接続されている各端末装置により生成されるデータであって、印刷対象となる印刷データ、印刷ジョブID等の印刷ジョブ識別子、印刷条件、印刷ジョブを発信したユーザの識別情報等を含む情報のことをいう。印刷データは、PDL(Page Description Language)で記述され、その他の情報は、PJL(Printer Job Language(ヒュレットパッカード社により開発された印刷ジョブ制御用の言語)で記述されている。
【0033】
又、「印刷条件」としては、印刷形式に関する情報(両面印刷形式か、片面印刷形式か、カラー印刷か、モノクロ印刷かを示す情報)、印刷枚数、用紙サイズ、用紙タイプ(普通紙、厚紙、薄紙等の用紙タイプ)等を示す情報等が含まれる。
又、印刷ジョブ解析部605は、印刷ジョブ記憶部609に記憶されている印刷データを読出し、当該印刷データを解析し、ビットマップデータに展開して、当該ビットマップデータに基づく画像を、画像プロセス部3に形成させる。
【0034】
画像データ記憶部606は、画像読取部7より入力された印刷用の画像データ及び印刷ジョブ解析部605によりビットマップデータに展開された印刷用の画像データを記憶している。
印刷形式別印刷可能枚数記憶部607は、印刷形式別の印刷可能枚数特定曲線を記憶している。ここで、「印刷可能枚数特定曲線」とは、累積印刷枚数と機内温度との対応関係を示す曲線のことをいい、当該曲線を用いて、機内温度が、プリンター1の現像器内のトナーが溶融するおそれがある温度(以下、「限界温度」という。)に達するまでに印刷可能な枚数を推定することができる。限界温度は、予め製造者によって設定される。
【0035】
印刷可能枚数特定曲線は、各印刷形式(具体的には、モノクロの片面印刷形式、モノクロの両面印刷形式、カラーの片面印刷形式、カラーの両面印刷形式の各印刷形式)について作成され、作成された各印刷可能枚数特定曲線は、例えば、関数式として、印刷形式別印刷可能枚数記憶部607に記憶される。関数式の代わりに、両者の対応関係を示すテーブルを印刷形式別印刷可能枚数記憶部607に記憶させることとしてもよい。
【0036】
各印刷可能枚数特定曲線は、予め製造者が、プリンター1を用いて、各印刷形式での印刷処理を連続実行し、所定枚数(例えば、1枚)の印刷処理が完了する毎に、機内温度を測定し、累積印刷枚数と、機内温度との対応関係をX−Y座標にプロットすることにより作成することができる。
図3は、印刷可能枚数特定曲線の例を示す。同図の符号301は、モノクロの両面印刷形式の印刷可能枚数特定曲線を、符号302は、モノクロの片面印刷形式の印刷可能枚数特定曲線をそれぞれ示す。
【0037】
プリンター1とネットワーク接続された端末装置から印刷ジョブが受信されると、当該印刷ジョブの印刷条件において指定されている印刷形式に対応する印刷可能枚数特定曲線を用いて、機内温度が限界温度である場合における累積印刷枚数(P0)と現在温度である場合における累積印刷枚数(P1)がそれぞれ算出され、算出された累積印刷枚数の差(P0-P1)が、当該印刷ジョブにおける印刷可能枚数(図3の符号303(両面印刷形式301の場合)、304(片面印刷302の場合)の両矢印で示す領域参照)となる。
【0038】
閾値記憶部608は、後述する印刷ジョブ優先実行処理において、判定基準として用いる限界温度、設定温度、及び所定時間を記憶している。「設定温度」とは、限界温度よりも低い温度で、限界温度に近い温度(例えば、後、1、2回両面印刷処理が実行されると、機内温度が限界温度に達するおそれがある温度、限界温度を48℃としたとき、例えば35℃のことをいう。又、「所定時間」は、印刷待ちの印刷ジョブの待ち時間の上限値を示す時間であり、例えば、所定時間として30分を用いることができる。
【0039】
印刷ジョブ記憶部609は、プリンター1とネットワーク接続された端末装置から受信された印刷ジョブを記憶している。待機ジョブリスト記憶部610は、待機ジョブリストを記憶している。ここで、「待機ジョブリスト」とは、プリンター1とネットワーク接続されている、1つ以上の端末装置から受信され、印刷待ちの印刷ジョブのリストであって、具体的には、印刷待ちの印刷ジョブの印刷ジョブIDと、当該印刷ジョブの印刷条件(ここでは、印刷形式、印刷枚数とする。)と、当該印刷ジョブの印刷可能枚数と、当該印刷ジョブの受信時刻との対応関係を示すリストのことをいう。なお、印刷待ちの印刷ジョブが実行されると、当該印刷ジョブは、待機ジョブリストから削除される。図4は、待機ジョブリストの一例を示す。
【0040】
操作パネル6は、複数の入力キーと液晶表示部を備え、液晶表示部の表面にはタッチパネルが積層されている。タッチパネルからのタッチ入力又は入力キーからのキー入力により、ユーザからの指示を受取り、制御部60に通知する。
画像読取部7は、スキャナーなどの画像入力装置から構成され、用紙等の記録シートに記載されている文字や図形などの情報を読取り、画像データを形成する。排気ファン駆動部300は、制御部60からの指示に応じて排気ファン311を駆動させる。機内温度センサー320は、プリンター1の機内の温度を測定し、測定結果を制御部60に出力する。
【0041】
[3]印刷ジョブ優先実行処理
図5は、制御部60が行う印刷ジョブ優先実行処理の動作を示すフローチャートである。制御部60は、プリンター1にネットワーク接続されている端末装置から印刷ジョブを受信すると(ステップS501:YES)、当該印刷ジョブに関する印刷条件(ここでは、印刷形式、印刷枚数とする。)と当該印刷ジョブを識別する印刷ジョブIDと当該印刷ジョブの受信時刻とを取得し、さらに取得した印刷条件の示す印刷形式に対応する印刷可能枚数特定曲線を用いて当該印刷ジョブの印刷可能枚数を算出し、取得した印刷ジョブID、印刷条件、当該印刷ジョブの受信時刻、及び算出した当該印刷ジョブの印刷可能枚数を対応付けて待機ジョブリスト記憶部610に記憶されている待機ジョブリストに追加する(ステップS502)。
【0042】
さらに、制御部60は、機内温度センサー320から現在の機内温度を取得し、当該機内温度が、閾値記憶部608に記憶されている限界温度に達しているか否かを判定し(ステップS503)、限界温度に達している場合には(ステップS503:YES)、印刷処理の実行を一時停止し(ステップS504)、限界温度に達していない場合には(ステップS503:NO)、さらに、当該機内温度が設定温度を超えているか否かを判定する(ステップS505)。
【0043】
当該機内温度が設定温度を超えている場合には(ステップS505:YES)、制御部60は、後述する優先ジョブ選択処理を行い(ステップS506)、現在時刻を取得し、待機ジョブリスト記憶部610に記憶されている待機ジョブリストの示す、印刷待ちの印刷ジョブの受信時刻を参照して、受信後、所定時間が経過した印刷待ちの印刷ジョブがあるか否かを判定する(ステップS507)。
【0044】
受信後、所定時間が経過した印刷待ちの印刷ジョブがない場合には(ステップS507:NO)、制御部60は、ステップS506の処理で選択した印刷待ちの印刷ジョブを優先的に実行し(ステップS508)、実行した印刷ジョブを待機ジョブリストから削除し、当該印刷ジョブの実行が完了すると、待機ジョブリストを参照して印刷待ちの印刷ジョブが有るか否かを判定し(ステップS511)、有る場合には、ステップS501の処理に移行する。
【0045】
ステップS507の判定結果が肯定的である場合には(ステップS507)、制御部60は、受信後、所定時間が経過した印刷待ちの印刷ジョブを優先的に実行し(ステップS509)、ステップS511の処理に移行する。なお、受信後、所定時間が経過した印刷待ちの印刷ジョブが複数ある場合には、制御部60は、受信時期が古いものから順に印刷ジョブを順次優先的に実行する。
【0046】
又、ステップS505の判定結果が否定的である場合には(ステップS505:NO)、制御部60は、待機ジョブリストの受信時期が最も古い印刷ジョブを実行し(ステップS510)、ステップS511の処理に移行する。
次に制御部60が行う優先ジョブ選択処理の動作について説明する。図6は、上記動作を示すフローチャートである。制御部60は、待機ジョブリスト記憶部610に記憶されている待機ジョブリストの示す、印刷待ちの各印刷ジョブの印刷形式に対応する印刷可能枚数特定曲線を用いて、機内温度が限界温度である場合における累積印刷枚数と現在温度である場合における累積印刷枚数とをそれぞれ算出し、両者の差を算出することにより、印刷待ちの各印刷ジョブにおける印刷可能枚数(d)を算出し(ステップS601)、dが最大となる印刷待ちの印刷ジョブ(Jmax)を特定する(ステップS602)。
【0047】
そして、制御部60は、特定したJmaxが複数有る場合には(ステップS603:YES)、待機ジョブリストを参照して各Jmaxの印刷枚数(c)を特定し(ステップS604)、印刷可能枚数と印刷枚数との差(d−c)が最大となる(印刷枚数が最も少ない)Jmaxを優先すべき印刷ジョブとして選択する(ステップS605)。ステップS603の判定結果が否定的である場合には(ステップS603:NO)、制御部60は、特定したJmaxを優先すべき印刷ジョブとして選択する(ステップS606)。
【0048】
これにより、印刷待ちの印刷ジョブの中から、印刷可能枚数が最も多い印刷ジョブ、すなわち、印刷ジョブの実行による機内温度の上昇率(印刷枚数1枚当たりの機内温度の上昇)が最も少ない印刷ジョブを優先印刷ジョブとして選択して当該印刷ジョブを優先的に実行させることができるので、機内温度が限界温度に達し、印刷処理が一時停止されるまでの印刷処理量を多くすることができ、その分、印刷処理効率を向上させることができる。
【0049】
又、印刷待ちの印刷ジョブの内、受信後、所定時間を経過した印刷ジョブについては、優先印刷ジョブとして選択された印刷ジョブより優先して実行されるように制御されるので、特定の印刷ジョブの実行が遅延しすぎないように調整することができる。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0050】
(1)本実施の形態では、印刷待ちの印刷ジョブにおける印刷可能枚数に基づいて優先すべき印刷ジョブを選択することとしたが、印刷可能枚数を選択基準とする代わりに、印刷形式を選択基準として優先すべき印刷ジョブを選択することとしてもよい。
具体的には、印刷形式が、モノクロかカラーか、片面印刷か、両面印刷かを選択基準として優先すべき印刷ジョブを選択することとしてもよい。図7は、プリンター1を用いて、モノクロ片面印刷形式、モノクロ両面印刷形式、カラー片面印刷形式、カラー両面印刷形式の各印刷形式について印刷可能枚数特定曲線を作成し、各印刷形式間の印刷可能枚数特定曲線の関係を示す図である。
【0051】
同図の符号701は、カラー両面印刷形式の印刷可能枚数特定曲線を、符号702は、カラー片面印刷形式の印刷可能枚数特定曲線を、符号703は、モノクロ両面印刷形式の印刷可能枚数特定曲線を、符号704は、モノクロ片面印刷形式の印刷可能枚数特定曲線をそれぞれ示す。同図に示すように、機内温度は、カラー両面印刷形式、カラー片面印刷形式、モノクロ両面印刷形式、モノクロ片面印刷形式の順に上昇しやすい傾向を示している。
【0052】
従って、カラーとモノクロでは、モノクロの方を優先的に選択し、片面印刷と両面印刷とでは、片面印刷の方を優先的に選択するという印刷形式についての選択基準により、印刷待ちの印刷ジョブの中から、機内温度が最も上昇しにくい印刷ジョブを優先すべき印刷ジョブとして選択することができる。
例えば、印刷待ちの印刷ジョブの印刷形式が、モノクロ両面印刷形式とカラー両面印刷形式の場合又はモノクロ片面印刷形式とカラー片面印刷形式の場合は、上記の選択基準により、それぞれモノクロの方の印刷形式が選択されることになり、機内温度が上昇しにくい印刷ジョブの方を優先すべき印刷ジョブとして選択することができる。
【0053】
又、印刷待ちの印刷ジョブの印刷形式が、モノクロ両面印刷形式とモノクロ片面印刷形式の場合又はカラー両面印刷形式とカラー片面印刷形式の場合は、上記の選択基準により、それぞれ片面印刷の方の印刷形式が選択されることになり、機内温度が上昇しにくい印刷ジョブの方を優先すべき印刷ジョブとして選択することができる。
例えば、印刷待ちの印刷ジョブの印刷形式が、それぞれ、モノクロ片面印刷形式、モノクロ両面印刷形式、カラー片面印刷形式である場合には、上記の選択基準により、モノクロかつ片面印刷形式のモノクロ片面印刷形式が選択されることになり、機内温度が最も上昇しにくい印刷ジョブを優先すべき印刷ジョブとして選択することができる。
【0054】
(2)(1)の変形例において、印刷形式が片面印刷の場合には、さらに、優先すべき印刷ジョブを選択する場合の第2の選択基準を設けることとしてもよい。例えば、印刷形式がモノクロ片面印刷の印刷待ちの印刷ジョブが複数ある場合又は印刷形式がカラー片面印刷の印刷待ちの印刷ジョブが複数ある場合において、各印刷ジョブの印刷条件において指定されている記録シートの用紙サイズが異なる場合に、サイズが最も大きいものを優先的に選択するという選択基準を第2の選択基準として設けることとしてもよい。用紙サイズが大きいほど、二次転写位置47で中間転写ベルト11と接触した際に、中間転写ベルト11からより多くの熱を奪い、その分、機内温度を下げることができるので、機内温度が上昇しにくい印刷ジョブの選択をより適切に行うことができる。
【0055】
同様に、印刷形式がモノクロ片面印刷の印刷待ちの印刷ジョブが複数ある場合又は印刷形式がカラー片面印刷の印刷待ちの印刷ジョブが複数ある場合において、各印刷ジョブの印刷条件において指定されている記録シートの用紙の厚みが異なる場合に、厚みが最も厚いものを優先的に選択するという選択基準を第2の選択基準として設けることとしてもよい。これにより、サイズが最も大きいものを優先的に選択するという選択基準を第2の選択基準として設けた場合と同様の理由により、機内温度が上昇しにくい印刷ジョブの選択をより適切に行うことができる。
【0056】
(3)本実施の形態では、印刷ジョブを受信してから当該印刷ジョブが実行されるまでの時間を監視し、受信後、所定時間が経過した印刷待ちの印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを、優先ジョブ選択処理で選択した印刷ジョブよりも優先的に実行させることとしたが、時間を監視する代わりに、当該印刷ジョブ受信後に実行された当該印刷ジョブ以外の印刷ジョブの数を監視することとし、所定数の印刷ジョブが実行された場合に、未実行の当該印刷ジョブを、優先ジョブ選択処理で選択した印刷ジョブよりも優先的に実行させることとしてもよい。
【0057】
(4)本実施の形態では、印刷ジョブを受信してから当該印刷ジョブが実行されるまでの時間を監視し、受信後、所定時間が経過した印刷待ちの印刷ジョブがある場合に、当該印刷ジョブを、優先ジョブ選択処理で選択した印刷ジョブよりも優先的に実行させることとしたが、機内温度が設定温度を超えている間は、優先ジョブ選択処理で選択した印刷ジョブを実行させ、機内温度が設定温度以下に低下したときに、受信順に印刷待ちの印刷ジョブを実行させるように制御することとしてもよい。具体的には、図5に示す印刷ジョブ優先実行処理の動作のフローチャートにおいて、ステップS507及びステップS509の処理を削除することとしてもよい。
【0058】
(5)本実施の形態では、印刷可能枚数特定曲線を、各印刷形式について作成し、印刷ジョブの印刷条件において指定されている印刷形式に対応する印刷可能枚数特性曲線を用いて、当該印刷ジョブにおける印刷可能枚数を算出することとしたが、各印刷形式について、印刷用紙の種類別(例えば、厚みの異なる用紙別、サイズの異なる用紙別)に印刷可能枚数特定曲線を作成し、印刷ジョブの印刷条件において指定されている印刷形式及び印刷用紙の種類に対応する印刷可能枚数特性曲線を用いて、当該印刷ジョブにおける印刷可能枚数を算出することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、プリンター、複写機等の画像形成装置に関し、特に、両面印刷機能を有し、機内温度が上昇し、現像器内のトナーが溶融するおそれのある温度に達すると、印刷処理の実行を一時停止し、機内温度を下降させる一時停止処理を行う画像形成装置における印刷ジョブの実行を制御する技術として利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 プリンター
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
6 操作パネル
7 画像読取部
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 従動ローラー
13 駆動ローラー
14 クリーナー
31Y 感光体ドラム
32Y 現像器
33Y 帯電器
34Y 1次転写ローラー
41 給紙カセット
42 繰り出しローラー
43、44、73、74、75、76 搬送ローラー
45 タイミングローラー
46 二次転写ローラー
47 二次転写位置
60 制御部
70 切替ガイド部材
71 排出ローラー
72 反転ローラー
80 排紙トレイ
300 排気ファン駆動部
310 排気ダクト
311 排気ファン
320 機内温度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面印刷機能を有し、機内温度が上昇し、現像器内のトナーが溶融するおそれのある所定の限界温度に達すると、印刷処理の実行を一時停止し、機内温度を下降させる一時停止処理を行う画像形成装置であって、
印刷ジョブを受付ける毎に、受付けた印刷ジョブを記憶する記憶手段と、
印刷待ちの印刷ジョブの実行に先立って、
前記記憶手段に記憶されている印刷待ちの印刷ジョブそれぞれの印刷条件に基づいて、印刷待ちの各印刷ジョブの中から、機内温度の上昇が最も少ない印刷ジョブを推定し、優先印刷ジョブとして選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記優先印刷ジョブが優先的に実行されるように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記選択手段は、各印刷ジョブについて、実行された場合に機内温度が所定の限界温度に達するまでの印刷可能枚数を算出し、各印刷ジョブの印刷可能枚数に基づき、機内温度の上昇が最も少ない印刷ジョブを推定し、優先印刷ジョブとして選択する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、さらに印刷条件毎に印刷を実行した場合の累積印刷枚数と機内温度の対応関係を示す、複数の印刷可能枚数特性曲線を記憶しており、
前記選択手段は、各印刷ジョブに対し、対応する印刷条件の印刷可能枚数特性曲線に基づいて、前記印刷可能枚数を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択手段は、印刷可能枚数が最大となる印刷ジョブを特定し、優先印刷ジョブとして選択する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記選択手段は、印刷可能枚数が最大となる印刷ジョブが複数ある場合には、印刷枚数が最も少ないものを前記優先印刷ジョブとして選択する
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷条件には、印刷形式が片面印刷形式であるか、両面印刷形式であるかを示す条件が含まれ、
前記選択手段は、前記印刷待ちの印刷ジョブが、片面印刷形式の印刷ジョブと両面印刷形式の印刷ジョブとを含む複数の印刷待ちの印刷ジョブである場合には、片面印刷形式の印刷ジョブを前記優先印刷ジョブとして選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷条件には、印刷用紙サイズの指定が含まれ、
前記選択手段は、前記印刷待ちの印刷ジョブが、複数の片面印刷形式の印刷ジョブである場合には、指定されている用紙サイズが最も大きいものを前記優先印刷ジョブとして選択する
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置
【請求項8】
前記印刷条件には、印刷用紙の厚みの指定が含まれ、
前記選択手段は、前記印刷待ちの印刷ジョブが、複数の片面印刷形式の印刷ジョブである場合には、指定されている用紙の厚みが最も厚いものを前記優先印刷ジョブとして選択する
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置
【請求項9】
前記印刷条件には、印刷形式がカラー印刷形式であるか、モノクロ印刷形式であるかを示す条件が含まれ、
前記選択手段は、前記印刷待ちの印刷ジョブが、カラー印刷形式の印刷ジョブとモノクロ印刷形式の印刷ジョブとを含む複数の印刷ジョブである場合には、モノクロ印刷形式の印刷ジョブを前記優先印刷ジョブとして選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、機内温度を測定する測定手段を備え、
前記選択手段は、測定した機内温度が、前記限界温度よりも低い、所定の設定温度を超えた場合に前記記憶手段に記憶されている印刷待ちの印刷ジョブそれぞれの印刷条件に基づいて、印刷待ちの各印刷ジョブの中から、機内温度の上昇が最も少ない印刷ジョブを推定し、優先印刷ジョブとして選択する処理を行い、超えない場合には、印刷待ちの各印刷ジョブの中から、印刷ジョブの受付け時期が最も早い印刷ジョブを選択する処理を行う
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項11】
印刷ジョブを受け付けた各印刷ジョブについて、受付けてからの経過時間を監視する監視手段を備え、
前記制御手段は、前記経過時間が所定時間を超えている印刷待ちの印刷ジョブがある場合に、前記選択手段によって選択された印刷ジョブの代わりに前記経過時間が前記所定時間を超えている印刷ジョブが優先的に実行されるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
印刷ジョブを受付けた各印刷ジョブについて、当該印刷ジョブを受付けてから実行された、当該印刷ジョブ以外の印刷ジョブの実行回数をカウントするカウント手段を備え、
前記制御手段は、前記実行回数が所定回数を超えている印刷待ちの印刷ジョブがある場合に、前記選択手段によって選択された印刷ジョブの代わりに前記所定回数を超えている前記印刷ジョブが優先的に実行されるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−97257(P2013−97257A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241287(P2011−241287)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】