説明

画像検査システム及び画像検査方法

【課題】低コストで効率的な運用を可能とする画像検査システムを提供する。
【解決手段】検査対象物の画像データを外部記憶装置3に送信可能な処理装置2と、検査装置4とを有し、外部記憶装置3は、画像データ記憶部31と、検査結果を蓄積する検査結果記憶部32とを備え、検査装置4は、外部記憶装置3への画像データの蓄積を検知した際に外部記憶装置3から画像データを取得する画像データ取得手段42と、取得した画像データ及び検査基準となる基準画像データに基づき検査結果を判定する判定手段43と、検査結果を外部記憶装置3に送信する結果送信手段44とを備え、処理装置2は、検査対象物を撮像する画像入力手段21と、撮像した画像データを外部記憶装置3に送信する画像処理手段22と、外部記憶装置3への検査結果蓄積を検知した際に外部記憶装置3から検査結果を取得する結果取得手段24と、取得した検査結果を出力する出力手段25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査システム及び画像検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肌着などの製品では、図9に示すように、品名やサイズ、加工方法等の特徴を記載した各種能書き100,101,102,103,104が、製品を包装するフィルムや箱などの包装材に印刷若しくはシール貼りされている。また、中身の製品を確認できるのぞき窓が箱などの包装材に形成されている場合には、包装材表面に印刷等された能書きの他、のぞき窓を介して確認できる製品の所定部分に、能書きが取り付けられている。
【0003】
上記各種能書きの組み合わせ間違いが発生した場合、その製品を購入した需要者に不利益を与えることになると共に、偽装表示と受け取られかねない事態となる。
【0004】
このような能書きの組み合わせ間違いが発生しないように、製品の製造工程においては、たとえば検査員の目視検査等によって検査されている。目視検査では、検査員の感覚、経験あるいは疲労状態などによって、検査基準がばらついたり、欠陥部分が見逃されたりする場合がある。さらに、所望の数量の製品を、予め定められた時間内に製造する場合には、検査員は、一定時間内に製品に発生し得る欠陥部分を見逃すことなく目視検査しなければならない。したがって、この場合、検査員の身体的負担が大きくなるという問題がある。
【0005】
そこで、上記の問題を解決するために、CCDカメラ等の画像入力装置により検査対象物である製品を撮影した画像を画像処理によって検査する画像検査装置が実用化されている。このような画像検査装置は、検査対象である製品についての撮影画像と、検査の基準となる良品の撮像画像(マスター画像)とを比較し、画像の図柄(パターン)を特徴量として算出する画像処理アルゴリズムを用いて、画像の中から欠陥部分を検出する。
【0006】
このような画像検査装置を用いて、複数の製品生産拠点で製造された製品の検査・管理を行う画像検査システムとして、図10に示すようなシステムが知られている。この画像検査システム110は、各製品生産拠点(工場A,B,C,D)の検査部門や管理部門に設置される画像処理装置111と、検査結果が保存されるサーバ112と、検査結果を管理する統括コンピュータ113とが、ネットワークを介して接続されている。
【0007】
このように構成された画像検査システム110においては、まず、各生産拠点に設置された画像検査装置111が、検査対象物の画像データを取得し、マスター画像(良品の画像データ)と比較した上で、“欠陥無し”、或いは、“欠陥有り”といった検査結果を判定し、その検査結果をネットワークに接続されたサーバ112の記憶装置に送信保存する。サーバ112に検査結果が保存されると、統括コンピュータ113が保存された検査結果を取得し、検査結果の管理を行う。統括コンピュータ113が取得した検査結果は、欠陥の発生理由や発生頻度の算出に供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した画像検査システムにおいては、各製品生産拠点の検査部門や管理部門のそれぞれが、検査対象物の欠陥の有無を判定する検査機能を有する画像検査装置を備える必要があり、コスト面で大きな負担になるという問題があった。
【0009】
また、各製品生産拠点においては、それぞれ異なる製品を生産しているのが実情であり、製品の製造個数が各生産拠点で同等であることはまずない。この結果、各製品生産拠点に設置される各画像検査装置の作動頻度にバラツキが生じ、効率的な画像検査装置の運用が難しいという問題もあった。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、低コストで効率的な運用を可能とする画像検査システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、検査対象物における欠陥を検査する画像検査システムであって、検査対象物の画像データを外部記憶装置に送信可能な処理装置と、検査装置とを有し、前記外部記憶装置は、前記処理装置から送信された前記画像データを蓄積する画像データ記憶部と、前記検査装置から送信された検査結果を蓄積する検査結果記憶部とを備え、前記検査装置は、前記外部記憶装置への前記画像データの蓄積状況を監視する画像データ蓄積状況監視手段と、前記画像データ蓄積状況監視手段が前記画像データの蓄積を検知した際に前記外部記憶装置から前記画像データを取得する画像データ取得手段と、取得した前記画像データ及び検査基準となる基準画像データに基づき検査結果を判定する判定手段と、前記検査結果を前記外部記憶装置に送信する結果送信手段とを備え、前記処理装置は、前記検査対象物を撮像する画像入力手段と、撮像して得た画像データを前記外部記憶装置に送信する画像処理手段と、前記外部記憶装置への前記検査結果の蓄積状況を監視する検査結果蓄積状況監視手段と、前記検査結果蓄積状況監視手段が前記検査結果の蓄積を検知した際に前記外部記憶装置から前記検査結果を取得する結果取得手段と、取得した前記検査結果を出力する出力手段とを備える画像検査システムにより達成される。
【0012】
また、上記画像検査システムにおいて、前記外部記憶装置は、前記処理装置から送信された前記画像データを蓄積する画像データ記憶部と、前記検査装置から送信された検査結果を蓄積する検査結果記憶部とを備えることが好ましい。
【0013】
また、前記外部記憶装置は、検査基準となる前記基準画像データを記憶する基準画像記憶部を備えており、前記検査装置は、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データに対応する前記基準画像データを前記基準画像記憶部から取得する基準画像取得手段を備えることが好ましい。
【0014】
また、前記画像処理手段は、撮像した前記画像データを圧縮データ形式又は非圧縮データ形式のデータ形式で生成し、前記外部記憶装置に送信することが好ましい。
【0015】
また、前記画像入力手段は、スキャナーであることが好ましい。
【0016】
また、前記処理装置及び前記外部記憶装置は、ネットワークを介して接続されていることが好ましい。
【0017】
また、前記外部記憶装置及び前記検査装置は、ネットワークを介して接続されていることが好ましい。
【0018】
また、前記検査装置を複数備えており、各前記検査装置は、前記外部記憶装置に蓄積された複数の画像データを分散して検査結果を判定することが好ましい。
【0019】
また、一の前記検査装置は、検査結果を判定する処理を開始する指令を他の前記検査装置に送信する処理開始指令手段を備えることが好ましい。
【0020】
また、上記目的は、ネットワークを介して接続される処理装置、外部記憶装置及び検査装置により検査対象物における欠陥を検査する画像検査方法であって、処理装置を用いて検査対象物の画像データを処理する第1処理ステップと、検査装置を用いて検査を行う検査ステップと、前記処理装置を用いて検査結果を処理する第2処理ステップとを備え、前記第1処理ステップは、前記検査対象物を撮像する画像入力ステップと、撮像して得た画像データを前記外部記憶装置に送信する画像処理ステップとを備え、前記検査ステップは、前記外部記憶装置への前記画像データの蓄積状況を監視する画像データ蓄積状況監視ステップと、前記画像データ蓄積状況監視ステップが前記画像データの蓄積を検知した際に前記外部記憶装置から前記画像データを取得する画像データ取得ステップと、取得した前記画像データ及び検査基準となる基準画像データに基づき検査結果を判定する判定ステップと、前記検査結果を前記外部記憶装置に送信する結果送信ステップとを備え、前記第2処理ステップは、前記外部記憶装置への前記検査結果の蓄積状況を監視する検査結果蓄積状況監視ステップと、前記検査結果蓄積状況監視ステップが前記検査結果の蓄積を検知した際に前記外部記憶装置から前記検査結果を取得する結果取得ステップと、取得した前記検査結果を出力する出力ステップとを備える画像検査方法により達成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、低コストで効率的な運用を可能とする画像検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像検査システムの概略構成図である。
【図2】図1に示す画像検査システムの概略構成ブロック図である。
【図3】検査対象物の欠陥の有無を判定する際の手法を説明する説明図である。
【図4】図1に示す画像検査システムの作動を説明する概略構成図である。
【図5】図1に示す画像検査システムの変形例を示す概略構成図である。
【図6】図1に示す画像検査システムの他の変形例を示す概略構成図である。
【図7】図1に示す画像検査システムの他の変形例を示す概略構成図である。
【図8】図1に示す画像検査システムの他の変形例を示す概略構成図である。
【図9】製品の包装に付される能書きを説明する説明図である。
【図10】従来の画像検査システムの構成及び作動を説明する概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る画像検査システムは、検査対象物における欠陥を検査する検査システムであり、以下、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像検査システム1の概略構成を示す構成図であり、図2は、本画像検査システム1のブロック図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る画像検査システム1は、検査対象物の画像データを外部記憶装置3に送信可能な処理装置2と、検査装置4とを備えている。処理装置2、外部記憶装置3及び検査装置4は、通信ネットワーク5を介して接続されている。通信ネットワーク5は、パケット交換ネットワークのような通常のネットワークであり、接続された様々な要素間での情報交換を促す。ネットワークは、通常のイーサーネット、高速イーサーネット、トークンリング等のようなローカルエリアネットワーク(LAN)や、無線LAN等でもよい。更に、ネットワークは、仮想プライベートネットワーク(VPN)により遠隔ユーザとの通信を促すインターネットのような広域ネットワーク(WAN)でもよいし、或いはネットワークはLAN及びWANの組み合わせでもよい。更に、ネットワーク5は多種多様な媒体を使って形成されてよく、例えば電気的なワイヤやケーブル、光学的な又は無線の接続でもよいが、これらに限定されない。
【0025】
外部記憶装置3は、図2に示すように、処理装置2から送信される画像データを蓄積する画像データ記憶部31と、検査装置4から送信される検査結果を蓄積する検査結果記憶部32とを備えている。この外部記憶装置3としては、例えば、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータ等におけるハードディスク(HDD)等の記憶領域を活用することができる。
【0026】
画像データ記憶部31は、各処理装置2に対応した記憶領域を備えている。具体的には、各処理装置2に対応した識別名称等がそれぞれ付された複数のフォルダやディレクトリを有している。各処理装置2から送信された画像データは、それぞれの処理装置2に対応する記憶領域に格納され、異なる処理装置2から送信される画像データが、同一の記憶領域内に保存されないように構成されている。検査結果記憶部32も、上記画像データ記憶部31と同様に構成されており、各処理装置2に対応した記憶領域を備えている。
【0027】
処理装置2は、例えば複数の工場(製品生産拠点)における検査部や管理部等にそれぞれ設置される装置であり、図2のブロック図に示すように、画像入力手段21と、画像処理手段22と、検査結果蓄積状況監視手段23と、結果取得手段24と、出力手段25とを備えている。本実施形態においては、画像処理手段22、検査結果蓄積状況監視手段23、結果取得手段24及び出力手段25の機能をコンピュータに持たせるように構成している。
【0028】
画像入力手段21は、検査対象物を撮像する撮像装置であり、例えば、CCDカメラやスキャナー等を例示することができる。なお、画像入力手段21としては、設置の簡便性等を考慮して、コンピュータ等にUSB接続できるUSBカメラタイプのものが好ましい。本実施形態においては、USB接続できるスキャナーを画像入力手段21として採用している。
【0029】
画像処理手段22は、画像入力手段21で撮像した映像をJPEG形式やTIFF形式等の圧縮データ形式又はBMP形式等の非圧縮データ形式の画像データに変換した後、この画像データを外部記憶装置3に送信する機能を有している。外部記憶装置3に送信される画像データは、外部記憶装置3の画像データ記憶部31に保存される。このとき、画像データを取得した処理装置2に対応する記憶領域にデータ保存される。
【0030】
検査結果蓄積状況監視手段23は、外部記憶装置3への検査結果の蓄積状況を監視する機能、すなわち、検査装置4から送信された検査結果データが外部記憶装置3に保存されたか否かを判定する機能を有する。検査結果データの蓄積状況の監視は、常時行うように構成してもよく、或いは、数秒おき又は数分おき等、所定時間をあけて監視するように構成してもよい。
【0031】
結果取得手段24は、検査結果蓄積状況監視手段23が検査結果の新たな蓄積を検知した際にこの新たな検査結果を外部記憶装置3から取得する機能を有している。なお、取得した検査結果(検査結果データ)を外部記憶装置3から削除するように結果取得手段24を構成してもよい。
【0032】
出力手段25は、取得した検査結果を出力する機能を有しており、例えば、コンピュータのモニター画面等の表示手段に検査結果を表示するように構成されている。
【0033】
検査装置4は、例えばCPUやHDD等を備えるコンピュータであり、図2のブロック図に示すように、画像データ蓄積状況監視手段41と、画像データ取得手段42と、判定手段43と、結果送信手段44とを備えている。
【0034】
画像データ蓄積状況監視手段41は、外部記憶装置3への画像データの蓄積状況を監視する機能、すなわち、処理装置2から送信された画像データが外部記憶装置3に保存されたか否かを判定する機能を有する。画像データの蓄積状況の監視は、常時行うように構成してもよく、或いは、数秒おき又は数分おき等、所定時間をあけて監視するように構成してもよい。
【0035】
画像データ取得手段42は、画像データ蓄積状況監視手段41が画像データの新たな蓄積を検知した際にこの新たに蓄積された画像データを外部記憶装置3から取得する機能を有している。なお、取得した画像データを外部記憶装置3から削除するように画像データ取得手段42を構成してもよい。
【0036】
判定手段43は、画像データ取得手段42が取得した画像データ及び検査基準となる基準画像データ(マスター画像データ)に基づき検査結果を判定する機能を有する。ここで、検査の基準となるマスター画像データは、良品の画像データであり、予めデータ取得された上、ネットワーク5を介して、検査装置4が備える記憶部(図示せず)に格納されている。取得した画像データとマスター画像データとに基づいた検査結果の判定は、公知の種々の方法により行うことができるが、例えば、取得した画像データとマスター画像データとの差分画像データを生成し、この差分画像データが所定の閾値を満たすか否かにより検査結果の判定を行うことができる。差分画像データが閾値以下であれば“欠陥無し”と判定され、閾値を越えるようであれば“欠陥有り”と判定される。なお、検査対象物の画像データと、マスター画像データとを比較する場合、例えば、図3に示すように、検査対象物Zの画像データから、必要な部分のみを抽出した上、抽出画像データ(A1〜A7)と、この抽出画像データに対応するマスター画像データ同士を比較して欠陥の有無を検出するように構成してもよい。ここで、図3に示す検査対象物Zは、商品の包装材に印刷又はシール貼り、或いは取り付けられる能書きの一例である。
【0037】
“欠陥無し”或いは“欠陥有り”といった検査結果は、検査を行った画像データに対応する識別番号等の画像データ情報と共に検査結果データに格納される。検査結果データのファイル形式は特に限定されないが、例えば、XML形式やCSV8のテキストファイルが好ましい。
【0038】
結果送信手段44は、判定手段43にて判定した検査結果を外部記憶装置3に送信する機能を有している。具体的には、検査を行った画像データに対応する各種情報や、“欠陥無し”或いは“欠陥有り”といった検査結果等が記載された検査結果データを外部記憶装置3に送信する。送信された検査結果データは、外部記憶装置3の検査結果記憶部32に格納される。このとき、画像検査を行った画像データを取得した処理装置2に対応する記憶領域にデータ保存される。
【0039】
このように構成された画像検査システム1の作動について図2及び図4を用いて説明する。なお、図4において、画像入力手段21を備える処理装置2は、各工場(工場A,工場B、工場C,工場D)に設置されている。また、ネットワーク5を介して接続される外部記憶装置3における画像データ記憶部31は、各工場に対応した記憶領域(フォルダ:31a,31b,31c,31d)を有している。また、検査結果記憶部32も各工場に対応した記憶領域(フォルダ:32a,32b,32c,32d)を有している。
【0040】
まず、各工場において、処理装置2における画像入力手段21が検査対象物の画像データを撮像する(画像入力ステップS1)。その後、処理装置2における画像処理手段22が、画像入力手段21で撮像した映像を圧縮データ形式又は非圧縮データ形式の画像データに変換した後、この画像データを外部記憶装置3に送信する(画像処理ステップS2)。
【0041】
外部記憶装置3に送信された画像データは、画像データ記憶部31における各工場に対応した記憶領域(フォルダ:31a,31b,31c,31d)内にそれぞれ保存される。例えば、工場Aで取得された画像データは、画像データ記憶部31において工場Aと識別される記憶領域31aに、工場Bで取得された画像データは、工場Bと識別される記憶領域31bにそれぞれ保存される。
【0042】
検査装置4における画像データ蓄積状況監視手段41は、外部記憶装置3への画像データの蓄積状況を監視しており、外部記憶装置3における画像データ記憶部31に各工場から送信された画像データが保存されたか否かを判定する(画像データ蓄積状況監視ステップS3)。そして、新たな画像データが画像データ記憶部31に蓄積されたと判定した場合、画像データ取得手段42が、外部記憶装置3からこの新たに蓄積された画像データを取得する(画像データ取得ステップS4)。
【0043】
その後、検査装置4の判定手段43が、画像データ取得手段42が取得した画像データと、検査基準となる基準画像データ(マスター画像データ)とに基づき検査結果を判定する(判定ステップS5)。例えば、両者の差分画像データを算出し、この差分画像データが所定の閾値以下であれば“欠陥無し”と判断し、閾値以上であれば“欠陥有り”と判断する。
【0044】
判定手段43により判定された検査結果は、XML形式やCSV形式等のテキストファイルである検査結果データに格納され、結果送信手段44が、外部記憶装置3に送信する(結果送信ステップS6)。なお、検査結果データには、検査を行った検査対象物を特定する情報(例えば、工場名称、製品シリアルナンバー、画像取得日時等)も付加されている。また、各検査結果データは、画像検査を行った画像データを取得した各工場に対応する記憶領域(フォルダ:32a,32b,32c,32d)にそれぞれデータ保存される。例えば、工場Aで取得された画像データの検査結果データは、外部記憶装置3の検査結果記憶部32において工場Aと識別される記憶領域32aに、工場Bで取得された画像データの検査結果データは、工場Bと識別される記憶領域32bにそれぞれ保存される。
【0045】
処理装置2の検査結果蓄積状況監視手段23は、外部記憶装置3への検査結果の蓄積状況を監視しており、外部記憶装置3における検査結果記憶部32に検査装置4から送信された検査結果データが保存されたか否かを判定する(検査結果蓄積状況監視ステップS7)。そして、新たな検査結果データが検査結果記憶部32に蓄積されたことを検知した場合、処理装置2の結果取得手段24が、外部記憶装置3からこの新たに蓄積された検査結果データを取得する(結果取得ステップS8)。
【0046】
その後、処理装置2の出力手段25が、取得した検査結果データに基づいて、モニター画面等の表示手段に検査結果を表示する(出力ステップS9)。表示手段に表示された検査結果を検査担当者等が確認し、“欠陥有り”と判断された製品を製造ラインから除外し、市場に流通することを避ける。
【0047】
本実施形態に係る画像検査システム1においては、各製品生産拠点において取得した検査対象物の画像データを集約して欠陥の有無を判定するように構成されている。この結果、各製品生産拠点の検査部門や管理部門のそれぞれが、検査対象物の欠陥の有無を判定する検査機能を有する装置を備える必要がなく、低コストで画像検査システム1を構築することができる。
【0048】
また、各製品生産拠点において取得した検査対象物の画像データを集約して検査処理を一括して行うことができる結果、従来問題となっていたような各製品生産拠点間において生じる検査頻度のバラツキの影響を受けずに、効率的な画像検査システム1の運用が可能となる。
【0049】
以上、本発明に係る画像検査システム1の実施形態について説明したが、画像検査システム1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、検査装置4が、画像検査の検査基準となる基準画像データ(マスター画像データ)を予め記憶するように構成されているが、図5の概略構成図に示すように、外部記憶装置3が、基準画像データ(マスター画像データ)を記憶する基準画像記憶部33を備えるように構成してもよい。このような構成を採用した場合、検査装置4が、画像データ取得手段42が取得する画像データに対応する基準画像データを基準画像記憶部33から取得する基準画像取得手段(図示せず)を備えるように構成する。このような構成によれば、基準画像データの保守管理が簡便となる。なお、外部記憶装置3における基準画像記憶部33は、品名やサイズ、加工方法等の製品情報に対応した記憶領域(フォルダ:33a,33b,33c,33d)備えており、具体的には、各製品情報に対応した識別名称等がそれぞれ付された複数のフォルダを有しており、各記憶領域(フォルダ)にそれぞれの製品に対して画像取得される検査対象物の基準画像データが格納されるように構成してもよい。また、前記基準画像記憶部33が、各工場における処理装置2に対応した記憶領域を有しており、各記憶領域(フォルダ)にそれぞれの工場で画像取得される検査対象物の基準画像データを格納するように構成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、処理装置2から送信される画像データを記憶する画像データ記憶部31と、検査装置4から送信される検査結果データを記憶する検査結果記憶部32とが、単一の外部記憶装置3内に格納されるように構成されているが、このような構成に特に限定されず、図6に示すように、画像データ記憶部31と検査結果記憶部32とが別々の外部記憶装置3a,3b内に格納されるように構成してもよい。また、検査装置4の記憶部内に基準画像データを格納する代わりに、図7に示すように、更に別の外部記憶装置3c内に基準画像データを格納するように構成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、処理装置2が備える出力手段25が、モニター等の表示手段に検査結果を表示するように構成されているが、このような構成に限定されず、例えば、“欠陥有り”の製品を自動的に振り分けるような装置や、“欠陥有り”と判断された場合に点灯するライト、警告音を発するスピーカー等の外部機器に検査結果を出力するように構成することもできる。
【0052】
また、上記実施形態においては、単一の検査装置4を備える構成であるが、このような構成に特に限定されない。例えば、図8に示すように、複数の検査装置4a,4bを複数備えるように構成し、工場A,B,C,Dにより取得された各検査対象物の画像データを各検査装置4a,4bに振り分けて画像検査を行うように構成してもよい。なお、各検査装置4a,4bは、通信ネットワーク5を介して接続されている。具体的には、検査装置4aが備える画像データ蓄積状況監視手段41が、例えば、外部記憶装置3における画像データ記憶部31の工場A及び工場Bに対応する記憶領域31a,31bにおける画像データの蓄積状況を監視する一方、検査装置4bの画像データ蓄積状況監視手段41が、画像データ記憶部31の工場C及び工場Dに対応する記憶領域31c,31dにおける画像データの蓄積状況を監視するように構成する。そして、各画像データ蓄積状況監視手段41が、画像データ記憶部31への新たな画像データの蓄積を検知した場合、検査装置4a,4bの各画像データ取得手段42が、外部記憶装置3から新たに蓄積された画像データをそれぞれ取得し、判定手段43が、取得した画像データと基準画像データとの比較を行い、結果送信手段44が、検査結果を外部記憶装置3の検査結果記憶部32に送信するように構成することもできる。なお、検査結果の一元管理が必要な場合には、例えば、検査装置4bが判定した検査結果を外部記憶装置3の検査結果記憶部32に送信する際に、検査装置4aにも送信し、当該検査装置4aにて検査結果を保存管理すればよい。
【0053】
また、検査装置を複数備える場合の具体例としては、上記の他、例えば、各検査装置4a,4bが、外部記憶装置3における画像データ記憶部31の全ての記憶領域31a,31b,31c,31dにおける画像データの蓄積状況を監視し、一の検査装置4aが、“busy”のとき、つまり、画像検査処理件数が多く、検査装置4aだけでは検査結果の出力(結果送信ステップS6)が遅れてしまうような場合に、他の検査装置4bが、検査装置4aを補助して画像検査を行うように構成することもできる。具体的には、一の検査装置4aが、検査結果を判定する処理を開始する指令(作動指令)を他の検査装置4bに送信する処理開始指令手段(図示せず)を備えるように構成する。ここで、他の検査装置4bへの作動指令は、例えば、一の検査装置4aが所定の処理速度以下となった際に、検査装置4aから検査装置4bにネットワーク5を介して送信される。また、一の検査装置4aから他の検査装置4bに送信される作動指令には、外部記憶装置3の画像データ記憶部31におけるどの記憶領域(フォルダ)に蓄積された画像データの画像検査を行うかを示す情報を含むようにしてもよい。
【0054】
このように、複数の検査装置4a,4bを備え、画像検査処理の分散化を図るように構成することにより、製品生産拠点に設置される処理装置2が増加したり、或いは、検査対象物の検査内容が複雑化した場合であっても、画像検査処理が遅延することを効果的に防止でき、画像検査システムのより一層の効果的な運用を可能にすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 画像検査システム
2 処理装置
21 画像入力手段
22 画像処理手段
23 検査結果蓄積状況監視手段
24 結果取得手段
25 出力手段
3,3a,3b,3c 外部記憶装置
31 画像データ記憶部
32 検査結果記憶部
33 基準画像記憶部
4,4a,4b 検査装置
41 画像データ蓄積状況監視手段
42 画像データ取得手段
43 判定手段
44 結果送信手段
5 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物における欠陥を検査する画像検査システムであって、
検査対象物の画像データを外部記憶装置に送信可能な処理装置と、検査装置とを有し、
前記検査装置は、前記外部記憶装置への前記画像データの蓄積状況を監視する画像データ蓄積状況監視手段と、前記画像データ蓄積状況監視手段が前記画像データの蓄積を検知した際に前記外部記憶装置から前記画像データを取得する画像データ取得手段と、取得した前記画像データ及び検査基準となる基準画像データに基づき検査結果を判定する判定手段と、前記検査結果を前記外部記憶装置に送信する結果送信手段とを備え、
前記処理装置は、前記検査対象物を撮像する画像入力手段と、撮像して得た画像データを前記外部記憶装置に送信する画像処理手段と、前記外部記憶装置への前記検査結果の蓄積状況を監視する検査結果蓄積状況監視手段と、前記検査結果蓄積状況監視手段が前記検査結果の蓄積を検知した際に前記外部記憶装置から前記検査結果を取得する結果取得手段と、取得した前記検査結果を出力する出力手段とを備える画像検査システム。
【請求項2】
前記外部記憶装置は、前記処理装置から送信された前記画像データを蓄積する画像データ記憶部と、前記検査装置から送信された検査結果を蓄積する検査結果記憶部とを備える請求項1に記載の画像検査システム。
【請求項3】
前記外部記憶装置は、検査基準となる前記基準画像データを記憶する基準画像記憶部を備えており、
前記検査装置は、前記画像データ取得手段が取得した前記画像データに対応する前記基準画像データを前記基準画像記憶部から取得する基準画像取得手段を備える請求項1または2に記載の画像検査システム。
【請求項4】
前記画像処理手段は、撮像した前記画像データを圧縮データ形式又は非圧縮データ形式のデータ形式で生成し、前記外部記憶装置に送信する請求項1から3のいずれかに記載の画像検査システム。
【請求項5】
前記画像入力手段は、スキャナーである請求項1から4のいずれかに記載の画像検査システム。
【請求項6】
前記処理装置及び前記外部記憶装置は、ネットワークを介して接続されている請求項1から5のいずれかに記載の画像検査システム。
【請求項7】
前記外部記憶装置及び前記検査装置は、ネットワークを介して接続されている請求項1から6のいずれかに記載の画像検査システム。
【請求項8】
前記検査装置を複数備えており、各前記検査装置は、前記外部記憶装置に蓄積された複数の画像データを分散して検査結果を判定する請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像検査システム。
【請求項9】
一の前記検査装置は、検査結果を判定する処理を開始する指令を他の前記検査装置に送信する処理開始指令手段を備える請求項8に記載の画像検査システム。
【請求項10】
ネットワークを介して接続される処理装置、外部記憶装置及び検査装置により検査対象物における欠陥を検査する画像検査方法であって、
処理装置を用いて検査対象物の画像データを処理する第1処理ステップと、検査装置を用いて検査を行う検査ステップと、前記処理装置を用いて検査結果を処理する第2処理ステップとを備え、
前記第1処理ステップは、前記検査対象物を撮像する画像入力ステップと、撮像して得た画像データを前記外部記憶装置に送信する画像処理ステップとを備え、
前記検査ステップは、前記外部記憶装置への前記画像データの蓄積状況を監視する画像データ蓄積状況監視ステップと、前記画像データ蓄積状況監視ステップが前記画像データの蓄積を検知した際に前記外部記憶装置から前記画像データを取得する画像データ取得ステップと、取得した前記画像データ及び検査基準となる基準画像データに基づき検査結果を判定する判定ステップと、前記検査結果を前記外部記憶装置に送信する結果送信ステップとを備え、
前記第2処理ステップは、前記外部記憶装置への前記検査結果の蓄積状況を監視する検査結果蓄積状況監視ステップと、前記検査結果蓄積状況監視ステップが前記検査結果の蓄積を検知した際に前記外部記憶装置から前記検査結果を取得する結果取得ステップと、取得した前記検査結果を出力する出力ステップとを備える画像検査方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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