説明

画像生成装置、ゲーム装置及び情報記憶媒体

【課題】ゲームキャラクタの移動角度や移動速度をリアルタイムに調整して、3次元空間におけるゲームキャラクタ同士の接近、離反を効果的に調整することのできる画像生成装置、ゲーム装置及び情報記憶媒体を提供すること。
【解決手段】複数のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成装置である。ゲームキャラクタの相対的な移動方向及びゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、ゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正する移動角度補正部120と、前記相対的な移動方向及び前記ゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、ゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する移動速度変更部130と、補正された移動方向及び回転角、変更された移動速度に基づき所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手部140とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成装置、ゲーム装置及び情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来格闘技ゲーム等ではゲームキャラクタの移動範囲を原則として2次元平面内に限る2次元概念アクションを採用していた。即ちプレーヤがレバー等を操作してゲームキャラクタの前後移動を入力すると、ゲームキャラクタが敵のゲームキャラクタに対し前後に移動するよう構成されていた。またプレーヤがレバー等を操作してゲームキャラクタの上下移動を入力すると、ゲームキャラクタがジャンプしたりしゃがんだりするよう構成されていた。
【0003】
係る格闘技ゲーム装置においては、プレーヤがゲームキャラクタを前方向に操作すると、常に相手のゲームキャラクタに近づくことが可能であった。
【0004】
ところが、本出願人はゲームキャラクタが3次元空間を自由に動き回って格闘を行う格闘技ゲーム装置の開発を行っている。3次元空間を移動可能なゲームにおいては、ゲーム画面内の前後上下のみならずゲーム画面の手前や奥行き方向への移動も可能である。このため、プレーヤの入力のままにゲームキャラクタを動作させると、3次元空間内でゲームキャラクタ同士がうまくかみ合わず対戦が成立しない恐れもある。
【0005】
また3次元空間を自由に動き回るため各ゲームキャラクタの位置の把握が困難で、操作部からの操作のみでゲームキャラクタ同士がうまくかみ合うようにすることは困難である。
【0006】
従って3次元空間を自由に動き回れるために、ゲームキャラクタ同士がうまく相対することができず、格闘技本来の攻撃防御を楽しむことができないことにもなりかねない。
【特許文献1】国際公開第97/046295号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ゲームキャラクタの移動角度及び移動速度をリアルタイムに調整して、3次元空間におけるゲームキャラクタ同士の接近、離反を効果的に調整することのできる画像生成装置、ゲーム装置及び情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成装置であって、 第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正する移動角度補正手段と、前記移動角度補正手段によって補正された移動方向及び回転角に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
ここにおいて第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向とは、例えば第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタに近づく方向であるとか遠ざかる方向であるとか、横方向とか、お互いの位置関係を基準に定まる方向を意味する。
【0010】
また、第一のゲームキャラクタの移動方向とは、例えば第一のゲームキャラクタの代表点の移動軌跡が表す方向であり、回転角とは、例えば第一のゲームキャラクタの向きを角度表示したものである。
【0011】
本発明によれば第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向やゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、ゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正して最適な又は演出効果の高い移動及び回転を行ったゲームキャラクタの画像を生成することができる。
【0012】
また本発明は、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成装置であって、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する移動速度変更手段と、前記移動速度変更手段によって変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向やゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、ゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに補正して最適な又は演出効果の高い移動速度で移動を行う画像を生成することができる。
【0014】
また本発明は、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成装置であって、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正する移動角度補正手段と、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する移動速度変更手段と、前記移動角度補正手段によって補正された移動方向及び回転角と前記移動速度変更手段によって変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向やゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、ゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正して最適な又は演出効果の高い移動及び回転を行ったゲームキャラクタの画像を生成することができる。
【0016】
また本発明によれば第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向やゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、ゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに補正して最適な又は演出効果の高い移動速度で移動を行う画像を生成することができる。
【0017】
また本発明は前記移動角度補正手段が、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタにより近づく方向に移動するように移動方向を補正する手段を含むことを特徴とする。
【0018】
ここにおいて第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合とは、例えば第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタに対して斜め前方、横、斜め後方等に移動している場合をいう。
【0019】
本発明によればこのような場合本来の移動方向ではなく、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタにより近づく方向に移動するように移動方向を補正した画像を生成することができる。
【0020】
また本発明は前記移動角度補正手段が、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が大きくなるほど補正前の移動方向と補正後の移動方向の差である補正角度が大きくなるよう移動方向を補正する手段を含むことを特徴とする。
【0021】
ここにおいて補正角度が大きくなほど、移動方向の変化が大きくなる。
【0022】
本発明によれば、補正角度を大きくすることによりゲームキャラクタ間の距離が大きくなるほど、ゲームキャラクタの移動方向を大きく変更した画像を生成することができる。
【0023】
また本発明は前記移動角度補正手段が、第一のゲームキャラクタの正面方向が、変更後の移動方向に基づく移動位置において、第二のゲームキャラクタの正面方向に向くように、第一のゲームキャラクタの回転角をリアルタイムに変更する手段を含むことを特徴とする。
【0024】
移動方向が変更されると、移動後の位置も変わるため、第一にゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの向き関係も変化する。従って、第一のゲームキャラクタの回転角を変更しないと、ゲームキャラクタ同士の向きが不自然または不都合になったりする場合もある。
【0025】
本発明によれば第一のゲームキャラクタの向きも、移動方向の変更に応じて第二のゲームキャラクタの正面方向に向くように変更することができる。従って、第一のゲームキャラクタの移動方向の変化に対応した自然な向きである第二のゲームキャラクタの方向に向いた画像を生成することができる。
【0026】
また本発明は前記移動角度補正手段が、第一のゲームキャラクタのモーションデータをリアルタイムに補正することにより第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに変更する手段を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、モーションデータをリアルタイムに補正することにより、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角の変更を実現することができる。従って、ワールド座標系における位置や回転を変化させることなく、移動方向及び回転角を変更した画像を生成することができる。このため、様々なゲーム等に適用できる汎用性の高い画像生成装置を提供することができる。
【0028】
また本発明は前記移動速度補正手段が、第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が大きくなるほど第一のゲームキャラクタの移動速度が大きくなるように移動速度を補正する手段を含むことを特徴とする。
【0029】
第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合とは、例えば第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタに対して斜め前方、横、斜め後方等に移動している場合をいう。
【0030】
本発明によればこのような場合本来の移動速度ではなく、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタから遠いところにいる場合にはより早く接近させることができる。
【0031】
また本発明は前記移動速度変更手段が、第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し反対方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が小さいほど第一のゲームキャラクタの移動速度が大きくなるように移動速度を変更する手段を含むことを特徴とする。
【0032】
第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し反対方向に成分を有している場合とは、例えば第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタに対して後ろ方向、斜め後方等に移動している場合をいう。
【0033】
本発明によればこのような場合本来の移動速度ではなく、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタから近いところにいる場合にはより早く離れさせることができる。従ってゲームキャラクタが接近している場合に素早く逃げられるようにする等の演出効果を得ることができる。
【0034】
また本発明は前記移動速度変更手段が、第一のゲームキャラクタのモーションの再生速度をリアルタイムに変更することにより第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する手段を含むことを特徴とする。
【0035】
モーションの再生速度の変更は例えば以下ような手法で実現することができる。即ち速度を2倍にする場合には、通常の2倍のモーションデータを用意して、2分の1に間引きして再生したり等である。本発明によれば、移動速度に応じたモーションデータが再生される。従って、単にゲームキャラクタ本体を早く移動させる場合と違って、ゲームキャラクタの移動時の動作が不自然とならず、速度に応じた動作をしながら移動する画像を生成することができる。
【0036】
また本発明は3次元空間上を移動可能な第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタが対戦を行うゲーム装置であって、第一のゲームキャラクタの移動方向を入力する手段と、前記移動方向に基づき、請求項1〜10記載の画像生成装置を用いてゲーム画像を生成する手段とを含むことを特徴とする。
【0037】
ゲームキャラクタが3次元空間を自由に動き回る場合、位置関係の把握が困難で、どの方向に動いたら他方のゲームキャラクタに近づけるのか判断するのは難しい。従ってプレーヤの入力のままに動作させるとゲームキャラクタ同士がうまく向き合うことができず対戦が成立しない恐れもある。
【0038】
しかし本発明によれば、ゲームキャラクタ同士が対戦を行うゲーム装置において、ゲームキャラクタ間における相対的な移動方向や位置関係に応じて、ゲームキャラクタの移動方向や回転角、移動速度を変更させることができる。従って、ゲームキャラクタが3次元空間内を自由に動き回っても、ゲームキャラクタ同士がうまく接近するように移動方向を変更することができる。また、移動位置に応じてゲームキャラクタの回転角を変えることにより、ゲームキャラクタ同士が向きあるようにすることができる。そして、ゲームキャラクタの移動方向やゲームキャラクタ間の距離に応じて、ゲームキャラクタの移動速度を変えることにより対戦における攻撃防御に適した動作をさせることが出来る。
【0039】
このように本発明によれば、3次元空間中のゲームキャラクタが最適な対戦を行えるように移動方向や回転角度、移動速度を調節できるゲーム装置を提供することができる。
【0040】
また本発明は第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成するための情報記憶媒体であって、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正するための情報と、補正された移動方向及び回転角に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成するための情報を含むことを特徴とする。
【0041】
また本発明は第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する情報記憶媒体であって、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更するための情報と、変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成するための情報とを含むことを特徴とする。
【0042】
また本発明は第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する情報記憶媒体であって、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正するための情報と、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更するための情報と、補正された移動方向及び回転角と変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成するための情報とを含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、以下では本発明を格闘技ゲームに適用した場合を例にとり説明するが、本発明が適用されるのはこれに限られるものではない。
【0044】
1.ゲーム装置の構成
図1に本実施の形態に係るゲーム装置の機能ブロック図の一例を示す。ここで操作部10は、プレーヤがレバー、ボタン等を操作してゲームキャラクタの操作情報を入力するためのものである。操作部10にて得られた操作情報は処理部100に出力される。
【0045】
処理部100は、この操作情報と、所与のプログラム等に基づいて、表示物を表すオブジェクトが複数配置されて成るオブジェクト空間の所与の視点での画像を生成する処理等を行うものである。この処理部100の機能は、例えばCPU(CICS型、RISC型)、DSP、ASIC(ゲートアレイ等)、メモリなどのハードウェアにより構成される。
【0046】
情報記憶媒体150は、プログラムやデータを記憶するものである。この情報記憶媒体150の機能は、CD−ROM、ゲームカセット、ICカード、MO、FD、DVD、メモリ、ハードディスクなどのハードウェアにより実現できる。処理部100は、この情報記憶媒体150からのプログラム、データに基づいて種々の処理を行うことになる。
【0047】
処理部100は、ゲーム演算部110、画像生成部140を含む。
【0048】
ここでゲーム演算部110は、ゲームモードの設定処理、ゲームの進行処理、ゲームキャラクタの位置や方向、動作を決める処理、視点情報を決める処理等を行う。またゲーム演算部110は、移動角度補正部120と移動速度変更部130を含む。
【0049】
移動角度補正部120は、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正する処理を行う。
【0050】
移動速度変更部130は、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する処理を行う。
【0051】
画像生成部140は、前記移動角度補正部120によって補正された移動方向及び回転角と前記移動速度変更部130によって変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成する処理を行う。画像生成部140により生成された画像は表示部160において表示される。
【0052】
2.本実施形態の特徴
さて本実施形態の第一の特徴は、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動角度をリアルタイムに補正する点にある。ここにおいて移動角度とは移動方向及び回転角のことを意味する。
【0053】
図12(A)(B)は、ゲームキャラクタの移動方向及び回転角の補正について説明するための図である。
【0054】
図12(A)は第一のゲームキャラクタ810に対して横方向の移動入力がおこなわれた場合に、移動方向及び回転角のいずれにも補正をかけない場合を表した図である。このような場合第一のゲームキャラクタ810は、810−1、810−2、…と横方向に移動を続け第二のゲームキャラクタ800から遠ざかっていく。また回転角も補正されないため、第一のゲームキャラクタ810の向き812は、ワールド座標系等の絶対座標軸にたいして常に最初と同じ方向(812−1)を向いている。このため、第一のゲームキャラクタが移動するにつれてその向き(812−1、812−2、…)は、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタとを結ぶ軸方向(820−1、820−2、…)からずれてくる。即ちゲームキャラクタ同士が向き合わなくなる。
【0055】
図12(B)は第一のゲームキャラクタ830に対して横方向の移動入力がおこなわれた場合に、移動方向及び回転各に補正をかけた場合を表した図である。このような場合第一のゲームキャラクタ830は、830−1、830−2、…と渦巻き上の軌道を描き第二のゲームキャラクタ800に近づいていく。また回転角も補正され、第一のゲームキャラクタ830の向き832は、常に第二のゲームキャラクタの方向(832−1、832−2、…)となる。このため、第一のゲームキャラクタが移動しても、その向きは第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタとを結ぶ軸方向(840−1、840−2、…)と一致している。
【0056】
次にゲームキャラクタの移動方向と補正される方向との関係について説明する。
【0057】
本実施の形態では、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタにより近づく方向に移動するように移動方向の補正を行う。
【0058】
図2(A)〜(E)は、移動方向の補正例を説明するための図である。図2(A)〜(E)の204は第一のゲームキャラクタ200の第二のゲームキャラクタへの相対的な移動方向(以下相対移動方向という)を判断する際に基準となる軸(以下基準軸という)を表している。図2(A)に示すように第一のゲームキャラクタの移動方向210が、この基準軸204に沿って第二のゲームキャラクタに向かう方向である場合、第一のゲームキャラクタの相対移動方向は前方である。
【0059】
また図2(B)に示すように第一のゲームキャラクタの移動方向220が、この基準軸204に沿って第二のゲームキャラクタから遠ざかる方向である場合、第一のゲームキャラクタの相対移動方向は後ろ方である。
【0060】
図2(A)(B)に示すように第一のゲームキャラクタの相対移動方向が前方又は後ろ方向である場合には、基準軸204に対して垂直な方向に成分を有していない。このような場合には、本実施の形態では、第二のゲームキャラクタの移動方向210、220に対し特に補正を行わない。
【0061】
しかし、図2(C)に示すように、第一のゲームキャラクタの移動方向230が、基準軸204に対して垂直である場合、第一のゲームキャラクタの相対移動方向は横方向である。このような場合は第一のゲームキャラクタの移動方向230が基準軸204に対して垂直な方向に成分を有している場合に該当し、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタにより近づく方向に移動するように補正を行いその補正後の移動方向は232のようになる。
【0062】
また、図2(D)に示すように、第一のゲームキャラクタの移動方向240が、基準軸204に対して斜めに前進する方向である場合、第一のゲームキャラクタの相対移動方向は斜め前方である。このような場合は第一のゲームキャラクタの移動方向240が基準軸204に対して垂直な方向に成分244を有しているため、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタにより近づく方向に移動するように補正を行い、その補正後の移動方向は242のようになる。
【0063】
また、図2(E)に示すように、第一のゲームキャラクタの移動方向250が、基準軸204に対して斜め後ろ後退する方向である場合、第一のゲームキャラクタの相対移動方向は斜め後方である。このような場合は第一のゲームキャラクタの移動方向250が基準軸204に対して垂直な方向に成分254を有しているため、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタにより近づく方向に移動するように補正を行い、その補正後の移動方向は252のようになる。
【0064】
図3は、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの位置関係と補正後の移動軌道の関係を説明するための図である。
【0065】
310は第二のゲームキャラクタ300に対して近い距離にいる第一のゲームキャラクタを、320は第二のゲームキャラクタ300に対して離れた距離にいる第一のゲームキャラクタを表したものである。
【0066】
332、334、336は、第二のゲームキャラクタ300に対して近い距離にいる第一のゲームキャラクタ310の相対移動方向がそれぞれ斜め前、横、斜め後ろである場合の補正後の軌道を表したものである。
【0067】
相対移動方向が斜め前、横方向の場合補正後の軌道は332、334に示すように第二のゲームキャラクタ300を中心として渦巻き状の軌跡となる。なお実際のゲーム上ではお互いのゲームキャラクタ同士のボディヒット等により押し戻され、想定円350上の軌跡に収束していくことになる。
【0068】
また相対移動方向が斜め後ろの場合、336に示すように渦巻き上に相手から遠ざかって行くような軌跡を描く。
【0069】
このようにゲームキャラクタ同士の距離が近い場合、相対移動方向が真横もしくは斜め前である場合、移動時の角度、移動速度ともに穏やかに相手に接近するよう補正が行われる。また相対移動方向が斜め後ろの場合は遠い時よりも移動時の角度、移動速度の変化量が大きくなるよう補正が行われる。
【0070】
342、344、346は、第二のゲームキャラクタ300に対して離れた距離にいる第一のゲームキャラクタ320の相対移動方向がそれぞれ斜め前、横、斜め後ろである場合の補正後の軌道を表したものである。
【0071】
このようにゲームキャラクタ同士の距離が遠い場合、相対移動方向が真横もしくは斜め前である場合、移動時の角度、移動速度ともに急激に相手に接近するよう補正が行われる。また相対移動方向が斜め後ろの場合は近い時よりも移動時の角度、移動速度の変化量が小さくなるよう補正が行われる。
【0072】
本実施の形態では、距離が離れる程急激に相手に接近するように移動方向を補正するために、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が大きくなるほど補正前の移動方向と補正後の移動方向の差である補正角度が大きくなるように移動方向の補正を行っている。
【0073】
図4は、第二のゲームキャラクタ400に対する第一のゲームキャラクタ410の相対移動方向が横方向である場合の移動方向の変化と補正角度について説明するための図である。410−1、410−2、410−3は各フレーム毎の第一のゲームキャラクタ410の位置の変化を模式的に表したものである。420は補正前の移動方向を表しており422は補正後の移動方向を表している。
【0074】
410−1の位置において第一ゲームキャラクタ410は相対移動方向が横方向であるため本来なら420の方向に移動するはずである。しかし本実施の形態では第二のゲームキャラクタに近づく方向に移動方向の補正を行っているため422の方向に移動して、次のフレームでは410−2の位置にくることになる。この補正前の移動方向420と補正後の移動方向422の差であるθ1、θ2を補正角度とよぶ。補正角度は各フレーム毎の補正の割合を示す。
【0075】
この補正角度は例えば以下のようにして決定される。即ち本実施の形態では、ゲームキャラクタの相対移動方向及びゲームキャラクタ間の距離に応じて移動方向の補正の割合を決定するための理想移動角度を決定する。この理想移動角度が大きくなるほど補正の割合が大きいことを意味する。そしてこの理想移動角度に基づき各フレーム毎の補正の割合を示す補正角度を以下のように決定する。
【0076】
θ1、θ2、…θn−1、θnは、図4に示すように各フレーム毎の補正角度を表す。
【0077】
θ1=理想移動角度×補正率
θ2=(理想移動角度−θ1)×補正率
θn=(理想移動角度−θ1−…θn−1)×補正率
ここにおいて補正率とは理想補正角度に基づき各フレーム毎の補正角度を割り出すために設定された値であり、例えばある理想移動角度で50フレームに渡り補正を行うとすれば、各フレームあたり50分の1で補正率は0、02となる。
【0078】
次に回転角の補正について説明する。
【0079】
本実施の形態では、第一のゲームキャラクタの正面方向が、変更後の移動方向に基づく移動位置において、第二のゲームキャラクタの正面方向に向くように、第一のゲームキャラクタの回転角をリアルタイムに変更する処理を行う。
【0080】
図5(A)(B)は、ゲームキャラクタの移動に伴う回転角の変更について説明するための図である。図5(A)は、第一のゲームキャラクタが510から520に移動する場合に回転角の変更を行わない例を示したものである。このような場合移動前に第二のゲームキャラクタ500の方向(512)を向いていた第一のゲームキャラクタは、移動後は522の方向を向くことになる。従って第一のゲームキャラクタは移動後には第二のゲームキャラクタの方向(542)を向いていないことになる。
【0081】
しかし、格闘技ゲーム等においては、ゲームキャラクタの前後の移動方向を各ゲームキャラクタを結ぶ軸方向である基準軸(512、532、542)と一致させるように構成する場合が多い。従って、ゲームキャラクタは原則として基準軸の前方向を向いていることが好ましい。
【0082】
そこで本実施の形態では、図5(B)に示すように、移動後の位置においても第一のゲームキャラクタが基準軸の前方向(542)を向くようにαだけ回転角の変更を行っている。
【0083】
なお、図12において説明したように移動方向を補正する場合には、補正後の移動位置において、第一のゲームキャラクタが基準軸の前方向を向くように回転角の変更が行われる。
【0084】
このように移動位置に併せて回転角を調整することで、ゲームキャラクタに常に基準軸の前方向を向かせることができる。
【0085】
また、本実施の形態では、移動方向及び回転角の補正を、第一のゲームキャラクタのモーションデータをリアルタイムに補正することにより実現している。
【0086】
図6は(A)〜(F)は、モーションデータによる移動方向及び回転角の補正を説明するための図である。
【0087】
図6(A)(B)(C)は、それぞれ第一のゲームキャラクタの移動に際して移動方向及び回転角の補正を行わない場合の配置状態、ワールド座標系における位置データと回転データの内容、第一のゲームキャラクタのローカル座標系におけるモーションデータの表す内容を模式的に表したものである。また、図6(D)(E)(F)は、それぞれ第一のゲームキャラクタ620の移動に際して移動方向及び回転角の補正を行った場合の配置状態、ワールド座標系における位置データと回転データの内容、第一のゲームキャラクタのモーションデータの表す内容を模式的に表したものである。
【0088】
図6(A)(D)に示すように、補正前と補正後の第一のゲームキャラクタの配置状態(630と640)は異なっている。ところが、図6(B)(E)に示すように補正前の630及び補正後の640にたいして第一のゲームキャラクタに与えられたワールド座標系上の位置座標WP3及び回転角Wθ3(650、660)は同じである。即ち、移動方向及び回転角の補正は、ワールド座標系上の位置座標WP3及び回転角Wθ3を補正することなく実現されている。
【0089】
その代わり図6(C)(F)に示すように650及び660に配置されるべき補正前と補正後モーションデータの表す内容が異なっている。図6(C)は図6(B)の650に配置される補正前のモーションデータの表す内容を模式的に表したものであり、図6(F)は図6(E)の660に配置される補正後のモーションデータの表す内容を模式的に表したものである。670をモーションデータ特定するためのローカル座標系の空間とし、KPを当該ローカル座標系の基準点とする。この基準点が前記図6(B)の650、及び図6(E)の660に一致し、回転角がWθ3となるように配置すると(実際はモーションデータに座標変換をほどこす)、図6(A)(D)の630、640に示すように第一のゲームキャラクタが配置されるのである。
【0090】
次に移動速度の変更について説明する。
【0091】
本実施の形態の第二の特徴は、第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する点にある。
【0092】
図13(A)(B)(C)は移動速度の変更について説明するための図である。
【0093】
図13(A)は第一のゲームキャラクタ910が横にまっすぐ走る場合に移動速度の補正を行わない場合の各フレームにおける第一のゲームキャラクタ910の配置(910−1、910−2…)を表した図である。
【0094】
図13(B)は、第一のゲームキャラクタ920が横にまっすぐ走る場合に移動速度の補正をかけた場合の各フレームにおける第一のゲームキャラクタ920の配置(920−1、920−2…)配置を表した図である。
【0095】
図13(C)は、第一のゲームキャラクタ920が横にまっすぐ走る場合に移動速度及び移動角度(移動方向と回転角)の補正をかけた場合の各フレームにおける第一のゲームキャラクタ930の配置(930−1、930−2…)配置を表した図である。
【0096】
まず、本実施の形態におけるゲームキャラクタの移動方向と移動速度の変更との関係について説明する。
【0097】
本実施の形態では、第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が大きくなるほど第一のゲームキャラクタの移動速度が大きくなるように移動速度の補正を行う。
【0098】
第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合には、図2(C)(D)(E)に示すように第一のゲームキャラクタの相対移動方向が横方向である場合、斜め前方である場合、斜め後方である場合等がある。
【0099】
そして図3で説明したように、第一のゲームキャラクタの相対移動方向が横方向又は斜め前方向である場合には、同じ入力がおこなわれてもゲームキャラクタ同士が離れているほど早く移動するのである。離れているゲームキャラクタ同士をより早く接近させるためである。
【0100】
これに対し、第一のゲームキャラクタの相対移動方向が斜め後ろ方向である場合には、同じ入力がおこなわれてもゲームキャラクタ同士が離れているほど遅く移動するのである。離れているゲームキャラクタがより離れるのを防ぐためである。
【0101】
また、第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し反対方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が小さいほど第一のゲームキャラクタの移動速度が大きくなるように移動速度の変更を行う。
【0102】
第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し反対方向の成分を有している場合には、図2(B)(E)に示すように第二のゲームキャラクタの相対移動方向が後ろ方向である場合、斜め後ろ方向である場合等がある。このような場合には、同じ入力がおこなわれてもゲームキャラクタ同士が近いほど早く移動するのである。接近している場合に素早く防御して逃げられるようにするためである。
【0103】
次に本実施の形態における移動速度の変更の実現手法の一例について説明する。本実施の形態では、移動速度の変更をモーションの再生速度をリアルタイムに変更することにより実現している。
【0104】
図7(A)(B)(C)は、モーションの再生速度を変更して移動速度を変化させる手法について概念的に説明するため図である。
【0105】
図7(A)は横にまっすぐ走るモーションになにも補正をかけていない状態のゲームキャラクタの位置変化を模式的に表したものである。即ち、ゲームキャラクタは1フレーム目は710−1に、…、5フレーム目は710−5の位置にくることになる。
【0106】
次にゲームキャラクタを2倍の速度で走らせたい場合には、図7(B)に示すように、5フレーム分のモーションデータとしてその2倍の10フレーム分のモーションデータを用意する。そして図7(B)(C)に示すように1つおきに5フレーム分を再生用のモーションデータとして採用する。そうすると結果として、図7(C)示すように5フレームで進む距離は2倍となる。言い換えれば移動速度が2倍となるのである。
【0107】
このようにすると移動速度に応じたモーションデータが再生される。従って、単にゲームキャラクタ本体を早く移動させる場合と違って、ゲームキャラクタの移動時の動作が不自然とならず、速度に応じた動作をしながら移動する画像を生成することができる。
【0108】
図8、図9は、本実施の形態においてゲームキャラクタの相対移動方向及び相手との距離に基づき移動角度(移動方向と回転角)の補正及び移動速度の変更を行う処理の一例を表すフローチャート図である。
【0109】
まずゲームキャラクタの相手のゲームキャラクタに対する相対移動方向を判断する(ステップS10)。
【0110】
ゲームキャラクタが前方方向(図2(A)の210の方向)に走っていれば、移動速度及び移動角度の変更は行わない(ステップS20、S60)。
【0111】
ゲームキャラクタが後ろ方方向(図2(B)の220の方向)に走っている場合、相手との距離に応じて以下のように処理する(ステップS30、S40)。相手との距離が2.5m以内である場合、移動速度を1.5倍にし、移動角度の補正は行わない(ステップS40、S50)。相手との距離が2.5m以内でない場合、移動速度及び移動角度の補正は行わない(ステップS40、S60)。
【0112】
ゲームキャラクタが斜め前方向(図2(D)の240の方向)に走っている場合、相手との距離に応じて以下のように処理する(ステップS70、S80)。相手との距離が1.4m以内である場合、移動速度を1.125倍にし理想移動角度を46度とした移動角度の補正を行う(ステップS80、S90)。補正後の軌道は図3の332のようになる。
【0113】
相手との距離が1.4m以内でない場合、移動速度を1.175倍にし理想移動角度を70度とした移動角度の補正を行う(ステップS80、S100)。補正後の軌道は図3の342のようになる。
【0114】
ゲームキャラクタが真横方向(図2(C)の230の方向)に走っている場合、相手との距離に応じて以下のように処理する(ステップS110、S120)。相手との距離が1.4m以内である場合、移動速度を1.125倍にし理想移動角度を46度とした移動角度の補正を行う(ステップS120、S130)。補正後の軌道は図3の334のようになる。
【0115】
相手との距離が1.4m以内でない場合、移動速度を1.5倍にし理想移動角度を50度とした移動角度の補正を行う(ステップS120、S140)。補正後の軌道は図3の344のようになる。
【0116】
ゲームキャラクタが斜め後ろ方向(図2(E)の240の方向)に走っている場合、相手との距離に応じて以下のように処理する(ステップS150、S160)。相手との距離が2.5m以内である場合、移動速度を1.5倍にし理想移動角度を−30度とした移動角度の補正を行う(ステップS160、S170)。補正後の軌道は図3の336のようになる。
【0117】
相手との距離が2.5m以内でない場合、移動速度の補正を行わず、理想移動角度を−20度とした移動角度の補正を行う(ステップS160、S180)。補正後の軌道は図3の346のようになる。
【0118】
次に、本実施の形態を実現できるハードウェアの構成の一例について図10を用いて説明する。同図に示す装置では、CPU1000、ROM1002、RAM1004、情報記憶媒体1006、音生成IC1008、画像生成IC1010、I/Oポート1012、1014が、システムバス1016により相互にデータ送受信可能に接続されている。そして前記画像生成IC1010にはディスプレイ1018が接続され、音生成IC1008にはスピーカ1020が接続され、I/Oポート1012にはコントロール装置1022が接続され、I/Oポート1014には通信装置1024が接続されている。
【0119】
情報記憶媒体1006は、プログラム、表示物を表現するための画像情報、音情報等が主に格納されるものであり、CD−ROM、ゲームカセット、ICカード、DVD、MO、FD、メモリ、ハードディスク等が用いられる。例えば家庭用ゲーム装置ではゲームプログラム等を格納する情報記憶媒体としてCD−ROM、ゲームカセット、DVD等が用いられる。また業務用ゲーム装置ではROM等のメモリが用いられ、この場合には情報記憶媒体1006はROM1002になる。
【0120】
コントロール装置1022はゲームコントローラ、操作パネル等に相当するものであり、プレーヤがゲーム進行に応じて行う判断の結果を装置本体に入力するための装置である。
【0121】
情報記憶媒体1006に格納されるプログラム、ROM1002に格納されるシステムプログラム(装置本体の初期化情報等)、コントロール装置1022によって入力される信号等に従って、CPU1000は装置全体の制御や各種データ処理を行う。RAM1004はこのCPU1000の作業領域等として用いられる記憶手段であり、情報記憶媒体1006やROM1002の所与の内容、あるいはCPU1000の演算結果等が格納される。またモーション情報は、このRAM又は情報記憶媒体上に記憶されることになる。
【0122】
更に、この種の装置には音生成IC1008と画像生成IC1010とが設けられていてゲーム音やゲーム画像の好適な出力が行えるようになっている。音生成IC1008は情報記憶媒体1006やROM1002に記憶される情報に基づいて効果音やバックグラウンド音楽等のゲーム音を生成する集積回路であり、生成されたゲーム音はスピーカ1020によって出力される。また、画像生成IC1010は、RAM1004、ROM1002、情報記憶媒体1006等から送られる画像情報に基づいてディスプレイ1018に出力するための画素情報を生成する集積回路である。なおディスプレイ1018として、いわゆるヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれるものを使用することもできる。
【0123】
また、通信装置1024はゲーム装置内部で利用される各種の情報を外部とやりとりするものであり、他のゲーム装置と接続されてゲームプログラムに応じた所与の情報を送受したり、通信回線を介してゲームプログラム等の情報を送受することなどに利用される。
【0124】
そして図1〜図9、図12、図13で説明した種々の処理は、所与の処理を行うプログラムを格納した情報記憶媒体1006と、該プログラムに従って動作するCPU1000、画像生成IC1010、音生成IC1008等によって実現される。なお画像生成IC1010、音生成IC1008等で行われる処理は、CPU1000あるいは汎用のDSP等によりソフトウェア的に行ってもよい。
【0125】
図11(A)に、本実施例を業務用ゲーム装置に適用した場合の例を示す。プレーヤは、ディスプレイ1100上に映し出されたゲーム画像を見ながら、レバー1102、ボタン1104等を操作してゲームを楽しむ。装置に内蔵されるIC基板1106には、CPU、画像合成IC、音合成IC等が実装されている。
【0126】
そしてゲームキャラクタの相対移動方向及びゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づいて、ゲームキャラクタの移動方向や回転角、移動速度を補正変更するための情報等は、システム基板1106上の情報記憶媒体であるメモリ1108に格納される。以下、これらの情報を格納情報と呼ぶ。これらの格納情報は、上記の種々の処理を行うためのプログラムコード、画像情報、音情報、表示物の形状情報、テーブルデータ、リストデータ、プレーヤ情報等の少なくとも1つを含むものである。
【0127】
図11(B)に、本実施の形態を家庭用のゲーム装置に適用した場合の例を示す。プレーヤはディスプレイ1200に映し出されたゲーム画像を見ながら、ゲームコントローラ1202、1204を操作してゲームを楽しむ。この場合、上記格納情報は、本体装置に着脱自在な情報記憶媒体であるCD−ROM1206、ICカード1208、1209等に格納されている。
【0128】
図11(C)に、ホスト装置1300と、このホスト装置1300と通信回線1302を介して接続される端末1304-1〜1304-nとを含むゲーム装置に本実施の形態を適用した場合の例を示す。この場合、上記格納情報は、例えばホスト装置1300が制御可能な磁気ディスク装置、磁気テープ装置、メモリ等の情報記憶媒体1306に格納されている。端末1304-1〜1304-nが、CPU、画像生成IC、音生成ICを有し、スタンドアロンでゲーム画像、ゲーム音を生成できるものである場合には、ホスト装置1300からは、ゲーム画像、ゲーム音を生成するためのゲームプログラム等が端末1304-1〜1304-nに配送される。一方、スタンドアロンで生成できない場合には、ホスト装置1300がゲーム画像、ゲーム音を生成し、これを端末1304-1〜1304-nに伝送し端末において出力することになる。
【0129】
なお本発明は、上記実施の形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。
【0130】
本実施の形態では、ゲームキャラクタ間の距離を所定距離を基準として近い場合と遠い場合に分けて移動速度等の変更処理を分けたが、ゲームキャラクタ間の距離の距離に比例して移動速度を変更したり、理想移動角度を調整してもよい。
【0131】
また本実施の形態では、ゲームキャラクタの相対移動方向を前方、後方、横方向、斜め前方向、斜め後ろ方向等に分けて移動速度等の変更処理を分けたが、ゲームキャラクタの相対移動方向を基準軸に平行な成分と垂直な成分に分けて各成分の割合に応じて移動速度を変更したり、理想移動角度を調整してもよい。
【0132】
また、本実施の形態ではモーションデータの間引きによりモーションの再生速度を変更する場合を例にとり説明したがこれに限られない。例えばモーションデータの補間又は変換等により実現してもよい。
【0133】
また相対移動方向と変更する移動方向の関係や、移動速度の増減は本実施の形態で説明した例に限られない。
【0134】
また実施の形態では格闘技ゲームを例にとり説明したがこれに限られない。ゲームキャラクタが3次元空間を移動して対戦等を行うアクションゲームに広く適用できる。
【0135】
また本発明は、家庭用、業務用のゲーム装置のみならず、シミュレータ、多数のプレーヤが参加する大型アトラクション装置、パーソナルコンピュータ、マルチメディア端末、ゲーム画像を合成するシステム基板等の種々の装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本実施の形態に係るゲーム装置の機能ブロック図の一例である。
【図2】図2(A)〜(E)は、移動方向の補正例を説明するための図である。
【図3】第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの位置関係と補正後の移動軌道の関係を説明するための図である。
【図4】ゲームキャラクタの相対移動方向が横方向である場合の移動方向の変化と補正角度について説明するための図である。
【図5】図5(A)(B)は、ゲームキャラクタの移動に伴う回転角の変更について説明するための図である。
【図6】図6は(A)〜(F)は、モーションデータによる移動方向及び回転角の補正を説明するための図である。
【図7】図7(A)(B)(C)は、モーションの再生速度を変更して移動速度を変化させる手法について概念的に説明するため図である。
【図8】本実施の形態の処理の一例を示すフローチャート図である。
【図9】本実施の形態の処理の一例を示すフローチャート図である。
【図10】本実施の形態を実現できるハードウェアの構成の一例である。
【図11】図11(A)(B)(C)は、本発明が適用される種々の形態の装置を示す図である。
【図12】図12(A)(B)は、ゲームキャラクタの移動方向及び回転角の補正について説明するための図である。
【図13】図13(A)(B)(C)は移動速度の変更について説明するための図である。
【符号の説明】
【0137】
10 操作部
100 処理部
110 ゲーム演算部
120 移動角度補正部
130 移動速度変更部
140 画像生成部
150 情報記憶媒体
160 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成装置であって、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正する移動角度補正手段と、
前記移動角度補正手段によって補正された移動方向及び回転角に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段とを含むことを特徴とする画像生成装置
【請求項2】
第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成装置であって、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する移動速度変更手段と、
前記移動速度変更手段によって変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段とを含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項3】
第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成装置であって、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正する移動角度補正手段と、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する移動速度変更手段と、
前記移動角度補正手段によって補正された移動方向及び回転角と前記移動速度変更手段によって変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段とを含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項4】
請求項1又は3のいずれかにおいて、
前記移動角度補正手段が、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタが第二のゲームキャラクタにより近づく方向に移動するように移動方向を補正する手段を含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記移動角度補正手段が、
第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が大きくなるほど補正前の移動方向と補正後の移動方向の差である補正角度が大きくなるよう移動方向を補正する手段を含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項6】
請求項1、3〜5のいずれかにおいて、
前記移動角度補正手段が、
第一のゲームキャラクタの正面方向が、変更後の移動方向に基づく移動位置において、第二のゲームキャラクタの正面方向に向くように、第一のゲームキャラクタの回転角をリアルタイムに変更する手段を含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項7】
請求項1、3〜6のいずれかにおいて、
前記移動角度補正手段が、
第一のゲームキャラクタのモーションデータをリアルタイムに補正することにより第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに変更する手段を含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれかにおいて、
前記移動速度補正手段が、
第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し垂直な方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が大きくなるほど第一のゲームキャラクタの移動速度が大きくなるように移動速度を補正する手段を含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれかにおいて、
前記移動速度変更手段が、
第一のゲームキャラクタの移動方向が第二のゲームキャラクタの方向に対し反対方向に成分を有している場合には、第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタの距離が小さいほど第一のゲームキャラクタの移動速度が大きくなるように移動速度を変更する手段を含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項10】
請求項2〜9のいずれかにおいて、
前記移動速度変更手段が、
第一のゲームキャラクタのモーションの再生速度をリアルタイムに変更することにより第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更する手段を含むことを特徴とする画像生成装置。
【請求項11】
3次元空間上を移動可能な第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタが対戦を行うゲーム装置であって、
第一のゲームキャラクタの移動方向を入力する手段と、
前記移動方向に基づき、請求項1〜10記載の画像生成装置を用いてゲーム画像を生成する手段とを含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項12】
第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成するための情報記憶媒体であって、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正するための情報と、
補正された移動方向及び回転角に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成するための情報を含むことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項13】
第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含むオブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する情報記憶媒体であって、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更するための情報と、
変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成するための情報とを含むことを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項14】
第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタを含む
オブジェクト空間の所与の仮想カメラから見える画像を生成する情報記憶媒体であって、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動方向及び回転角をリアルタイムに補正するための情報と、
第一のゲームキャラクタの第二のゲームキャラクタに対する相対的な移動方向及び第一のゲームキャラクタと第二のゲームキャラクタ間の距離の少なくとも一方に基づき、第一のゲームキャラクタの移動速度をリアルタイムに変更するための情報と、
補正された移動方向及び回転角と変更された移動速度に基づき第一のゲームキャラクタを配置し、所与の仮想カメラから見える画像を生成するための情報とを含むことを特徴とする情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−161726(P2008−161726A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86202(P2008−86202)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【分割の表示】特願平10−131181の分割
【原出願日】平成10年4月24日(1998.4.24)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】