説明

画像生成装置およびX線CT装置並びにプログラム

【課題】撮影対象を所望の実効X線エネルギーのX線によりX線CT撮影したときに得られる画像に相当するモノクロマチック画像をよい画質で生成する。
【解決手段】撮影対象のX線CTデュアルエネルギー撮影により得られたデータに基づいて、撮影対象を2種類1組の基底物質の合成で表すモデルにおける、撮影対象の基底物質の仮想的な密度分布を表す物質密度画像を、組を構成する少なくとも一方の基底物質が異なる2組以上の基底物質について、基底物質毎に生成する。そして、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、上記2組以上の基底物質のうち当該画素が表す物質のX線吸収係数の大小に係る情報を基に定められた1組の基底物質による各物質密度画像における当該画素の対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置およびX線CT(Computed Tomography)装置並びにそのためのプログラム(program)に関し、詳しくは、デュアルエネルギー(dual
energy)撮影によって得られる画像の画質を改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線CT撮影において、デュアルエネルギー撮影によって得られたデータ(data)を基に、撮影対象を所望の実効X線エネルギーを有するX線によりX線CT撮影したときに得られる画像に相当するモノクロマチック(monochromatic)画像を再構成する方法が知られている。この方法は、撮影対象を互いに異なる2種類の基底物質の合成によって表すモデル、すなわち、撮影対象を構成する各物質のX線吸収係数を、X線吸収係数が互いに異なる2種類の基底物質のX線吸収係数の加重加算によって表すモデルに基づくものであり、例えば、次のような方法が挙げられる。
【0003】
まず、X線CT装置を用いて撮影対象に対するデュアルエネルギー撮影を行い、X線管電圧が80kVpのときの複数ビュー(view)の投影データと、X線管電圧が140kVpのときの複数ビューの投影データとを収集する。
【0004】
次に、撮影対象を構成する基底物質を水およびヨウ素とし、80kVpの投影データおよび140kVpの投影データに基づく所定の処理により、撮影対象における仮想的な水の密度分布を表す水密度画像と、撮影対象における仮想的なヨウ素の密度分布を表すヨウ素密度画像とを再構成する。
【0005】
そして、水密度画像とヨウ素密度画像とを、求めたいモノクロマチック画像の実効X線エネルギーに応じて定まる加重係数により加重加算処理して、モノクロマッチ画像を求める(例えば、特許文献1,図5、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−172590号公報
【特許文献2】米国特許7724865号公報(US2009/0052612)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のモノクロマチック画像再構成方法では、モノクロマチック画像における各画素の画素値を、水密度画像における対応画素の画素値と、ヨウ素密度画像における対応画素の画素値とを加重加算処理することによって求めている。
【0008】
この加重加算処理は、図6に示すように、ベクトル(vector)を用いて表すと理解し易い。
【0009】
図6のグラフ(graph)は、水およびヨウ素の各物質について、X線管電圧が80kVpのときのCT画像におけるその物質の画素値と、X線管電圧が140kVpのときのCT画像におけるその物質の画素値との関係を示している。
【0010】
図6のグラフにおける各直線は、各物質とそれぞれ対応しており、直線の傾きは、その物質のX線吸収係数の大きさと相関を有している。そして、その物質の直線に沿ったベクトルは、各物質の物質密度画像における画素値、すなわちその物質の密度と対応している。具体的には、水の直線Lwに沿ったベクトルVwは、水密度画像における画素値、すなわち水の密度と対応しており、ヨウ素の直線Lioに沿ったベクトルVioは、ヨウ素密度画像における画素値、すなわちヨウ素の密度と対応している。したがって、モノクロマチック画像における各画素の画素値を求めるための、水密度画像における対応画素の画素値と、ヨウ素密度画像における対応画素の画素値との加重加算処理は、図6において、水のベクトルVwと、ヨウ素のベクトルVioとの線形加算和で表すことができる。
【0011】
ここで、X線吸収係数が水より大きくヨウ素より小さい物質Q1の画素値を、水の密度を表す画素値(水のベクトルVw)と、ヨウ素の密度を表す画素値(ヨウ素のベクトルVio)との加重加算(線形加算和)で表すことを考える。この場合、図6に示すように、加重加算に用いる水密度画像における画素値(+w11・Vw)とヨウ素密度画像における画素値(+w12・Vio)とはいずれも正(プラス)となり、この加重加算処理は、水の密度を表す画素値とヨウ素の密度を表す画素値とによる「補間処理」に相当する。
【0012】
上記「補間処理」の場合、画素値を求めようとする画素が表す物質のX線吸収係数が、水およびヨウ素のX線吸収係数から比較的近くなるので、求められる画素値の精度はよい。
【0013】
物質Q1は、例えば、心臓や肝臓などの軟部組織や、骨部組織などである。
【0014】
次に、X線吸収係数が水より小さい物質Q2、あるいは、X線吸収係数がヨウ素より大きい物質Q3の画素値を、水の密度を表す画素値(水のベクトルVw)と、ヨウ素の密度を表す画素値(ヨウ素のベクトルVio)との加重加算(線形加算和)で表すことを考える。この場合、図6に示すように、加重加算に用いる水密度画像における画素値(+w21・Vw,-w32・Vw)とヨウ素密度画像における画素値(−w22・Vio,+w31・Vio)とでは、いずれかが負(マイナス)となり、この加重加算処理は、水の密度を表す画素値とヨウ素の密度を表す画素値とによる「補外処理」に相当する。
【0015】
上記「補外処理」の場合、画素値を求めようとする画素が表す物質のX線吸収係数が、水およびヨウ素のいずれか一方の物質のX線吸収係数から比較的大きく外れることになるため、上記「補間処理」に比べて、求められる画素値の精度が悪くなり、誤差が大きくなる。
【0016】
物質Q2は、例えば脂肪などであり、物質Q3は、例えば金属やセラミクス(ceramics)、X線吸収係数が比較的大きい有機化合物などである。
【0017】
もちろん、基底物質として、X線吸収係数が大きく離れた2種類の物質を選んでしまうと、たとえ「補間処理」に該当しても、求められる画素が表す物質のX線吸収係数が、その基底物質の少なくも一方のX線吸収係数から比較的大きく外れることになるため、やはり精度が落ちる。
【0018】
したがって、従来のように、2種類の基底物質の物質密度画像のみを用いてモノクロマチック画像を再構成する方法によれば、モノクロマチック画像において、物質によっては対応する画素について画素値の精度が落ちることになり、画質改善の余地がある。
【0019】
このような事情により、X線CTデュアルエネルギー撮影を基に再構成されるモノクロマチック画像における画質改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の観点の発明は、撮影対象のX線CTデュアルエネルギー撮影により得られたデータに基づいて、前記撮影対象を2種類1組の基底物質の合成で表すモデルにおける前記撮影対象の前記基底物質の仮想的な密度分布を表す物質密度画像を、組を構成する少なくとも一方の基底物質が異なる2組以上の基底物質について、基底物質毎に生成する第1の生成手段と、前記第1の生成手段により生成された物質密度画像に基づいて、前記撮影対象を所望の実効X線エネルギーを有するX線によりX線CT撮影したときに得られる画像に相当するモノクロマチック画像を生成する第2の生成手段であって、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記2組以上の基底物質のうち該画素が表す物質のX線吸収係数の大小に係る情報を基に定められた1組の基底物質による各物質密度画像における該画素の対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める第2の生成手段とを備えた画像生成装置を提供する。
【0021】
第2の観点の発明は、前記第1の生成手段が、第1の物質と、前記第1の物質よりX線吸収係数が大きい第2の物質とを第1組の基底物質としたときの各物質密度画像と、前記第1または第2の物質と前記第2の物質よりX線吸収係数が大きい第3の物質とを第2組の基底物質としたときの各物質密度画像とを生成し、前記第2の生成手段が、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記第1組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士が共に正であるときには、該画素値同士を加重加算処理して求め、前記第1組の基底物質による前記第1の物質の物質密度画像における対応画素の画素値が負であるときには、前記第2組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める上記第1の観点の画像生成装置を提供する。
【0022】
第3の観点の発明は、前記第1の生成手段が、第1の物質と、前記第1の物質よりX線吸収係数が大きい第2の物質とを第1組の基底物質としたときの各物質密度画像と、前記第1または第2の物質と前記第1の物質よりX線吸収係数が小さい第4の物質とを第3組の基底物質としたときの各物質密度画像とを生成し、前記第2の生成手段が、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記第1組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士が共に正であるときには、該画素値同士を加重加算処理して求め、前記第1組の基底物質による前記第2の物質の物質密度画像における対応画素の画素値が負であるときには、前記第3組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める上記第1の観点の画像生成装置を提供する。
【0023】
第4の観点の発明は、前記データに基づいて、前記撮影対象を所定の実効X線エネルギーを有するX線によりX線CT撮影したときに得られる画像または該画像に相当する画像を生成する第3の生成手段をさらに備えており、前記第1の生成手段が、第1の物質と、前記第1の物質よりX線吸収係数が大きい第2の物質とを第1組の基底物質としたときの各物質密度画像と、前記第1または第2の物質と前記第2の物質よりX線吸収係数が大きい第3の物質とを第2組の基底物質としたときの各物質密度画像とを生成し、前記第2の生成手段が、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記第3の生成手段により生成された画像における対応画素の画素値が、X線吸収係数が第1の物質より大きく第2の物質より小さい物質に相当する画素値であるときには、前記第1組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求め、前記第3の生成手段により生成された画像における対応画素の画素値が、X線吸収係数が第2の物質より大きい物質に相当する画素値であるときには、前記第2組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める上記第1の観点の画像生成装置を提供する。
【0024】
第5の観点の発明は、前記データに基づいて、前記撮影対象を所定の実効X線エネルギーを有するX線によりX線CT撮影したときに得られる画像または該画像に相当する画像を生成する第3の生成手段をさらに備えており、前記第1の生成手段が、第1の物質と、前記第1の物質よりX線吸収係数が大きい第2の物質とを第1組の基底物質としたときの各物質密度画像と、前記第1または第2の物質と前記第1の物質よりX線吸収係数が小さい第4の物質とを第3組の基底物質としたときの各物質密度画像とを生成し、前記第2の生成手段が、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記第3の生成手段により生成された画像における対応画素の画素値が、X線吸収係数が第1の物質より大きく第2の物質より小さい物質に相当する画素値であるときには、前記第1組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求め、前記第3の生成手段により生成された画像における対応画素の画素値が、X線吸収係数が第2の物質より大きい物質に相当する画素値であるときには、前記第3組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める上記第1の観点の画像生成装置を提供する。
【0025】
第6の観点の発明は、前記第1の物質が、水であり、前記第2の物質が、ヨウ素であり、前記第3の物質は、ヨウ素よりもX線吸収係数が大きい金属、セラミクス(ceramics)または有機化合物である上記第2の観点または第4の観点の画像生成装置を提供する。
【0026】
第7の観点の発明は、前記第1の物質が、水であり、前記第2の物質が、ヨウ素であり、前記第4の物質は、脂肪または水よりもX線吸収係数が小さい有機化合物である上記第3の観点または第5の観点の画像生成装置を提供する。
【0027】
第8の観点の発明は、前記第1の生成手段が、第1の実効X線エネルギーを有するX線による投影データと、前記第1の実効X線エネルギーとは異なる第2の実効X線エネルギーを有するX線による投影データとを線形加重減算または非線形加重減算して得られたデータを、画像再構成処理することにより、物質密度画像を生成する上記第1の観点から第7の観点のいずれか一つの観点の画像生成装置を提供する。
【0028】
第9の観点の発明は、上記第1の観点から第8の観点のいずれか一つの観点の画像生成装置を備えているX線CT装置を提供する。
【0029】
第10の観点の発明は、コンピュータ(computer)を、上記第1の観点から第8の観点のいずれか一つの観点の画像生成装置として機能させるためのプログラムを提供する。
【0030】
なお、ここで言う「密度」とは、実際の密度ではなく仮想的な密度であり、所定の2種類の物質を基底物質とし、ある物質のX線吸収係数をその2種類の基底物質のX線吸収係数の加重加算値で表す場合に、その2種類の基底物質のX線吸収係数に乗ずる加重係数に相当するものである。したがって、例えば、水およびヨウ素を1組の基底物質としたときの水密度画像は、撮影対象の画像における各画素が表す物質のX線吸収係数を、水のX線吸収係数とヨウ素のX線吸収係数との加重加算値で表す場合における、水のX線吸収係数に乗ずる加重係数に相当する値の分布図となる。
【発明の効果】
【0031】
上記観点の発明によれば、モノクロマチック画像の画素値の算出に用いる物質密度画像の基底物質を、所定の2種類の物質に固定するのではなく、その画素が表す物質のX線吸収係数に係る情報を基に、算出される画素値の精度が相対的によくなる組合せに切り換えることができるので、モノクロマチック画像における画素値の精度を向上させることができ、その結果、モノクロマチック画像の画質を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第一実施形態によるX線CT装置の構成を示す図である。
【図2】第一実施形態に係るX線CT装置における処理の流れを示す図である。
【図3】ヨウ素密度画像と水密度画像を再構成する方法の第一例を示す図である。
【図4】ヨウ素密度画像と水密度画像を再構成する方法の第二例を示す図である。
【図5】第1モノクロマチック画像を再構成する方法の一例を示す図である。
【図6】水密度画像およびヨウ素密度画像の加重加算処理を説明するための図である。
【図7】ヨウ素密度画像とポリエチレン(polyethylene)密度画像を再構成する方法の一例を示す図である。
【図8】ポリエチレン密度画像およびヨウ素密度画像の加重加算処理を説明するための図である。
【図9】水密度画像とセラミクス密度画像を再構成する方法の一例を示す図である。
【図10】水密度画像およびセラミクス密度画像の加重加算処理を説明するための図である。
【図11】第二実施形態に係るX線CT装置における処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、発明の実施形態について説明する。
【0034】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態によるX線CT装置の構成を示す図である。
【0035】
X線CT装置100は、操作コンソール(console)1と、撮影テーブル(table)10と、走査ガントリ(gantry)20とを具備している。
【0036】
操作コンソール1は、操作者からの入力を受け付ける入力装置2と、被検体40をスキャン(scan)するための各部の制御や各種演算などを行う中央処理装置3と、走査ガントリ20で取得したデータを収集するデータ収集バッファ(buffer)5と、画像を表示するモニタ(monitor)6と、プログラムやデータなどを記憶する記憶装置7とを具備している。
【0037】
撮影テーブル10は、被検体40を載せて走査ガントリ20の開口部に搬入・搬出するクレードル(cradle)12を具備している。クレードル12は、撮影テーブル10に内蔵するモータ(motor)で昇降および水平直線移動される。
【0038】
走査ガントリ20は、回転部15と、回転部15を回転可能に支持する支持部16とを有する。回転部15には、X線管21と、X線管21を制御するX線コントローラ(controller)22と、X線管21から発生したX線81をコリメート(collimate)して整形するコリメータ(collimator)23と、X線管21から照射され、被検体40を透過したX線81を検出するX線検出器24と、X線検出器24の出力を投影データに変換して収集するデータ収集装置(DAS;Data
Acquisition System)25と、X線コントローラ22,コリメータ23,DAS25の制御を行う回転部コントローラ26とが搭載される。支持部16は、制御信号などを操作コンソール1や撮影テーブル10と通信する制御コントローラ29を具備する。回転部15と支持部16とは、スリップリング(slip
ring)30を介して電気的に接続されている。
【0039】
これより、第一実施形態に係るX線CT装置における処理の流れについて説明する。第一実施形態では、再構成するモノクロマチック画像の各画素について、画素値の算出に用いる物質密度画像の基底物質の組合せを、所定の基底物質の物質密度画像における対応画素の画素値の閾値判定により切り換える。
【0040】
図2は、第一実施形態に係るX線CT装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
ステップ(step)S1では、撮影対象をデュアルエネルギー撮影して、第1X線管電圧による複数ビューの投影データである第1管電圧投影データPv1と、第2X線管電圧による複数ビューの投影データである第2管電圧投影データPv2とを収集する。
【0042】
例えば、X線管電圧を1または数ビュー単位で第1X線管電圧と第2X線管電圧とに交互に切り換えながら撮影対象のスキャン(scan)を行い、180°+X線ビーム(beam)のファン(fan)角α°分以上の投影データを収集する。この場合、欠落したビューの投影データは、その欠落したビューに近接するビューの投影データを加重加算処理して求める。
【0043】
また例えば、まずX線管電圧を第1X線管電圧にしてスキャンを行って、180°+ファン角α°分以上の投影データを収集し、次にX線管電圧を第2X線管電圧にしてスキャンを行って、180°+ファン角α°分以上の投影データを収集する。
【0044】
なお、第1および第2X線管電圧は、例えば、80kVpと140kVpである。
【0045】
ステップS2では、水およびヨウ素を基底物質とし、第1および第2管電圧投影データPv1,Pv2を基に、撮影対象における仮想的な水の密度分布を表す水密度画像Gwと、撮影対象における仮想的なヨウ素の密度分布を表すヨウ素密度画像Gioとを再構成する。
【0046】
図3および図4は、水およびヨウ素を基底物質として、第1および第2管電圧投影データを基に、ヨウ素密度画像および水密度画像を再構成する方法の一例を概念的に示す図である。
【0047】
例えば、図3に示すように、第1管電圧投影データPv1と第2管電圧投影データPv2とをヨウ素の成分が消去されるように加重減算処理して、水の成分を表す第1中間投影データPwを求める。また、第1管電圧投影データPv1と第2管電圧投影データPv2とを水の成分が消去されるように加重減算処理して、ヨウ素の成分を表す第2中間投影データPioを求める。次に、第1中間投影データPwを画像再構成処理して水密度画像Gwを再構成する。また、第2中間投影データPioを逆投影処理等により画像再構成処理してヨウ素密度画像Gioを再構成する。
【0048】
また例えば、図4に示すように、第1管電圧投影データPv1を画像再構成処理して第1管電圧画像Gv1を再構成する。また、第2管電圧投影データPv2を画像再構成処理して第2管電圧画像Gv2を再構成する。次に、第1管電圧画像Gv1と第2管電圧画像Gv2とをヨウ素の成分が消去されるように加重減算処理して、水密度画像Gwを再構成する。また、第1管電圧画像Gv1と第2管電圧画像Gv2とを水の成分が消去されるように加重減算処理して、ヨウ素密度画像Gioを再構成する。
【0049】
ステップS3では、水密度画像Gwおよびヨウ素密度画像Gioを基に、所望の実効X線エネルギーE1のX線を用いて撮影対象をX線CT撮影したときに得られる画像に相当する第1モノクロマチック画像Gm1を再構成する。実効X線エネルギーE1は、例えば、120keVである。
【0050】
図5は、水密度画像およびヨウ素密度画像を基に第1モノクロマチック画像を再構成する方法の一例を概念的に示す図である。
【0051】
例えば、図5に示すように、水密度画像Gwおよびヨウ素密度画像Gioを、実効X線エネルギーE1に対応した所定の加重係数により加重加算処理して、第1モノクロマチック画像Gm1を再構成する。
【0052】
図6は、水密度画像およびヨウ素密度画像の加重加算処理を説明するための図である。
【0053】
図6に示すように、第1モノクロマチック画像Gm1においては、X線吸収係数が水より大きくヨウ素より小さい物質Q1の画素値は、水の密度を表す画素値(Vw)とヨウ素の密度を表す画素値(Vio)との「補間処理」、すなわち加重係数がいずれも正になる加重加算処理により得られるため、精度がよい。
【0054】
しかしながら、水よりX線吸収係数が小さい物質Q2や、ヨウ素よりX線吸収係数が大きい物質Q3の画素値は、水の密度を表す画素値(Vw)とヨウ素の密度を表す画素値(Vio)との「補外処理」、すなわち加重係数の一方が負になる加重加算処理により得られるため、精度がよくない。
【0055】
そこで、これ以降において、水よりX線吸収係数が小さい物質Q2や、ヨウ素よりX線吸収係数が大きい物質Q3の画素値は、別の組合せの基底物質による物質密度画像を用いて求めた画素値で置き換えるようにする。
【0056】
ステップS4では、第1モノクロマチック画像Gm1において、注目画素(x,y)を選択する。
【0057】
ステップS5では、ヨウ素密度画像Gioにおける上記注目画素の対応画素の画素値Gio(x,y)が、負であるか否かを判定する。
【0058】
ここで、ヨウ素密度画像Gioにおける対応画素の画素値Gio(x,y)が負であると判定されたときには、注目画素が表す物質のX線吸収係数は、水のX線吸収係数より小さく、注目画素の画素値Gm1(x,y)は、水の密度を表す画素値とヨウ素の密度を表す画素値との補外処理により求められていると判断し、ステップS6に進む。
【0059】
一方、ヨウ素密度画像Gioにおける対応画素の画素値Gio(x,y)が負でない、すなわち0以上であると判定されたときには、注目画素が表す物質のX線吸収係数は、水のX線吸収係数と同じかそれよりも大きいと判断し、ステップS9に進む。
【0060】
ステップS6では、水よりもX線吸収係数が小さい物質Aと、ヨウ素とを基底物質として、第1および第2管電圧投影データPv1,Pv2を基に、これらの基底物質の物質密度画像を再構成する。
【0061】
物質Aとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど、水よりもX線吸収係数が小さい有機化合物や、脂肪などを考えることができる。
【0062】
ここでは、物質Aをポリエチレンとし、撮影対象における仮想的なポリエチレンの密度分布を表すポリエチレン密度画像Gaと、撮影対象における仮想的なヨウ素の密度分布を表すヨウ素密度画像Gioとを再構成する。
【0063】
図7は、ポリエチレンおよびヨウ素を基底物質として、第1および第2管電圧投影データを基に、ポリエチレン密度画像およびヨウ素密度画像を再構成する方法の一例を概念的に示す図である。
【0064】
例えば、図7に示すように、第1管電圧投影データPv1と第2管電圧投影データPv2とをヨウ素の成分が減算されるように加重減算処理して、ポリエチレンの成分を表す第3中間投影データPaを求める。また、第1管電圧投影データPv1と第2管電圧投影データPv2とをポリエチレンの成分が減算されるように加重減算処理して、ヨウ素の成分を表す第4中間投影データPioを求める。次に、第3中間投影データPaを画像再構成処理してポリエチレン密度画像Gaを再構成する。また、第4中間投影データPioを逆投影処理等により画像再構成処理してヨウ素密度画像Gioを再構成する。
【0065】
ステップS7では、ポリエチレン密度画像Gaおよびヨウ素密度画像Gioを、実効X線エネルギーE1に対応した所定の加重係数により加重加算処理して、第2モノクロマチック画像Gm2を再構成する。
【0066】
図8は、ポリエチレン密度画像およびヨウ素密度画像の加重加算処理を説明するための図である。ここでの注目画素が表す物質は、水よりX線吸収係数が小さい物質Q2である。また、物質Aであるポリエチレンも、水よりX線吸収係数が小さい。そのため、図8に示すように、第2モノクロマチック画像Gm2における上記注目画素の対応画素の画素値Gm2(x,y)、すなわち物質Q2の画素値は、ポリエチレンの密度を表す画素値(Va)とヨウ素の密度を表す画素値(Vio)との補間処理か、あるいは、水と比較して注目画素の物質にX線吸収係数がより近い物質であるポリエチレンの密度を表す画素値(Va)と、ヨウ素の密度を表す画素値(Vio)との補外処理により得られることになる。その結果、第1モノクロマチック画像Gm1における注目画素の画素値Gm1(x,y)よりも、第2モノクロマチック画像Gm2における対応画素の画素値Gm2(x,y)の方が、精度がよくなる。
【0067】
ステップS8では、第1モノクロマチック画像Gm1における上記注目画素の画素値Gm1(x,y)を、第2モノクロマチック画像Gm2における上記注目画素の対応画素の画素値Gm2(x,y)で置き換える。その後、ステップS13に進む。
【0068】
なお、第2モノクロマチック画像Gm2を再構成するためのステップS6およびS7は、ステップS5において、ヨウ素密度画像Gioにおける対応画素の画素値Gio(x,y)が負であると初めて判定された初回のみ実行し、2回目以降はスキップさせる。
【0069】
ステップS9では、水密度画像Gwにおける上記注目画素の対応画素の画素値Gw(x,y)が、負であるか否かを判定する。
【0070】
ここで、水密度画像Gwにおける対応画素の画素値Gw(x,y)が負であると判定されたときには、注目画素が表す物質のX線吸収係数はヨウ素のX線吸収係数よりも大きく、注目画素の画素値Gm1(x,y)は、ヨウ素の密度を表す画素値と水の密度を表す画素値との補外処理により求められていると判断し、ステップS10に進む。
【0071】
一方、水密度画像Gwにおける対応画素の画素値Gw(x,y)が負でない、すなわち0以上であるときには、注目画素が表す物質のX線吸収係数は、ヨウ素のX線吸収係数と同じかそれよりも小さいとみなすことができる。つまり、ステップS5の判定結果と合わせて考えると、注目画素が表す物質のX線吸収係数は、水のX線吸収係数以上、ヨウ素のX線吸収係数以下とみなすことができる。そして、第1モノクロマチック画像Gm1における注目画素の画素値Gm1(x,y)は、ヨウ素の密度を表す画素値と水の密度を表す画素値との補間処理により得られていると考えることができる。そこで、この場合には、注目画素の画素値Gm1(x,y)は精度よく得られていると判断し、注目画素の画素値Gm1(x,y)をそのままにして、ステップS13に進む。
【0072】
ステップS10では、水と、ヨウ素よりもX線吸収係数が大きい物質Bとを基底物質とし、第1および第2管電圧投影データPv1,Pv2を基に、これらの基底物質の物質密度画像を再構成する。
【0073】
物質Bとしては、例えば、ジルコニウム系セラミクスなど、ヨウ素よりもX線吸収係数が大きい金属、セラミクス、有機化合物などを考えることができる。
【0074】
ここでは、物質Bをセラミクスとし、撮影対象における仮想的な水の密度分布を表す水密度画像Gwと、撮影対象における仮想的なセラミクスの密度分布を表すセラミクス密度画像Gbとを再構成する。
【0075】
図9は、水およびセラミクスを基底物質として、第1および第2管電圧投影データを基に、水密度画像およびセラミクス密度画像を再構成する方法の一例を概念的に示す図である。
【0076】
例えば、図9に示すように、第1管電圧投影データPv1と第2管電圧投影データPv2とをセラミクスの成分が減算されるように加重減算処理して、水の成分を表す第5中間投影データPwを求める。また、第1管電圧投影データPv1と第2管電圧投影データPv2とを水の成分が減算されるように加重減算処理して、セラミクスの成分を表す第6中間投影データPbを求める。次に、第5中間投影データPwを逆投影処理等により画像再構成処理して水密度画像Gwを再構成する。また、第6中間投影データPbを画像再構成処理してセラミクス密度画像Gbを再構成する。
【0077】
ステップS11では、水密度画像Gwおよびセラミクス密度画像Gbを、実効X線エネルギーE1に対応した所定の加重係数により加重加算処理して、第3モノクロマチック画像Gm3を再構成する。
【0078】
図10は、水密度画像およびセラミクス密度画像の加重加算処理を説明するための図である。ここでの注目画素が表す物質は、ヨウ素よりX線吸収係数が大きい物質Q3である。また、物質Bであるセラミクスも、ヨウ素よりX線吸収係数が大きい。そのため、図10に示すように、第3モノクロマチック画像Gm3における上記注目画素の対応画素の画素値Gm3(x,y)、すなわち物質Q3の画素値は、水の密度を表す画素値(Vw)とセラミクスの密度を表す画素値(Vb)との補間処理か、あるいは、水の密度を表す画素値(Vw)と、ヨウ素と比較して注目画素の物質にX線吸収係数がより近い物質であるセラミクスの密度を表す画素値(Vb)との補外処理により得られることになる。その結果、第1モノクロマチック画像Gm1における注目画素の画素値Gm1(x,y)よりも、第3モノクロマチック画像Gm3における対応画素の画素値Gm3(x,y)の方が、精度がよくなる。
【0079】
ステップS12では、第1モノクロマチック画像Gm1における上記注目画素の画素値Gm1(x,y)を、第3モノクロマチック画像Gm3における上記注目画素の対応画素の画素値Gm3(x,y)で置き換える。その後、ステップS13に進む。
【0080】
ステップS13では、第1モノクロマチック画像Gm1において、注目画素として次に選択すべき画素がまだあるか否かを判定する。注目画素として選択すべき画素がまだあると判定されたときには、ステップS4に戻って、新たな画素を注目画素に選択して処理を続ける。注目画素として選択すべき画素がもうないと判定されたときには、処理を終了する。
【0081】
(第二実施形態)
第二実施形態に係るX線CT装置における処理の流れについて説明する。第二実施形態では、再構成するモノクロマチック画像の各画素について、画素値の算出に用いる物質密度画像の基底物質を、暫定的に再構成したモノクロマチック画像における対応画素の画素値の閾値判定により切り換える。
【0082】
図11は、第二実施形態に係るX線CT装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
ステップT1〜T4は、ステップS1〜S4と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
ステップT5では、上記注目画素の画素値(CT値)Gm1(x,y)が、所定の閾値、例えば0HUより小さいか否かを判定する。
【0085】
ここで、注目画素の画素値Gm1(x,y)が0HUより小さいと判定されたときには、注目画素が表す物質のX線吸収係数は水のX線吸収係数よりも小さく、注目画素の画素値Gm1(x,y)はヨウ素を表す画素値と水を表す画素値との補外処理により求められていると判断し、ステップT6に進む。
【0086】
一方、注目画素の画素値Gm1(x,y)が0HUより小さくない、すなわち0HU以上であるときには、注目画素が表す物質のX線吸収係数は、水のX線吸収係数と同じかそれよりも大きいと判断し、ステップT9に進む。
【0087】
ステップT6〜T8は、ステップS6〜S8と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
ステップT9では、注目画素の画素値(CT値)Gm1(x,y)が、所定の閾値、例えば1500HUより大きいか否かを判定する。
【0089】
注目画素の画素値Gm1(x,y)が1500HUより大きいと判定されたときには、注目画素が表す物質のX線吸収係数は、ヨウ素のX線吸収係数より大きく、注目画素の画素値Gm1(x,y)は、水の密度を表す画素値とヨウ素の密度を表す画素値との補外処理により求められていると判断し、ステップT10に進む。
【0090】
一方、注目画素の画素値Gm1(x,y)が1500HU以下であると判定されたときには、注目画素が表す物質のX線吸収係数は、ヨウ素のX線吸収係数と同じかそれよりも小さいとみなす。つまり、ステップT5の判定結果と合わせて考えると、注目画素が表す物質のX線吸収係数は、水のX線吸収係数以上、ヨウ素のX線吸収係数以下とみなすことができる。そして、第1モノクロマチック画像Gm1における注目画素の画素値Gm1(x,y)は、水の密度を表す画素値とヨウ素の密度を表す画素値との補間処理により得られているとみなすことができる。そこで、この場合には、注目画素の画素値Gm1(x,y)は精度よく得られていると判断し、注目画素の画素値Gm1(x,y)をそのままにして、ステップT13に進む。
【0091】
ステップT10〜T13は、ステップS10〜S13と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
以上、上記の各実施形態によれば、モノクロマチック画像の画素値の算出に用いる物質密度画像の基底物質を、所定の2種類の物質に固定するのではなく、その画素が表す物質のX線吸収係数に係る情報を基に、算出される画素値の精度が相対的によくなる組合せに切り換えることができるので、モノクロマチック画像における画素値の精度を向上させることができ、その結果、モノクロマチック画像の画質を改善することができる。
【0093】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明の実施形態は、上記のものに限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の形態を取り得る。
【0094】
例えば、上記の各実施形態においては、メインの基底物質として、水およびヨウ素を例に説明しているが、他の物質をメインの基底物質としてもよい。
【0095】
また例えば、上記の各実施形態では、水よりX線吸収係数が小さい物質を表す画素について、水よりX線吸収係数が小さい物質Aと、ヨウ素とを基底物質とする2種類の物質密度画像を用いて画素値を求めているが、物質Aおよび水を基底物質とする2種類の物質密度画像を用いて画素値を求めてもよい。同様に、上記の各実施形態では、ヨウ素よりX線吸収係数が大きい物質を表す画素について、水と、ヨウ素よりX線吸収係数が大きい物質Bとを基底物質とする2種類の物質密度画像を用いて画素値を求めているが、ヨウ素および物質Bを基底物質とする2種類の物質密度画像を用いて画素値を求めてもよい。
【0096】
また例えば、第二実施形態においては、再構成するモノクロマチック画像における各画素について、暫定的に再構成したモノクロマチック画像における注目画素の画素値の閾値判定により、画素値の算出に用いる物質密度画像の基底物質を決定している。しかし、第1管電圧投影データを画像再構成処理して得られる第1管電圧画像や、第2管電圧投影データを画像再構成処理して得られる第2管電圧画像など、撮影対象を表す他のCT画像における対応画素の画素値の閾値判定により、画素値の算出に用いる物質密度画像の基底物質を決定してもよい。
【0097】
また例えば、上記の各実施形態は、X線CT装置であるが、上記X線CT装置における画像生成(再構成)機能を有している画像生成装置も発明の一実施形態である。
【0098】
また例えば、コンピュータを、上記の画像生成装置として機能させるためのプログラムもまた、発明の一実施形態である。
【符号の説明】
【0099】
1 操作コンソール
2 入力装置
3 中央処理装置
5 データ収集バッファ
6 モニタ
7 記憶装置
10 撮影テーブル
12 クレードル
15 回転部
16 支持部
20 走査ガントリ
21 X線管
22 X線管コントローラ
23 コリメータ
24 X線検出器
25 データ収集装置(DAS)
26 回転部コントローラ
29 制御コントローラ
30 スリップリング
40 被検体
81 X線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象のX線CTデュアルエネルギー撮影により得られたデータに基づいて、前記撮影対象を2種類1組の基底物質の合成で表すモデルにおける前記撮影対象の前記基底物質の仮想的な密度分布を表す物質密度画像を、組を構成する少なくとも一方の基底物質が異なる2組以上の基底物質について、基底物質毎に生成する第1の生成手段と、
前記第1の生成手段により生成された物質密度画像に基づいて、前記撮影対象を所望の実効X線エネルギーを有するX線によりX線CT撮影したときに得られる画像に相当するモノクロマチック画像を生成する第2の生成手段であって、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記2組以上の基底物質のうち該画素が表す物質のX線吸収係数の大小に係る情報を基に定められた1組の基底物質による各物質密度画像における該画素の対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める第2の生成手段とを備えた画像生成装置。
【請求項2】
前記第1の生成手段は、第1の物質と、前記第1の物質よりX線吸収係数が大きい第2の物質とを第1組の基底物質としたときの各物質密度画像と、前記第1または第2の物質と前記第2の物質よりX線吸収係数が大きい第3の物質とを第2組の基底物質としたときの各物質密度画像とを生成し、
前記第2の生成手段は、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記第1組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士が共に正であるときには、該画素値同士を加重加算処理して求め、前記第1組の基底物質による前記第1の物質の物質密度画像における対応画素の画素値が負であるときには、前記第2組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記第1の生成手段は、第1の物質と、前記第1の物質よりX線吸収係数が大きい第2の物質とを第1組の基底物質としたときの各物質密度画像と、前記第1または第2の物質と前記第1の物質よりX線吸収係数が小さい第4の物質とを第3組の基底物質としたときの各物質密度画像とを生成し、
前記第2の生成手段は、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記第1組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士が共に正であるときには、該画素値同士を加重加算処理して求め、前記第1組の基底物質による前記第2の物質の物質密度画像における対応画素の画素値が負であるときには、前記第3組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記データに基づいて、前記撮影対象を所定の実効X線エネルギーを有するX線によりX線CT撮影したときに得られる画像または該画像に相当する画像を生成する第3の生成手段をさらに備えており、
前記第1の生成手段は、第1の物質と、前記第1の物質よりX線吸収係数が大きい第2の物質とを第1組の基底物質としたときの各物質密度画像と、前記第1または第2の物質と前記第2の物質よりX線吸収係数が大きい第3の物質とを第2組の基底物質としたときの各物質密度画像とを生成し、
前記第2の生成手段は、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記第3の生成手段により生成された画像における対応画素の画素値が、X線吸収係数が第1の物質より大きく第2の物質より小さい物質に相当する画素値であるときには、前記第1組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求め、前記第3の生成手段により生成された画像における対応画素の画素値が、X線吸収係数が第2の物質より大きい物質に相当する画素値であるときには、前記第2組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記データに基づいて、前記撮影対象を所定の実効X線エネルギーを有するX線によりX線CT撮影したときに得られる画像または該画像に相当する画像を生成する第3の生成手段をさらに備えており、
前記第1の生成手段は、第1の物質と、前記第1の物質よりX線吸収係数が大きい第2の物質とを第1組の基底物質としたときの各物質密度画像と、前記第1または第2の物質と前記第1の物質よりX線吸収係数が小さい第4の物質とを第3組の基底物質としたときの各物質密度画像とを生成し、
前記第2の生成手段は、モノクロマチック画像の各画素の画素値を、前記第3の生成手段により生成された画像における対応画素の画素値が、X線吸収係数が第1の物質より大きく第2の物質より小さい物質に相当する画素値であるときには、前記第1組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求め、前記第3の生成手段により生成された画像における対応画素の画素値が、X線吸収係数が第2の物質より大きい物質に相当する画素値であるときには、前記第3組の基底物質による各物質密度画像における対応画素の画素値同士を加重加算処理して求める請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記第1の物質は、水であり、前記第2の物質は、ヨウ素であり、前記第3の物質は、ヨウ素よりもX線吸収係数が大きい金属、セラミクスまたは有機化合物である請求項2または請求項4に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記第1の物質は、水であり、前記第2の物質は、ヨウ素であり、前記第4の物質は、脂肪または水よりもX線吸収係数が小さい有機化合物である請求項3または請求項5に記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記第1の生成手段は、第1の実効X線エネルギーを有するX線による投影データと、前記第1の実効X線エネルギーとは異なる第2の実効X線エネルギーを有するX線による投影データとを線形加重減算または非線形加重減算して得られたデータを、画像再構成処理することにより、物質密度画像を生成する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の画像生成装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像生成装置を備えているX線CT装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の画像生成装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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