画像表示システム、画像再生装置及び撮影機器
【課題】画像表示装置において不適切な色処理が行われないようにする。
【解決手段】光ディスク1000に記録された画像データを再生し、出力する画像再生装置1100と、画像再生装置1000から再生画像データを取得し、色処理を施して表示する画像表示装置1200とにより構成される画像表示システムであって、画像再生装置1100は、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成し、再生画像データと共に画像表示装置1200に出力し、画像表示装置1200は、色処理制御情報に基づいて再生画像データに対する色処理を制御する。
【解決手段】光ディスク1000に記録された画像データを再生し、出力する画像再生装置1100と、画像再生装置1000から再生画像データを取得し、色処理を施して表示する画像表示装置1200とにより構成される画像表示システムであって、画像再生装置1100は、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成し、再生画像データと共に画像表示装置1200に出力し、画像表示装置1200は、色処理制御情報に基づいて再生画像データに対する色処理を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像再生装置において記録媒体に記録された画像データを再生し、画像表示装置において該再生画像データに色処理を施して表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DVDプレーヤー等の画像再生装置、テレビ受像機等の画像表示装置が知られている。画像再生装置は画像表示装置に静止画像や動画像の画像データを出力し、画像表示装置は受信した画像データを表示する。
【0003】
近年は、画像再生装置と画像表示装置との接続にHDMI(High Definition Multimedia Interface)等のデジタルインターフェースが用いられている。HDMIでは、画像再生装置と画像表示装置との間で、画像データだけでなく、制御コマンドを伝送することが可能である。これにより、例えば画像表示装置のアスペクト比を画像再生装置に通知し、画像再生装置は画像表示装置のアスペクトに応じた画像を出力することが可能となっている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
また、画像表示装置において、放送信号の色域であるITU−R BT.709やITU−R BT.609よりも広い色域まで表現できる液晶ディスプレイ等の画像表示装置が提案されている(例えば特許文献2を参照)。これらの広色域の表示能力を活用するために、入力画像データに彩度を強調する処理を施して表示する画像表示装置が提案されている(例えば特許文献3参照)。これらの画像表示装置によって入力画像をより鮮やかに再現することが可能となる。
【0005】
ここで、画像表示装置で施される彩度強調処理について説明する。図9は、xy色度図における彩度強調の様子を示す図である。図9において、91はITU−R BT.709規格のデータが取り得る色範囲を示し、92は画像表示装置が表示可能な色範囲を示す。このように画像表示装置が表示可能な色範囲92が入力画像データであるITU−R BT.709の色範囲91に対して広い場合は、彩度強調処理を施し、入力画像をより鮮やかに再現することができる。彩度強調処理は、図9に示すようにITU−R BT.709の高彩度部分をさらに伸張する色処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−109703号公報
【特許文献2】特開2005−234132号公報
【特許文献3】特開2005−204136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した画像表示装置では、放送信号であるITU−R BT.709(もしくはBT.609)の信号が入力されることを前提として彩度強調処理を施している。しかしながら、デジタルビデオカメラ等の一部の機器では、ITU−R BT.709で定義される範囲を越える画像データを生成することがあり、画像表示装置にITU−R BT.709を越える色範囲の画像データが入力される場合がある。
【0008】
ここで、図10に、ITU−R BT.709の信号が取り得る輝度信号Y及び色差信号(Cr及びCb)のデジタルデータの範囲を示す。ITU−RBT.709では、輝度信号が16〜235、色差信号が16〜240までの範囲を取り得る。さらに、YCrCbからRGBに変換した際に0<R、G、B<1の範囲に収まる範囲のデータをとることが可能である(図10の斜線の範囲)。しかしながら、デジタルビデオカメラ等の一部の機器では、ITU−R BT.709で定義される信号範囲を越える範囲の画像データを生成することがあり、例えば輝度信号で16以下、235以上、色差信号で16以下、240以上の画像データを生成する場合がある。
【0009】
すなわち、デジタルビデオカメラ等の一部の機器では、ITU−R BT.709よりも広い色範囲を表現していることになる。図11に、これらの色範囲の関係を示す。デジタルビデオカメラはこのように広い色範囲のデータであっても、ITU−R BT.709の信号として画像データを生成している。そのため、画像表示装置において放送波と同様の彩度強調処理が施されると、既に彩度が高く記録されている画像データに過度な彩度強調が行われることになるため、彩度が強調されすぎてしまうという問題が生じていた。
【0010】
また、デジタルビデオカメラの撮影者が意図的に色を設定して(例えば彩度を控えめに)撮影したにも関わらず、画像表示装置において彩度強調処理が施されると、撮影者の意図通りに画像が表示されないという問題も生じていた。
【0011】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、画像表示装置において不適切な色処理が施されないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像表示システムは、記録媒体に記録された画像データを再生し、出力する画像再生装置と、前記画像再生装置から前記再生画像データを取得し、色処理を施して表示する画像表示装置とにより構成される画像表示システムであって、前記画像再生装置は、前記再生画像データと共に、前記画像表示装置における色処理を制御するための色処理制御情報を前記画像表示装置に出力する出力手段を備え、前記画像表示装置は、前記色処理制御情報に基づいて前記再生画像データに対する色処理を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像表示装置において色処理制御情報に基づいて再生画像データに色処理が施されるので、不適切な色処理が施されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態における画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における色処理制御情報生成部の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】第1の実施形態における再生装置と表示装置のコマンドの通知を示した図である。
【図4】第2の実施形態における画像表示システムの構成例を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態における撮像・記録部の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態における色処理制御情報生成部の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】第2の実施形態における再生部の構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態における色処理制御情報の記録位置を示す図である。
【図9】彩度強調を示す概念図である。
【図10】YCrCb空間の色範囲を示す図である。
【図11】xy色度図の色範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態として、DVD等の光ディスクを再生するDVDプレーヤー等の画像再生装置と、テレビ受像機等の画像表示装置(例えば液晶ディスプレイ)とからなる画像表示システムを例に説明する。図1は、第1の実施形態における画像表示システムの構成を示すブロック図である。図1において、1000は圧縮画像データを記録した記録媒体(ここではDVD等の光ディスク)、1100は画像再生装置、1200は画像表示装置である。
【0016】
画像再生装置1100は、光ディスク1000に記録された画像データを再生し、出力する。1101はディスクインターフェース(ディスクI/F)であり、光ピックアップ、モータ等から構成される。1102は誤り訂正部である。1103は分離部であり、読み込んだデータを画像データや撮影情報に分離する。1104はデコーダであり、画像データを復号化する。1105は出力部であり、復号化した画像データを出力する。1110は制御部であり、画像再生装置1100の全体を制御する。1120は操作部であり、ユーザからの入力操作を受け付ける。1130は色処理制御情報生成部であり、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成する。
【0017】
画像表示装置1200は、画像再生装置1100から再生画像データを取得し、色処理を施して表示する。1201は入力部であり、画像データの入力を受け付ける。1210は画像処理部であり、輝度処理部1211及び色処理部1212を含む。1220は表示部であり、画像処理部1210により画像処理された画像を表示する。1230は制御部であり、画像表示装置1200の全体を制御する。
【0018】
<画像再生装置1100の処理動作>
画像再生装置1100において、ユーザによる操作部1120への再生操作を受け付けると、制御部1110は、ディスクI/F1101に対して光ディスク1000のデータ読み込みを指示する。ディスクI/F1101は、光ディスク1000から指定データを読み込み、誤り訂正部1102に出力する。誤り訂正部1102は、データの誤り訂正を行った後、データを分離部1103に出力する。
【0019】
分離部1103は、入力データを画像データ及び音声データ、撮影情報に分離した後、画像データをデコーダ1104に出力し、また、撮影情報を色処理制御情報生成部1130に出力する。撮影情報は画像データのメタデータとして記録されているデータであり、画像データを撮影機器により撮影した際に生成される。本実施形態では、撮影情報として撮影機器情報(撮影機器ID)、撮影モード情報、撮影時の色調整情報が記録されているものとする。なお、本実施形態では、説明の簡略化のため音声データについての説明は省略し、画像データ及び撮影情報を扱うものとする。デコーダ1104は、入力されたMPEG2形式等で符号化された画像データを復号化し、画像データを出力部1105に出力する。
【0020】
色処理制御情報生成部1130は、撮影情報に基づいて、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成する(本発明でいう色処理制御情報生成手段による処理である)。
【0021】
ここで、図2のフローチャートを参照して、色処理制御情報生成部1130の処理動作について説明する。図2は、色処理制御情報生成部1130の処理動作を説明するためのフローチャートである。ステップS2001では、撮影機器IDに基づいて、対象の撮影機器で撮影された画像データであるかどうかを判断する。撮影機器IDは、光ディスク1000に記録された画像データを撮影した撮影機器のメーカID及び機器IDから構成されている。また、画像再生装置1100は不図示のメモリを内部に備えており、該メモリに色処理制御情報生成部1130が制御可能な撮影機器のメーカID及び機器IDのリストを記録している。ステップS2001では、撮影機器IDをメモリに記録された制御可能機器リストと照合し、光ディスク1000に記録された画像データが処理の対象となる機器で撮影された画像データであるかどうかを判断する。その結果、対象の撮影機器で撮影された画像データである場合はステップS2002に進み、そうでない場合はステップS2005に進む。
【0022】
ステップS2002では、撮影モード情報に基づいて、撮影時にマニュアルモードで撮影されたかどうかを判断する。マニュアルモードで撮影された画像データである場合にはステップS2003に進み、オートモードで撮影された画像データである場合にはステップS2005に進む。
【0023】
ステップS2003では、撮影時の色調整情報に基づいて、撮影時に色調整が行われたかどうかをチェックする。撮影時の色調整情報とは、例えばユーザが撮影時に意図的に彩度を上げる等の調整を行ったか否かの情報である。色調整が行われている場合にはステップS2004に進み、色調整が行われていない場合はステップS2005に進む。
【0024】
ステップS2004では、画像表示装置1200における彩度強調処理を禁止する色処理制御情報を生成する。一方、ステップS2005では、画像表示装置1200における彩度強調処理を許可する色処理制御情報を生成する。
【0025】
このように、マニュアルモードでユーザが操作して色調整を行っている場合は、ユーザが意図して色を決めていると考えられ、この場合に画像表示装置1200において彩度強調処理が施されると、ユーザの意図した色と異なる色が表示されてしまう。そこで、ユーザによる色調整が行われている場合は、画像表示装置1200における彩度強調処理を禁止する色処理制御情報を生成することで、ユーザの意図した色で表示されるようにすることができる。
【0026】
図1に説明を戻して、出力部1105は、HDMI等のデジタルインターフェースで構成されており、画像データと共に、画像表示装置1200のインターフェースである入力部1201との間で制御コマンドをやり取りすることが可能である。出力部1105は、画像データの出力時もしくは画像表示装置1200との接続時に色制御に関するコマンドを送信する。
【0027】
コマンドの送信例を図3に示す。図3に示すように、画像再生装置1100の出力部1105は、画像表示装置1200に色処理制御情報の受け入れが可能か否かを問い合わせる(ステップS301)。画像表示装置1200は、色処理制御情報を受け付けることが可能である場合には、入力部1201を介して受け付け可能のコマンド通知を行う(ステップS302)。画像再生装置1100は、画像表示装置1200から受け付け可能のコマンド通知を受け取ると(すなわち、画像表示装置が色処理制御情報の受け入れが可能な場合)、画像データと共に色処理制御情報を送信する(ステップS303)。
【0028】
<画像表示装置1200の処理動作>
画像表示装置1200において、入力部1201は、画像再生装置1100の出力部1105と同様にHDMI等のデジタルインターフェースで構成されている。入力部1201は、画像データ及び色処理制御情報を入力として受け取ると、画像データを画像処理部1210に、色処理制御情報を制御部1230に出力する。
【0029】
画像処理部1210は、輝度処理部1211及び色処理部1212を含み、入力された画像データにリサイズ処理やIP変換等の各種の画像処理を施す。輝度処理部1211は、輝度信号に対してガンマ処理や輪郭強調処理等を施す。色処理部1212は、色相補正処理や彩度強調処理等を施す。
【0030】
制御部1230は、入力部1201から色処理制御情報を受け取り、色処理制御情報に基づいて色処理部1212における色処理を制御する。すなわち、色処理制御情報が彩度強調処理を禁止する内容であれば、色処理部1212において彩度強調処理を施さないように制御する。また、彩度強調処理を許可する内容であれば、色処理部1212において彩度強調を施すように制御する。これが、本発明でいう制御手段による処理例である。
【0031】
表示部1220は、画像処理部1210により処理された輝度信号及び色信号に基づいて画像を表示する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態における画像再生装置1100は、画像データに関連付けられている撮影情報に基づいて、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成し、画像表示装置1200に出力する。画像表示装置1200は、画像再生装置1100から取得された色処理制御情報に基づいて画像データに対する色処理を制御する。これにより、画像表示装置1200における色処理(彩度強調処理等)を禁止する等の制御が可能となる。例えば既に広い色範囲を利用して撮影された画像データや、撮影者が意図的に色を設定したと考えられる画像データに、不適切な色処理が施されないようにすることができる。
【0033】
なお、本実施形態における画像再生装置1100の色処理制御情報生成部1130は、撮影機器ID、撮影モード情報、撮影時の色調整情報に基づいて色処理制御情報を生成したが、それ以外にも、撮影時の情報であれば例えば撮影者情報等を利用してもかまわない。また、撮影機器IDのみで判断する等、一種類のみの情報に基づいて色処理制御情報を生成してもかまわない。例えば、撮影機器IDによって、広い色範囲を備えるビデオカメラで撮影された画像データであることが分かれば、画像表示装置1200における彩度強調処理を禁止する等の制御が可能となる。
【0034】
また、画像再生装置1100や画像表示装置1200のインターフェースとしてHDMIを例に説明したが、これに限定するものではない。すなわち、画像データと共に色処理制御情報を出力できるインターフェースであれば、例えばネットワークを介して送信する等どのような形態でもかまわない。
【0035】
また、本実施形態における画像表示装置1200の色処理として彩度強調処理を例に説明したが、色相の変更等の色に関する処理であればどのような処理であってもかまわない。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、撮影時に色処理制御情報を生成する例について説明する。第2の実施形態における画像再生装置として、画像記録再生機能を有する撮影機器を例に説明する。
【0037】
図4は、第2の実施形態における画像表示システムの構成を示すブロック図である。図4において、4000は圧縮画像データを記録した記録媒体(ここではDVD等の光ディスク)、4100は画像記録再生機能を有するデジタルビデオカメラ等の撮影機器、1200は画像表示装置である。なお、画像表示装置1200は上記第1の実施形態で説明したものと同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0038】
撮影機器4100において、4300は撮像・記録部であり、撮像素子により撮影画像データを光ディスク4000に記録する。4400は画像再生部であり、光ディスク4000に記録された画像データを再生する。4500は出力部であり、画像再生部4400により再生された画像データを画像表示装置1200に出力する。
【0039】
<撮像・記録部4300の処理動作>
図5に撮像・記録部4300の構成を示す。撮像・記録部4300において、4301はレンズ等の光学系である。4302はCCD等の撮像素子である。4303はA/D変換部である。4304はY/C分離部である。4305は輝度信号処理部である。4306は色信号処理部である。4307はエンコーダである。4308は記録部である。4310は制御部である。4320は操作部である。4330は色処理制御情報生成部である。また、光ディスク4000及び出力部4500は、図4における光ディスク4000および出力部4500に対応している。
【0040】
撮像・記録部4300の処理動作について説明する。ユーザによる操作部4320への撮影操作を受け付けると、撮影処理を開始する。撮像素子4302は、光学系4301を介して入力された光束を画像信号に変換する。A/D変換部4303は、画像信号をデジタルデータに変換し、Y/C分離部4304に送る。Y/C分離部4304は、画像データを輝度信号及び色信号に分離し、輝度信号処理部4305及び色信号処理部4306にそれぞれ出力する。輝度信号処理部4305は、輪郭強調やガンマ補正等の処理を行う。また、色信号処理部4306は、色相や彩度の変換処理やホワイトバランス補正等の処理を行う。
【0041】
また、操作部4320は、ユーザからモード変更や画質変更の操作を受け付けることが可能である。すなわち、ユーザによるマニュアル撮影やオート撮影のモードの切り替えや、色を鮮やかにする等の設定操作を受け付けることができる。操作部4320が受け付けた制御情報は、制御部4310に入力される。制御部4310は、ユーザによる色調整情報に基づいて、色信号処理部4306を制御し、色の彩度を上げる等の色調整を行う。また、制御部4310は、モード情報及び色調整情報を色処理制御情報生成部4330に出力する。
【0042】
色処理制御情報生成部4330は、制御部4310から出力された撮影モード情報及び色調整情報に基づいて、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成する。
【0043】
ここで、図6のフローチャートを参照して、色処理制御情報生成部4330の処理動作について説明する。図6は、色処理制御情報生成部4330の処理動作を説明するためのフローチャートである。ステップS6001では、撮影モード情報がマニュアルモードであるかどうかを判断する。マニュアルモードで撮影された場合にはステップS6002に進み、オートモードで撮影された場合にはステップS6004に進む。
【0044】
ステップS6002では、撮影時に色調整が行われたかどうかを判断する。色調整が行われている場合にはステップS6003に進み、色調整が行われていない場合はステップS6004に進む。
【0045】
ステップS6003では、画像表示装置1200における彩度強調処理を禁止する色処理制御情報を生成する。一方、ステップS6004では、画像表示装置1200における彩度強調処理を許可する色処理制御情報を生成する。
【0046】
図5に説明を戻して、色処理制御情報生成部4330は、上記のように生成した色処理制御情報をエンコーダ4307に出力する。エンコーダ4307は、輝度信号処理部4305及び色信号処理部4306から出力された画像データをMPEG2等の所定の符号化方式でエンコードする。このとき、エンコーダ4307は、色処理制御情報生成部4330から出力された色処理制御情報をエンコードした画像データのヘッダ部に付加して記録部4308に出力する。記録部4308は、エンコードした画像データを光ディスク4000に記録する。
【0047】
また、色処理制御情報生成部4330は、上記のように生成した色処理制御情報を出力部4500にも出力する。出力部4500は、カメラ信号処理部からの出力画像データ及び色処理制御情報を第1の実施形態と同様の方法で画像表示装置1200の入力部1201に出力する。これにより、カメラ信号処理部からの画像データをエンコードせずに、画像表示装置1200に直接出力する場合においても色処理制御情報を併せて出力することが可能となる。
【0048】
<画像再生部4400の処理動作>
図7に画像再生部4400の構成を示す。画像再生部4400において、4401はディスクI/Fであり、光ピックアップ、モータ等から構成される。4402は誤り訂正部である。4403は分離部であり、読み込んだデータを画像データや撮影情報に分離する。4404はデコーダであり、画像データを復号化する。4410は制御部であり、撮影機器4100の全体を制御する。4420は操作部であり、ユーザからの入力を受け付ける。4430は色処理制御情報取得部であり、画像表示装置1200に出力する色処理制御情報を取得する。また、光ディスク4000及び出力部4500は、図4における光ディスク4000及び出力部4500に対応している。
【0049】
ユーザによる操作部4420への光ディスク4000に記録されたデータの再生操作を受け付けると、制御部4410はディスクI/F4401へ光ディスク4000のデータ読み込みを指示する。ディスクI/F4401は、光ディスク4000から指定データを読み込み誤り訂正部4402に出力する。誤り訂正部4402は、データの誤り訂正を行った後、データを分離部4403に出力する。
【0050】
分離部4403は、入力データを画像データ及び音声データに分離し、画像データをデコーダ4404に出力する。本実施形態でも説明の簡略化のため音声データを省略して説明する。デコーダ4404は、入力されたMPEG2形式等で符号化された画像データを復号化し、画像データを出力部4500に出力する。また、ヘッダ情報を色処理制御情報取得部4430に出力する。色処理制御情報取得部4430は、上述の撮影時の処理によりヘッダ部に記録された色処理制御情報を取得し、出力部4500に出力する。出力部4500は、第1の実施形態と同様の方法で画像データ及び色処理制御情報を画像表示装置1200の入力部1201に出力する。
【0051】
<画像表示装置1200の処理動作>
画像表示装置1200の構成及び処理動作は、第1の実施形態で説明したとおりであり、その詳細な説明は省略する。すなわち、撮影機器4100から取得した色処理制御情報に基づいて、色処理部1212の彩度強調処理を切り替える。
【0052】
以上説明したように、本実施形態における撮影機器4100は、撮影時の撮影情報に基づいて色処理制御情報を生成し、撮影画像データに付加して光ディスク4000に記録する。また、光ディスク4000に記録された画像データを再生する際に、その画像データに付加された色処理制御情報を取得し、画像表示装置1200に出力する。画像表示装置1200は、撮影機器4100から取得された色処理制御情報に基づいて画像データに色処理を施す。これにより、撮影機器4100で撮影した画像データは、画像データに付加された色処理制御情報を取得し、画像表示装置1200に出力する画像再生装置であれば、どのような再生装置でも適切に再生可能となる。すなわち、第1の実施形態で説明したように、画像再生装置が、撮影情報に基づいて色処理制御情報を生成する機能を備えていない場合でも、色処理制御情報を画像表示装置1200に出力して、色処理を制御することが可能となる。
【0053】
なお、本実施形態における撮影機器4100の色処理制御情報生成部4330は、撮影モード情報、撮影時の色調整情報に基づいて色処理制御情報を生成したが、撮影時の情報であれば上記以外の情報を利用してもかまわない。例えば、ユーザが操作部4320から、画像表示装置1200における彩度強調処理を許可するか禁止するかのモードを選択できるようにしておき、そのモード情報に基づいて色処理制御情報を生成するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、撮影画像データのヘッダ部に色処理制御情報を記録する例について述べた。これに加えて、例えば時間的に色処理制御情報が変化するような場合には、周期的に色処理制御情報を撮影画像データに記録してもよい。図8はMPEG2におけるヘッダ部の構成を示す図である。MPEG2では1フレームのデータに対してピクチャヘッダ部が付加される。そこで、周期的に色処理制御情報を付加する場合には、ピクチャヘッダのユーザ定義領域等に周期的に付加する方法で実施できる。また、上記以外の方法で周期的に色処理制御情報を付加してもかまわない。
【0055】
また、色処理制御情報を撮影画像データのヘッダ部に記録することに限定するものではない。例えば、撮影画像データと関連付けて記録媒体に記録しておく方法等、撮影画像データから対応する色処理制御情報が取得できれば、どのような形態であってもかまわない。
【0056】
なお、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても達成される。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
【0057】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0058】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0059】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけに限らない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現されてもよい。
【0060】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる形態でもよい。この場合メモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0061】
1000 光ディスク
1100 画像再生装置
1200 画像表示装置
1101 ディスクI/F
1102 誤り訂正部
1103 分離部
1104 デコーダ
1105 出力部
1110 制御部
1120 操作部
1201 入力部
1210 画像処理部
1211 輝度処理部
1212 色処理部
1220 表示部
1230 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像再生装置において記録媒体に記録された画像データを再生し、画像表示装置において該再生画像データに色処理を施して表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DVDプレーヤー等の画像再生装置、テレビ受像機等の画像表示装置が知られている。画像再生装置は画像表示装置に静止画像や動画像の画像データを出力し、画像表示装置は受信した画像データを表示する。
【0003】
近年は、画像再生装置と画像表示装置との接続にHDMI(High Definition Multimedia Interface)等のデジタルインターフェースが用いられている。HDMIでは、画像再生装置と画像表示装置との間で、画像データだけでなく、制御コマンドを伝送することが可能である。これにより、例えば画像表示装置のアスペクト比を画像再生装置に通知し、画像再生装置は画像表示装置のアスペクトに応じた画像を出力することが可能となっている(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
また、画像表示装置において、放送信号の色域であるITU−R BT.709やITU−R BT.609よりも広い色域まで表現できる液晶ディスプレイ等の画像表示装置が提案されている(例えば特許文献2を参照)。これらの広色域の表示能力を活用するために、入力画像データに彩度を強調する処理を施して表示する画像表示装置が提案されている(例えば特許文献3参照)。これらの画像表示装置によって入力画像をより鮮やかに再現することが可能となる。
【0005】
ここで、画像表示装置で施される彩度強調処理について説明する。図9は、xy色度図における彩度強調の様子を示す図である。図9において、91はITU−R BT.709規格のデータが取り得る色範囲を示し、92は画像表示装置が表示可能な色範囲を示す。このように画像表示装置が表示可能な色範囲92が入力画像データであるITU−R BT.709の色範囲91に対して広い場合は、彩度強調処理を施し、入力画像をより鮮やかに再現することができる。彩度強調処理は、図9に示すようにITU−R BT.709の高彩度部分をさらに伸張する色処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−109703号公報
【特許文献2】特開2005−234132号公報
【特許文献3】特開2005−204136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した画像表示装置では、放送信号であるITU−R BT.709(もしくはBT.609)の信号が入力されることを前提として彩度強調処理を施している。しかしながら、デジタルビデオカメラ等の一部の機器では、ITU−R BT.709で定義される範囲を越える画像データを生成することがあり、画像表示装置にITU−R BT.709を越える色範囲の画像データが入力される場合がある。
【0008】
ここで、図10に、ITU−R BT.709の信号が取り得る輝度信号Y及び色差信号(Cr及びCb)のデジタルデータの範囲を示す。ITU−RBT.709では、輝度信号が16〜235、色差信号が16〜240までの範囲を取り得る。さらに、YCrCbからRGBに変換した際に0<R、G、B<1の範囲に収まる範囲のデータをとることが可能である(図10の斜線の範囲)。しかしながら、デジタルビデオカメラ等の一部の機器では、ITU−R BT.709で定義される信号範囲を越える範囲の画像データを生成することがあり、例えば輝度信号で16以下、235以上、色差信号で16以下、240以上の画像データを生成する場合がある。
【0009】
すなわち、デジタルビデオカメラ等の一部の機器では、ITU−R BT.709よりも広い色範囲を表現していることになる。図11に、これらの色範囲の関係を示す。デジタルビデオカメラはこのように広い色範囲のデータであっても、ITU−R BT.709の信号として画像データを生成している。そのため、画像表示装置において放送波と同様の彩度強調処理が施されると、既に彩度が高く記録されている画像データに過度な彩度強調が行われることになるため、彩度が強調されすぎてしまうという問題が生じていた。
【0010】
また、デジタルビデオカメラの撮影者が意図的に色を設定して(例えば彩度を控えめに)撮影したにも関わらず、画像表示装置において彩度強調処理が施されると、撮影者の意図通りに画像が表示されないという問題も生じていた。
【0011】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、画像表示装置において不適切な色処理が施されないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の画像表示システムは、記録媒体に記録された画像データを再生し、出力する画像再生装置と、前記画像再生装置から前記再生画像データを取得し、色処理を施して表示する画像表示装置とにより構成される画像表示システムであって、前記画像再生装置は、前記再生画像データと共に、前記画像表示装置における色処理を制御するための色処理制御情報を前記画像表示装置に出力する出力手段を備え、前記画像表示装置は、前記色処理制御情報に基づいて前記再生画像データに対する色処理を制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像表示装置において色処理制御情報に基づいて再生画像データに色処理が施されるので、不適切な色処理が施されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態における画像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態における色処理制御情報生成部の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】第1の実施形態における再生装置と表示装置のコマンドの通知を示した図である。
【図4】第2の実施形態における画像表示システムの構成例を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態における撮像・記録部の構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態における色処理制御情報生成部の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】第2の実施形態における再生部の構成を示すブロック図である。
【図8】第2の実施形態における色処理制御情報の記録位置を示す図である。
【図9】彩度強調を示す概念図である。
【図10】YCrCb空間の色範囲を示す図である。
【図11】xy色度図の色範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態として、DVD等の光ディスクを再生するDVDプレーヤー等の画像再生装置と、テレビ受像機等の画像表示装置(例えば液晶ディスプレイ)とからなる画像表示システムを例に説明する。図1は、第1の実施形態における画像表示システムの構成を示すブロック図である。図1において、1000は圧縮画像データを記録した記録媒体(ここではDVD等の光ディスク)、1100は画像再生装置、1200は画像表示装置である。
【0016】
画像再生装置1100は、光ディスク1000に記録された画像データを再生し、出力する。1101はディスクインターフェース(ディスクI/F)であり、光ピックアップ、モータ等から構成される。1102は誤り訂正部である。1103は分離部であり、読み込んだデータを画像データや撮影情報に分離する。1104はデコーダであり、画像データを復号化する。1105は出力部であり、復号化した画像データを出力する。1110は制御部であり、画像再生装置1100の全体を制御する。1120は操作部であり、ユーザからの入力操作を受け付ける。1130は色処理制御情報生成部であり、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成する。
【0017】
画像表示装置1200は、画像再生装置1100から再生画像データを取得し、色処理を施して表示する。1201は入力部であり、画像データの入力を受け付ける。1210は画像処理部であり、輝度処理部1211及び色処理部1212を含む。1220は表示部であり、画像処理部1210により画像処理された画像を表示する。1230は制御部であり、画像表示装置1200の全体を制御する。
【0018】
<画像再生装置1100の処理動作>
画像再生装置1100において、ユーザによる操作部1120への再生操作を受け付けると、制御部1110は、ディスクI/F1101に対して光ディスク1000のデータ読み込みを指示する。ディスクI/F1101は、光ディスク1000から指定データを読み込み、誤り訂正部1102に出力する。誤り訂正部1102は、データの誤り訂正を行った後、データを分離部1103に出力する。
【0019】
分離部1103は、入力データを画像データ及び音声データ、撮影情報に分離した後、画像データをデコーダ1104に出力し、また、撮影情報を色処理制御情報生成部1130に出力する。撮影情報は画像データのメタデータとして記録されているデータであり、画像データを撮影機器により撮影した際に生成される。本実施形態では、撮影情報として撮影機器情報(撮影機器ID)、撮影モード情報、撮影時の色調整情報が記録されているものとする。なお、本実施形態では、説明の簡略化のため音声データについての説明は省略し、画像データ及び撮影情報を扱うものとする。デコーダ1104は、入力されたMPEG2形式等で符号化された画像データを復号化し、画像データを出力部1105に出力する。
【0020】
色処理制御情報生成部1130は、撮影情報に基づいて、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成する(本発明でいう色処理制御情報生成手段による処理である)。
【0021】
ここで、図2のフローチャートを参照して、色処理制御情報生成部1130の処理動作について説明する。図2は、色処理制御情報生成部1130の処理動作を説明するためのフローチャートである。ステップS2001では、撮影機器IDに基づいて、対象の撮影機器で撮影された画像データであるかどうかを判断する。撮影機器IDは、光ディスク1000に記録された画像データを撮影した撮影機器のメーカID及び機器IDから構成されている。また、画像再生装置1100は不図示のメモリを内部に備えており、該メモリに色処理制御情報生成部1130が制御可能な撮影機器のメーカID及び機器IDのリストを記録している。ステップS2001では、撮影機器IDをメモリに記録された制御可能機器リストと照合し、光ディスク1000に記録された画像データが処理の対象となる機器で撮影された画像データであるかどうかを判断する。その結果、対象の撮影機器で撮影された画像データである場合はステップS2002に進み、そうでない場合はステップS2005に進む。
【0022】
ステップS2002では、撮影モード情報に基づいて、撮影時にマニュアルモードで撮影されたかどうかを判断する。マニュアルモードで撮影された画像データである場合にはステップS2003に進み、オートモードで撮影された画像データである場合にはステップS2005に進む。
【0023】
ステップS2003では、撮影時の色調整情報に基づいて、撮影時に色調整が行われたかどうかをチェックする。撮影時の色調整情報とは、例えばユーザが撮影時に意図的に彩度を上げる等の調整を行ったか否かの情報である。色調整が行われている場合にはステップS2004に進み、色調整が行われていない場合はステップS2005に進む。
【0024】
ステップS2004では、画像表示装置1200における彩度強調処理を禁止する色処理制御情報を生成する。一方、ステップS2005では、画像表示装置1200における彩度強調処理を許可する色処理制御情報を生成する。
【0025】
このように、マニュアルモードでユーザが操作して色調整を行っている場合は、ユーザが意図して色を決めていると考えられ、この場合に画像表示装置1200において彩度強調処理が施されると、ユーザの意図した色と異なる色が表示されてしまう。そこで、ユーザによる色調整が行われている場合は、画像表示装置1200における彩度強調処理を禁止する色処理制御情報を生成することで、ユーザの意図した色で表示されるようにすることができる。
【0026】
図1に説明を戻して、出力部1105は、HDMI等のデジタルインターフェースで構成されており、画像データと共に、画像表示装置1200のインターフェースである入力部1201との間で制御コマンドをやり取りすることが可能である。出力部1105は、画像データの出力時もしくは画像表示装置1200との接続時に色制御に関するコマンドを送信する。
【0027】
コマンドの送信例を図3に示す。図3に示すように、画像再生装置1100の出力部1105は、画像表示装置1200に色処理制御情報の受け入れが可能か否かを問い合わせる(ステップS301)。画像表示装置1200は、色処理制御情報を受け付けることが可能である場合には、入力部1201を介して受け付け可能のコマンド通知を行う(ステップS302)。画像再生装置1100は、画像表示装置1200から受け付け可能のコマンド通知を受け取ると(すなわち、画像表示装置が色処理制御情報の受け入れが可能な場合)、画像データと共に色処理制御情報を送信する(ステップS303)。
【0028】
<画像表示装置1200の処理動作>
画像表示装置1200において、入力部1201は、画像再生装置1100の出力部1105と同様にHDMI等のデジタルインターフェースで構成されている。入力部1201は、画像データ及び色処理制御情報を入力として受け取ると、画像データを画像処理部1210に、色処理制御情報を制御部1230に出力する。
【0029】
画像処理部1210は、輝度処理部1211及び色処理部1212を含み、入力された画像データにリサイズ処理やIP変換等の各種の画像処理を施す。輝度処理部1211は、輝度信号に対してガンマ処理や輪郭強調処理等を施す。色処理部1212は、色相補正処理や彩度強調処理等を施す。
【0030】
制御部1230は、入力部1201から色処理制御情報を受け取り、色処理制御情報に基づいて色処理部1212における色処理を制御する。すなわち、色処理制御情報が彩度強調処理を禁止する内容であれば、色処理部1212において彩度強調処理を施さないように制御する。また、彩度強調処理を許可する内容であれば、色処理部1212において彩度強調を施すように制御する。これが、本発明でいう制御手段による処理例である。
【0031】
表示部1220は、画像処理部1210により処理された輝度信号及び色信号に基づいて画像を表示する。
【0032】
以上説明したように、本実施形態における画像再生装置1100は、画像データに関連付けられている撮影情報に基づいて、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成し、画像表示装置1200に出力する。画像表示装置1200は、画像再生装置1100から取得された色処理制御情報に基づいて画像データに対する色処理を制御する。これにより、画像表示装置1200における色処理(彩度強調処理等)を禁止する等の制御が可能となる。例えば既に広い色範囲を利用して撮影された画像データや、撮影者が意図的に色を設定したと考えられる画像データに、不適切な色処理が施されないようにすることができる。
【0033】
なお、本実施形態における画像再生装置1100の色処理制御情報生成部1130は、撮影機器ID、撮影モード情報、撮影時の色調整情報に基づいて色処理制御情報を生成したが、それ以外にも、撮影時の情報であれば例えば撮影者情報等を利用してもかまわない。また、撮影機器IDのみで判断する等、一種類のみの情報に基づいて色処理制御情報を生成してもかまわない。例えば、撮影機器IDによって、広い色範囲を備えるビデオカメラで撮影された画像データであることが分かれば、画像表示装置1200における彩度強調処理を禁止する等の制御が可能となる。
【0034】
また、画像再生装置1100や画像表示装置1200のインターフェースとしてHDMIを例に説明したが、これに限定するものではない。すなわち、画像データと共に色処理制御情報を出力できるインターフェースであれば、例えばネットワークを介して送信する等どのような形態でもかまわない。
【0035】
また、本実施形態における画像表示装置1200の色処理として彩度強調処理を例に説明したが、色相の変更等の色に関する処理であればどのような処理であってもかまわない。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、撮影時に色処理制御情報を生成する例について説明する。第2の実施形態における画像再生装置として、画像記録再生機能を有する撮影機器を例に説明する。
【0037】
図4は、第2の実施形態における画像表示システムの構成を示すブロック図である。図4において、4000は圧縮画像データを記録した記録媒体(ここではDVD等の光ディスク)、4100は画像記録再生機能を有するデジタルビデオカメラ等の撮影機器、1200は画像表示装置である。なお、画像表示装置1200は上記第1の実施形態で説明したものと同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0038】
撮影機器4100において、4300は撮像・記録部であり、撮像素子により撮影画像データを光ディスク4000に記録する。4400は画像再生部であり、光ディスク4000に記録された画像データを再生する。4500は出力部であり、画像再生部4400により再生された画像データを画像表示装置1200に出力する。
【0039】
<撮像・記録部4300の処理動作>
図5に撮像・記録部4300の構成を示す。撮像・記録部4300において、4301はレンズ等の光学系である。4302はCCD等の撮像素子である。4303はA/D変換部である。4304はY/C分離部である。4305は輝度信号処理部である。4306は色信号処理部である。4307はエンコーダである。4308は記録部である。4310は制御部である。4320は操作部である。4330は色処理制御情報生成部である。また、光ディスク4000及び出力部4500は、図4における光ディスク4000および出力部4500に対応している。
【0040】
撮像・記録部4300の処理動作について説明する。ユーザによる操作部4320への撮影操作を受け付けると、撮影処理を開始する。撮像素子4302は、光学系4301を介して入力された光束を画像信号に変換する。A/D変換部4303は、画像信号をデジタルデータに変換し、Y/C分離部4304に送る。Y/C分離部4304は、画像データを輝度信号及び色信号に分離し、輝度信号処理部4305及び色信号処理部4306にそれぞれ出力する。輝度信号処理部4305は、輪郭強調やガンマ補正等の処理を行う。また、色信号処理部4306は、色相や彩度の変換処理やホワイトバランス補正等の処理を行う。
【0041】
また、操作部4320は、ユーザからモード変更や画質変更の操作を受け付けることが可能である。すなわち、ユーザによるマニュアル撮影やオート撮影のモードの切り替えや、色を鮮やかにする等の設定操作を受け付けることができる。操作部4320が受け付けた制御情報は、制御部4310に入力される。制御部4310は、ユーザによる色調整情報に基づいて、色信号処理部4306を制御し、色の彩度を上げる等の色調整を行う。また、制御部4310は、モード情報及び色調整情報を色処理制御情報生成部4330に出力する。
【0042】
色処理制御情報生成部4330は、制御部4310から出力された撮影モード情報及び色調整情報に基づいて、画像表示装置1200における色処理を制御するための色処理制御情報を生成する。
【0043】
ここで、図6のフローチャートを参照して、色処理制御情報生成部4330の処理動作について説明する。図6は、色処理制御情報生成部4330の処理動作を説明するためのフローチャートである。ステップS6001では、撮影モード情報がマニュアルモードであるかどうかを判断する。マニュアルモードで撮影された場合にはステップS6002に進み、オートモードで撮影された場合にはステップS6004に進む。
【0044】
ステップS6002では、撮影時に色調整が行われたかどうかを判断する。色調整が行われている場合にはステップS6003に進み、色調整が行われていない場合はステップS6004に進む。
【0045】
ステップS6003では、画像表示装置1200における彩度強調処理を禁止する色処理制御情報を生成する。一方、ステップS6004では、画像表示装置1200における彩度強調処理を許可する色処理制御情報を生成する。
【0046】
図5に説明を戻して、色処理制御情報生成部4330は、上記のように生成した色処理制御情報をエンコーダ4307に出力する。エンコーダ4307は、輝度信号処理部4305及び色信号処理部4306から出力された画像データをMPEG2等の所定の符号化方式でエンコードする。このとき、エンコーダ4307は、色処理制御情報生成部4330から出力された色処理制御情報をエンコードした画像データのヘッダ部に付加して記録部4308に出力する。記録部4308は、エンコードした画像データを光ディスク4000に記録する。
【0047】
また、色処理制御情報生成部4330は、上記のように生成した色処理制御情報を出力部4500にも出力する。出力部4500は、カメラ信号処理部からの出力画像データ及び色処理制御情報を第1の実施形態と同様の方法で画像表示装置1200の入力部1201に出力する。これにより、カメラ信号処理部からの画像データをエンコードせずに、画像表示装置1200に直接出力する場合においても色処理制御情報を併せて出力することが可能となる。
【0048】
<画像再生部4400の処理動作>
図7に画像再生部4400の構成を示す。画像再生部4400において、4401はディスクI/Fであり、光ピックアップ、モータ等から構成される。4402は誤り訂正部である。4403は分離部であり、読み込んだデータを画像データや撮影情報に分離する。4404はデコーダであり、画像データを復号化する。4410は制御部であり、撮影機器4100の全体を制御する。4420は操作部であり、ユーザからの入力を受け付ける。4430は色処理制御情報取得部であり、画像表示装置1200に出力する色処理制御情報を取得する。また、光ディスク4000及び出力部4500は、図4における光ディスク4000及び出力部4500に対応している。
【0049】
ユーザによる操作部4420への光ディスク4000に記録されたデータの再生操作を受け付けると、制御部4410はディスクI/F4401へ光ディスク4000のデータ読み込みを指示する。ディスクI/F4401は、光ディスク4000から指定データを読み込み誤り訂正部4402に出力する。誤り訂正部4402は、データの誤り訂正を行った後、データを分離部4403に出力する。
【0050】
分離部4403は、入力データを画像データ及び音声データに分離し、画像データをデコーダ4404に出力する。本実施形態でも説明の簡略化のため音声データを省略して説明する。デコーダ4404は、入力されたMPEG2形式等で符号化された画像データを復号化し、画像データを出力部4500に出力する。また、ヘッダ情報を色処理制御情報取得部4430に出力する。色処理制御情報取得部4430は、上述の撮影時の処理によりヘッダ部に記録された色処理制御情報を取得し、出力部4500に出力する。出力部4500は、第1の実施形態と同様の方法で画像データ及び色処理制御情報を画像表示装置1200の入力部1201に出力する。
【0051】
<画像表示装置1200の処理動作>
画像表示装置1200の構成及び処理動作は、第1の実施形態で説明したとおりであり、その詳細な説明は省略する。すなわち、撮影機器4100から取得した色処理制御情報に基づいて、色処理部1212の彩度強調処理を切り替える。
【0052】
以上説明したように、本実施形態における撮影機器4100は、撮影時の撮影情報に基づいて色処理制御情報を生成し、撮影画像データに付加して光ディスク4000に記録する。また、光ディスク4000に記録された画像データを再生する際に、その画像データに付加された色処理制御情報を取得し、画像表示装置1200に出力する。画像表示装置1200は、撮影機器4100から取得された色処理制御情報に基づいて画像データに色処理を施す。これにより、撮影機器4100で撮影した画像データは、画像データに付加された色処理制御情報を取得し、画像表示装置1200に出力する画像再生装置であれば、どのような再生装置でも適切に再生可能となる。すなわち、第1の実施形態で説明したように、画像再生装置が、撮影情報に基づいて色処理制御情報を生成する機能を備えていない場合でも、色処理制御情報を画像表示装置1200に出力して、色処理を制御することが可能となる。
【0053】
なお、本実施形態における撮影機器4100の色処理制御情報生成部4330は、撮影モード情報、撮影時の色調整情報に基づいて色処理制御情報を生成したが、撮影時の情報であれば上記以外の情報を利用してもかまわない。例えば、ユーザが操作部4320から、画像表示装置1200における彩度強調処理を許可するか禁止するかのモードを選択できるようにしておき、そのモード情報に基づいて色処理制御情報を生成するようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、撮影画像データのヘッダ部に色処理制御情報を記録する例について述べた。これに加えて、例えば時間的に色処理制御情報が変化するような場合には、周期的に色処理制御情報を撮影画像データに記録してもよい。図8はMPEG2におけるヘッダ部の構成を示す図である。MPEG2では1フレームのデータに対してピクチャヘッダ部が付加される。そこで、周期的に色処理制御情報を付加する場合には、ピクチャヘッダのユーザ定義領域等に周期的に付加する方法で実施できる。また、上記以外の方法で周期的に色処理制御情報を付加してもかまわない。
【0055】
また、色処理制御情報を撮影画像データのヘッダ部に記録することに限定するものではない。例えば、撮影画像データと関連付けて記録媒体に記録しておく方法等、撮影画像データから対応する色処理制御情報が取得できれば、どのような形態であってもかまわない。
【0056】
なお、本発明の目的は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても達成される。この場合、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
【0057】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0058】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0059】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけに限らない。例えば、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現されてもよい。
【0060】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる形態でもよい。この場合メモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される。
【符号の説明】
【0061】
1000 光ディスク
1100 画像再生装置
1200 画像表示装置
1101 ディスクI/F
1102 誤り訂正部
1103 分離部
1104 デコーダ
1105 出力部
1110 制御部
1120 操作部
1201 入力部
1210 画像処理部
1211 輝度処理部
1212 色処理部
1220 表示部
1230 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された画像データを再生し、出力する画像再生装置と、
前記画像再生装置から前記再生画像データを取得し、色処理を施して表示する画像表示装置とにより構成される画像表示システムであって、
前記画像再生装置は、前記再生画像データと共に、前記画像表示装置における色処理を制御するための色処理制御情報を前記画像表示装置に出力する出力手段を備え、
前記画像表示装置は、前記色処理制御情報に基づいて前記再生画像データに対する色処理を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像表示システム。
【請求項1】
記録媒体に記録された画像データを再生し、出力する画像再生装置と、
前記画像再生装置から前記再生画像データを取得し、色処理を施して表示する画像表示装置とにより構成される画像表示システムであって、
前記画像再生装置は、前記再生画像データと共に、前記画像表示装置における色処理を制御するための色処理制御情報を前記画像表示装置に出力する出力手段を備え、
前記画像表示装置は、前記色処理制御情報に基づいて前記再生画像データに対する色処理を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−253780(P2012−253780A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145428(P2012−145428)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2007−159087(P2007−159087)の分割
【原出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2007−159087(P2007−159087)の分割
【原出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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