説明

画像表示制御装置及びその方法

【課題】HDR形式(2変調光学系)の画像表示を行う輝度液晶パネル及びRGB毎の色液晶パネルの制御値を、入力される映像信号から簡易に高い精度で演算処理することのできる画像表示装置及びその方法を提供する。
【解決手段】本発明の画像表示制御装置は、輝度変調素子と色変調素子とを有する表示装置の制御を行う画像表示制御装置であって、入力される映像信号におけるRGB成分各々の信号値からの最大値を抽出して、最大信号値として出力する最大値選択部と、輝度変調素子の制御を行う輝度制御値を該最大信号値から生成する輝度制御値生成部と、該輝度制御値に対応させて、RGB成分各々の信号値を補正し、補正信号値として出力する色補正部と、補正信号値からRGB各々の色変調素子の色制御値を生成する色制御値生成部とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多ビットで高精度のデータを用い、実際に近い映像をディスプレイに表示するHDR(High Dynamic Range)表示技術に関し、HDR形式に対応して高輝度/高コントラストな画像表示を行う画像表示システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータグラフィックスの分野において、HDRレンダリングの技術が開発され、表示する色の演算を3原色R(赤)G(緑)B(青)の各8ビット(1677万色)ではなく、さらに多ビットを用いて高精度な色演算が行い、現実に見た状態に近い画像が生成されるようになってきている。
また、HDR表示を行うディスプレイとしても、入射光の3原色を画像データに対応して輝度変調する色変調光学素子と、RGBそれぞれの色変調光学素子から入射した光の全波長領域の輝度を変調する輝度変調光学素子とを光学的に直列に配置し、スクリーンに投射する2変調系投射型表示装置が開発されている。
【0003】
液晶パネルの制御値を求める方法としては、入力された映像信号から、輝度液晶パネルの制御を行う制御値を求める際、入力された映像信号におけるRGB成分における最大値を輝度液晶パネルの最大値として設定し、色液晶パネルの制御値を、逆γ補正された上記RGB成分各々の値を輝度液晶パネルの最大値で除算して得た値に比例するように、色液晶パネルの制御値を算出することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の液晶パネルの制御値を求める方法としては、まず、入力された映像信号におけるRGB各々を正規化し、正規化されたRGBの信号値から輝度信号を演算する。そして、正規化したRGB成分各々を、上記輝度信号の平方根により除算し、除算結果における最大値を求めてこの値を輝度パネルの制御値とする。ここで、上記除算結果の最大値が予め設定された閾値より大きい場合、この最大値のクリッピング処理を行い、この閾値の値を輝度パネルの制御値として出力する。
【0005】
次に、上記正規化されたRGBの信号値を、求められた輝度パネルの制御値で除算して求められた結果を、RGB各々に対応した色液晶パネルの制御値としている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平06−167690号公報
【特許文献2】特開2004−242136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の方法は、各RGBに対応した液晶パネルの制御について明確に記載されておらず、求められた制御値と液晶パネルの制御との対応が不明であり、実現性の課題がある。
また、特許文献2の方法は、輝度液晶パネルの制御値を、入力される映像信号から求めているため、単色においての階調性能が低下する問題がある。
【0007】
また、上述したように、いずれの特許文献の方法においても、RGBの信号から先に輝度液晶パネルの制御値を決定し、RGBをその制御値にて除算した結果を用いて、色液晶パネルの制御値を求めるという処理自体が同様である。
しかし、上記2つの方法ともに、演算処理が複雑となり、この演算処理を実現するための処理回路が大型化し、製造コストを増大させてしまう欠点がある。
さらに、輝度値に対応した、各RGBの表示特性が異なるため、RGBの制御値各々を同一の輝度値から求めた場合、入力される映像信号の再現を高い精度で行うことが出来ない欠点を有している。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、HDR形式(2変調光学系)の画像表示を行う輝度液晶パネル及びRGB毎の色液晶パネルの制御値を、入力される映像信号から簡易に高い精度で演算処理することのできる画像表示装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像表示制御装置は、輝度変調素子と色変調素子とを有する表示装置の制御を行う画像表示制御装置であって、入力される映像信号におけるRGB成分各々の信号値からの最大値を抽出して、最大信号値として出力する最大値選択部と、輝度変調素子の制御を行う輝度制御値を該最大信号値から生成する輝度制御値生成部と、該輝度制御値に対応させて、RGB成分各々の信号値を補正し、補正信号値として出力する色補正部と、該補正信号値からRGB各々の色変調素子の色制御値を生成する色制御値生成部とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像表示制御方法は、輝度変調素子と色変調素子とを有する表示装置の制御を行う画像表示制御装置の制御方法であって、最大値選択部が入力される映像信号におけるRGB成分各々の信号値からの最大値を抽出して、最大信号値として出力する最大値選択過程と、輝度制御値生成部が輝度変調素子の制御を行う輝度制御値を該最大信号値から生成する輝度制御値生成過程と、色補正部が該輝度制御値に対応させて、RGB成分各々の信号値を補正し、補正信号値として出力する色補正過程と、色制御値生成部が該補正信号値からRGB各々の色変調素子の色制御値を生成する色制御値生成過程とを有することを特徴とする。
【0011】
これにより、本発明の画像表示制御装置(または方法)は、簡単な構成であり回路化が容易であり、輝度制御値毎に、RGB成分の各信号値の補正を行い、得られた補正信号値により、各RGB毎の色変調素子の変調処理を行うための色制御値を生成するため、入力された映像信号を高精度で表示させることが可能となる。
【0012】
本発明の画像表示制御装置は、前記色補正部が、RGB成分各々の信号値を線形変換した結果と、前記輝度制御値から求めた補正値とを乗算し、該乗算結果を前記補正信号値として出力することを特徴とする。
本発明の画像表示制御装置は、前記色補正部が、前記乗算を浮動小数点演算にて行い、演算結果を整数値として出力することを特徴とする。
これにより、本発明の画像表示制御装置は、補正信号値をルックアップテーブルから抽出するのに比較し、補正信号値を算出する乗算を浮動小数点演算で行うことにより、演算結果の丸め込みを抑制し、色制御値を生成する際に用いる補正信号値の生成を、高い精度にて行うことができる。
【0013】
本発明の画像表示制御装置は、前記輝度制御値生成部が、前記最大信号値と輝度変調素子の制御値との対応を示す輝度値テーブルを有しており、最大値選択部の出力する最大信号値に対応した輝度変調素子の制御値を読み出し、輝度制御値として出力し、前記色制御値生成部が、前記補正信号値と色変調素子の制御値との対応を示す色テーブルを有しており、色補正部の出力する補正信号値に対応した色変調素子の制御値を読み出し、色制御値として出力することを特徴とする。
これにより、本発明の画像表示制御装置は、補正信号値のみを高い精度で求めるため、浮動小数点の乗算を行って求めているが、輝度制御値及び色制御値の生成をルックアップテーブルにより構成しているため、全体を簡易な回路により構成することができる。
【0014】
本発明の画像表示制御装置は、前記色テーブルにおいて、前記最大信号値に対し、透過率特性を、色変調素子毎の個別の特性からγ2.2乗に補正する制御値が設定されていることを特徴とする。
これにより、本発明の画像表示制御装置は、従来の色変調素子の制御ノウハウを活用し、各液晶ライトバルブ(液晶素子)の制御値に対する透過率特性を、色テーブルの補正により、均一にγ2.2に合わせることができ、前段からの出力を個別に調整する必要が無く、前段までの演算処理を簡易にし、かつ装置間での表示特性を高い精度で均一化し、表示品質を合わせた変調処理を行うことができる。
【0015】
本発明の画像表示制御装置は、前記輝度テーブルにおいて、前記最大信号値に対し、透過率特性を、輝度変調素子毎の個別の特性からγ1.0乗以下の特性として設定されていることを特徴とする。
これにより、本発明の画像表示制御装置は、線形に比較して初期段階における変調の変化が速くなり、かつ線形に近い変化とすることにより、変調素子における調整幅を広げることができ、結果的に色再現性が高く、入力される映像信号を高画質な状態で再生することが可能となり、また、装置間での制御値に対する透過率特性を容易に装置間で合わせることができ、装置間での表示特性を高い精度で均一化し、表示品質を合わせた変調処理を行うことができる。
【0016】
本発明の画像表示制御装置は、前記色補正部が、前記乗算結果を整数値として出力する際、乗算結果がオーバーフローした場合、予め設定した上限値にてクリッピング処理を行うことを特徴とする。
これにより、本発明の画像表示制御装置は、測定誤差や演算誤差に起因したオーバーフローなどによる不正演算を防止し、現実性の高い補正信号値を生成することが可能となる。
【0017】
本発明のプロジェクタは、上述した画像表示制御装置のいずれかを有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態による画像表示制御装置を図面を参照して説明する。図1は同実施形態による画像表示制御装置の概念を示すブロック図である。ここで、入力される映像信号におけるRGB成分の信号値Ri,Gi,Bi各々が10ビットで入力され、また、輝度変調用及び色変調用の液晶ライトバルブを駆動する制御値も10ビットとして説明する。
図1は、輝度液晶パネル(後に述べる液晶ライトバルブ14)の制御値である輝度制御値と、RGB成分のうち代表としてB成分の信号値Brから求められる、色液晶パネルの色制御値とを求める構成例を示している。他のR及びG成分に対応する色液晶パネルの色制御値も、記載はされていないが、この信号Brに対する処理と同様である。ここで、液晶ライトバルブにおいては、駆動信号VTに対し、透過率Lがγ2.2の特性を有している。
【0019】
最大値選択回路(MAX選択回路)11は、RGB各成分の信号値Ri,Gi及びBiが入力されると最大信号値(すなわち、階調度)を選択し、制御値Mrとして出力する。
輝度LUT回路12は、制御値Mrの数値と、液晶ライトバルブ14の駆動を行う輝度制御値VTとの対応を示す輝度テーブルを有しており、入力される制御値Mrに対応した輝度制御値VTを輝度テーブルから読み出して出力することにより、輝度制御値VTの生成を行う。上記輝度テーブルは、入力される制御値Mrに対する液晶ライトバルブ14の透過率特性を、グラフ102に示すように、入力される制御値Mrの数値に対応して、液晶ライトバルブ14の透過率Lsがγ1.0乗以下の特性となるよう補正された輝度制御値が記憶されている。
ドライバ回路13は、D/A変換器を内蔵しており、輝度LUT回路12が出力する、
デジタル値の輝度制御値VTを、アナログの電圧値に変換し、液晶ライトバルブ14へ出力させて、液晶ライトバルブ14を駆動させ、液晶ライトバルブ14に入射される光に対する輝度変調の処理を行わせる。
【0020】
補正回路15は、入力される映像信号におけるB成分の信号値Biを、この映像信号により決定した制御値Mrに対応して補正し、補正信号値Br(Rr,Grも同様)として出力するものである。補正回路15は、例えば、図2に示すように、補正LUT(ルックアップテーブル151,2.2乗LUT152,乗算部153及び0.45乗LUT154を有した構成となっている。図1,図2の回路にて行われる画素単位の信号処理において、色LUT回路17、輝度LUT12に入力される補正信号値Br 、制御値Mrは画素毎に同じタイミングで入力される必要がある。したがって、実際には制御値Mrの入力を補正回路15での演算に要する時間分を、輝度LUT12に入力する直前において遅延させることが必要である。また、演算処理を正確に行うタイミング制御の点から、図2の補正回路15において、補正LUT回路151からの出力と2.2乗LUT回路152からの出力とを同一タイミングにて、乗算回路153に対して入力させる必要もある。すなわち、補正回路15において、信号値Biが入力されるタイミングに対して、制御値Mrの入力されるタイミングがMAX選択回路11の処理における時間だけ遅延している。このため、乗算回路153における乗算処理のため、信号値Biと制御値Mrとの入力タイミングを、乗算タイミングに同期させる必要がある。上述したように、本実施形態において、各回路間における数クロック程度のタイミング調整に関しては処理の流れから判るように、画素単位での処理を同期して行うことが十分類推できる為、詳細なタイミング調整の説明を省いている。
【0021】
補正LUT151は、制御値Mrと補正係数MBとの対応を示す補正係数テーブルを有しており、例えば、図3に示すように、信号値Biがそれぞれ10ビット構成であり、制御値Mr[9:0]であるとすると、後述する乗算部153で用いる補正係数MBを、10ビットの仮数部MBexp[9:0]と、4ビットの指数部MBsig[3:0]とし、入力10ビットを出力14ビットとして出力する。この補正係数MBは、液晶ライトバルブ14の透過率特性g(Mr)を正規化した数値の逆数である。また、この補正係数MBは、色成分により補正の程度が異なるため、RGBの各成分の信号値Ri,Gi及びBi各々に対応して設けられている。
【0022】
ただし、上記補正係数MBは、後に述べる乗算部153による乗算結果を、0.45乗する必要があるため、データの丸め込みによる誤差を生じさせずに計算精度を保持するために、数値的に2bitの余裕を持たせて設定されている。この2bitの余裕を持たせることは、補正係数MBを2=4倍することを意味している。したがって、正規化したg(Mr)の逆数の取りうる範囲は、液晶ライトバルブ14のコントラスト比と、乗算結果の整数化ビット数で決定されることになる。
ここで、コントラスト比を1000:1とした場合、補正係数MBの最大値は1000×4=4000となり、一方、最小値はg(Mr)=1の場合に相当し、(1/1)×4=4である。このため、浮動小数点で表現される補正係数は4〜4000を正しく表現する必要がある。すなわち、仮数部の数値をm、指数部の数値をnとした場合、m/(2n−4)として表現した。この表現であれば、0.5〜16384まで表現できることになる。また、例えば、コントラスト比が200:1と低い場合、補正係数は4〜800なので、m/2という表現形式で問題はない。
【0023】
2.2乗LUT152は、例えば、図4に示すように、信号値Biがそれぞれ10ビット構成であり、信号値Bi(Ri,Gi)[9:0]であるとすると、後述する乗算部153で用いる変換信号値B(R,G)を、10ビットの仮数部Bexp[9:0]と、4ビットの指数部Bsig[3:0]とし、入力10ビットを出力14ビットとして出力する。
ここで、例えば入力及び出力ともに整数であるLUTを用いるとすると、入力10bitに対し、暗部での変換精度を保つため、出力として20bit以上のビット数が必要となってしまう。
【0024】
また、補正係数の算出の元となるg(Mr)の特性がリニア特性であっても、最低でも10bitが必要である。液晶ライトバルブ14の透過率特性「g(Mr)」は、液晶ライトバルブ16の透過率特性「h(Br)」がガンマ2.2の特性であるため、アルゴリズムからガンマ≦2.2である必要ある。液晶ライトバルブ14の透過率特性「g(Mr)」もガンガンマ2.2の特性とすることも可能である。
【0025】
しかしながら、液晶ライトバルブ14の透過率特性「g(Mr)」をガンマ2.2とすると、2変調系全体の透過率特性もガンマ2.2である上、後に述べるように、輝度変調を行う液晶ライトバルブ14の透過率を先に決定することは、特に最大値に選ばれた色に関して言えば、色別の透過率制御を行っている液晶ライトバルブ14の最大透過率部分だけを使うことを意味することになる。これは、輝度変調側で透過光量を大幅に削ってしまうため、明部における色側での調整余裕が少なくなり、結果として色再現性能が下がることになる。
【0026】
したがって、液晶ライトバルブ14の透過率特性「g(Mr)」は、すでに述べたように、ガンマ≦1とすると、液晶ライトバルブ16における透過率の調整幅に余裕ができ、色再現性も高くなり高画質な画像を表現できることになる。
例えば、1/2.2のガンマを用いた場合、補正係数の必要な精度も20bit以上必要となり、2.2乗変換した結果の変換信号値Bと、補正係数MBとの乗算は、各20bitの入力有する乗算部153が必要になることになる。これでは、演算結果としては10数bitの精度があれば十分なことを考えると整数演算は無駄が多いことが判る。
したがって、乗算部153は、変換信号値Bと補正計数値MBとの乗算を、浮動小数点形式での乗算処理により行っている。
【0027】
ここで、乗算部153における浮動小数点形式としては、後述するように、10bitの仮数部と4bitの指数部とからなる変換信号値B及び補正計数値MBの乗算を行う演算形式とした(図5参照)。この浮動小数点形式であれば、14bitにより、25bit相当の整数値を表現、すなわち少ないビット数により、計算による丸め込みのない演算を行うことができ、演算精度を大幅に向上させることができる。
また、上述した2.2乗LUT152は、入力データである10ビットのB[9:0]を入力すると、出力データとして、仮数部の数値をm、指数部の数値をnとした場合、m/2として表現することになる。理由は、本実施形態においては、出力データの最大値を、一例として1023と定めたことによる。すなわち、本来の人力信号の最大値を、浮動小数点形式の最大値とした。例えば、「1023」の数値を表現する場合、m=1023,n=0となり、「78」を表現する場合、m=624,n=3となり、また、「3」を表現する場合、m=768,n=8となる。
【0028】
次に、乗算部153は、浮動小数点乗算回路であり、上述したように、入力される変換信号値B及び補正係数値MBが共に仮数部10bit,指数部4bitの14ビットからなる浮動小数点形式の信号である。この乗算部153は、浮動小数点演算処理を実現するため、仮数部の10bit入力各々を乗算して20bitの結果を出力する乗算器と、指数部4bit入力を各々加算して5bitの結果を出力する加算器とが各1個にて実現できるため、少ない回路構成で高精度な演算処理を行うことが出来る構成となっている。
【0029】
2.2乗LUT152は、例えば、図4に示すように、信号値Biがそれぞれ10ビット構成であり、信号値Bi(Ri,Gi)[9:0]であるとすると、後述する乗算部153で用いる変換信号値B(R,G)を、10ビットの仮数部Bexp[9:0]と、4ビットの指数部Bsig[3:0]とし、入力10ビットを出力14ビットとして出力する。
ここで、例えば入力及び出力ともに整数であるLUTを用いるとすると、入力10bitに対し、暗部での変換精度を保つため、出力として20bit以上のビット数が必要となってしまう。
また、上記乗算部153のBt[11:0]を、図6に示す0.45乗LUT154により、0.45乗変換して10bitの制御値を、高い精度で求めるため、すでに述べたように2bitの変換の余裕をもたせているが、乗算部153の算出する浮動小数点の乗算結果Btとしては12bitの整数値が出力される。
この乗算部153において、得られる20ビットの仮数部と5ビットの指数部とからなる浮動小数点乗算結果を、12bitの整数に変換しているが、この変換における重要な処理として、クリッピング処理がある。
【0030】
すなわち、液晶ライトバルブ16の透過率特性の測定における誤差や、演算誤差のため、明部(階調度が高く、液晶ライトバルブの透過率が高く設定される場合)において浮動小数点乗算結果が12bitを超えた整数値になってしまう場合がある。すなわち、乗算部153においては、浮動小数点乗算結果が変換時に12bitを超える演算結果となった際、つまり、格納可能なデータ値を超えてしまった場合、見かけ上、小さな値となってしまう。このため、12bitで表される整数値の最大値、つまり1023を上限の閾値として、この閾値を超える浮動小数点乗算結果を1023とするクリッピングを行っている。ここで、乗算部153は、桁上がりのフラグを有しており、このフラグを検出して閾値を超えたか否かの検出を行う。
【0031】
0.45乗LUT154は、図6(a)に示す変換特性を有しており、例えば、図6(b)に示すように、乗算結果Btが12ビット構成であり、乗算結果Bt(Ri,Gi)[11:0]であるとすると、この入力12ビットを出力10ビットの色制御値Brとして出力する。
【0032】
色LUT回路17は、制御値Brの数値と、液晶ライトバルブ16の駆動を行う色制御値VTCとの対応を示す色テーブルを有しており、入力される制御値Brに対応した色制御値VTCを色テーブルから読み出して出力することにより、色制御値VTCの生成を行う。上記色テーブルは、入力される制御値Brに対する液晶ライトバルブ16の透過率特性を、グラフ101に示すように、入力される制御値Brの数値に対応して、液晶ライトバルブ16の透過率Lpがγ2.2乗の透過率特性となるよう補正された色制御値VTCが記憶されている。
ドライバ回路18は、D/A変換器を内蔵しており、色LUT回路17が出力する、デジタル値の色制御値VTCを、アナログの電圧値に変換し、液晶ライトバルブ16へ出力させて、液晶ライトバルブ16を駆動させ、液晶ライトバルブ16に入射される光に対する色変調の処理を行わせる。
【0033】
次に、図1を参照して、輝度LUT12,補正LUT151及び色LUT17各々に記憶される、入力される制御値に対応して出力される制御値を決定する基本的なアルゴリズムを説明する。一例として、RGB成分におけるB成分、すなわち青(Blue)の場合を例に取った処理を説明する。
すでに述べたように、液晶ライトバルブ16はB成分である色(Blue)の変調制御を行うライトバルブであり、液晶ライトバルブ14は輝度(R, G, B全ての成分の光)を変調制御するライトバルブである。
【0034】
ここで、液晶ライトバルブ16の制御値Brと、液晶ライトバルブ16透過率Lpとの関係は、以下の(1)式により求められる。
Lp=h(Br) …(1)
同様に、液晶ライトバルブ14の制御値Mrと、液晶ライトバルブ14の透過率Lsとの関係は、以下の(2)式により求められる。
Ls=g(Mr) …(2)
【0035】
また、2変調光学系(例えば、HDRディスプレイ)全体として、液晶ライトバルブ16(色変調側)に、光源から入射される光の輝度値をHiとし、液晶ライトバルブ14(輝度変調側)から出射される出力光の輝度値をHoとすると、液晶ライトバルブ16及び液晶ライトバルブ14を合わせた総合特性は、以下の(3)式により表せられる。
Ho/Hi=Lp×Ls=f(Bi,Mr) …(3)
そして、(1),(2)及び(3)式から、制御値Brについて求めると、
Lp×Ls=(h(Br))×(g(Mr)=f(Bi,Mr)となるため、
Br=h−1×{f(Bi,Mr)×(1/g(Mr)} …(4)
となる。
これは、2変調光学系における総合的な透過率特性、すなわち、液晶ライトバルブ16及び14各々の制御値に対応した透過率特性を決定することにより、補正回路15で用いる補正特性(補正計数値)が一意的に決まることを示している。
【0036】
この理由として、画像表示制御装置に入力される映像信号は、表示装置(液晶モニター)が2.2のγ特性であることを想定した信号のため、γ特性が0.45の信号として入力される。そのため、表示装置側の総合的な透過率の特性であるf(Bi,Mr)は、各表示装置間にて精度良く、γ=2.2の特性とする必要がある。
そのため、本実施形態における信号処理のアルゴリズムにおいては、液晶ライトバルブ14及び16各々の透過率特性を測定し、これらの液晶ライトバルブの制御値に対する透過率特性を、各表示装置間にて合わせる必要がある。ここで、液晶ライトバルブ16の透過率特性は、従来からの制御ノウハウ(1変調光学系における補正方法及び変調方法)をそのまま活用することができることから、γ=2.2とすることが望ましい。
【0037】
したがって、(1)式から、
Lp=h(Br)=Br2.2
また、(3)式から、
f(Bi,Mr)=Bi2.2
であり、これらの式と(4)式とから、
Br={Bi2.2×(1/g(Mr)}2.2 …(5)
また、制御値Mrは入力される映像信号のRGB成分における最大値であるため、RGB成分における信号値Bi(他のRi,Giも同様)と、以下に示す(6)式の関係がある。
Bi≦Mr …(6)
【0038】
上述した各式において、演算結果Ansが0≦Ans≦1の範囲に収まる必要があるため、(5)及び(6)式から、以下の(7)及び(8)式の関係が求まる。
Bi2.2×(1/g(Mr))≦1 …(7)
g(Mr)≧Bi2.2 …(8)
この(7)及び(8)式により、γ値としては2.2以下であれば良いことが判り、輝度変調を行う液晶ライトバルブ14の製品毎の個別の透過率特性を含めて、輝度テーブルにおける、制御値Mrと液晶ライトバルブ14の透過率を変調する輝度制御値VTとの対応を設定する。
【0039】
上記(5)式からも判るように、信号値Biを2.2乗することは、γ0.45で入力される信号値Biをγ1.0とし、線形化(直線化)、すなわち被写体輝度と再生画像輝度とが完全に一致した状態の信号値に戻すことを意味する。また、1/g(Mr)は映像信号におけるRGB成分の信号値毎に異なる係数と考えることができる。補正回路15においては、すでに述べたように、2.2乗LUT152により信号値Biをγ2.2乗とし、補正LUT151の出力するこの時点におけるg(Mr)に対応する補正計数値を、乗算部153により乗算した後、0.45乗LUT154により、乗算結果をγ0.45乗して、変換信号値Brを出力している。この処理は、信号値Brを、信号値Biと同様な被写体輝度と再生画像輝度との対応関係のγ値に戻す処理である。
【0040】
次に、本実施形態の画像表示制御装置における、対応する表示装置毎に測定を行い、入力されるデータに対し、出力されるデータを調整する必要がある色テーブル、輝度テーブル及び補正係数テーブルの生成方法を以下に説明する。ここで、色テーブルと補正係数テーブルとは、画像表示制御装置において、色変調を行う液晶ライトバルブ16がRGB成分毎にあるため、それぞれの色成分に対応した液晶ライトバルブ16毎に設けられており、輝度テーブルは、輝度変調用の液晶ライトバルブ14が1つのみなので1つある。また、表示装置(プロジェクタ)毎に、色テーブル,補正係数テーブル及び輝度テーブルの3種類(色テーブル及び補正係数テーブルが2個ずつ、輝度テーブルが1個で計7個)を、測定結果から生成する。
【0041】
図7は、各輝度LUT回路12,色LUT回路17及び補正回路15におけるテーブルを生成するための測定系を示した概念図である。この測定系を用いたテーブルにおける入力データに対する出力データを求めるための測定は、液晶ライトバルブ14及び液晶ライトバルブ16(RGBの各成分ごとにある)にそれぞれラスター画像を、外部から各ライトバルブに輝度制御値VTまたは色制御値VTCを入力させて表示させ、その各制御値に対応する相対透過率を測定することにより行う。
液晶ライトバルブ16にラスター画像(液晶ライトバルブの各画素が面内にて均一な表示データ)を表示させる際、色LUT回路17の出力側にパターンジェネレータ回路100(pg100)を接続させて、色LUT回路17の出力側をオープン状態として、このパターンジェネレータ回路100に色制御値VTC生成させて、この色制御値VTCを直接に液晶ライトバルブ16に入力させ、ラスター画像の表示を行う。
【0042】
同様に、液晶ライトバルブ14にラスター画像(液晶ライトバルブの各画素が面内にて均一な表示データ)を表示させる際、輝度LUT回路12の出力側にパターンジェネレータ回路101(pg101)を接続させて、輝度LUT回路12の出力側をオープン状態として、このパターンジェネレータ回路101に輝度制御値VT生成させて、この輝度制御値VTを直接に液晶ライトバルブ14に入力させ、ラスター画像の表示を行う。 ここで、パターンジェネレータ100及び101は、液晶ライトバルブ16,14それぞれに表示させるラスター画像を表示するための画像信号発生器である。
テーブルの生成の説明を、以下に、色テーブル輝度テーブル補正係数テーブルの順番に行う。
【0043】
<色テーブルの生成>
図7において、色LUT回路17における色テーブルを生成する透過率を求めるため、液晶ライトバルブ16の輝度値の測定を行う場合、まず、液晶ライトバルブ14の透過率を最大とする。このため、パターンジェネレータ101に対し、最大の輝度制御値VTを出力させる。例えば、本実施形態においては、10ビットにて制御を行っているため、パターンジェネレータ101に対し、輝度制御値VTを1023にて出力させ、ドライバ回路13はこの輝度制御値VTを入力すると、この輝度制御値VTに対応した輝度制御電圧を出力する。これにより、液晶ライトバルブ14は最大の透過率に制御されることとなる。
【0044】
次に、液晶ライトバルブ16の測定を行うが、RGBの各成分に対応した液晶ライトバルブ毎に行うため、表示装置における3個の液晶ライトバルブ16において、測定対象の色成分以外の色成分に対応した液晶ライトバルブ15を、それぞれ対応するパターンジェネレータ100に最小値(通常はゼロ)にし、光を透過させない状態とする。
そして、上述した状態において、測定対象の色成分の液晶ライトバルブ16に対応するパターンジェネレータ100の信号値(色制御値VTC:10ビット)を0から1023まで順次変化させて、透過率を変化させる。そして、図1に示すように、2変調光学系であり、光源から出射された光が、順次、色変調用の液晶ライトバルブ16及び輝度変調用の液晶ライトバルブ14に入射され、最終的に液晶ライトバルブ14から出射される光の輝度値を測定することにより、最大の色制御値VTCを与えた場合の輝度値(出射される光量)を基準として、各色制御値VTCに対応した輝度値から相対的透過率を測定する。
【0045】
そして、制御値Brに対応した透過率Lp、すなわち液晶ライトバルブ16の透過率特性であるh(Br)が事前に決定された(設計上において決定された)特性(この例において、入力される制御値Brに対して、制御される透過率がγ2.2の特性)となるよう、色テーブルにおける制御値Brと輝度制御値VTCとを、上記パターンジェネレータ100の出力に対して、測定される上記輝度値との対応関係から演算して求める。
制御値Brの値の変化に対し、液晶ライトバルブ16の透過率の変化割合がγ2.2となる色テーブルを求める具体的な処理を以下に説明する。
【0046】
まず、制御値Brを変数とするγ2.2の特性関数から、入力される範囲の制御値Brに対して、液晶ライトバルブ16の透過率を計算する。そして、実際に測定した輝度値に基づいて算出した透過率データの中から、この透過率に一番近い値の際のパターンジェネレータ100の信号値を求める。これによって、色テーブルにおける各制御値Brに対する色制御値VTCの値を求めることができる。
【0047】
上述した制御値Brに対応した色制御値VTCを求める処理を、制御範囲全ての制御値Brに対して演算することで、色テーブル全ての対応関係を求めることができ、こうしてLUT-1(色テーブル)の内容を求めることが出来る。同様に、上述した手順により、他の色成分に対応する液晶ライトバルブ16についても、パターンジェネレータ100から信号を出力させ、このとき与えた信号値と、測定された輝度値とから、液晶ライトバルブ16の透過特性を測定し、制御値に対応した色制御値VTCを、上記γ2.2の特性関数に基づいて求め、色テーブルにおける制御値と色制御値VTCとを求めることができる。
【0048】
<輝度テーブルの生成>
次に、図7において、輝度LUT回路12における輝度テーブルを生成する透過率を求めるため、液晶ライトバルブ14の輝度値の測定を行う場合、まず、映像信号のRGB成分全てに対応した液晶ライトバルブ16の透過率を最大とする。このため、パターンジェネレータ100に対し、最大の輝度制御値VTCを出力させる。例えば、本実施形態においては、10ビットにて制御を行っているため、パターンジェネレータ100に対し、色制御値VTCを1023にて出力させ、ドライバ回路18はこの色制御値VTCを入力すると、この色制御値VTCに対応した色制御電圧を出力する。これにより、RGB各成分に対応した液晶ライトバルブ16は最大の透過率に制御されることとなる。
【0049】
そして、上述した状態において、測定対象の輝度変調用の液晶ライトバルブ14に対応するパターンジェネレータ101の信号値(輝度制御値VT:10ビット)を0から1023まで順次変化させて、透過率を変化させる。そして、図1に示すように、2変調光学系であり、光源から出射された光が、順次、色変調用の液晶ライトバルブ16及び輝度変調用の液晶ライトバルブ14に入射され、最終的に液晶ライトバルブ14から出射される光の輝度値を測定することにより、最大の輝度制御値VTを与えた場合の輝度値(出射される光量)を基準として、各輝度制御値VTに対応した輝度値から相対的透過率を測定する。
【0050】
そして、制御値Mrに対応した透過率Ls、すなわち液晶ライトバルブ14の透過率特性であるg(Mr)が事前に決定された(設計上において決定された)特性(この例において、入力される制御値Mrに対して、制御される透過率がγ≦1、例えば、γ0.45の特性)となるよう、輝度テーブルにおける制御値Mrと輝度制御値VTとを、上記パターンジェネレータ101の出力に対して、測定される上記輝度値との対応関係から演算して求める。
制御値Mrの値の変化に対し、液晶ライトバルブ14の透過率の変化割合がγ0.45となる輝度テーブルを求める具体的な処理を以下に説明する。
【0051】
まず、制御値Mrを変数とするγ0.45の特性関数から、入力される範囲の制御値Mrに対して、液晶ライトバルブ14の透過率を計算する。そして、実際に測定した輝度値に基づいて算出した透過率データの中から、この透過率に一番近い値の際のパターンジェネレータ101の信号値を求める。これによって、輝度テーブルにおける各制御値Mrに対する輝度制御値VTの値を求めることができる。
上述した制御値Mrに対応した輝度制御値VTを求める処理を、制御範囲全ての制御値Mrに対して演算し、輝度テーブル全ての対応関係を求めることができる。
【0052】
<補正係数テーブルの生成>
次に、図7において、補正回路15の補正LUT151における補正係数テーブルにおける補正係数を生成する透過率を求めるため、液晶ライトバルブ14の輝度値の測定を行う。ここで、補正係数は、RGB成分の各色成分毎に、制御値Mrに対応した透過率g(Mr)毎に求めるため、まず、各対応するパターンジェネレータ100の出力を制御し(色テーブル及び輝度テーブルの際の制御と同様)、映像信号のRGB成分における測定対象の色成分に対応した液晶ライトバルブ16以外の液晶ライトバルブ16の透過率を最小とし、測定対象の色成分に対応する液晶ライトバルブ16の透過率を最大にする。このため、測定対象の色成分に対応する液晶ライトバルブ16に対してパターンジェネレータ100から、最大の色制御値VTCを出力させ、測定対象外の色成分に対応する液晶ライトバルブ16に対してパターンジェネレータ100から、最小の色制御値VTCを出力させる。
【0053】
例えば、本実施形態においては、10ビットにて制御を行っているため、パターンジェネレータ100に対し、測定対象の色成分に対応した液晶ライトバルブ16に対し色制御値VTCとして1023を出力させ、一方、測定対象外の色成分に対応した液晶ライトバルブ16に対し色制御値VTCとして0を出力させ、各ドライバ回路18はこの色制御値VTCを入力すると、各液晶ライトバルブ16に対して、この色制御値VTCに対応した色制御電圧を出力する。これにより、RGB各成分において、測定対象の色成分に対応した液晶ライトバルブ16は最大の透過率に制御され、測定対象外の色成分に対応した液晶ライトバルブ16は最小の透過率に制御されることとなる。
【0054】
そして、上述した状態において、測定対象の輝度変調用の液晶ライトバルブ14に対応するパターンジェネレータ101の信号値(輝度制御値VT:10ビット)を0から1023まで順次変化させて、透過率を変化させる。そして、図1に示すように、2変調光学系であり、光源から出射された光が、順次、色変調用の液晶ライトバルブ16及び輝度変調用の液晶ライトバルブ14に入射され、最終的に液晶ライトバルブ14から出射される光の輝度値を測定することにより、最大の輝度制御値VTを与えた場合の輝度値(出射される光量)を基準として、各輝度制御値VTに対応した輝度値から相対的透過率を測定する。
【0055】
上述した状態において、液晶ライトバルブ16に対するパターンジェネレータ101の出力する信号値を変えることにより、測定対象の色成分に対応した輝度変調後の輝度値を測定することができる。そして、この測定データと、すでに求めた輝度テーブルのデータとを用い、補正係数テーブルの生成を行う。
RGB成分の色成分毎に設定される、制御値Mrと、この制御値Mrに対応した透過率の逆数との対応を示す補正計数値補正係数テーブルにおける補正計数値の求め方の手順を以下に示す。
【0056】
まず、上述の測定により得られた輝度値のデータは、測定対象の色成分における液晶ライトバルブ14の透過率特性(g(VT:パターンジェネレータ101の出力する信号値))である。したがって、測定した輝度値の最大値により、各測定値を除算し、輝度値の最大値が1.0となるように正規化処理を行った透過率特性(g (VT:パターンジェネレータ101の出力する信号値))を求めておく。
次に、制御値Mrに対応した液晶ライトバルブ14の輝度制御値VTは輝度テーブルを参照し、制御値Mrに対応する輝度制御値VTを読み出すことにより求める。この輝度制御値VTは今回の測定におけるパターンジェネレータ101の出力する信号値に相当する。
【0057】
そして、上述した透過率特性(g (VT:パターンジェネレータ101の出力する信号値))から、この輝度制御値VTに対応する液晶ライトバルブ14の透過率特性を求め、その透過率g(VT、すなわちMr)により1を除算、すなわち透過率g(Mr)の逆数、1/g(Mr)が補正係数値となる。制御値Mrを0から1023まで順次変化させて、全ての制御値Mrに対して、上述と同様な処理を行うことにより、測定対象の色成分に対応する液晶ライトバルブ14の透過率が最大の場合の、制御値Mrに対応する透過率の逆数を求めることができる。ここで、乗算部153において、補正係数値と、信号値Biのγ2.2乗した結果との乗算処理の結果(浮動小数点演算の結果)を、12ビットの整数値に変換して出力される。このため、浮動小数点演算の結果が大きく丸め込まれ、演算精度が低下しないように、2bit分、すなわち、2=4倍されるため、補正計数値を2=4倍しておくことが必要である。
【0058】
<応用例1>
次に、実施形態の図1に示した画像表示制御回路の応用例1として、図8に示す2変調光学系の画像表示制御装置を、2つのLSI(大規模集積回路)200及び201を用いて実現した構成を説明する。
LSI200には、色変調系の3つの液晶ライトバルブ16各々に対し、入力される映像信号のRGB色成分各々の信号値に対応して色制御値VTCを出力する3つの制御部210,220及び230が設けられている。また、LSI201には、輝度変調系の液晶ライトバルブ14に対し、入力される映像信号のRGB色成分における信号値の最大値に対応して輝度制御値VTを出力する制御部211が設けられている。
【0059】
上記制御部210,220,230及び211各々は、図9に示す基本処理ユニットを用いて構成されている。
基本処理ユニットは、選択回路150,補正LUT回路151,2.2乗LUT回路152,乗算回路153,0.45LUT回路154,ルックアップテーブル回路155,遅延回路156及びセレクタ157から構成されている。すなわち、同一の基本処理ユニットを用い、2変調光学系の色変調用の液晶ライトバルブ16と、輝度変調用の液晶ライトバブル14とに対する、図1に示した画像表示制御装置を構成している。
【0060】
上記基本処理ユニットにおける各回路と図1の回路との対応として、同一符号については同様な回路として対応し、選択回路150が最大値選択回路11に対応し、ルックアップテーブル回路155は輝度LUT回路12及び色LUT回路17に対応している。図9の基本処理ユニットにおけるセレクタ157が、色変調用の液晶ライトバルブ16の制御と、輝度変調用の液晶ライトバルブ14との制御を切り替える処理を行っている。すなわち、液晶ライトバルブ16に対する色制御値VTCを生成するため、図1における補正回路15の構成とするため、補正LUT回路151,2.2乗LUT回路152,乗算回路153及び0.45乗LUT回路154によって得られた制御値Br(及びRr,Gr)が必要となり、セレクタ157により、0.45乗LUT回路154の出力を選択して、色LUT回路として色テーブルが設けられたルックアップテーブル回路155(色LUT回路17に対応)に対して、選択された制御値Br(及びRr,Gr)を出力させる。図9では明確に示していないが乗算回路153での乗算を正しく行わせる為に、すでにのべたように、乗算回路153への、補正LUT回路151及び2.2乗LUT回路152からの2つの入力信号のタイミングを合わせる必要がある。ここで、2.2乗LUT回路152の前段に遅延回路を配置してもよいし、また2.2乗LUT回路152内部(または後段)で遅延しても良い。もしくは乗算回路153内部で、2.2乗LUT回路152からの出力が入力される入力段に遅延回路を設けて遅延調整をしてもよい。
【0061】
一方、液晶ライトバルブ14に対する輝度制御値VTを生成するため、図1における補正回路15の構成が必要とならないため、セレクタ157は、遅延回路156を介し、選択回路150の選択したRGB成分における最大の信号値を、制御値Mrとして、輝度LUT回路として輝度テーブルが設けられたルックアップテーブル回路155(輝度LUT回路12に対応)に対して、選択された制御値Mr(Ri,Gi,Biのいずれか)を出力させる。
【0062】
また、図1に示す画像処理制御回路においては、液晶ライトバルブ14の制御系における最大値選択回路11が、映像信号のRGB成分における最大値の信号値を選択し、選択結果を制御値Mrとして、液晶ライトバルブ16の制御系の補正回路15に供給していたが、上記基本処理ユニットに選択回路150が付加されているため、映像信号の各色成分に対応した液晶ライトバルブ16に対応した制御部210,220,230各々にて、入力される映像信号の色成分における最大値の信号値を選択し、選択された信号値を制御値Mrとして用いている。
【0063】
制御部211において、遅延回路156は、制御部210,220及び230にて行われる補正回路15に対応する補正処理の時間分を、制御値Mrを遅延させてセレクタ167へ出力する。すなわち、遅延回路157は、液晶ライトバルブ14と液晶ライトバルブ16との制御タイミングの同期を取るため、ルックアップテーブルの参照及び乗算処理の行われない輝度変調用の制御系における制御値Mrの信号の遅延を行っている。
【0064】
LSI200及びLSI201各々において、上述したように、選択回路150は、映像信号におけるRi,Gi及びBi信号の中から最大の信号値を選択する最大値選択回路として動作するよう構成されている。
また、色変調用の液晶ライトバルブ16を駆動する色制御値VTC(映像信号のRGB各色成分毎に対して供給)を、映像信号から生成する制御系であるLSI200の制御部210,220及び230それぞれにおいて、各色成分の信号値が2.2乗LUT回路152により、14ビットの浮動小数点形式の変換信号値R(及びG,B)に変換される。また、制御部210,220及び230それぞれにおいて、補正LUT回路151は、選択回路150にて選択された、映像信号のRGB成分における最大の信号値である制御値Mrを、補正係数テーブルを参照して、この制御値Mrに対応する14ビットの浮動小数点形式の補正計数値MR(及びMG,MB)を出力する。
【0065】
そして、また、制御部210,220及び230それぞれにおいて、乗算回路153は、上記変換信号値R(及びG,B)と、補正計数値MR(及びMG,MB)とを乗算し、オーバーフローした場合のクリッピング処理を含めて、12ビットの整数値である演算結果を出力する。そして、0.45乗LUT回路154は、上記12ビットの整数値の演算結果をγ0.45乗に変換して、10ビットの色制御値VTCとして出力する。ここで、制御部210(色成分R用)は色制御値VTCをVR[9:0]として出力し、制御部220(色成分G用)は色制御値VTCをVG[9:0]として出力し、制御部230(色成分B用)は色制御値VTCをVB[9:0]として出力する。これにより制御部210,220及び230各々は、それぞれ対応するドライバ回路18(図示しない)へ、色制御値VTCを出力させ、対応する液晶ライトバルブ16の駆動制御を行う。
【0066】
同様に、輝度変調用の液晶ライトバルブ14を駆動する輝度制御値VTを、映像信号から生成する制御系であるLSI201の制御部211において、遅延回路156は、選択回路150から入力される制御値Mrを、制御部210,220及び230にて補正回路15に対応する処理時間に対応した時間を遅延させて、セレクタ157へ出力し、制御部210,220及び230各々が色制御値VTCを出力するタイミングに同期させて、液晶ライトバルブ14を駆動する輝度制御値VTCを、ドライバ回路13(図示しない)へ出力し、液晶ライトバルブ14の駆動制御を行う。
【0067】
上述した基本処理ユニットを用いた構成であれば、同一の構成のLSI(例えば、基本処理ユニットが3個形成されたLSI)を2個使用することにより、4つの液晶ライトバルブ(2変調光学系に対応)に対する画像処理制御を実現することが出来る。
この2個の同一のLSIにより構成する利点としては、液晶ライトバルブ(液晶のパネル)を駆動するため、通常、映像信号を入力させる信号線以外にも、1つの液晶パネルにつき約20本近くの制御線が必要となっている。また、この信号線及び制御線に対応してピン数の増加もコスト増の要因となっている。
【0068】
しかしながら、上述したように、2個の専用LSIにて、本実施形態の画像処理制御装置を構成することにより、結果的に、信号線及び制御線が大幅に削減され、低コストとなる。また、従来の1変調光学系に対応させて、RGB成分における3色の色成分に対応した3つの色変調を行う制御部を1つの画像処理LSIに収めることにより、1変調光学系用の3LCD(液晶ディスプレイ)向けの専用LSIとしても用いることができ、2変調光学系及び1変調光学系にて同一のLSIを用いることができることとなり、量産効果が期待でき、大幅なコストの削減が可能となる。
【0069】
<応用例2>
次に、実施形態の図1に示した画像表示制御回路の応用例2として、2変調光学系の画像表示制御装置を、図10に示すように3つのLSI(大規模集積回路)300,302及び303を用い、高解像度画像の表示処理に対応する画像表示制御装置を実現した構成を説明する。
ここで、画像処理用のLSI内部のシステムクロックは、周波数に対応して、画像処理のスピードの目安となる。画像を表示する際に、表示対象となる画像が高解像度になればなるほど、つまりフレームの全画素数に比例して、LSI内部のシステムクロックを高くする必要がある。
【0070】
ただし、LSIにおいては、システムクロックを上げるため、新たなトランジスタの設計及び同期タイミングを合わせる精度の高い同期回路が必要となり、コスト増加の要因となる。また、低いシステムクロックで十分な用途に対し、不必要に高速なシステムクロックで動作するLSIを作成して用いることは非常に無駄となる。
例えば、720Pと呼称されている1280×720画素の画像においては、システムクロックが75MHz程度であるが、フルHDの1080Pの場合、1920×1080画素となり、システムクロックが150MHzの高速なクロックが用いられる。
【0071】
このため、システムクロックを不必要に上げることなく、高解像度の画像処理へ対応させるため、画像処理の並列化が有効と考えられる。
図10に示す構成とすることにより、図8に示す構成に使われているLSI200が720Pに対応した75MHzまでのシステムクロックに対応する性能のLSIであっても、図9に示す基本処理ユニットが3個形成されたLSIを3個と、高速なデマルチプレクサ回路304及び高速なマルチプレクサ回路305,306を付加することにより、75MHzの2倍の150MHzのシステムクロックに対応させた構成とすることができ、1080Pへの対応が可能となる。
LSI301及び302のセレクタ157は0.45乗LUT回路の出力をセレクトし、
LSI303のセレクタ157は遅延回路の出力が、セレクトされている。
また、LSI301及び303においては、3個の制御部のいずれかの遅延回路から出力される制御値Mrが外部へ出力されている回路構成となっている。
【0072】
LSI301及び302各々において、それぞれ3個の制御部のいずれかの遅延回路から出力される制御値Mrを遅延させ、LSI303に対して出力する。そして、LSI303においては、ブロックAがLSI301に対応した輝度変調の制御を行い、ブロックBがLSI302に対応した輝度変調の制御をおこなっている。そのため、マルチプレクサ回路305からLSI301にて生成された色制御値が出力されているタイミングに同期して、マルチプレクサ回路306から、LSI303におけるブロックAの生成した輝度制御値が出力される必要がある。
【0073】
同様に、マルチプレクサ回路305からLSI302にて生成された色制御値が出力されているタイミングに同期して、マルチプレクサ回路306から、LSI303におけるブロックBの生成した輝度制御値が出力される必要がある。
遅延回路401及び402の遅延時間は、それぞれの遅延時間の和に、さらに選択回路の選択に要する時間を加算した値と、図1の補正回路15の補正処理にかかる時間とが同様となるよう設定する。ここで、LSI301及び302の制御部各々における遅延回路は、遅延させた制御信号Mr1及びMr2を、ブロックA及びブロックBの選択回路双方に出力する。ブロックAの選択回路は、入力される制御値Mr1及びMr2から制御値Mr1を選択するよう設定されており、選択した制御値Mr1を次段の遅延回路へ出力する。また、ブロックBの選択回路は、入力される制御値Mr1及びMr2から制御値Mr2を選択するよう設定されており、選択した制御値Mr2を次段の遅延回路へ出力する。
【0074】
上述した組合せに対応させるため、上記選択回路150は、図11に説明する構成及び動作を有している。図11(a)は、選択回路150を、入力される信号のいずれを選択して出力するか、または入力される信号の最大の信号値を選択して出力するかを切り替える際の、制御データModeを示したテーブルである。図11(a)に示されるように、制御データModeは3ビットの信号であり、Mode[1:0]で表される。
制御データとしてMode[1:0]=0が入力されると、選択回路150の動作モードは、図11(b)に示すように、最大値選択となり、入力されるRGB成分における、10ビットの各色成分の信号値Ri[9:0],信号値Gi[9:0]及び信号値Bi[9:0]の内、最大の信号値を制御信号Mrとして出力する。ここで、選択回路150は、2つのデータの大小の比較処理を2回行うだけで、3つのデータの最大値を出力する簡易な構成の回路で構成されている。映像信号の各色成分が10ビット構成のため、10ビットの信号値を用いている。
【0075】
また、制御データがMode[1:0]=0以外の場合、図11(c)に示すように、制御データの示す端子の信号を選択して出力する。ここで、選択回路150は、例えば、制御データがMode[1:0]=1の場合、端子T1に入力されている信号値Riを出力し、Mode[1:0]=2の場合、端子T2に入力されている信号値Giを出力し、Mode[1:0]=3の場合、端子T3に入力されている信号値Biを出力する。
上述した制御データMode[1:0]=1,2,3の場合の動作モードは、基本処理ユニットが3個搭載されたLSIを、3個以上用いて高解像度に対応した、本応用例2のような2変調光学系の画像表示処理を行う画像表示制御装置において、別のLSIにて決定した輝度制御値を求めるための制御値Mrを選択する場合に用いる。
【0076】
高速デマルチプレクサ回路304の入力部にデータ保持機能を設けることにより、この例においては、1080Pに相当する画素数のデータが、外部機器から150MHzの転送クロックにより入力されても、LSI301及び302にて平行に処理を行うことにより、上記転送クロックの半分の75MHzのシステムクロックにより、2画素分のデータを同じタイミングにて、画像表示制御装置としてのLSI301及び302に送ることができる。
図10の構成の場合、LSI301,302及び303全てが同一周波数で、かつ同じ位相のクロックを用いることが可能となり、タイミング制御も容易である。
【0077】
上述した構成により、LSI301及び302においては、RGBの各色成分に対応した色変調用の液晶ライトバルブ16を駆動する色制御値VTC(VR,VG,VB)が生成され、LSI303においては、輝度変調用の液晶ライトバルブ14を駆動する輝度制御値VTが生成される。各回路詳細な説明は、図1,図8及び図9のそれぞれに対応する回路の処理と同様のため省略する。そして、各LSIにおいて生成された色制御値及び輝度制御値は、高速なマルチプレクサ回路305及び306により選択され、各液晶ライトバルブを駆動するドライバ回路に送られる。
これにより、各液晶ライトバルブを制御する各種の制御線は、LSI301、302及び303それぞれを用いることにより対応できる。
上述したように、図8の表示制御装置に対し、1個の同一の構成を有するLSIを追加することにより、倍のシステムクロックに対応した、すなわち、2倍の解像度を有する画像の表示制御処理への対応も可能となる。
【0078】
図12は、図11の画像表示制御装置を、さらに高解像度の画像へ対応させた例である。図11は、図11と同様に色変調素子用の液晶ライトバルブ16の駆動制御を、LSI301及び302で行い、輝度変調用の液晶ライトバルブ14の駆動制御をLSI303で行い、加えて色変調用の液晶ライトバルブ16の駆動制御を行うLSI307を追加することにより、色変調用の液晶ライトバルブ16の駆動制御を3倍速にすることができる。同一のシステムクロックにおいて実現できる。 上記各LSIは、図9の基本処理ユニットが3並列にて形成することにより、この3個全てを使うことにより、3倍速に対応させることができる。
【0079】
例えば、上記LSI各々が80数MHz程度のシステムクロックで動作可能であれば、その3倍、すなわち約250数MHz相当のドットの転送クロックにて入力される映像信号に対応させることができる。約250数MHz相当のクロックは、QXGA(2048×1536画素)の映像信号の画像を表示処理できることを意味している。
上述してきたように、同一の構成を有するLSIを組み合わせて使うことにより、各LSIのシステムクロックに対し、より高速なクロックにより入力される映像信号に対して、すなわち高解像度の画像に対し、2変調光学系における画像表示制御の処理を低コストで実現することができる。
なお、本実施形態においては、液晶ライトバルブの透過率の制御を対象として説明したが、透過光を変調(輝度変調及び色変調ともに)するのではなく、反射光を変調するための反射率の制御に応用してもよい。
【0080】
次に、本発明の画像表示制御装置が用いられる表示装置の一例として、投射型表示装置の構成を簡単に説明する。図13は、投射型表示装置、すなわちプロジェクタの構成例を示すものである。この投射型表示装置は、光源510と、光源510から入射した光の輝度分布を均一化する均一照明手段520と、均一照明手段520から入射される入射光のうちの3原色(R,G,B)の輝度をそれぞれ変調する色変調部530と、色変調部530から入射した光をリレーするリレーレンズ540と、リレーレンズ540から入射した光の全波長領域の輝度を変調する液晶輝度パネル550と、液晶輝度パネル550から入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射レンズ560とで構成されている。
【0081】
光源510は、高圧水銀ランプ等のランプ511と、ランプ511からの出射光を反射するリフレクタ512とで構成されている。光源510から出射した光束は第1フライアイレンズ521、第2フライアイレンズ522等が順次設置された均一照明手段520で均一化される。
【0082】
均一照明手段520を出射した偏光が揃った光は色変調部530に入射し、3原色(R,G,B)に分離され、それぞれの色成分を、図1に示す色変調制御系が生成する色制御値VTCを、ドライバ回路18により電圧値に変換し、この制御信号により変調する液晶色パネル531(色成分Rに対応する液晶ライトバルブ16)、532(色成分Gに対応する液晶ライトバルブ16)、533(色成分Bに対応する液晶ライトバルブ16)によって変調を受けて出射される。
【0083】
変調された3原色光(R,G,B)はクロスダイクロイックプリズム534によって合成されリレーレンズ540に出射する。ここで、液晶色パネル531はR成分用、液晶色パネル532はG成分用、液晶色パネル533はB成分用の光変調素子をそれぞれ形成し、ダイクロイックミラー535はR成分の光を透過させ、ダイクロイックミラー536はB成分の光を透過させる。また、液晶色パネル531に対しては反射ミラー537が設けられ、液晶色パネル533に対しては、リレーレンズ538と2個の反射ミラー539aおよび539bが設けられている。
【0084】
リレーレンズ540を出射された変調光はもう一方の液晶輝度パネル550(輝度変調用の液晶ライトバルブ14)に入射し、第二の変調を受けて出射される。液晶輝度パネル550では、入射した光の全波長領域の輝度を輝度制御値VTにより変調し、その変調光は投射レンズ560へ出射され、投射レンズ560によって図示しないスクリーンに投影される。
この様に投影画像は光学的に直列に配置されたそれぞれの光変調素子(液晶輝度パネル550および液晶色パネル531、532、533)が画素単位で変調を行うことで形成される。
【0085】
なお、図1における画像表示制御装置における最大値選択回路11,補正回路15,輝度LUT回路12,色LUT回路17における色制御値及び輝度制御値の生成処理の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより映像信号から色制御値及び輝度制御値の生成処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0086】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態による画像表示制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1における補正回路15の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す補正LUT回路151に設けられた補正係数テーブルの動作を説明する概念図である。
【図4】図2に示す2.2乗LUT回路152におけるデータ構成及び変換の動作を説明するための概念図である。
【図5】図2に示す乗算回路153の動作を説明する概念図である。
【図6】図2に示す4.5乗LUT回路154におけるデータ構成及び変換の動作を説明するための概念図である。
【図7】図1及び図2における各ルックアップテーブルのデータを生成するための、輝度値の測定方法を説明する概念図である。
【図8】3個の基本処理ユニットから構成されたLSIを2個用いて構成した、2変調光学系の画像表示制御装置を示すブロック図である。
【図9】図8の基本処理ユニットの構成例を説明するブロック図である。
【図10】3個の基本処理ユニットから構成されたLSIを3個用いて構成した、高解像度の映像信号の画像表示処理を行う、2変調光学系の画像表示制御装置を示すブロック図である。
【図11】図10に用いた選択回路の動作を示す概念図である。
【図12】3個の基本処理ユニットから構成されたLSIを4個用いて構成した、高解像度の映像信号の画像表示処理を行う、2変調光学系の画像表示制御装置を示すブロック図である。
【図13】本実施形態による画像表示制御装置の制御対象となる、2変調光学系のプロジェクタの構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0088】
1…画像処理装置 2…画像表示装置 11…最大値選択回路(MAX回路) 12…輝度LUT回路 13,18…ドライバ回路 14,16…液晶ライトバルブ 15…補正回路 17…色LUT回路 151…補正LUT回路 152…2.2乗LUT回路 153…乗算回路 154…0.45乗LUT回路 155…ルックアップテーブル回路 156…遅延回路 157…セレクタ 200,201,301,302,303,307…LSI 304…デマルチプレクサ回路 305,306…マルチプレクサ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度変調素子と色変調素子とを有する表示装置の制御を行う画像表示制御装置であって、
入力される映像信号におけるRGB成分各々の信号値からの最大値を抽出して、最大信号値として出力する最大値選択部と、
輝度変調素子の制御を行う輝度制御値を該最大信号値から生成する輝度制御値生成部と、
該輝度制御値に対応させて、RGB成分各々の信号値を補正し、補正信号値として出力する色補正部と、
該補正信号値からRGB各々の色変調素子の色制御値を生成する色制御値生成部と
を有することを特徴とする画像表示制御装置。
【請求項2】
前記色補正部が、RGB成分各々の信号値を線形変換した結果と、前記輝度制御値から求めた補正値とを乗算し、該乗算結果を前記補正信号値として出力することを特徴とする画像表示制御装置。
【請求項3】
前記色補正部が、前記乗算を浮動小数点演算にて行い、演算結果を整数値として出力することを特徴とする請求項2記載の画像表示制御装置。
【請求項4】
前記輝度制御値生成部が、前記最大信号値と輝度変調素子の制御値との対応を示す輝度値テーブルを有しており、最大値選択部の出力する最大信号値に対応した輝度変調素子の制御値を読み出し、輝度制御値として出力し、
前記色制御値生成部が、前記補正信号値と色変調素子の制御値との対応を示す色テーブルを有しており、色補正部の出力する補正信号値に対応した色変調素子の制御値を読み出し、色制御値として出力することを特徴とする画像表示制御装置。
【請求項5】
前記色テーブルにおいて、前記最大信号値に対し、透過率特性を、色変調素子毎の個別の特性からγ2.2乗に補正する制御値が設定されていることを特徴とする請求項4記載の画像表示制御装置。
【請求項6】
前記輝度テーブルにおいて、前記補正信号値に対し、透過率特性を、輝度変調素子毎の個別の特性からγ1.0乗以下に補正する制御値が設定されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の画像表示制御装置。
【請求項7】
前記色補正部が、前記乗算結果を整数値として出力する際、乗算結果がオーバーフローした場合、予め設定した上限値にてクリッピング処理を行うことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の画像表示制御装置。
【請求項8】
前記請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像表示制御装置を有するプロジェクタ。
【請求項9】
輝度変調素子と色変調素子とを有する表示装置の制御を行う画像表示制御装置の制御方法であって、
最大値選択部が入力される映像信号におけるRGB成分各々の信号値からの最大値を抽出して、最大信号値として出力する最大値選択過程と、
輝度制御値生成部が輝度変調素子の制御を行う輝度制御値を該最大信号値から生成する輝度制御値生成過程と、
色補正部が該輝度制御値に対応させて、RGB成分各々の信号値を補正し、補正信号値として出力する色補正過程と、
色制御値生成部が該補正信号値からRGB各々の色変調素子の色制御値を生成する色制御値生成過程と
を有することを特徴とする画像表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−212628(P2007−212628A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30854(P2006−30854)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】