説明

画像表示板

【課題】画像を表示していないときには、内部に設けられている画像基板を全く視認することができないような構造の画像表示板を提供する。
【解決手段】光透過性漆喰シートからなる画像表示用光透過型スクリーン3と、画像基板7と、透光性支持基板5とを備え、画像表示用光透過型スクリーン3が表面に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示板に関するものであり、より詳細には、例えば建築構造物の壁等に取り付けられて、広告宣伝用の画像、各種の案内表示のための画像などを映し出す際に使用される画像表示板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルなどの建築構造物のある種の場所には、その壁面に、画像を映し出すための画像表示板が設けられており、電源をONにすることにより、種々の画像が写し出されるようになっており、例えば、各種の案内表示、広告宣伝のためなどに利用されている。
【0003】
このような画像表示板は、例えば、表面に光透過型スクリーンが設けられており、その裏面側に画像基板が設けられ、さらに、その下側には、LEDなどの光源が配置され、電源をONにして光源から光を照射することにより、画像基板に形成されている画像を、光透過型スクリーンを介して視認することができるような構造となっている。
【0004】
上記のような画像表示板に設けられる光透過型スクリーンとしては、ポリメチルメタクリレートやポリエチレンテレフタレートなどの透明樹脂基板が知られており(例えば、特許文献1,2等参照)、このような透明樹脂基板が乳白色に調整されてスクリーンとして使用されている。
【特許文献1】特開平7−134338号
【特許文献2】特開2007−185958号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような半透明の樹脂基板をスクリーンとし、下側からの光照射により画像を表示するタイプの画像表示板は、鮮明な画像を映し出すことができ、また画像基板を取り替えることにより、容易に画像を代えることができるという利点があるが、スクリーンが光透過型であるため、電源をOFFにして光照射をストップさせたとき、僅かではあるが、下側の画像基板などが視認できてしまい、この画像表示板が設けられている壁などの美観を損ねてしまうという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、画像を表示していないときには、内部に設けられている画像基板を全く視認することができないような構造の画像表示板を提供することにある。
本発明の他の目的は、投影画像の表示に使用され、画像表示を行っていないときには、実質上不透明であり、画像を見る側からは、その反対側を視認することができないような光透過型スクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題について検討を重ねた結果、漆喰シートが適度な光透過性を有しており、光透過性スクリーンとして極めて優れた性質を有しているという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、光透過性漆喰シートからなる画像表示用光透過型スクリーンと、画像基板と、透光性支持基板とを備え、該画像表示用光透過型スクリーンが表面に配置されていることを特徴とする画像表示板が提供される。
【0009】
本発明の画像表示板においては、
(1)前記画像基板が着脱自在に設けられていること、
(2)前記光透過性漆喰シートが、20乃至70%の光線透過率(JIS K 7361)を有すること、
(3)前記光透過性漆喰シートが、漆喰からなる表面層と該表面層を支持する光透過性基材シートとからなること、
(4)前記表面層は、90%以上の炭酸化率を有しており、且つ10乃至100μmの平均表面粗さRz(JIS B 0601)を有していること、
(5)前記光透過性基材シートが紙シートであること、
が好適である。
【0010】
本発明によれば、また、光透過性漆喰シートからなることを特徴とする画像表示用光透過型スクリーンが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像表示板では、表面に設けられている光透過型スクリーンが光透過性の漆喰シートから形成されているため、内側からの光照射によって表面に画像基板に形成されている画像を映し出すことができると同時に、光照射を停止した状態では、その内部を全く視認することができないという特性を有しており、このため、建築構造物の壁などに配設した場合、画像を映し出していないとき、その美観を損ねることがない。
【0012】
即ち、漆喰は、建材の分野等において壁材などとして広く使用されているものであり、炭酸カルシウム粒子が結合して形成されるものであり、消石灰(水酸化カルシウム)の粒状物を含むペーストが大気中の炭酸ガスと反応することにより、炭酸化して固化することとにより形成される。このような炭酸カルシウムの粒子が結合してなる漆喰からなる漆喰シートは、その厚みや粒径などを調整することにより光透過性を付与することができるが、樹脂基板とは異なり、その表面に微細な凹凸が形成されている。即ち、この光透過性の漆喰シートを画像表示用スクリーンとして用いた場合、内部からの光照射を停止した場合、外部からの光は、その表面で乱反射してしまい、この結果、内部にまで透過せず、従って、画像を表示していない状態では、外部からが画像表示板の内部を待った視認することができず、周囲の美観を損なうことがないのである。
【0013】
また、本発明の画像表示板では、上記のようにスクリーン表面が樹脂基板のような鏡面ではなく、微細な凹凸が形成されているため、樹脂基板をスクリーンとして用いた場合のように画像が鮮明に表示されるものではないが、表面の凹凸によって表示される画像は、壁画のような深みのあるものとなり、樹脂基板製のスクリーンを用いた場合とは趣きの異なる画像が表示され、極めて商品価値が高い。
【0014】
また、画像の鮮明度の点に関しても、画像表示用のスクリーンとして用いる光透過性漆喰シートは、可視光領域での波長の光に対して高い光透過率を示すため、例えば画像の白色部と黒部との間に十分なコントラストを確保することができ、表示された画像の鮮鋭さを損なうものではない。
【0015】
さらに、本発明の画像表示板では、表面のスクリーンが壁材としても使用される漆喰シートから形成されているため、例えば、漆喰或いはこれに類似した材料から表面が形成されている壁に、この画像表示板を設けたときには、画像表示されていない画像表示板が周囲に完全に溶け込んだ状態となり、周囲の美観を損なわないというよりも、むしろ周囲の美観を高めるという予想外の利点も達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の画像表示板の概略構造を示す図1を参照して、全体として1で示す画像表示板は、画像表示用の光透過型スクリーン3と、透光性支持基板5と画像基板7とからなっており、図示されているように、光透過型スクリーン3は表面に配置され、透光性支持基板5とスクリーン3との間に画像基板7が両者に密接するように挟持されている。
また、上記のような画像表示板1の下側には、一般に、基台9に設けられた光源10が配置されている。
【0017】
即ち、電源ONにより、光源10から光を照射することにより、画像基板7に形成されている画像が、表面のスクリーン3に映し出され、この画像を外部から視認することができるというものである。
【0018】
このような画像表示板1において、光透過型スクリーン3は、光透過性の漆喰シートからなるものであり、透光性の基材シート3aと、基材シート3a上の漆喰層3bとから形成されており、特に可視光に対して20乃至70%、好ましくは30乃至60%の光線透過率(JIS K 7361に準拠、積分球式光線透過率測定装置で測定)を有するものである。即ち、この光線透過率が20%より低いと、画像表示が困難となるおそれがあり、また光線透過率が70%より大きすぎると、内部の視認防止性が損なわれるおそれがある。漆喰層3bは、後述するが、消石灰のスラリーを基材シート3a上にコーティングし、この塗布層を炭酸化により固化することにより形成されるものである。
【0019】
透光性の基材シート3aは、スクリーン1上での画像表示を阻害しないような透光性を示し、漆喰層3bを形成した状態で、前述した光線透過率を確保できるようなものであれば特に制限されず、例えば透明樹脂フィルムなどのようなものであってもよいが、一般的には、漆喰層3bとの密着性乃至接合性が良好であるという観点から、紙シートが好適である。紙シートとしては、比較的強度の高いものが使用され、一般的には、ガラス繊維混抄紙が好適に使用される。ガラス繊維混抄紙は、木材パルプにガラス繊維を混合して抄紙したものであり、このような混抄紙を使用することにより、高い引張強度を確保すると同時に、ある程度のポロシティを確保し、漆喰層3bに対するアンカー効果により、漆喰層3bとの密着性や接合強度を確保することができる。例えば、このガラス混抄紙において、ガラス繊維の繊維径は0.1乃至2.0μm程度であり、且つ繊維長は0.2乃至5.0mm程度がよく、また、混抄紙中のガラス繊維の含有量は20乃至70重量%程度である。また、物性調整のため、このガラス繊維混抄紙には、ポリ酢酸ビニル繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維等の化学繊維を適宜の量で含有していてもよい。但し、これらの繊維が大きすぎたり、或いは繊維含量が多すぎたりすると、光の散乱や乱反射などにより、このスクリーン表面に映し出される画像が不鮮明になるおそれがあるので注意を要する。また、このような紙シートの厚みは、通常、50乃至500μm程度である。
【0020】
また、上記の基材シート3aの表面に形成される漆喰層(表面層)3bは、90%以上の炭酸化率を有していると同時に、その表面平均粗さRz(JIS B 0601、10点平均粗さ)が10乃至100μmの範囲に調整されていることが好適である。即ち、この漆喰層3bの炭酸化が低いと、表面硬度が低く、脆くなってしまい、破損等の不都合を生じ易くなってしまう。例えば、この漆喰層3bの表面硬度(鉛筆硬度)はB以上であることが好適である。また、表面平均粗さRzが10μmより小さすぎると、表面の乱反射による内部の視認防止性が損なわれるおそれが生じ、100μmより大きすぎると、表面の凹凸が著しいため欠け等を生じると共に、画像の明瞭性が損なわれてしまうからである。
【0021】
また、上記の漆喰層3bの厚みは、上述した光透過性を満足させ、且つ画像表示板1の内部の視認を防止するという観点から、50乃至400μm、特に100乃至200μm程度の範囲にあることが好適である。即ち、この厚みが50μmより薄すぎると、内部の視認防止性が損なわれると共に、表面の意匠性も低下してしまうおそれが生じ、400μmより厚すぎると、上記の光線透過率が20%以下になってしまい、画像表示が困難となるおそれが生じるからである。
【0022】
本発明において、上記のような特性を有する光透過型スクリーン(漆喰シート)は、上記でも簡単に述べたが、消石灰のスラリー(水混練物)を基材シート3aの表面に塗布し、脱水と共に、大気中に含まれる炭酸ガスと反応させての炭酸化により固化することにより形成される。即ち、水酸化カルシウムの炭酸化によって炭酸カルシウムを生成し、炭酸化の進行に伴って混練物のスラリーは硬化し、例えば炭酸化率が90%以上で鉛筆硬度がB以上の漆喰層3bが形成されることとなる。
【0023】
漆喰層3bを形成するために使用する水酸化カルシウム(消石灰)としては、工業用消石灰、漆喰、ドロマイトプラスター等、水酸化カルシウムを主成分とするものが特に制限無く使用される。特に、光透過性の高い漆喰層3bを形成するためには、微細粉末を使用するのがよく、特にレーザ回折散乱法で測定して、粒径が3μm以下、特に1μm以下の水酸化カルシウム粉末を用いることが好適である。このような微細な水酸化カルシウム粉末は、高分子分散剤の存在下で水酸化カルシウムの固形物を湿式粉砕することにより得られる。
即ち、水酸化カルシウムの固形物及び高分子分散剤を水に投入し、ボールミル等の粉砕機を用いて湿式粉砕することにより、上記のような微粒の水酸化カルシウムが分散した水性スラリーが得られ、このスラリーを用いて漆喰層3bを形成するのがよい。
【0024】
ここで使用する高分子分散剤としては、水酸化カルシウムを分散し得るものであれば特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。その代表的な例としては、リグニンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩等を挙げることができ、これらの中でもポリカルボン酸塩が好適である。
【0025】
上記のポリカルボン酸塩としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体もしくはその部分エステルの塩(特開平1−92212号参照)、アリルエーテル−無水マレイン酸共重合体もしくはその誘導体の塩(特開昭63−285140号参照)、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体もしくはその誘導体の塩(特開昭58−74552号、特開平1−226757号等参照)、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体もしくはその誘導体の塩(特開昭60−103062号参照)及びこれらのポリカルボン酸塩の側鎖にアルキレングリコール鎖がグラフト結合したもの(特開2007−332027号参照)などを例示することができる。また、塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、低級アミン塩、低級アルカノールアミン塩などを例示することができる。本発明においては、これらポリカルボン酸類の中でもアルキレングリコール鎖を有するものが好適に使用され、さらに、その重量平均分子量は1000〜10万の範囲にあることが好適である。
【0026】
また、上記の高分子分散剤は、水酸化カルシウム当り0.5乃至10重量%の量で使用することが好ましい。高分子分散剤を必要以上に多量に使用すると、水酸化カルシウムの水性スラリーの粘性が経時と共に大きく変化するようになり、物性が不安定となってしまうおそれがあり、また、高分子分散剤の使用量が少なすぎると、水酸化カルシウムを3μm以下、特に1μm以下の粒径に粉砕することが困難となってしまうからである。
【0027】
また、上記の水酸化カルシウムの水混練物には、形成される漆喰層3bの光透過性を損なわずに靭性等の機械的特性を向上させ、さらに、後述する通気性保護シートなどとの接着性を高めるために、各種の添加剤、例えば、ポリマーの水性エマルジョンが添加されていてもよい。
【0028】
このようなポリマーの水性エマルジョンとしては、水媒体中にモノマー、オリゴマーこれらの重合体等が分散したエマルジョンが使用され、その具体例としては、アクリル樹脂系、酢酸ビニル系、シリコン系、スチレン/ブタジエンゴム系等のポリマーの水性エマルジョンを挙げることができる。即ち、かかる水性エマルジョンは、水酸化カルシウムが炭酸化して炭酸カルシウムを生成する際に、分散媒である水が蒸発するため、該エマルジョンの固形分として漆喰層3b中に存在することとなる。
【0029】
勿論、上記のポリマーの水性エマルジョン以外にも、適宜、防水性、耐薬品性、耐候性、強度等を向上させるために必要な公知の添加剤を適宜配合することもできる。
【0030】
上記した各種の添加剤の配合量は、光透過性を損なわない限り、特に制限されないが、一般的には、水酸化カルシウムの全量が炭酸化されて炭酸カルシウムに変換されたとして、漆喰層3b中の炭酸化カルシウム含量が60重量%以上に確保される程度の量とするのがよく、特にポリマー水性エマルジョンは、その固形分の漆喰層3b中での含量が、炭酸カルシウム当り5乃至50重量%程度とするのがよい。
【0031】
本発明においては、上記のような水酸化カルシウムの水混練物を前述した基材シート3aの表面に所定厚みで塗布し、これを大気中に放置することにより、水分が揮散すると同時に、大気中の炭酸ガスを吸収して炭酸化して固化し、漆喰層3bが形成される。水酸化カルシウムの水混練物の基材シートへの塗布は、ロールコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、スプレー、ディッピング、吐出、型材転写等により容易に行うことができる。また、塗布後は、必要に応じてコテ押さえ、口金絞り、ローラー転圧、1軸プレス等により、塗布層の厚み調整を行うこともできる。
【0032】
また、本発明では、上記の水混練物を塗布した後、この塗布層に通気性の保護シートを圧着して設けることが好ましい。即ち、このような通気性保護シートを設けた状態で、脱水(水分の揮散)及び水酸化カルシウム粒子の炭酸化を行うことにより、例えば、形成される漆喰層3bの、表面硬度等を前述した範囲に調整することができる。また、表面粗さ(Rz)は、上記通気性保護シートを剥離した後の表面の荒れに影響を受け、該通気性保護シートの漆喰層との接合面の形状等によって調節することができる。
【0033】
通気性保護シートは、塗布層中の水分が揮散すると同時に、大気中の炭酸ガスが塗布層に供給されて炭酸化による硬化が行われるように、その全面に実質的に均一な通気性を有していることが必要である。具体的には、ガーレ透気度が2000sec/100cc以下、特に1〜1000sec/100ccとなるような通気度を有し、全面にわたって3mmφ以上、特に2mmφ以上の非通気性部分がない合成紙が好適に使用される。
【0034】
このような通気性保護シートの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の膜状物および防水紙等の非透水性シートに、ニードルパンチ、延伸等、公知の方法により通気性のみを付与する微多孔を形成したシートや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニロン、ポリエチレンテレフタレート、耐アルカリガラス等の人工繊維からなる織布および不織布等の繊維シートが挙げられる。
【0035】
上記のような通気性保護シートを、水酸化カルシウムの水混練物の塗布層の表面に、別途接着剤層を介することなく、適度な圧力で圧着して積層することにより、少なくとも塗布層が硬化して漆喰層3bが形成される間は、通気性保護シートが剥離することなく、従って、塗布層表面の破損などが有効に防止され、しかも、その表面が平滑化されて前述した表面粗さ(Rz)を確保することができ、炭酸化により高い表面硬度を実現することができる。また、スクリーンとしての使用時には、この通気性保護シートを容易に引き剥がして、使用に供することができる。
【0036】
尚、本発明においては、上記のようにして形成される基材シート3aと、その表面に形成された漆喰層3bとからなる漆喰シートを光透過性スクリーン3として使用する代わりに、漆喰に多量の繊維状補強材を配合してシート状に成形したものをスクリーン3として使用することもできるが、この場合には、漆喰中に多量に配合された繊維状補強材などによる散乱や乱反射の程度が顕著となり、この結果、スクリーン3の表面に映し出される画像が不鮮明となるおそれがある。従って、本発明では、上記のように基材シート3aと漆喰層3bとからなる漆喰シートを光透過性スクリーン3として用いることが好適である。
【0037】
再び図1に戻って、上記のような漆喰シートから形成されるスクリーン3の下側に配置される透光性支持基板5は、スクリーン3を平坦な状態に保持するために設けられるものであり、従来公知の各種透明樹脂、具体的には、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどからなる基板や、ガラス板などが使用される。また、その厚みは、一定の透光性や形態保持性を示す程度の強度を確保できる限り、特に制限されない。
【0038】
また、画像基板7は、上記スクリーン3に映し出す画像を有するものであり、例えば透明樹脂フィルムに画像が描かれたシート乃至フィルムなどが使用され、スクリーン3と透光性支持基板5との間に挟持され、画像を代える場合には、この画像基板7は取り外され、別の画像を有する画像基板7をスクリーン3と透光性支持基板5との間に設けることとなる。
【0039】
また、このように、スクリーン3と透光性支持基板5との間に挟持される画像基板7は、スクリーン3及び透光性支持基板5の両方に密接するように設けられることが好ましい。画像基板7とスクリーン3或いは透光性支持基板5との間に隙間が存在すると、スクリーン3の表面に映し出される画像に歪みが生じたり、或いは緩衝縞が発生するなどの不都合を生じるからである。
【0040】
さらに、画像基板7は、通常、容易に交換できるように、透光性支持基板5の上に載置した状態でスクリーン3を重ねたり、或いは透光性支持基板5とスクリーン3との間の空間に画像基板7を挿入するようにして設けられるが、場合によっては、容易に引き剥がし可能な程度の接着性を有する粘着剤を用いて透光性支持基板5の上に固定し、この上にスクリーン3を重ねて配置することにより設けることもできる。この場合、画像基板7としてシート乃至フィルムのようなものを使用せず、画像シールのようなものであってもよく、複数の画像シールを画像基板7として使用し、透光性支持基板5の上に貼着して設けることもできる。但し、このような画像シールの複数枚を画像基板7として用いる場合には、画像シール間の間において、スクリーン3と透光性支持基板5との間隔が大きくならないように、各画像シールの厚みが極力薄いことが好適である。
【0041】
さらに、また、上記の画像基板7は、鮮明な画像が映し出される限り、透光性支持基板5の下面に配置することも可能である。勿論、この場合において、透光性支持基板5とスクリーン3とは密接しており、画像基板7と透光性支持基板5の下面とも密接していることが望ましい。
【0042】
上記のような画像表示板1の下側に配置される光源10としては、とくに制限されず、各種の照明手段を用いることができるが、一般的には、多数のLEDを光源10として配列しておくことが好ましい。即ち、LEDを用いた場合には、そのON/OFFによる画像調整を容易に行うことができる。例えば、一部の列のLEDのみをONとすることにより、前述した画像基板7が有している画像の一部のみを映し出すことができ、また、LEDがONとなる箇所を連続的に変化させることにより、動画として画像を表示することも可能となる。
【0043】
上記のようにして画像が映し出される画像表示板1において、画像基板7の交換を容易行うためには、例えば、光源10を保持している基台9の周縁部を立設し、立設している壁の内面に係止部材を設け、この係止部材に画像表示板1(例えば透光性支持基板5)の周縁部が保持されるように設けるのがよく、この場合、スクリーン3の周縁部に、下方に降下した壁部を形成しておき、この壁部により、画像基板7や透光性支持基板5の側面及び基台9の立設部が覆い隠されるような構造とすることが好適である。即ち、このような構造では、スクリーン3を取り外して、内部の画像基板7の交換を容易に行うことができる。
【0044】
上述した本発明の画像表示板1は、光源10からの光照射によってスクリーン3の表面に鮮明な画像が映し出されるばかりか、光源10からの光照射を停止した状態では、その内部に存在する画像基板7などを外部からは全く視認することができず、従って、画像を映し出さないときの美観を損なうことがなく、ビルの壁などに使用される案内板や広告板などとして、極めて有用である。特に、表面に配置されるスクリーン3が漆喰シートにより形成されているため、周囲の壁材が漆喰で形成されているときには、光源10を停止している状態では、この画像表示板1自体が、周囲の壁材と溶け合って一体のものとして観察されるため、極めて効果的である。
【0045】
また、図1に示すような構造の画像表示板1は、矩形状に形成し、多数の画像表示板1を壁の表面に隙間なく配設することにより、著しく大型の画像表示を行うことも可能となり、その汎用性は極めて高い。
【0046】
上述した本発明では、種々の設計変更が可能であり、例えば、表示されるを容易に変更することができるのであれば、画像基板7を透光性支持基板5と一体化した状態で形成することもできる。この場合には、一体化した画像基板7と透光性支持基板5とを交換することにより、表示する画像を変更することとなる。また、画像基板7と透光性支持基板5とが一体化ものとして、液晶パネルやプラズマパネルなども使用することができる。但し、この場合には、光量不足となり、表示される画像が不鮮明となるおそれがあるため、あまり実用的では無い。
【0047】
さらに、上記の画像表示板1に使用されている漆喰シートからなる光透過型スクリーンは、それ単独で、モバイルスクリーンとして、背面からの投影により画像を表示するスクリーン、例えばオーバーヘッドプロジェクター用スクリーンなどとしても使用することができる。この場合にも、画像の投影を行っていない場合には、背面に置かれた投影機などを外部の観察者からは全く見えないという利点が達成される。
特に漆喰シートからなる光透過型スクリーンは、大気中の炭酸ガスを吸収することにより製造されるため、炭酸ガスの排出規制の観点からも極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の画像表示板の概略断面構造を示す図。
【符号の説明】
【0049】
1:画像表示板
3:光透過型スクリーン
5:透光性支持基板
7:画像基板
10:光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性漆喰シートからなる画像表示用光透過型スクリーンと、画像基板と、透光性支持基板とを備え、該画像表示用光透過型スクリーンが表面に配置されていることを特徴とする画像表示板。
【請求項2】
前記画像基板が着脱自在に設けられている請求項2に記載の画像表示板。
【請求項3】
前記光透過性漆喰シートの、JIS K 7361により測定される光線透過率が20乃至70%である請求項1または2に記載の画像表示板。
【請求項4】
前記光透過性漆喰シートが、漆喰からなる表面層と該表面層を支持する光透過性基材シートとからなる請求項1乃至3の何れかに記載の画像表示板。
【請求項5】
前記表面層は、90%以上の炭酸化率を有しており、且つJIS B 0601により測定される平均表面粗さRzが10乃至100μmである請求項4に記載の画像表示板。
【請求項6】
前記光透過性基材シートが紙シートである請求項4に記載の画像表示板。
【請求項7】
光透過性漆喰シートからなることを特徴とする画像表示用光透過型スクリーン。

【図1】
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【公開番号】特開2010−20082(P2010−20082A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180259(P2008−180259)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】