説明

画像表示装置、画像表示システムおよびプログラム

【課題】データテーブルを迅速に作成すると共に、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図る。
【解決手段】入力された全データのサンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定する急勾配特定部13と、特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する平均化処理部14と、平均化された各データを区分毎に保持するデータベーステーブル15と、グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する画面制御部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する技術に関し、特に、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に応じて、グラフのタイムスケールを拡大または縮小する際の不都合を改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子カルテシステムが知られている。例えば、特許文献1には、医療行為の相互間の関係を考慮し、効率よく医療情報を入力して電子カルテを構築する電子カルテシステムが開示されている。この電子カルテシステムは、医療行為およびその関連情報を含む医療行為情報と、この医療行為情報の適用時間情報とにより電子カルテ情報を構成する。また、その電子カルテ情報の医療行為情報を時間軸上に閲覧情報として表示する。また、編集中の電子カルテ情報における医療行為情報を時間軸上に表示させる。そして、ユーザの操作を受け付けて、電子カルテにおける医療行為情報を編集する。
【0003】
図16および図17は、電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。図16に示すように、この電子カルテシステムは、上部に多段階の時間軸(例えば、年単位・月単位・日単位)を有する。また、その下に診療行為(オブジェクト)が表示される。この電子カルテシステムでは、左に並ぶ項目が医療行為(病名・投薬・診断・検査等)であって、その右側に実際の行為が、一定の時間幅をもって記録される。
【0004】
ユーザは、図17に示すように、上部の時間軸を選択することで、任意の尺度での情報俯瞰が可能であり、任意の時間にジャンプすることができる。任意の項目をピックアップし、それぞれを最適なタイムスケールで見ることにより、一見ランダムに見える時系列データである医療情報の因果関係の推定等をすることができる。このスケールの変換を、指の操作(例えばピンチイン・アウト)で行なうことで、より直感的にスケールを切り替えることが可能である。
【0005】
このように、ユーザは、多段階のスケールを表示し、任意の項目をピックアップし、それぞれを指のピンチイン・アウト等の操作をすることによって最適なタイムスケールで見ることができる。これにより、直感的に操作をしながら、一見ランダムに見える時系列データである医療情報の因果関係の推定等をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−192002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらのデータについては、データ数が極めて量が多い。例えば、糖尿病患者であれば、毎日投薬や検査がなされるが、これらは年のスケールでは356個のデータを持つ。また、これらの投薬や検査の種類は数百もある。そのため、これらのデータを表すデータオブジェクトの数は、一般的には数千から数万へと膨れ上がる。サーバ・クライアントで構成されるシステムにおいて、これらのデータを表示するためにはデータ伝送および描画に多くの時間がかかり、ユーザレスポンスが落ちてしまう。
【0008】
一方、図17に示すように、タイムスケールを拡大することによって、プロット点の間隔が狭まって、複数のデータが統合されて見えるようになってしまう。その結果、統合されたデータは、すべてが必要なデータではなくなり、少なくとも一つのデータを抽出すれば足りることになる。従って、統合される倍率に応じて、データを間引くことが可能となり、間引いた分だけデータ量が少なくなり、処理速度の向上を図ることが可能である。このような場合、予めグラフを伝送する際の倍率を決めておき、その倍率においてグラフの描画に必要なデータを準備しておくことによって、高速にグラフを描画し、伝送することが可能となる。
【0009】
図18は、タイムスケールと倍率との関係を定めた図である。図18に示す伝送番号1〜20に相当する倍率において、グラフを描画する際に必要なデータのみをデータベーステーブルとして保持することで、不要なデータのサーチが必要なくなり、グラフ作成時間が短縮できる。
【0010】
しかしながら、従来の手法では、このデータベーステーブルを作成するためにはそれぞれの伝送番号ごとに、視認できなくなるデータプロットをそれぞれのデータプロットの間隔から計算により割り出し、データテーブルを作成しなければならないため、多くの時間がかかるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、データテーブルを迅速に作成すると共に、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることができる画像表示装置、画像表示システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の画像表示装置は、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置であって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小するスケール変更部と、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定する急勾配特定部と、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する平均化処理部と、前記平均化された各データを前記区分毎に保持するデータベーステーブルと、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する画面制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このように、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを前記区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0014】
(2)また、本発明の画像表示装置において、前記急勾配特定部は、シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうことを特徴とする。
【0015】
このように、シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうので、急勾配点を迅速に特定することが可能となる。
【0016】
(3)また、本発明の画像表示装置において、前記データベーステーブルは、前記平均化されたデータの数を保持し、前記最小統合倍率に対応する区分に含まれるデータを用いて、順次各区分に含まれるデータを保持することを特徴とする。
【0017】
このように、平均化されたデータの数を保持し、最小統合倍率に対応する区分に含まれるデータを用いて、順次各区分に含まれるデータを保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。
【0018】
(4)また、本発明の画像表示システムは、クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、前記サーバ装置は、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、前記クライアント装置は、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記サーバ装置のデータベーステーブルから取得し、グラフ化して画面に表示することを特徴とする。
【0019】
このように、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを前記区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0020】
(5)また、本発明の画像表示システムは、クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、前記サーバ装置は、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化し、前記クライアント装置は、前記グラフ化されたデータを前記サーバ装置から取得して、画面に表示することを特徴とする。
【0021】
このように、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0022】
(6)また、本発明の画像表示システムは、シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうことを特徴とする。
【0023】
このように、シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうので、急勾配点を迅速に特定することが可能となる。
【0024】
(7)また、本発明のプログラムは、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定する処理と、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0025】
このように、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを前記区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0026】
(8)また、本発明のプログラムは、シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうことを特徴とする。
【0027】
このように、シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうので、急勾配点を迅速に特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを前記区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ピンチイン・アウトによる拡大率の変更の様子を示す図である。
【図2】拡大率に応じてプロット点の間隔が変化する様子を示す図である。
【図3】本実施形態に係る画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】画面における隣り合う2つのデータプロットの一例を示す図である。
【図5】データ発生間隔と発生間隔を有するデータ数との関係が正規分布を示す様子を示す図である。
【図6】1ドットを表現するための秒数と、視認できるデータ数との関係を示す図である。
【図7】拡大率を横軸にとり、表示データ数を縦軸にとり、視認性が低下する区間と視認性が低下しない区間とを示す図である。
【図8】最小時間間隔を持つデータが重なる点と、最大時間間隔を持つデータが重なる点を示す図である。
【図9】倍率の配置を示す図である。
【図10】本実施形態に係る画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】フィッティング関数とプロット値とを表す図である。
【図12】プロットしたデータを示す図である。
【図13】データテーブルを示す図である。
【図14】実施例2に係る画像表示システムの概略構成を示す図である。
【図15】実施例3に係る画像表示システムの概略構成を示す図である。
【図16】電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。
【図17】電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。
【図18】タイムスケールと倍率との関係を定めた図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、本明細書における「タイムスケールの拡大」について定義する。「タイムスケールの拡大」とは、小さいタイムスパンでデータを表示している状態から、大きいタイムスパンでデータを表示している状態へ遷移させることをいう。次に、「拡大率」について定義する。「拡大」が生ずる時、プログラム内部では、プロット点の書き換えを実行する。具体的には、隣り合うプロット点同士の間隔を縮める操作を実行する。このときの縮める割合を、「拡大率」と定義する。この「拡大率」は、実装に依存するが、例えば、タブレット端末の画面上で、ユーザがピンチイン・アウトを行なう場合のユーザの指の間隔の変化に基づいて、「拡大率」を変化させる。
【0031】
図1は、ピンチイン・アウトによる拡大率の変更の様子を示す図である。図1において、紙面に対して上側の図がピンチイン前の画面表示例を示しており、ユーザの2本の指が触れている座標間距離をmで表している。一方、紙面に対して下側の図がピンチイン後の画面表示例を示しており、ユーザの2本の指が触れている座標間距離をlで表している。このとき、この指間隔の距離差分(m−l)に応じて、プロット点の間隔を縮めれば、表示上グラフが「拡大」したことになる。
【0032】
ここで、任意の係数γを使って、「拡大率」をγ(m−l)と表わす。このγは任意であるため、適当な値にセットすることができる。ユーザが「拡大」したいと考える場合は、大きな値に設定する一方、ゆっくりと「拡大」したいと考える場合は、小さな値に設定すれば良い。
【0033】
図2は、拡大率に応じてプロット点の間隔が変化する様子を示す図である。図2に示すように、「拡大」したときに、プロット点の間隔が、1/γ(m−l)倍になるように計算すると、拡大率に応じて、プロット点間隔が変化し、画面が「拡大」したように見える。
【0034】
図3は、本実施形態に係る画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。この画像表示装置10では、表示部11が、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する。スケール変更部12は、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に応じて、グラフのタイムスケールを拡大または縮小する。急勾配特定部13は、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する。平均化処理部14は、急勾配特定部13が特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する。データベーステーブル15は、平均化処理部14で平均化された各データを区分毎に保持する。画面制御部16は、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する。なお、上記の各構成要素は、制御バス17によって接続され、相互に信号の送受信を行なうことができるように構成されている。
【0035】
一般的に、自然界に存在するデータを時系列的にプロットする場合、その発生間隔には偏りが存在することが多い。医療で用いられるデータを例に取ると、例えば、糖尿病慢性疾患の患者の投薬発生イベントに関するデータは、血糖改善剤等を毎食後服用し、血糖検査を毎食後行なうため、3〜4時間に1回程度の発生間隔で発生することが多く、数分単位・数年単位での発生間隔はとらないことが多い。
【0036】
さらに、医療で用いられるデータ以外の例をあげると、農業等では四季の移り変わりによって、種まき・収穫等が決定するため、ほぼ1年に1回程度の発生間隔で、イベントが発生することになる。
【0037】
上述したように、小さいタイムスパンから大きいタイムスパンで表示するシステム、例えば、秒・分・時間・日・月・年・10年の表現を持つシステムでは、このような様々なタイムスパンを持つデータをプロットして表現することができるため、時系列データの推移を俯瞰的に把握することに適している。
【0038】
ところで、上記のようなデータを、システム上で時系列プロットをして表現する場合、上述したように、グラフの視認性低下が発生する。しかも視認性低下の発生する領域が、表示する時系列データの種類によって大きく偏る。すなわち、表示するデータの性質に応じて、データの発生間隔の平均周期が異なるため、平均周期によって決定されるタイムスパンに応じて、視認性低下の傾向が大きく変わる。このような偏りを、横軸にデータを表示するための時間幅、縦軸を表示可能なデータプロット数をとってグラフ化すると、シグモイド形状をとることが推測できる。以下、その理由について説明する。
【0039】
図4は、画面における隣り合う2つのデータプロットの一例を示す図である。図4では、例えば、α番目と(α+1)番目の隣り合う2つのデータプロットを考える。各データプロットの開始時刻を、それぞれtα(秒)、t(α+1)(秒)と定義する。このとき、図4に示すように、これらのデータの間隔は、
{t(α+1)−tα}(秒)
と表わされる。ここで、システム上、1秒=a(dot)で表わされるとすると、この間隔は、
a{t(α+1)−tα}(dot)
と表わされる。
【0040】
次に、ユーザが画面上でピンチイン操作を行なったときにデータプロット間隔について考える。ピンチイン前のデータプロット間隔a{t(α+1)−tα}に対して、拡大操作1/γ(m−l)倍をすると、画面上のデータプロット間隔が変化する。つまり、ピンチイン後のデータプロット間隔は、
a{t(α+1)−tα}・1/γ(m−l)
となる。
【0041】
人間が視認できるサイズを、最も厳しい条件として、ディスプレイ上の1ドットとすると、データプロット間隔が、1ドットよりも小さければ、2つのデータを肉眼で区別することができず、両者が統合して見えることになる。そこで、2つのデータを単一のデータで代表することが可能となる。すなわち、次式を満たした時に、2つのデータが統合される。
a{t(α+1)−tα}・1/γ(m−l)<1
【0042】
なお、人間が視認できるサイズを、最も厳しい条件である1ドットとすることによって、最も良い視認性を確保することが可能となる。
【0043】
ここで、本発明者らは、データプロットを効率的に扱うため、様々な拡大率で表示されるグラフを生成する上で、必要最低限のデータを扱うようにシステムを組むと、システムが高速化されることに着目し、予めデータを特定の拡大率に応じて、マージした上でデータベース上に保持することによって、効率の良いグラフ作成が可能となることを見出し、本発明をするに至った。
【0044】
拡大率γ(m−l)を、Eで表わすと、上記の式は、次のように簡略化される。
a{t(α+1)−tα}・1/E<1
ここで、拡大率Eに応じて、視認できるプロット数がどのように変化するかについて考える。式変形により、
a{t(α+1)−tα}<E
が得られる。この式は、2つのデータ間のプロット間隔が、一定の拡大率以下であれば、マージ(統合)しても良いことを意味している。その結果、マージするときの拡大率Eは、データ発生間隔{t(α+1)−tα}に比例する、ということが理解できる。
【0045】
次に、このデータ発生間隔について考える。データ発生間隔は、医療データの場合、一定の周期に従うことが多い。例えば、糖尿病患者は、食後にインスリンの注射をしたり、投薬をしたり、血糖値検査を食後2時間後にしたりする。このことは、概ね3、4時間という時間がデータ発生間隔に相当することを意味する。ただし、このようなデータは自然界のデータのため、“ゆらぎ”が必ず発生する。例えば、上記の例では、夕食を食べる時間は、昨日6時であったが、今日は7時だったということが生ずる。このような“ゆらぎ”が存在することを考えると、データ発生間隔は、平均周期を平均とする正規分布に従うと考えられる。
【0046】
図5は、データ発生間隔と発生間隔を有するデータ数との関係が正規分布を示す様子を示す図である。上述したように、拡大率Eはデータ発生間隔に比例するため、図5の横軸のデータ発生間隔をEに置き換えたとしても、正規分布が成立する。ここで、上記の正規分布において、最も小さい拡大率から徐々に拡大率を大きくしていったときの表示可能なデータ数の分布について考える。これは、上記の正規分布を累積させた累積正規分布関数により求めることができる。この累積正規分布関数は、シグモイド関数になることが知られている。シグモイド関数は、ある瞬間にグラフの傾きが急増するという特徴を有している。これは、拡大率が大きくなると、ある瞬間にディスプレイ上に表示できないデータが発生し始めるということを意味している。
【0047】
図6は、1ドットを表現するための秒数と、視認できるデータ数との関係を示す図である。ここでは、一例として、患者に対してあるカプセル投与をした場合のデータをプロットしたものである。図6に示すように、このようなデータでは、年および10年のスケールで視認性が大きく低下していることがわかる。これは投薬が、1月あるいは数日単位で行なわれることが多いため、このようなグラフになっていると考えられる。また、その他の例を考えると、健康診断などの検査は、1年に1回の頻度で行なわれることが多いため、10年スケールよりも大きなスケールでは視認性低下が起こると予想される。また、心拍のようなデータであれば、数秒単位でのデータプロットになるため、時スケール等での視認性低下が激しいと予想される。さらにナノ秒単位での化学反応等をプロットすれば、秒スケールでの視認性低下が激しいと予想される。
【0048】
図7は、拡大率を横軸にとり、表示データ数を縦軸にとり、視認性が低下する区間と視認性が低下しない区間とを示す図である。すなわち、視認性が低下する区間では、細かく区分けしてデータの伝送を行なう一方、視認性が低下しない区間では、おおまかにデータの伝送を行なえば良い。ここで、データを予めマージした形でデータベースに登録しておけば、処理速度を向上させることが可能となる。上記のような細かい伝送が必要な区間上では、細かく拡大率を区切ってデータを登録し、おおまかなデータの伝送が必要な区間では、データベース上のテーブル1つで済むこととなる。
【0049】
すなわち、図6および図7に示すようなシグモイド形状において、シグモイド関数の急勾配が始まるタイムスパンを決定できれば、それよりも大きなタイムスパンにおけるデータテーブルにおいては、視認できなくなるデータプロットをそれぞれのデータプロットの間隔から計算により割り出す必要はなくなり、計算負荷を小さくすることが可能となる。また、急勾配を割り出した後は、急勾配において倍率を細かく設定し、視認性が低下するデータをまとめる計算を、倍率が低いテーブルから順次実行すれば良い。
【0050】
上述したように、拡大率をEとして、1秒あたりaドットで表されるとしたとき、以下の式を満たしたときに、2つのデータが統合される。
a{t(α+1)−tα}<E
【0051】
テーブルごとにEが決まるから、各々のEごとに上記を計算して、不等式を満たすものがあれば、2つをまとめたデータとすれば良い。この際、値が異なる2つのデータであった場合は、平均化処理等を行なう。
【0052】
具体的な急勾配の検出方法として、下記に示す手法を用いる。図8は、最小時間間隔を持つデータが重なる点と、最大時間間隔を持つデータが重なる点を示す図である。
ステップ1:入力された全データ間隔から、データをサンプリングする。このサンプリングは、例えば、10個に1個の割合で全データから取得する。
ステップ2:上記サンプリングされたデータに対して、モデルに基づいた回帰直線の推定を行なう。回帰直線としては、ロジスティック関数等のシグモイド曲線が好適である。
ステップ3:回帰直線のパラメータから、急勾配の発生する倍率を推定する。
【0053】
このように、回帰直線によるモデリングを行なうことにより、外れ値を無視して大まかな形状から急勾配位置を検出することが可能となる。例えば通常3、4時間程度の周期で発生するデータの中に1つだけ1分間隔で発生したデータ(外れ値)が存在した場合、厳密に言えば、勾配自体はこの外れ値が見えなくなる倍率で開始することになるが、この倍率からデータテーブルを作成し始めることは、無駄である。すなわち、1つくらいデータの重なりがあっても、データテーブルを新規に作るのではなく、生のデータテーブルを使用しても問題はあまりない。
【0054】
なお、視認性低下区間で、細かく倍率を区切ってデータテーブルを作成することで、グラフの視認性低下を抑えることが可能である。
【0055】
図9は、倍率の配置を示す図である。図9に示すように、視認性の低下する区間で、2倍の倍率を設定し、低下しない区間で3や5の倍率を配置している。その上で、これらの倍率ごとにデータテーブルを作成し、グラフを描画する際に、ユーザのグラフの表示倍率指定に合わせてデータテーブルを使用する。
【0056】
次に、以上のように構成された本実施形態に係る画像表示装置の動作について、説明する。図10は、本実施形態に係る画像表示装置の動作を示すフローチャートである。まず、データを入力し(ステップS1)、データのサンプリングを行なう(ステップS2)。次に、ロジスティック関数によるフィットを行なう(ステップS3)。次に、パラメータを取得し(ステップS4)、視認性が低下する拡大率を計算する(ステップS5)。すなわち、急勾配の点を検出する。次に、1段階低い階層のデータベーステーブル〜データを読み出し(ステップS6)、拡大率をインクリメントする(ステップS7)。次に、データベーステーブルを作成し(ステップS8)、最大拡大率に到達したかどうかを判断する(ステップS9)。ステップS9において、最大拡大率の到達していない場合は、ステップS7に遷移する。一方、ステップS9において、最大拡大率に到達した場合は、終了する。
【0057】
これにより、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【実施例1】
【0058】
以下、本発明の実施例について説明する。まずモデルの当てはめを行なう。ここではロジスティック関数モデルを考える。ロジスティック関数は次の式(1)で表される。
【0059】
【数1】

【0060】
まず、式(1)を変形すると、式(2)が得られる。
【0061】
【数2】

【0062】
次に、両辺のlogを取ると、式(3)が得られる。
【0063】
【数3】

【0064】
ここで、Kのパラメータは、上部漸近線を表すことから、今回のシステムでは視認できるデータの上限すなわちデータ数そのものである。そのため、推定パラーメタから除外して良い。
【0065】
【数4】

とおくと、式(3)から式(5)が得られる。
【0066】
【数5】

【0067】
式(5)により、最小二乗法からPとQを推定することができる。このP及びQからbとcを推定し、yの値が十分Kに漸近する時のxの値を求めれば良い。yの値としては0.99K等を代入すれば良い。
【0068】
図11は、フィッティング関数とプロット値とを表す図である。図12は、プロットしたデータを示す図である。図11において、横軸は下記の倍率を1〜20に置き換えたものである。推定されたパラメータはb=1132.27168、c=1.40229となり、y=0.99Kとなる倍率を計算すると、上記番号が8.3になる点であり、8.3より大きい最小の整数は9であるから、9に相当する倍率は291600倍となる。この倍率が視認性の低下する倍率と推定される。またy=0.01Kとなる点を計算すると、1.74となる。この番号以下の最大の整数は1であり、1に相当する倍率74649600が、視認性が低下する最大の倍率と推定される。
【0069】
上記の実際のデータで確認すると、実際に9番目の番号から視認性が低下しはじめているのがわかる。つまり291600〜74649600が、視認性低下倍率区間であり、この区間の伝送を細かく行なえば良い。つまり、グラフを描画する際には291600より小さい倍率については、生データを用い、291600〜74649600の倍率区間において、細かく倍率を設定したデータテーブルを保持すれば良い。
【0070】
例えば、2倍の倍率で細かくデータを区切ると、図13に示すデータテーブルが得られる。ここで、グラフを描画する際に、ユーザが指定した倍率が、291600以下であった場合は、生のデータテーブル(データテーブル10)を用いれば良いし、291600〜583200であった場合はデータテーブル9を用いればよい。
【実施例2】
【0071】
図14は、実施例2に係る画像表示システムの概略構成を示す図である。この画像表示システムは、クライアント装置110およびサーバ装置120から構成され、通信ネットワーク130を介して相互にデータの送受信を行なう。クライアント装置は、表示部111、スケール変更部112、画面制御部113を備えており、これらの構成要素が制御バス114で相互に接続されている。サーバ装置120は、急勾配特定部115、平均化処理部116、データベーステーブル117を備えており、これらの構成要素が制御バス118で相互に接続されている。サーバ装置120は、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する。また、特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する。また、その平均化された各データを区分毎にデータベーステーブル117に保持する。
【0072】
なお、サーバ装置120は、グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、およびグラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、最小統合倍率から最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化しても良い。
【0073】
クライアント装置110は、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをサーバ装置120のデータベーステーブル117から取得し、グラフ化して画面に表示する。
【実施例3】
【0074】
図15は、実施例3に係る画像表示システムの概略構成を示す図である。この画像表示システムは、クライアント装置140およびサーバ装置150から構成され、通信ネットワーク130を介して相互にデータの送受信を行なう。クライアント装置は、表示部111、スケール変更部112、画面制御部113を備えており、これらの構成要素が制御バス114で相互に接続されている。サーバ装置150は、急勾配特定部115、平均化処理部116、データベーステーブル117、グラフ作成部119を備えており、これらの構成要素が制御バス118で相互に接続されている。グラフ作成部119は、データを読み込んで描画する機能を果たす。サーバ装置150は、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する。また、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する。また、平均化された各データを区分毎にデータベーステーブルに保持し、ユーザによってクライアント装置140を介して設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化する。
【0075】
なお、サーバ装置150は、グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、およびグラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化しても良い。
【0076】
クライアント装置140は、グラフ化されたデータをサーバ装置150から取得して、画面に表示する。
【0077】
なお、以上説明したような本発明の特徴的な動作は、コンピュータにプログラムを実行させることによっても実現することが可能である。すなわち、本発明のプログラムは、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定する処理と、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0078】
このように、入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを前記区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
10 画像表示装置
11 表示部
12 スケール変更部
13 急勾配特定部
14 平均化処理部
15 データベーステーブル
16 画面制御部
17 制御バス
110 クライアント装置
111 表示部
112 スケール変更部
113 画面制御部
114 制御バス
115 急勾配特定部
116 平均化処理部
117 データベーステーブル
118 制御バス
119 グラフ作成部
120 サーバ装置
130 通信ネットワーク
140 クライアント装置
150 サーバ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置であって、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小するスケール変更部と、
入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定する急勾配特定部と、
前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する平均化処理部と、
前記平均化された各データを前記区分毎に保持するデータベーステーブルと、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する画面制御部と、を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記急勾配特定部は、シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記データベーステーブルは、前記平均化されたデータの数を保持し、前記最小統合倍率に対応する区分に含まれるデータを用いて、順次各区分に含まれるデータを保持することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像表示装置。
【請求項4】
クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、
前記サーバ装置は、
入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、
前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、
前記クライアント装置は、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記サーバ装置のデータベーステーブルから取得し、グラフ化して画面に表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項5】
クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、
前記サーバ装置は、
入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定し、
前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、
ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化し、
前記クライアント装置は、
前記グラフ化されたデータを前記サーバ装置から取得して、画面に表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項6】
シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうことを特徴とする請求項4または請求項5記載の画像表示システム。
【請求項7】
グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、
入力された全データをサンプリングし、サンプリング後のデータに基づいて、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示すグラフ上で、モデルから導かれる回帰直線の推定を行ない、前記推定した回帰直線のパラメータから、勾配が急激に減少する点を特定する処理と、
前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、
前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
シグモイド曲線を用いて前記推定を行なうことを特徴とする請求項7記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−88876(P2013−88876A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226232(P2011−226232)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】