説明

画像表示装置、表示制御方法及びプログラム

【課題】PinPなどの複合的な画面表示におけるユーザの操作性を一層向上させること。
【解決手段】第1画像を取得する第1取得部と、前記第1画像に重畳される第2画像を取得する第2取得部と、前記第1画像に前記第2画像を重畳することにより出力画像を生成し、生成した前記出力画像を表示する再生部と、ユーザにより操作されるカーソルの前記出力画像内での位置を検出する検出部と、前記出力画像内での前記第2画像の表示位置と前記検出部により検出されるカーソル位置との間の位置関係に応じて、前記再生部による前記第2画像の表示を制御する再生制御部と、を備える画像表示装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1つの表示装置のスクリーン上に複数の画像又は映像を同時に表示させるためのピクチャーインピクチャー(以下、「PinP」と略称する。)と呼ばれる技術が存在する。PinPでは、例えば、1つの主画面(main picture)に1つ以上の副画面(sub-picture)が重畳され、これら画面がスクリーン上に同時に表示される。主画面及び副画面の内容は、例えば、PC(Personal Computer)のユーザインタフェース画像、テレビジョン番組の映像、及びBD(Blu-ray Disc:登録商標)又はDVDなどの媒体から再生される映像など、様々である。
【0003】
PinPにおいて、副画面が重畳される位置は、典型的には、ユーザにより指定される。例えば、ユーザは、表示装置のリモートコントローラの方向キーを用いて副画面の位置を決定又は変更することができる。また、下記特許文献1に記載された技術を応用し、表示装置ではなく、表示装置に接続されたコンピュータの周辺機器を用いて表示装置の設定を変更することも可能である。さらに、PinPに関連する技術として、下記特許文献2は、副画面の位置又は大きさをユーザが操作する際に副画面を透過させることにより、主画面の視認性を向上させることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−175378号公報
【特許文献2】特開2009−289180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に主画面に表示されるオブジェクト(コンテンツ、メニュー又はアイコンなど)をユーザが操作しようとする場合には、上記特許文献1及び2に記載された手法を用いるのみでは、ユーザの操作性が十分に確保されるとは言い難い。例えば、副画面の背後にある主画面のオブジェクトをユーザが操作しようとする場合、ユーザは、副画面の位置又は大きさを変更して主画面の所望のオブジェクトを表示させた後でなければ、そのオブジェクトを正確に操作することができない。このような冗長な操作は、それ自体ユーザにとって面倒である。また、ユーザが副画面を操作してみて初めて、副画面の背後に主画面の所望のオブジェクトが存在しないことに気付く可能性もある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決してPinPなどの複合的な画面表示におけるユーザの操作性を一層向上させることのできる、新規かつ改良された画像表示装置、表示制御方法及びプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある実施形態によれば、第1画像を取得する第1取得部と、上記第1画像に重畳される第2画像を取得する第2取得部と、上記第1画像に上記第2画像を重畳することにより出力画像を生成し、生成した上記出力画像を表示する再生部と、ユーザにより操作されるカーソルの上記出力画像内での位置を検出する検出部と、上記出力画像内での上記第2画像の表示位置と上記検出部により検出されるカーソル位置との間の位置関係に応じて、上記再生部による上記第2画像の表示を制御する再生制御部と、を備える画像表示装置が提供される。
【0008】
また、上記再生制御部は、上記第2画像の表示位置と上記カーソル位置との間の距離に応じて、上記第2画像の表示を制御してもよい。
【0009】
また、上記再生制御部は、上記第2画像の表示位置と上記カーソル位置との間の距離に応じて、上記第2画像の透過率を変化させてもよい。
【0010】
また、上記再生制御部は、上記第2画像の表示位置と上記カーソル位置との間の距離が所定の閾値よりも小さい場合に、上記第2画像を透過させてもよい。
【0011】
また、上記再生制御部は、上記第2画像の表示位置と上記カーソル位置との間の距離が上記所定の閾値よりも小さい場合に、当該距離が小さくなるほど上記第2画像の透過率を上昇させてもよい。
【0012】
また、上記検出部が上記カーソルの移動とは異なるユーザ入力をさらに検出可能である場合に、上記再生制御部は、上記ユーザ入力が検出されたときには、上記カーソル位置に関わらず上記第2画像を透過させなくてもよい。
【0013】
また、上記検出部が上記カーソルの移動とは異なるユーザ入力をさらに検出可能である場合に、上記再生制御部は、上記ユーザ入力が検出されていないときには、上記カーソル位置に関わらず上記第2画像を透過させなくてもよい。
【0014】
また、上記再生制御部は、上記第2画像の表示位置と上記カーソル位置との間の距離がゼロ又は所定の閾値よりも小さい場合に、上記第2画像を出力画像内で他の位置へ移動させてもよい。
【0015】
また、上記第2取得部は、上記第2画像と関連付けられる音声信号をさらに取得し、上記再生部は、上記第2取得部により取得される上記音声信号を再生し、上記再生制御部は、上記位置関係に応じて、上記再生部による上記音声信号の再生をさらに制御してもよい。
【0016】
また、上記再生制御部は、上記第2画像の表示位置と上記カーソル位置との間の距離が所定の閾値よりも大きい場合に、上記再生部に上記音声信号を再生させなくてもよい。
【0017】
また、本発明の別の実施形態によれば、第1画像を取得するステップと、上記第1画像に重畳される第2画像を取得するステップと、上記第1画像に上記第2画像を重畳することにより出力画像を生成するステップと、生成した上記出力画像を表示するステップと、ユーザにより操作されるカーソルの上記出力画像内での位置を検出するステップと、上記出力画像内での上記第2画像の表示位置と検出されたカーソル位置との間の位置関係に応じて、上記出力画像内での上記第2画像の表示を制御するステップと、を含む表示制御方法が提供される。
【0018】
また、本発明の別の実施形態によれば、第1画像に第2画像を重畳することにより生成される出力画像を表示する画像表示装置を制御するコンピュータを、上記第1画像を取得する第1取得部と、上記第2画像を取得する第2取得部と、ユーザにより操作されるカーソルの上記出力画像内での位置を検出する検出部と、上記出力画像内での上記第2画像の表示位置と上記検出部により検出されるカーソル位置との間の位置関係に応じて、上記出力画像内での上記第2画像の表示を制御する再生制御部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る画像表示装置、表示制御方法及びプログラムによれば、PinPなどの複合的な画面表示におけるユーザの操作性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施形態に係る表示制御システムの概要を示す模式図である。
【図2】一実施形態に係る画像表示装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】一実施形態に係る画像表示装置の論理的な構成の一例を示すブロック図である。
【図5】一実施形態に係る画像表示装置により表示される出力画像の一例を示す説明図である。
【図6】第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離の一例を示す説明図である。
【図7】第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離に応じた透過率について説明するための説明図である。
【図8】第1のシナリオにおける出力画像の一例について説明するための説明図である。
【図9】第1のシナリオにおける画像表示装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】第1のシナリオの変形例について説明するための第1の説明図である。
【図11】第1のシナリオの変形例について説明するための第2の説明図である。
【図12】第1のシナリオの変形例における画像表示装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】第1のシナリオの変形例における制御装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】第2のシナリオにおける出力画像の一例について説明するための説明図である。
【図15】第2のシナリオにおける画像表示装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離に応じた音量について説明するための説明図である。
【図17】第3のシナリオにおける画像表示装置による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0022】
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.表示制御システムの概要
2.一実施形態に係る装置の構成例
2−1.画像表示装置のハードウェア構成
2−2.制御装置のハードウェア構成
2−3.論理的な構成
3.制御シナリオの例
3−1.位置関係
3−2.第1のシナリオ
3−3.変形例
3−4.第2のシナリオ
3−5.第3のシナリオ
4.まとめ
【0023】
<1.表示制御システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る表示制御システム1の概要を示す模式図である。図1を参照すると、表示制御システム1は、接続線10によって互いに接続される画像表示装置100及び制御装置200を含む。画像表示装置100は、画像を表示するためのスクリーン102を有する。制御装置200は、ユーザ入力を受け付けるための入力手段の一例として、ポインティングデバイス202及びキーボード204と接続される。画像表示装置100及び制御装置200は、さらに、ネットワーク装置250とも接続され得る。
【0024】
接続線10は、画像表示装置100と制御装置200との間の通信を可能とする通信線である。接続線10は、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)標準仕様に準拠するマルチメディア出力線であってよい。その代わりに、接続線10は、例えば、USB(Universal Serial Bus)又はイーサネット(登録商標)などのその他の種類の通信線であってもよい。さらに、接続線10は、有線通信ではなく、例えば超広帯域無線(UWB:Ultra Wide Band)などの高速無線通信により実現されてもよい。
【0025】
画像表示装置100は、複数の画像が重畳された出力画像をスクリーン102上に表示する装置である。従って、画像表示装置100が表示する出力画像は、少なくとも第1画像及び第2画像を含む。本明細書では、スクリーン102上に表示される第1画像(又はその表示領域)を主画面、第2画像(又はその表示領域)を副画面という場合がある。主画面及び副画面は、いわゆるPinPを構成する。但し、PinPとは異なる名前で言及される複合的な画面も、本発明の範囲内に含まれ得ることは理解されたい。後に詳しく説明するように、画像表示装置100におけるこれらの画像の表示は、ユーザによる操作に応じて、制御装置200を介して制御される。
【0026】
第1画像及び第2画像は、それぞれ、画像表示装置100の内部のソースから取得されてもよく、画像表示装置100の外部のソースから取得されてもよい。画像表示装置100の内部のソースとは、例えば、画像表示装置100が内蔵するハードディスク又はBDなどの記録媒体からの映像出力を含み得る。また、画像表示装置100の外部のソースとは、例えば、制御装置200からの映像出力、AVレコーダ(図示せず)からの映像出力、ストリーミングサーバからの配信、又はテレビジョン放送などを含み得る。
【0027】
なお、本明細書では、画像表示装置100がテレビジョン受像機である例について主に説明する。しかしながら、その代わりに、画像表示装置100は、例えば、PC(Personal Computer)用のモニタ、スクリーンを有するコンテンツプレーヤ、又はその他の種類の表示装置であってもよい。
【0028】
制御装置200は、ユーザによる操作に応じて、画像表示装置100における複合的な画像の表示を制御するための装置である。制御装置200は、例えば、ポインティングデバイス202又はキーボード204において発生する操作イベントを検出する。そして、制御装置200は、検出した操作イベントを接続線10を介して画像表示装置100へ送信する。制御装置200から画像表示装置100へ送信される操作イベントは、例えば、ポインティングデバイス202によるカーソルの移動、ドラッグ及びクリック、キーボード204における様々な種類のボタン(あるいはキー)の押下などを含み得る。
【0029】
また、制御装置200は、画像表示装置100に映像を出力してもよい。例えば、制御装置200がPCである場合には、PCのデスクトップ画面又はPC上で動作するアプリケーション画面を表す映像が、制御装置200から画像表示装置100へ出力され得る。その場合、制御装置200からの出力映像は、ポインティングデバイス202により操作されるカーソルの画像をも含む。一方、制御装置200から画像表示装置100へ映像を出力しない場合には、ポインティングデバイス202により操作されるカーソルの画像は、画像表示装置100が生成し得る。
【0030】
なお、本明細書では、制御装置200がポインティングデバイス202及びキーボード204と接続されるPCである例について主に説明する。しかしながら、ポインティングデバイス202として、図1に例示したマウスの代わりに、タッチパッド、スティックポイント又はトラックボールなどが使用されてもよい。また、表示制御システム1の構成からキーボード204が省略されてもよい。さらに、制御装置200は、PCである代わりに、例えば、入力手段としてのコントローラを有するゲーム機器又はデジタル家電機器などであってもよい。
【0031】
ネットワーク装置250は、画像表示装置100及び制御装置200が外部のネットワークにアクセスするための装置である。ネットワーク装置250は、例えば、モデム、DSU(Digital Service Unit)、ブロードバンドルータ、又は無線アクセスポイントなどであってもよい。画像表示装置100は、例えば、ネットワーク装置250を介してコンテンツサーバから映像コンテンツを受信してもよい。
【0032】
<2.一実施形態に係る装置の構成例>
次に、図2〜図5を用いて、表示制御システム1の画像表示装置100及び制御装置200の具体的な構成の一例を説明する。
【0033】
[2−1.画像表示装置のハードウェア構成]
図2は、本実施形態に係る画像表示装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2を参照すると、画像表示装置100は、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)114、バス116、マルチメディアインタフェース(I/F)120、チューナ124、マルチメディア処理部126、スクリーン102、スピーカ128、及び通信I/F130を備える。
【0034】
CPU110は、画像表示装置100の動作全般を制御する。ROM112には、画像表示装置100の動作を制御するためのプログラム及びデータが格納される。RAM114は、CPU110による処理の実行時にプログラム及びデータを一時的に記憶する。バス116は、CPU110、ROM112及びRAM114を相互に接続する。バス116には、さらに、マルチメディアI/F120、チューナ124、マルチメディア処理部126、スクリーン102、スピーカ128、及び通信I/F130が接続される。
【0035】
マルチメディアI/F120は、制御装置200から出力される映像信号Vin1を接続線10を介して受信する。マルチメディアI/F120は、例えば、HDMI標準仕様に準拠するインタフェース、又はUSBインタフェースなどであってよい。また、マルチメディアI/F120は、制御装置200から出力される映像信号Vin1に加えて映像信号Vin1と関連付けられる音声信号Ain1を受信してもよい。そして、マルチメディアI/F120は、受信した映像信号Vin1及び音声信号Ain1を、マルチメディア処理部126へ出力する。
【0036】
チューナ124は、アンテナ122と接続され、アンテナ122を介して映像信号Vin2を受信する。また、チューナ124は、アンテナ122を介して映像信号Vin2に加えて映像信号Vin2と関連付けられる音声信号Ain2を受信してもよい。そして、チューナ124は、受信した映像信号Vin2及び音声信号Ain2を、マルチメディア処理部126へ出力する。
【0037】
マルチメディア処理部126は、マルチメディアI/F120、チューナ124又は通信I/F130から入力される映像信号を復号し、当該映像信号に含まれる一連の画像を再生する。また、マルチメディア処理部126は、いわゆるPinP機能を有し、再生される複数の画像を重畳することにより出力画像を生成し、生成した出力画像をスクリーン102上に表示させる。マルチメディア処理部126は、CPU110による制御の下、重畳する画像の透過率及び表示位置を変化させることができる。さらに、マルチメディア処理部126は、マルチメディアI/F120、チューナ124又は通信I/F130から入力される音声信号を復号して音声を再生し、再生した音声をスピーカ128に出力する。マルチメディア処理部126は、CPU110による制御の下、再生する音声の音量を変化させ、又は音声入力を切り替えてもよい。
【0038】
通信I/F130は、画像表示装置100と他の装置との間の通信を仲介する。通信I/F130は、例えば、有線LAN(Local Area Network)又は無線LANインタフェースであってもよい。
【0039】
マルチメディアI/F120又は通信I/F130は、制御装置200から画像表示装置100へ送信される操作イベントEvを受信する。そして、マルチメディアI/F120又は通信I/F130により受信された操作イベントEvは、後にさらに説明するように、CPU110により処理される。
【0040】
操作イベントEvは、例えば、次のいずれかの手法で、制御装置200から画像表示装置100へ送信され得る。なお、ここで説明するイベント送信方法は一例に過ぎず、他の手法もまた使用され得る。
−手法1:HDMI信号フォーマットの“AVIINFOframe”フィールドに含まれる拡張用の領域にイベント情報(典型的には、操作の種類を表すコード及びカーソルの位置座標を含む)を記述する。
−手法2:HDMIバージョン1.2a以降でサポートされる制御チャネルであるCEC(Consumer Electronics Control)の拡張用の領域にイベント情報を記述する。
−手法3:イベント情報をデータとして含むIPパケットを、HDMIバージョン1.4でサポートされるイーサネットチャネル、又は一般的なLAN回線を介して伝送する。
【0041】
[2−2.制御装置のハードウェア構成]
図3は、本実施形態に係る制御装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3を参照すると、制御装置200は、CPU210、ROM212、RAM214、バス216、記憶装置218、通信I/F230、マルチメディアI/F232、及び入力I/F234を備える。
【0042】
CPU210は、制御装置200の動作全般を制御する。ROM212には、制御装置200の動作を制御するためのプログラム及びデータが格納される。RAM214は、CPU210による処理の実行時にプログラム及びデータを一時的に記憶する。バス216は、CPU210、ROM212及びRAM214を相互に接続する。バス216には、さらに、記憶装置218、通信I/F230、マルチメディアI/F232、及び入力I/F234が接続される。
【0043】
記憶装置218は、ハードディスク又は半導体メモリなどの記憶媒体を用いて実現される。記憶装置218は、制御装置200上で動作するOS(Operating System)及びアプリケーション用のプログラムを記憶する。さらに、記憶装置218は、映像及び音声を含むコンテンツデータを記憶してもよい。
【0044】
通信I/F230は、制御装置200と他の装置との間の通信を仲介する。通信I/F230は、例えば、有線LAN又は無線LANインタフェースであってもよい。
【0045】
マルチメディアI/F232は、CPU210が生成する映像信号Vin1を接続線10を介して画像表示装置100へ送信する。CPU210が生成する映像信号Vin1は、例えば、デスクトップ画面又はアプリケーション画面を表す一連の画像信号であってもよく、記憶装置218に記憶されているコンテンツデータから復号される映像信号であってもよい。また、マルチメディアI/F232は、映像信号Vin1に加えて映像信号Vin1と関連付けられる音声信号Ain1を送信してもよい。
【0046】
入力I/F234は、ポインティングデバイス202及びキーボード204とそれぞれ接続される1つ以上の接続端子を含む。ポインティングデバイス202又はキーボード204において発生する操作イベントは、CPU210上で動作するイベントリスナにより入力I/F234を介して検出される。そして、CPU210は、検出した操作イベントEvを通信I/F230又はマルチメディアI/F232を介して画像表示装置100へ送信する。また、制御装置200が処理すべき操作イベントは、CPU210上で動作するイベントハンドラにより処理される。
【0047】
[2−3.論理的な構成]
図4は、本実施形態に係る画像表示装置100の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図4を参照すると、画像表示装置100は、第1取得部140、第2取得部150、再生部160、検出部170及び再生制御部180を備える。
【0048】
(第1取得部)
第1取得部140は、画像表示装置100のスクリーン102上に出力されるべき出力画像内で主画面を構成するための第1画像を取得する。後に説明するシナリオにおいて、第1画像は、マルチメディアI/F120により制御装置200から受信される映像信号Vin1に含まれる画像である。従って、第1画像は、ポインティングデバイス202により操作されるカーソルの画像をも含む。そして、第1取得部140は、取得した第1画像を再生部160へ出力する。また、第1取得部140は、第1画像と関連付けられる音声信号が入力される場合には、当該音声信号(例えば、音声信号Ain1)をさらに取得して再生部160へ出力する。
【0049】
(第2取得部)
第2取得部150は、画像表示装置100のスクリーン102上に出力されるべき出力画像内で副画面を構成するための第2画像を取得する。第2画像は、出力画像内で第1画像に重畳される画像である。後に説明するシナリオにおいて、第2画像は、チューナ124によりアンテナ122を介して受信される映像信号Vin2に含まれる画像である。そして、第2取得部150は、取得した第2画像を再生部160へ出力する。また、第2取得部150は、第2画像と関連付けられる音声信号(例えば、音声信号Ain2)をさらに取得して再生部160へ出力する。
【0050】
(再生部)
再生部160は、第1画像に第2画像を重畳することにより出力画像を生成し、生成した出力画像をスクリーン102上に表示する。再生部160は、出力画像の生成に際して、再生制御部180により設定される透過率で第2画像を透過させて、第1画像に第2画像を重畳する。また、再生部160は、再生制御部180により決定される出力画像内の表示位置に第2画像を表示させる。また、再生部160は、第1取得部140により取得される音声信号若しくは第2取得部150により取得される音声信号又はその双方を、スピーカ128を用いて再生し得る。
【0051】
(検出部)
検出部170は、ユーザにより操作されるカーソルの出力画像内での位置を検出する。より具体的には、検出部170は、通信I/F230又はマルチメディアI/F232を介して制御装置200から受信される操作イベントEvを監視する。そして、検出部170は、イベントの発生後に受信される操作イベントEvを検出する。操作イベントEvは、イベント情報として、例えば操作の種類を表すコード及びカーソルの位置座標を含む。本実施形態において、操作の種類を表すコードは、少なくともカーソルの移動を表すコード(例えば“MouseMoved”など)を含む。即ち、検出部170がカーソルの移動を表すコードを含む操作イベントEvを検出することにより、画像表示装置100は、カーソルの移動を意図したユーザによる操作を認識することができる。また、検出部170は、カーソルの移動を表すコードとは異なるコードを含む操作イベントをも検出可能である。このような操作イベントは、例えば、ポインティングデバイス202又はキーボード204に設けられたボタンの押下及び解放などを含む。
【0052】
(再生制御部)
再生制御部180は、出力画像内での第2画像の表示位置と検出部170により検出されるカーソル位置との間の位置関係に応じて、再生部160による第2画像の表示を制御する。より具体的には、本実施形態において、再生制御部180は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離に応じて、再生部160による第2画像の表示を制御する。再生制御部180により制御される第2画像の表示パラメータは、例えば、第2画像の透過率及び表示位置を含む。また、再生制御部180は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の位置関係に応じて、再生部160による音声信号の再生をさらに制御してもよい。
【0053】
(出力画像の例)
図5は、画像表示装置100により表示される一例としての出力画像Im0を示す説明図である。図5を参照すると、出力画像Im0は、第1画像Im1に第2画像Im2が重畳された画像である。図5の例において、第1画像Im1は、制御装置200から受信されるPCのデスクトップの画像である。第1画像Im1は、アイコンIt1、It2、It3及びIt4、並びにメニューバーIt5を含む。また、第2画像Im2は、何らかのテレビジョン番組の映像の1シーンを表示する画像である。さらに、出力画像Im0内に、カーソル172が表示されている。
【0054】
図5の出力画像Im0において、第2画像Im2の透過率はゼロである。従って、ユーザは、第2画像Im2の背後で第1画像Im1に何が表示されているかを視認することができない。第2画像Im2の背後には、例えば、ユーザが操作しようとするアイコン又はメニューなどのオブジェクトが隠れている可能性がある。このような状況において、ユーザが隠れたオブジェクトを操作したい場合、そのオブジェクトを操作する前に第2画像の表示位置又は大きさを変更して所望のオブジェクトを表示させなければならないとすれば、そのような冗長な操作はユーザにとって面倒である。また、ユーザが冗長な操作をした後に初めて、第2画像Im2の背後に所望のオブジェクトが存在しないことに気付く可能性もある。そこで、本実施形態に係る画像表示装置100の再生制御部180は、次節において説明する例示的なシナリオのように第2画像の表示を制御することで、上述したユーザビリティの不都合を改善する。
【0055】
<3.制御シナリオの例>
[3−1.位置関係]
上述したように、再生制御部180は、出力画像内での第2画像の表示位置と検出部170により検出されるカーソル位置との間の位置関係に応じて、再生部160による第2画像の表示を制御する。本節で説明するシナリオにおいては、第2画像の表示位置と検出部170により検出されるカーソル位置との間の位置関係は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離により表される。第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離は、例えば、第2画像内の基準点とカーソル位置との間の直線距離であってよい。
【0056】
より具体的には、例えば、出力画像の座標系(X,Y)におけるカーソル位置Pcurを次のように定義する。
【0057】
【数1】

【0058】
また、第2画像の左上のコーナーの座標Ppic_lt_及び右下のコーナーの座標Ppic_rbを次のように定義する。
【0059】
【数2】

【0060】
例えば、第2画像内の基準点Ppicを第2画像内で最もカーソル位置の近くに位置する点とすると、基準点Ppicは次のように与えられる。なお、出力画像の座標系(X,Y)の原点は出力画像の左上のコーナーにあるものとする。
【0061】
【数3】

【0062】
その代わりに、基準点Ppicは、第2画像の中心の点、又は第2画像の4つのコーナーのうち最もカーソル位置に近いコーナーであってもよい。
【0063】
第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離Dは、次式により算出される。
【0064】
【数4】

【0065】
図6は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離の一例を示す説明図である。図6の例では、カーソル172が第2画像Im2の左上方に位置しているため、基準点Ppicは、第2画像の左上のコーナーPpic_lt_に一致する。従って、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離Dは、カーソル位置PcurとコーナーPpic_lt_との間の直線距離に等しい。
【0066】
再生制御部180は、例えば、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離Dを上述した計算式に従って算出し、算出した距離Dに応じて再生部160による第2画像の表示を制御する。
【0067】
なお、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の位置関係は、上述した距離Dとは異なるパラメータによって表現されてもよい。例えば、スクリーン102が複数の部分領域に分割されるという前提の下、第2画像の表示位置が属する部分領域とカーソル位置が属する部分領域との組合せのタイプ(例えば、同じ部分領域か異なる部分領域か、など)に応じて、第2画像の表示が制御されてもよい。
【0068】
[3−2.第1のシナリオ]
第1のシナリオにおいて、再生制御部180は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離Dに応じて、第2画像の透過率を変化させる。より具体的には、再生制御部180は、例えば、距離Dが所定の閾値よりも小さい場合に、第2画像を透過させる。また、再生制御部180は、距離Dが所定の閾値よりも小さい場合において、距離Dが小さくなるほど第2画像の透過率を上昇させる。
【0069】
図7は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離に応じた透過率について説明するための説明図である。図7を参照すると、横軸を距離D、縦軸を透過率αとする透過率決定グラフの2つの例が示されている。横軸の距離Dの単位は画素数(pixel)、縦軸の透過率αの単位はパーセント(%)である。
【0070】
グラフG1によれば、距離D=0のとき透過率α=20、距離D=50のとき透過率α=0である。距離Dが0から50に変化する間、透過率αは20から0まで直線的に減少する。そして、距離Dが50を超えると、透過率αは常にゼロである。このような透過率決定グラフG1は、カーソルが第2画像の近傍に位置する場合に第2画像が透過され、カーソルが第2画像に近付くにつれてその透過率が増すことを意味している。一方、グラフG2によれば、距離Dが0≦D<30のとき透過率α=20、距離D=80のとき透過率α=0である。距離Dが30から80に変化する間、透過率αは20から0まで直線的に減少する。そして、距離Dが80を超えると、透過率αは常にゼロである。なお、これら透過率決定グラフは一例に過ぎない。即ち、再生制御部180は、他の閾値、他の透過率の傾き、又は他の透過率決定グラフに従って、距離Dに応じて透過率αを設定してもよい。また、画像表示装置100は、透過率決定グラフをユーザに予め設定させてもよい。
【0071】
図8は、第1のシナリオにおける出力画像の一例について説明するための説明図である。
【0072】
図8を参照すると、図5の例と同様に第1画像Im1に第2画像Im2が重畳された出力画像Im0が示されている。但し、図8の例では、カーソル172が第2画像Im2に近付いたことにより、第2画像Im2が透過している。その結果、第2画像Im2の背後に隠れていた第1画像Im1のアイコンIt6が視認可能となっている。
【0073】
ユーザは、さらにカーソル172をアイコンIt6上に移動させてアイコンIt6をクリックすることにより、例えば、アイコンIt6と対応付けられたアプリケーションを起動させることができる。また、ユーザがカーソル172を第2画像Im2から遠ざけた場合には、図5の例のように第2画像Im2は透過されない。従って、ユーザが第2画像Im2を視聴することを望む場合にも、第1画像Im1を操作することを望む場合にも、カーソル172の移動のみの簡単な操作で出力画像Im0内の第2画像Im2の表示状態を適切に変化させることができる。
【0074】
図9は、本シナリオにおける画像表示装置100による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0075】
図9を参照すると、まず、画像表示装置100の検出部170は、制御装置200から送信される操作イベントEvを検出する(ステップS102)。次に、再生制御部180は、カーソル位置(操作イベントEvのイベント情報に含まれる位置座標)と第2画像の表示位置との間の距離Dを算出する(ステップS106)。次に、再生制御部180は、例えば図7に例示した透過率決定グラフG1又はG2を参照し、ステップS106において算出した距離Dに応じて、第2画像の透過率αを設定する(ステップS108)。次に、再生部160は、第2画像を透過率αを用いて第1画像に重畳することにより、出力画像を生成する(ステップS114)。そして、再生部160は、生成した出力画像をスクリーン102上に表示する(ステップS116)。
【0076】
[3−3.変形例]
上述した第1のシナリオでは、ユーザは、第2画像をカーソルを用いて操作しない。即ち、第2画像が表示されている領域にカーソルが存在する場合でも、ユーザがカーソルを用いて操作する対象となるのは、第2画像の背後の第1画像上のオブジェクトである。これに対し、カーソルを用いて第2画像を操作可能とするための1つの手法は、第1のシナリオのような表示制御のオン/オフを切り替えるメニューを提供することである。即ち、第1のシナリオのような表示制御をオンにした場合には、第2画像の背後の第1画像上のオブジェクトが操作可能となる。また、当該表示制御をオフにした場合には、第2画像が操作可能となる。しかし、ユーザにとっては、このような事前の設定がなくとも自らが望む2種類の操作の双方を簡易に行い得る方が好ましい。そこで、このような課題を解決する第1のシナリオの変形例について以下に説明する。
【0077】
本変形例において、検出部170は、カーソルの移動とは異なるユーザ入力をさらに検出可能である。カーソルの移動とは異なるユーザ入力とは、例えば、ポインティングデバイス202又はキーボード204に設けられたいずれかのボタン(例えばキーボード204のCtrlキー又はShiftキーなど)の押下及び解放などであってよい。このようなユーザ入力もまた、制御装置200により検出され、制御装置200から画像表示装置100へ操作イベントEvとして送信される。検出部170は、このように送信される操作イベントEvを監視し、操作イベントEvのイベント情報に含まれるコードから所定のボタンが押下又は解放されたことを検出し得る。
【0078】
再生制御部180は、上述したユーザ入力が検出されたか否かに応じて、第1のシナリオのような表示制御のオン/オフを切り替える。即ち、例えば、再生制御部180は、所定のボタンが押下されていない状態でカーソルの移動を表す操作イベントEvが検出された場合には、カーソル位置に応じて第2画像を透過させる(“オン”の状態)。また、再生制御部180は、所定のボタンが押下されている状態でカーソルの移動を表す操作イベントEvが検出された場合には、カーソル位置に関わらず第2画像を透過させない(“オフ”の状態)。
【0079】
図10及び図11は、それぞれ、本変形例における出力画像の一例について説明するための説明図である。図10及び図11は、出力画像のうち第2画像Im2が表示されている部分を拡大して示している。
【0080】
図10は、カーソルの移動を表す操作イベントEvのみが検出された場合の出力画像の一例を示している。図10の例において、カーソル172は、第2画像Im2と重なる位置に表示されている。また、第2画像Im2が透過した結果、第2画像Im2の背後に隠れていた第1画像Im1のアイコンIt6が視認可能となっている。従って、ユーザは、アイコンIt6をクリックすることにより、例えば、アイコンIt6と対応付けられたアプリケーションを起動させることができる。
【0081】
一方、図11は、カーソルの移動を表す操作イベントEv及び所定のボタンの押下を表す操作イベントEvが検出された場合の出力画像の一例を示している。図11の例において、カーソル172は、第2画像Im2と重なる位置に表示されている。また、第2画像Im2は透過しておらず、第2画像Im2の背後に隠れている第1画像Im1のオブジェクトは視認されない。このような状態において、ユーザは、例えば第2画像上のオブジェクトである音量調節バーIt0(第2画像と関連付けて再生される音声の音量を調節するためのバー)を操作することができる。また、第2画像の操作は、かかる例に限定されず、例えば第2画像の大きさの変更又は移動などであってもよい。
【0082】
本変形例に係る構成によれば、表示制御のオン/オフを事前に設定することなく、ユーザが、第2画像又は第2画像の背後の第1画像上のオブジェクトのいずれかを簡易に選択的に操作することが可能となる。
【0083】
図12は、本変形例における画像表示装置100による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0084】
図12を参照すると、まず、画像表示装置100の検出部170は、カーソルの移動を表す操作イベントEvを検出する(ステップS102)。次に、再生制御部180は、その時点で所定のボタン(例えばキーボード204のCtrlキー又はShiftキーなど)が押下されているか否かを判定する(ステップS104)。ここで、所定のボタンが押下されていると判定された場合(例えば、当該ボタンが押下された後未だ解放されていない場合など)には、処理はステップS110へ進む。一方、所定のボタンが押下されていないと判定された場合には、処理はステップS106へ進む。
【0085】
ステップS106では、再生制御部180は、カーソル位置と第2画像の表示位置との間の距離Dを算出する(ステップS106)。次に、再生制御部180は、例えば図7に例示した透過率決定グラフG1又はG2を参照し、ステップS106において算出した距離Dに応じて、第2画像の透過率αを設定する(ステップS108)。
【0086】
一方、ステップS110では、再生制御部180は、第2画像の透過率αをゼロに設定する(ステップS110)。次に、再生制御部180は、操作イベントに応じたイベント処理を行う(ステップS112)。ここでのイベント処理は、例えば、音量の変更、又は第2画像の大きさ若しくは位置の変更などに相当する。
【0087】
次に、再生部160は、第2取得部150により取得される第2画像を、透過率αを用いて第1取得部140により取得される第1画像に重畳することにより、出力画像を生成する(ステップS114)。なお、ステップS104において所定のボタンが押下されていると判定された場合には、ステップS110において透過率αはゼロに設定されるため、第2画像は実質的に透過されない。そして、再生部160は、生成した出力画像をスクリーン102上に表示する(ステップS116)。
【0088】
図13は、本変形例における制御装置200による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0089】
図13を参照すると、まず、制御装置200は、ポインティングデバイス202又はキーボード204で発生する操作イベントを検出する(ステップS202)。次に、制御装置200は、検出した操作イベントを画像表示装置100へ送信する(ステップS204)。また、制御装置200は、その時点で上記所定のボタンが押下されているか否かを判定する(ステップS206)。ここで、所定のボタンが押下されていないと判定された場合には、制御装置200は、操作イベントに応じたイベント処理を行う(ステップS208)。ここでのイベント処理は、例えば、ポインティングされたアイコンと対応付けられたアプリケーションの起動若しくはファイルのオープン、又はポインティングされたメニューの実行などに相当する。一方、ステップS206において所定のボタンが押下されていると判定された場合には、画像表示装置100が副画面のためのイベント処理を行うため、制御装置200による主画面のためのイベント処理は行われない。
【0090】
なお、ここでは、所定のボタンが押下されていない場合に第1のシナリオのような表示制御をオンにする例について主に説明したが、当然ながら、所定のボタンが押下されている場合に当該表示制御をオンにしてもよい。
【0091】
[3−4.第2のシナリオ]
第2のシナリオにおいて、再生制御部180は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離Dがゼロ又は所定の閾値よりも小さい場合に、第2画像を出力画像内で他の位置へ移動させる。より具体的には、再生制御部180は、例えば、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離Dが所定の閾値(例えば20画素)未満となった場合に、第2画像の表示位置をそれまでの位置から他の位置へ移動させる。第2画像の移動先は、例えば、出力画像の上下方向中央の水平線を挟んで反対側の位置など、最新のカーソル位置から離れた任意の位置であってよい。
【0092】
図14は、第2のシナリオにおける出力画像の一例について説明するための説明図である。
【0093】
図14を参照すると、第1画像Im1に第2画像Im2bが重畳された出力画像Im0が示されている。第2画像Im2bの表示位置は、カーソル172が近付いたことにより、もとの位置Im2aから上方向に移動している。その結果、第2画像の背後に隠れていた第1画像Im1のアイコンIt6が視認可能となっている。
【0094】
ユーザは、さらにカーソル172をアイコンIt6上に移動させてアイコンIt6をクリックすることにより、例えば、アイコンIt6と対応付けられたアプリケーションを起動させることができる。
【0095】
図15は、本シナリオにおける画像表示装置100による処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0096】
図15を参照すると、まず、画像表示装置100の検出部170は、制御装置200から送信される操作イベントEvを検出する(ステップS302)。次に、再生制御部180は、カーソル位置と第2画像の表示位置との間の距離Dを算出する(ステップS306)。次に、再生制御部180は、ステップS306において算出した距離Dが所定の閾値よりも小さいか否かを判定する(ステップS308)。そして、再生制御部180は、距離Dが所定の閾値よりも小さい場合には、第2画像の表示位置を移動させる(ステップS310)。一方、再生制御部180は、距離Dが所定の閾値よりも小さくない場合には、第2画像の表示位置を移動させない。次に、再生部160は、第2画像を再生制御部180により指定される表示位置において第1画像に重畳することにより、出力画像を生成する(ステップS314)。そして、再生部160は、生成した出力画像をスクリーン102上に表示する(ステップS316)。
【0097】
なお、図15には示していないが、上述した第1のシナリオの変形例を、本シナリオと組み合わせてもよい。即ち、再生制御部180は、所定のボタンの押下の有無に応じて、第2画像の表示位置の制御のオン/オフを切り替えてもよい。
【0098】
また、再生制御部180は、例えば、距離Dの時間変化量を算出し、算出した当該時間変化量にさらに基づいて、第2画像の表示位置を移動させるか否かを判定してもよい。例えば、距離Dが第1の閾値(例えば20画素)未満であって、距離Dの時間変化量が第2の閾値(例えば1フレームあたりマイナス5画素)を上回る場合に、再生制御部180は、第2画像の表示位置を移動させる。かかる構成によれば、例えば、ユーザは、カーソルを第2画像に素早く近付けるという簡易な操作によって第2画像の表示位置を他の位置に移動させることができると共に、第2画像を移動させたくない場合にもカーソルを第2画像に(ゆっくりと移動させることにより)近付けることができる。
【0099】
[3−5.第3のシナリオ]
第3のシナリオにおいて、再生制御部180は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の位置関係に応じて、再生部160による音声信号の再生を制御する。より具体的には、再生制御部180は、例えば、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離Dが所定の閾値よりも大きい場合に、再生部160に第2画像と関連付けられる音声信号を再生させない。また、再生制御部180は、例えば、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離Dが所定の閾値よりも小さい場合に、再生部160により再生される第2画像と関連付けられる音声信号の音量を、距離Dが小さいほど上昇させる。
【0100】
図16は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離に応じた音量について説明するための説明図である。図16を参照すると、横軸を距離D、縦軸を第2画像と関連付けられる音声信号の音量Volとする、一例としての音量決定グラフG3が示されている。
【0101】
グラフG3によれば、距離D=0のとき音量Vol=v1、距離D=200のとき音量Vol=0である。距離Dが0から200に変化する間、音量Volはv1から0まで直線的に減少する。そして、距離Dが200を超えると、音量Volは常にゼロである。なお、図16に示した音量決定グラフG3は一例に過ぎない。即ち、再生制御部180は、他の閾値、他の音量の傾き、又は他の音量決定グラフに従って、距離Dに応じて音量Volを設定してもよい。また、画像表示装置100は、音量決定グラフをユーザに予め設定させてもよい。
【0102】
また、図16において破線で示されたグラフG4は、縦軸を第1画像と関連付けられる音声信号の音量Volとする音量決定グラフである。グラフG4によれば、距離D=0のとき音量Vol=0、距離D=200のとき音量Vol=v1である。距離Dが0から200に変化する間、音量Volは0からv1まで直線的に増加する。そして、距離Dが200を超えると、音量Volは常にv1である。例えば、再生制御部180は、第1取得部140により第1画像と関連付けられる音声信号が取得される場合に、音量決定グラフG3及びG4に従って距離Dに応じて2つの音声信号の音量を決定し、決定した音量でこれら音声信号を重畳して再生してもよい。また、再生制御部180は、距離Dと閾値との比較の結果に応じて、単純に2つの音声信号の再生を切り替えてもよい。
【0103】
このような音量の制御により、ユーザは、視覚のみならず聴覚を通じて第2画像の表示位置とカーソル位置との間の位置関係を認識することができる。それにより、ユーザは、カーソルを操作することによる表示の制御を、より容易に行うことができる。また、カーソル位置を移動させるのみの簡易な操作で音声入力を切り替え、又は音量のバランスを変更することもできる。
【0104】
図17は、本シナリオにおける画像表示装置100による処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、第1のシナリオによる透過率の制御と上述した第3のシナリオによる音量の制御とを組み合わせた例を説明する。
【0105】
図17を参照すると、まず、画像表示装置100の検出部170は、制御装置200から送信される操作イベントEvを検出する(ステップS402)。次に、再生制御部180は、カーソル位置と第2画像の表示位置との間の距離Dを算出する(ステップS406)。次に、再生制御部180は、例えば図7に例示した透過率決定グラフG1又はG2を参照し、ステップS406において算出した距離Dに応じて、第2画像の透過率αを設定する(ステップS408)。次に、再生制御部180は、例えば図16に例示した音量決定グラフG3を参照し、ステップS406において算出した距離Dに応じて、第2画像と関連付けられる音声信号の再生時の音量Volを設定する(ステップS410)。次に、再生部160は、第2画像を透過率αを用いて第1画像に重畳することにより、出力画像を生成する(ステップS414)。そして、再生部160は、生成した出力画像をスクリーン102上に表示する(ステップS416)。また、再生部160は、ステップS410において設定された音量で、第2画像と関連付けられる音声信号をスピーカ128を用いて再生する(ステップS418)。
【0106】
<4.まとめ>
ここまで、図1〜図17を用いて、本発明の一実施形態に係る表示制御システム1、画像表示装置100及び制御装置200について説明した。本実施形態によれば、画像表示装置100は、ユーザにより操作されるカーソルの出力画像内での位置を検出し、PinPにおける副画面を構成する第2画像の表示位置と検出したカーソル位置との間の位置関係に応じて、第2画像の透過率又は表示位置を制御する。それにより、ユーザは、カーソルを移動させる簡易な操作のみで、例えば、第2画像の背後に隠れた第1画像上のオブジェクトを発見し、これを操作することができる。従って、PinPなどの複合的な画面表示におけるユーザの操作性が一層向上される。
【0107】
また、本実施形態によれば、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の位置関係は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離により表される。従って、画像表示装置100は、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の距離に応じて、第2画像の透過率又は表示位置を制御する。それにより、ユーザがカーソルを第2画像に近付けた場合に第2画像の背後の第1画像を視認可能とするような制御が可能となる。また、上記距離が小さくなるにつれて第2画像の透過率を上昇させ、又は第2画像に関連して再生される音声の音量を上昇させることで、第2画像の表示位置とカーソル位置との間の位置関係をユーザにより容易に認識させることが可能となり、ユーザによる操作がより良好に支援される。
【0108】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0109】
1 表示制御システム
100 画像表示装置
140 第1取得部
150 第2取得部
160 再生部
170 検出部
180 再生制御部
200 制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像を取得する第1取得部と;
前記第1画像に重畳される第2画像を取得する第2取得部と;
前記第1画像に前記第2画像を重畳することにより出力画像を生成し、生成した前記出力画像を表示する再生部と;
ユーザにより操作されるカーソルの前記出力画像内での位置を検出する検出部と;
前記出力画像内での前記第2画像の表示位置と前記検出部により検出されるカーソル位置との間の位置関係に応じて、前記再生部による前記第2画像の表示を制御する再生制御部と;
を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記再生制御部は、前記第2画像の表示位置と前記カーソル位置との間の距離に応じて、前記第2画像の表示を制御する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記再生制御部は、前記第2画像の表示位置と前記カーソル位置との間の距離に応じて、前記第2画像の透過率を変化させる、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記再生制御部は、前記第2画像の表示位置と前記カーソル位置との間の距離が所定の閾値よりも小さい場合に、前記第2画像を透過させる、請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記再生制御部は、前記第2画像の表示位置と前記カーソル位置との間の距離が前記所定の閾値よりも小さい場合に、当該距離が小さくなるほど前記第2画像の透過率を上昇させる、請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記カーソルの移動とは異なるユーザ入力をさらに検出可能であり、
前記再生制御部は、前記ユーザ入力が検出された場合には、前記カーソル位置に関わらず前記第2画像を透過させない、
請求項3〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記カーソルの移動とは異なるユーザ入力をさらに検出可能であり、
前記再生制御部は、前記ユーザ入力が検出されていない場合には、前記カーソル位置に関わらず前記第2画像を透過させない、
請求項3〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記再生制御部は、前記第2画像の表示位置と前記カーソル位置との間の距離がゼロ又は所定の閾値よりも小さい場合に、前記第2画像を出力画像内で他の位置へ移動させる、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第2取得部は、前記第2画像と関連付けられる音声信号をさらに取得し、
前記再生部は、前記第2取得部により取得される前記音声信号を再生し、
前記再生制御部は、前記位置関係に応じて、前記再生部による前記音声信号の再生をさらに制御する、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記再生制御部は、前記第2画像の表示位置と前記カーソル位置との間の距離が所定の閾値よりも大きい場合に、前記再生部に前記音声信号を再生させない、請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
第1画像を取得するステップと;
前記第1画像に重畳される第2画像を取得するステップと;
前記第1画像に前記第2画像を重畳することにより出力画像を生成するステップと;
生成した前記出力画像を表示するステップと;
ユーザにより操作されるカーソルの前記出力画像内での位置を検出するステップと;
前記出力画像内での前記第2画像の表示位置と検出されたカーソル位置との間の位置関係に応じて、前記出力画像内での前記第2画像の表示を制御するステップと;
を含む表示制御方法。
【請求項12】
第1画像に第2画像を重畳することにより生成される出力画像を表示する画像表示装置を制御するコンピュータを:
前記第1画像を取得する第1取得部と;
前記第2画像を取得する第2取得部と;
ユーザにより操作されるカーソルの前記出力画像内での位置を検出する検出部と;
前記出力画像内での前記第2画像の表示位置と前記検出部により検出されるカーソル位置との間の位置関係に応じて、前記出力画像内での前記第2画像の表示を制御する再生制御部と;
として機能させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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