画像表示装置および画像表示装置の制御方法
【課題】デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を簡易な構成で低減することのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有する表示パネルと、第1の領域及び第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、第1の領域に対して設けられた第1の変調回路と、第2の領域に対して設けられた第2の変調回路と、を有し、第1の変調回路が印加する変調信号と第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、第1の変調回路と第2の変調回路は、第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないようなタイミングで、変調信号を印加する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有する表示パネルと、第1の領域及び第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、第1の領域に対して設けられた第1の変調回路と、第2の領域に対して設けられた第2の変調回路と、を有し、第1の変調回路が印加する変調信号と第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、第1の変調回路と第2の変調回路は、第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないようなタイミングで、変調信号を印加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置および画像表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)の分野が飛躍的に発展している。FPDとしては、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、フィールドエミッション表示装置(FED)などがある。
特に、FEDは、行配線(走査配線)と列配線(変調配線)との交差点に電界放出素子が位置するシンプルなパネル構造(パッシブマトリクス構造)を有しており、低コストで高速応答可能という特徴を有する。そのため、FEDは、次世代ディスプレイとして期待されている。
しかしながら、パッシブマトリクス構造のディスプレイでは、表示面積の増加に伴い、ライン抵抗やライン間容量が増加し、RC応答時間が増加してしまう。RC応答時間の増加(遅延)は、ディスプレイの動作を遅くしたり、ディスプレイの輝度を減少させる原因となる。
【0003】
そのような問題を解決するための方法として、ディスプレイパネルの表示領域(複数の行配線)を上側領域と下側領域に分けてそれぞれの領域の行配線を並列に走査(スキャン)する方法(二重スキャン;デュアルスキャン方式)がある。この方法によればディスプレイの発光時間を増やすことができるため、輝度を増加させ、ライン抵抗とライン間容量による影響を減らすことができる。なお、デュアルスキャン方式で駆動可能な表示装置では、一般的に、列配線が上側領域と下側領域の境界で分割されており、上側領域の列配線と下側領域の列配線とにそれぞれ独立に変調信号が入力される。
【0004】
また、デュアルスキャン方式で動画像を表示すると表示映像に不連続感が生じる虞があるため、以下の2つの方法が提案されている。
1つ目は、上側領域と下側領域とで行配線の走査方向を反転させる方法である(特許文献1)。即ち、上側領域では下から上へ走査し、下側領域では上から下へ走査する。あるいは、その逆に、上側領域では上から下へ走査し、下側領域では下から上へ走査する。
2つ目は、上側領域と下側領域とで行配線の走査方向を同一とし、入力映像信号の垂直周期の2分の1の期間ずつずれたフレームの映像信号(補間済映像信号)で上側領域の配列線群と下側領域の配列線群とを駆動する方法である(特許文献2,3)。
また、動画像を表示した際に生じる画面歪み(ディストーション)を低減するために、デュアルスキャン方式により水平走査期間を2倍にするのではなく、走査回数を2〜4倍にしてリフレッシュレートを120〜240Hzにする構成がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−143019号公報
【特許文献2】特開平10−268261号公報
【特許文献3】特開2005−338491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2に、パッシブマトリクス構造の表示装置をデュアルスキャン方式で駆動する際の、一般的な駆動方法(駆動波形)を示す。図2において、第1行配線(画面上から1番目の行配線)〜第M行配線(画面上からM番目の行配線)が上側領域の行配線である。第M+
1行配線(画面上からM+1番目の行配線)〜第2M行配線(画面上から2M番目の行配線)が下側領域の行配線である。なお、図2は、変調信号の波高値を変調する場合の例である。また、1つの回路(走査回路)が2つのパルス信号を同時に出力して、上側領域と下側領域の行配線をそれぞれ上から下へ走査する場合の例である。
図2に示すように、一般的な駆動方法では、第1行配線と第M+1行配線、第2行配線と第M+2行配線、・・・、第M行配線と第2M行配線に、それぞれ、同じタイミングで同じパルス幅のパルス信号(走査信号)が印加される。また、上側領域の列配線と下側領域の列配線には、走査信号に同期して、同じタイミングで同じパルス幅のパルス信号(変調信号)が印加される。
【0007】
しかしながら、このような駆動方法で図3(B)のような画像を表示しようとすると、図3(F)のように上側領域の帯部分41に表示斑42が発生してしまう。発明者は、鋭意研究の結果、この現象が以下のようなメカニズムで発生することをつきとめた。図4,図5(A),図5(B),図6(A),図6(B)は、ぞれぞれ、図3(A)〜図3(E)の画像を表示する場合の駆動波形を示す。なお、図4,図5(A),図5(B),図6(A),図6(B)中の「第M行近傍の上画面第A列配線駆動波形」とは、第A列配線(帯部分41が存在する上側領域の変調配線)に入力される変調信号の第M行配線近傍での波形を意味する。
【0008】
図4に示すように、図3(A)のような画像(幅の大きい(行方向の長さが長い)帯部分43を含まない画像)を表示する場合の走査信号の波形にはノイズが殆ど現れない。
一方、図5(A)に示すように、図3(B)のような画像(帯部分43を含む画像)を表示する場合の走査信号の波形にはノイズが現れる。具体的には、列配線と行配線が容量結合しているため、帯部分43のような画像を表示するための変調信号の立ち上がりや立ち下がりのタイミングで、下側領域の行配線に入力される走査信号(電位)がいっせいに揺らされる。そして、上記電位の揺れは、上側領域と下側領域とで共通する走査回路のGND電位や走査信号(上側領域の走査配線に入力する走査信号)にまで伝播する。
【0009】
この電位の揺れ(ノイズ)は、伝播する過程で徐々に減衰するため、上側領域の行配線に入力する走査信号の全てに伝播されるわけではない。具体的には、上側領域の行配線のうち、下側領域近傍の行配線に入力する走査信号のみが影響を受ける。
【0010】
即ち、図3(B)や図3(E)に示すように上側領域の下側領域近傍の行配線を選択するタイミングで下側領域に帯部分43のような画像を表示すると、走査方向に依らず、以下のような過程で表示斑42が発生してしまう。
図5(A)や図6(B)に示すように、まず、下側領域のノイズが上側領域の下側領域近傍の行配線に入力する走査信号に伝播する。更に、それらの伝播したノイズのうち、非選択状態の行配線の走査信号に伝播されたノイズは、上側領域の列配線に入力する変調信号にまで伝播する(具体的には、第M行配線近傍での値を揺らす)。その結果、図3(F)や図3(G)のように下側領域の帯部分43に対応した表示斑42が帯部分41の下側で発生し、表示品位が低下する。
【0011】
このようなノイズは幅の大きな画像を表示するための変調信号の立ち上がりや立ち下がりのタイミングで発生する。そのため、変調信号のパルス幅を十分に大きくしてSN比を上げることにより、表示品位の低下を人間の目で検知できない程度に低減できる。しかしながら、ディストーションを低減する為にリフレッシュレートを120〜240Hzにすると、SN比が低下し、表示品位の低下が避けられない。具体的には、フルHD(192
0×1080画素)の大画面パネルの場合、ライン抵抗やライン間容量により印加波形が
鈍る。そのため、パルスの立ち上がりや立ち下がりにそれぞれ1.5μs程度を要することとなる。その結果、変調信号の実効パルス幅が4〜13μs程度(≒1μs/(540
×120〜240)−1.5×2μs)となり、SN比が低下してしまう。この傾向は高
精細になればなるほど顕著になる。
【0012】
なお、変調信号の波高値を変調する場合(パルス振幅変調方式)について説明したが、パルス幅を変調する場合(パルス幅変調方式)でも同様な現象が発生する。パルス振幅変調方式では変調信号のパルス幅は比較的大きいため信号レベルも比較的大きいものの、立ち上がりや立ち下がりのタイミングが階調によらず常に一定であるため、ノイズのタイミング(位相)が揃ってしまいノイズレベルも大きくなってしまう。一方、パルス幅変調方式では変調信号の立ち下がりのタイミングが階調によって変わるため、ノイズのタイミング(位相)が分散してノイズレベルが小さくなるが、低階調側ではパルス幅が小さいため信号レベルが小さく、SN比が小さくなってしまう。いずれの方式(パルス振幅変調方式、パルス幅変調方式)でも、従来のデュアルスキャン方式で表示装置を駆動した場合に、SN比の低下による表示品位の低下は避けられない。波高値とパルス幅の両方を変調する場合でも、上記理由により同様の現象が発生する。
【0013】
また、上記現象は上側領域と下側領域の行配線を、それぞれ、互いに独立した2つの走査回路(上側領域用の走査回路と下側領域用の走査回路)で走査すれば解消することができる。しかしながら、その場合には、上側領域と下側領域の行配線に印加する走査信号に僅かでも差異があった場合(2つの走査回路の特性が僅かでも異なっていた場合)に、上側領域と下側領域との境界線が画像に現れ、表示品位がより悪化してしまう。
また、同一ライン上の点灯(駆動)された画素数やその階調値などを計測し、それらの計測値を用いて映像信号や変調信号を補正することにより、ノイズによる輝度変動を低減する方法なども考えられる。しかしながら、上記現象は、同一ラインだけではなく、同時に選択している2ライン間での相互作用により生じるものであり、更に、上側領域と下側領域との境界から選択するラインまでの距離(行数)に応じて相互作用の大きさが変化する複雑な現象である。そのため、補正のための演算が複雑であり、回路規模が膨大となってしまう。したがって、そのような補正を行うことは、演算速度や発熱、コストの面から現実的ではない。
【0014】
そこで、本発明は、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を簡易な構成で低減することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画像表示装置の第1態様は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられ、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有し、前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加することを特徴とする。
【0016】
本発明の画像表示装置の第2態様は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数
の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられ、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有し、前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であり、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりと前記第2の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加することを特徴とする。
【0017】
本発明の画像表示装置の制御方法の第1態様は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有する画像表示装置の制御方法であって、前記走査回路が、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査ステップと、前記第1の変調回路及び前記第2の変調回路が、対応する領域の複数の変調配線に変調信号を印加する印加ステップと、を有し、前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、前記印加ステップにおいて、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加することを特徴とする。
【0018】
本発明の画像表示装置の制御方法の第2態様は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有する画像表示装置の制御方法であって、前記走査回路が、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査ステップと、前記第1の変調回路及び前記第2の変調回路が、対応する領域の複数の変調配線に変調信号を印加する印加ステップと、を有し、前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であり、前記印加ステップにおいて、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりと前記第2の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を簡易な構成で低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る画像表示装置の構成の一例を示す図。
【図2】従来の駆動波形の一例を示す図。
【図3】表示する画像の一例を示す図。
【図4】従来の駆動波形及びノイズの伝播を示す図。
【図5】従来の駆動波形及びノイズの伝播を示す図。
【図6】従来の駆動波形及びノイズの伝播を示す図。
【図7】従来の変調信号の印加タイミングを示す図。
【図8】第1,2の実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図9】第3の実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図10】第4の実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図11】第5の実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図12】本実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図13】変調信号のブランク期間の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<全体構成>
以下、本実施形態に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。本発明によれば、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を効果的に低減することができる。なお、以下では、表示素子として電界放出素子(電子放出素子)を有する画像表示装置に本発明を適用した例について具体的に説明するが、表示素子の種類はこれに限らない。表示素子は、例えば、プラズマ素子、液晶素子、EL素子などであってもよい。但し、電圧に対して指数関数的に輝度が変化するEL素子や電子放出素子では、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる電圧変動が顕著に画像に現れる(画質が大きく劣化する)。そのため、本発明は、そのような表示素子を有する画像表示装置に特に好適に適用できる。
【0022】
図1(A)は、本実施形態に係る画像表示装置の一例を示す図である。
背面基板17は、カソードパネルを構成するガラス基板である。背面基板17は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有する。そして、背面基板17上には、第1の領域と第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線(行配線)と複数の変調配線(列配線)が設けられている。また、背面基板17上には、それら複数の行配線と複数の列配線とに接続された複数の表示素子(電子放出素子)が設けられている。具体的には、複数の行配線と複数の列配線の各交点に表示素子(電子放出素子)が配置されており、各領域の表示素子は独立に駆動される。なお、本実施形態では、背面基板17が、画面中央を境に上側領域(第1の領域)と下側領域(第2の領域)の2つの領域を有する場合(変調配線が画面中央を境に上下に分割されている場合)について説明する。なお、カソードパネルの上方には、電子放出素子から放出された電子の衝突により発光する蛍光体を有するアノードパネル(前面基板)が対向配置されており、背面基板17と共に表示パネルを構成する。
また、本実施形態に係る画像表示装置は、第1の領域及び第2の領域(上側領域及び下側領域)に対して共通に設けられた走査回路14を有する。そして、上側領域に対して上側変調回路13(第1の変調回路)が設けられており、下側領域に対して下側変調回路18(第2の変調回路)が設けられている。上側領域の行配線(上側行配線16a)と下側領域の行配線(下側行配線16b)は走査回路14に接続されている。上側領域の列配線(上側列配線15a)は上側変調回路13に接続され、下側領域の列配線(下側列配線15b)は下側変調回路18に接続されている。
【0023】
また、本実施形態に係る画像表示装置は、映像信号処理部11、補間フレーム生成部19、制御信号生成部12を更に備える。なお、本実施形態では、入力映像信号としてデジタル信号が入力される場合について説明するが、入力映像信号はアナログ信号であってもよい。映像信号処理部11には、入力映像信号が入力される。補間フレーム生成部19は、リフレッシュレートを上げるために、入力映像信号のフレーム間を補間する中間フレーム(中間画像)を生成する。制御信号生成部12は、画像データに応じて駆動回路を制御する(後述する変調信号や走査信号を生成するための制御信号を生成する)。
以下、本実施形態に係る画像表示装置の各機能について詳しく説明する。
【0024】
走査回路14は、複数の行配線を同時に選択することができる。本実施形態では、上側行配線16aの走査と下側行配線16bの走査を並列に行う。具体的には、上側行配線16aを走査する期間の少なくとも一部と下側行配線16bを走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う。ここで言う「走査」とは行配線を1ラインずつ順次選択する処理のことを意味する。例えば、行配線には選択時に−20V、非選択時に7Vの電圧(選択電圧;走査信号)が印加される。また、本実施形態では、走査回路14は、上側領域及び下側領域に対して共通に設けられているため(具体的には、領域間で電源やGND電位が共通しているため)、上側領域と下側領域との境界で選択電圧のずれに起因した境界線の発生が抑制される。
【0025】
上側変調回路13及び下側変調回路18は、それぞれ、対応する領域の複数の列配線に変調信号を印加する。具体的には、上側変調回路13は、複数の上側列配線15aに変調信号(上側変調信号)を印加する。下側変調回路18は、複数の下側列配線15bに変調信号(下側変調信号)を印加する。上側変調回路13及び下側変調回路18は、それぞれ、不図示の、シフトレジスタ、ラインメモリ、変調信号生成部などで構成されている。シフトレジスタには、1ライン分(=1水平走査期間分)の入力映像信号(例えば、R(赤)
,G(緑),B(青)のデジタル信号)が入力される。ラインメモリは、1ライン分の入
力映像信号を保持する。変調信号生成部は、ラインメモリに保持された1ライン分の入力映像信号に応じて各列配線に変調された変調信号Vxを印加する。上側変調信号と下側変調信号は、波高値が変化する部分(変動部分)と一定の波高値の部分(定常部分)とを有するパルス信号である。
【0026】
ここで、表示素子(電子放出素子)の駆動方法について説明する。なお、以下では、簡単のため、1つの領域についてのみ説明する。また、電子放出素子は、図1(B)に示すような電子放出特性を有するものとする。図1(B)において、縦軸は電子放出素子から放出される電子の量(電子量Ic)を表し、横軸は走査信号と変調信号の差電圧(電子放出素子のゲート電極とカソード電極の差電圧Vgc)を表す。
列配線に15Vの変調信号が印加された場合、選択状態の行配線(即ち、−20Vの走査信号が印加されている行配線)に接続されている電子放出素子の電子量Icは、差電圧Vgcが35Vとなるため、大きな値となる。その結果、多くの電子が蛍光体に衝突し、高輝度な発光がなされる。その際、非選択状態の行配線(即ち、7Vの走査信号が印加されている行配線)に接続されている表示素子からは、差電圧Vgcが8Vとなるため、電子は放出されない(発光は起こらない)。
また、列配線に0Vの変調信号が印加された場合には、接続されている行配線が選択状態か否かにかかわらず、電子放出素子からは電子は放出されない。具体的には、選択状態の行配線に接続されている電子放出素子では、差電圧Vgcは20Vとなるため、電子は放出されない。非選択状態の行配線に接続されている電子放出素子では、差電圧は7Vとなるため、電子は放出されない。
【0027】
このように、変調信号の波高値を入力映像信号に応じて制御することにより、電子放出
素子から放出される電子量を制御することができる(非選択状態の行配線に接続されている電子放出素子からは電子は放出されない)。即ち、変調信号の波高値を制御することにより、選択状態の行配線に接続されている電子放出素子に対応する蛍光体を所望の輝度で発光させることができる。なお、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方を変調しても所望の階調表現をすることができる(パルス幅を長くするほど高輝度な発光が得られる)。なお、本実施形態に係る画像表示装置では、行配線の選択と同期して複数の列配線(画像1ライン分の列配線)に変調信号を印加することにより、1ライン分の画像が表示される。
【0028】
映像信号処理部11は、入力映像信号に画質調整処理やマトリクス処理を施し、R,G,B(各8ビット)のデジタル信号を出力すると共に、水平同期信号及び垂直同期信号を出力する。このR,G,Bのデジタル信号,水平同期信号及び垂直同期信号は、補間フレーム生成部19に入力される。
【0029】
補間フレーム生成部19は、入力映像信号の連続する2つのフレーム間を補間する補間フレームを生成して、入力映像信号のリフレッシュレートを高める。例えば、1コマ/60secの入力映像信号のフレーム間に、1枚の補間フレームを挿入し、120コマ/secの映像信号を生成する。なお、入力映像信号のフレーム間に2枚の補間フレームを挿入して、240コマ/secの映像信号を生成しても構わない(補間フレームの枚数やリフレッシュレートの値はどのような値であってもよい)。
そして、補間フレーム生成部19は、生成した映像信号を領域毎に分ける。具体的には、生成した映像信号を上側領域で表示する映像信号(上側映像信号)と下側領域で表示する映像信号(下側映像信号)とに分け、上側映像を上側変調回路13へ出力し、下側映像を下側変調回路18へ出力する。上側映像信号、下側映像信号は、例えば、R,G,B(各8ビット)、計24ビットのパラレル入力のデジタル信号であり、ここでは図示していないが、デジタル映像信号再生用の基準ドットクロックで1画素がサンプリングされている。
また、補間フレーム生成部19は、水平同期信号及び垂直同期信号を制御信号生成部12に出力する。
【0030】
制御信号生成部12は、水平同期信号及び垂直同期信号に基づいて、制御信号を生成する。具体的には、上側変調回路13、下側変調回路18における映像の取り込みの開始タイミングを指示する上側映像取り込み開始パルス、下側映像取り込み開始パルスを生成する。上側変調回路13、下側変調回路18の変調信号の発生タイミングを指示する上側変調信号発生パルス,下側変調信号発生パルスを生成する。走査回路14における走査信号の発生タイミングを指示する走査信号発生パルス、及び、走査配線を走査するための基準シフトクロックとなる行配線選択用シフトクロックを生成する。なお、走査信号発生パルスや行配線選択用シフトクロックは上側領域と下側領域とで共通の情報であってもよいし、領域毎に個別の情報であってもよい。即ち、上側領域と下側領域の走査配線は同時に選択されてもよいし、互いに異なるタイミングで選択されてもよい。
【0031】
上側変調回路13は、上側映像信号が入力される直前(例えばドットクロックで1クロ
ック前)に上側映像取り込み開始パルスを検出する。その後、上側映像信号を、1ライン
毎に、ドットクロックに同期して順次シフトレジスタに取り込む。1ライン分の上側映像信号の取り込みが完了した後に、上側変調信号発生パルスを検出し、それに同期して、ラインメモリに該1ライン分の上側映像信号を伝送する。そして、ラインメモリに伝送された1ライン分の映像データを1画素毎に同時にD/A変換するなどし、アナログ電圧である変調信号として出力する。
下側変調回路18は、下側映像取り込み開始パルス、下側変調信号発生パルスなどを検出して、上側変調回路13と同様に変調信号を出力する。
走査回路14は、走査信号発生パルスを基点として行配線を選択し、配線選択用シフトクロックに同期して行配線を走査する。
【0032】
<従来技術>
従来の駆動方法(変調信号の印加タイミング)の一例を図7に示す。なお、第1行配線(画面上から1番目の行配線)〜第M行配線(画面上からM番目の行配線)が上側領域の行配線である。第M+1行配線(画面上からM+1番目の行配線)〜第2M行配線(画面上から2M番目の行配線)が下側領域の行配線である。また、図7は上側領域の行配線と下側領域の行配線を、それぞれ、上から下へ走査する場合の例である。なお、図中「第X行の第A列配線駆動波形」(Xは1〜2Mの整数)とは、第X行配線の選択に同期して第A列配線に印加される変調信号の波形を意味する。
【0033】
図7に示すように、従来の方法では、上側領域と下側領域とで変調信号を印加するタイミングが一致している。そのため、図12(A)に示すように、一方(ノイズ発生源)の変調信号のノイズ(電位の揺れ)が発生するタイミングB,Cが他方(ノイズ受容源)の変調信号の定常部分(発光輝度に対するノイズの影響の大きい期間A1)に重なることとなる。その結果、ノイズの伝播により表示品位が低下してしまう(画質が劣化してしまう)。また、ノイズは伝播する過程で徐々に減衰するため、例えば、図7の矢印で示す位置にノイズが伝播する。そのため、図3(B)のような画像を表示しようとすると、図3(F)のように表示斑42が生じてしまう。
なお、図7,図12(A)は、変調信号の波高値を変調する場合(パルス振幅変調方式)の例であるが、パルス幅を変調する場合(パルス幅変調方式)でも同様な現象が発生する。パルス幅と波高値の両方を変調する場合でも同様な現象が発生する。
【0034】
<本実施形態に係る駆動方法>
以下に、本実施形態に係る駆動方法(変調信号の印加タイミング)について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図8(A),図12(B)に示すように、上側変調回路13と下側変調回路18は、上側変調信号の定常部分と下側変調信号の定常部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する。即ち、図12(B)の期間A2と期間A3,A4とが時間的に重ならないタイミングで変調信号を印加する。
例えば、上側変調回路13と下側変調回路18は、図13(A)に示すように、ある行配線の選択に同期して印加する変調信号とその次の行配線の選択に同期して印加する変調信号との間に一定のブランク期間(図12(B)の期間A2に相当)を設ける。そして、一方の変調信号のブランク期間に他方の変調信号の定常部分が存在するタイミングで、変調信号を印加する。ここで、「ブランク期間」とは、変調信号を印加しない期間のことである。
【0035】
このような構成にすることにより、図12(B)に示すように、ノイズ発生源の変調信号のノイズが発生するタイミングB1,B2,C1,C2がノイズ受容源の変調信号の定常部分(期間A2)とずれることになる。その結果、伝播したノイズによる表示品位の低下を低減することができる。
なお、図8(A),図12(B)は、パルス振幅変調方式の例であるが、第1の実施形態は、パルス幅変調方式やパルス幅と波高値の両方を変調する場合にも適用することができる。
なお、第1の実施形態では、上側領域の走査配線の走査方向と下側領域の走査配線の走査方向とを同じ方向としたが、走査方向はこれに限らない。上側領域の走査配線を、下側領域の走査配線とは逆方向に走査してもよい。
【0036】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ある行配線の選択に同期して印加する変調信号とその次の行配線の選択に同期して印加する変調信号との間に一定のブランク期間を設けていた。そのため、駆動時間のロスが生じ、リフレッシュレートを維持しようとすると変調信号のパルス幅が低下し、最大輝度が低下してしまう。
【0037】
そこで、第2の実施形態では、上側変調回路13と下側変調回路18は、走査回路14により上側領域と下側領域の間の境界から所定の範囲内に位置する行配線(境界近傍の行配線)が選択されている期間のみ、変調信号間にブランク期間を設ける。具体的には、上側変調回路13と下側変調回路18は、図8(B),図13(B)に示すように、第M−2行〜第M+3行の変調信号の定常期間にのみ上側変調信号の定常部分と下側変調信号の定常部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する。
【0038】
伝播したノイズによる表示品位の低下は、上側領域と下側領域の間の境界近傍で生じる。そのため、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の理由により、伝播したノイズによる表示品位の低下を低減することができる。
さらに、第2の実施形態では、境界近傍の走査配線が選択されている期間のみ、変調信号間にブランク期間が設けられるため、第1の実施形態に比べて必要となる総ブランク期間を短くすることができる。その結果、駆動時間のロスを第1の実施形態よりも大幅に軽減でき、最大輝度の低下を低減することができる。
【0039】
なお、ブランク期間は一定値であってもよいし、図13(B)に示すように境界からの距離に応じて(伝播するノイズの減衰量に応じて)位置毎に異ならせてもよい。具体的には、境界から離れるにつれてブランク期間を短くしてもよい。
なお、図8(B)の例では、所定の範囲内に第M−2行配線〜第M+3行配線が位置するものとしたが、所定の範囲はこれに限らない。上側領域と下側領域とを全て含む領域でなければ、上記効果が得られる。
なお、図8(B)は、パルス振幅変調方式の例であるが、第2の実施形態は、パルス幅変調方式やパルス幅と波高値の両方を変調する場合にも適用することができる。
【0040】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、走査回路14が、上側領域の走査配線を、下側領域の走査配線とは逆方向に走査する。具体的には、図9(A)に示すように、上側領域では上から下へ走査し、下側領域では下から上へ走査する。または、図9(B)に示すように、上側領域では下から上へ走査し、下側領域では上から下へ走査する。それ以外は、第2の実施形態と同様である。
そのため、第3の実施形態では、第2の実施形態と同じ理由により表示品位の低下を低減することができる。
【0041】
また、第2の実施形態では、図8(B)に示すように、上側領域の走査配線の走査方向と下側領域の走査配線の走査方向とが同じ方向であったため、上側領域と下側領域とで境界近傍の走査配線を選択するタイミングが大きく異なっていた。そのため、図13(B)に示すように、走査の初期と終期でそれぞれブランク期間が必要であった。
一方、第3の実施形態では、上側領域の走査配線を、下側領域の走査配線とは逆方向に走査することにより、上側領域と下側領域とで境界近傍の行配線を選択するタイミングを近づける(または、等しく)することができる。それにより、図9(A)に示すような走査を行った場合には、図13(C)に示すように、走査の終期にのみブランク期間が設けられることとなる。図9(B)に示すような走査を行った場合には、図13(D)に示すように、走査の初期にのみブランク期間が設けられることとなる。そのため、第2の実施形態に比べ総ブランク期間をより短くすることができる(半分にすることができる)。
なお、図9(A),図9(B)は、パルス振幅変調方式の例であるが、第3の実施形態
は、パルス幅変調方式やパルス幅と波高値の両方を変調する場合にも適用することができる。
【0042】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、上側変調信号と下側変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であるものとする。そして、図10,図12(C)に示すように、上側変調回路13と下側変調回路18は、上側変調信号の立ち上がりと下側変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加する。なお、第4の実施形態では、行配線を選択するタイミングが上側領域と下側領域とで異なるものとする。
【0043】
変調信号のパルス幅を変調する場合、パルス幅が小さいほどSN比が小さくなる。即ち、パルス幅が小さいほど伝播するノイズの影響を強く受ける。
第4の実施形態では、一方の変調信号の立ち上がりと他方の変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるため、パルス幅が小さい変調信号同士は時間的に重ならなくなる。例えば、図12(C)の期間A6,A7と期間A5とが時間的に重ならなくなる。そのため、ノイズ発生源とノイズ受容源とで変調信号のパルス幅が共に小さければ、ノイズ発生源の変調信号のノイズが発生するタイミングがノイズ受容源の変調信号の印加期間とずれ、伝播したノイズによる表示品位の低下を低減することができる。
【0044】
ノイズ発生源の変調信号のパルス幅が大きい場合(明るい表示をする場合)には、ノイズ受容源の変調信号の印加期間にノイズが発生し、伝播することとなる。但し、ノイズは、行方向の長さが長い画像(ノイズ発生源画像)を表示するときに発生するため、ノイズ発生源画像の表示面積は大きい。即ち、ノイズ受容源の変調信号に影響を与える(伝播される)ノイズは、広範囲に明るい表示をする際に生じる。
ここで、ノイズ受容源の変調信号のパルス幅が小さい場合(暗い表示をする場合)には、明るい物体と暗い物体が表示される。そして、暗い物体に、伝播したノイズによる表示斑が生じることとなる。しかしながら、人間の目の特性によれば、明るい物体と暗い物体を表示した場合に、暗い物体の視認性は大幅に低下するので、表示斑は殆ど視認されることはない。
ノイズ受容源が変調信号のパルス幅が大きい場合には、信号レベルが大きいためSN比が大きく表示品位の低下は非常に小さい。
【0045】
このように、第4の実施形態では、ノイズ受容源の変調信号のパルス幅によらずノイズの伝播による表示品位の低下を低減できる。
また、第4の実施形態では、パルス幅の大きい変調信号とパルス幅の小さい変調信号は重なっていてもよいため、図10,図12(C)のように、最大パルス幅のときにブランク期間の無い構成とすることができる。その結果、最大輝度の低下を起こさずに表示品位の低下を低減できる。なお、最大パルス幅のときにブランク期間のある構成であってもよく、そのような構成にすれば、表示品位の低下をより低減することができる。
【0046】
なお、図10,図12(C)は、一方の変調信号の立ち上がりと他方の変調信号の立ち上がりとが1水平走査期間の略半分の時間だけずれている場合の例であるが、一方の変調信号の立ち上がりと他方の変調信号の立ち上がりとのズレ量はこれに限らない。1水平走査期間の略半分の時間より長くてもよいし、短くてもよい。少しでもずれていれば、上記効果が得られる。
なお、図10,図12(C)は、上側変調信号と下側変調信号がパルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号である場合の例であるが、それらの変調信号はパルス幅のみが変調されたパルス信号であってもよい。その場合にも上記効果が得られる。
【0047】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、走査回路14が、上側領域の走査配線を、下側領域の走査配線とは逆方向に走査する。具体的には、図11(A)に示すように、上側領域では上から下へ走査し、下側領域では下から上へ走査する。または、図11(B)に示すように、上側領域では下から上へ走査し、下側領域では上から下へ走査する。それ以外は、第4の実施形態と同様である。
そのため、第5の実施形態では、第4の実施形態と同じ理由により最大輝度の低下を起こさずに表示品位の低下を低減できる。
【0048】
また、第5の実施形態では、ノイズ発生源の変調信号のパルス幅が大きい場合に、図3(G)に示すように、ノイズ発生源画像と表示斑とが必ず近い位置となる(それらは領域間の境界近傍に位置することとなる)。そして、人間の目の特性から、明るい物体と暗い物体の距離が近いほど、暗い物体の視認性は低下する。そのため、ノイズ受容源の変調信号のパルス幅が小さい場合に、第4の実施形態よりも表示斑の視認性を低下させ、表示品位の低下をより低減することができる。
【0049】
以上述べたように、上記第1〜第5の実施形態の構成によれば、変調信号を印加するタイミングを調整するという簡易な構成で、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を低減することができる。変調信号を印加するタイミングの調整は、例えば、簡単な遅延回路やタイミング制御回路を用いて行うことができる(低コストで実現できる)。
【0050】
なお、上記第1〜第5の実施形態において、上側変調信号と下側変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であって、表示素子の表示特性のばらつきを補正するためにパルス幅が補正された信号であることが好ましい。
そのような構成にすることにより、ノイズ発生源の変調信号のノイズが発生するタイミングが分散するため、ノイズ受容源の変調信号の定常部分に該タイミングが重なる確率が低くなる。その結果、表示斑が発生する確率を小さくすることができる(表示斑の発生量を低減することができる)。
なお、上記第1〜第5の実施形態では、走査配線を行配線、変調配線を列配線としたが、走査配線を列配線、変調配線を行配線としてもよい。
なお、本実施形態では、表示パネルが上側領域と下側領域の2つの領域を有する構成としたが、領域の数はいくつでもよい(例えば、4つや9つでもよい)。走査方向に並んだ2つの領域を少なくとも含んでいればよい。
【符号の説明】
【0051】
13 上側変調回路
14 走査回路
15a 上側列配線
15b 下側列配線
16a 上側行配線
16b 下側行配線
17 背面基板
18 下側変調回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置および画像表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)の分野が飛躍的に発展している。FPDとしては、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、フィールドエミッション表示装置(FED)などがある。
特に、FEDは、行配線(走査配線)と列配線(変調配線)との交差点に電界放出素子が位置するシンプルなパネル構造(パッシブマトリクス構造)を有しており、低コストで高速応答可能という特徴を有する。そのため、FEDは、次世代ディスプレイとして期待されている。
しかしながら、パッシブマトリクス構造のディスプレイでは、表示面積の増加に伴い、ライン抵抗やライン間容量が増加し、RC応答時間が増加してしまう。RC応答時間の増加(遅延)は、ディスプレイの動作を遅くしたり、ディスプレイの輝度を減少させる原因となる。
【0003】
そのような問題を解決するための方法として、ディスプレイパネルの表示領域(複数の行配線)を上側領域と下側領域に分けてそれぞれの領域の行配線を並列に走査(スキャン)する方法(二重スキャン;デュアルスキャン方式)がある。この方法によればディスプレイの発光時間を増やすことができるため、輝度を増加させ、ライン抵抗とライン間容量による影響を減らすことができる。なお、デュアルスキャン方式で駆動可能な表示装置では、一般的に、列配線が上側領域と下側領域の境界で分割されており、上側領域の列配線と下側領域の列配線とにそれぞれ独立に変調信号が入力される。
【0004】
また、デュアルスキャン方式で動画像を表示すると表示映像に不連続感が生じる虞があるため、以下の2つの方法が提案されている。
1つ目は、上側領域と下側領域とで行配線の走査方向を反転させる方法である(特許文献1)。即ち、上側領域では下から上へ走査し、下側領域では上から下へ走査する。あるいは、その逆に、上側領域では上から下へ走査し、下側領域では下から上へ走査する。
2つ目は、上側領域と下側領域とで行配線の走査方向を同一とし、入力映像信号の垂直周期の2分の1の期間ずつずれたフレームの映像信号(補間済映像信号)で上側領域の配列線群と下側領域の配列線群とを駆動する方法である(特許文献2,3)。
また、動画像を表示した際に生じる画面歪み(ディストーション)を低減するために、デュアルスキャン方式により水平走査期間を2倍にするのではなく、走査回数を2〜4倍にしてリフレッシュレートを120〜240Hzにする構成がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−143019号公報
【特許文献2】特開平10−268261号公報
【特許文献3】特開2005−338491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2に、パッシブマトリクス構造の表示装置をデュアルスキャン方式で駆動する際の、一般的な駆動方法(駆動波形)を示す。図2において、第1行配線(画面上から1番目の行配線)〜第M行配線(画面上からM番目の行配線)が上側領域の行配線である。第M+
1行配線(画面上からM+1番目の行配線)〜第2M行配線(画面上から2M番目の行配線)が下側領域の行配線である。なお、図2は、変調信号の波高値を変調する場合の例である。また、1つの回路(走査回路)が2つのパルス信号を同時に出力して、上側領域と下側領域の行配線をそれぞれ上から下へ走査する場合の例である。
図2に示すように、一般的な駆動方法では、第1行配線と第M+1行配線、第2行配線と第M+2行配線、・・・、第M行配線と第2M行配線に、それぞれ、同じタイミングで同じパルス幅のパルス信号(走査信号)が印加される。また、上側領域の列配線と下側領域の列配線には、走査信号に同期して、同じタイミングで同じパルス幅のパルス信号(変調信号)が印加される。
【0007】
しかしながら、このような駆動方法で図3(B)のような画像を表示しようとすると、図3(F)のように上側領域の帯部分41に表示斑42が発生してしまう。発明者は、鋭意研究の結果、この現象が以下のようなメカニズムで発生することをつきとめた。図4,図5(A),図5(B),図6(A),図6(B)は、ぞれぞれ、図3(A)〜図3(E)の画像を表示する場合の駆動波形を示す。なお、図4,図5(A),図5(B),図6(A),図6(B)中の「第M行近傍の上画面第A列配線駆動波形」とは、第A列配線(帯部分41が存在する上側領域の変調配線)に入力される変調信号の第M行配線近傍での波形を意味する。
【0008】
図4に示すように、図3(A)のような画像(幅の大きい(行方向の長さが長い)帯部分43を含まない画像)を表示する場合の走査信号の波形にはノイズが殆ど現れない。
一方、図5(A)に示すように、図3(B)のような画像(帯部分43を含む画像)を表示する場合の走査信号の波形にはノイズが現れる。具体的には、列配線と行配線が容量結合しているため、帯部分43のような画像を表示するための変調信号の立ち上がりや立ち下がりのタイミングで、下側領域の行配線に入力される走査信号(電位)がいっせいに揺らされる。そして、上記電位の揺れは、上側領域と下側領域とで共通する走査回路のGND電位や走査信号(上側領域の走査配線に入力する走査信号)にまで伝播する。
【0009】
この電位の揺れ(ノイズ)は、伝播する過程で徐々に減衰するため、上側領域の行配線に入力する走査信号の全てに伝播されるわけではない。具体的には、上側領域の行配線のうち、下側領域近傍の行配線に入力する走査信号のみが影響を受ける。
【0010】
即ち、図3(B)や図3(E)に示すように上側領域の下側領域近傍の行配線を選択するタイミングで下側領域に帯部分43のような画像を表示すると、走査方向に依らず、以下のような過程で表示斑42が発生してしまう。
図5(A)や図6(B)に示すように、まず、下側領域のノイズが上側領域の下側領域近傍の行配線に入力する走査信号に伝播する。更に、それらの伝播したノイズのうち、非選択状態の行配線の走査信号に伝播されたノイズは、上側領域の列配線に入力する変調信号にまで伝播する(具体的には、第M行配線近傍での値を揺らす)。その結果、図3(F)や図3(G)のように下側領域の帯部分43に対応した表示斑42が帯部分41の下側で発生し、表示品位が低下する。
【0011】
このようなノイズは幅の大きな画像を表示するための変調信号の立ち上がりや立ち下がりのタイミングで発生する。そのため、変調信号のパルス幅を十分に大きくしてSN比を上げることにより、表示品位の低下を人間の目で検知できない程度に低減できる。しかしながら、ディストーションを低減する為にリフレッシュレートを120〜240Hzにすると、SN比が低下し、表示品位の低下が避けられない。具体的には、フルHD(192
0×1080画素)の大画面パネルの場合、ライン抵抗やライン間容量により印加波形が
鈍る。そのため、パルスの立ち上がりや立ち下がりにそれぞれ1.5μs程度を要することとなる。その結果、変調信号の実効パルス幅が4〜13μs程度(≒1μs/(540
×120〜240)−1.5×2μs)となり、SN比が低下してしまう。この傾向は高
精細になればなるほど顕著になる。
【0012】
なお、変調信号の波高値を変調する場合(パルス振幅変調方式)について説明したが、パルス幅を変調する場合(パルス幅変調方式)でも同様な現象が発生する。パルス振幅変調方式では変調信号のパルス幅は比較的大きいため信号レベルも比較的大きいものの、立ち上がりや立ち下がりのタイミングが階調によらず常に一定であるため、ノイズのタイミング(位相)が揃ってしまいノイズレベルも大きくなってしまう。一方、パルス幅変調方式では変調信号の立ち下がりのタイミングが階調によって変わるため、ノイズのタイミング(位相)が分散してノイズレベルが小さくなるが、低階調側ではパルス幅が小さいため信号レベルが小さく、SN比が小さくなってしまう。いずれの方式(パルス振幅変調方式、パルス幅変調方式)でも、従来のデュアルスキャン方式で表示装置を駆動した場合に、SN比の低下による表示品位の低下は避けられない。波高値とパルス幅の両方を変調する場合でも、上記理由により同様の現象が発生する。
【0013】
また、上記現象は上側領域と下側領域の行配線を、それぞれ、互いに独立した2つの走査回路(上側領域用の走査回路と下側領域用の走査回路)で走査すれば解消することができる。しかしながら、その場合には、上側領域と下側領域の行配線に印加する走査信号に僅かでも差異があった場合(2つの走査回路の特性が僅かでも異なっていた場合)に、上側領域と下側領域との境界線が画像に現れ、表示品位がより悪化してしまう。
また、同一ライン上の点灯(駆動)された画素数やその階調値などを計測し、それらの計測値を用いて映像信号や変調信号を補正することにより、ノイズによる輝度変動を低減する方法なども考えられる。しかしながら、上記現象は、同一ラインだけではなく、同時に選択している2ライン間での相互作用により生じるものであり、更に、上側領域と下側領域との境界から選択するラインまでの距離(行数)に応じて相互作用の大きさが変化する複雑な現象である。そのため、補正のための演算が複雑であり、回路規模が膨大となってしまう。したがって、そのような補正を行うことは、演算速度や発熱、コストの面から現実的ではない。
【0014】
そこで、本発明は、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を簡易な構成で低減することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画像表示装置の第1態様は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられ、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有し、前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加することを特徴とする。
【0016】
本発明の画像表示装置の第2態様は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数
の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられ、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有し、前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であり、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりと前記第2の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加することを特徴とする。
【0017】
本発明の画像表示装置の制御方法の第1態様は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有する画像表示装置の制御方法であって、前記走査回路が、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査ステップと、前記第1の変調回路及び前記第2の変調回路が、対応する領域の複数の変調配線に変調信号を印加する印加ステップと、を有し、前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、前記印加ステップにおいて、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加することを特徴とする。
【0018】
本発明の画像表示装置の制御方法の第2態様は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有する画像表示装置の制御方法であって、前記走査回路が、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査ステップと、前記第1の変調回路及び前記第2の変調回路が、対応する領域の複数の変調配線に変調信号を印加する印加ステップと、を有し、前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であり、前記印加ステップにおいて、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりと前記第2の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を簡易な構成で低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る画像表示装置の構成の一例を示す図。
【図2】従来の駆動波形の一例を示す図。
【図3】表示する画像の一例を示す図。
【図4】従来の駆動波形及びノイズの伝播を示す図。
【図5】従来の駆動波形及びノイズの伝播を示す図。
【図6】従来の駆動波形及びノイズの伝播を示す図。
【図7】従来の変調信号の印加タイミングを示す図。
【図8】第1,2の実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図9】第3の実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図10】第4の実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図11】第5の実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図12】本実施形態に係る変調信号の印加タイミングの一例を示す図。
【図13】変調信号のブランク期間の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<全体構成>
以下、本実施形態に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。本発明によれば、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を効果的に低減することができる。なお、以下では、表示素子として電界放出素子(電子放出素子)を有する画像表示装置に本発明を適用した例について具体的に説明するが、表示素子の種類はこれに限らない。表示素子は、例えば、プラズマ素子、液晶素子、EL素子などであってもよい。但し、電圧に対して指数関数的に輝度が変化するEL素子や電子放出素子では、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる電圧変動が顕著に画像に現れる(画質が大きく劣化する)。そのため、本発明は、そのような表示素子を有する画像表示装置に特に好適に適用できる。
【0022】
図1(A)は、本実施形態に係る画像表示装置の一例を示す図である。
背面基板17は、カソードパネルを構成するガラス基板である。背面基板17は、走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有する。そして、背面基板17上には、第1の領域と第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線(行配線)と複数の変調配線(列配線)が設けられている。また、背面基板17上には、それら複数の行配線と複数の列配線とに接続された複数の表示素子(電子放出素子)が設けられている。具体的には、複数の行配線と複数の列配線の各交点に表示素子(電子放出素子)が配置されており、各領域の表示素子は独立に駆動される。なお、本実施形態では、背面基板17が、画面中央を境に上側領域(第1の領域)と下側領域(第2の領域)の2つの領域を有する場合(変調配線が画面中央を境に上下に分割されている場合)について説明する。なお、カソードパネルの上方には、電子放出素子から放出された電子の衝突により発光する蛍光体を有するアノードパネル(前面基板)が対向配置されており、背面基板17と共に表示パネルを構成する。
また、本実施形態に係る画像表示装置は、第1の領域及び第2の領域(上側領域及び下側領域)に対して共通に設けられた走査回路14を有する。そして、上側領域に対して上側変調回路13(第1の変調回路)が設けられており、下側領域に対して下側変調回路18(第2の変調回路)が設けられている。上側領域の行配線(上側行配線16a)と下側領域の行配線(下側行配線16b)は走査回路14に接続されている。上側領域の列配線(上側列配線15a)は上側変調回路13に接続され、下側領域の列配線(下側列配線15b)は下側変調回路18に接続されている。
【0023】
また、本実施形態に係る画像表示装置は、映像信号処理部11、補間フレーム生成部19、制御信号生成部12を更に備える。なお、本実施形態では、入力映像信号としてデジタル信号が入力される場合について説明するが、入力映像信号はアナログ信号であってもよい。映像信号処理部11には、入力映像信号が入力される。補間フレーム生成部19は、リフレッシュレートを上げるために、入力映像信号のフレーム間を補間する中間フレーム(中間画像)を生成する。制御信号生成部12は、画像データに応じて駆動回路を制御する(後述する変調信号や走査信号を生成するための制御信号を生成する)。
以下、本実施形態に係る画像表示装置の各機能について詳しく説明する。
【0024】
走査回路14は、複数の行配線を同時に選択することができる。本実施形態では、上側行配線16aの走査と下側行配線16bの走査を並列に行う。具体的には、上側行配線16aを走査する期間の少なくとも一部と下側行配線16bを走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う。ここで言う「走査」とは行配線を1ラインずつ順次選択する処理のことを意味する。例えば、行配線には選択時に−20V、非選択時に7Vの電圧(選択電圧;走査信号)が印加される。また、本実施形態では、走査回路14は、上側領域及び下側領域に対して共通に設けられているため(具体的には、領域間で電源やGND電位が共通しているため)、上側領域と下側領域との境界で選択電圧のずれに起因した境界線の発生が抑制される。
【0025】
上側変調回路13及び下側変調回路18は、それぞれ、対応する領域の複数の列配線に変調信号を印加する。具体的には、上側変調回路13は、複数の上側列配線15aに変調信号(上側変調信号)を印加する。下側変調回路18は、複数の下側列配線15bに変調信号(下側変調信号)を印加する。上側変調回路13及び下側変調回路18は、それぞれ、不図示の、シフトレジスタ、ラインメモリ、変調信号生成部などで構成されている。シフトレジスタには、1ライン分(=1水平走査期間分)の入力映像信号(例えば、R(赤)
,G(緑),B(青)のデジタル信号)が入力される。ラインメモリは、1ライン分の入
力映像信号を保持する。変調信号生成部は、ラインメモリに保持された1ライン分の入力映像信号に応じて各列配線に変調された変調信号Vxを印加する。上側変調信号と下側変調信号は、波高値が変化する部分(変動部分)と一定の波高値の部分(定常部分)とを有するパルス信号である。
【0026】
ここで、表示素子(電子放出素子)の駆動方法について説明する。なお、以下では、簡単のため、1つの領域についてのみ説明する。また、電子放出素子は、図1(B)に示すような電子放出特性を有するものとする。図1(B)において、縦軸は電子放出素子から放出される電子の量(電子量Ic)を表し、横軸は走査信号と変調信号の差電圧(電子放出素子のゲート電極とカソード電極の差電圧Vgc)を表す。
列配線に15Vの変調信号が印加された場合、選択状態の行配線(即ち、−20Vの走査信号が印加されている行配線)に接続されている電子放出素子の電子量Icは、差電圧Vgcが35Vとなるため、大きな値となる。その結果、多くの電子が蛍光体に衝突し、高輝度な発光がなされる。その際、非選択状態の行配線(即ち、7Vの走査信号が印加されている行配線)に接続されている表示素子からは、差電圧Vgcが8Vとなるため、電子は放出されない(発光は起こらない)。
また、列配線に0Vの変調信号が印加された場合には、接続されている行配線が選択状態か否かにかかわらず、電子放出素子からは電子は放出されない。具体的には、選択状態の行配線に接続されている電子放出素子では、差電圧Vgcは20Vとなるため、電子は放出されない。非選択状態の行配線に接続されている電子放出素子では、差電圧は7Vとなるため、電子は放出されない。
【0027】
このように、変調信号の波高値を入力映像信号に応じて制御することにより、電子放出
素子から放出される電子量を制御することができる(非選択状態の行配線に接続されている電子放出素子からは電子は放出されない)。即ち、変調信号の波高値を制御することにより、選択状態の行配線に接続されている電子放出素子に対応する蛍光体を所望の輝度で発光させることができる。なお、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方を変調しても所望の階調表現をすることができる(パルス幅を長くするほど高輝度な発光が得られる)。なお、本実施形態に係る画像表示装置では、行配線の選択と同期して複数の列配線(画像1ライン分の列配線)に変調信号を印加することにより、1ライン分の画像が表示される。
【0028】
映像信号処理部11は、入力映像信号に画質調整処理やマトリクス処理を施し、R,G,B(各8ビット)のデジタル信号を出力すると共に、水平同期信号及び垂直同期信号を出力する。このR,G,Bのデジタル信号,水平同期信号及び垂直同期信号は、補間フレーム生成部19に入力される。
【0029】
補間フレーム生成部19は、入力映像信号の連続する2つのフレーム間を補間する補間フレームを生成して、入力映像信号のリフレッシュレートを高める。例えば、1コマ/60secの入力映像信号のフレーム間に、1枚の補間フレームを挿入し、120コマ/secの映像信号を生成する。なお、入力映像信号のフレーム間に2枚の補間フレームを挿入して、240コマ/secの映像信号を生成しても構わない(補間フレームの枚数やリフレッシュレートの値はどのような値であってもよい)。
そして、補間フレーム生成部19は、生成した映像信号を領域毎に分ける。具体的には、生成した映像信号を上側領域で表示する映像信号(上側映像信号)と下側領域で表示する映像信号(下側映像信号)とに分け、上側映像を上側変調回路13へ出力し、下側映像を下側変調回路18へ出力する。上側映像信号、下側映像信号は、例えば、R,G,B(各8ビット)、計24ビットのパラレル入力のデジタル信号であり、ここでは図示していないが、デジタル映像信号再生用の基準ドットクロックで1画素がサンプリングされている。
また、補間フレーム生成部19は、水平同期信号及び垂直同期信号を制御信号生成部12に出力する。
【0030】
制御信号生成部12は、水平同期信号及び垂直同期信号に基づいて、制御信号を生成する。具体的には、上側変調回路13、下側変調回路18における映像の取り込みの開始タイミングを指示する上側映像取り込み開始パルス、下側映像取り込み開始パルスを生成する。上側変調回路13、下側変調回路18の変調信号の発生タイミングを指示する上側変調信号発生パルス,下側変調信号発生パルスを生成する。走査回路14における走査信号の発生タイミングを指示する走査信号発生パルス、及び、走査配線を走査するための基準シフトクロックとなる行配線選択用シフトクロックを生成する。なお、走査信号発生パルスや行配線選択用シフトクロックは上側領域と下側領域とで共通の情報であってもよいし、領域毎に個別の情報であってもよい。即ち、上側領域と下側領域の走査配線は同時に選択されてもよいし、互いに異なるタイミングで選択されてもよい。
【0031】
上側変調回路13は、上側映像信号が入力される直前(例えばドットクロックで1クロ
ック前)に上側映像取り込み開始パルスを検出する。その後、上側映像信号を、1ライン
毎に、ドットクロックに同期して順次シフトレジスタに取り込む。1ライン分の上側映像信号の取り込みが完了した後に、上側変調信号発生パルスを検出し、それに同期して、ラインメモリに該1ライン分の上側映像信号を伝送する。そして、ラインメモリに伝送された1ライン分の映像データを1画素毎に同時にD/A変換するなどし、アナログ電圧である変調信号として出力する。
下側変調回路18は、下側映像取り込み開始パルス、下側変調信号発生パルスなどを検出して、上側変調回路13と同様に変調信号を出力する。
走査回路14は、走査信号発生パルスを基点として行配線を選択し、配線選択用シフトクロックに同期して行配線を走査する。
【0032】
<従来技術>
従来の駆動方法(変調信号の印加タイミング)の一例を図7に示す。なお、第1行配線(画面上から1番目の行配線)〜第M行配線(画面上からM番目の行配線)が上側領域の行配線である。第M+1行配線(画面上からM+1番目の行配線)〜第2M行配線(画面上から2M番目の行配線)が下側領域の行配線である。また、図7は上側領域の行配線と下側領域の行配線を、それぞれ、上から下へ走査する場合の例である。なお、図中「第X行の第A列配線駆動波形」(Xは1〜2Mの整数)とは、第X行配線の選択に同期して第A列配線に印加される変調信号の波形を意味する。
【0033】
図7に示すように、従来の方法では、上側領域と下側領域とで変調信号を印加するタイミングが一致している。そのため、図12(A)に示すように、一方(ノイズ発生源)の変調信号のノイズ(電位の揺れ)が発生するタイミングB,Cが他方(ノイズ受容源)の変調信号の定常部分(発光輝度に対するノイズの影響の大きい期間A1)に重なることとなる。その結果、ノイズの伝播により表示品位が低下してしまう(画質が劣化してしまう)。また、ノイズは伝播する過程で徐々に減衰するため、例えば、図7の矢印で示す位置にノイズが伝播する。そのため、図3(B)のような画像を表示しようとすると、図3(F)のように表示斑42が生じてしまう。
なお、図7,図12(A)は、変調信号の波高値を変調する場合(パルス振幅変調方式)の例であるが、パルス幅を変調する場合(パルス幅変調方式)でも同様な現象が発生する。パルス幅と波高値の両方を変調する場合でも同様な現象が発生する。
【0034】
<本実施形態に係る駆動方法>
以下に、本実施形態に係る駆動方法(変調信号の印加タイミング)について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、図8(A),図12(B)に示すように、上側変調回路13と下側変調回路18は、上側変調信号の定常部分と下側変調信号の定常部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する。即ち、図12(B)の期間A2と期間A3,A4とが時間的に重ならないタイミングで変調信号を印加する。
例えば、上側変調回路13と下側変調回路18は、図13(A)に示すように、ある行配線の選択に同期して印加する変調信号とその次の行配線の選択に同期して印加する変調信号との間に一定のブランク期間(図12(B)の期間A2に相当)を設ける。そして、一方の変調信号のブランク期間に他方の変調信号の定常部分が存在するタイミングで、変調信号を印加する。ここで、「ブランク期間」とは、変調信号を印加しない期間のことである。
【0035】
このような構成にすることにより、図12(B)に示すように、ノイズ発生源の変調信号のノイズが発生するタイミングB1,B2,C1,C2がノイズ受容源の変調信号の定常部分(期間A2)とずれることになる。その結果、伝播したノイズによる表示品位の低下を低減することができる。
なお、図8(A),図12(B)は、パルス振幅変調方式の例であるが、第1の実施形態は、パルス幅変調方式やパルス幅と波高値の両方を変調する場合にも適用することができる。
なお、第1の実施形態では、上側領域の走査配線の走査方向と下側領域の走査配線の走査方向とを同じ方向としたが、走査方向はこれに限らない。上側領域の走査配線を、下側領域の走査配線とは逆方向に走査してもよい。
【0036】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ある行配線の選択に同期して印加する変調信号とその次の行配線の選択に同期して印加する変調信号との間に一定のブランク期間を設けていた。そのため、駆動時間のロスが生じ、リフレッシュレートを維持しようとすると変調信号のパルス幅が低下し、最大輝度が低下してしまう。
【0037】
そこで、第2の実施形態では、上側変調回路13と下側変調回路18は、走査回路14により上側領域と下側領域の間の境界から所定の範囲内に位置する行配線(境界近傍の行配線)が選択されている期間のみ、変調信号間にブランク期間を設ける。具体的には、上側変調回路13と下側変調回路18は、図8(B),図13(B)に示すように、第M−2行〜第M+3行の変調信号の定常期間にのみ上側変調信号の定常部分と下側変調信号の定常部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する。
【0038】
伝播したノイズによる表示品位の低下は、上側領域と下側領域の間の境界近傍で生じる。そのため、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の理由により、伝播したノイズによる表示品位の低下を低減することができる。
さらに、第2の実施形態では、境界近傍の走査配線が選択されている期間のみ、変調信号間にブランク期間が設けられるため、第1の実施形態に比べて必要となる総ブランク期間を短くすることができる。その結果、駆動時間のロスを第1の実施形態よりも大幅に軽減でき、最大輝度の低下を低減することができる。
【0039】
なお、ブランク期間は一定値であってもよいし、図13(B)に示すように境界からの距離に応じて(伝播するノイズの減衰量に応じて)位置毎に異ならせてもよい。具体的には、境界から離れるにつれてブランク期間を短くしてもよい。
なお、図8(B)の例では、所定の範囲内に第M−2行配線〜第M+3行配線が位置するものとしたが、所定の範囲はこれに限らない。上側領域と下側領域とを全て含む領域でなければ、上記効果が得られる。
なお、図8(B)は、パルス振幅変調方式の例であるが、第2の実施形態は、パルス幅変調方式やパルス幅と波高値の両方を変調する場合にも適用することができる。
【0040】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、走査回路14が、上側領域の走査配線を、下側領域の走査配線とは逆方向に走査する。具体的には、図9(A)に示すように、上側領域では上から下へ走査し、下側領域では下から上へ走査する。または、図9(B)に示すように、上側領域では下から上へ走査し、下側領域では上から下へ走査する。それ以外は、第2の実施形態と同様である。
そのため、第3の実施形態では、第2の実施形態と同じ理由により表示品位の低下を低減することができる。
【0041】
また、第2の実施形態では、図8(B)に示すように、上側領域の走査配線の走査方向と下側領域の走査配線の走査方向とが同じ方向であったため、上側領域と下側領域とで境界近傍の走査配線を選択するタイミングが大きく異なっていた。そのため、図13(B)に示すように、走査の初期と終期でそれぞれブランク期間が必要であった。
一方、第3の実施形態では、上側領域の走査配線を、下側領域の走査配線とは逆方向に走査することにより、上側領域と下側領域とで境界近傍の行配線を選択するタイミングを近づける(または、等しく)することができる。それにより、図9(A)に示すような走査を行った場合には、図13(C)に示すように、走査の終期にのみブランク期間が設けられることとなる。図9(B)に示すような走査を行った場合には、図13(D)に示すように、走査の初期にのみブランク期間が設けられることとなる。そのため、第2の実施形態に比べ総ブランク期間をより短くすることができる(半分にすることができる)。
なお、図9(A),図9(B)は、パルス振幅変調方式の例であるが、第3の実施形態
は、パルス幅変調方式やパルス幅と波高値の両方を変調する場合にも適用することができる。
【0042】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、上側変調信号と下側変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であるものとする。そして、図10,図12(C)に示すように、上側変調回路13と下側変調回路18は、上側変調信号の立ち上がりと下側変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加する。なお、第4の実施形態では、行配線を選択するタイミングが上側領域と下側領域とで異なるものとする。
【0043】
変調信号のパルス幅を変調する場合、パルス幅が小さいほどSN比が小さくなる。即ち、パルス幅が小さいほど伝播するノイズの影響を強く受ける。
第4の実施形態では、一方の変調信号の立ち上がりと他方の変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるため、パルス幅が小さい変調信号同士は時間的に重ならなくなる。例えば、図12(C)の期間A6,A7と期間A5とが時間的に重ならなくなる。そのため、ノイズ発生源とノイズ受容源とで変調信号のパルス幅が共に小さければ、ノイズ発生源の変調信号のノイズが発生するタイミングがノイズ受容源の変調信号の印加期間とずれ、伝播したノイズによる表示品位の低下を低減することができる。
【0044】
ノイズ発生源の変調信号のパルス幅が大きい場合(明るい表示をする場合)には、ノイズ受容源の変調信号の印加期間にノイズが発生し、伝播することとなる。但し、ノイズは、行方向の長さが長い画像(ノイズ発生源画像)を表示するときに発生するため、ノイズ発生源画像の表示面積は大きい。即ち、ノイズ受容源の変調信号に影響を与える(伝播される)ノイズは、広範囲に明るい表示をする際に生じる。
ここで、ノイズ受容源の変調信号のパルス幅が小さい場合(暗い表示をする場合)には、明るい物体と暗い物体が表示される。そして、暗い物体に、伝播したノイズによる表示斑が生じることとなる。しかしながら、人間の目の特性によれば、明るい物体と暗い物体を表示した場合に、暗い物体の視認性は大幅に低下するので、表示斑は殆ど視認されることはない。
ノイズ受容源が変調信号のパルス幅が大きい場合には、信号レベルが大きいためSN比が大きく表示品位の低下は非常に小さい。
【0045】
このように、第4の実施形態では、ノイズ受容源の変調信号のパルス幅によらずノイズの伝播による表示品位の低下を低減できる。
また、第4の実施形態では、パルス幅の大きい変調信号とパルス幅の小さい変調信号は重なっていてもよいため、図10,図12(C)のように、最大パルス幅のときにブランク期間の無い構成とすることができる。その結果、最大輝度の低下を起こさずに表示品位の低下を低減できる。なお、最大パルス幅のときにブランク期間のある構成であってもよく、そのような構成にすれば、表示品位の低下をより低減することができる。
【0046】
なお、図10,図12(C)は、一方の変調信号の立ち上がりと他方の変調信号の立ち上がりとが1水平走査期間の略半分の時間だけずれている場合の例であるが、一方の変調信号の立ち上がりと他方の変調信号の立ち上がりとのズレ量はこれに限らない。1水平走査期間の略半分の時間より長くてもよいし、短くてもよい。少しでもずれていれば、上記効果が得られる。
なお、図10,図12(C)は、上側変調信号と下側変調信号がパルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号である場合の例であるが、それらの変調信号はパルス幅のみが変調されたパルス信号であってもよい。その場合にも上記効果が得られる。
【0047】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、走査回路14が、上側領域の走査配線を、下側領域の走査配線とは逆方向に走査する。具体的には、図11(A)に示すように、上側領域では上から下へ走査し、下側領域では下から上へ走査する。または、図11(B)に示すように、上側領域では下から上へ走査し、下側領域では上から下へ走査する。それ以外は、第4の実施形態と同様である。
そのため、第5の実施形態では、第4の実施形態と同じ理由により最大輝度の低下を起こさずに表示品位の低下を低減できる。
【0048】
また、第5の実施形態では、ノイズ発生源の変調信号のパルス幅が大きい場合に、図3(G)に示すように、ノイズ発生源画像と表示斑とが必ず近い位置となる(それらは領域間の境界近傍に位置することとなる)。そして、人間の目の特性から、明るい物体と暗い物体の距離が近いほど、暗い物体の視認性は低下する。そのため、ノイズ受容源の変調信号のパルス幅が小さい場合に、第4の実施形態よりも表示斑の視認性を低下させ、表示品位の低下をより低減することができる。
【0049】
以上述べたように、上記第1〜第5の実施形態の構成によれば、変調信号を印加するタイミングを調整するという簡易な構成で、デュアルスキャン方式で画像表示装置を駆動する際に生じる画質の劣化を低減することができる。変調信号を印加するタイミングの調整は、例えば、簡単な遅延回路やタイミング制御回路を用いて行うことができる(低コストで実現できる)。
【0050】
なお、上記第1〜第5の実施形態において、上側変調信号と下側変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であって、表示素子の表示特性のばらつきを補正するためにパルス幅が補正された信号であることが好ましい。
そのような構成にすることにより、ノイズ発生源の変調信号のノイズが発生するタイミングが分散するため、ノイズ受容源の変調信号の定常部分に該タイミングが重なる確率が低くなる。その結果、表示斑が発生する確率を小さくすることができる(表示斑の発生量を低減することができる)。
なお、上記第1〜第5の実施形態では、走査配線を行配線、変調配線を列配線としたが、走査配線を列配線、変調配線を行配線としてもよい。
なお、本実施形態では、表示パネルが上側領域と下側領域の2つの領域を有する構成としたが、領域の数はいくつでもよい(例えば、4つや9つでもよい)。走査方向に並んだ2つの領域を少なくとも含んでいればよい。
【符号の説明】
【0051】
13 上側変調回路
14 走査回路
15a 上側列配線
15b 下側列配線
16a 上側行配線
16b 下側行配線
17 背面基板
18 下側変調回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、
前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられ、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査回路と、
前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、
前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、
を有し、
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、
前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記走査回路により前記第1の領域と前記第2の領域の間の境界から所定の範囲内に位置する走査配線が選択されている期間のみ、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、
前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられ、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査回路と、
前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、
前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、
を有し、
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であり、
前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりと前記第2の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
前記走査回路は、前記第1の領域の走査配線を、前記第2の領域の走査配線とは逆方向に走査する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であって、前記表示素子の表示特性のばらつきを補正するためにパルス幅が補正された信号である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有する画像表示装置の制御方法であって、
前記走査回路が、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査ステップと、
前記第1の変調回路及び前記第2の変調回路が、対応する領域の複数の変調配線に変調信号を印加する印加ステップと、
を有し、
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、
前記印加ステップにおいて、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【請求項7】
走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有する画像表示装置の制御方法であって、
前記走査回路が、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査ステップと、
前記第1の変調回路及び前記第2の変調回路が、対応する領域の複数の変調配線に変調信号を印加する印加ステップと、
を有し、
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であり、
前記印加ステップにおいて、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりと前記第2の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【請求項1】
走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、
前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられ、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査回路と、
前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、
前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、
を有し、
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、
前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記走査回路により前記第1の領域と前記第2の領域の間の境界から所定の範囲内に位置する走査配線が選択されている期間のみ、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、
前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられ、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査回路と、
前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、
前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、
を有し、
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であり、
前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりと前記第2の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
前記走査回路は、前記第1の領域の走査配線を、前記第2の領域の走査配線とは逆方向に走査する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であって、前記表示素子の表示特性のばらつきを補正するためにパルス幅が補正された信号である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有する画像表示装置の制御方法であって、
前記走査回路が、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査ステップと、
前記第1の変調回路及び前記第2の変調回路が、対応する領域の複数の変調配線に変調信号を印加する印加ステップと、
を有し、
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、波高値が変化する部分と一定の波高値の部分とを有するパルス信号であり、
前記印加ステップにおいて、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分と前記第2の変調回路が印加する変調信号の一定の波高値の部分とが時間的に重ならないタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【請求項7】
走査方向に並んだ第1の領域と第2の領域を少なくとも有し、該第1の領域と該第2の領域のそれぞれに、マトリクス状に配置された複数の走査配線と複数の変調配線と、該複数の走査配線と該複数の変調配線とに接続された複数の表示素子と、が設けられている表示パネルと、前記第1の領域及び前記第2の領域に対して共通に設けられた走査回路と、前記第1の領域に対して設けられ、前記第1の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第1の変調回路と、前記第2の領域に対して設けられ、前記第2の領域の複数の変調配線に変調信号を印加する第2の変調回路と、を有する画像表示装置の制御方法であって、
前記走査回路が、前記第1の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部と前記第2の領域の走査配線を走査する期間の少なくとも一部とが重複するように、各領域の走査配線の走査を行う走査ステップと、
前記第1の変調回路及び前記第2の変調回路が、対応する領域の複数の変調配線に変調信号を印加する印加ステップと、
を有し、
前記第1の変調回路が印加する変調信号と前記第2の変調回路が印加する変調信号は、パルス幅、又は、パルス幅と波高値の両方が変調されたパルス信号であり、
前記印加ステップにおいて、前記第1の変調回路と前記第2の変調回路は、前記第1の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりと前記第2の変調回路が印加する変調信号の立ち上がりとが時間的に異なるタイミングで、変調信号を印加する
ことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−141360(P2011−141360A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1059(P2010−1059)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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