説明

画像表示装置および表示制御方法

【課題】携帯電話機向けに提供されるコンテンツプロバイダのサービスを、低コストで、手軽かつより快適に利用することを実現した画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置1は、テレビSoC11に加えて、モバイルSoC12とHDMI変換回路13を備える。モバイルSoC12が出力する映像信号は、HDMI変換回路13により、テレビSoC11が入力可能なフォーマットに変換されて、テレビSoC11に入力される。また、テレビSoC11は、モバイルSoC12が出力する映像信号の映像をLCDパネル25に表示中、当該映像に対する操作がリモートコントローラ1Aによって行われた場合、その操作内容を示すユーザインタフェースコマンドを制御信号線14を介してモバイルSoC12に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、テレビジョン放送信号によって搬送される放送番組データを視聴するためのテレビジョン受像機等に好適な表示制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶テレビやプラズマテレビなどの薄型平面テレビが広く普及している。従来のブラウン管テレビと比較して、奥行きの寸法が大幅に縮小されているので、同じスペースで大画面のテレビを設置できることから、流通されるテレビの画面サイズの大型化が進んでいる。これに伴い、ディスプレイの解像度が高められ、以前よりも高精細の映像を楽しめるようになってきている。
【0003】
一方、携帯電話機の普及も目覚ましく、かつ、高機能化が進んでおり、ブラウザはもはや基本装備となっている。そのために、ネットショッピングやオンラインゲーム等、インターネット上のコンテンツプロバイダが提供するサービスを、パーソナルコンピュータを用いて利用する形態と並んで、最近では、携帯電話機によって利用する形態も一般的になりつつある。携帯電話機の場合は、配線やインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)との契約などが不要で、購入して即時に利用可能となる手軽さから、この傾向は今後さらに強まることと予想される。
【0004】
とはいえ、携帯電話機に搭載できる表示パネルのサイズには制限があるので、携帯電話機で利用しているコンテンツプロバイダのサービスを、(手軽さをそのままに)高精細な大画面で利用したいという要望が強かった。このようなことから、例えば、携帯電話機の画像をテレビジョン受像機に表示させる等の仕組みが種々提案されるに至っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−281174号公報
【特許文献2】特開2002−112139号公報
【特許文献3】特開2003−244289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、携帯電話機向けに提供されるコンテンツプロバイダのサービスを、高精細な大画面で利用するための仕組みに関する発想は、これまで、携帯電話機が表示する画像をテレビジョン受像機等に転送して表示するというものであった。つまり、ユーザは、携帯電話機の画面の代わりにテレビジョン受像機等の画面を見るだけのことであり、当該画面を見ながらの操作は依然として携帯電話機で行うことになる。テレビジョン受像機は、遠隔操作用のリモートコントローラを同梱して販売される。リモートコントローラは、携帯電話機上で行う操作と同様の操作を行うことが可能であり、また、テレビジョン受像機の画面を見ながらの操作は当該テレビジョン受像機のリモートコントローラで行うことが自然である。さらに言えば、テレビジョン受像機単体で、携帯電話機で利用していたコンテンツプロバイダのサービスを利用できれば、利便性は大きく向上する。
【0007】
しかしながら、(携帯電話機無しで)テレビジョン受像機そのもので、携帯電話機向けに提供されるコンテンツプロバイダのサービスを、当該テレビジョン受像機の高精細な大画面で利用できるようにしようという発想は皆無であった。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、携帯電話機向けに提供されるコンテンツプロバイダのサービスを、低コストで、手軽かつより快適に利用することを実現した画像表示装置および同装置の表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、この発明は、移動局をネットワークに接続するための無線サービスエリアを形成する基地局との無線通信を実行する無線通信手段と、前記無線通信手段を介してネットワーク接続されるコンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するためのデータ処理を実行するデータ処理手段とを備えた第1のシステムと、テレビジョン放送信号を入力するための第1の入力手段と、前記第1の入力手段によって入力されたテレビジョン放送信号をデコードして映像信号を生成するデコーダと、映像信号を入力するための第2の入力手段と、前記デコーダによって生成された映像信号および前記第2の入力手段によって入力された映像信号に対して所定のデータ処理を施して表示制御する表示制御手段とを備えた第2のシステムと、前記第1のシステムと前記第2のシステムとの間に介在して設けられ、前記第1のシステムの前記データ処理手段が出力する映像信号を前記第2のシステムの前記第2の入力手段が入力可能な形式に変換する変換手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、この発明の画像表示装置は、移動局をネットワークに接続するための無線サービスエリアを形成する基地局との無線通信を実行する無線通信手段と、テレビジョン放送信号を入力するための入力手段と、電源オン時、前記テレビジョン放送信号によって搬送される放送番組データの視聴時に操作するアイコンを配置した、前記無線通信手段を介してネットワーク接続されるコンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するための操作画面を初期画面として作成して表示制御する第1の表示制御手段と、前記初期画面とする操作画面上で前記アイコンが操作された場合、前記放送番組データの映像を表示領域全域に表示制御する第2の表示制御手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、この発明の表示制御方法は、移動局をネットワークに接続するための無線サービスエリアを形成する基地局との無線通信を実行する無線通信手段と、テレビジョン放送信号を入力するための入力手段と、を備える画像表示装置における表示制御方法であって、電源オン時、前記テレビジョン放送信号によって搬送される放送番組データの視聴時に操作するアイコンを配置した、前記無線通信手段を介してネットワーク接続されるコンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するための操作画面を初期画面として作成して表示制御すること、前記初期画面とする操作画面上で前記アイコンが操作された場合、前記放送番組データの映像を表示領域全域に表示制御することを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、携帯電話機向けに提供されるコンテンツプロバイダのサービスを、低コストで、手軽かつより快適に利用することを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置の利用様態の一例を示す図。
【図2】同実施形態の画像表示装置のシステム構成を示す図。
【図3】同実施形態の画像表示装置における初期画面のレイアウト構成の一例を示す図。
【図4】同実施形態の画像表示装置によって電源オン時に表示される初期画面の一例を示す図。
【図5】同実施形態の画像表示装置がテレビジョン放送番組データの映像を全画面表示した場合の一画面例を示す図。
【図6】同実施形態の画像表示装置におけるコンテンツ・サービスプロバイダのサービスを利用する際の画面のレイアウト構成の一例を示す図。
【図7】同実施形態の画像表示装置がコンテンツ・サービスプロバイダのサービスを利用するための画像を全画面表示した場合の一画面例を示す図。
【図8】同実施形態の画像表示装置における画面のレイアウト構成の第1の変形例を示す図。
【図9】同実施形態の画像表示装置における画面のレイアウト構成の第2の変形例を示す図。
【図10】同実施形態の画像表示装置の動作手順を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態を説明する。
【0015】
図1は、この発明の実施形態に係る画像表示装置(テレビジョン受像機)1の利用態様の一例を示す図である。
【0016】
本画像表示装置1は、テレビジョン受像機として動作するために、TV放送局2から放送される地上デジタル放送用のテレビジョン放送信号を入力し、このテレビジョン放送信号によって搬送される(符号化された)放送番組データを再生して表示するTV機能を主要な機能として備える。本画像表示装置1は、リモートコントローラ1Aから例えば赤外線を搬送波として送出される操作信号を受信し、この操作信号に基づき、パワーオン/パワーオフを行ったり、チャンネル選択を行ったり等のユーザインタフェース機能も有している。
【0017】
また、本画像表示装置1は、移動局(携帯電話機)を携帯電話通信網Aに接続するための無線サービスエリア(セル)を形成する基地局3との間で無線通信を実行する無線通信機能を有している。携帯電話事業者が携帯電話通信網Aの運営用に設置するサーバ(携帯電話事業者サーバ)4は、インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)としての役割も担っており、携帯電話機のユーザは、インターネットBを介して、コンテンツ・サービス・プロバイダ5が提供する各種サービスを利用することができる。
【0018】
(携帯電話通信網Aに接続するための一拠点である)基地局3との間で無線通信を実行する無線通信機能を有する本画像表示装置1は、つまり、テレビジョン受像機であると同時に、(音声通話機能を持たない)携帯電話機であるとも言うことができる。本画像表示装置1は、テレビジョン放送番組データを視聴するためのテレビジョン受像機でありながら、単体で、携帯電話機向けに提供されるコンテンツ・サービス・プロバイダ5のサービスを(高精細な大画面とリモートコントローラ1Aとを使って)手軽かつより快適に利用できるようにしたものであり、以下、その仕組みについて詳述する。
【0019】
図2は、本画像表示装置1のシステム構成を示す図である。
【0020】
図2に示すように、本画像表示装置1は、大きく分けて、テレビSoC(system on a chip)11、モバイルSoC12およびHDMI(high-definition multimedia interface)変換回路13の3つの構成要素からなる。
【0021】
テレビSoC11は、本画像表示装置1をテレビジョン受像機として動作させるために必要な種々のモジュールが1つのチップ上に集積されたシステムである。本画像表示装置1の筐体周壁部には、テレビアンテナ等で受信したテレビジョン放送信号を入力するためのコネクタ21、1本のケーブルでデジタルの映像信号および音声信号双方を転送可能なインターフェース規格であるHDMIに準拠したHDMIケーブルを接続するためのコネクタ22、リモートコントローラ1Aから例えば赤外線を搬送波として送出される操作信号を受信するための受光部23、リモートコントローラ1Aによらずに本画像表示装置1に対する動作指示を受け付けるための操作部24、画像出力用のLCD(liquid crystal display)パネル25、音声出力用のスピーカ26等が設けられている。また、スピーカ26とテレビSoC11との間には、デジタル信号をアナログ信号に変換するためのDAC(digital/analog converter)27が設けられる。
【0022】
コネクタ21を介して入力されるテレビジョン放送信号は、テレビSoC11に供給される。また、受光部23によって受信される、リモートコントローラ1Aからの操作信号も、テレビSoC11に供給される。テレビSoc11は、受光部23からの操作信号または操作部24からの操作信号に基づき、コネクタ21を介して入力されるテレビジョン放送信号の中から目的のチャンネルのテレビジョン放送信号を選局する。
【0023】
図2に示すように、テレビSoC11は、グラフィックス処理部111、ビデオデコーダ112、オーディオデコーダ113、HDMI分離部114、スケーリング部115,116、オーバレイ部117、ブレンド部118、画像処理部119、ミキシング部120等を有している。テレビSoC11は、選局したチャンネルのテレビジョン放送信号によって搬送される放送番組データ中に含まれるグラフィックスデータ、映像データおよび音声データを、グラフィックス処理部111、ビデオデコーダ112およびオーディオデコーダ113にそれぞれ振り分ける。グラフィックス処理部111、ビデオデコーダ112およびオーディオデコーダ113のそれぞれは、供給された各データに対してデコード等の所定の処理を実施する。なお、ここでは、ビデオデコーダ112、オーディオデコーダ113に入力されるデコード前の各データを映像データ、音声データと称し、ビデオデコーダ112、オーディオデコーダ113から出力されるデコード後の各データを映像信号、音声信号と称している。グラフィックスデータは、例えばメニュー等、映像に重ねて表示させる操作ガイド用のオブジェクトを描画するためのデータである。
【0024】
また、コネクタ22を介して入力される信号も、テレビSoC11に供給され、HDMI分離部114によって映像信号と音声信号とに分離される。ビデオデコーダ112から出力された映像信号は、スケーリング部115経由でオーバレイ部117に供給され、一方、HDMI分離部114から出力された映像信号は、スケーリング部116経由でオーバレイ部117に供給される。スケーリング部115,116は、映像信号の解像度、つまり画像サイズを拡大・縮小する処理部であり、オーバレイ部117は、スケーリング部115,116からそれぞれ供給される2つの映像信号の各映像を含んでなる1つの映像の映像信号を生成する処理部である。このスケーリング部115,116およびオーバレイ部117によって、本画像表示装置1は、例えば、一方の映像信号の映像に他方の映像信号の縮小映像を嵌め込んだ映像(ピクチャ・イン・ピクチャ)を作成すること等が可能である。
【0025】
例えば、ユーザが、ハードディスク内蔵のDVD(digital versatile disc)レコーダで録画したテレビジョン放送番組データ(第1の映像)を本画像表示装置1で鑑賞しながら、現在放送中のテレビジョン放送番組データ(第2の映像)を確認したいと考えたものと想定する。スケーリング部115,116およびオーバレイ部117を有するテレビSoC11を搭載する本画像表示装置1では、例えば、リモートコントローラ1Aの操作に応じて、(全画面表示される)第1の映像に縮小した第2の映像を嵌め込むことで、第1,第2の映像をユーザに同時に提示するといったことが可能である。もちろん、これとは逆に、第2の映像に縮小した第1の映像を嵌め込むことも可能である。更に、リモートコントローラ1Aの操作に応じて、全画面表示させる映像と縮小して嵌め込む画像とを相互に入れ替えるといったことも可能である。
【0026】
ブレンド部118は、オーバレイ部117から出力された映像信号の映像上にグラフィックス処理部111によって描画されたオブジェクトを重ね合わせた映像の映像信号を生成する処理部である。そして、画像処理部119は、ブレンド部118から出力された映像信号をLCDパネル25に表示制御する。また、この時、画像処理部119は、映像信号に対して、例えば画質を向上させるための超解像処理等も併せて実施する。
【0027】
また、オーディオデコーダ113から出力された音声信号およびHDMI分離部114から出力された音声信号は、それぞれミキシング部120を介してテレビSoC11から出力され、DAC27でアナログ変換が施されてスピーカ26から出力される。
【0028】
一方、モバイルSoC12は、本画像表示装置1を携帯電話機として動作させるために必要な種々のモジュールが1つのチップ上に集積されたシステムである。本画像表示装置の筐体周壁部には、更に、図1に示した基地局3との間でデータを送受信するためのアンテナ28が設けられている。モバイルSoC12は、このアンテナ28を介して、図1に示したコンテンツ・サービス・プロバイダ5との通信を実行する。
【0029】
アンテナ28を介して入力される、コンテンツ・サービス・プロバイダ5からのデータのうち、グラフィックスデータは、グラフィックス処理部121に供給される。また、映像データおよび音声データは、ビデオデコーダ122およびオーディオデコーダ123にそれぞれ供給される。グラフィックス処理部121、ビデオデコーダ122およびオーディオデコーダ123のそれぞれは、供給された各データに対してデコード等の所定の処理を実施する。そして、モバイルSoC12は、これらの処理結果として映像信号および音声信号を出力する。また、グラフィックス処理部121は、例えば待ち受け画面などと称される初期画面を含む各種操作画面を作成する処理も実行する。
【0030】
言うなれば、モバイルSoC12は、一般的な携帯電話機に搭載されるSoCをそのまま移植したものである。この一般的な携帯電話機に搭載されるSoCであるモバイルSoC12が出力する映像信号は、RGBパラレルの映像信号フォーマットで、かつ、その解像度は320×200画素または640×480画素である。一方、現状、テレビSoC11が外部デバイスから入力可能な映像信号は、(1920×1080画素の)HDMIフォーマットである。従って、モバイルSoC12が出力した映像信号をテレビSoC11に入力し、テレビSoC11側で当該映像信号を表示制御するためには、コストをかけて、一方のSoCを仕様変更する必要がある。
【0031】
そこで、本実施形態の画像表示装置1は、テレビジョン受像機である本画像表示装置1にモバイルSoC12を追加するという全く新しい発想の構成を持つにあたり、第1に、モバイルSoC12とテレビSoC11との間にHDMI変換回路13を設けることによって、モバイルSoC12およびテレビSoC11のいずれに対しても何らの仕様変更を必要とせずに、当該モバイルSoC12とテレビSoC11との間で映像信号を送受信できるようにした。また、第2に、モバイルSoC12とテレビSoC11との間にCPU間通信用の制御信号線14を敷設し、一般的な携帯電話機が操作ボタンを操作された時に発行するユーザインタフェース(UI)コマンド等をテレビSoC11からモバイルSoC12に供給することによって、一般的な携帯電話機に搭載されるSoCであるモバイルSoC12をそのまま流用し、ユーザが、テレビジョン放送番組データを視聴するためのリモートコントローラ1Aを用いて、携帯電話機向けにコンテンツ・サービス・プロバイダ5が提供する各種サービスを利用できるようにした。
【0032】
テレビSoC11は、電源オンを指示する操作信号を受光部23または操作部24から受け取ると、LCDパネル25に表示する初期画面を作成するために、制御信号線14を介して、モバイルSoC12に対し、表示領域のレイアウト構成を示すレイアウト情報を送信する。例えば、初期画面を図3に示すように構成する場合、テレビSoC11は、図3の”a2”で示される領域(アプリケーションデータエリア)に対応するレイアウト情報をモバイルSoC12に送信する。多機能化した最近の携帯電話機は、各機能のアイコンを配置した初期画面(待ち受け画面)を作成して表示する。また、この種の携帯電話機に搭載されるSoCは、例えば表示パネルの向きに応じて画面を作成する等のために、与えられたレイアウト情報に基づいて画面を作成する機能を備えている。そこで、このレイアウト情報を受信したモバイルSoC12は、当該レイアウト情報に基づき、図3に示すアプリケーションデータエリアa2上にアイコンを配置した初期画面を作成し、この作成した初期画面の映像信号を出力する。
【0033】
このモバイルSoC12から出力された映像信号は、モバイルSoC12とテレビSoC11との間に介在して設けられるHDMI変換回路13に供給される。HDMI変換回路13は、この映像信号のフォーマットを、テレビSoC11が外部デバイスから入力可能なフォーマット、つまりHDMI規格に準拠したフォーマットに変換し、テレビSoC11に供給する。
【0034】
テレビSoC11は、ビデオデコーダ112から出力される映像信号の映像を、スケーリング部115によって図3の”a1”で示される領域(TVデータエリア)に配置可能なサイズに縮小し、この縮小した映像と、モバイルSoC12からHDMI変換回路13経由で受け取った(HDMI分離部114から出力される)映像信号の映像とを、オーバレイ部117で組み合わせ、このオーバレイ部117によって作成・出力された映像信号の映像をLCDパネル25に表示制御する。
【0035】
図4は、電源オン時に、上記の手順を経て、本画像表示装置1のLCDパネル25に表示される初期画面の一例を示す図である。
【0036】
図4の”b1”で示される映像は、コネクタ21から入力される現在放送中のテレビジョン放送番組データの映像であり、この初期画面上に表示される映像b1は、TV機能用のアイコンとして表示されるものである。ここでは、現在放送中のテレビジョン放送番組データの映像そのものを、TV機能用のアイコンとして表示する例を示したが、これに代えて、TV機能を図案化した(グラフィックスの)オブジェクトを表示するようにしても良い。また、図4の”b2”で示されるアイコン群は、(テレビSoC11から受け取ったレイアウト情報に基づき、)モバイルSoC12が作成した初期画面に配置されたアイコン群である。
【0037】
例えばリモートコントローラ1Aを使って本画像表示装置1を電源オンし、当該初期画面を提示されたユーザは、TV放送局2が放送するテレビジョン放送番組データを視聴したいのであれば、アイコンb1をリモートコントローラ1Aによって選択し、一方、コンテンツ・サービス・プロバイダ5が携帯電話機向けに提供する各種サービスを利用したいのであれば、アイコン群b2の中から利用したいサービスに対応するアイコンをリモートコントローラ1Aによって選択する。
【0038】
アイコンb1が選択された旨を示す操作信号を受光部23から受け取ると、テレビSoC11は、図5に示すように、現在放送中のテレビジョン放送番組データの映像がLCDパネル25に全画面表示されるように、スケーリング部115,116およびオーバレイ部117を動作させる。この時、テレビSoC11は、制御信号線14を介して、動作停止を指示するコマンドをモバイルSoC12に送信することが(省電力化の観点から)好ましい。
【0039】
また、例えば、ユーザが、コンテンツ・サービス・プロバイダ5が提供するネットショッピングサービスを利用したいと考えて、アイコン群b2の中から当該ネットショッピングサービス用のアイコンb21を選択したとする。テレビSoC11は、アイコン群b2の中のいずれかのアイコン(この場合はアイコンb21)が選択された旨を示す操作信号を受光部23から受け取ると、制御信号線14を介して、当該アイコンが選択された旨を示すユーザインタフェース(UI)コマンドをモバイルSoC12に送信する。また、この時、テレビSoC11は、図3に示したアプリケーションデータエリアa2を図6に示すように変更すべく画面を構成し直し、このLCDパネル25の表示領域全域に対応するレイアウト情報をモバイルSoC12に再送する。
【0040】
テレビSoC11がモバイルSoC12に向けて制御信号線14に出力するUIコマンドは、一般的な携帯電話機が操作ボタンを操作された時に発行するコマンドと同一のものである。よって、このUIコマンドを入力したモバイルSoC12は、ネットショッピングサービスを提供するコンテンツ・サービス・プロバイダ5へのアクセスを実行するアプリケーションプログラムを起動し、かつ、(LCDパネル25の表示領域全域に対応するレイアウト情報を改めて受け取っているので)当該アプリケーションプログラムが出力する画像をLCDパネル25の表示領域全域に配置した表示画面を作成し、この作成した表示画面の映像信号を出力する。
【0041】
前述したように、モバイルSoC12から出力された映像信号は、HDMI変換回路13経由でテレビSoC11に供給される。ここでは、テレビSoC11は、図7に示すように、(HDMI変換回路13経由で)モバイルSoC12から供給される映像信号の映像がLCDパネル25に全画面表示されるように、スケーリング部115,116およびオーバレイ部117を動作させる。この図7に示す画面を見ながら、ユーザが、リモートコントローラ1Aによる操作を更に行うと、テレビSoC11は、その操作に対応するUIコマンドを、制御信号線14を介してモバイルSoC12に送信する。これにより、携帯電話機で行っている、携帯電話機の表示パネルを見ながら携帯電話機の操作ボタンを操作する行為、より具体的には、コンテンツ・サービス・プロバイダ5が携帯電話機向けに提供している各種サービスを利用する行為を、本画像表示装置1のLCDパネル25を見ながらリモートコントローラ1Aを操作することによっても行えることになる。
【0042】
つまり、(テレビSoC11に加えて)モバイルSoC12を追加するという全く新しい思想の構成を持つ本画像表示装置1においては、ユーザは、携帯電話事業者との契約を結ぶだけで、本画像表示装置1を購入後、TV放送局2が放送するテレビジョン放送番組データを視聴することに加えて、携帯電話機向けにコンテンツ・サービス・プロバイダ5が提供する各種サービスを即時に利用することが可能となる。
【0043】
また、本画像表示装置1は、テレビSoC11がHDMIフォーマットの信号を入力する機構を備えている点に着目して、モバイルSoC12とテレビSoC11との間にHDMI変換回路13を介在させて設けることで、モバイルSoC12からテレビSoC11への映像信号の供給を、モバイルSoC12およびテレビSoC11のいずれに対する何らの仕様変更を必要とせずに可能とし、また、モバイルSoC12とテレビSoC11との間に制御信号線14を敷設し、携帯電話機上での操作ボタン操作時と同様のUIコマンドをテレビSoC11からモバイルSoC12に供給することで、既存のモバイルSoC12をそのまま流用することを可能とする。即ち、本画像表示装置1は、上記「携帯電話機向けにコンテンツ・サービス・プロバイダ5が提供する各種サービスを利用すること」を最小限のコストで実現する。
【0044】
ところで、以上の説明では、図4に示した初期画面において、アイコンb1が選択されたら、図5に示すように、現在放送中のテレビジョン放送番組データの映像をLCDパネル25に全画面表示し、アイコン群b2の中のいずれかのアイコンが選択されたら、図7に示すように、モバイルSoC12上で動作するアプリケーションプログラムが出力する画像をLCDパネル25に全画面表示する例を示した。本画像表示装置1のテレビSoC11は、スケーリング部115,116およびオーバレイ部117を備えるので、以上の説明で示した例に限らず、種々の変形が可能である。
【0045】
例えば、図8に示すように、現在放送中のテレビジョン放送番組データの映像とモバイルSoC12上で動作するアプリケーションプログラムが出力する画像とを、LCDパネル25に並べて表示することも可能である。また、図9に示すように、モバイルSoC12上で動作するアプリケーションプログラムが出力する画像に、現在放送中のテレビジョン放送番組データの縮小映像を嵌め込んで表示することも可能である。このように、2つの映像の表示形態については、様々に応用することができる。
【0046】
図10は、本画像表示装置1の動作手順を示すタイミングチャートである。
【0047】
電源オンの指示を受けると、テレビSoC11は、モバイルSoC12に対して、初期画面用のアプリケーションデータエリアa2に対応するレイアウト情報を送信する(図10の(1))。モバイルSoC12は、このレイアウト情報に基づき、アプリケーションデータエリアa2にアイコン群b2を配置した初期画面を作成し(図10の(2))、作成した初期画面の映像信号をテレビSoC11に送信する(図10の(3))。なお、ここでは図示しないが、前述したように、モバイルSoC12からテレビSoC11への映像信号の送信は、HDMI変換回路13を介して実施される。そして、モバイルSoC12から初期画面の映像信号を受け取ったテレビSoC11は、TV機能用のアイコンb1を組み込んだ初期画面を作成し、LCDパネル25に表示する(図10の(4))。
【0048】
この初期画面の表示後、アイコンb1が選択されたならば(図10の”A”)、テレビSoC11は、現在放送中のテレビジョン放送番組データの映像をLCDパネル25に全画面表示する(図10の(5))。また、この時、テレビSoC11は、動作停止を指示するコマンドをモバイルSoC12に送信する(図10の(6))。
【0049】
一方、アイコン群b2のいずれかのアイコンが選択されたならば(図10の”B”)、テレビSoC11は、当該アイコンが選択された旨を示すUIコマンドをモバイルSoC12に送信すると共に(図10の(7))、LCDパネル25の表示領域全域に対応するレイアウト情報をモバイルSoC12に再送する(図10の(8))。
【0050】
このUIコマンドおよびレイアウト情報を受け取ったモバイルSoC12は、そのアイコンに対応するサービスを利用するためのアプリケーションプログラムを起動し、当該アプリケーションプログラムが作成する画像をLCDパネル25の表示領域全域に配置した表示画面(アプリケーション画像)を作成して、その表示画面の映像信号をテレビSoC11に送信する(図10の(9),(10))。
【0051】
そして、この映像信号を受け取ったテレビSoC11は、当該映像信号の映像を全画面表示すると共に(図10の(11)、ユーザの操作に応答して、その操作内容を示すUIコマンドをモバイルSoC12に送信する(図10の(12))。
【0052】
このように、本画像表示装置1によれば、携帯電話機向けに提供されるコンテンツプロバイダのサービスを、低コストで、手軽かつより快適に利用することが実現される。
【0053】
なお、以上の説明では、モバイルSoC12は、テレビSoC11から送信されるレイアウト情報に基づき、画面を作成する例を示したが、これに代えて、テレビSoC11から動作状況を示すステータス情報を受け取り、このステータス情報に基づき、モバイルSoC12側において、表示領域のレイアウト構成を決定し、画面を作成するようにしてもよい。または、モバイルSoC12は、例えば図3に示すアプリケーションデータエリアa2に対応するレイアウト情報をデフォルト値として予め保持し、テレビSoC11から改めてレイアウト情報が送信されるまでは、予め保持するレイアウト情報に基づき、画面を作成するようにしてもよい。
【0054】
つまり、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…画像表示装置、1A…リモートコントローラ、2…TV放送局、3…基地局、4…携帯電話事業者サーバ、5…コンテンツ・サービス・プロバイダ、11…テレビSoC、12…モバイルSoC、13…HDMI変換回路、14…制御信号線、21,22…コネクタ、23…受光部、24…操作部、25…LCDパネル、26…スピーカ、27…DAC、28…アンテナ、111…グラフィックス処理部、112…ビデオデコーダ、113…オーディオデコーダ、114…HDMI分離部、115,116…スケーリング部、117…オーバレイ部、118…ブレンド部、119…画像処理部、120…ミキシング部、121…グラフィックス処理部、122…ビデオデコーダ、123…オーディオデコーダ、A…携帯電話通信網、B…インターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局をネットワークに接続するための無線サービスエリアを形成する基地局との無線通信を実行する無線通信手段と、前記無線通信手段を介してネットワーク接続されるコンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するためのデータ処理を実行するデータ処理手段とを備えた第1のシステムと、
テレビジョン放送信号を入力するための第1の入力手段と、前記第1の入力手段によって入力されたテレビジョン放送信号をデコードして映像信号を生成するデコーダと、映像信号を入力するための第2の入力手段と、前記デコーダによって生成された映像信号および前記第2の入力手段によって入力された映像信号に対して所定のデータ処理を施して表示制御する表示制御手段とを備えた第2のシステムと、
前記第1のシステムと前記第2のシステムとの間に介在して設けられ、前記第1のシステムの前記データ処理手段が出力する映像信号を前記第2のシステムの前記第2の入力手段が入力可能な形式に変換する変換手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
リモートコントローラからの操作信号を受信する受信手段をさらに具備し、
前記第2のシステムは、
前記受信手段によって受信された操作信号を入力する第3の入力手段と、
前記第3の入力手段によって入力された操作信号が前記コンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するための操作に関するものであった場合、その操作内容を示すコマンドを前記第1のシステムに送信するユーザインタフェース制御手段と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1のシステムの前記データ処理手段は、前記第2のシステムから供給される表示領域のレイアウト構成を示すレイアウト情報に基づき、前記コンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するための操作画面を作成して当該操作画面の映像信号を出力し、
前記第2のシステムの前記表示制御手段は、電源オン時、前記テレビジョン放送信号によって搬送される放送番組データの視聴時に操作するアイコンを表示するための領域を除いた表示領域を示すレイアウト情報を前記第1のシステムに供給し、前記変換手段を介して前記第1のシステムから送信される映像信号と前記アイコン用の映像信号とを合成した映像信号を生成して初期画面として表示制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第2のシステムの前記表示制御手段は、前記デコーダによって生成された映像信号の映像を前記アイコンとして縮小して表示することを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第2のシステムの前記表示制御手段は、前記アイコンが操作された場合、前記デコーダによって生成された映像信号を表示領域全域に表示制御することを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記第2のシステムの前記表示制御手段は、前記デコーダによって生成された映像信号を表示領域全域に表示制御する際、前記第1のシステムに対して動作停止を指示するコマンドを送信することを特徴とする請求項5記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記第2のシステムの前記表示制御手段は、前記コンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するための操作が前記初期画面上で行われた場合、表示領域全域を示すレイアウト情報を前記第1のシステムに供給し、前記変換手段を介して前記第1のシステムから送信される映像信号を表示領域全域に表示制御することを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記第2のシステムの前記表示制御手段は、前記デコーダによって生成された映像信号および前記第2の入力手段によって入力された映像信号のうちの一方の映像を表示領域全域に配置し、かつ、その一部領域上に他方の映像を重ね合わせて配置すべく2つの映像信号を合成する合成処理を実行することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第2のシステムの前記表示制御手段は、前記デコーダによって生成された映像信号の映像および前記第2の入力手段によって入力された映像信号の映像が互いに重なり合わないように表示領域に配置すべく2つの映像信号を合成する合成処理を実行することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記第1のシステムの前記データ処理手段は、表示領域全域中の予め定められた表示領域内に配置可能なレイアウト構成で前記コンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するための操作画面を作成して当該操作画面の映像信号を出力することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項11】
移動局をネットワークに接続するための無線サービスエリアを形成する基地局との無線通信を実行する無線通信手段と、
テレビジョン放送信号を入力するための入力手段と、
電源オン時、前記テレビジョン放送信号によって搬送される放送番組データの視聴時に操作するアイコンを配置した、前記無線通信手段を介してネットワーク接続されるコンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するための操作画面を初期画面として作成して表示制御する第1の表示制御手段と、
前記初期画面とする操作画面上で前記アイコンが操作された場合、前記放送番組データの映像を表示領域全域に表示制御する第2の表示制御手段と、
を具備することを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
前記第1の表示制御手段は、前記テレビジョン放送番組データの縮小映像を前記アイコンとして前記初期画面とする操作画面上に配置することを特徴とする請求項11記載の画像表示装置。
【請求項13】
移動局をネットワークに接続するための無線サービスエリアを形成する基地局との無線通信を実行する無線通信手段と、テレビジョン放送信号を入力するための入力手段と、を備える画像表示装置における表示制御方法であって、
電源オン時、前記テレビジョン放送信号によって搬送される放送番組データの視聴時に操作するアイコンを配置した、前記無線通信手段を介してネットワーク接続されるコンテンツプロバイダが提供するサービスを利用するための操作画面を初期画面として作成して表示制御すること、
前記初期画面とする操作画面上で前記アイコンが操作された場合、前記放送番組データの映像を表示領域全域に表示制御すること、
を具備することを特徴とする表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−217093(P2011−217093A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82882(P2010−82882)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】