画像表示装置とその製造方法
【課題】基板を構成するガラスからのNa等の析出、熱プロセスでの残留歪に起因するカソードの汚染や劣化、陰極ガラス基板上の配線のヒロック、ボイド発生を防止する。
【解決手段】複数のカソードKをマトリクス配列した陰極ガラス基板10と、カソードKに相対する複数の蛍光体22を配置した陽極ガラス基板20と、陰極ガラス基板10と陽極ガラス基板20の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサ(スペーサガラスとも言う)23のうち、少なくとも陰極ガラス基板10と陽極ガラス基板20の一方または双方の内側最表面にシリカ膜7、あるいは27を設ける。このシリカ膜7あるいは27は、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜で形成する。
【解決手段】複数のカソードKをマトリクス配列した陰極ガラス基板10と、カソードKに相対する複数の蛍光体22を配置した陽極ガラス基板20と、陰極ガラス基板10と陽極ガラス基板20の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサ(スペーサガラスとも言う)23のうち、少なくとも陰極ガラス基板10と陽極ガラス基板20の一方または双方の内側最表面にシリカ膜7、あるいは27を設ける。このシリカ膜7あるいは27は、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜で形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に係り、特に電子源アレイを形成した陰極ガラス基板と、蛍光面を形成した陽極ガラス基板および封止ガラス枠とで真空容器を有する画像表示装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微少で集積可能な薄膜型電子源とも称する電子放出型電子源を利用する平面型の画像表示装置(フラット・パネル・ディスプレイ:FPD)が開発されている。この種の画像表示装置の電子源は、電子放出型電子源とホットエレクトロン型電子源とに分類される。前者には、スピント型電子源、表面伝導型電子源、カーボンナノチューブ型電子源等が属し、後者としては金属―絶縁体―金属を積層したMIM(Metal−Insulator−Metal)型、金属―絶縁体―半導体を積層したMIS(Metal−Insulator−Semiconductor)型、金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源がある。
【0003】
MIM型について、例えば特許文献1に、金属―絶縁体―半導体型についてはMOS型(非特許文献1)、金属―絶縁体―半導体−金属型ではHEED型(非特許文献2などに記載)、EL型(非特許文献3などに記載)、ポーラスシリコン型(非特許文献4などに記載)などが報告されている。MIM型電子源については、例えば特許文献2にも開示されている。
【0004】
このような電子源では、製造中の加熱プロセスで陰極ガラス基板や封止ガラス枠(枠ガラス)あるいは間隔保持材(ガラススペーサ)からナトリウム(Na)などのアルカリ金属元素が析出し、陰極を汚染したり、加熱プロセスの残留歪によって陰極ガラス基板上に形成した下部電極が変形し、あるいはヒロックやボイドが発生する。これを回避するため、陰極ガラス基板の最表面に窒化シリコンと酸化シリコンの下地膜を積層したものが特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特開平7−65710号公報
【特許文献2】特開平10−153979号公報
【特許文献3】特開2002−352696号公報
【非特許文献1】j.Vac.Sci.Techonol.B11(2)p.429−432(1993)
【非特許文献2】high−efficiency−electro−emission device、Jpn、j、Appl、Phys、vol.36、pp.939
【非特許文献3】Electroluminescence、応用物理 第63巻、第6号、592頁
【非特許文献4】応用物理 第66巻、第5号、437頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の電子源を用いた画像表示装置は、複数の電子源(以下、カソード、あるいは陰極とも言う)を陰極ガラス基板上にマトリクス状(二次元アレイ状)に配列して表示領域を構成する。図17は、本発明に係る画像表示装置の基本構造を説明する断面模式図である。主面(内面)に陰極を有する陰極ガラス基板10と、同じく主面に蛍光面(蛍光体とブラックマトリクスおよび陽極)を有する陽極ガラス基板20とを対向させ、両基板の対向内面の端部を周回して封止ガラス枠(図示せず)を介在させて所定間隙をもって貼り合わせ、真空容器を構成している。
【0006】
陰極Kは、下部電極11と、該下部電極11の上に電子加速層(以下トンネル絶縁層とも言う)12を介して成膜された上部電極13との積層構造を有する。下部電極11は、アルミニウム(Al)膜又はアルミニウム合金(Al+Nd等)膜からなる。トンネル絶縁層12は下部電極11の表面を陽極酸化した非晶質酸化膜である。下部電極11と上部電極13とは、フィールド絶縁層14と層間絶縁層15で電気的に絶縁されている。層間絶縁層15の上には下側金属16、中間金属17および上側金属18の3層からなる走査線バス配線21が形成されている。
【0007】
下側金属16は、例えばクロム(Cr)、中間金属17はアルミニウム(Al)、上側金属18はクロムである。下側金属16は、電子源側で中間金属17から外側に突出して層間絶縁層15、フィールド絶縁層14と共に傾斜面を形成し、走査配線の上層に成膜される極薄の上部電極13と上部電極13との電気的接続を確保している。その反対側では、下側金属16は下側金属16により中間金属17の端縁から内側に後退しており、この後退で中間金属17の端縁は下側金属16に対して庇となる段差を形成している。この段差で隣接する画素(図17の右側に位置する画素)が分離される。
【0008】
陽極ガラス基板20の主面には、ブラックマトリクス26が形成される。このブラックマトリクス26の開口に蛍光体22が塗布されている。ブラックマトリクス26と蛍光体22を覆って陽極(アノード、対向電極)24が成膜されている。そして、陽極ガラス基板20のブラックマトリクス26とカソード基板10の走査配線21との間にスペーサ23を設置して両基板の間に1mm〜数mm程度の間隙を保持している。
【0009】
下部電極11は信号配線(又は、データ線)であり、この下部電極11と陽極24の間に電圧Vd(3〜10kV程度)を印加することで、下記図18で説明する原理により電子源から電子e-が放出され、陽極24の下層に塗布された蛍光体22に射突し、蛍光体22を励起して当該蛍光体の材料に応じた所定の波長または波長域の光Lが放出される。
【0010】
図18は、図17に示した陰極の動作原理の説明図である。この陰極は、上部電極13と下部電極11との間に駆動電圧Vdを印加して、トンネル絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすると、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子がトンネル現象により障壁を透過し、電子加速層であるトンネル絶縁層12の伝導帯へ注入されホットエレクトロンとなり、上部電極13の伝導帯へ流入する。これらのホットエレクトロンのうち、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーをもって上部電極13表面に達した電子e-が真空中に放出される。
【0011】
陰極アレイを形成した陰極ガラス基板と、蛍光面を形成したようガラス基板で構成した陽極ガラス基板からなる画像表示装置は、両基板の間で電子を加速するため真空にパッケージングしなければならない。したがって、ブラウン管と同様にフリットガラスを用いたガラス接合によるパッケージングが行われる。現在使用されている大部分のフリットガラスの熱膨張係数は70〜85×10-7/℃である。従って、電子源アレイを形成する基板には熱膨張係数の差が小さく、封着時に歪みを発生させないソーダライム系のガラス基板が一般に使用される。
【0012】
これら陰極ガラス基板や陽極ガラス基板に用いるガラス基板はナトリウム(Na)に代表されるアルカリ金属を含み、封着や加熱排気の熱処理中に拡散析出し、電子源アレイを汚染する恐れがある。なお、陰極ガラス基板や陽極ガラス基板に限らず、両基板とともに真空容器を構成する枠ガラス、両基板間の間隙(セルギャップ)を保持するために用いるスペーサガラスについても同様である。特に、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属材料を用いる場合、高温でNaとの反応が起きやすいので、Na拡散は完全に防止する必要がある。配線材料としてはWやMoの他にも色々あるが、安価、低抵抗、加工性、耐腐食性などからアルミニウム(Al)、またはAl合金膜もよく用いられる。特に、Alの陽極酸化膜を用いるMIM型の薄膜型電子源は、下部電極が必然的にAl、またはAl合金膜となる。
【0013】
Al、またはAl合金膜の欠点としては、低融点材料であるため封着封止の加熱時の熱応力等によるストレスの影響を受けやすい点がある。Al合金膜は周囲より強い圧縮応力を受けると、ヒロックを、引張り応力を受けるとボイドを発生させてしまう。
【0014】
本発明の目的は、封着や加熱排気の熱処理中にガラス基板から析出してくるアルカリ金属で陰極アレイが汚染されるのを防止すると共に、封着や加熱排気のプロセスの熱処理中にAl、またはAl合金膜等からなる電極材料が受ける応力を適切に保ち、ヒロックやボイド形成の塑性変形を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の画像表示装置は、複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサ(スペーサガラスとも言う)のうち、少なくとも前記陰極ガラス基板又は前記陽極ガラス基板、あるいは双方の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする。前記シリカ膜は、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜である。
【0016】
さらに、本発明の画像表示装置は、複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスとで真空容器を構成してなり、
前記陰極基板と前記陽極基板の間に植立され、両基板の間隔を所定値に保持する複数のスペーサと、
前記陰極ガラス基板の内面の一方向に延在し、該一方向と交差する他方向に並設して形成された複数の信号配線と、
前記信号配線とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線とを有する。
【0017】
前記カソードは、前記信号配線と前記走査配線の交差部において下部電極を構成する前記信号配線と、この信号配線上に形成された電子加速層と、前記走査配線に接続して前記電子加速層を覆って形成された上部電極との積層構造からなり、前記下部電極に対して前記上部電極に正のバイアスを与えることで前記上部電極から放出される電子を前記蛍光体に衝突させて発光を得る表示メカニズムを有し、
前記真空容器を構成する前記陰極ガラス基板、前記陽極ガラス基板、前記封止ガラス枠、前記スペーサのうち、少なくとも前記陰極ガラス基板又は前記陽極ガラス基板、あるいは双方の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする。前記シリカ膜は、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜である
【0018】
上記画像表示装置の製造方法は、複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサのうち、少なくとも前記陰極ガラス基板又は前記陽極ガラス基板、あるいは双方の内側最表面にポリシラザンを主成分とする溶液を塗布し、加熱してシリカ膜とすることを特徴とする。さらに、前記シリカ膜を形成した前記陰極ガラス基板を、ガラス歪点温度近傍で熱処理することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記目的を実現する本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の画像表示装置の一実施例を説明する陰極ガラス基板の主面構造の平面図である。陰極ガラス基板10は、一方向(図1の上下方向:垂直方向)に延在し、該一方向と交差する他方向(図1の左右方向:水平方向)に並設して形成された複数の信号配線11と、信号配線11とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線21とを有する。図1では、信号配線と走査配線は各一本のみで代表させてある。
【0021】
カソードKは、信号配線11を下部電極とし、トンネル絶縁層(図示せず)を介して積層された上部電極13(走査配線21と接続)とで構成される(詳しくは図2で説明する)。複数の陰極Kがマトリクス状に配置されて表示領域ARを構成している。信号配線11は、表示領域ARの外側に設けられた信号配線駆動回路40に接続され、走査配線21は同じく、表示領域ARの外側に設けられた走査配線駆動回路50に接続される。この陰極ガラス基板では、信号配線駆動回路40と走査配線駆動回路50は共に、陰極ガラス基板の両側に設けられ、所謂両端駆動とされているが、それぞれが1辺にのみ設けられた片側駆動にも本発明は同様に適用される。
【0022】
この陰極ガラス基板10の内周縁の表示領域ARの素子と側に封止ガラス枠6を介挿し、図示しない陽極ガラス基板を貼り合わせて真空容器に一体化する。陰極ガラス基板10と封止ガラス枠6、および封止ガラス枠6と陽極ガラス基板はフリットガラス等の接着剤を用い、加熱プロセスで接合固定する。このプロセスでは、図示しない排気孔から真空抜きされる。
【0023】
図2は、図1に示した画像表示装置の要部構造を説明する断面模式図である。主面(内面)にカソードKを有する陰極ガラス基板10と、同じく主面に蛍光面(蛍光体とブラックマトリクスおよび陽極:アノード)を有する陽極ガラス基板20とを対向させ、両基板の対向内面の端部を周回して封止ガラス枠6(図1参照)を介在させ、スペーサガラス23で両基板間を所定間隙(セルギャップ)をもって貼り合わせて真空容器とする。カソードKの構造、走査配線バス配線21の構造、陽極ガラス基板20の構造、等は図17と同様なので、繰り返しの説明は省略する。
【0024】
本実施例では、陰極ガラス基板10の内側最表面にシリカ膜7を成膜してある。シリカ膜7は下部電極11の下層前面を覆っている。前記シリカ膜は、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜の熱処理膜である。陰極ガラス基板10からアルカリ金属が沸き上がっても、これをシリカ膜7がブロックし、下部電極11、トンネル絶縁層12、上部電極13などに拡散してカソードの電子放出特性を劣化させることが防止される。又、本実施例では、陽極ガラス基板20の内側最表面にもシリカ膜27を成膜してある。シリカ膜27はブラックマトリクス26と蛍光体22の下層前面を覆っている。このシリカ膜27も、上記と同様のポリシラザンを主成分とするコーティング膜の熱処理膜である。陽極ガラス基板20からアルカリ金属が沸き上がっても、これをシリカ膜27がブロックし、陰極ガラス基板10に有する上部電極13などに拡散してカソードの電子放出特性を劣化させることが防止される。
【0025】
また、この画像表示装置の製造中、陰極ガラス基板10は複数の加熱プロセスを通過する。前記背景技術でも述べたように、加熱プロセスでの熱膨張と熱収縮により、上層に形成された下部電極11に圧縮や引っ張りが作用し、クラックの原因の一つでもあるヒロックやボイドが発生する。図3にこの現象に関する実験結果を示す。図3の結果を得る実験では、高歪点硝子基板の上にポリシラザンを塗布しないものと、2種類(A型、B型)のポリシラザンを塗布し、その上に信号線を形成して熱処理によるボイド発生の有無を調べた。なお、A型、B型とは、焼成後の膜応力が異なる。
【0026】
図3の(a)はポリシラザンを塗布しない基板、図3の(b)はA型ポリシラザンを塗布した基板の、図3の(c)はB型ポリシラザンを塗布した基板の熱処理後の、それぞれについてのヒロックやボイドの発生具合を示す。すなわち、図3の(a)について、(a−1)は550℃の加熱処理した後、430℃で熱処理したもの、(a−2)は430℃の焼成のみの熱処理をしたものの状態を示す。ポリシラザンのない基板では、熱処理によってボイドは発生しない。
【0027】
一方ポリシラザンを塗布した基板では、430℃の熱処理(パネルの封着工程に相当)を施すと信号線にボイドが発生する。これは熱処理により、ポリシラザン自身が熱収縮(10%程度といわれている)を起こし、その分信号線のAl合金に圧縮応力を与えるため、室温に戻る際ボイドを発生させるためである。
【0028】
そこで、本実施例では、シリカ膜を成膜した陰極ガラス基板10をガラス歪点温度近傍(500〜600℃)で熱処理する。図3の(b)に示したA型ポリシラザンを塗布した基板では、430℃の熱処理のみ(b−2)でボイド30が発生するが、550℃の加熱処理した後、430℃で熱処理したもの(b−1)では、ボイドの発生はなかった。また、図3の(c)に示したB型ポリシラザンを塗布した基板では、430℃の熱処理のみ(c−2)でボイド30が発生するが、550℃の加熱処理した後、430℃で熱処理したもの(c−1)ではボイドの発生はなかったが、図3の(d)に拡大して示したように、クラック40が多数発生した。
【0029】
この熱処理により、シリカ膜がアニールされ、熱収縮が除去される。その結果、上記したヒロックやボイドの発生が抑制される。また、同時にガラス基板自身の熱歪も除去されるため、陽極ガラス基板20との貼り合わせを行う時の位置ずれが小さくなり、組立て精度が向上する。
【0030】
図4〜図7にポリシラザン膜による、アルカリ拡散防止効果を示す。ここでは高歪点硝子基板の上にポリシラザンA型を塗布し、オージェ電子分光(AES)によりアルカリ元素の深さ方向分布を調べた。図4と図5は、比較のためポリシラザンを塗布していない試料基板の3箇所(a)、(b)、(c)での分析結果を示す。図4の熱処理は440℃の熱処理後、430℃で焼成したもの。図5の熱処理は、440℃の熱処理後、550℃加熱し、430℃で焼成したものを示す。熱処理条件が異なる図4と図5の2つの試料とも、表面にK、Naが多く分布していることが判る。
【0031】
一方、ポリシラザンを塗布した図6と図7では、550℃という高温で焼成した場合も含めてすべての試料でK,Na,Caの表面分布は解消されており、アルカリの拡散が防止されていることを示している。図6と図7も、上記と同様に、前記A型のポリシラザンを塗布した試料基板の3箇所(a)、(b)、(c)での分析結果を示す。図6の熱処理は440℃の熱処理後、430℃で焼成したもの。図7の熱処理は、440℃の熱処理後、550℃加熱し、430℃で焼成したものを示す。
【0032】
以上のことから、陰極ガラス基板や陽極ガラス基板、あるいは枠ガラスやスペーサガラスを含めたガラス基板等にA型のポリシラザンを塗布することで、特に陰極基板では、ボイドやヒロックの発生防止効果、アルカリ拡散防止効果で優れた特性を発揮する。また、Al信号線との密着性も良好となり、低アルカリガラスのみならず、ソーダガラスでのアルカリ拡散防止層として有効である。550℃の基板加熱により、ガラスの熱収縮も解消され、陰極ガラス基板(カソード基板)と陽極ガラス基板(アノード)基板の位置合わせ精度向上にも効果がある。
【0033】
なお、上記したが、シリカ膜は、陽極ガラス基板20や封止ガラス枠6の内側最表面、あるいはスペーサガラス23の側壁に成膜することで、アルカリ金属が析出してカソードなど入力影響を及ぼすのを防止することができる。
【0034】
次に、本発明の製造方法の一例を図8〜図16を参照して詳細に説明する。先ず、ソーダライムガラス等のNaを含有する陰極ガラス基板10の内側最表面にシリカ膜7を成膜する(図8)。なお、このとき、陰極ガラス基板10の表面にシリコン窒化膜(SiN)とシリコン酸化膜(SiO)からなる下地絶縁層が形成されていてもよい。この下地絶縁層もNa等のアルカリ金属原子の拡散を防止する機能を有するため、本発明のシリカ膜7と併用すればさらに効果的である。
【0035】
シリカ膜7はポリシラザン(シリコンSi、窒素N、水素Hのみで構成され、有機溶媒に可溶な無機ポリマ)を主成分とする溶液をコーティングし、空気中で昇温することで空気中の水分と反応して超薄膜のシリカ(SiO2)となる。これをガラス否点温度である500〜600℃で加熱処理する。この加熱処理でシリカ膜7はアニールされて熱収縮が抑止される。このとき、陰極ガラス基板10の熱歪も除去される。
【0036】
次に、下部電極11の形成膜としてアルミニウム(Al)にネオジム(Nd)を2原子量%ドープしたAl―Nd合金をスパッタリングで成膜する。Al―Nd合金膜の成膜後、ホト工程、エッチング工程によりストライプ形状の下部電極11を形成する(図9)。このエッチングには、例えば、燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる。
【0037】
次に、保護絶縁層(フィールド絶縁層)14、トンネル絶縁層(電子加速層)12を形成する。先ず、図10に示すように、下部電極11上の電子放出部となる部分をレジスト膜25でマスクし、その他の部分を選択的に厚く陽極酸化し,保護絶縁層14とする。このときの化成電圧を100Vとすれば、厚さ約100〜200nm程度の保護絶縁層14が形成される。レジスト膜25を除去し、残りの下部電極11の表面を陽極酸化する。このとき、例えば、化成電圧を6Vとすれば、下部電極11上に厚さ約2〜10nm程度のトンネル絶縁層12が形成される(図11)。
【0038】
次に、層間絶縁層15と、上部電極13への給電線となる走査配線バス配線とスペーサ(後述する)を配置するためのスペーサを走査線バス配線に電気的に接続するスペーサ電極となる金属膜を例えばスパッタリング法等で成膜する(図12)。この層間絶縁層15は、陽極酸化で形成するフィールド絶縁膜14にピンホールなどの膜欠陥があった場合、その欠陥を埋め、下部電極11と走査配線バス配線間の絶縁を保つ役割を果たす。ここでは、走査配線バス配線は、その金属中間層17としてAlの肉厚配線を用い、金属下層16と金属上層18との間に挟んだ3層膜とする。ここでは、金属下層16と金属上層18にはCrを用いた。Alの膜厚は配線抵抗を低減するため、できるだけ厚くしておく。ここでは、金属下層16を100nm、金属中間層17を4μm、金属上層18を100nmの膜厚とした。金属中間層17を導電性ペーストのスクリーン印刷等で形成することも可能である。
【0039】
続いて、パターニングとエッチング工程により金属上層18を、下部電極11とは直交するストライプ形状に加工する。このエッチングには、例えば硝酸アンモニウムセリウム水溶液でのウェットエッチングを用いる。(図13)。
【0040】
次に、図14に示したように、パターニングとエッチング工程により金属下層16を下部電極11とは直交するストライプ形状に加工する。エッチングは燐酸、酢酸の混合水溶液でのウェットエッチングで行う。その際、金属下層16の片側(電子源形成側、図14のB−B'線断面図の左側)を金属上層18より張り出させ(突出させ)て、後の工程で上部電極13との接続を確保する接続電極(コンタクト部を形成)とし、金属下層16の反対側(電子源形成側と反対側、図14のB−B'線断面図の右側)では金属上層18をマスクとしたエッチングバックによりアンダーカット(段差)を形成し、後の工程で上部電極13を分離する庇を形成する。これにより、上部電極13を自己整合的に隣接画素と分離し、かつ給電を行う走査線バス配線を形成することができる。
【0041】
続いて、層間絶縁層15を加工して電子放出部を開口する。電子放出部はサブピクセル内の1本の下部電極11と、この下部電極11と直交する2本の上部バス電極に挟まれた空間の直交部の一部に形成する。エッチングは、例えばCF4やSF6を主成分とするエッチング剤を用いたドライエッチングによって行うことができる(図15)。
【0042】
最後に、図16に示したように、上部電極13の成膜を行う。この成膜法は、例えばスパッタ成膜を用いる。上部電極13としては、例えばIr、Pt、Auの積層膜を用い、膜厚は例えば2〜6nm程度である。この時、上部電極13は、電子放出部を挟む2本の走査線バス配線の一方(図16のB−B'線断面図の右側)で、金属下層16の後退で形成された庇構造により切断される。一方、図16の左側では、走査線バス配線の金属下層16の傾斜したコンタクト部19により断線を起こさずに接続され給電される構造となる。
【0043】
ここでは、走査配線バス配線の金属下層16をクロムとしたが、これに替えてシリコンを用い、コンタクト部19に替えて走査配線バス配線の上部と側壁面を覆うアルミニウム薄膜を形成する構造とすることもできる。すなわち、金属中間層17の下層にシリコン層を設け、ホト工程で隣接画素との分離部分のシリコン層を露出させる。これにドライエッチングを施すことで、当該ドライエッチングの等方エッチング特性を利用して金属中間層17の下層のシリコン層をエッチングバックするによりアンダーカット(段差)を形成し、後の工程で上部電極13を分離する庇を形成する。
【0044】
金属中間層17は厚く形成され、その側壁面は若干傾斜を有することを利用し、その上にアルミニウム薄膜をスパッタ等で成膜することで、当該側壁面を被覆する導電層が形成される。この上から上部電極13をスパッタすることで、当該上部電極13と走査配線バス配線は確実に接続される。また、隣接画素との間は、シリコン層をエッチングバックによる金属中間層17の庇で、上部電極13は自己整合的に分離される。
【0045】
こうして製作した陰極ガラス基板10に図2で示したようなスペーサガラス23を介在させ、表示領域の周囲に枠ガラスを設置して陽極ガラス基板20を重ね合わせ、一体化する。陽極ガラス基板20の内面には陰極ガラス基板と同様のシリカ膜27が成膜されている。スペーサガラス23や枠ガラスの表面にも同様のシリカ膜を成膜すればなお効果的である。陰極ガラス基板10と陽極ガラス基板20および枠ガラスで構成された容器内部を減圧して画像表示装置の本体が完成する。これに駆動回路等を実装して画像表示装置が改正する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の画像表示装置の一実施例を説明する陰極ガラス基板の主面構造の平面図である。
【図2】図1に示した画像表示装置の要部構造を説明する断面模式図である。
【図3】加熱プロセスでの熱膨張と熱収縮によるヒロックやボイドが発生する現象に関する実験結果を示す図である。
【図4】アルカリ拡散防止効果の比較のためポリシラザンを塗布していない試料基板の3箇所での分析結果を示す図である。
【図5】アルカリ拡散防止効果の比較のためポリシラザンを塗布していない試料基板の3箇所での分析結果を示す図である。
【図6】ポリシラザンを塗布高温で焼成した場合のアルカリの拡散が防止効果の分析結果を示す図である。
【図7】ポリシラザンを塗布高温で焼成した場合のアルカリの拡散が防止効果の分析結果を示す図である。
【図8】本発明の製造方法を説明する図である。
【図9】本発明の製造方法を説明する図8に続く図である。
【図10】本発明の製造方法を説明する図9に続く図である。
【図11】本発明の製造方法を説明する図10に続く図である。
【図12】本発明の製造方法を説明する図11に続く図である。
【図13】本発明の製造方法を説明する図12に続く図である。
【図14】本発明の製造方法を説明する図13に続く図である。
【図15】本発明の製造方法を説明する図14に続く図である。
【図16】本発明の製造方法を説明する図15に続く図である。
【図17】本発明に係る画像表示装置の基本構造を説明する断面模式図である。
【図18】図12に示した陰極の動作原理の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
6・・・封止ガラス枠、7・・・シリカ膜、10・・・陰極ガラス基板、11・・・下部電極、12・・・トンネル絶縁層、13・・・上部電極、14・・・保護絶縁層(フィールド絶縁層)、15・・・上部バス電極、16・・・上部バス電極の金属下層,17・・・上部バス電極の金属中層、18・・・上部バス電極の金属上層、19・・・コンタクト部、20・・・陽極ガラス基板、21・・・走査配線バス配線、22・・・蛍光体、23・・・スペーサ、24・・・陽極、25・・・レジスト膜、27・・・シリカ膜、40・・・信号配線駆動回路、50・・・走査配線駆動回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に係り、特に電子源アレイを形成した陰極ガラス基板と、蛍光面を形成した陽極ガラス基板および封止ガラス枠とで真空容器を有する画像表示装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微少で集積可能な薄膜型電子源とも称する電子放出型電子源を利用する平面型の画像表示装置(フラット・パネル・ディスプレイ:FPD)が開発されている。この種の画像表示装置の電子源は、電子放出型電子源とホットエレクトロン型電子源とに分類される。前者には、スピント型電子源、表面伝導型電子源、カーボンナノチューブ型電子源等が属し、後者としては金属―絶縁体―金属を積層したMIM(Metal−Insulator−Metal)型、金属―絶縁体―半導体を積層したMIS(Metal−Insulator−Semiconductor)型、金属―絶縁体―半導体−金属型等の薄膜型電子源がある。
【0003】
MIM型について、例えば特許文献1に、金属―絶縁体―半導体型についてはMOS型(非特許文献1)、金属―絶縁体―半導体−金属型ではHEED型(非特許文献2などに記載)、EL型(非特許文献3などに記載)、ポーラスシリコン型(非特許文献4などに記載)などが報告されている。MIM型電子源については、例えば特許文献2にも開示されている。
【0004】
このような電子源では、製造中の加熱プロセスで陰極ガラス基板や封止ガラス枠(枠ガラス)あるいは間隔保持材(ガラススペーサ)からナトリウム(Na)などのアルカリ金属元素が析出し、陰極を汚染したり、加熱プロセスの残留歪によって陰極ガラス基板上に形成した下部電極が変形し、あるいはヒロックやボイドが発生する。これを回避するため、陰極ガラス基板の最表面に窒化シリコンと酸化シリコンの下地膜を積層したものが特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特開平7−65710号公報
【特許文献2】特開平10−153979号公報
【特許文献3】特開2002−352696号公報
【非特許文献1】j.Vac.Sci.Techonol.B11(2)p.429−432(1993)
【非特許文献2】high−efficiency−electro−emission device、Jpn、j、Appl、Phys、vol.36、pp.939
【非特許文献3】Electroluminescence、応用物理 第63巻、第6号、592頁
【非特許文献4】応用物理 第66巻、第5号、437頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の電子源を用いた画像表示装置は、複数の電子源(以下、カソード、あるいは陰極とも言う)を陰極ガラス基板上にマトリクス状(二次元アレイ状)に配列して表示領域を構成する。図17は、本発明に係る画像表示装置の基本構造を説明する断面模式図である。主面(内面)に陰極を有する陰極ガラス基板10と、同じく主面に蛍光面(蛍光体とブラックマトリクスおよび陽極)を有する陽極ガラス基板20とを対向させ、両基板の対向内面の端部を周回して封止ガラス枠(図示せず)を介在させて所定間隙をもって貼り合わせ、真空容器を構成している。
【0006】
陰極Kは、下部電極11と、該下部電極11の上に電子加速層(以下トンネル絶縁層とも言う)12を介して成膜された上部電極13との積層構造を有する。下部電極11は、アルミニウム(Al)膜又はアルミニウム合金(Al+Nd等)膜からなる。トンネル絶縁層12は下部電極11の表面を陽極酸化した非晶質酸化膜である。下部電極11と上部電極13とは、フィールド絶縁層14と層間絶縁層15で電気的に絶縁されている。層間絶縁層15の上には下側金属16、中間金属17および上側金属18の3層からなる走査線バス配線21が形成されている。
【0007】
下側金属16は、例えばクロム(Cr)、中間金属17はアルミニウム(Al)、上側金属18はクロムである。下側金属16は、電子源側で中間金属17から外側に突出して層間絶縁層15、フィールド絶縁層14と共に傾斜面を形成し、走査配線の上層に成膜される極薄の上部電極13と上部電極13との電気的接続を確保している。その反対側では、下側金属16は下側金属16により中間金属17の端縁から内側に後退しており、この後退で中間金属17の端縁は下側金属16に対して庇となる段差を形成している。この段差で隣接する画素(図17の右側に位置する画素)が分離される。
【0008】
陽極ガラス基板20の主面には、ブラックマトリクス26が形成される。このブラックマトリクス26の開口に蛍光体22が塗布されている。ブラックマトリクス26と蛍光体22を覆って陽極(アノード、対向電極)24が成膜されている。そして、陽極ガラス基板20のブラックマトリクス26とカソード基板10の走査配線21との間にスペーサ23を設置して両基板の間に1mm〜数mm程度の間隙を保持している。
【0009】
下部電極11は信号配線(又は、データ線)であり、この下部電極11と陽極24の間に電圧Vd(3〜10kV程度)を印加することで、下記図18で説明する原理により電子源から電子e-が放出され、陽極24の下層に塗布された蛍光体22に射突し、蛍光体22を励起して当該蛍光体の材料に応じた所定の波長または波長域の光Lが放出される。
【0010】
図18は、図17に示した陰極の動作原理の説明図である。この陰極は、上部電極13と下部電極11との間に駆動電圧Vdを印加して、トンネル絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすると、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子がトンネル現象により障壁を透過し、電子加速層であるトンネル絶縁層12の伝導帯へ注入されホットエレクトロンとなり、上部電極13の伝導帯へ流入する。これらのホットエレクトロンのうち、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーをもって上部電極13表面に達した電子e-が真空中に放出される。
【0011】
陰極アレイを形成した陰極ガラス基板と、蛍光面を形成したようガラス基板で構成した陽極ガラス基板からなる画像表示装置は、両基板の間で電子を加速するため真空にパッケージングしなければならない。したがって、ブラウン管と同様にフリットガラスを用いたガラス接合によるパッケージングが行われる。現在使用されている大部分のフリットガラスの熱膨張係数は70〜85×10-7/℃である。従って、電子源アレイを形成する基板には熱膨張係数の差が小さく、封着時に歪みを発生させないソーダライム系のガラス基板が一般に使用される。
【0012】
これら陰極ガラス基板や陽極ガラス基板に用いるガラス基板はナトリウム(Na)に代表されるアルカリ金属を含み、封着や加熱排気の熱処理中に拡散析出し、電子源アレイを汚染する恐れがある。なお、陰極ガラス基板や陽極ガラス基板に限らず、両基板とともに真空容器を構成する枠ガラス、両基板間の間隙(セルギャップ)を保持するために用いるスペーサガラスについても同様である。特に、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等の高融点金属材料を用いる場合、高温でNaとの反応が起きやすいので、Na拡散は完全に防止する必要がある。配線材料としてはWやMoの他にも色々あるが、安価、低抵抗、加工性、耐腐食性などからアルミニウム(Al)、またはAl合金膜もよく用いられる。特に、Alの陽極酸化膜を用いるMIM型の薄膜型電子源は、下部電極が必然的にAl、またはAl合金膜となる。
【0013】
Al、またはAl合金膜の欠点としては、低融点材料であるため封着封止の加熱時の熱応力等によるストレスの影響を受けやすい点がある。Al合金膜は周囲より強い圧縮応力を受けると、ヒロックを、引張り応力を受けるとボイドを発生させてしまう。
【0014】
本発明の目的は、封着や加熱排気の熱処理中にガラス基板から析出してくるアルカリ金属で陰極アレイが汚染されるのを防止すると共に、封着や加熱排気のプロセスの熱処理中にAl、またはAl合金膜等からなる電極材料が受ける応力を適切に保ち、ヒロックやボイド形成の塑性変形を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の画像表示装置は、複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサ(スペーサガラスとも言う)のうち、少なくとも前記陰極ガラス基板又は前記陽極ガラス基板、あるいは双方の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする。前記シリカ膜は、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜である。
【0016】
さらに、本発明の画像表示装置は、複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスとで真空容器を構成してなり、
前記陰極基板と前記陽極基板の間に植立され、両基板の間隔を所定値に保持する複数のスペーサと、
前記陰極ガラス基板の内面の一方向に延在し、該一方向と交差する他方向に並設して形成された複数の信号配線と、
前記信号配線とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線とを有する。
【0017】
前記カソードは、前記信号配線と前記走査配線の交差部において下部電極を構成する前記信号配線と、この信号配線上に形成された電子加速層と、前記走査配線に接続して前記電子加速層を覆って形成された上部電極との積層構造からなり、前記下部電極に対して前記上部電極に正のバイアスを与えることで前記上部電極から放出される電子を前記蛍光体に衝突させて発光を得る表示メカニズムを有し、
前記真空容器を構成する前記陰極ガラス基板、前記陽極ガラス基板、前記封止ガラス枠、前記スペーサのうち、少なくとも前記陰極ガラス基板又は前記陽極ガラス基板、あるいは双方の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする。前記シリカ膜は、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜である
【0018】
上記画像表示装置の製造方法は、複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサのうち、少なくとも前記陰極ガラス基板又は前記陽極ガラス基板、あるいは双方の内側最表面にポリシラザンを主成分とする溶液を塗布し、加熱してシリカ膜とすることを特徴とする。さらに、前記シリカ膜を形成した前記陰極ガラス基板を、ガラス歪点温度近傍で熱処理することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記目的を実現する本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明の画像表示装置の一実施例を説明する陰極ガラス基板の主面構造の平面図である。陰極ガラス基板10は、一方向(図1の上下方向:垂直方向)に延在し、該一方向と交差する他方向(図1の左右方向:水平方向)に並設して形成された複数の信号配線11と、信号配線11とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線21とを有する。図1では、信号配線と走査配線は各一本のみで代表させてある。
【0021】
カソードKは、信号配線11を下部電極とし、トンネル絶縁層(図示せず)を介して積層された上部電極13(走査配線21と接続)とで構成される(詳しくは図2で説明する)。複数の陰極Kがマトリクス状に配置されて表示領域ARを構成している。信号配線11は、表示領域ARの外側に設けられた信号配線駆動回路40に接続され、走査配線21は同じく、表示領域ARの外側に設けられた走査配線駆動回路50に接続される。この陰極ガラス基板では、信号配線駆動回路40と走査配線駆動回路50は共に、陰極ガラス基板の両側に設けられ、所謂両端駆動とされているが、それぞれが1辺にのみ設けられた片側駆動にも本発明は同様に適用される。
【0022】
この陰極ガラス基板10の内周縁の表示領域ARの素子と側に封止ガラス枠6を介挿し、図示しない陽極ガラス基板を貼り合わせて真空容器に一体化する。陰極ガラス基板10と封止ガラス枠6、および封止ガラス枠6と陽極ガラス基板はフリットガラス等の接着剤を用い、加熱プロセスで接合固定する。このプロセスでは、図示しない排気孔から真空抜きされる。
【0023】
図2は、図1に示した画像表示装置の要部構造を説明する断面模式図である。主面(内面)にカソードKを有する陰極ガラス基板10と、同じく主面に蛍光面(蛍光体とブラックマトリクスおよび陽極:アノード)を有する陽極ガラス基板20とを対向させ、両基板の対向内面の端部を周回して封止ガラス枠6(図1参照)を介在させ、スペーサガラス23で両基板間を所定間隙(セルギャップ)をもって貼り合わせて真空容器とする。カソードKの構造、走査配線バス配線21の構造、陽極ガラス基板20の構造、等は図17と同様なので、繰り返しの説明は省略する。
【0024】
本実施例では、陰極ガラス基板10の内側最表面にシリカ膜7を成膜してある。シリカ膜7は下部電極11の下層前面を覆っている。前記シリカ膜は、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜の熱処理膜である。陰極ガラス基板10からアルカリ金属が沸き上がっても、これをシリカ膜7がブロックし、下部電極11、トンネル絶縁層12、上部電極13などに拡散してカソードの電子放出特性を劣化させることが防止される。又、本実施例では、陽極ガラス基板20の内側最表面にもシリカ膜27を成膜してある。シリカ膜27はブラックマトリクス26と蛍光体22の下層前面を覆っている。このシリカ膜27も、上記と同様のポリシラザンを主成分とするコーティング膜の熱処理膜である。陽極ガラス基板20からアルカリ金属が沸き上がっても、これをシリカ膜27がブロックし、陰極ガラス基板10に有する上部電極13などに拡散してカソードの電子放出特性を劣化させることが防止される。
【0025】
また、この画像表示装置の製造中、陰極ガラス基板10は複数の加熱プロセスを通過する。前記背景技術でも述べたように、加熱プロセスでの熱膨張と熱収縮により、上層に形成された下部電極11に圧縮や引っ張りが作用し、クラックの原因の一つでもあるヒロックやボイドが発生する。図3にこの現象に関する実験結果を示す。図3の結果を得る実験では、高歪点硝子基板の上にポリシラザンを塗布しないものと、2種類(A型、B型)のポリシラザンを塗布し、その上に信号線を形成して熱処理によるボイド発生の有無を調べた。なお、A型、B型とは、焼成後の膜応力が異なる。
【0026】
図3の(a)はポリシラザンを塗布しない基板、図3の(b)はA型ポリシラザンを塗布した基板の、図3の(c)はB型ポリシラザンを塗布した基板の熱処理後の、それぞれについてのヒロックやボイドの発生具合を示す。すなわち、図3の(a)について、(a−1)は550℃の加熱処理した後、430℃で熱処理したもの、(a−2)は430℃の焼成のみの熱処理をしたものの状態を示す。ポリシラザンのない基板では、熱処理によってボイドは発生しない。
【0027】
一方ポリシラザンを塗布した基板では、430℃の熱処理(パネルの封着工程に相当)を施すと信号線にボイドが発生する。これは熱処理により、ポリシラザン自身が熱収縮(10%程度といわれている)を起こし、その分信号線のAl合金に圧縮応力を与えるため、室温に戻る際ボイドを発生させるためである。
【0028】
そこで、本実施例では、シリカ膜を成膜した陰極ガラス基板10をガラス歪点温度近傍(500〜600℃)で熱処理する。図3の(b)に示したA型ポリシラザンを塗布した基板では、430℃の熱処理のみ(b−2)でボイド30が発生するが、550℃の加熱処理した後、430℃で熱処理したもの(b−1)では、ボイドの発生はなかった。また、図3の(c)に示したB型ポリシラザンを塗布した基板では、430℃の熱処理のみ(c−2)でボイド30が発生するが、550℃の加熱処理した後、430℃で熱処理したもの(c−1)ではボイドの発生はなかったが、図3の(d)に拡大して示したように、クラック40が多数発生した。
【0029】
この熱処理により、シリカ膜がアニールされ、熱収縮が除去される。その結果、上記したヒロックやボイドの発生が抑制される。また、同時にガラス基板自身の熱歪も除去されるため、陽極ガラス基板20との貼り合わせを行う時の位置ずれが小さくなり、組立て精度が向上する。
【0030】
図4〜図7にポリシラザン膜による、アルカリ拡散防止効果を示す。ここでは高歪点硝子基板の上にポリシラザンA型を塗布し、オージェ電子分光(AES)によりアルカリ元素の深さ方向分布を調べた。図4と図5は、比較のためポリシラザンを塗布していない試料基板の3箇所(a)、(b)、(c)での分析結果を示す。図4の熱処理は440℃の熱処理後、430℃で焼成したもの。図5の熱処理は、440℃の熱処理後、550℃加熱し、430℃で焼成したものを示す。熱処理条件が異なる図4と図5の2つの試料とも、表面にK、Naが多く分布していることが判る。
【0031】
一方、ポリシラザンを塗布した図6と図7では、550℃という高温で焼成した場合も含めてすべての試料でK,Na,Caの表面分布は解消されており、アルカリの拡散が防止されていることを示している。図6と図7も、上記と同様に、前記A型のポリシラザンを塗布した試料基板の3箇所(a)、(b)、(c)での分析結果を示す。図6の熱処理は440℃の熱処理後、430℃で焼成したもの。図7の熱処理は、440℃の熱処理後、550℃加熱し、430℃で焼成したものを示す。
【0032】
以上のことから、陰極ガラス基板や陽極ガラス基板、あるいは枠ガラスやスペーサガラスを含めたガラス基板等にA型のポリシラザンを塗布することで、特に陰極基板では、ボイドやヒロックの発生防止効果、アルカリ拡散防止効果で優れた特性を発揮する。また、Al信号線との密着性も良好となり、低アルカリガラスのみならず、ソーダガラスでのアルカリ拡散防止層として有効である。550℃の基板加熱により、ガラスの熱収縮も解消され、陰極ガラス基板(カソード基板)と陽極ガラス基板(アノード)基板の位置合わせ精度向上にも効果がある。
【0033】
なお、上記したが、シリカ膜は、陽極ガラス基板20や封止ガラス枠6の内側最表面、あるいはスペーサガラス23の側壁に成膜することで、アルカリ金属が析出してカソードなど入力影響を及ぼすのを防止することができる。
【0034】
次に、本発明の製造方法の一例を図8〜図16を参照して詳細に説明する。先ず、ソーダライムガラス等のNaを含有する陰極ガラス基板10の内側最表面にシリカ膜7を成膜する(図8)。なお、このとき、陰極ガラス基板10の表面にシリコン窒化膜(SiN)とシリコン酸化膜(SiO)からなる下地絶縁層が形成されていてもよい。この下地絶縁層もNa等のアルカリ金属原子の拡散を防止する機能を有するため、本発明のシリカ膜7と併用すればさらに効果的である。
【0035】
シリカ膜7はポリシラザン(シリコンSi、窒素N、水素Hのみで構成され、有機溶媒に可溶な無機ポリマ)を主成分とする溶液をコーティングし、空気中で昇温することで空気中の水分と反応して超薄膜のシリカ(SiO2)となる。これをガラス否点温度である500〜600℃で加熱処理する。この加熱処理でシリカ膜7はアニールされて熱収縮が抑止される。このとき、陰極ガラス基板10の熱歪も除去される。
【0036】
次に、下部電極11の形成膜としてアルミニウム(Al)にネオジム(Nd)を2原子量%ドープしたAl―Nd合金をスパッタリングで成膜する。Al―Nd合金膜の成膜後、ホト工程、エッチング工程によりストライプ形状の下部電極11を形成する(図9)。このエッチングには、例えば、燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる。
【0037】
次に、保護絶縁層(フィールド絶縁層)14、トンネル絶縁層(電子加速層)12を形成する。先ず、図10に示すように、下部電極11上の電子放出部となる部分をレジスト膜25でマスクし、その他の部分を選択的に厚く陽極酸化し,保護絶縁層14とする。このときの化成電圧を100Vとすれば、厚さ約100〜200nm程度の保護絶縁層14が形成される。レジスト膜25を除去し、残りの下部電極11の表面を陽極酸化する。このとき、例えば、化成電圧を6Vとすれば、下部電極11上に厚さ約2〜10nm程度のトンネル絶縁層12が形成される(図11)。
【0038】
次に、層間絶縁層15と、上部電極13への給電線となる走査配線バス配線とスペーサ(後述する)を配置するためのスペーサを走査線バス配線に電気的に接続するスペーサ電極となる金属膜を例えばスパッタリング法等で成膜する(図12)。この層間絶縁層15は、陽極酸化で形成するフィールド絶縁膜14にピンホールなどの膜欠陥があった場合、その欠陥を埋め、下部電極11と走査配線バス配線間の絶縁を保つ役割を果たす。ここでは、走査配線バス配線は、その金属中間層17としてAlの肉厚配線を用い、金属下層16と金属上層18との間に挟んだ3層膜とする。ここでは、金属下層16と金属上層18にはCrを用いた。Alの膜厚は配線抵抗を低減するため、できるだけ厚くしておく。ここでは、金属下層16を100nm、金属中間層17を4μm、金属上層18を100nmの膜厚とした。金属中間層17を導電性ペーストのスクリーン印刷等で形成することも可能である。
【0039】
続いて、パターニングとエッチング工程により金属上層18を、下部電極11とは直交するストライプ形状に加工する。このエッチングには、例えば硝酸アンモニウムセリウム水溶液でのウェットエッチングを用いる。(図13)。
【0040】
次に、図14に示したように、パターニングとエッチング工程により金属下層16を下部電極11とは直交するストライプ形状に加工する。エッチングは燐酸、酢酸の混合水溶液でのウェットエッチングで行う。その際、金属下層16の片側(電子源形成側、図14のB−B'線断面図の左側)を金属上層18より張り出させ(突出させ)て、後の工程で上部電極13との接続を確保する接続電極(コンタクト部を形成)とし、金属下層16の反対側(電子源形成側と反対側、図14のB−B'線断面図の右側)では金属上層18をマスクとしたエッチングバックによりアンダーカット(段差)を形成し、後の工程で上部電極13を分離する庇を形成する。これにより、上部電極13を自己整合的に隣接画素と分離し、かつ給電を行う走査線バス配線を形成することができる。
【0041】
続いて、層間絶縁層15を加工して電子放出部を開口する。電子放出部はサブピクセル内の1本の下部電極11と、この下部電極11と直交する2本の上部バス電極に挟まれた空間の直交部の一部に形成する。エッチングは、例えばCF4やSF6を主成分とするエッチング剤を用いたドライエッチングによって行うことができる(図15)。
【0042】
最後に、図16に示したように、上部電極13の成膜を行う。この成膜法は、例えばスパッタ成膜を用いる。上部電極13としては、例えばIr、Pt、Auの積層膜を用い、膜厚は例えば2〜6nm程度である。この時、上部電極13は、電子放出部を挟む2本の走査線バス配線の一方(図16のB−B'線断面図の右側)で、金属下層16の後退で形成された庇構造により切断される。一方、図16の左側では、走査線バス配線の金属下層16の傾斜したコンタクト部19により断線を起こさずに接続され給電される構造となる。
【0043】
ここでは、走査配線バス配線の金属下層16をクロムとしたが、これに替えてシリコンを用い、コンタクト部19に替えて走査配線バス配線の上部と側壁面を覆うアルミニウム薄膜を形成する構造とすることもできる。すなわち、金属中間層17の下層にシリコン層を設け、ホト工程で隣接画素との分離部分のシリコン層を露出させる。これにドライエッチングを施すことで、当該ドライエッチングの等方エッチング特性を利用して金属中間層17の下層のシリコン層をエッチングバックするによりアンダーカット(段差)を形成し、後の工程で上部電極13を分離する庇を形成する。
【0044】
金属中間層17は厚く形成され、その側壁面は若干傾斜を有することを利用し、その上にアルミニウム薄膜をスパッタ等で成膜することで、当該側壁面を被覆する導電層が形成される。この上から上部電極13をスパッタすることで、当該上部電極13と走査配線バス配線は確実に接続される。また、隣接画素との間は、シリコン層をエッチングバックによる金属中間層17の庇で、上部電極13は自己整合的に分離される。
【0045】
こうして製作した陰極ガラス基板10に図2で示したようなスペーサガラス23を介在させ、表示領域の周囲に枠ガラスを設置して陽極ガラス基板20を重ね合わせ、一体化する。陽極ガラス基板20の内面には陰極ガラス基板と同様のシリカ膜27が成膜されている。スペーサガラス23や枠ガラスの表面にも同様のシリカ膜を成膜すればなお効果的である。陰極ガラス基板10と陽極ガラス基板20および枠ガラスで構成された容器内部を減圧して画像表示装置の本体が完成する。これに駆動回路等を実装して画像表示装置が改正する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の画像表示装置の一実施例を説明する陰極ガラス基板の主面構造の平面図である。
【図2】図1に示した画像表示装置の要部構造を説明する断面模式図である。
【図3】加熱プロセスでの熱膨張と熱収縮によるヒロックやボイドが発生する現象に関する実験結果を示す図である。
【図4】アルカリ拡散防止効果の比較のためポリシラザンを塗布していない試料基板の3箇所での分析結果を示す図である。
【図5】アルカリ拡散防止効果の比較のためポリシラザンを塗布していない試料基板の3箇所での分析結果を示す図である。
【図6】ポリシラザンを塗布高温で焼成した場合のアルカリの拡散が防止効果の分析結果を示す図である。
【図7】ポリシラザンを塗布高温で焼成した場合のアルカリの拡散が防止効果の分析結果を示す図である。
【図8】本発明の製造方法を説明する図である。
【図9】本発明の製造方法を説明する図8に続く図である。
【図10】本発明の製造方法を説明する図9に続く図である。
【図11】本発明の製造方法を説明する図10に続く図である。
【図12】本発明の製造方法を説明する図11に続く図である。
【図13】本発明の製造方法を説明する図12に続く図である。
【図14】本発明の製造方法を説明する図13に続く図である。
【図15】本発明の製造方法を説明する図14に続く図である。
【図16】本発明の製造方法を説明する図15に続く図である。
【図17】本発明に係る画像表示装置の基本構造を説明する断面模式図である。
【図18】図12に示した陰極の動作原理の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
6・・・封止ガラス枠、7・・・シリカ膜、10・・・陰極ガラス基板、11・・・下部電極、12・・・トンネル絶縁層、13・・・上部電極、14・・・保護絶縁層(フィールド絶縁層)、15・・・上部バス電極、16・・・上部バス電極の金属下層,17・・・上部バス電極の金属中層、18・・・上部バス電極の金属上層、19・・・コンタクト部、20・・・陽極ガラス基板、21・・・走査配線バス配線、22・・・蛍光体、23・・・スペーサ、24・・・陽極、25・・・レジスト膜、27・・・シリカ膜、40・・・信号配線駆動回路、50・・・走査配線駆動回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサのうち、少なくとも前記陽極ガラス基板の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された封止ガラス枠とで真空容器を構成してなり、
前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の間に植立され、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサと、
前記陰極ガラス基板の内面の一方向に延在し、該一方向と交差する他方向に並設して形成された複数の信号配線と、
前記信号配線とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線とを有し、
前記カソードは、前記信号配線と前記走査配線の交差部において下部電極を構成する前記信号配線と、この信号配線上に形成された電子加速層と、前記走査配線に接続して前記電子加速層を覆って形成された上部電極との積層構造からなり、前記下部電極に対して前記上部電極に正のバイアスを与えることで前記上部電極から放出される電子を前記蛍光体に衝突させて発光を得る表示メカニズムを有し、
前記真空容器を構成する前記陰極ガラス基板、前記陽極ガラス基板、前記封止ガラス枠、前記ガラススペーサのうち、少なくとも前記陽極ガラス基板の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサのうち、少なくとも前記陰極ガラス基板の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された封止ガラス枠とで真空容器を構成してなり、
前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の間に植立され、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサと、
前記陰極ガラス基板の内面の一方向に延在し、該一方向と交差する他方向に並設して形成された複数の信号配線と、
前記信号配線とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線とを有し、
前記カソードは、前記信号配線と前記走査配線の交差部において下部電極を構成する前記信号配線と、この信号配線上に形成された電子加速層と、前記走査配線に接続して前記電子加速層を覆って形成された上部電極との積層構造からなり、前記下部電極に対して前記上部電極に正のバイアスを与えることで前記上部電極から放出される電子を前記蛍光体に衝突させて発光を得る表示メカニズムを有し、
前記真空容器を構成する前記陰極ガラス基板、前記陽極ガラス基板、前記封止ガラス枠、前記ガラススペーサのうち、少なくとも前記陰極ガラス基板の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、
前記シリカ膜が、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜の熱処理で形成されたものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサのうち、少なくとも前記陽極ガラス基板と前記陰極ガラス基板の一方又は双方の内側最表面にポリシラザンを主成分とする溶液を塗布し、加熱してシリカ膜とすることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記シリカ膜を形成した前記陰極ガラス基板を、ガラス歪点温度近傍で熱処理することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項1】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサのうち、少なくとも前記陽極ガラス基板の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された封止ガラス枠とで真空容器を構成してなり、
前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の間に植立され、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサと、
前記陰極ガラス基板の内面の一方向に延在し、該一方向と交差する他方向に並設して形成された複数の信号配線と、
前記信号配線とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線とを有し、
前記カソードは、前記信号配線と前記走査配線の交差部において下部電極を構成する前記信号配線と、この信号配線上に形成された電子加速層と、前記走査配線に接続して前記電子加速層を覆って形成された上部電極との積層構造からなり、前記下部電極に対して前記上部電極に正のバイアスを与えることで前記上部電極から放出される電子を前記蛍光体に衝突させて発光を得る表示メカニズムを有し、
前記真空容器を構成する前記陰極ガラス基板、前記陽極ガラス基板、前記封止ガラス枠、前記ガラススペーサのうち、少なくとも前記陽極ガラス基板の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサのうち、少なくとも前記陰極ガラス基板の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された封止ガラス枠とで真空容器を構成してなり、
前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の間に植立され、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサと、
前記陰極ガラス基板の内面の一方向に延在し、該一方向と交差する他方向に並設して形成された複数の信号配線と、
前記信号配線とは絶縁層を介して前記他方向に延在し、前記一方向に並設して形成された複数の走査配線とを有し、
前記カソードは、前記信号配線と前記走査配線の交差部において下部電極を構成する前記信号配線と、この信号配線上に形成された電子加速層と、前記走査配線に接続して前記電子加速層を覆って形成された上部電極との積層構造からなり、前記下部電極に対して前記上部電極に正のバイアスを与えることで前記上部電極から放出される電子を前記蛍光体に衝突させて発光を得る表示メカニズムを有し、
前記真空容器を構成する前記陰極ガラス基板、前記陽極ガラス基板、前記封止ガラス枠、前記ガラススペーサのうち、少なくとも前記陰極ガラス基板の内側最表面がシリカ膜で覆われていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、
前記シリカ膜が、ポリシラザンを主成分とするコーティング膜の熱処理で形成されたものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
複数のカソードをマトリクス配列した陰極ガラス基板と、前記カソードに相対する複数の蛍光体を配置した陽極ガラス基板と、前記陰極ガラス基板と前記陽極ガラス基板の対向内面の端部を周回して介挿された枠ガラスと、両基板の間隔を所定値に保持する複数のガラススペーサのうち、少なくとも前記陽極ガラス基板と前記陰極ガラス基板の一方又は双方の内側最表面にポリシラザンを主成分とする溶液を塗布し、加熱してシリカ膜とすることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記シリカ膜を形成した前記陰極ガラス基板を、ガラス歪点温度近傍で熱処理することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−277072(P2008−277072A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118144(P2007−118144)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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