説明

画像表示装置及びその制御方法

【課題】ディスプレイに表示されるコンテンツを印刷する場合に、煩雑な操作を不要にすることができるようにする。
【解決手段】接近接触検知部102は、表示部109から所定の距離に接近したプリンタ101を検知し、所定の距離以内にあると判断した場合には、位置検出部103は、検知されたプリンタ101の位置を検出する。そして、ポインタ設定部105は、検出したプリンタ101の位置に最も近い位置にポインタを表示し、プリンタ101が表示部109と接触したことに応じて、データ送信制御部107は、ポインタに指し示されたコンテンツのデータをプリンタ101に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置、画像表示装置の制御方法、プログラム及び記憶媒体に関し、特に、表示されたコンテンツを印刷するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスプレイに表示されているコンテンツを印刷する場合には、ケーブルもしくは無線接続機器を用いてプリンタをディスプレイ又はディスプレイが接続された情報処理装置に接続する。そして、コンテンツを選択した後にメニューから印刷を選択し、プリンタを選択して印刷を開始するという複数の操作が必要であった。そこで、例えば、特許文献1には、プリンタ内蔵型の電子情報機器が開示されており、プリンタの接続を容易化している。
【0003】
【特許文献1】特開平10−283067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電子情報機器では、プリンタの接続は容易化されているが、コンテンツを選択した後の操作については、複数の操作が必要であった。このように従来の技術では、ディスプレイに表示されているコンテンツを印刷する操作が煩雑であり、多数のコンテンツを印刷しようとした場合に多くの手間がかかるという問題点があった。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、ディスプレイに表示されるコンテンツを印刷する場合に、煩雑な操作を不要にすることができることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像表示装置は、コンテンツを表示手段に表示する表示制御手段と、前記表示手段から所定の距離以内にある印刷装置を検知する検知手段と、前記検知手段によって検知された印刷装置の位置を検出する位置検出手段と、前記表示手段に表示されたコンテンツのうちの、前記位置検出手段によって検出された位置に基づくコンテンツのデータを前記印刷装置へ送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の画像表示装置の制御方法は、コンテンツを表示手段に表示する表示制御工程と、前記表示手段から所定の距離以内にある印刷装置を検知する検知工程と、前記検知工程において検知された印刷装置の位置を検出する位置検出工程と、前記表示手段に表示されたコンテンツのうちの、前記位置検出工程において検出された位置に基づくコンテンツのデータを前記印刷装置へ送信する送信工程とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明のプログラムは、コンテンツを表示手段に表示する表示制御工程と、前記表示手段から所定の距離以内にある印刷装置を検知する検知工程と、前記検知工程において検知された印刷装置の位置を検出する位置検出工程と、前記表示手段に表示されたコンテンツのうちの、前記位置検出工程において検出された位置に基づくコンテンツのデータを前記印刷装置へ送信する送信工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
本発明の記憶媒体は、前記に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ディスプレイに表示されるコンテンツの選択を容易に行うことができるとともに、印刷データを簡単に送信することができるため、煩雑な操作を不要にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る画像表示装置100の構成例を示すブロック図である。
図1において、印刷装置であるプリンタ101は、ユーザにより表示部109の近くに持ち運びが可能なものである。したがって、プリンタ101は、可搬な小型プリンタであれば本実施形態においてより望ましい。
【0013】
接近接触検知部102は、プリンタ101が表示部109の近くに接近した場合にその接近を検知する。また、接近接触検知部102は、プリンタ101の接近を検知すると、通信部108を介してプリンタ101との接続を確立する。このとき、プリンタ101との接続には、公知の無線通信技術を用いる。
【0014】
位置検出部103は、接近接触検知部102から接近したという通知を受け、表示部109の近くに位置するプリンタ101の接近・接触位置を検出する。また、位置検出部103は表示制御部104と接続されており、表示部109の画面上に座標情報を表示するためのデータを表示制御部104に送る。
【0015】
表示制御部104は、表示部109にコンテンツを表示する。また、表示制御部104は位置検出部103と接続されており、表示部109の画面上にプリンタ101の座標情報を表示する。
【0016】
ポインタ設定部105は、プリンタ101が表示部109と最も接近している位置に印刷データを選択するためのポインタを生成し、コンテンツの選択が可能な状態にする。印刷データ設定部106は、ポインタ設定部105により生成されたポインタにより示されたコンテンツを印刷データとして設定する。なお、プリンタ101が所定の距離から離れた場合は、設定を解除するように切り替える。そして、ユーザの持ち運びによりプリンタ101が表示部109と接触すると、接触した位置のポインタのコンテンツを印刷データとして決定する。
【0017】
データ送信制御部107は、接近接触検知部102によりさらにプリンタ101が表示部109と接触したことを検知すると、印刷データ設定部106により設定された印刷データを、通信部108を介してプリンタ101へ送信する。また、通信部108は、プリンタ101と無線により通信を行うためのものである。
【0018】
次に、図3を参照しながら、本実施形態の動作をさらに詳しく説明する。図3は、本実施形態において、プリンタ302が接近している時の表示部109に表示されている画面の一例を示す図である。
図3において、301は表示部109に表示されている表示画面であり、302はプリンタである。また、303は表示画面301上のコンテンツである。
【0019】
プリンタ302が表示画面301に接近し、表示画面301との距離がN以下になると、ポインタ設定部105は起動する。ここで、プリンタ302の通信部と表示画面301とを最短で結ぶ線の長さを距離とする。なお、プリンタ302と表示画面301との距離は、接近接触検知部102により検知される。また、プリンタ302の通信部と表示画面301とを結んだ線と表示画面301との接点をプリンタ302の接近位置とする。
【0020】
そして、表示画面301との距離がN以下になると、ポインタ設定部105は、プリンタ302の接近位置を中心とした同心円状にポインタ304を設定し、表示部109の表示画面301に表示する。本実施形態においては、同心円の大きさは固定であり、直径32ピクセルであるものとする。
【0021】
以下、図2に示す処理の流れに従い、本実施形態の動作手順について説明する。図2は、本実施形態において、コンテンツの中から印刷データを決定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、図2のステップS201において、接近接触検知部102は、表示部109へのプリンタ101の接近を常時監視しており、プリンタ101の接近を検知したか否かを判断する。この判断の結果、プリンタ101の接近を検知しない場合は、検知するまで待機し、検知した場合は、次のステップS202に進む。
【0022】
次に、ステップS202において、位置検出部103は、プリンタ101と表示部109との距離を検出し、所定の距離以内(本実施形態では距離N)であるか否かを判断する。この判断の結果、距離がNを超えている場合は、距離の検出を一定時間毎に繰り返し、そのまま待機する。なお、本実施形態では、Nの値は、例えば15cmで固定するものとする。また、プリンタ101との距離を再検出するための時間間隔は0.5秒とする。
【0023】
一方、ステップS202の判断の結果、距離がN以下である場合は、ステップS203において、位置検出部103は、プリンタ101の接近位置を検出する。そして、ステップS204において、ポインタ設定部105は、接近位置を中心とする同心円状のポインタを設定する。このとき、表示部109の表示画面のポインタが指し示す位置にコンテンツが無い場合には、一定時間毎に位置検出を繰り返す。一方、ポインタが指し示す位置に、コンテンツがある場合には、印刷データ設定部106は、ポインタが指し示すコンテンツを印刷データとして設定する。
【0024】
次に、ステップS205において、接近接触検知部102は、プリンタ101が接触したことを検知したか否かを判断する。この判断の結果、接触を検知していない場合は、そのまま待機し、接触をさらに検知した場合は、ステップS206に進む。そして、ステップS206において、データ送信制御部107は、印刷データ設定部106から印刷データとして設定されたコンテンツの情報を受け取り、コンテンツデータを、通信部108を介してプリンタ101へ送信し、処理を終了する。
【0025】
以上、詳細に説明したように本実施形態における画像表示装置100では、プリンタの接近及び接触によりコンテンツの選択及び印刷を可能とした。これにより、煩雑な操作を不要にしてコンテンツの印刷を行うことができる。なお、本実施形態では、プリンタ本体の接近及び接触によりコンテンツの選択及び印刷データを送信する動作について説明したが、切り離し可能なプリンタの一部を接近及び接触させることによっても本発明の効果を損なうものではない。
【0026】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、ポインタが指し示すコンテンツを印刷データとして設定し、プリンタが接触したことに応じて、印刷データをプリンタに送信する例について説明した。一方、表示部109に表示されているコンテンツの印刷範囲を設定するようにしてもよい。
【0027】
図4は、本実施形態に係る画像表示装置400の構成例を示すブロック図である。なお、図1と重複する構成については、第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
位置検出部103によりプリンタ101の位置を検出すると、印刷範囲設定部401は、プリンタ101が表示部109と最も接近している位置から所定の領域のコンテンツを設定する。そして、印刷データ設定部106は、その領域を印刷の対象となる印刷領域として設定する。なお、設定する領域の範囲は、ユーザにより不図示の操作部により設定可能とする。
【0028】
そして、プリンタ101が表示部109に接触したことに応じて、画像処理部402は、印刷データ設定部106によって設定された印刷領域の印刷データを生成し、データ送信制御部107は、生成された印刷データをプリンタ101に送信する。
【0029】
以上のように本実施形態によれば、プリンタの接近及び接触によりコンテンツの印刷領域の設定及び印刷を可能とした。これにより、煩雑な操作を不要にしてコンテンツの印刷を行うことができる。
【0030】
(本発明に係る他の実施形態)
本発明は、複数の機器から構成されるシステムの1部として適用しても、1つの機器からなる装置の一部に適用してもよい。また、本発明は前述した実施形態を実現するための装置及び方法のみに限定されるものではない。例えば、前述した装置内のコンピュータ(CPU或いはMPU)に、前記実施形態を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給するものも本発明の範疇に含まれる。また、このプログラムコードに従って前記装置のコンピュータが前記各種デバイスを動作させることにより前記実施形態を実現する場合も本発明の範疇に含まれる。
【0031】
この場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が前記実施形態の機能を実行することになる。即ち、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、具体的には上記プログラムコードを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も本発明の範疇に含まれる。
【0032】
この様なプログラムコードを格納する記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0033】
また、本発明は前記プログラムコードのみに従って各種デバイスを制御することにより、前記実施形態の機能が実現される場合に限らない。例えば、前記プログラムコードがコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)、或いは他のアプリケーションソフト等と共同して前記実施形態が実現される場合も本発明の範疇に含まれる。
【0034】
さらに、コンピュータの機能拡張ボードに備わるメモリに格納された前記プログラムコードの指示に基づいて、その機能拡張ボードに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合なども本発明の範疇に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態において、コンテンツの中から印刷データを決定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態において、プリンタが接近している時の表示部に表示されている画面の一例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
100 画像表示装置
101 プリンタ
102 接近接触検知部
103 位置検出部
104 表示制御部
105 ポインタ設定部
106 印刷データ設定部
107 データ送信制御部
108 通信部
109 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表示手段に表示する表示制御手段と、
前記表示手段から所定の距離以内にある印刷装置を検知する検知手段と、
前記検知手段によって検知された印刷装置の位置を検出する位置検出手段と、
前記表示手段に表示されたコンテンツのうちの、前記位置検出手段によって検出された位置に基づくコンテンツのデータを前記印刷装置へ送信する送信手段とを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記印刷装置と前記表示手段に表示されているコンテンツの位置との距離をもとに、印刷の対象となるコンテンツの設定及び解除を切り替える印刷データ設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記印刷装置との接触をも検知し、
前記送信手段は、前記印刷装置との接触に応じて、前記コンテンツのデータを前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記位置検出手段によって検出された位置に基づいて、前記表示手段に表示されているコンテンツの印刷範囲を設定する印刷範囲設定手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記印刷範囲設定手段によって設定された印刷範囲のコンテンツのデータを前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
コンテンツを表示手段に表示する表示制御工程と、
前記表示手段から所定の距離以内にある印刷装置を検知する検知工程と、
前記検知工程において検知された印刷装置の位置を検出する位置検出工程と、
前記表示手段に表示されたコンテンツのうちの、前記位置検出工程において検出された位置に基づくコンテンツのデータを前記印刷装置へ送信する送信工程とを備えたことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【請求項6】
前記印刷装置と前記表示手段に表示されているコンテンツの位置との距離をもとに、印刷の対象となるコンテンツの設定及び解除を切り替える印刷データ設定工程をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置の制御方法。
【請求項7】
前記検知工程においては、前記印刷装置との接触をも検知し、
前記送信工程においては、前記印刷装置との接触に応じて、前記コンテンツのデータを前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像表示装置の制御方法。
【請求項8】
前記位置検出工程において検出された位置に基づいて、前記表示手段に表示されているコンテンツの印刷範囲を設定する印刷範囲設定工程をさらに備え、
前記送信工程においては、前記印刷範囲設定工程において設定された印刷範囲のコンテンツのデータを前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置の制御方法。
【請求項9】
コンテンツを表示手段に表示する表示制御工程と、
前記表示手段から所定の距離以内にある印刷装置を検知する検知工程と、
前記検知工程において検知された印刷装置の位置を検出する位置検出工程と、
前記表示手段に表示されたコンテンツのうちの、前記位置検出工程において検出された位置に基づくコンテンツのデータを前記印刷装置へ送信する送信工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−113614(P2010−113614A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287075(P2008−287075)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】